MENU

人材開発支援助成金の対象企業とは?2026年の中小企業・大企業・個人事業主の条件を解説

人材開発支援助成金は、中小企業だけを対象とした制度ではありません。一定の要件を満たせば、大企業や個人事業主、医療法人・社会福祉法人なども対象候補になります。

ただし、「中小企業だから使える」「法人だから対象」という単純な制度ではありません。雇用保険適用事業所であることや、対象労働者を雇用していること、利用するコースごとの事業主要件などを確認する必要があります。

自社が対象になるかどうかは、企業規模だけでなく「事業主」「労働者」「訓練」の3つに分けて判断すると分かりやすくなります。

目次

人材開発支援助成金の対象企業とは?

人材開発支援助成金は、中小企業を中心に幅広い事業主が対象となる制度です。大企業や個人事業主、資本金のない法人でも、所定の条件を満たせば利用を検討できます。

まずは自社の状況を大まかに確認してみましょう。

事業者の状況対象可否の考え方
中小企業対象候補
大企業コースによって対象候補
従業員を雇用する個人事業主対象候補
医療法人・社会福祉法人等対象候補
NPO法人等対象候補
雇用保険適用事業所でない基本要件を満たさない
従業員を雇用していない従業員向け訓練では利用できない

中小企業だけでなく大企業も対象になり得る

人材開発支援助成金は、中小企業専用の制度ではありません。

人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなどでは、中小企業以外の事業主も対象となる仕組みがあります。

ただし、企業規模によって経費助成率や賃金助成額が異なる訓練があります。

そのため、

中小企業だから対象
大企業だから対象外

という判断はできません。

まず利用したいコースを決め、そのコースで中小企業・大企業それぞれにどの支給条件が設定されているか確認します。

個人事業主も雇用保険適用事業所なら対象候補になる

従業員を雇用している個人事業主も、人材開発支援助成金の対象候補です。

法人格があること自体は、すべてのコースでの絶対条件ではありません。

たとえば、個人で事業を営んでいても、

  • 従業員を雇用している
  • 雇用保険適用事業所になっている
  • 対象となる労働者へ訓練を実施する
  • コースごとの事業主要件を満たす

といった条件を満たせば利用を検討できます。

一方、一人で事業を行っており従業員を雇用していない個人事業主が、自分自身の研修費を助成してもらう制度ではありません。

「個人事業主か法人か」より、雇用関係と対象労働者の有無を先に確認してください。

医療法人・社会福祉法人・NPO法人なども対象になり得る

株式会社や合同会社以外の法人でも、法人形態だけを理由に対象外になるわけではありません。

医療法人、社会福祉法人、NPO法人、学校法人などについても、雇用保険適用事業所であり、利用するコースの事業主要件を満たせば対象候補になります。

特に資本金や出資金の概念がない法人では、中小企業に該当するかを判断するときに常時雇用する労働者数を確認します。

そのため、

株式会社ではないから使えない

と判断する必要はありません。

法人形態よりも、雇用している労働者や企業規模、利用する訓練内容を確認してください。

企業規模だけでなくコースごとの支給要件を満たす必要がある

企業規模の条件を満たしていても、それだけで人材開発支援助成金を利用できるわけではありません。

各コースには、それぞれ対象事業主、対象労働者、訓練内容などの条件があります。

たとえば、中小企業に該当していても、

  • 対象となる労働者を雇用していない
  • 必要な計画を作成していない
  • 対象外の訓練を実施する
  • 必要な賃金を支払っていない

といった状態では支給要件を満たしません。

「自社が中小企業か」を確認した後は、利用するコースの支給要件まで続けて確認してください。

人材開発支援助成金における中小企業の基準

人材開発支援助成金では、業種ごとに資本金・出資総額または常時雇用する労働者数を基準として中小企業区分を判断します。

業種によって上限が異なるため、自社の主たる事業を確認したうえで判定してください。

小売業・サービス業・卸売業・その他で資本金と労働者数の基準が異なる

中小企業事業主の代表的な区分は、次のとおりです。

主たる事業資本金・出資総額常時雇用する労働者
小売業・飲食店5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

たとえば製造業や建設業などは、基本的に「その他の業種」に該当する基準を確認します。

一方、小売業と卸売業では従業員数・資本金の基準が異なります。

自社の従業員数だけを見て判断せず、主たる事業の区分を先に確認してください。

資本金と常時雇用する労働者数から中小企業区分を判定する

中小企業に該当するかは、資本金等または常時雇用する労働者数の基準から判断します。

たとえば「その他の業種」で、

  • 資本金2億円
  • 常時雇用労働者400人

なら、資本金の基準から中小企業区分に該当するかを確認できます。

逆に、

  • 資本金4億円
  • 常時雇用労働者200人

なら、労働者数の基準を確認します。

資本金と労働者数の両方を下回らなければならないと誤解しないようにしてください。

常時雇用する労働者は正社員数だけで判断しない

「常時雇用する労働者」は、単純な正社員数と同じではありません。

一定期間を超えて雇用され、所定労働時間が通常の労働者と概ね同等である労働者なども判定に関係します。

そのため、

正社員50人、パート50人だから従業員数は50人

と機械的に判断するのは避けてください。

雇用期間や所定労働時間などを確認したうえで、制度上の「常時雇用する労働者」に該当するかを判断します。

特に中小企業区分の上限付近にいる企業は、従業員数の数え方を正確に確認しておきましょう。

資本金のない法人は常時雇用する労働者数で判定する

社会福祉法人など、資本金や出資金という概念がない法人では、常時雇用する労働者数から中小企業区分を判断します。

たとえば資本金を持たないサービス業の法人であれば、常時雇用労働者数の基準を確認します。

そのため、株式会社などと同じように資本金欄だけを見て判断することはできません。

医療法人や社会福祉法人などが助成率を確認するときは、自法人の事業区分と労働者数をもとに中小企業・大企業のどちらに該当するか整理してください。

人材開発支援助成金の対象事業主に必要な条件

人材開発支援助成金では、企業規模以外にも複数の事業主要件があります。

特に雇用保険、事業内職業能力開発計画、職業能力開発推進者、賃金支払いなどは、対象企業かどうかを判断するうえで確認しておきたい項目です。

雇用保険適用事業所であることが基本

人材開発支援助成金では、雇用保険適用事業所の事業主であることが基本です。

従業員を雇用していても、本来必要な雇用保険の手続きを行っていない事業所は、そのまま申請できるわけではありません。

また、「法人を設立している」「従業員に給与を払っている」というだけでは、雇用保険適用事業所であることの代わりにはなりません。

助成金を検討するときは、対象労働者が雇用保険の被保険者になっているかまであわせて確認してください。

事業内職業能力開発計画を策定して労働者に周知する

対象となるコースでは、事業内職業能力開発計画の策定と労働者への周知が求められます。

これは、自社がどのような方針で従業員の職業能力を高めていくのかをまとめる計画です。

単に「今回この研修を受けさせたい」という内容だけではなく、企業としての人材育成方針を整理します。

作成した計画は社内に保管するだけでなく、対象となる労働者へ周知する必要があります。

職業能力開発推進者を選任する

対象となるコースを利用する事業主は、職業能力開発推進者を選任します。

職業能力開発推進者は、社内の職業能力開発を計画的に進める担当者です。

たとえば、

  • 社内の人材育成方針を管理する
  • 職業訓練の実施を調整する
  • 必要な計画・手続きを確認する

といった役割を担います。

研修担当者がいるだけで自動的に要件を満たすとは限りません。制度上必要な選任が行われているかを確認してください。

訓練期間中は対象労働者に適正な賃金を支払う

事業主の業務命令として訓練を受講させる場合は、訓練中の労働時間について適正な賃金を支払う必要があります。

特にOFF-JTを勤務時間として実施する場合、通常の勤務と同じように賃金支払いを管理します。

時間外や休日に訓練を行い、それが労働時間に該当する場合は、必要な割増賃金も含めて適切に支払わなければなりません。

「研修だから無給」という扱いにしないよう、訓練日程を組む段階から賃金・労働時間の扱いを整理してください。

審査に必要な書類を整備して5年間保存する

対象となる事業主には、助成金の支給・不支給を確認するために必要な書類を整備し、所定期間保存することが求められます。

対象となるコースでは、関係書類を5年間保存する必要があります。

代表的には、

  • 訓練に関する書類
  • 出勤簿
  • 賃金台帳
  • 受講記録
  • 経費の支払いを確認する書類

などです。

申請が終わったからすぐに書類を廃棄するのではなく、後から確認を求められても提示できる状態にしておきましょう。

人材開発支援助成金の対象労働者

会社が対象事業主でも、研修を受ける従業員が対象労働者に該当しなければ助成対象にはなりません。

対象労働者の条件は利用するコース・訓練メニューによって異なります。

雇用する雇用保険被保険者が基本的な対象

人材育成支援コースなどでは、事業主が雇用する雇用保険被保険者が基本的な対象労働者です。

そのため、

  • 雇用保険に加入しているか
  • 申請事業主が雇用している労働者か
  • 利用する訓練メニューの対象者か

を確認します。

会社自体が雇用保険適用事業所でも、受講者本人が対象要件を満たしていないと助成対象になりません。

「会社が対象か」と「社員が対象か」は分けて判断してください。

正社員だけでなく非正規雇用労働者が対象になる訓練もある

人材開発支援助成金は、正社員だけを対象にした制度ではありません。

非正規雇用労働者を対象とする訓練もあります。

たとえば人材育成支援コースには、有期契約労働者等を対象とした訓練や、正規雇用労働者等への転換を目的とする実習型訓練があります。

そのため、

契約社員だから対象外
パートだから必ず対象外

と判断することはできません。

雇用形態と利用する訓練メニューをセットで確認します。

役員・事業主本人は従業員向け訓練と同じ扱いではない

経営者や事業主本人が自分自身の研修を受ける場合は、一般の雇用保険被保険者である従業員への訓練と同じ扱いにはなりません。

人材開発支援助成金は、事業主が雇用する労働者の職業能力開発を支援することが基本です。

たとえば、

従業員を雇用する個人事業主が、社員へ対象訓練を受けさせる
→対象候補

個人事業主本人だけが研修を受ける
→通常の従業員向け訓練とは異なる

という違いがあります。

一人会社の代表者だけが受講する場合も、通常の従業員向け申請と同じように考えないようにしてください。

コースごとに年齢・雇用形態など追加条件がある

対象労働者の条件は、利用するコースや訓練メニューで異なります。

たとえば、

  • 有期契約労働者等
  • 45歳以上の労働者
  • IT未経験者
  • 建設労働者

など、特定の条件を設けている訓練があります。

同じ会社の従業員でも、Aさんは対象、Bさんは対象外になることもあります。

助成金を使う社員を決める前に、利用予定のコースの対象労働者要件を確認してください。

コースによって対象企業の条件は異なる

人材開発支援助成金の対象事業主は、すべてのコースで完全に同じではありません。

企業の人材育成目的に合うコースを選び、そのコース固有の要件を確認する必要があります。

一般的な職業訓練は人材育成支援コースを確認する

現在の職務に必要な知識・技能を従業員へ習得させたい場合は、人材育成支援コースが代表的な候補です。

このコースでは、職務に関連するOFF-JTや、対象となる実習型訓練などを支援します。

企業として基本的な事業主要件を満たしたうえで、

  • 対象労働者
  • 訓練時間
  • OFF-JT・OJT
  • 訓練内容

などの条件を確認してください。

通常の社員研修だから自動的にこのコースを利用できるわけではありません。

高度デジタル・定額制研修は人への投資促進コースを確認する

高度なデジタル人材育成や、サブスクリプション型の定額制研修を利用したい場合は、人への投資促進コースが候補になります。

人材育成支援コースとは対象訓練の区分や支給内容が異なります。

たとえば、

  • 高度デジタル人材の育成
  • IT分野の実習型訓練
  • 定額制研修
  • 労働者の自発的な職業能力開発

などです。

企業が助成金の基本要件を満たしていても、対象訓練の要件を満たしているかを別途確認してください。

新事業・DX・GXは事業展開等リスキリング支援コースを確認する

新規事業への進出やDX・GXに必要な能力を従業員へ習得させる場合は、事業展開等リスキリング支援コースを確認します。

このコースでは、通常の職務能力向上ではなく、新しい事業や業務変革に必要なリスキリングが中心です。

たとえば、

  • 新事業に必要な専門技能
  • DX化に必要なIT知識
  • GX化に必要な技術
  • 今後担当する新たな職務に必要な能力

などが候補です。

企業規模だけでなく、会社として進める事業展開と訓練との関係を確認します。

建設業は建設労働者向けコースの事業主要件も確認する

建設業では、建設労働者技能実習コースや建設労働者認定訓練コースなど、建設分野向けの支援があります。

これらは一般的なコースとは対象事業主の条件が異なります。

たとえば建設労働者技能実習コースでは、中小建設事業主等を中心に、雇用保険上の「建設の事業」の適用状況なども確認します。

そのため、

中小企業基準を満たしている建設会社だから自動的に利用できる

とは限りません。

建設業で専用コースを利用するときは、そのコース独自の事業主要件まで確認してください。

人材開発支援助成金の対象外になりやすい企業・ケース

企業規模の条件を満たしていても、基本要件を欠いていれば助成対象にはなりません。

特に雇用保険、従業員の有無、賃金支払い、計画・記録の整備には注意が必要です。

雇用保険適用事業所でない事業主は基本要件を満たさない

人材開発支援助成金の主要コースでは、雇用保険適用事業所であることが基本です。

そのため、従業員を雇用しているにもかかわらず必要な雇用保険手続きを行っていない状態では、基本要件を満たしません。

まず雇用保険の適用状況を確認し、その後に対象労働者や訓練内容を確認する順序が分かりやすいです。

従業員を雇用していない事業主は従業員向け訓練を利用できない

従業員を一人も雇用していない事業主は、通常の従業員向け人材育成を対象とするコースをそのまま利用することはできません。

これは個人事業主だけでなく、一人会社でも同様に確認が必要です。

代表者本人の研修費を助成する制度と、雇用する労働者の訓練を助成する制度を混同しないでください。

対象労働者への賃金を適正に支払っていない場合は対象にならない

対象訓練を実施していても、労働時間に該当する訓練について賃金を適正に支払っていなければ支給要件を満たせません。

研修を勤務時間外に実施する場合も、会社が参加を義務付けているなど労働時間に該当するなら、必要な賃金の支払いが求められます。

助成金申請だけでなく、労働時間管理としても適切な運用が必要です。

必要な計画・記録を整備できない場合は支給要件を満たせない

事業内職業能力開発計画や職業能力開発推進者の選任、訓練記録など、制度上必要となる準備を行っていない場合は支給に影響します。

また、支給申請では実際に訓練を実施したことを確認する資料も必要です。

講座へ申し込むだけでなく、

  • 対象者
  • 訓練内容
  • 訓練時間
  • 賃金
  • 経費

を確認できるように記録してください。

対象企業でも訓練・労働者の要件を満たさなければ支給されない

人材開発支援助成金は、「対象企業に該当すれば、どんな研修でも助成される」という制度ではありません。

支給候補になるには、

会社
→対象事業主

社員
→対象労働者

研修
→対象訓練

の3つすべてを確認する必要があります。

たとえば会社が雇用保険適用事業所であっても、職務と関係のない研修を受けさせれば対象にならないことがあります。

逆に対象講座であっても、受講者が対象労働者でなければ支給されません。

自社が対象企業か確認するチェックポイント

自社が人材開発支援助成金の対象になるかは、雇用保険、企業規模、労働者、利用コースの順で確認すると整理しやすくなります。

申請を検討する前に、次の5項目をチェックしてください。

雇用保険適用事業所か確認する

最初に、自社が雇用保険適用事業所になっているか確認します。

さらに、研修を受けさせる従業員が雇用保険被保険者に該当するかも確認してください。

ここで基本要件を満たしていなければ、講座や助成率を調べても申請へ進めません。

中小企業・大企業のどちらに該当するか確認する

次に、自社の主たる事業、資本金、常時雇用する労働者数から企業規模を確認します。

中小企業か大企業かによって、

  • 利用できる助成区分
  • 経費助成率
  • 賃金助成額

などが異なることがあります。

資本金だけ、従業員数だけで判断せず、制度上の区分に沿って整理してください。

対象となる労働者を雇用しているか確認する

研修予定者が対象労働者に該当するか確認します。

代表的には雇用保険被保険者であることが基本ですが、コースによって年齢や雇用形態など追加条件があります。

正社員、契約社員、パートなどの呼び方だけで判断しないようにしてください。

利用目的に合うコースの事業主要件を確認する

会社と労働者の基本条件を確認したら、訓練目的に合うコースを選びます。

たとえば、

  • 現在の職務能力向上
  • 高度デジタル人材育成
  • 定額制研修
  • 新事業へのリスキリング
  • 建設労働者の技能講習

では利用候補が異なります。

コースが決まったら、そのコース固有の対象事業主・対象労働者・訓練要件を確認してください。

2026年度の最新支給要領で最終確認する

人材開発支援助成金は、年度ごとに制度内容や申請様式が変更されます。

また、年度途中に取扱いが変更されることもあります。

そのため、過去の記事や以前利用した際の条件だけで判断せず、2026年度の最新支給要領を基準にしてください。

自社の判定では、

  • 企業規模
  • 雇用保険
  • 対象労働者
  • 利用コース
  • 訓練内容

をそろえて確認すると、対象可否を判断しやすくなります。

まとめ|企業規模だけでなく雇用保険・労働者・コース要件を確認する

人材開発支援助成金は、中小企業だけでなく、大企業や個人事業主、医療法人・社会福祉法人なども対象候補になります。

ただし、対象企業かどうかは会社の規模や法人形態だけでは決まりません。

まず雇用保険適用事業所であることを確認し、次に中小企業・大企業の区分、対象となる労働者、利用するコースの条件を確認します。

また、対象事業主であっても、受講する従業員や訓練内容が要件を満たさなければ助成対象にはなりません。

会社・社員・研修の3段階すべてで条件を満たしているかを確認したうえで、2026年度の最新支給要領に沿って利用を検討してください。

この記事を書いた人

目次