人材開発支援助成金を利用するには、訓練を始める前の「計画届」と、訓練終了後の「支給申請」が必要です。
必要書類は一度にすべて提出するわけではありません。訓練前、訓練実施中、訓練終了後の3段階に分けて準備します。また、eラーニングやOJT、定額制訓練など、訓練方法によって追加書類も異なります。
2026年度は申請様式の変更も行われているため、過年度の書類を流用せず、計画届を提出した時期や利用するコースに対応した様式を確認して手続きを進める必要があります。
人材開発支援助成金の申請方法

人材開発支援助成金は、原則として「計画届の提出→訓練実施→支給申請→審査」という流れで申請します。
訓練が終わってから初めて申請する制度ではないため、研修開始前から準備を進めてください。
| 段階 | 主な手続き |
| 訓練前 | 計画届・対象労働者・訓練内容に関する書類を提出 |
| 訓練中 | 受講・賃金・OJT・支払いなどの記録を保存 |
| 訓練後 | 支給申請書・助成内訳・実施報告等を提出 |
| 支給申請後 | 支給要件の審査を受ける |
訓練前に職業訓練実施計画届を提出する
対象となる職業訓練を始める前に、職業訓練実施計画届などの必要書類を提出します。
2026年度の主要な訓練では、原則として訓練開始日の6か月前から1か月前までが計画届の提出期間です。
計画段階では、
- 誰に訓練を受けさせるのか
- どのような知識・技能を習得させるのか
- いつからいつまで実施するのか
- OFF-JTやOJTをどのように行うのか
- どのコースを利用するのか
などを整理します。
研修を開始してから計画届を作るのではなく、訓練日から逆算して準備してください。
計画届に沿って訓練を実施する
計画届を提出した後は、届け出た内容に沿って対象訓練を実施します。
この段階で大切なのは、支給申請に必要となる記録を残しておくことです。
たとえば、出席状況、受講時間、賃金の支払い、OJTの実施状況、研修費用の支払いなどです。
訓練終了後に「受講したはず」と説明するだけでは確認できないため、訓練期間中から証拠書類を整理しておきます。
また、訓練日程や対象者、内容などを変更するときは、変更内容に応じて手続きが必要になることがあります。
訓練終了後に支給申請を行う
訓練が終了したら、原則として終了日の翌日から2か月以内に支給申請を行います。
支給申請では、
- 実際に訓練を行ったこと
- 対象労働者が受講したこと
- 対象経費を支払ったこと
- 賃金を適切に支払ったこと
- 計画に沿って訓練を実施したこと
などを確認できる書類を提出します。
計画届を出していても、支給申請期限を過ぎれば助成金を受けられないため、訓練終了日と申請期限をセットで管理してください。
支給申請後に支給・不支給が審査される
助成金の支給可否は、支給申請後の審査によって決まります。
計画届を提出した段階で、支給が確定するわけではありません。
審査では、提出した計画と実際の訓練内容、対象労働者、訓練時間、経費、賃金支払いなどが確認されます。
そのため、計画届と支給申請書だけを正しく作ればよいのではなく、訓練実施中の記録まで整合していることが必要です。
人材開発支援助成金の必要書類一覧

必要書類は、計画届、訓練中の記録、支給申請の3段階に分けて考えると整理しやすくなります。
さらに、利用するコースや訓練方法によって専用書類が追加されます。
計画届では訓練計画・対象労働者に関する書類を提出する
訓練前には、訓練内容や対象者を確認するための書類を提出します。
代表的なものは、
- 職業訓練実施計画届
- 対象労働者一覧
- 訓練カリキュラム
- 研修内容や日程が分かる資料
- 訓練実施機関や講師に関する資料
- コースごとに指定された確認書類
などです。
ただし、すべての申請で同じ書類が必要になるわけではありません。
OJTを組み合わせる訓練や有期実習型訓練などでは、通常のOFF-JTとは別の書類を用意します。
訓練中は受講・賃金・支払いを確認できる記録を保存する
訓練実施中は、後の支給申請に必要な記録を保存します。
主に確認しておきたいのは、
- 出勤簿
- 賃金台帳
- 受講・出席記録
- 訓練時間
- OJT実施記録
- eラーニングの受講履歴
- 請求書
- 領収書
- 振込記録など支払いを確認できる資料
です。
特に出席やOJT、eラーニングの受講履歴などは、訓練終了後に正確に作り直すことが難しい資料です。
「支給申請の直前に全部集める」のではなく、訓練と同時に保存してください。
支給申請では支給申請書・助成内訳・実施報告を提出する
訓練終了後は、支給申請書を中心に、実際の助成額や訓練実績を確認する書類を提出します。
人材育成支援コースでは、代表的に、
- 支給要件確認申立書
- 支給申請書
- 賃金助成・OJT実施助成の内訳
- 経費助成の内訳
- OFF-JT実施状況報告書
- 支払方法・受取人に関する書類
などを使用します。
さらに、出勤簿や賃金台帳、受講料の支払いを確認できる書類などを添付して、申請内容を裏付けます。
利用するコース・訓練方法によって追加書類が異なる
人材開発支援助成金では、利用するコースや訓練形式によって必要書類が変わります。
代表的な違いは次のとおりです。
| 訓練・申請内容 | 追加で確認する主な書類 |
| eラーニング | eラーニング訓練実施結果報告書 |
| 通信制 | 通信制訓練実施結果報告書 |
| OJT | OJTの実施状況を確認する訓練日誌等 |
| 定額制訓練 | 定額制サービス用の対象者・実施結果等の書類 |
| 有期実習型訓練 | 専用カリキュラム・対象者関連書類 |
| 中高年齢者実習型訓練 | 専用カリキュラム等 |
| 賃上げ等の加算 | 賃金要件等を確認する資料 |
書類名だけを固定リストとして保存するのではなく、自社が利用するコースと訓練方法から必要書類を確認してください。
計画届を提出するときの必要書類

計画届では、訓練開始前に「どの労働者へ、どのような訓練を実施するのか」を示します。
2026年度の人材育成支援コースでは、職業訓練実施計画届を中心に、対象者や訓練内容に応じた書類を組み合わせます。
職業訓練実施計画届を作成する
人材育成支援コースでは、職業訓練実施計画届を作成して提出します。
計画届には、事業所や訓練に関する基本情報を記載します。
訓練内容が固まっていない段階でとりあえず提出するのではなく、
- 訓練開始日・終了日
- 対象労働者
- 訓練形式
- 訓練内容
- 利用する訓練メニュー
などを整理してから作成してください。
2026年度の人材育成支援コースでは、計画届に様式第1-1号が使用されます。
対象労働者一覧を作成する
助成対象として訓練を受ける労働者について、対象労働者一覧を作成します。
対象者は、単に「社員である」というだけでは足りません。
利用するコース・訓練メニューごとに、
- 雇用保険の加入状況
- 雇用形態
- 年齢
- 職歴
- 正社員転換の予定
などが要件になることがあります。
特に有期実習型訓練や中高年齢者実習型訓練では、通常の人材育成訓練とは対象者の条件が異なります。
対象者を決める段階で、訓練メニューの支給要件も確認してください。
訓練カリキュラム・受講内容が分かる資料を用意する
計画届とあわせて、訓練内容を確認できる資料を用意します。
外部研修なら、
- カリキュラム
- 講座案内
- 日程表
- 受講時間
- 受講料
- 訓練実施機関
などが分かる資料です。
人材開発支援助成金では、職務に関連する訓練であることや、所定の訓練時間を満たしていることなどが確認されます。
講座名だけでは内容が分からない場合は、どのような知識・技能を学ぶ研修なのかを確認できる資料を準備してください。
OJT・有期実習・中高年齢者実習では専用書類を確認する
OJTを含む実習型訓練では、通常のOFF-JTだけを実施する場合より必要書類が増えます。
有期実習型訓練では専用の訓練カリキュラム、中高年齢者実習型訓練でも専用の計画書類を確認します。
また、OJTの実施方法やOFF-JTとの組み合わせ、訓練期間、時間数なども制度上の要件に沿って設定する必要があります。
「OJTも実施予定」と計画届へ書くだけではなく、対象となる実習型訓練として必要な内容を明確にしてください。
認定実習併用職業訓練は事前の大臣認定を済ませる
認定実習併用職業訓練を利用する場合は、人材開発支援助成金の計画届とは別に、事前の認定手続きが必要です。
OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練なら自動的に認定実習併用職業訓練になるわけではありません。
訓練計画について所定の認定を受けたうえで、助成金の手続きを進めます。
新卒者等を長期間かけて実践的に育成する計画がある企業は、助成金の計画届だけでなく認定手続きの日程まで含めて準備してください。
訓練実施中に保存しておく書類・記録

支給申請で必要になる資料の多くは、訓練実施中から記録しておく必要があります。
特に訓練時間、賃金、出席、OJT、経費の支払いについては、後から内容を復元するのではなく、その都度記録してください。
出勤簿・賃金台帳で訓練時間と賃金を確認できるようにする
賃金助成を申請する場合は、訓練中の賃金支払いを確認できる資料が必要です。
代表的なのが、
- 出勤簿
- タイムカード
- 賃金台帳
などです。
訓練時間と勤務時間の関係を確認できるようにしておきます。
特に対面や同時双方向型のオンライン研修で賃金助成を申請する場合は、対象となる訓練時間を正確に把握してください。
受講記録・出席状況を保存する
対象労働者が実際に訓練を受講したことを示す資料を保存します。
対面研修なら出席簿や受講記録、オンライン研修なら接続記録などが考えられます。
eラーニングの場合は、LMS上の受講履歴や修了状況が支給申請時の確認資料になります。
単に研修費用を会社が支払っただけでは、対象労働者が訓練を受けたことの証明にはなりません。
OJTを実施する場合は訓練日誌を記録する
対象となる実習型訓練でOJTを行う場合は、OJTの実施状況を記録します。
訓練日誌などには、
- 実施日
- 実施内容
- 訓練時間
- 指導内容
など、実際に計画に沿ってOJTを行ったことを確認できる情報を残します。
通常業務とOJTを区別できない状態では、OJT実施助成の確認が難しくなります。
毎日の業務記録とは別に、制度上必要なOJT記録を管理してください。
受講料の請求・支払いを確認できる書類を保存する
経費助成を申請する場合は、対象経費を実際に事業主が負担したことを確認できる資料が必要です。
代表的には、
- 請求書
- 領収書
- 振込明細
- 契約書
- 料金内訳
などです。
領収書だけでは「何の費用を支払ったのか」が確認しにくいこともあります。
講座名や受講者、対象経費の内容まで確認できる資料とセットで保存してください。
計画を変更した場合は変更届の要否を確認する
計画届提出後に訓練内容を変更した場合は、変更手続きが必要か確認します。
たとえば、
- 訓練開始日・終了日の変更
- 対象労働者の変更
- 訓練内容の変更
- 実施方法の変更
- 実施機関の変更
などです。
変更したにもかかわらず計画届の内容をそのままにしておくと、支給申請時に計画と実績が一致しません。
変更が決まった時点で必要な手続きを確認してください。
支給申請するときの必要書類

支給申請では、訓練を計画どおり実施し、支給要件を満たしていることを複数の書類で確認します。
2026年度も、利用するコースや訓練方法によって正式様式が異なります。
支給申請書と支給要件確認申立書を提出する
支給申請では、まず支給申請書と支給要件確認に関する書類を提出します。
人材育成支援コースでは、2026年度の支給申請書として様式第4-1号が使用されます。
このほか、支給要件確認申立書や振込先に関する書類など、共通して確認する資料があります。
支給申請書だけを提出して完了するわけではないため、利用コースの必要書類一覧を確認してください。
経費助成・賃金助成・OJT実施助成の内訳を提出する
申請する助成内容に応じて、助成額の内訳を提出します。
人材育成支援コースでは、
- 賃金助成
- OJT実施助成
- 経費助成
それぞれについて所定の様式を使用します。
2026年度では、賃金助成・OJT実施助成の内訳に様式第5号、経費助成の内訳には様式第6号系の書類があります。
どの助成を申請するかによって必要な内訳書が変わるため、経費助成だけを利用する場合とOJTまで申請する場合を分けて確認してください。
OFF-JT実施状況報告書などで訓練実績を報告する
訓練終了後は、実際に行ったOFF-JTの内容を報告します。
人材育成支援コースでは、OFF-JT実施状況報告書などの所定様式を使って訓練実績を整理します。
支給申請時には、
- いつ実施したか
- 誰が受講したか
- 何時間受講したか
- どのような訓練だったか
を計画届や受講記録と照合できるようにしてください。
日程や時間数が書類ごとに違っていると確認に時間がかかるため、訓練終了時点で内容を整理しておくとスムーズです。
eラーニング・通信制・定額制では専用の実施結果報告書を提出する
訓練形式によっては、通常のOFF-JT実施報告とは別の専用様式があります。
たとえば、eラーニングでは「eラーニング訓練実施結果報告書」、通信制では専用の実施結果報告書を使用します。
定額制訓練でも、対象労働者や実際に受講した訓練を確認するための専用書類があります。
そのため、
オンライン研修だから通常の出席簿だけ提出すればよい
とは限りません。
実施方法を決めた段階で、支給申請に必要になる専用様式まで確認しておくのが安全です。
2026年は受講料等の価格設定に関する疎明書を確認する
2026年度は、支給申請時の必要書類について年度途中にも変更が行われています。
2026年5月14日以降は、人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースの対象となる申請について、「受講料等の価格設定に関する疎明書」の確認が必要となっています。
外部研修機関へ受講料を支払う企業は、支給申請の直前になって書類不足に気付かないよう、研修開始前から必要資料を確認しておきましょう。
年度途中の変更があるため、過去に同じ助成金を利用した企業も以前の申請書類だけを基準にしないでください。
人材開発支援助成金を電子申請する方法

人材開発支援助成金は、雇用関係助成金ポータルから電子申請できます。
紙申請と電子申請では一部の入力方法が異なるため、電子申請を利用する場合は最初に申請画面を確認してください。
雇用関係助成金ポータルから電子申請できる
2026年度も、雇用関係助成金ポータルを利用してオンラインで手続きを進められます。
計画届や支給申請を電子化することで、窓口へ書類を持参する手間を減らせます。
ただし、電子申請でも必要な添付書類がなくなるわけではありません。
対象労働者や訓練内容、経費、受講実績などを確認する資料は別途用意してください。
電子申請では画面に直接入力する項目がある
電子申請では、紙様式をすべて作成して添付するとは限りません。
一部の情報は、雇用関係助成金ポータルの申請画面へ直接入力します。
そのため、紙申請用の様式だけを先に作り込むのではなく、電子申請を利用する場合は実際の入力項目を確認してから準備する方が効率的です。
一方、訓練カリキュラムや対象者に関する添付資料などは、別途アップロードが必要になるものがあります。
添付書類は利用するコースの最新様式を使用する
電子申請でも、利用するコースに対応した様式を使用します。
人材育成支援コースと人への投資促進コースでは、同じ人材開発支援助成金でも使用する申請書が異なります。
また、eラーニングや定額制など訓練方法によって専用書類も追加されます。
他コースの様式を流用せず、申請するコースと訓練区分を確認してからファイルを準備してください。
計画届を提出した時期に対応する申請書類を確認する
2026年度は年度途中に申請様式や取扱いが変更されているため、計画届を提出した時期も確認してください。
公式の申請書類案内は、計画届の提出時期に応じて分かれているものがあります。
そのため、
現在掲載されている最も新しい様式なら必ず使える
とは限りません。
自社が計画届を提出した日と、支給申請時に適用される書類を照らし合わせて確認する必要があります。
必要書類の不備を防ぐための確認事項
書類不備を防ぐには、文章をうまく書くことよりも「計画・実績・証拠書類を一致させること」が大切です。
支給申請直前だけでなく、訓練開始前から一貫して記録を管理してください。
計画届と実際の訓練日程・内容を一致させる
計画届に記載した内容と、実際に実施した訓練内容を一致させます。
たとえば、
- 訓練開始日
- 訓練終了日
- 実施時間
- 受講者
- 訓練内容
- 実施方法
などです。
変更が必要になった場合は、そのまま訓練を進めるのではなく、変更手続きの要否を確認します。
支給申請時になって大きな相違が判明すると、助成対象の確認に影響します。
対象労働者名・訓練時間・費用を各書類で一致させる
必要書類の間で、同じ情報が一致しているか確認してください。
特に、
- 対象労働者一覧
- 出勤簿
- 受講記録
- 賃金台帳
- 助成内訳
- 請求書
などに記載された氏名や日付、時間、金額を確認します。
研修会社側の受講者名が旧姓、社内書類が新姓など、同一人物か分かりにくい状態も避けた方が安全です。
書類ごとの数字や表記を申請前に照合してください。
領収書だけでなく費用の内容を確認できる証憑を保存する
経費助成では、単に「○万円を支払った」という事実だけでなく、その費用が対象となる訓練経費なのかを確認できる資料が必要です。
そのため、領収書だけでなく、
- 請求書
- 契約書
- 受講料明細
- 講座案内
- 振込記録
などもあわせて保存します。
複数講座をまとめて支払っている場合は、どの費用が対象労働者の訓練に対応しているのか分かるように整理してください。
2026年度途中の様式改正を支給申請前に確認する
2026年度は、年度途中にも申請書類が改正されています。
たとえば2026年5月14日には受講料等の価格設定に関する書類が追加され、8月3日にはeラーニング関連様式の改正も行われています。
そのため、訓練開始時にダウンロードした書類だけを使って支給申請まで進めないようにしてください。
少なくとも、
- 計画届提出前
- 訓練内容を変更するとき
- 支給申請前
の各段階で、適用される最新の案内を確認します。
まとめ|計画届・訓練記録・支給申請書類を段階ごとに準備する

人材開発支援助成金の申請は、訓練前の計画届、訓練実施、訓練後の支給申請という順序で進めます。
必要書類もこの3段階に分けて準備すると整理しやすくなります。
訓練前には計画届や対象労働者、カリキュラムなどを用意し、訓練中は出席・受講・賃金・OJT・経費の支払いを確認できる記録を保存します。
訓練終了後は、支給申請書や助成額の内訳、実施状況報告書などを提出します。eラーニング、通信制、OJT、定額制訓練などでは専用書類も確認してください。
2026年度は年度途中にも様式の変更が行われています。
過年度の申請書や、以前ダウンロードした様式をそのまま使わず、自社が利用するコース、訓練方法、計画届の提出時期に対応する書類を確認したうえで申請を進めましょう。
