MENU

キャリアアップ助成金は誰がもらえる?対象者と条件をわかりやすく解説!

「非正規社員を正社員にしたいけど、コストが不安で踏み出せない…」

「うちのような小規模事業者でも助成金は使えるのだろうか?」

そう考えている経営者や人事担当者にとって、キャリアアップ助成金は非常に心強い支援制度です。

この助成金は、有期契約社員・パート・アルバイトなどの非正規雇用労働者の処遇改善や正社員化に取り組む企業を対象に、国が支援金を支給する制度です。

特に人材の定着や育成が経営課題となっている中小企業にとって、活用するメリットは大きく、1人あたり最大72万円(条件により加算あり)が支給される「正社員化コース」は、多くの企業で導入が進んでいます。

とはいえ、「誰がもらえるのか」「自社は対象になるのか」「申請のハードルが高いのでは?」といった疑問や不安も多く、活用に踏み切れない事業者が少なくありません。

本記事では、以下のような疑問を持つ読者に向けて、キャリアアップ助成金の仕組みから対象者の条件、申請の手順、代表的な支給コース、さらには活用の成功事例や今後の制度変更の動きまで、2025年最新版の情報を網羅的に、わかりやすく解説していきます。

目次

キャリアアップ助成金とは

「キャリアアップ助成金ってよく聞くけれど、具体的にどんな制度なのかはよくわからない…」

そんな方のために、ここでは制度の目的や種類、導入によるメリットなどをざっくり把握できるよう簡潔にまとめました。

詳細な仕組みやコースごとの違いについて知りたい方は、各リンク先の記事もぜひあわせてご確認ください。

制度の目的と背景

キャリアアップ助成金は、有期契約・パート・派遣社員などの非正規雇用労働者の処遇改善や正社員化を支援する国の制度です。

少子高齢化・労働人口の減少に対応するため、安定した雇用の創出人材定着の促進を目的に設けられています。

助成金の種類と区分

キャリアアップ助成金は、複数のコースに分かれており、主なものとして以下のような区分があります。

・正社員化コース(非正規→正規転換を支援)
・賃金規定等改定コース(ベースアップ対応)
・賞与・退職金制度導入コース
・障害者正社員化コース
・社会保険適用時処遇改善コース など

それぞれ対象となる取り組み内容や支給額が異なります。
詳しくは下記のコース解説記事で整理しています。

制度の導入による企業のメリット

企業にとっては、以下のような具体的な経営上のメリットがあります。

・人材の定着率が上がる
・雇用管理や就業規則の整備が進む
・人件費の一部を補助金でカバーできる
・「働きやすい会社」として採用力も向上

特に中小企業にとっては即効性のある経営支援になることが多く、「使わない手はない」とも言える制度です。

全国的な利用状況と成功事例

厚生労働省の発表によれば、2023年度だけでも全国で数万件の申請実績があり、飲食業・介護業・物流業などを中心に幅広い業種で活用が進んでいます。

一例として、「人材の入れ替わりが激しい業界で、助成金を活用しながら正社員比率を高め、定着率が向上した」といった事例も多数報告されています。

キャリアアップ助成金は、制度の全体像を知ることで「自社でどう活用できるか」が見えてくる制度です。
さらに詳しい制度概要を知りたい方は以下の記事も参考にどうぞ。

関連記事
キャリアアップ助成金とは?申請条件・支給額・活用方法までまるごと解説
キャリアアップ助成金の全コースを徹底解説!自社に最適な選び方とは?

キャリアアップ助成金は誰がもらえる?

キャリアアップ助成金に興味はあっても、「どんな企業が対象なのか?」「どんな従業員なら助成対象になるのか?」がわかりづらいと感じる方は多いのではないでしょうか。

このセクションでは、制度全体で共通する「企業側の条件」と「従業員側の条件」を整理しつつ、助成対象外になりやすいケースについても具体的に紹介します。

「うちの会社は対象かどうか」が明確になるよう、できるだけシンプルに解説していきます。

キャリアアップ助成金の支給対象者とは?

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の処遇改善や正社員転換などに取り組む企業が対象となる制度です。

したがって、助成金を「もらえる人」は以下のように分けて考える必要があります。

・助成金を受け取るのは“企業側”(従業員が直接受け取る制度ではない)
・その対象となる“取り組み対象の従業員”が必要
・企業側と従業員側、両方の条件を満たして初めて支給される

つまり、企業が要件を満たしていない場合や、対象従業員が基準に該当していない場合は支給対象外となります。

企業が満たすべき要件(全コース共通)

キャリアアップ助成金は、中小企業・小規模事業者を含む多くの業種で活用できますが、以下の基本的な要件を満たしている必要があります。

・労働関係法令を遵守していること(労基法、雇用保険法など)
・雇用保険適用事業所であること
・助成対象の労働者に関する雇用管理が適切であること
・事前にキャリアアップ計画書を提出していること
・同一の助成金を重複して申請していないこと

また、企業の規模により支給額に差が出る場合もあります(中小企業の方が高額になる傾向)。

※中小企業の定義は業種別に資本金・従業員数の基準で分かれます。

従業員が満たすべき条件とは?

助成対象となるのは、企業に雇用されている以下のような非正規雇用労働者です。

・有期契約労働者(契約社員・アルバイトなど)
・パートタイム労働者
・派遣労働者(受入先での直接雇用に切り替える場合)

また、コースごとにより細かい要件が設定されています。たとえば正社員化コースでは以下のような条件があります。

・6か月以上継続して雇用していること
・就業規則に正社員転換制度が明記されていること
・転換後、同じ事業所で正社員として6か月勤務し、賃金が支払われていること

要するに、「雇った直後に正社員化して申請」では対象外となる場合があり、一定期間の雇用実績や手続きの順序を守ることが重要です。

対象外となるケースと例外事項

制度の要件を満たしていても、以下のようなケースでは助成金の支給が認められないため注意が必要です。

・賃金の引き上げ幅が3%以上でない場合(正社員化後)
・就業規則に正社員転換規定が記載されていない
・転換された従業員が、事業主の3親等以内の親族
・雇用形態の変更が名目上だけで、実態が伴っていない
・制度開始前に手続きをしてしまった(キャリアアップ計画書未提出)
・過去に助成金を不正受給している、または行政処分歴がある

また、アルバイトであっても学生アルバイトなど一部の雇用形態は対象外となることもあるため、事前にハローワークや社労士に相談するのが確実です。

企業と従業員の“両方の条件”を満たすことがカギ

キャリアアップ助成金を「誰がもらえるか」という問いに対しては、企業側と従業員側がそれぞれの要件を満たしていることが絶対条件です。
特に、中小企業にとっては要件を一つずつ丁寧に確認しながら進めることで、確実な受給に繋がるでしょう。

申請手順と相談先をまとめて確認

キャリアアップ助成金を申請するにあたっては、事前準備から申請手続き、相談窓口の活用まで、一連の流れを正しく理解しておくことが重要です

特に書類の不備や手続きミスは、審査遅延や不支給の原因にもなりかねません。

ここでは、申請をスムーズに進めるために押さえておきたい基本ステップと相談先の活用法について、簡潔に整理してご紹介します。

必要書類の準備と取得方法

申請にあたって必要となる代表的な書類は以下のとおりです。

キャリアアップ計画書
雇用契約書
賃金台帳
出勤簿
労働条件通知書
就業規則(または労働協約)
労働者名簿
各種変更届・届出書類(制度導入に応じて)

これらの書類は、会社の労務管理体制を正確に反映していることが求められます

キャリアアップ計画書などは、厚生労働省が公開している様式を使い、提出前に最新の様式か確認しておきましょう。

就業規則や賃金台帳は、対象労働者の処遇改善が適切に反映されているかが審査ポイントとなるため、事前の見直しも重要です

オンライン申請の流れと活用時の注意点

キャリアアップ助成金は、電子申請(e-Gov)を利用することで郵送の手間を省き、進捗確認もしやすくなります
基本的な流れは以下の通りです。

1.事業者登録(e-Govアカウント作成)
2.申請様式のダウンロード・記入
3.必要添付書類のPDF化
4.電子申請フォームへの入力
5.提出・控え保存

電子申請では書式の不備やファイルの形式ミスが多いため、「事前確認リスト」でのチェックが有効です

また、提出後の差し戻しにも素早く対応できる体制を整えておきましょう。

相談窓口の種類と選び方

申請に不安がある場合や制度の詳細を知りたいときは、以下の相談先を活用しましょう。

・都道府県労働局・ハローワーク – 最新情報や制度変更に対応した案内を受けられます。
・社会保険労務士(社労士) – 実務レベルでのサポートが得られ、書類作成や労務整備も依頼可能です。
・商工会議所や業界団体 – 業種に応じた支援事例を紹介してもらえる場合があります。

無料で相談できる自治体窓口と、報酬が発生する社労士の使い分けが重要です

規模や自社の準備状況に応じて、適切な支援先を選びましょう。

よくある質問と申請後の対応

申請後に多い質問やトラブルには、次のようなものがあります。

書類の差し戻し理由がわからない
不支給の通知が届いたが、改善方法は?
支給までの期間はどのくらいか?
途中で制度内容が変わったらどう対応するか?

これらは各労働局がQ&A形式で公開していることが多く、公式サイトを定期的に確認することが大切です

また、審査結果に納得できない場合は、再申請や制度相談の余地があるため、慌てず相談先に問い合わせましょう

申請は準備と相談先の活用がカギ

キャリアアップ助成金の申請は、しっかりとした書類準備と正しい手続きフローの理解が鍵となります。
また、労働局や社労士といった相談先を有効に活用することで、よりスムーズな申請が可能です
はじめて申請を検討する企業にとっても、この記事を参考に全体像をつかんでおけば、制度を上手に活かせるはずです。
困ったときは、迷わず専門窓口に相談しましょう。

キャリアアップ助成金の主なコースと条件一覧

キャリアアップ助成金には、目的に応じていくつかのコースがあります。

詳しい内容は別記事で解説しています。

正社員化コース
パートや契約社員を正社員にすると、助成金がもらえる基本のコース。
障害者正社員化コース
障害のある方を正社員にしたときにもらえる支援。
賃金規定等改定コース
時給や月給をアップして、賃金規定を変えたときに使えるコース。
賃金規定等共通化コース
正社員と非正規のルールを同じにしたらもらえる助成金。
賞与・退職金制度導入コース
ボーナスや退職金の制度を新しくつくったときに使える。
社会保険適用時処遇改善コース
社会保険に入るときに、手当や賃金を整えると支給対象に。
短時間労働者労働時間延長コース
パートなどの勤務時間を増やしたときに使えるコース。

目的に合ったコースを選べば、制度の効果は大きくなる

キャリアアップ助成金は、対象従業員の雇用形態や企業の施策内容に応じて使い分けることが重要です。
各コースはそれぞれ申請要件が異なるため、誤解のないように確認しておく必要があります。

関連記事:キャリアアップ助成金の全コースを徹底解説!自社に最適な選び方とは?

キャリアアップ計画書の作成ポイント

キャリアアップ助成金を活用するには、事前に「キャリアアップ計画書」を作成し、労働局に提出する必要があります。

この計画書は制度利用の土台となる書類で、どのような従業員を対象に、どんな取り組みをするのかを明確に示すものです。

ここでは、キャリアアップ計画書を作成する際に押さえておきたい基本ポイントを紹介します。

難しく見えても、様式に沿って考えれば大丈夫です。

ガイドラインに沿った作成と社内整備

計画書の内容は、厚生労働省が示す「キャリアアップに関するガイドライン」に沿って作成する必要があります。

このガイドラインでは、たとえば以下のような取り組みが推奨されています。

正社員への転換制度の整備
賃金アップのルール明記
教育訓練や研修制度の導入

単に助成金を得るためではなく、従業員の定着や育成を見据えた仕組みづくりを行うことが大切です。

キャリアアップ計画様式の使用方法

計画書は、労働局または厚労省サイトで配布されている所定の様式(様式第1号)を使用します。

この様式には、以下のような項目を記入します。

対象者の雇用形態・人数
取り組む内容(正社員転換・賃金改定など)
実施予定時期と方法
実施後の評価・振り返り方法

記載例もあわせて公開されているため、初めての企業でも比較的スムーズに作成可能です。

分からない場合は、社労士や労働局に確認しながら進めると安心です。

対象労働者の明確化と範囲の定義

計画書には、誰を対象にキャリアアップを行うのかを明記する必要があります。

たとえば「2025年6月時点で雇用中の有期契約労働者のうち、週30時間以上勤務の2名」など、具体的な範囲設定が求められます。

対象者を曖昧にしたり、計画外の人を途中で含めたりすると、支給対象外になることもあるため注意が必要です。

賃金アップや教育訓練の具体策

計画書には、「何をもってキャリアアップとするか」を数値や内容で示す必要があります。

例としては以下のような内容が挙げられます。

時給1,000円 → 1,100円に引き上げ(10%アップ)
月1回の業務研修を3か月実施
OJTリーダーによるフォロー体制の整備

「やる予定です」だけではなく、できるだけ具体的な数値や実施方法を記載しましょう。

助成金は“実績に基づいて”支給されるため、計画と実行内容が一致していることが重要です。

計画期間は3~5年が目安

キャリアアップ計画の有効期間は、原則として3年以上5年以内です。

この期間内に、複数の取り組みを段階的に実施することも可能です。

例えば、1年目は正社員化、2年目に賃金改定、3年目に賞与制度導入というように、中長期的な視点で計画を立てると制度との相性が良くなります。

難しく考えず、まずは計画書の様式を開いてみよう

キャリアアップ計画書の作成は、「ルールに沿って、自社の取り組みを具体的に言語化する作業」です。
完璧に書こうとせず、まずは書いてみることが第一歩。
労働局の記載例や専門家のサポートを活用すれば、初めてでも十分に対応できます。

よくある失敗例と申請時の注意点

キャリアアップ助成金の申請は、制度を正しく理解し、確実に手続きを行うことが成功のカギとなります。

しかし現場では、「知らなかった」「うっかり忘れた」といった理由で支給されなかったケースも少なくありません

ここでは、申請時によくある失敗例を紹介しながら、未然に防ぐための注意点を整理します。

書類不備や申請ミスの代表例

1. キャリアアップ計画書を提出せずに実施してしまう
助成対象の取り組み(例:正社員転換)を行う前に「キャリアアップ計画書」を提出しなければ、助成金の対象外になります。
事前提出が原則であり、事後報告では受理されません
2. 対象者の雇用契約が助成条件と一致していない
対象となる従業員が「雇用期間6か月以上経過」していない、「契約書に明確な労働条件がない」などの理由で、対象外と判断されるケースもあります
3. 実施後の報告・添付書類が不足している
取り組み完了後に提出する支給申請書類の不備もよくあるミスです。
タイムカードや賃金台帳の添付漏れ、内容の不一致などにより、審査で否認される可能性が高くなります
4. 提出期限を過ぎてしまう
支給申請は実施後の一定期間内(2か月以内など)に行う必要があり、提出が1日でも遅れると不支給になることもあります。
5. 制度改正に気づかず旧ルールで申請してしまう
制度は毎年のように見直しがあるため、最新の要項や記載様式を確認する習慣が重要です。
特に年度末・新年度にかけては変更が多く、前回と同じ感覚で進めて失敗する例が後を絶ちません

事前確認とダブルチェックが成功の近道

キャリアアップ助成金の失敗は、確認不足やスケジュール管理の甘さから生まれるものが大半です。
制度の最新情報をこまめにチェックし、提出前には必ず複数人でのチェック体制をとることが成功のポイントです。

キャリアアップ助成金を活用した成功事例

キャリアアップ助成金は、正しく活用すれば人材の定着率向上や生産性アップに直結します。

実際にこの制度を上手に取り入れ、企業運営にプラスの影響を与えた事例も数多く報告されています。

ここでは、小規模企業から中堅企業までの具体事例とともに、業種ごとの工夫や活用のコツを紹介します。

▽小規模企業の活用事例(飲食・小売)

飲食店(従業員数10名)での正社員化コースの活用
アルバイトから正社員へ3名を転換し、合計171万円の助成を受給
事前に研修制度を整備し、マネジメント層を育てることで、店舗運営の安定とスタッフ定着率の改善につながりました。

小売店(地方チェーン)での処遇改善支援
非正規従業員の時給を引き上げ、賃金規定改定コースを活用して年間40万円超の助成を受給。
地域間格差を是正し、他店との差別化にも成功しています。

▽中堅企業での制度活用と成長事例

製造業(従業員80名)での制度的転換
業務リーダー候補を対象に正社員化・処遇改善・教育訓練の3本柱を計画的に実施。
2年間で延べ12名のキャリアアップを達成し、総額700万円以上の助成を受給。

結果として、リーダー層の離職率がゼロに。組織の若返りにもつながったと報告されています。

▽各業種ごとの活用アイデア(物流・建設など)

物流業界では、短時間労働者への労働時間延長と正社員転換の組み合わせが有効です。
たとえばドライバーの勤務時間を延ばし、社会保険適用+正社員化コースを連携させる方法が現場ではよく使われます。

建設業界では、賞与制度の導入や職長教育の実施を通じて助成対象とするケースもあります。
安全管理や職能教育を兼ねた取り組みが、評価されやすい傾向にあります。

▽スキルアップを実現した現場の声

「普段は研修の機会がなかったが、制度を使ってeラーニングを導入できた」
「助成金を活用して社員全員の時給を50円アップ。モチベーションが明らかに変わった」
「計画的な教育訓練ができるようになり、ベテラン層の指導力が定着化した」

こうした声は、単なるコスト回収以上の成果を意味しています。

小さな工夫が制度活用の成功を導く

キャリアアップ助成金は、企業の規模や業種に関係なく活用可能です。
小さな一歩(契約の明文化や研修の導入)でも、きちんと仕組みに落とし込めば助成対象になるという点が制度の魅力です。

制度を知ることが第一歩。自社に合ったコース選びと計画的な活用が、人材力の底上げに直結します。

将来的な制度変更と備えるべき対策

キャリアアップ助成金は、労働市場の変化や政策動向によって制度内容が変更される可能性がある助成制度です。

過去にも対象範囲や支給条件、申請方法などが見直されており、今後もその流れは続くと予想されます。

中長期的に制度を活用したい企業にとっては、常に最新情報をキャッチしながら、代替制度の検討や柔軟な人材戦略の設計を行うことが重要です。

ここでは、将来的な変更の可能性や併用制度、国際比較の視点から備えるべき対策を整理します。

制度変更の可能性と最新動向

キャリアアップ助成金は、毎年の予算編成や政府の雇用政策の見直しに応じて条件や枠組みが改定されることがあります

たとえば、近年では以下のような変化がありました。

・支給要件の厳格化(例:正社員転換後の継続雇用要件が追加)
・申請書類の様式変更
・賃金アップ要件の導入や強化
・対象となる非正規労働者の定義の見直し

このような変更は、厚生労働省の通達や労働局の発表を通じて段階的に実施されることが多く、企業は早期に情報を把握し、就業規則や労働契約内容の見直しに備える必要があります

また、助成額や対象コースの削減・統合も今後の改定候補に挙げられており、1~2年単位での制度依存はリスクを伴う点も留意すべきです。

他制度との併用・切替の検討ポイント

将来の制度変更に備える上では、他の助成制度や支援制度との併用・切替可能性の確認がカギとなります

併用が可能な代表的な制度には以下のようなものがあります。

・人材開発支援助成金(旧:職業訓練助成金)
・トライアル雇用助成金
・業種別の独自支援金(例:建設キャリアアップシステム支援等)
・地域単位での雇用促進助成金(都道府県レベル)

たとえば、正社員転換支援はキャリアアップ助成金で対応し、教育訓練部分は人材開発支援助成金を使うといった柔軟な併用が可能なケースもあります。

注意点としては、同一の取組内容に対して重複して助成を受けることはできない点です。

そのため、制度ごとの対象期間・経費・効果を正確に把握し、戦略的に活用を検討することが求められます

海外のキャリアアップ支援制度との比較

将来的な制度改正を予測する上では、海外のキャリア支援制度との比較も有益です

とくに労働市場改革が進んでいる欧州諸国では、民間企業と教育機関の連携や、生涯教育の支援が制度化されています。

・ドイツ – 職業教育訓練制度(デュアルシステム)により、企業と職業学校の連携が強く、助成金支援も定常化
・フランス – 個人別のキャリア開発プラン(CPF)制度で、自己主導型の学習支援が可能
・シンガポール – 中小企業向けにICT化や人材育成を目的とした「SkillsFuture」制度を展開

これらの制度と比較すると、日本のキャリアアップ助成金は企業主導での支援色が強く、雇用主側の取組に対する報酬的意味合いが中心です

今後、より「個人の自律的キャリア形成」を重視した方向へ制度が変わっていく可能性もあり、企業は柔軟な教育制度の整備や、社員主導の成長支援の導入も視野に入れておくべきでしょう。

将来を見据えた柔軟な制度活用を

キャリアアップ助成金は、現行制度の魅力的な支援策である一方、将来的な制度変更の可能性を常に視野に入れておく必要があります
単一制度に依存するのではなく、他制度との併用や切替、社内制度の整備などを通じて、自社に合った持続的な人材戦略を構築することが重要です
さらに、海外の先進事例を参考にしながら、企業と従業員がともに成長できる仕組みを整えることで、制度変更にも柔軟に対応できる土台が築かれます

制度の改正に慌てないためにも、今のうちから情報収集と準備を進めておきましょう。

キャリアアップ助成金は多くの企業にチャンスあり|まずは対象かどうかを確認しよう

キャリアアップ助成金は、非正規雇用者の正社員化やスキル向上を支援する制度として、多くの企業にとって活用価値の高い支援策です。

支給対象者や企業側の要件は明確に定められており、準備と理解さえあれば申請は決して難しいものではありません

また、業種・規模を問わず活用できる柔軟な制度設計となっており、中小企業や個人事業主でも十分にチャンスがあります

「うちには関係なさそう」と思っていた企業こそ、実は要件を満たしている可能性もあるのです。

本記事で紹介した内容をもとに、まずは自社が対象になりうるかをチェックし、必要書類の整備やキャリアアップ計画書の準備を進めてみてください

不明点があれば、最寄りのハローワークや労働局、社労士事務所などに相談することで、制度活用の第一歩が踏み出せます。

助成金をうまく活用することで、人材の定着や育成、企業成長の加速にもつながるチャンスとなるでしょう。迷っているなら、今こそ一歩踏み出すタイミングです。

この記事を書いた人

目次