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トライアル雇用助成金で人材確保!対象となる企業と労働者の条件とは?

人材確保に悩む企業や個人事業主にとって、採用コストの負担や「採用しても定着しないかもしれない」というリスクは大きな課題です。

そんな時に役立つ制度が「トライアル雇用助成金」です。

これは、一定の条件を満たした求職者を試行的に雇用し、その後に常用雇用へとつなげる取り組みを支援する助成金制度です。

「どんな企業が対象なのか?」

「どんな人材を採用すれば対象になるのか?」

「申請手続きや注意点は?」

こうした疑問を解消することで、自社でも利用できるのかを判断でき、前向きに準備を進められるようになります。

本記事では、トライアル雇用助成金の仕組みや対象条件、申請の流れ、実務で押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

条件を正しく理解し、制度を上手に活用すれば、採用リスクを減らしながら人材確保と定着を実現できます。

目次

トライアル雇用助成金とは?基本の仕組みを理解しよう

人材を採用する際、「この人が本当に定着してくれるのか」と不安を感じたことはありませんか?

特に未経験者や離職歴のある人材を雇用する場合、いきなり正社員として採用するのはリスクが伴います。

そんな採用リスクを和らげるために用意されているのが「トライアル雇用助成金」です。

制度の目的や仕組みを理解することで、自社でも使えるのかどうかの判断材料になります。

▼助成金の基本的な仕組みと目的

トライアル雇用助成金は、就職が難しい求職者を試行的に雇用する事業主を支援する制度です。

ハローワークなどの紹介を通じて求職者を最大3か月間試行雇用し、その後に常用雇用へ移行した場合に助成金が支給されます。

目的は大きく2つです。

・企業側のメリット – 採用リスクを抑えながら人材を見極められる
・求職者側のメリット – 実際に働きながらスキルを習得し、就職に繋げられる

つまり、事業主と求職者双方にとって「安心して雇用を進められる仕組み」として機能しているのです。

▼支給される金額の概要

一般的な支給額は、1人あたり月額4万円(最長3か月間)です。

さらに、母子家庭の母や障害者など特定の条件を満たす求職者を雇用した場合は、月額5万円に加算されるケースもあります。

小規模事業主にとっても利用しやすい制度設計となっています。

トライアル雇用助成金を理解して採用リスクを減らそう

トライアル雇用助成金は、採用の「お試し期間」を国がサポートしてくれる仕組みです。
条件を満たせば個人事業主でも申請可能で、採用コストを抑えながら人材を確保できる点が魅力です。

制度の存在を知っているかどうかで、採用戦略の幅は大きく変わります。
まずは基本を押さえ、「自社でも使えるかもしれない」と前向きに考えることが第一歩です。

誰が対象?申請できる条件を整理

トライアル雇用助成金を利用するには、「企業側」と「労働者側」の両方に明確な条件があります。

制度を知らずに進めると「せっかく雇ったのに助成金の対象外だった」というケースも少なくありません。

ここでは、申請に必要な基本条件を整理して紹介します。

ハローワーク等の紹介による採用

トライアル雇用助成金の最大の前提条件は、ハローワークや職業紹介事業者を通じて採用された求職者であることです。

自主的な応募や知人紹介による採用は対象外となるため注意が必要です。

求人を出す際に「トライアル雇用希望」と明記し、ハローワークを経由する流れを取ることが必須です。

事前に雇用を約束していないこと

制度の趣旨は「試行雇用」です。

そのため、最初から正社員としての採用が決まっている人材は対象外です。

あくまで「試してから常用雇用に移行する可能性がある」という前提で雇用する必要があります。

形式的にトライアル期間を設けているだけでは認められず、助成金の不支給につながることもあるため要注意です。

親族雇用の禁止や過去のトライアル未使用など事業主の要件(代表的なもの)

事業主側にもいくつかの要件があります。代表的なものは次の通りです。

・親族を雇用する場合は対象外
生計を同一にする親族を雇っても助成金の対象にはなりません。
・過去に同じ人材をトライアル雇用していないこと
すでに同制度を利用した労働者を再度トライアル雇用することはできません。
・労務管理の遵守
労働基準法違反や社会保険未加入などがあると不支給のリスクがあります。

これらは厚生労働省が定める基本的なルールであり、助成金の信頼性を保つために設けられています。

条件を整理して申請準備を始めよう

トライアル雇用助成金を利用するには、ハローワーク経由での採用、事前の雇用契約をしていないこと、親族雇用や過去の利用歴がないことなどが重要な条件となります。

条件を一つでも満たしていなければ不支給となるため、制度の仕組みを正しく理解して進めることが不可欠です。
逆に言えば、これらをクリアすれば助成金を受給できる可能性は高まります。
まずは自社の採用フローを見直し、「条件を満たす採用なら挑戦してみよう」という前向きな一歩を踏み出しましょう。

対象となる労働者の条件|どんな人が対象?

トライアル雇用助成金を活用するためには、企業側だけでなく採用される労働者にも一定の条件があります。

この条件を理解していないと「採用はできたのに助成金が出なかった」という結果にもつながりかねません。

ここでは、対象となる労働者の具体的な基準を整理して紹介します。

離職・転職歴、高年齢・若年層などの条件

助成金の対象となるのは、就職が難しいとされる層の求職者です。

代表的な条件には以下のようなものがあります。

・安定した職に就いていない離職者や転職を繰り返している人
・高年齢者(おおむね45歳以上)
・若年層(35歳未満)で安定した雇用経験が乏しい人

このような人材は企業側も採用リスクを感じやすく、そのギャップを埋めるために制度が設計されています。

特定の配慮対象者(母子家庭・ホームレス等)

さらに、特定の配慮を必要とする求職者も対象に含まれます。

例えば、

母子家庭の母や父子家庭の父
ホームレス経験者や生活困窮者
障害者や刑務所出所者など社会的な不利を抱える人

これらの対象者を雇用した場合は、助成額が増額されることもあり、企業側の支援インセンティブが強化されています。

企業側の認定事業主であれば35歳未満で支給額アップ

特に若年層(35歳未満)を対象とした採用では、企業が「若者雇用促進法」に基づく認定事業主である場合に助成額が上乗せされる仕組みがあります。

具体的には、通常月額4万円の助成額が5万円に引き上げられるケースもあります。

若手人材を安定雇用につなげるために、事業主にも積極的なインセンティブが用意されています。

対象となる労働者像を正しく理解しておこう

トライアル雇用助成金の対象となる労働者は、就職が難しいとされる人材や社会的配慮が必要な層に重点が置かれています。
離職歴や年齢層、生活環境など複数の条件があり、さらに企業側が認定事業主であるかどうかで助成額も変わります。

つまり、採用を検討する際には「この人材は対象になるか」を事前に確認することが不可欠です。
条件に合致する人材を採用できれば、助成金を活用して安心して雇用を進められる可能性が高まります。

申請の流れと期限を押さえよう

トライアル雇用助成金は、採用から申請までの流れを正しく踏まないと不支給になってしまうリスクがあります。

特に「どのタイミングで求人を出すのか」「いつまでに申請書を提出するのか」など、期限を守ることが重要です。

ここでは、申請の流れと期限について整理し、実務で注意すべき点を紹介します。

トライアル雇用求人の提出から、実施計画書の提出までのタイミング

まずはハローワークに「トライアル雇用求人」を提出します。

その際、通常の求人票とは別に「トライアル雇用であること」を明記する必要があります。

採用が決まったら、トライアル雇用実施計画書を雇用開始日から2週間以内に提出する流れです。

これを過ぎると助成金の対象外となるので、必ずスケジュールを把握しておきましょう。

トライアル雇用終了後、支給申請のタイミング(終了日の翌日から2か月以内)

トライアル雇用期間は原則3か月です。終了後は翌日から2か月以内に支給申請を行う必要があります。

この期限を過ぎると助成金は受けられません。

申請に必要な書類(出勤簿、賃金台帳、雇用契約書など)を揃えておき、スムーズに提出できる体制を準備しておくことがポイントです。

途中で常用化や離職した場合の対応と注意点

トライアル雇用期間中に常用雇用へ切り替えた場合も、助成金の対象となります。

ただし、その際は切り替え時点までの期間分のみが支給対象です。

一方、離職してしまった場合は助成金を満額受け取ることはできません。

離職の理由や就労日数によっては支給対象外となるため、採用前に労働者の状況をしっかり確認することが大切です。

期限と流れを正確に把握して不支給を防ごう

トライアル雇用助成金は、採用から支給申請までのタイムライン管理が非常に重要です。

求人提出は「トライアル雇用」と明記
実施計画書は雇用開始から2週間以内
支給申請は終了後2か月以内

これらの流れを押さえれば、不支給リスクを大幅に減らせます。
採用現場と事務担当が連携してスケジュール管理を徹底し、「期限を守ればきちんと受給できる」という安心感を持って取り組むことが成功の鍵となります。

トライアル雇用助成金を最大限活かすための実務チェックリスト

トライアル雇用助成金は、条件を満たして正しく申請すれば人材確保に大きく役立ちます。

しかし、実際には「必要な書類が揃っていなかった」「契約書の内容に不備があった」などの理由で不支給になるケースも少なくありません。

そこで、助成金を確実に活用するための実務チェックリストを紹介します。

面接から採用までに確認すべき3つのポイント

採用プロセスの中で特に大切なのは、次の3つです。

1.対象者がハローワーク経由で紹介されているか
トライアル雇用の必須条件なので、応募経路を確認します。
2.事前に常用雇用を約束していないか
試行雇用が前提であり、最初から正社員化を前提とした採用は対象外になります。
3.対象労働者が助成金の対象要件を満たしているか
年齢、離職歴、配慮対象者かどうかをハローワークの紹介状で確認しましょう。

この段階で誤りがあると、その後の申請自体が無効になる可能性があります。

契約書・就業規則に盛り込むべき記載事項

契約書や就業規則の整備も助成金活用の大前提です。

・契約書には「トライアル雇用期間」の明記
・賃金額や労働時間など、労働条件を具体的に記載
・就業規則には正社員転換ルールを含める

形式的な記載ではなく、実際の労務管理と一致していることが重要です。

審査時には「書類と現場の運用の整合性」が厳しくチェックされます。

支給申請前に整えておくべき証憑類

支給申請をスムーズに進めるために、次の証憑類を揃えておきましょう。

出勤簿やタイムカード
賃金台帳
雇用契約書
ハローワークの紹介状
トライアル雇用実施計画書

これらは「実際に雇用していたこと」を裏付ける証拠となるため、不備があると不支給のリスクが高まります。

チェックリストを活用して確実に受給しよう

トライアル雇用助成金を確実に受給するためには、採用時・契約時・申請前の3つのステップで必要な確認を行うことが不可欠です。

面接〜採用時は「応募経路・要件確認」を徹底
契約時は「契約書・就業規則」に必要事項を明記
申請前は「証憑類」を整理し、提出期限を守る

この流れを押さえれば、不支給リスクを避けながら安心して制度を活用できます。
チェックリストを活用して、「準備を整えれば助成金は必ず使える」という前向きな姿勢で取り組みましょう。

条件を整えればトライアル雇用助成金は活用できる

トライアル雇用助成金は、採用リスクを抑えつつ人材確保を進めたい企業や個人事業主にとって、非常に有効な制度です。

この記事で整理したポイントを振り返ると、以下のようにまとめられます。

・制度の基本 – 一定期間「試行的に雇用」することで支給対象となる仕組み。
・対象条件 – ハローワーク紹介経由で、事前に常用雇用を約束していない採用が必要。
・労働者の条件 – 離職歴や年齢、配慮対象者など複数の要件が設定されている。
・申請の流れ – 求人提出から計画書提出、終了後の申請まで期限管理が重要。
・実務チェック – 契約書や就業規則の整備、証憑類の準備を事前に徹底することが不可欠。

つまり、トライアル雇用助成金は「使いづらい制度」ではなく、要件を理解し、準備を怠らなければ確実に活用できる制度です。

人材確保の選択肢を広げたいと考えている方は、まずは自社の雇用状況と助成金の条件を照らし合わせ、できることから準備を始めてみましょう。

前向きに取り組めば、助成金は強力な採用支援の武器となります。

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