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事業復活支援金とは?受給条件と対象者をわかりやすく確認

新型コロナウイルスやその後の経済的影響により、売上が落ち込んだ中小企業や個人事業主を支える目的で設けられたのが「事業復活支援金」です。

制度名は知っていても、「自分の会社や事業が対象になるのか」「売上の減少基準を満たしているのか」といった肝心な部分で迷う方は少なくありません。

事業復活支援金は、対象となる事業者や売上減少率、計算方法が細かく規定されているため、曖昧な理解のままでは申請の可否を誤って判断してしまうリスクがあります。

この記事では、対象要件・売上減少基準・給付額の算定方法・必要書類・申請手続きまでを整理し、最終的に「うちの事業は当てはまる/当てはまらない」と判断できる状態を目指して解説します。

余計な情報は省き、判断に直結するシンプルな指標と具体例を提示しますので、申請を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

制度概要と給付対象者

事業復活支援金は、コロナ禍やその後の影響で売上が減少した事業者を救済するために設けられた制度です。

まずは制度の目的と背景、そして誰が対象になるのか、どの程度の売上減少で支給対象になるのかを正しく理解することが重要です。

この条件を整理すれば、申請できるかどうかを早い段階で判断できます。

▼事業復活支援金とは何か(目的・背景)

事業復活支援金は、新型コロナウイルスの影響による売上減少を受けた事業者の事業継続と再起を後押しするための給付金制度です。

単なる一時的な救済ではなく、資金繰りの改善や経営の立て直しを支援し、事業を「復活」させることを狙いとしています。

制度の背景には、コロナ禍による飲食・小売・観光業を中心とした急激な売上減少、さらにその後も続く需要変動があり、業種を問わず幅広い事業者を救済する必要性がありました。

▼対象となる事業者の種類(中小企業・個人事業主・フリーランス等)

事業復活支援金は、以下のような幅広い事業者を対象としています。

・中小企業・中堅企業
資本金や従業員数が一定基準以下の法人。製造業、飲食業、小売業など業種を問わず申請可能です。
・個人事業主
青色申告・白色申告のどちらでも対象になります。美容室、飲食店経営者、ネットショップ運営者など幅広く含まれます。
・フリーランス
申告をしていることが条件ですが、ライター、デザイナー、音楽家などのフリーランスも対象です。

要点は、法人・個人を問わず「事業収入があること」「確定申告を行っていること」が前提条件になっている点です。

▼対象となる売上減少の条件(どの期間とどれくらい下がっていればいいか)

受給対象となるためには、売上が基準期間に比べて一定割合以上減少していることが必要です。

・基準期間
2018年11月〜2019年3月、または2019年11月〜2020年3月など、コロナ前の売上を基準に設定。
・対象月
コロナの影響を受けた2021年11月以降のいずれかの月。
・減少率の基準
 ・売上が30%以上50%未満減少した場合:一定額の支給
 ・売上が50%以上減少した場合:上限額まで支給

この「売上減少率」と「基準月・対象月の組み合わせ」が、申請可否を左右する最重要ポイントです。

「自分が対象か」を最初に確認する

事業復活支援金は、法人・個人を問わず、コロナ禍やその後の影響で売上が一定割合減少した事業者が対象となります。
申請に進む前に、

自分の事業が「中小企業・個人事業主・フリーランス」として条件に当てはまるか
売上減少率が30%以上に該当するか

を確認することで、無駄な準備を避けられます。
次のステップでは、給付額の計算方法や上限額の詳細を把握し、受給可能性をさらに明確にしていきましょう。

給付額と上限額の詳細

事業復活支援金を検討するうえで最も気になるのは、「実際にいくら受け取れるのか」という点です。

給付額は事業規模や売上減少率によって異なり、法人と個人でも上限額が変わります。

さらに、過去に受け取った協力金や補助金の扱いも調整対象になるため、正しく理解しておく必要があります。

ここでは、上限額・計算方法・他制度との関係を整理します。

法人・個人の給付額の上限(減少率別・売上規模別の例)

事業復活支援金の給付額は、売上の減少率と事業規模(従業員数や売上規模)によって上限が決まります。

◆法人の場合
 ・売上50%以上減少:最大250万円
 ・売上30〜50%減少:最大150万円
◆個人事業主・フリーランスの場合
 ・売上50%以上減少:最大50万円
 ・売上30〜50%減少:最大30万円

例えば、飲食店を営む法人で売上が基準月比50%減少していれば、最大250万円が給付対象となります。

給付額の計算方法(基準月・対象月の設定方法)

給付額は、基準期間の売上と対象月の売上を比較して算出します。

1.基準月を設定
コロナ前(2018〜2019年度)などから、通常の売上が安定していた月を選びます。
2.対象月を設定
コロナの影響を受けた2021年11月以降の月から選びます。
3.売上減少率を計算
(基準月の売上 − 対象月の売上) ÷ 基準月の売上 × 100
4.減少率に応じて給付額を決定
減少率50%以上 → 上限額の範囲で算定
減少率30〜50% → 上限額の範囲で算定

この計算により、事業規模と減少率を踏まえた実際の給付額が確定します。

協力金・補助金等の他の支援金との調整の扱い

事業復活支援金は、他の支援金と重複して同じ損失に対して二重で給付されることを防ぐための調整規定があります。

・すでに受給している「月次支援金」や「地域の協力金」がある場合、その期間の売上減少分は調整される可能性があります。
・ただし、対象期間が重複していない場合は併用が可能です。
・申請時には、他の支援金の受給状況を必ず記載する必要があり、不申告は後日の返還リスクにつながります。

「いくらもらえるか」は減少率と事業規模で決まる

事業復活支援金の給付額は、

法人か個人か
売上が30%減か、50%以上減か
過去に受けた支援金との調整有無

によって変わります。

まずは、自社の売上減少率を計算し、上限額と実際の給付見込み額を把握することが第一歩です。
そのうえで、協力金や他の支援制度との兼ね合いを確認すれば、「自分はいくら受け取れるか」を明確に判断できるようになります。

申請要件と必要書類

事業復活支援金をスムーズに受給するためには、申請要件を満たしているかを確認し、必要書類を漏れなく揃えることが不可欠です。

とくに注意したいのが、申請前に行う「事前確認」の手続きと、申請方法によって異なる書類の提出です。

ここでは、申請前に準備すべき内容を整理して解説します。

申請前に必要な“事前確認”とは何か

事業復活支援金を申請する際は、登録確認機関による事前確認が必須です。

これは、不正受給を防ぐために「事業実態があるか」「売上減少が制度に基づくものか」を第三者が確認するプロセスです。

◆事前確認を依頼できる機関
  税理士、公認会計士、商工会議所、金融機関など。
◆確認内容の例
 ・本当に事業を営んでいるか
 ・確定申告をしているか
 ・売上が基準に沿って減少しているか

この確認を通過しなければ、オンライン申請を進めることができません。

申請書類一覧(確定申告書・売上台帳・通帳・本人確認書類等)

申請に必要な主な書類は次の通りです。

・確定申告書類(法人税申告書、青色申告決算書、収支内訳書など)
・売上台帳(対象月・基準月の売上を確認できるもの)
・通帳の写し(振込先口座の確認)
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
・委任状(代理人が申請する場合)

書類はスキャンまたは画像データとしてオンライン申請フォームに添付します。

不鮮明な場合や金額が読み取れない場合は差し戻しになるため、提出前に必ず確認することが大切です。

申請パターンごとの簡略申請/通常申請の違い

申請方法には大きく分けて 「簡略申請」と「通常申請」 があります。

・簡略申請
過去に月次支援金や持続化給付金を受給しており、既に事前確認を済ませている事業者が対象。
提出書類が少なく、短期間で申請が完了します。
・通常申請
初めて申請する事業者や、過去の申請内容に変更がある場合はこちら。
事前確認とすべての書類提出が必要です。

自社がどちらに該当するかを早めに把握しておけば、無駄な準備や書類不足を防ぎ、スムーズに申請が進められます。

要件を確認し、事前準備を徹底することがカギ

事業復活支援金の申請には、

・事前確認の通過
・確定申告書や売上台帳などの書類提出
・簡略申請か通常申請かの区別

が必須となります。
これらを事前に整理しておけば、申請手続きに余計な時間を取られることはありません。

まずは自社が簡略申請に該当するのか確認し、必要書類を揃えることから始めましょう。
これが、確実に給付金を受け取るための第一歩です。

申請期間・スケジュール・注意点

事業復活支援金を受給するためには、期限を守って正しく申請することが不可欠です。

申請期間を過ぎてしまうとどんなに条件を満たしていても受給できませんし、書類の不備や売上データの不整合があれば審査で差し戻され、時間がかかってしまいます。

ここでは、申請期間・手続きの流れ・注意点を整理し、スムーズに申請を完了するためのポイントを確認していきましょう。

▼申請受付期間/重要な締め切り日

事業復活支援金の申請には、明確な受付開始日と締切日が設定されます。

・申請受付開始日 – 公式発表時点で公開(年度ごとに異なる)
・申請締切日 – 原則として公募要領に記載される最終日までにオンライン申請完了が必須

注意すべきは、事前確認の期限は申請締切より前に設定される場合があるという点です。

事前確認が済んでいなければオンライン申請自体ができないため、余裕を持ったスケジュール管理が欠かせません。

▼申請手続きのフロー

申請の基本的な流れは以下の通りです。

1.アカウント登録(申請専用サイトでメールアドレス登録)
2.事前確認(登録確認機関で書類確認を受ける)
3.必要書類の準備(確定申告書・売上台帳・通帳・本人確認書類など)
4.オンライン申請(申請フォームへデータアップロード)
5.審査(不備があれば追加提出依頼あり)
6.給付決定・振込

このフローは原則オンラインで進めますが、不備対応に時間を取られると振込まで大幅に遅れる可能性があります。

▼よくある不備・見落としやすい要素(証拠書類の鮮明さ・基準月の売上と記録の整合性など)

申請において不備が多いのは、書類の不鮮明さやデータの食い違いです。具体的には以下のようなケースが目立ちます。

・証拠書類が不鮮明:通帳や売上台帳のスキャン画像がぼやけている
・売上データの整合性が取れない:確定申告書の金額と申請フォームに入力した数値が一致しない
・基準月・対象月の選び間違い:売上比較期間を誤って選択
・本人確認書類の有効期限切れ

これらの不備は修正に時間を要し、結果的に給付まで数週間遅れることも珍しくありません。申請前に一度セルフチェックを行い、可能であれば専門家や登録確認機関に確認してもらうのが安心です。

余裕を持った準備と正確な書類で申請を完了させる

事業復活支援金の申請では、

・締切日を守ること
・正しいフローで手続きを進めること
・不備を防ぐために書類の鮮明さ・数値の一致を徹底すること

が成功のカギです。

「まだ余裕がある」と思って後回しにすると、事前確認の予約が取れなかったり、不備修正で締切に間に合わなくなるリスクもあります。
早めの準備と余裕あるスケジュール管理を心がけ、確実に給付を受けられるようにしましょう。

受給対象外となるケース・制限事項

事業復活支援金は幅広い事業者を対象にしていますが、すべてのケースで受給できるわけではありません

売上の減少幅や事業開始時期、コロナとの因果関係など、いくつかの条件を満たさなければ不支給になる場合があります。

ここでは、代表的な「対象外ケース」と注意点を整理します。

売上減少が基準を満たしていない場合

支援金の根幹は「売上の減少」です。

減少率が30%未満の場合は対象外となります。
売上減少率の計算に誤りがある場合も不支給になることがあります。

例えば、2021年11月の売上が基準月に比べ25%しか減少していない場合、申請しても支給は受けられません

「自分は条件を満たしている」と思い込みで申請する前に、必ず売上減少率を計算して確認する必要があります。

事業を開始したばかりで基準期間がない/設立年が浅い法人/新規開業特例の有無

事業復活支援金は、コロナ前の売上と比較できることが前提です。

設立直後や開業から間もない場合、基準となる売上データが存在せず、原則対象外となります。
ただし、一定の条件を満たせば「新規開業特例」が適用されるケースもあります。

この特例では、開業初年度の売上を基準として扱うなど、例外的な判断が可能です。

しかし、要件を満たさなければ受給できないため、設立年が浅い企業や個人事業主は事前に確認が必須です。

自主的な休業のみでコロナの影響が認められない、または申請主体が条件を満たさないケース

事業復活支援金は、あくまでコロナによる影響で売上が減少した場合に限り対象となります。

需要減少や営業制限などの外的要因ではなく、自主的に休業しただけのケースは対象外。
また、事業収入ではなく給与収入や雑所得が中心の人は「事業者」と認められず、支給対象にはなりません。

このように、申請主体の属性や売上減少の理由によっては給付対象から外れるため注意が必要です。

「対象外条件」を事前に理解して無駄な申請を防ぐ

事業復活支援金の申請を検討する際は、

・売上減少率が30%以上あるか
・コロナ前の売上データがあるか、または新規開業特例の対象になるか
・売上減少の原因がコロナによるものか

を確認することが大切です。

これらに当てはまらない場合、申請しても時間と労力を無駄にしてしまいます。
まずは「自分の事業が制度趣旨に合致しているか」を冷静に判断し、確実に受給できるケースで申請を進めるようにしましょう。

受給後に気をつけたい「返還リスク」と適切な対応策

事業復活支援金を受給できたからといって、安心してすべてが終わるわけではありません。

申請内容に誤りがあった場合や、証拠資料を保存していなかった場合には返還を求められるリスクがあります。

補助金や助成金制度と同様に、事後調査や検証が行われる仕組みがあるため、受給後も適切な対応が欠かせません。

ここでは、代表的な返還リスクと、それを防ぐための対策を整理します。

虚偽申請や記載ミスで返還を求められるケース

返還を求められる典型的なケースが、意図的または無意識の虚偽申請です。

・虚偽申請の例
実際には売上が減少していないのに減少したと申告する、架空の売上台帳を作成するなど。
・単純な記載ミスでも対象
入力する金額を誤って多く申請してしまった場合なども、差額の返還が必要になります。

これらは不正受給として扱われ、場合によっては加算金や名前の公表といった厳しいペナルティを受ける可能性もあります。

給付後も必要となる書類保存義務とその期間

事業復活支援金を受給した後は、関連する証拠書類を一定期間保存する義務があります。

・保存期間の目安 – 原則として5〜7年間
・保存すべき書類 – 確定申告書、売上台帳、取引先との請求書・領収書、通帳の写しなど

保存義務を怠った場合、事後調査に対応できず、結果として返還を求められるリスクが生じます。

クラウド会計ソフトやスキャナを利用して、紙とデータ両方でバックアップすることが望ましいです。

事後調査に備えて準備すべき証拠資料

事業復活支援金では、後日ランダムに調査が入ることがあります

その際に提示を求められる資料として、以下を準備しておくと安心です。

売上の根拠となる請求書やレシート
入金が確認できる通帳の記録
基準月・対象月を示す会計データや月次決算資料
事前確認を受けた際の確認書類一式

これらを整理して保管しておけば、調査が入っても速やかに対応でき、返還リスクを最小限に抑えることができます

「受給後の管理」こそが安心につながる

事業復活支援金は、申請して受給するだけで終わりではありません。

・虚偽やミスのない正確な申請
・保存義務を意識した書類管理
・事後調査に備えた証拠資料の準備

これらを徹底することで、返還リスクを防ぎ、安心して制度を活用できます。

支援金は事業の復活を後押しするための制度です。正しく使い、透明性を保つことが、次の支援制度や補助金申請でも信頼される第一歩となります。

自社が対象かどうかを明確に判断し、無駄のない申請を

事業復活支援金は、コロナ禍やその後の影響で売上が減少した事業者を幅広く支援する制度です。

記事では、以下の点を整理しました。

・対象事業者 – 中小企業・個人事業主・フリーランスなど事業収入のある人が対象
・売上減少条件 – 基準月に比べ30%以上の減少があることが必要
・給付額 – 法人最大250万円、個人最大50万円(減少率や事業規模で変動)
・申請に必要な準備 – 事前確認、確定申告書や売上台帳などの提出書類、申請方法の選択
・申請の注意点 – 申請期限を厳守し、不備をなくすことが重要
・対象外となるケース – 減少率不足、新規開業で基準期間がない、自主休業など制度趣旨に合致しない場合
・受給後の対応 – 虚偽やミス申請の返還リスク、書類保存義務、事後調査への備え

最終的に大切なのは、「自社は条件を満たしているか」を事前に冷静に判断することです。

もし対象であれば、必要書類を早めに準備し、締切までに余裕を持って申請を進めましょう。

そして、受給後も透明性を意識して管理することで、安心して制度を活用できます。

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