事業復活支援金はすでに申請受付を終了していますが、不正受給に関する調査や自主返還の受付は現在も続いています。
不正受給と認定された場合は、受給額の全額返還だけでは終わりません。不正受給日の翌日から返還日まで年3%の延滞金が加算され、さらに受給額と延滞金の合計額に対して20%相当額が上乗せされます。
また、返還状況によっては氏名や所在地が公表されることがあり、悪質な事案では刑事告発の対象になる可能性もあります。返還に応じない場合は、訴訟や強制執行に進むこともあります。
一方、給付要件を満たしていないことに後から気付いた場合は、自主返還が可能です。調査開始前に自主返還を申し出て返還を完了すれば、原則として加算金や延滞金は課されません。
申請時のミスと故意の不正は同じではありません。誤受給に気付いた場合は放置せず、早めに返還手続きを確認することが重要です。
事業復活支援金の不正受給とは?

事業復活支援金の不正受給とは、本来は給付要件を満たしていないにもかかわらず、虚偽の情報や偽造した書類などを使って支援金を受け取る行為です。
単なる入力ミスや計算違いと、意図的に事実を偽って給付を受ける行為は分けて考える必要があります。
給付要件を満たさないと知りながら虚偽申請して受給する行為
事業復活支援金は、対象期間の売上減少や新型コロナウイルス感染症の影響など、所定の給付要件を満たす事業者を対象とした制度でした。
そのため、要件を満たしていないことを認識しながら、
- 売上減少率を偽る
- コロナの影響がないのに影響があったように申告する
- 実際とは異なる事業実態を申告する
などの方法で給付を受ければ、不正受給と判断される可能性があります。
「結果として給付されたから問題ない」というものではありません。
書類の偽造や売上を偽った申請は不正受給になる
特に明確な不正となりやすいのが、申請書類の偽造です。
実際に公表されている不正受給認定事例でも、確定申告書などの申請書類を偽造した事例が確認されています。
たとえば、
- 確定申告書を改ざんする
- 架空の売上台帳を作成する
- 存在しない取引を記載する
- 売上金額を意図的に変更する
- 他人名義や実態のない事業を利用する
といった行為は、不正受給につながる可能性が高いです。
第三者や申請代行業者から指示された場合でも、虚偽の内容で申請してよいわけではありません。
単純な申請ミスと不正受給は分けて考える
申請内容に誤りがあったからといって、すべてが直ちに不正受給と認定されるわけではありません。
たとえば、
- 売上の入力を間違えた
- 計算方法を誤解していた
- 給付要件を満たしていると思って申請したが、後から対象外だと分かった
といったケースでは、意図的な虚偽とは事情が異なります。
給付要件を満たしていないにもかかわらず誤って受給した場合は、自主返還を申し出ることができます。
誤りに気付いた段階で放置せず、返還の必要性を確認することが重要です。
事業復活支援金を不正受給するといくら返還する?

不正受給と認定された場合は、受給額全額に加えて延滞金と20%相当額が請求されます。
単純に「受給額の1.2倍を返す」という計算ではありません。
不正受給した事業復活支援金は全額返還
まず、不正受給した事業復活支援金の全額を返還する必要があります。
たとえば100万円を不正に受給していた場合は、少なくとも100万円の返還が必要です。
一部だけ返還して終わることはできません。
さらに、ここへ延滞金と20%相当額が加わります。
不正受給日の翌日から年3%の延滞金が加算される
延滞金は、不正受給の日の翌日から返還日までの日数に応じて年3%で計算されます。
返還までの期間が長くなるほど、延滞金も増えます。
そのため、不正受給と認定された後に返還を先延ばしにすると、返還総額がさらに大きくなる可能性があります。
なお、年3%は事業復活支援金の不正受給に関する公式の取扱いです。他制度の延滞金率と混同しないようにしてください。
元本と延滞金の合計額に20%相当額が加算される
20%相当額は、受給額だけに単純に20%を掛けるのではありません。
まず、
不正受給額+延滞金
を計算し、その合計額に対して20%相当額を加算します。
たとえば、不正受給額が100万円で、返還時点の延滞金が3万円だったと仮定すると、
100万円+3万円=103万円
となります。
さらに、
103万円×20%=20万6,000円
が加算されるため、返還総額は123万6,000円です。
実際の延滞金額は不正受給から返還までの期間によって変わります。
事業復活支援金の不正受給は氏名・所在地を公表される?

不正受給が認定された場合、一定の条件に該当すると氏名や所在地などが公表されます。
ただし、不正受給と認定されたすべての人が同じ形で公表されると単純化するのは正確ではありません。
不正受給認定者は条件により氏名・所在地が公表される
現在の公式公表では、中小企業庁から督促を受けるまでに、
- 不正受給額
- 20%相当額
- 年3%の延滞金
を全額納付していない不正受給認定者について、氏名や所在地などが公表されています。
公表される情報には、
- 不正受給認定者名
- 所在地
- 不正受給額
- 認定日
- 不正受給の概要
などが含まれます。
法人であれば法人名が掲載される場合があります。
督促までに返還額等を全額納付した場合は現在の一覧掲載対象と異なる
不正受給認定を受けても、返還状況によって現在の公表一覧での扱いは異なります。
実際に、事業復活支援金の不正受給認定者の中には、不正受給額に加えて20%相当額と延滞金を全額納付しているケースがあります。
そのため、
不正受給認定を受けたら必ず永続的に氏名が一覧掲載される
と断定するのは適切ではありません。
ただし、全額返還すれば不正認定そのものがなかったことになるわけでもありません。
2026年時点では4者が不正受給認定されている
2026年時点で、事業復活支援金については4者が不正受給者として認定されています。
不正受給総額は246万300円です。
そのうち3者については、不正受給額に20%相当額と延滞金を加えた金額を全額納付済みとされています。
実際の認定例が公表されていることからも、制度終了後だから不正受給の確認が行われないわけではありません。
事業復活支援金の不正受給で刑事告発されることはある?

事業復活支援金の不正受給では、返還請求だけで終わるとは限りません。
不正の内容や悪質性によっては、刑事告発や法的措置に進む可能性があります。
悪質な事案では刑事告発される場合がある
公式案内では、不正受給について「事案によっては刑事告発」を行うとされています。
つまり、不正受給と認定された全件が自動的に刑事事件になるわけではありません。
一方で、
- 書類を意図的に偽造した
- 架空事業を利用した
- 組織的に不正申請を行った
- 多額の給付金を詐取した
など、悪質性が高い事案では刑事責任を問われる可能性があります。
「返還すれば必ず刑事責任を問われない」と考えるのも危険です。
返還しない場合は訴訟や強制執行の対象になることがある
返還請求を受けても納付しない場合は、訴訟などの法的措置が取られる可能性があります。
さらに、確定判決などを基に強制執行が申し立てられることもあります。
不正受給額だけでなく延滞金も発生するため、返還を放置するメリットはありません。
返還請求を受けた場合は、内容を確認したうえで速やかに対応する必要があります。
事業復活支援金を誤って受給した場合は自主返還できる

事業復活支援金の給付要件を満たしていなかったことに後から気付いた場合は、自主返還を申し出ることができます。
制度自体の申請受付は終了していますが、自主返還の受付は現在も続いています。
給付要件を満たしていないことに気付いたら自主返還を申し出る
受給後に、
- 売上減少率の計算が誤っていた
- 対象月の選択を間違えていた
- 給付対象だと思っていたが実際は要件外だった
- 申請内容の誤りが後から判明した
といった場合は、自主返還を検討します。
「故意ではなかったからそのままでよい」と判断するのではなく、受給要件を満たしていなかったなら返還手続きが必要です。
調査開始前に返還を完了すれば原則として加算金・延滞金は課されない
自主返還で特に重要なのが、調査開始前であることです。
中小企業庁による調査が開始される前に自主返還を申し出て、返還を完了した場合は、原則として、
- 年3%の延滞金
- 20%相当額
は課されません。
つまり、誤受給に自分で気付き、調査開始前に対応することには大きな意味があります。
調査開始後では同じ取扱いにならないため早めの対応が必要
すでに中小企業庁などから調査の連絡を受けている場合は、「調査開始前の自主返還」と同じ扱いにならない可能性があります。
そのため、
そのうち連絡が来たら返せばよい
と放置しない方が安全です。
給付要件を満たしていなかった可能性に気付いた時点で、申請内容と当時の資料を確認してください。
自主返還を申し出たからといって、すべての責任が自動的に免除されるわけでもありません。
事業復活支援金の不正受給調査は現在も続いている

事業復活支援金はすでに終了していますが、不正受給に関する調査まで終了したわけではありません。
制度終了から時間が経っていても、「もう確認されない」と判断するのは避けるべきです。
事業復活支援金の申請終了後も不正受給調査は継続している
現在も、事業復活支援金を含むコロナ関連給付金について、不正受給案件等の調査が行われています。
そのため、
制度が終了したから不正受給の確認も終わった
という認識は誤りです。
過去の申請内容や提出書類を基に、後から不正受給が認定される可能性があります。
2026年6月時点でも自主返還の受付・返還が続いている
2026年6月30日時点でも、事業復活支援金の自主返還は継続しています。
公式に公表されている数値では、
- 返還申出件数:1,365件
- 返還済み件数:2,653件
- 返還済み金額:約9億6,100万円
となっています。
件数の集計方法が異なるため、申出件数と返還済み件数を単純に対応させて考えるのは避けましょう。
重要なのは、現在も返還手続きが実際に行われているという点です。
調査の連絡を受けた場合は申請時の資料を確認して対応する
不正受給に関する確認や調査の連絡を受けた場合は、まず当時の申請資料を確認します。
確認しておきたいのは、
- 確定申告書
- 売上台帳
- 対象月の売上資料
- 申請時の計算内容
- 事業復活支援金の申請データ
- コロナの影響を説明できる資料
などです。
調査担当者から書類提出を求められた場合は、実態と異なる資料を後から作成せず、当時の事実に基づいて対応してください。
代行業者や第三者に申請を任せていた場合でも、当時どの内容で申請されたのかを確認する必要があります。
事業復活支援金の不正受給に気付いたら放置せず対応しよう

事業復活支援金を不正受給したと認定された場合は、受給額の全額返還に加えて、不正受給日の翌日から返還日まで年3%の延滞金が加算されます。
さらに、
不正受給額+延滞金
の合計額に対し、20%相当額が追加されます。
返還状況によっては氏名や所在地などが公表される場合があり、悪質な事案では刑事告発の対象になる可能性もあります。
また、返還に応じなければ訴訟や強制執行へ進むことがあります。
一方、給付要件を満たしていなかったことに自分で気付いた場合は、自主返還が可能です。
中小企業庁による調査が始まる前に自主返還を申し出て返還を完了すれば、原則として延滞金と20%相当額は課されません。
単純な申請ミスと、意図的に書類や売上を偽った不正受給は同じではありません。
ただし、誤って受給したことに気付いた後も放置すれば、状況は改善しません。
確認するときは、
- 当時の申請内容を確認する
- 給付要件を本当に満たしていたか見直す
- 誤受給の可能性があれば自主返還を確認する
- 調査の連絡を受けた場合は事実に基づいて対応する
という順番で整理すると分かりやすくなります。
事業復活支援金の申請受付は終了していますが、不正受給調査や自主返還は現在も続いています。
「制度が終わったからそのままでよい」と考えず、申請内容に誤りがあると分かった場合は早めに対応しましょう。
