ECサイト運営で重要視されているダイレクトマーケティングとは?手法やメリットを解説!
目次
はじめに
モノやサービスが売れる仕組みを作るマーケティングは、企業が利益を効率的に上げ続けるために欠かせないものとなっています。
現在、インターネットの普及に伴い急速に消費活動が変化しました。
それに伴い若年層を中心に訴求効果の高いSNSマーケティングが勢いをつけおり、それに伴いダイレクトマーケティングもECサイトを運営していくうえで欠かせないものとなっています。
今回はダイレクトマーケティングにスポットを当ててお話していきます。
ダイレクトマーケティングとは
そもそもダイレクトマーケティングとはどういったものなのでしょうか。
ダイレクトマーケティングは企業が顧客一人ひとりに対して、小売業者や卸業者などを媒介せず直接、宣伝、販売を行うマーケティング手法です。
いわゆる直販と呼ばれる販売形式をとっています。
そして、ダイレクトマーケティングは企業と顧客が1対1で双方向的なコミュニケーションを取るのが最大の特徴です。
さらに、ターゲット層も企業に興味がある層に絞り込まれています。
そのため、TVや雑誌や新聞や屋外の広告で一方的にターゲットを絞らず大多数のユーザーに訴えるマスマーケティングとよく対比されています。
現在、ECサイト業界で多く採用されているマーケティング手法です。
ECサイトでダイレクトマーケティングが重要視される理由
なぜECサイトでダイレクトマーケティングが重要視されるのでしょうか。
ECサイトは実店舗を持たないため、家賃や人件費がかからず運用コストが低いのが魅力ですが、直接顧客と面と向かってコミュニケーションを取ることが難しいことがデメリットとなります。
ユーザーと交流できなければ、フィードバックを得ることも、リピートにつなげることも困難になるため、継続的な売上を保つのが難しくなります。
そのため、媒体を通じて双方的なコミュニケーションを取り、新規顧客獲得や顧客のリピート率を上げるための施策が必要になるのです。
ECサイトでは、顧客とのコミュニケーション手段であるダイレクトマーケティングが重要視されています。
ダイレクトマーケティングの主な手法
このように、顧客のニーズやレスポンスを踏まえて行うダイレクトマーケティングは費用対効果も高く、効果の検証がデータで取りやすいのが特徴です。
そのため、ECサイトの運営で多方面から重要視されるダイレクトマーケティングですが、具体的にはどのようなものが挙げられるのでしょうか。
ひと言にダイレクトマーケティングといってもさまざまな手法があり、ユーザーの年齢層や目的や企業のカラーに応じて使い分けがされています。
代表的な例を4つ挙げますので、ぜひ参考にしてください。
ダイレクトメール
DMの略称で馴染みのあるダイレクトメールは、メールマガジン、ステップメール、セグメントメールなどを用いて商品やサービスの情報を届ける手法です。
企業のキャンペーンやセール情報などの告知に適しており、リンクを貼れば自社のWebサイトへの誘導も容易です。
ダイレクトメールは、費用対効果が高く、ユーザーに「自分宛てに直接企業からきている」という特別感が与えられるのが魅力ですが、使用するデメリットもあります。
まず迷惑メール扱いされ、開封されず削除されるリスクがあることと、迷惑に思われクレームに発展するリスクがあることです。
今の顧客からターゲットに適した層を抽出して利用すれば非常に効果が高いために、既存顧客へのアプローチに適しています。
Eメール
Eメールは、顧客や見込み顧客へ向けてメール配信する方法です。
具体的には、メールマガジンなどをスマートフォンやパソコンに送るメールによる宣伝を指します。
紙媒体のはがきによるプロモーションに比べて、コストが圧倒的に安いのが利用するメリットです。
発信する頻度は毎日数回の企業もあれば1週間に1回の企業もあります。
送料やデザイン料や住所の管理、印刷費用なども抑えられるからです。
また、印刷する手間がないのでスピードが圧倒的に早いのも魅力と言えるでしょう、
たとえば、明日イベントを開催すると急遽決定しても、数分後に顧客全員に知らせられるのです。
こちらも既存顧客や見込み顧客へのアプローチに非常に適しています。
また、ユーザーはいつでも受信を辞められるのも気軽に配信できるポイントです。
テレマーケティング
テレマーケティングは電話やFAXを利用し、生活者に商品やサービスの販売促進を行う手法で、昔から根付いている販促方法です。
既存顧客や見込み顧客のニーズを聞き出し、商品説明や販売を行うのが主なパターンです。
商品に対する不満や疑問をその場で解消できるために消費行動につながりやすく、適切なフォローを行えばユーザーとの信頼関係も向上します。
そして、テレマーケティングはスマートフォンやパソコンを持たない高齢者へのアプローチに適しているのも特徴です。
しかし、オペレーターの教育や資料の作成に費用や時間を要し、対話内容次第ではクレームにつながりやすいことがデメリットとして挙げられます。
自社の体制をしっかり整えたうえで導入すれば、新しいユーザー層を取り込めるでしょう。
SNSマーケティング
SNSで公式アカウントを運用してマーケティングをする方法です。
SNSは日常に切り離せない存在となっており、SNSをきっかけに消費行動をするという層が年々増加しています。
そのため、TwitterやInstagram、Facebook、TikTokやLINEなどさまざまな媒体でそれぞれにアカウントを作り運営している企業も多くあり、現在非常に注目されている方法です。
企業のHPとは異なりくだけた表現が可能なため、企業のファンになってもらえる可能性が高くなります。
また、Facebookは使用している年齢層はミドル層が中心ですが、主に10~30代の若い世代へのアプローチに適しているのです。
アカウントさえ作ればコストはほとんどかからず運用できますが、マメに更新しなければならない、効果が出るまで時間がかかる、炎上リスクがあるなどのデメリットが挙げられます。
ダイレクトマーケティングのメリット
このように、さまざまな手法があるダイレクトマーケティングは、ECサイト運営をしていく中、顧客と相互コミュニケーションを図るうえで欠かせないものとなっています。
そして、ターゲットの属性に特化して取り組む特徴を活かして、さまざまな企業が導入し、高い効果を得ているのです。
ダイレクトマーケティングを導入する具体的なメリットを4つに分けて紹介していきます。
メリットを理解したうえで、手段や目的に応じて取り組み方を考えていきましょう。
費用対効果が高い
なんといっても、費用対効果が高いことが導入する1番のメリットでしょう。
まず、費用は、E-mailで定期的なダイレクトメールやイベントの告知を使用する際は、人件費以外はほとんどかかりません。
そのため、数秒あたり数十万円やの広告費や時には数百万円もの製作コストを要するテレビCMなどのマスマーケティングに比べると、圧倒的に費用を安く抑えられます。
そして、やみくもに不特定多数のユーザーにアプローチするのではなく、すでに興味を持っているターゲットに絞ってプロモーションするため、いわゆる「無駄うち」がなく、成功率が高いのも特徴です。
そのため、マーケティングや営業活動の費用を削減しながらも、利益を上げられる非常にコストパフォーマンスの高いマーケティング手法として認知されています。
効果を測定しやすい
数値で効果測定をしやすいのも大きなメリットです。
Emailでダイレクトメールなどの販売促進をした場合、メールが開封された確率、さらにそこから何パーセントが企業のHPにアクセスしたかなどが数字で解析、可視化できます。
また、はがきやチラシなどの紙媒体でもクーポンコードを記載し、ECサイトで購入する際に入力してもらうようにすれば、使用率の集計も容易です。
そして、これらの効果を検証し、効果の高い時間帯や文面やキャンペーンを把握すれば、PDCAサイクルを回しやすくなり、次回以降より効果的にユーザーにアプローチできるようになります。
このように、データを容易に集計、検証できるのはダイレクトマーケティングならではの魅力と言えるでしょう。
信頼の形成につながる
また、ユーザーと信頼感を形成できるのもダイレクトマーケティングを導入する大きな利点です。
先ほども述べたように、ダイレクトマーケティングの特徴の一つに顧客と双方向的なコミュニケーションを図れる点が挙げられます。
ユーザーと直接コミュニケーションを取ることで商品のフィードバックをもらえることや商品やサービスへの要望を汲み取れるようになるのです。
これらは今後の業務の改善に役立つだけでなく、「また利用したい」という気持ちに働きかけ、リピート率へつながります。
このように、コミュニケーションを通じて親近感や信頼感をユーザーが抱き、結果として長期的に利用してくれるリピーターを育てられるため、互いの顔が見えないECサイトの運営において非常に大きな役割を果たしてくれるでしょう。
場所を選ばない
日本各地、どんな場所に住んでいる人に対してもアプローチできるマーケティング手法であることも魅力の一つと言えるでしょう。
ECサイトは店舗を持たない分、知名度がアップすれば全国各地、そして運用方法次第では海外にも販売でき、住所を問わずユーザーを取り込めるのが特徴です。
そして、ダイレクトマーケティングも既存顧客層を分析し、セグメントで絞り込めば住所を問わずプロモーションでき、すぐに消費行動に誘導できるためECサイトの運営には非常に適しています。
本来なら全国への店舗拡大は高い費用を必要とする作業であり、店舗の実績がなければ難しいステップでありますが、ダイレクトマーケティングを導入すれば低コストで全国へファン層を拡大できるのです。
ダイレクトマーケティングのデメリット
このように低コストで場所を問わず多くのユーザーにアプローチでき、さらに効果を検証しやすいダイレクトマーケティングは既存のユーザーに訴求する非常に有効な手段です。
ECサイトを運営するにあたり、リピーターを獲得し安定した収益を上げるためには欠かせない手法といっても過言ではないでしょう。
しかし、非常便利で効果の高いマーケティング手法である反面、利用するデメリットも存在します。
2つに分けて紹介するのでご覧ください。
長期的な施策が必要になる
すぐに効果が出ないために、長期的なスパンで計画を立てなければならないのもデメリットの一つです。
マーケティングを有効にするための重要な要素の一つに、PDCAサイクルがあります。
PDCAサイクルとは、
・Do(実行)
・Check(評価)
・Action(改善)
の頭文字を取ったもので、管理業務において計画から改善までを一つのサイクルとして考え、効率化を図る方法です。
PCDAを繰り返すことでマーケティングの精度が高まり、検証で得たデータは今後の別のプロジェクトの施策にも大いに役立てられます。
ダイレクトマーケティングはこのPDCAサイクルを回して、検証や評価を重ね、効果的にアプローチできる時間などを掴めるまで長期的に施策する必要があります。
すぐにリターンがないことがネックです。
アプローチ方法を変える必要がある
ターゲットを絞り訴求でき高確率でリターンを得られることがメリットのダイレクトマーケティングですが、その分ターゲットによってアプローチ方法を変わる手間がかかるのもデメリットに挙げられます。
不特定多数に向けてアプローチするマスマーケティングのように一つの広告を作成するのではなく、年齢や性別などあらゆるターゲットにアプローチをかけるために広告を変える必要が出てくるのです。
また、SNSマーケティングにおいては、それぞれのSNSの特性や使用するユーザーの年齢層を考慮して、同じ広告を出すのではなく、媒体ごとに投稿内容を変える企業が多く見受けられます。
このように、一つのプロモーションにおいても、数種類のプランを用意する必要が出てくるケースも考えられるため、その分の工数がかかるのはネックとなります。
ダイレクトマーケティングを導入している企業
効果が出るまで時間を要し、さらにターゲットごとに異なる手法でアプローチしなければならないというデメリットもあるダイレクトマーケティングですが、費用対効果を考えれば導入するメリットは十分にあります。
実際にダイレクトマーケティングを取り入れ、高い効果を発揮している企業を3つ例にして挙げましょう。
大手ECサイト運営企業はどのような手法を用いているのでしょうか?
ダイレクトマーケティングを導入する際はモデルケースとして参考にしてください。
Amazon
米国のワシントンを本拠地とするAmazonは、1995年の創業からeコマースの先駆者としてトップを走り続けている誰もが知る大企業です。
数々のECサイトが誕生する中でもリーディングカンパニーとして成長し続けられているのは、豊富な品揃えやカスタマーサービスだけでなく、ダイレクトマーケティングにも一因はあるでしょう。
Amazonはダイレクトマーケティングの中でもメール配信に力を入れている企業として知られています。
定期的にユーザーのメールアドレスに購入履歴から割り出したおすすめ商品を紹介する手法はまさにダイレクトマーケティングです。
同じものを定期購入すれば割り引きを得られるサービスや同じ商品を買ったユーザーはこんなものを購入しているというデータの検証から得た商品を提示するなどして、新たな消費行動につなげることで、固定ファンの獲得に成功しています。
楽天
日本で1997年に創業した楽天も、日本だけでなく世界に市場を広げるECサイトのリーディングカンパニーの一つです。
楽天は数々の専門小売ショップを傘下に持ち、サイトを通じて消費者に提示し、購買時に加算される自社ポイント率がアップするキャンペーンを定期的に打ち出すなどして成功を収めています。
楽天もAmazonと同様にECサイトですが、マーケティングの手法は異なります。
楽天の場合は主にSNSマーケティングに力を入れているのが特徴です。
楽天は公式LINEから友達に追加して人のみに与えられる限定のクーポンやキャンペーン情報を配信しています。
また、公式キャラクターのスタンプも好評で、さらに楽天カードや楽天モバイルなどの自社の関連事業と紐付けたキャンペーンでも成功を収めています。
ZOZOTOWN
ZOZOTOWNは1998年に日本で創業された、アパレルに特化したECサイトです。
アパレルの小売りの商品を受託しZOZOTOWN側のノウハウで販売することで、受託販売代を受け取り、高い利益率を得て成長しました。
ZOZOTOWNは既存顧客に対してメールを用いて「特定のブランドが期間限定で〇円引きになる」などのクーポン券の配布を頻繁に行うことで購買意欲を高めて言います。
また、LINEの公式アカウントやアプリに商品のお気に入りを登録すると「残り〇点になった」という在庫状況を提示し、射幸心を煽り消費行動につなげるなどの施策も成功しています。
さらに、自社が運営する「WEAR」というユーザーの私服を投稿するアプリに自社商品のリンクを貼る機能を搭載することで、コーディネートを見てほしいと思えばすぐ購買につなげるシステムも構築しました。
このように、ユーザーのニーズをうまく汲み取る斬新なマーケティング手法を生み出すZOZOTOWNは日々成長を続けています。
まとめ
ダイレクトマーケティングの主な手法や導入する際のメリットやデメリット、効果を上げている企業の実例などについて話しました。
新しい生活様式の普及に伴い、ECサイトで物品を購入する層が拡大したことを受け、今後ダイレクトマーケティングはますます重要な役割を担うことが予想されます。
そのためにPDCAサイクルを回し検証を重ね、アプリやSNSを効果的に使用したうえでさまざまな角度からユーザーに向けてアプローチしていきましょう。