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早期再就職支援等助成金の支給条件と対象者を徹底確認!

人員整理を検討する企業にとって、「どのように従業員の再就職を支援し、円滑な退職とその後の雇用安定を実現できるか」は重要な課題です。

そこで注目されているのが、早期再就職支援助成金です。

この制度は、単なる「離職者への支援」にとどまらず、企業が前向きに人材移動を進めるうえで活用できる支援策であり、再就職支援会社への委託や雇用者側への助成を通じて、スムーズで納得感のある人員整理を後押しします。

本記事では、「雇入れ支援」「再就職支援」「中途採用拡大」それぞれのコースについて、支給対象者の条件や金額、支給期間、手続きの流れまでを網羅的に解説します。

自社の状況に合った使い方ができるかどうか、この記事を通じて明確にしましょう。

さらに、制度を活用した企業の成功事例や、単なるコスト削減ではない「雇用戦略」としての使い方にも触れていきます。

「この制度なら使えるかもしれない」と感じた方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

早期再就職支援助成金とは何か?

人員整理や再編を進める企業にとって、従業員の再就職支援は重要な責務となります。そこで活用したいのが「早期再就職支援助成金」です。

この制度は、企業が離職予定者の早期再就職を支援する取り組みに対して、国が経費の一部を助成するもので、主に3つのコースに分かれています。

▼雇入れ支援コースの内容と対象者条件

「雇入れ支援コース」は、早期退職者や事業再編による離職予定者を新たに雇い入れた事業主に対して支給されるコースです。

対象となるのは、離職前に雇用保険に加入していた者で、一定の年齢や就職困難者要件などに該当するケースでは加算措置も受けられます。

特に、45歳以上の労働者や女性・障害者を雇用した場合、助成額が増額される仕組みとなっています。

▼再就職支援コースとは何か(職業紹介委託/休暇付与/訓練実施)

再就職支援コースは、企業が離職予定者の再就職活動を積極的に後押しするための支援策です。

具体的には以下のような取り組みが対象になります。

・職業紹介事業者への再就職支援委託費
・再就職活動のための特別休暇の付与に伴う費用
・職業訓練・スキル習得のための外部研修の実施費用

これらの活動にかかる費用の一部が助成されるため、企業としては「円満な退職と次のキャリアへの橋渡し」が実現しやすくなります。

▼中途採用拡大コースの概要と対象業種・規模

このコースは、再就職希望者を積極的に採用する側の企業向けです。

特に人手不足分野の中小企業や成長産業の企業に対して、再就職者の受け入れを促進する目的で助成金が支給されます。

たとえば、介護・IT・建設などの分野で人材を受け入れた企業が対象となり、雇用継続の条件を満たすと支給が確定します。

助成金を活用して「前向きな退職支援」を実現

早期再就職支援助成金は、「人員削減=ネガティブ」という印象を変えうる制度です。
企業側の財政負担を軽減するだけでなく、労働者のキャリア再構築を後押しする仕組みが整っているため、「離職後を見据えた前向きな支援」が可能になります
従業員と企業の双方にとって納得のいく再スタートを実現するためにも、制度の内容をよく理解し、自社に合ったコースを選定・活用していきましょう。

支給金額・助成率・支給期間の具体的内容

早期再就職支援助成金は、対象となるコースや支援の内容に応じて、支給額・助成率・支給期間が大きく異なります

単に「制度がある」という認識だけでは不十分であり、自社の状況に照らしてどの支援がどれくらいの金銭的支援になるのかを把握することが重要です。

ここでは、3つの主要なコースごとに支給内容の違いを整理して解説します。

雇入れ支援コースの助成額(通常・優遇区分)

雇入れ支援コースでは、離職予定者や再就職困難者を新たに採用した企業に対して、一定額の助成金が支給されます。
支給額は以下の通りです。

・通常区分(一般的な対象者) – 1人あたり60万円
・優遇区分(高年齢者・障害者・女性など) – 1人あたり90万円

助成金は、雇用後6か月または12か月の継続雇用を条件に分割して支給されることが多く、企業の雇用安定化施策として有効に機能します。

特に離職予定者の年齢が高く、再就職が困難なケースでは、優遇区分を活用することでより高い支援を得ることが可能です。

再就職支援コースにおける委託費用・休暇付与・訓練実施の助成率と上限額

再就職支援コースでは、企業が離職予定者に対して行う再就職支援の取り組みに応じて、実費の一定割合が助成対象となります。

・職業紹介の委託費 – 委託費の3分の2(中小企業は上限40万円/人)
・再就職活動用の特別休暇付与 – 対象者1人あたり最大10日分の給与相当額
・職業訓練実施(外部委託含む) – 訓練費用の2分の1(上限40万円/人)

これらは実施の都度、支給申請を行う形になりますが、「費用がネックで十分な支援ができない」という課題を解消する助成制度として効果的です。

中途採用拡大コースでの支給額(45歳以上等の特例条件を含む)

中途採用拡大コースは、再就職支援を目的として他社を離職した人材を積極的に採用する企業向けの支援です。特に、以下のような条件を満たす場合に助成金が支給されます。

・対象者1人あたりの基本助成額 – 60万円
・特例加算(45歳以上の採用など) – 90万円

支給条件として、採用後6か月間の継続雇用が求められます。

さらに、対象分野としては介護・IT・製造業など、人手不足が深刻な業種が重点支援の対象となっており、支援額にも柔軟な加算措置があります。

助成金の「具体的な金額」を知れば制度活用が一気に現実的に

制度の名前や概要だけでは、企業として「本当に活用すべきか」の判断はつきません。
支給額・助成率・支給期間といった具体的な数字を理解することで、自社にとってのメリットが明確になり、制度活用への一歩を踏み出しやすくなります。
人材戦略の一環として、早期再就職支援助成金を実利的に活かすことが、企業の信頼と持続的な雇用バランスを支えるポイントとなるでしょう。

受給のための対象者と支給条件

早期再就職支援助成金を受給するには、単に制度の存在を知っているだけでは不十分です。

「誰が対象になるのか」「どんな雇用形態が必要なのか」「事業主はどんな要件を満たすべきか」といった条件を具体的に理解しておく必要があります。

このセクションでは、受給の可否を左右する3つの基本条件を詳しく解説します。

対象となる労働者の要件

この制度の対象となるのは、人員整理などにより離職予定、または離職した労働者です。

具体的には、次のようなケースが該当します。

企業都合による離職が予定されている正社員
希望退職制度に応募し、退職することが確定している労働者
高年齢者や再就職困難者とされる労働者(条件により優遇対象)

注意すべきは、自己都合退職者や懲戒解雇者は対象外となる点です。

また、制度によっては、離職前から再就職支援の計画が提示されていることが条件となる場合もあります。

雇用形態の条件

助成金の支給対象となるためには、労働者の雇用形態にも一定の基準が求められます。

基本的にはフルタイムの正社員を対象としていますが、コースによっては以下のように柔軟な適用も可能です。

・中途採用拡大コースでは、短時間正社員や契約社員でも対象になるケースあり
雇入れ後に6か月以上の継続雇用が見込まれることが条件
雇用保険の適用を受けている必要がある

このように、単に採用するだけでは要件を満たさず、雇用の安定性が求められる点が重要です。

事業主側の条件

助成金を申請する企業側にも、一定の条件が設定されています。主なものは以下のとおりです。

離職者の発生や採用に関する計画書をハローワークへ提出していること
離職者への職業紹介委託・訓練の実施・休暇付与など、一定の支援措置を講じていること
支給申請に際して、支援内容の証明書類や雇用契約書、賃金台帳の提出が求められる

さらに、法令違反や助成金の不正受給歴がある企業は対象外となるため、日頃の労務管理体制も問われる点に注意が必要です。

誰が「対象者」かを正確に押さえてチャンスを逃さない

制度を活用できるかどうかは、対象労働者・雇用形態・企業要件の三位一体で決まるといっても過言ではありません。
支給の可能性があるのに「自社は関係ない」と見過ごしてしまうのは大きな機会損失です。
早期再就職支援助成金の活用は、単なるコスト支援にとどまらず、企業の社会的信頼や再スタートを支える重要な施策
まずは、対象要件に合致しているかをしっかり確認することから始めましょう。

申請手続きと実施時の注意ポイント

早期再就職支援助成金を有効に活用するには、支給対象者や条件を満たすだけでなく、正確な申請書類の準備とタイミング管理が不可欠です。

制度自体は非常に有用ですが、書類の不備や申請時期の遅れによって支給されないケースも多く見られます。

このセクションでは、助成金の申請に必要な書類・手続きの流れ・注意すべき制限についてわかりやすく解説します。

必要な計画書類と提出タイミング(再就職援助計画/求職活動支援書)

まず大前提として、助成金を利用するには事前に計画書の提出が必須です。

企業側が離職予定者に対して再就職支援を行う場合は、以下のような書類が必要です。

・再就職援助計画書 – 離職の予定人数や対象者の支援内容を記載し、離職の1か月前までにハローワークへ提出
・求職活動支援書 – 個別の支援実施状況や実施期間を記載する補足書類。支援実施中や終了後に提出されることが多い

これらは提出のタイミングを逃すと申請そのものが無効になるため、離職者の発生が確定した時点で、早めに準備しておくことが重要です。

雇入れ後・訓練後・再就職実現後の申請フロー

申請は「支援の実施」または「雇入れ」の完了後に行う後給付型です。

具体的には以下のような流れになります。

【雇入れ支援コース】
採用日から6か月経過後に支給申請(継続雇用が前提)
【再就職支援コース】
職業紹介や訓練・休暇などの支援を完了後に実績を報告し、費用の助成を申請
【中途採用拡大コース】
雇入れ後6か月の雇用維持を確認した上で申請。要件を満たす期間を経た後の申請となる点に注意

どのコースも、「支援→完了→申請」という順序を守ることが重要であり、途中で支援が中断した場合は不支給となるケースもあるため、慎重な実施が求められます。

支給申請期限・年度当たりの申請上限人数などの制限事項

制度を活用する際には、申請期限と人数制限のルールも押さえておく必要があります。

支援完了・雇入れ日から2か月以内に申請する必要あり
(例:6月1日に雇用開始 → 8月1日までに支給申請)
年度ごとの申請人数上限あり(1事業所あたり30人程度 ※年度により変動)
書類提出の遅れや不備があると、受理されず不支給となるリスクが高い

このように、制度活用には計画的なスケジューリングと管理体制が不可欠です。

特に複数名の雇入れや支援を行う場合には、進捗を記録・整理する体制づくりが成功のカギとなります。

計画から申請まで“期限と順序”がカギを握る

早期再就職支援助成金は、企業にとって人材整理を円滑に行いながら、社会的責任を果たせる貴重な制度です。
しかし、計画書の事前提出・申請のタイミング・支給要件の遵守といった要素を怠ると、活用が困難になります。
逆に言えば、これらをしっかり管理できる企業は、人材流動においても柔軟で戦略的な組織運営が可能になります。
助成金を無駄にしないためにも、制度の「流れと期限」を徹底的に理解したうえで、実施計画を立てていきましょう。

早期再就職支援助成金を「雇用戦略」として活かす視点

企業が早期再就職支援助成金を活用する場面は、単なる経費補填のためではなく、人材マネジメントの一環としての活用が求められています。

とくに近年では、働き方改革や人的資本経営が注目されるなかで、「離職=損失」ではなく、「再就職支援=企業価値の向上」という視点が重視されつつあります。

ここでは、助成金を戦略的に位置づける考え方について解説します。

▼単なるコスト削減ではなく、人材循環を見据えた制度活用

早期再就職支援助成金は、従業員の再就職を企業が主体的に支援することで、職業紹介や訓練、休暇付与などの支援費用を補助してくれる制度です。

しかし本質的には、単なる経費削減の手段としてではなく、企業の雇用調整における“責任ある出口戦略”として捉えるべきものです。

たとえば事業再編や人員整理を実施する際、従業員に何の支援もなく離職してもらうのではなく、再就職までの支援を行うことで、企業への信頼や社会的評価が大きく向上します

これは外部へのイメージアップだけでなく、社内の既存社員に対しても「この会社は最終的まで人を大切にしている」という安心感をもたらします。

また、助成金の活用を通じて得られるのは金銭的メリットだけではありません。

再就職支援の委託や訓練の仕組みを整えることが、将来的な人材採用・教育の基盤づくりにもつながるのです。

特に大規模な再編や新規事業展開を計画している企業にとっては、“離職を戦略的にマネジメントする”仕組みの構築という視点が不可欠です。

さらに中途採用拡大コースのように、新たに中高年齢者を受け入れる支援にも活用できるため、人材の流動性を高め、企業内外での循環を生む仕組み作りにもつながります

一見“退職”に関する制度であっても、採用・育成・再配置を含めたトータルな人材戦略に内包できる制度であることが見逃せません。

助成金は「人材の出口戦略」だけでなく「未来戦略」にもなる

早期再就職支援助成金は、単なるコストの補填手段ではなく、企業が“どう人材と向き合うか”を示す戦略的ツールです。
企業の人員構成を見直す局面において、丁寧な再就職支援を行うことで、労使関係の維持、企業ブランドの向上、社内の心理的安全性の確保といった副次効果も得られます。
今後の人的資本経営を見据えた際には、「雇う」だけでなく「送り出す」責任を果たす仕組みこそが、本当の意味での持続可能な雇用戦略といえるでしょう。

制度を知ることが第一歩、前向きな人員戦略へとつなげよう

早期再就職支援助成金は、「人員整理」というネガティブに捉えられがちな局面においても、企業と従業員双方が前を向ける選択肢を提供してくれる制度です。

単なる補助金ではなく、雇用調整のプロセスにおいて社会的責任を果たし、信頼を得ながら企業変革を進める重要なツールといえるでしょう。

再就職支援・雇入れ支援・中途採用支援と、複数の角度から支援メニューが設計されているため、自社の状況に応じた柔軟な活用が可能です。

「人を切る」ではなく「人の未来も考える」戦略へとシフトすることで、組織全体の風通しや、長期的な人材戦略にも好影響をもたらします。

もし今、事業再編や人員見直しを検討しているのであれば、まずは制度を正しく理解することが第一歩です

ぜひ社内で検討を進め、“人に優しい変化”を実現するための前向きな選択肢として、この助成金制度を有効に活用していきましょう。

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