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CEV補助金とは?支給額・対象車種・受取額の目安をわかりやすく紹介

近年、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)など、環境に優しい次世代自動車への関心が高まる中、その導入を後押しする制度として注目されているのが「CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)」です。

ただしこの補助金は、車種や契約形態、購入時期、使用方法などにより受け取れる金額が大きく異なるため、「自社が対象になるのか」「いくらもらえるのか」「どうやって申請するのか」が分かりづらいという声も少なくありません。

この記事では、CEV補助金の基本情報から対象車種・申請条件・金額目安、申請の流れ、そして実際の補助金額シミュレーションまでを網羅的に解説。

加えて、国の補助と自治体の補助金の併用例や、購入後の維持費まで含めた“実質コスト”の考え方にも触れています。

読み終えた後、「自分(あるいは自社)がこの補助金の対象になるのか判断でき、次のアクションへ進む自信が持てる」よう、分かりやすく丁寧にまとめました。

これからEVなどの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

CEV補助金とは(目的・制度の背景)

CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)は、電動車両の普及と脱炭素社会の実現を目的とした国の補助制度です。

経済産業省と環境省の支援を受け、次世代自動車の購入や導入をサポートするもので、対象車種や契約形態によって補助額が異なるのが大きな特徴です。

ここではまず、この制度の対象となる車種や購入主体について詳しく解説し、自社や個人が補助金対象に該当するかどうかの判断材料を提供します。

▼対象車種|EV・PHEV・FCVなどどの車種が含まれるかの詳細

CEV補助金で対象となるのは、環境性能に優れたクリーンエネルギー車両で、具体的には以下の4種が代表的です。

・EV(電気自動車)
完全電動で走行し、排出ガスがゼロ。日産リーフ、テスラ、BYDなどが代表例。
・PHEV(プラグインハイブリッド車)
電動モーターとエンジンの両方を備え、充電して一定距離のEV走行が可能。三菱アウトランダーPHEVなど。
・FCV(燃料電池自動車)
水素を燃料として発電し、モーターで走行。トヨタMIRAI、ホンダクラリティなどが該当。
・クリーンディーゼル車・LPG車など(一部条件付き)
一部の事業用車両や貨物車については、排ガス性能が一定基準を満たすクリーンディーゼル車も対象になることがあります(地域や用途により異なる)。

なお、補助金対象として認定されているかどうかは、CEV補助金の公式サイトにある「補助対象車両一覧」で確認するのが確実です。

年ごとに登録車種は更新されるため、購入前に必ずチェックしておきましょう。

▼申請できるのは誰か(個人・法人・リース契約者など)

CEV補助金は、法人・個人を問わず、広く申請可能な制度です。ただし、申請者の立場や契約形態によって提出書類や要件に違いがあります。

・個人購入者
一般消費者が対象車を新車で購入する場合も申請可能。
申請者本人が所有者・使用者となる必要があります。
・法人・事業者
社用車や営業車として導入する企業も対象です。
リース・カーシェア・運輸事業など多様な用途に対応しています。
・リース契約者・リース会社
リース契約でも補助金を活用可能です。
ただし、リース会社が申請主体となり、車両の名義・用途・契約条件に応じた条件を満たす必要があります。

また、車両の登録日や保有期間などのルールを守る必要があるため、「誰が申請するのか」と「どのような形で導入するのか」の両方が補助金の可否に直結します。

法人・リース契約者が申請する場合には、車両が実際にクリーンエネルギーの普及や環境負荷の低減に寄与していることが明確であることも求められるため、単なる名義取得目的では対象外となる場合もあるので注意が必要です。

補助金対象かどうかの第一歩は「車種と申請主体の確認」から

CEV補助金を活用するには、まず購入(導入)予定の車両が対象に該当するかどうか、そして申請者自身が補助金対象として認められる立場かどうかを確認することが重要です。

EV・PHEV・FCVといった先進車両だけでなく、法人・個人・リースなど多様な契約形態でも申請できる柔軟性がある一方、制度の細かい要件や条件を満たしていないと補助金が受け取れない可能性もあります

次のステップとして、自分が購入したい車両・契約形態がCEV補助金の対象になるか、公式サイトや販売店での確認をおすすめします。

支給額の上限・金額目安

CEV補助金を活用するうえで、もっとも気になるのが「一体いくらもらえるのか?」という支給額の具体的な目安です。

車両タイプや契約内容によって大きく異なり、条件によっては上乗せの加算も受けられます。

このセクションでは、車種別の支給上限額に加え、GX推進や再エネ活用などによる加算制度、定価や価格係数によって変動するケースについても詳しく解説します。

車種別の上限額(EV・軽EV・PHEV・FCVなど)/年度による変動含む

CEV補助金は、車種ごとに支給上限額が明確に定められており、導入年度によって変動がある点に注意が必要です。

以下は、2024年度の実績をもとにした車種別の支給上限額の目安です(※一部自治体補助金と併用不可な場合あり)。

車種区分上限金額(2024年度目安)
普通乗用EV(バッテリーEV)最大 65万円程度
軽EV(軽自動車サイズ)最大 55万円程度
PHEV(プラグインハイブリッド)最大 45万円程度
FCV(燃料電池車)最大 250万円(トヨタMIRAIなど)

※補助額は導入年や予算状況により毎年見直されるため、最新の交付要綱や補助金リストで確認することが必須です。

加算措置(GX推進・鋼材の利用など)による補助額上乗せ条件

CEV補助金は基本額に加え、一定の条件を満たすことで加算措置が適用され、補助額が上乗せされる仕組みもあります。

主な加算条件は以下の通りです。

・GX(グリーントランスフォーメーション)推進要件
再生可能エネルギー100%の電力を活用したり、EVと連携する太陽光・V2Hシステムの導入などが条件。
上限10万円前後の加算が見込めます。
・国内製鋼材・リサイクル材の活用
製造過程においてCO₂排出の少ない鋼材を使っている車種に適用されるケースがあり、追加で数万円〜十数万円の上乗せも。
・高性能バッテリーやインフラ貢献型EV
例えば外部給電機能を備え、災害時の電力供給に役立つと評価されるEVなどには、特別加算枠が設けられることもあります。

加算措置は年ごとに評価基準が変わる可能性があり、車両選定時点で販売店やメーカーに「加算対象かどうか」を確認するのが賢明です。

定価基準・価格係数が影響するケース

CEV補助金は車両のスペックやカテゴリだけでなく、「定価や販売価格」によっても補助金額が調整される仕組みになっています。

具体的には以下のようなパターンが影響します。

・高額すぎる車両は補助対象外となる場合がある
たとえば「1,000万円を超える高級EV」は、実用車普及という補助金の趣旨に合わないため、補助金対象から除外されることも
・定価に対して価格係数(補助金算出の係数)が設定される
価格に応じて「0.9倍」や「0.8倍」といった調整が加えられ、満額ではなく一部減額されることもある
・法人・リース契約の場合はリース料に応じた算出
車両の販売価格ではなく、リース契約における月額や残価設定などに基づき、「実質的な購入価格」をもとに補助額が決定される。

このように、「スペックが良ければ必ず満額」ではないのがCEV補助金の複雑な点です。価格係数などを加味した補助額のシミュレーションは販売店で事前に相談するのが確実です。

支給額の目安は車種+加算条件+価格で大きく変動

CEV補助金の支給額は、「車種」だけでなく、「加算措置の有無」「車両価格や契約形態」によっても大きく左右されます。

EVであれば50万〜65万円前後、軽EVでも最大55万円の支援が受けられる可能性があり、条件次第ではさらに加算が期待できるのがこの制度の魅力です。

しかし、補助金の支給額は毎年度の制度変更や予算状況で変わるため、購入前に必ず最新の情報を入手し、必要に応じて申請支援サービスや販売店と相談することが成功のカギとなります。

申請条件・受け取るための要件

CEV補助金を申請すれば誰でも必ず受け取れるわけではなく、いくつかの明確な条件を満たす必要があります

特に「登録日」「保有年数」「新車かどうか」といった基本的な要件は見落とされがちですが、重要なチェックポイントです。

このセクションでは、CEV補助金の申請条件を満たすために必要なポイントを3つに絞って具体的に解説します。

新車登録または届出の期間条件(登録日がいつ以降か)

CEV補助金の申請対象となるためには、対象年度の交付要綱に定められた「登録日(または届出日)」以降に登録された車両であることが必須です。

たとえば、2024年度の場合、「2024年4月1日以降に新車登録された車両」であることが要件となります。

これより前の登録では、たとえ新車であっても補助金の対象外となってしまうため注意が必要です。

また、以下のようなケースでは適用対象外となります。

登録は4月以前で、申請は4月以降に行った
一度登録済みの在庫車を名義変更して納車した
リース車であっても契約日が対象期間外

つまり、「いつ登録したか」「いつ届出をしたか」が重要であり、納車時期だけで判断せず、事前に販売店と登録スケジュールを確認することが大切です。

保有義務期間と処分制限の設定

補助金を受け取ったあとには、一定期間その車両を所有し続ける義務(保有義務期間)が発生します。これを守らないと、補助金の返還を求められる可能性があります。

通常、CEV補助金では「3年間」の保有義務期間が設定されています。

期間中は以下のような行為が禁止されます。

売却や譲渡(名義変更)
廃車(事故・災害など例外を除く)
登録抹消

リース契約の場合も、契約期間が3年未満であれば補助金対象外となる場合があるため、契約期間や満了条件もチェックが必要です。

また、引っ越しなどによる名義変更・管轄変更も基本的には制限されており、どうしても処分が必要な場合にはCEV補助金事務局への届け出と許可が必要です。

初度登録車であること、中古車・名義変更車は対象外

CEV補助金は基本的に新車(初度登録車)に対してのみ交付される制度であり、中古車は対象外となっています。

ここでいう「初度登録車」とは、メーカーやディーラーが最初に登録し、使用実績がない完全な新車を指します。

以下のような車両は対象になりません。

中古EVや展示車両(走行履歴がある場合)
一度ナンバー登録されて再販されたもの
他人名義からの名義変更による取得車両

たとえ新古車のように走行距離が短くても、一度でも登録履歴があれば補助金の申請対象からは外れるため、購入時には「この車両は補助対象か?」を確認することが非常に重要です。

リース車両も同様で、契約時点で「新車」であることが明確に確認できる必要があります。

CEV補助金を確実に受け取るには「登録日・保有期間・新車」であることがカギ

CEV補助金の申請には、

・登録(届出)日が年度の要件に合致していること
・保有義務期間を満たす意思があること(3年が基本)
・新車(初度登録車)であること

という3つの基本要件を満たす必要があります

これらの条件を見落とすと、申請できなかったり、せっかく受け取った補助金の返還義務が発生するリスクがあります。

購入検討段階で、対象となる登録タイミングかどうか、保有条件を守れるかを確認し、販売店にも積極的に相談することが成功の第一歩です。

申請手続きの流れと注意点

CEV補助金は、条件を満たすだけでは受給できません。適切な時期に必要な書類を揃え、正確な申請を行うことが不可欠です

実際、申請手続きにおけるミスによって「受給できなかった」「申請が却下された」といったトラブルも少なくありません。

このセクションでは、CEV補助金をスムーズに申請するための流れと注意点を、タイミング・書類・よくあるミスの3つに分けて解説します。

▼申請のタイミングおよび提出期限(日付ベースの期間)

CEV補助金の申請は、車両の登録(または届出)完了後、一定期間内に行う必要があります

そのため、スケジュールの把握と事前準備が重要です。

たとえば、2024年度のCEV補助金(R6年度)では以下のようなスケジュールが定められています。

・申請受付開始日 – 2024年4月1日
・申請受付終了日 – 2025年1月31日(※ただし予算上限に達し次第終了)
・申請期限(車両登録後)登録日から1か月以内が目安

つまり、納車されたらすぐに申請準備に取りかかる必要があるということです。

リース契約や法人所有の場合は、契約書の発行日や登記内容の整備も必要になるため、さらに前倒しで準備することが望ましいでしょう。

▼必要書類の例・オンライン申請の流れ

CEV補助金はオンライン申請が基本で、「CEV補助金ポータルサイト」を通じて手続きを行います。

提出書類は車両の所有形態や用途によって若干異なりますが、主に以下のような書類が求められます。

【個人名義での申請に必要な書類(例)】

・補助金交付申請書(Web上で入力)
・車検証(登録後)
・車両注文書または契約書
・領収書(または支払証明書)
・振込先口座情報(本人名義)
・本人確認書類(運転免許証など)

【法人名義の場合に追加で求められるもの】

・法人登記簿謄本(3か月以内)
・法人名義の通帳写し
・代表者印を押した委任状(代理申請の場合)

オンライン申請では、専用アカウントの作成 → 申請入力 → 書類アップロード → 受付完了メール受信という流れで進みます。

全てのデータはPDF形式で提出する必要があり、ファイル名やファイルサイズにも制限があります。

▼申請時のよくあるミス・見落とし(登録日ミス・定価表示・所有者表示など)

申請時に最も多いトラブルは、提出書類の記載ミスや条件不一致による差し戻しや却下です。特に注意したいポイントを以下に整理します。

・登録日(または届出日)が対象期間外だった
 → 交付要綱を見落とし、前年度登録の車両を申請してしまうケース
・申請時に使用した価格が「メーカー希望小売価格(定価)」でなかった
 → 補助金の基準は「定価」ベースのため、値引き後価格で申請すると却下の恐れ
・申請者と車検証の「所有者」が一致していなかった
 → 法人やリース車で名義人が別になる場合、委任状や証明書類が必要
・銀行口座名義と申請者名が一致していない
 → 夫婦名義や旧姓口座での申請ミスも多く見られる
・PDFの解像度やファイル形式に不備があった
 → 書類が読み取れず、受付そのものが無効になることも

このようなミスは、ほんのわずかな確認漏れで数十万円の補助金を失う結果にもなり得るため、申請前にチェックリストを用意して二重チェックを行うことが重要です。

正しいスケジュールと丁寧な確認が受給成功の鍵

CEV補助金の申請では、

・納車後すぐに手続きを進めるスケジュール感
・漏れのない書類準備とオンライン操作の正確さ
・よくあるミスを事前に防ぐチェック体制

が成功のポイントとなります。

申請期限は短く、予算上限によっては早期終了の可能性もあるため、納車前からの準備と販売店との連携が鍵となります。

受け取れる金額の実例・車種別シミュレーション

CEV補助金は「EVやPHEVを買うと数十万円もらえる」と言われますが、車種によって補助額には大きな差があります

補助額の上限だけでなく、価格係数や加算措置の有無、定価の違いも影響するため、車種ごとのシミュレーションがとても重要です。

このセクションでは、実際に販売されている車両をもとに、受け取れる補助金額の目安を車種別に比較し、購入を検討している方が具体的にイメージできるように整理しました。

人気EV車種(例:日産サクラ/テスラモデル3)での補助額比較

補助金の対象となるEVの中でも特に人気が高いのが、日産サクラ(軽EV)やテスラ・モデル3(輸入車EV)です。

ここでは、それぞれの代表車種での補助金額を比較してみましょう(2024年度・令和6年度基準、GX加算なし)。

車種名メーカー希望小売価格補助金額(目安)
日産サクラ約235万円約55万円
テスラ モデル3約539万円〜約65〜75万円
ホンダ e約460万円約60万円
BYD DOLPHIN約363万円約60万円

テスラ モデル3のような輸入車や高額EVは「価格係数」が適用されやすく、補助額が最大枠から減額されるケースもある一方、日産サクラのような軽EVでも適正価格であれば高率で補助が出る傾向があります。

軽EV・ミニカーなどの小型車での補助額例

軽EVや超小型モビリティ(ミニカー区分)は、車両価格が抑えられているため、補助金額も比較的少額になりますが、車両本体価格に対する補助割合は非常に高いのが特徴です。

以下に、軽EVと超小型車の補助金例を紹介します。

車種名区分定価(税込)補助額(目安)
三菱 eKクロス EV軽EV約260万円約55万円
日産サクラ軽EV約235万円約55万円
コムス(トヨタ車体)ミニカー(1人乗りEV)約80万円約20万円

軽EVは補助率が20%を超えるケースもあり、実質価格を200万円以下に抑えることが可能です

また、法人利用やリース契約でもこの区分は人気があります。

FCVや高額車種での補助額・価格係数の適用例

燃料電池車(FCV)や高額EV車は、価格が700万〜800万円を超えることもあり、補助額の最大枠(80万円)に届く場合がある一方で、「価格係数」の減額対象となる場合もあります。

たとえば、以下のような車両ではその影響が顕著です。

車種名種別定価(税込)補助額(目安)
トヨタ MIRAIFCV約700万円約80万円(上限適用)
テスラ モデルSEV(輸入車)約1200万円約45万円(価格係数により減額)
ヒョンデ IONIQ5EV(輸入車)約600万円約60万円程度

ポイントは、車両の販売価格が高すぎると「定価÷価格係数」で補助金が圧縮される仕組みになっている点です。

そのため、高級EV=高額補助とは限らないという点を理解しておく必要があります。

「どの車を選ぶか」で補助金額は大きく変わる

CEV補助金は、単に「EVなら〇万円」といった単純計算ではなく、

・車種ごとの定価
・価格係数の影響
・FCV/PHEV/軽EVなどの区分別上限
・GX加算措置の有無

など複数の要素が絡みます。
購入予定の車種が「何円の補助対象になるのか」を事前に試算することが、後悔しない選択の第一歩です。

自治体補助との併用・実質負担額がどうなるか

CEV補助金は、国からの交付に加え、地方自治体が独自に用意している補助金と併用可能なケースもあります。

たとえば東京都・神奈川県・愛知県・大阪市などでは、購入者の住まいや法人の所在地によって、数万〜数十万円の上乗せ補助を受けられる場合があります。

ここでは、自治体補助との併用による実質負担額の変化や、購入後に想定されるコストへの影響を具体例とともに整理します。

国のCEV補助金+自治体補助金を重ねるケースの具体例

CEV補助金は国が実施する制度ですが、地方自治体が独自の補助金制度を上乗せすることで、購入者の自己負担額をさらに軽減できるのが魅力です。

以下、主な事例を紹介します。

〈東京都の例〉(令和6年度)

・CEV補助金(国) – 最大65万円(EV車)
・ゼロエミッション補助金(都) – 最大60万円(個人)/最大75万円(法人)
・合計最大125~140万円の補助が可能

〈愛知県の例〉(名古屋市)

・国 – 最大65万円
・県 – 最大10万円
・市 – 最大10万円
・合計 – 最大85万円前後の補助

〈大阪市の例〉

・国 – 最大65万円
・市 – 最大15万円
・合計 – 約80万円の補助が可能

このように、地域によっては合計100万円以上の補助が受けられる場合もあります

ただし、予算額に上限があり、早期終了するケースもあるため早めの確認が重要です。

補助金を入れた後の実質価格(車両価格 − 補助+税など)シミュレーション

たとえば、車両本体価格が250万円の軽EV(日産サクラなど)を購入するケースで、実際にいくら負担するのかを試算してみましょう。

【例:軽EV(定価250万円)を東京都在住個人が購入した場合】

項目金額
車両本体価格2,500,000円
国のCEV補助金(軽EVの場合)▲550,000円
都のゼロエミッション補助金(個人)▲600,000円
登録諸費用(税・リサイクル等)+150,000円
実質負担額1,500,000円前後

同車両で他県の場合、国の補助だけなら約195万円の負担になりますが、東京都では補助金の併用で150万円まで圧縮されるケースもあります。

EV車の選択肢が増える中で、この差は大きな判断材料です。

補助金適用後の維持費・補助金返納リスクが実質コストに与える影響

一方で、見落とされがちなのが「補助金を受け取ったあとの維持費や制約によるコスト」です。

1. EV特有の維持費
・ガソリン代は不要でも、充電設備の設置費用家庭での電気代増加が発生する可能性があります。
・車検や整備費は比較的低めですが、バッテリー交換が必要な場合は高額(数十万円)になることも。
2. 補助金の返還リスク
保有義務期間(一般的に3年)を満たさずに売却・譲渡・廃車すると返納対象になります。
・一例として、2年未満で事故車となり廃車した場合、補助金の一部または全額返金が求められることもあります。
3. 任意保険や重量税の優遇終了後のコスト
・初年度はエコカー減税・重量税免除などが適用されますが、3年目以降の維持費は通常車と同様となり、想定より出費がかさむことも。

このように、初期コストだけでなく中長期的な視点で「実質の総コスト」を把握しておくことが重要です。

「今いくら払えばよいか」ではなく「トータルでいくらかかるか」で判断を

自治体との併用によって、EV購入時の負担を50万円〜100万円以上軽減できる可能性があります。
ただし、補助金の対象条件や終了時期、申請書類の整合性など事前に確認すべき点は多岐にわたります

また、維持費・返納リスク・車両の価値変動など、補助金で浮いたお金以上の出費が生じることもあるため、「買う前」だけでなく「買った後のコスト」も想定して選ぶことが賢明です。

実際にどれだけお得?「CEV補助金」で得られる経済的メリットの再検証

CEV補助金は、EVやPHEVなどの次世代自動車の購入時に最大85万円(※車種・条件により変動)を受け取れる国の制度です。

しかし、単に「購入時に値引きされる制度」とだけ理解してしまうのはもったいないかもしれません。

この補助金は、車両購入直後だけでなく、中長期的なコストにもプラスの効果を及ぼす可能性があるのです。

たとえば、燃料費の削減・自動車税の軽減・下取り価格の維持・月々のローン支払額の圧縮など、多くのメリットが複合的に作用します。

ここでは、「CEV補助金によって、5年間で実際にどれだけ得をするのか?」という視点で、具体的な経済的メリットを再検証していきます。

▼購入時だけじゃない、維持費削減と節税効果も期待できる理由

CEV補助金を受け取ったからといって、その効果が「車両本体価格の割引」にとどまるわけではありません。

EVの特徴と補助金制度の税制優遇が組み合わさることで、ランニングコスト面でも有利になります。

1. 燃料費の大幅削減
EVは1kWhあたりの電力で走行できる距離が長く、ガソリン車よりも圧倒的に低コストで走行できます。
とえば日常的に月1,000km走るユーザーであれば、年間10万円以上の燃料費削減も現実的です。
2. 自動車税の軽減・免除
CEV補助金対象車両には、初年度の自動車重量税の免除や、自動車取得税の非課税措置が適用されます。
さらに自治体によっては自動車税(種別割)の軽減もあり購入後1〜2年で合計5万円以上の節税効果が見込まれます。
3. 車検・整備費の節約
EVはエンジンオイルやタイミングベルトなどの消耗部品が少ないため、整備費がガソリン車より抑えられる傾向にあります。
これも中長期的に効いてくる経済メリットです。

▼5年後の下取り・残価に与える影響とは?補助金の“出口戦略”も重要

EV車両のリセールバリュー(残価)については、まだ市場の評価が分かれる段階ではありますが、一部車種では高い残価率を維持している事例も増えつつあります

1. EV市場の拡大と下取り相場
日産リーフやテスラモデル3などは、補助金適用後も一定の人気を維持しており、5年後でも100万円以上の下取り価格がつくケースもあります。
特にバッテリーの劣化が少ない個体や、事故歴のない車両は高評価を得やすいです。
2. 補助金の影響と出口戦略の注意点
ただし、補助金を活用して購入した車両は「3年間の保有義務」が課せられており、それ未満での売却・廃車は補助金返納のリスクがあります
そのため、「購入から4〜5年後に売却する」という出口戦略が理想的です。
3. 新車価格と残価の差額で考える「実質コスト」
例:車両価格350万円、補助金100万円、5年後残価100万円の場合
実質コスト=350万−100万(補助)−100万(下取り)=実質150万円

つまり、実際に負担するのは150万円相当で済む可能性があるということです。

▼補助金を活用したローン・リース支払い軽減シミュレーション

補助金を受けることで、ローンやリースの月々の支払額を抑えることも可能です。

以下にシミュレーション例を示します。

〈前提条件〉

EV車両価格 – 350万円
CEV補助金 – 85万円(仮定)
ローン期間 – 5年(60回)
金利 – 年2.0%

パターン借入元本月額支払(60回)総支払額
補助金なし350万円約61,400円約368万円
補助金85万円適用265万円約46,500円約279万円

このように、月々の返済額が約15,000円も安くなる計算になります。これは毎月の家計への圧迫を大幅に緩和する要素となり、EV導入を後押しする材料になります。

また、リース契約の場合でも、補助金分を月額リース料から差し引いた形で見積もってくれる業者も増えており、実質負担をより明確に把握しやすくなっています。

補助金の価値は「購入時」ではなく「トータルで得られる差額」で見るべき

CEV補助金は、単なる購入支援ではなく、5年間という中期的な視点で大きな経済的メリットをもたらす制度です。

維持費の節約
税制優遇
下取り残価の有利さ
ローン返済の軽減

これらをすべて踏まえると、「100万円以上の価値を持つ補助制度」として評価することも可能です。

EVの選定時には、「いくら安く買えるか」だけでなく、「5年後まで含めてどれだけ得か」を考えることが賢明です。
補助金の条件や対象車両は年度ごとに変わるため、最新の公式情報を常にチェックする姿勢が、失敗しないEV選びの第一歩といえるでしょう。

CEV補助金の活用で、賢くEV導入を進めよう

CEV補助金は、EVやPHEVなどの電動車導入を後押しする制度であり、個人・法人を問わず広く活用できる点が魅力です。

支給額は車種や仕様によって異なるものの、上限額や加算条件、価格係数などの仕組みを理解することで、より的確に予算計画を立てることが可能になります。

また、申請条件や保有義務期間申請時期と書類の整備など、押さえておくべき実務的なポイントも多数あります。

さらに、自治体補助との併用により実質負担額を大幅に抑えられるケースも少なくありません。

補助金は「受け取って終わり」ではなく、長期的なコスト削減や資産価値(下取り残価)への影響、リース・ローンの軽減にもつながる制度です。

補助金の仕組みをしっかり理解し、自社またはご自身の状況に合った賢い選択をすることで、経済的メリットを最大限に享受できるはずです。

次のアクションとしては、自社(自分)が対象となるかを早めに確認し、申請に向けた準備を進めることが重要です。

補助金活用は、単なる節約ではなく、次世代モビリティへの第一歩。ぜひ、積極的に制度を活用してみてください。

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