省人化・省力化のために設備やシステムを導入する中小企業向けの代表的な制度が「中小企業省力化投資補助金」です。
申請方法を確認するときに、最初に知っておきたいのが、「カタログ注文型」と「一般型」で申請手順が異なることです。
カタログ注文型は、補助対象として登録された汎用製品をカタログから選び、登録された販売事業者と共同で申請します。
一方、一般型は、自社の現場や事業内容に合わせた設備・システムの導入計画を作成し、公募回ごとに電子申請する方式です。
2026年9月時点では、カタログ注文型は随時申請を受け付けています。一般型は第8回公募が行われており、申請受付期間は2026年9月18日から10月16日17時までです。
どちらの申請でも、GビズIDプライムの準備が必要です。
この記事では、中小企業省力化投資補助金の申請方法について、カタログ注文型と一般型に分けて解説します。必要書類や採択・交付決定後の手続きまで、申請の流れに沿って確認していきましょう。
省人化・省力化補助金の申請方法は2種類ある

中小企業省力化投資補助金には、
- カタログ注文型
- 一般型
の2つがあります。
どちらも人手不足の解消や生産性向上を目的とした省力化投資を支援する制度ですが、対象となる設備と申請方法が異なります。
まず、自社がどちらを利用するのか判断しましょう。
| 比較項目 | カタログ注文型 | 一般型 |
| 主な対象 | カタログ登録済みの汎用製品 | 個別の現場に合わせた設備・システム |
| 申請方法 | 販売事業者との共同申請 | 事業者が応募申請 |
| 募集方法 | 随時受付 | 公募回制 |
| 計画作成 | 販売事業者と共同 | 自社で事業計画を作成 |
| 補助上限 | 最大1,500万円 | 最大1億円 |
| 向いているケース | 登録済み製品を導入したい | 複数設備や個別システムを組み合わせたい |
カタログ注文型は登録製品を選び販売事業者と共同申請する
カタログ注文型は、省力化効果が認められている汎用製品を公式の製品カタログから選んで導入する方式です。
公式サイトでは、
- GビズID取得
- カタログから製品を選択
- 販売事業者を選択
- 販売事業者と共同申請
という流れが示されています。
自社で設備を自由に選んで単独申請する方式ではありません。
導入したい製品に対応する登録販売事業者へ連絡し、共同で申請手続きを進めます。
一般型は自社の省力化計画を作成して電子申請する
一般型は、個別の現場や事業内容に合わせて設備・システムを組み合わせる省力化投資を対象としています。
カタログに登録されている製品だけで構成する必要はありません。
公式の申請フローは、
- GビズID取得
- 事業計画書作成・機械装置やシステムの選定
- 応募申請
- 相見積もり・事業者選定
- 交付申請
- 補助事業実施
- 実績報告
- 補助金交付
- 事業実施効果報告
となっています。
カタログ注文型より事業計画の作成や審査の工程が多いため、申請期限から逆算して準備しましょう。
既製品導入か個別設備投資かで申請型を選ぶ
どちらを選ぶか迷った場合は、「導入したいものが公式カタログにあるか」が一つの判断材料です。
たとえば、登録済みの省力化製品を単体または規定の範囲で導入したい場合は、カタログ注文型が候補です。
一方、
- 自社の工程に合わせた生産設備を構築する
- 複数の機械を連携させる
- ハードウェアとシステムを組み合わせる
- 現場に合わせたオーダーメイド性のある投資を行う
といった場合は一般型が向いています。
一般型とカタログ注文型は、同じ補助対象に対して併用することはできません。別の補助対象であれば併用できる場合があります。
申請前に準備するもの

申請画面を開いてから準備を始めると、必要書類がそろわず期限に間に合わない可能性があります。
特にGビズIDや事業計画は早めに準備しましょう。
GビズIDプライムを先に取得する
中小企業省力化投資補助金は電子申請のため、GビズIDプライムアカウントが必要です。
カタログ注文型・一般型のどちらでも利用します。
公式サイトでも、GビズIDプライムの取得には時間がかかる場合があるため、余裕を持って準備するよう案内されています。
補助金の公募を見つけてからID取得を始めるのではなく、申請を検討した段階で取得しておくと安心です。
自社が補助対象者・基本要件を満たすか確認する
次に、自社が申請対象になるかを確認します。
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業等が、省力化投資によって売上拡大や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的とした制度です。
実際の申請では、
- 中小企業等の定義
- 人手不足の状況
- 従業員数
- 最低賃金
- 賃上げ計画
- 労働生産性の向上
などについて確認されます。
申請型や公募回によって要件が異なるため、必ず最新の公募要領を確認してください。
導入設備と省力化効果を整理する
補助金を申請する際は、
人手不足だから機械を購入したい
だけではなく、その設備によってどの業務がどの程度省力化されるのかを整理する必要があります。
たとえば、
- 3人必要だった作業を2人で行える
- 1日4時間かかっていた作業を2時間に短縮できる
- 手入力業務を自動化できる
- 夜間作業や単純作業を機械へ置き換えられる
といった形で、現在の作業と導入後の変化を具体化します。
一般型では特に、こうした省力化効果を事業計画へ反映することが重要です。
必要書類・指定様式を最新公募要領で確認する
一般型では、公募回ごとに応募申請の手引きや電子申請マニュアル、指定様式が公開されています。
2026年第8回では、
- 役員名簿
- 株主・出資者名簿
- 事業実施場所リスト
- 労働者名簿
- 最低賃金に関する要件確認書
- 事業計画書
などの指定様式が公開されています。
過去の公募回で使用したファイルをそのまま流用すると、様式が更新されている可能性があります。
必ず申請する回の最新資料をダウンロードしましょう。
カタログ注文型の申請手順

カタログ注文型では、中小企業等が単独で公式サイトから直接申請する仕組みではありません。
製品と販売事業者を選び、共同で申請します。
STEP1 カタログから導入する省力化製品を選ぶ
まず、公式サイトの製品カタログから導入したい製品を探します。
カタログ注文型の補助対象は、あらかじめ補助対象として登録された省力化製品等です。
製品を探すときは、
- 自社の業務内容
- 解消したい人手不足
- 現在の作業時間
- 導入後の業務フロー
を整理しておくと選びやすくなります。
単に高性能な製品を選ぶのではなく、自社の省力化につながるかを確認しましょう。
STEP2 登録された販売事業者へ連絡する
導入する製品が決まったら、その製品に登録されている販売事業者を選びます。
公式サイトには対象製品ごとに「販売事業者一覧」が掲載されており、電話番号やメールアドレスなどの窓口情報から連絡します。
ここが通常の商品購入とは異なる点です。
補助金対象製品だからといって、登録されていない販売店から購入して申請できるわけではありません。
STEP3 販売事業者と省力化計画を作成する
販売事業者が決まったら、導入する製品や省力化効果について計画を作成します。
カタログ注文型では、中小企業等と販売事業者が共同事業実施者となり、共同で申請します。
申請では、
- 現在の業務
- 人手不足の状況
- 導入する製品
- 製品導入による省力化効果
- 賃上げ計画
などを整理します。
省力化効果判定シートについては、販売事業者が添付します。
STEP4 販売事業者から招待を受けて共同申請する
カタログ注文型では、企業側が公式サイトの申請フォームを探して直接申し込むわけではありません。
販売事業者から招待を受けると、専用フォームから申請できるようになります。
公式サイトにも、
販売事業者からの招待をもって専用フォームから申請可能
という仕組みが明記されており、公式サイト自体には申請入口やフォームは設置されていません。
申請方法が分からない場合は、先に導入したい製品の販売事業者へ問い合わせましょう。
STEP5 交付決定後に製品を導入する
申請が完了しても、すぐに製品を購入するわけではありません。
交付決定後に補助事業を実施します。
カタログ注文型では、交付決定通知書に記載された日までが補助事業実施期間となり、原則として交付決定日から12か月以内に事業を実施します。
交付決定前に自己判断で発注・契約を進めないよう注意してください。
一般型の申請手順

一般型は、公募回ごとに応募申請を行います。
カタログ注文型とは異なり、自社の省力化投資について事業計画を作成して審査を受けます。
STEP1 最新の公募回と申請期限を確認する
一般型は随時受付ではありません。
公募開始日、申請受付期間、締切日が公募回ごとに決められています。
2026年9月時点の第8回では、
- 公募開始:2026年8月18日
- 申請受付開始:2026年9月18日
- 申請締切:2026年10月16日17時
- 採択発表:2027年2月上旬予定
となっています。
一般型は年3~4回程度の公募が予定されているため、現在の公募に間に合わない場合は次回スケジュールを確認しましょう。
STEP2 省力化投資の事業計画を作成する
一般型の申請では、事業計画の作成が重要です。
公式サイトでは事業計画書作成の参考ガイドや参考様式も公開されています。
事業計画では、
- 現在抱えている人手不足
- 現在の業務工程
- 導入予定の設備・システム
- どの作業を省力化するのか
- どの程度の効果を見込むのか
- 売上や付加価値への効果
- 賃上げ計画
などを整理します。
設備そのものの説明だけでなく、導入前と導入後で業務がどう変わるかを示すことが重要です。
STEP3 見積書・指定様式・証明資料を準備する
事業計画とあわせて、申請に必要な資料を用意します。
第8回では、たとえば、
- 役員名簿
- 株主・出資者名簿
- 事業実施場所リスト
- 労働者名簿
- 他の助成制度の利用実績確認書
- 最低賃金に関する要件確認書
- 事業計画書
などの指定様式が公開されています。
申請内容によって必要書類は異なります。
自社に関係しない書類まで一律にそろえるのではなく、最新の応募申請手引きで確認しましょう。
STEP4 申請マイページから応募申請する
必要な情報と書類がそろったら、電子申請を行います。
一般型は電子申請のみで受け付けています。
公式では、GビズIDプライムを取得したうえで申請マイページから手続きを進めます。
入力内容と添付書類に不一致があると、確認や修正に時間がかかる可能性があります。
特に、
- 従業員数
- 賃金
- 事業実施場所
- 設備名称
- 投資金額
などは、提出書類と一致しているか確認しましょう。
STEP5 採択後に交付申請を行う
一般型では、応募申請で採択された時点が手続きの終了ではありません。
採択後に交付申請を行います。
公式フローでも、
応募申請
↓
採択
↓
相見積もり・事業者選定
↓
交付申請
↓
交付決定
という手順になっています。
「採択された=設備を購入してよい」と考えないよう注意しましょう。
STEP6 交付決定後に設備を発注・導入する
設備の発注や補助事業の実施は、原則として交付決定後に進めます。
一般型では、採択後も交付申請を行い、交付決定を受けてから補助事業へ進む流れです。
補助対象期間外に行った発注・支払いなどは、補助対象として認められない可能性があります。
スケジュールを優先して設備を先に購入するのではなく、交付決定日を確認してから実施しましょう。
省力化補助金の申請に必要な書類

必要書類は、カタログ注文型と一般型、法人と個人事業主、申請条件によって異なります。
「この補助金なら全員が同じ書類を提出する」というわけではありません。
法人・個人事業主の基本情報を確認できる書類を準備する
カタログ注文型では、全事業者共通書類のほか、法人・個人事業主ごとの書類が定められています。
2026年3月19日以降の制度では、全事業者共通の書類として従業員名簿や決算関係資料などが必要です。
法人の場合は、
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書
- 役員名簿
- 株主・出資者名簿
などがあります。
個人事業主の場合は、
- 確定申告書の控え
- 所得税の納税証明書
などが挙げられています。
従業員数・賃金・事業実態を確認できる資料を用意する
補助上限額や申請要件の確認には、従業員数や賃金に関する情報も必要です。
たとえば、
- 従業員名簿
- 賃金台帳
- 最低賃金関連資料
- 時間外労働時間に関する資料
- 求人募集を行ったことが分かる資料
などを求められる場合があります。
申請画面を入力し始めてから集めるのではなく、先に社内資料を整理しておきましょう。
一般型では事業計画・各種指定様式を提出する
一般型は、カタログ注文型と比べて事業計画に関する資料が多くなります。
2026年第8回でも、事業計画書の参考ガイドや複数の指定様式が公式サイトで公開されています。
特に公募回ごとに様式が更新される場合があります。
古いファイルを社内で保管していても、そのまま使わないようにしましょう。
カタログ注文型では販売事業者が省力化効果判定シートを提出する
カタログ注文型では、企業側だけで全書類を準備するわけではありません。
省力化計画に関する「省力化効果判定シート」は販売事業者が添付します。
そのため、導入する製品を決めた後は、販売事業者との連携が重要です。
提出直前に連絡するのではなく、計画作成の段階からスケジュールを共有しましょう。
申請後から補助金受給までの流れ

補助金は、申請して採択されればすぐ振り込まれる制度ではありません。
設備導入後の実績報告まで完了して、最終的な補助額が確定します。
採択後も交付決定前に発注しない
一般型では「採択」と「交付決定」は別の段階です。
採択後に交付申請を行い、その内容が確認された後に交付決定となります。
カタログ注文型でも、交付決定後に補助事業を実施する流れです。
したがって、
採択通知が届いたから、その日に設備を注文する
と判断しないようにしましょう。
正式な交付決定を確認してから進めます。
補助事業完了後に実績報告を行う
設備やシステムの導入が完了したら、実績報告を行います。
カタログ注文型の実績報告では、
- 支払いに関する証憑
- 導入実績に関する証憑
- 事業計画の達成状況
などを提出します。
設備を購入しただけではなく、適切に導入されていることや支払いが完了していることを確認できる資料が必要です。
請求書、振込記録、写真などは紛失しないように保管しておきましょう。
補助額確定後に請求して補助金を受け取る
実績報告を提出すると、事務局が内容を確認します。
補助対象として認められる金額が確定した後、補助金の支払い請求を行います。
請求が完了すると補助金が交付されます。
注意したいのは、交付決定時に示された金額がそのまま全額支払われるとは限らないことです。
実績報告で対象外経費が確認された場合などは、最終的な補助額が減る可能性があります。
事業終了後も効果報告が必要になる
補助金を受け取ったらすべての手続きが終わるわけではありません。
カタログ注文型では、補助事業完了後、事務局が定める日を起算日として3年間の効果報告期間が設定されています。
毎年度、
- 省力化製品の稼働状況
- 省力化の効果
- 事業計画の達成状況
- 賃上げ実績
などを報告します。
一般型にも事業実施効果報告の工程があります。公式フローでも、補助金交付後の最終ステップとして位置付けられています。
申請時に注意したいポイント

申請書類の作成だけでなく、申請入口や公募回、交付決定のタイミングを間違えないことが重要です。
カタログ注文型は公式サイトから直接申請開始できない
カタログ注文型で特に注意したいポイントです。
企業が公式サイトを開き、「申請する」ボタンから単独で手続きを始める仕組みではありません。
申請までの流れは、
カタログで製品を選ぶ
↓
販売事業者を選ぶ
↓
販売事業者へ連絡
↓
販売事業者から招待を受ける
↓
専用フォームで共同申請
です。
申請フォームが見つからない場合は、製品に対応する販売事業者を先に確認しましょう。
一般型とカタログ注文型は同じ補助対象に重複利用できない
一般型とカタログ注文型は、同じ設備やシステムについて両方から補助を受けることはできません。
一方、別の補助対象であれば併用できる場合があります。
複数の省力化投資を予定している場合は、
- どの設備をどの型で申請するか
- 補助対象経費が重複しないか
を整理しておきましょう。
古い公募要領・過年度様式を使わない
省力化投資補助金は制度改定や公募回ごとの更新があります。
カタログ注文型も2026年3月19日に制度改定されており、現在の補助上限は従業員数に応じて、
- 5人以下:200万円
- 6~20人:500万円
- 21人以上:1,000万円
が基本です。
賃上げ要件を満たした場合は、それぞれ300万円、750万円、1,500万円まで引き上げられます。補助率は1/2以下です。
過去記事や保存済みの資料ではなく、申請時点の最新情報を使いましょう。
申請期限直前まで提出を待たない
一般型は公募締切時間が明確に決められています。
たとえば第8回は2026年10月16日17時締切です。
締切直前になると、
- 添付ファイルが不足している
- GビズIDでログインできない
- 入力内容を修正したい
- 指定様式が古かった
といった問題が判明しても対応できない可能性があります。
少なくとも締切日前に一度、入力内容と添付資料を確認できる状態にしておきましょう。
省人化・省力化補助金は申請型を決めてから準備を進めよう

中小企業省力化投資補助金の申請では、最初に「カタログ注文型」と「一般型」のどちらを利用するか決めることが重要です。
カタログ注文型は、
GビズID取得
↓
製品カタログから選定
↓
販売事業者を選定
↓
販売事業者から招待
↓
共同申請
↓
交付決定
↓
製品導入
↓
実績報告
↓
補助金交付
↓
効果報告
という流れです。
一方、一般型は、
GビズID取得
↓
事業計画・設備選定
↓
応募申請
↓
採択
↓
相見積もり・事業者選定
↓
交付申請
↓
交付決定
↓
設備導入
↓
実績報告
↓
補助金交付
↓
効果報告
と進みます。
特に注意したいのは、採択と交付決定は同じではないことです。
一般型は採択後に交付申請があり、交付決定を受けてから補助事業を進めます。
また、カタログ注文型は事業者が公式サイトから直接申請を始めるのではなく、登録販売事業者との共同申請です。
申請を検討するときは、
①導入したい設備を整理する
↓
②カタログ注文型・一般型を選ぶ
↓
③GビズIDを取得する
↓
④最新の公募要領と必要書類を確認する
↓
⑤期限に余裕を持って電子申請する
という順番で準備しましょう。
制度内容や指定様式は更新されることがあります。申請する際は、中小企業省力化投資補助金の公式サイトから最新の公募要領・手引き・電子申請マニュアルを確認することが重要です。
