大規模成長投資補助金は、中堅・中小・スタートアップ企業による大規模な設備投資を支援し、企業の成長と持続的な賃上げにつなげる制度です。
2026年第6次公募では、補助率は1/3以下、補助上限額は50億円です。一般企業向けは20億円以上、100億宣言企業向けは15億円以上の投資が必要となります。
さらに、補助事業終了後3年間にわたる賃上げ要件も設けられています。
投資額が大きければ利用できる制度ではありません。対象企業、最低投資額、賃上げ、対象経費などの条件を確認し、自社が申請対象になるかを判断する必要があります。
大規模成長投資補助金とは

大規模成長投資補助金は、中堅・中小・スタートアップ企業が行う大規模な成長投資を支援する補助制度です。
人手不足などの経営課題に対応しながら生産性や収益力を高め、地域での持続的な賃上げにつなげることを目的としています。
中堅・中小・スタートアップ企業の大規模投資を支援する制度
主な対象は、常時使用する従業員数が2,000人以下の中堅・中小企業などです。2026年第6次では、一定の条件を満たすスタートアップ企業も対象に含まれています。
補助対象となる取組としては、次のような大規模投資が挙げられます。
- 工場や物流拠点を新設・増築する
- 生産能力を高める大型設備を導入する
- 省力化設備で人手不足へ対応する
- 新事業に必要な販売拠点を整備する
- 大規模な情報システムを構築する
単に古くなった設備を新しい設備へ交換するだけではなく、企業の成長や生産性向上につながる投資であることが求められます。
スタートアップ企業についても無条件で対象になるわけではありません。設立年数や株主構成など所定の条件があるため、申請前に対象要件を確認する必要があります。
補助率は1/3以下・補助上限額は50億円
2026年第6次公募の補助率は1/3以下、補助上限額は50億円です。
一般企業向けと100億宣言企業向けで、補助率と上限額に違いはありません。
たとえば、60億円の経費がすべて補助対象として認められ、1/3の補助率が適用されれば、計算上の補助額は20億円です。
一方、補助対象経費が180億円なら1/3で60億円となりますが、補助上限額が50億円のため、実際の上限は50億円です。
ただし、申請書に記載した経費がすべて補助対象として認められるとは限りません。
採択後には交付申請があり、経費の内容が精査されます。その結果、一部の経費が対象外となったり、申請時より交付決定額が減額されたりすることがあります。
大規模成長投資補助金の対象企業と申請要件

大規模成長投資補助金を利用するには、企業規模だけでなく、最低投資額と賃上げの条件を満たす必要があります。
2026年第6次では、一般企業向けと100億宣言企業向けで一部の要件が異なります。
| 項目 | 一般企業向け | 100億宣言企業向け |
| 最低投資額 | 20億円以上 | 15億円以上 |
| 賃上げ要件 | 年平均5.0%以上 | 年平均4.5%以上 |
| 補助率 | 1/3以下 | 1/3以下 |
| 補助上限額 | 50億円 | 50億円 |
常時使用する従業員2,000人以下の企業等が対象
第6次公募では、常時使用する従業員数が2,000人以下の会社等が主な対象です。
中堅企業だけでなく、中小企業や一定のスタートアップ企業も含まれます。
また、一定の条件を満たせば、中堅・中小企業を中心とした複数企業による共同申請も対象になります。
ただし、従業員数だけで申請できるかどうかが決まるわけではありません。
企業区分や資本関係、事業内容なども確認されるため、公募要領上の補助対象者に該当しているかを確認してください。
一般企業は20億円以上の投資が必要
一般企業向けで申請する場合は、最低20億円以上の投資が必要です。
この20億円は総事業費ではなく、外注費や専門家経費を除いた補助対象経費の税抜額で判定します。
たとえば、事業全体に22億円かかる場合でも、そのうち外注費・専門家経費が3億円なら、最低投資額の算定対象は19億円です。
この場合、20億円以上という要件を満たしません。
そのため、
総事業費
と
最低投資額の判定に使える金額
を分けて計算する必要があります。
複数地域で設備投資を行う計画も対象となり得ますが、一つの補助事業として目的や内容に一体性が求められます。
100億宣言企業は15億円以上の投資で申請できる
100億宣言企業向けの類型では、最低投資額が15億円以上に引き下げられています。
100億宣言とは、売上高100億円を目指し、その実現に向けた取組を進めることを宣言する制度です。
第6次では100億宣言企業について、
- 最低投資額:15億円以上
- 賃上げ要件:年平均4.5%以上
と、一般企業向けより条件が一部緩和されています。
ただし、100億宣言を行えば自動的に大規模成長投資補助金を受けられるわけではありません。
最低投資額や賃上げを含む、そのほかの申請要件も満たす必要があります。
また、100億宣言企業向けで申請する場合は、宣言の申請・公表時期などにも条件があるため、早めに確認しておきましょう。
補助事業終了後3年間の賃上げ要件を満たす必要がある
大規模成長投資補助金では、大規模な投資だけでなく持続的な賃上げも必須です。
第6次公募では、補助事業終了後3年間について、補助事業に関わる従業員1人当たり給与支給総額の年平均上昇率を次の水準以上にする必要があります。
- 一般企業向け:年平均5.0%以上
- 100億宣言企業向け:年平均4.5%以上
「最終年度だけ給与を5%上げればよい」という条件ではありません。
補助事業終了後3年間を通じた年平均上昇率で判断されます。
さらに、申請後の賃上げ計画だけでなく、補助事業期間中から行う賃上げについても審査で確認されます。
設備投資によって生産性や収益力を高め、その成果を継続的な賃上げへつなげられる計画が必要です。
みなし大企業などは補助対象外
常時使用する従業員数が2,000人以下でも、みなし大企業などに該当すると補助対象外です。
そのため、自社の従業員数だけでなく、大企業との資本関係や株主構成なども確認する必要があります。
また、制度趣旨に合わない事業や、同じ経費について他の補助制度から重複して支援を受ける事業なども対象外となります。
過去や現在利用している補助金がある場合は、今回の投資内容と重複していないか確認してください。
大規模成長投資補助金の対象経費

主な補助対象経費は、建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費です。
ただし、企業の成長につながる投資として必要性や金額の妥当性を説明できることが前提となります。
工場・倉庫・販売拠点などの新設や増築が対象
補助事業に必要な工場、倉庫、販売施設などの建設・増築・改修は補助対象になります。
対象となる建物の例は次のとおりです。
- 生産施設
- 加工施設
- 販売施設
- 検査施設
- 倉庫
- 事務所
- 共同作業場
一定の条件を満たす中古建物の取得も対象となります。
一方、土地代や建物の単なる購入・賃貸などは補助対象になりません。
また、建物が古くなったから建て替えるという理由だけではなく、新しい工場や拠点の整備によって生産能力や付加価値をどのように高めるのかを説明する必要があります。
機械装置・省力化設備の導入が対象
成長投資に必要な機械装置や工具・器具などの購入、製作、借用も補助対象です。
機械の導入と一体で行う据付けや運搬、改良・修繕なども、条件を満たせば対象となります。
具体例としては、
- 生産ラインの自動化設備
- 最新の製造機械
- 人手不足を補う省力化設備
- 検査・測定機器
などです。
ただし、既存設備を同程度の性能を持つ設備へ単純に入れ替えるだけの更新は、原則として対象になりません。
また、補助対象となる機械装置等は、原則として単価100万円以上という条件があります。
高額な設備投資になるため、申請前に設備仕様や見積金額、導入による効果を十分に整理してください。
ソフトウェア・情報システムの導入も対象
大規模成長投資に必要な専用ソフトウェアや情報システムの購入・構築、クラウドサービス利用なども補助対象です。
たとえば、
- 生産管理システム
- 物流管理システム
- 業務基幹システム
- 設備と連携する制御システム
などが考えられます。
一方、自社の他事業と共用するソフトウェアなどは対象外となります。
一般的なパソコン、タブレット、スマートフォンなども補助対象経費には含まれません。
ソフトウェアであっても、単に業務を便利にするためではなく、大規模成長投資を実現するために必要なシステムであることが求められます。
外注費・専門家経費は投資額要件の算定から除かれる
外注費と専門家経費も一定の条件で補助対象になります。
ただし、一般企業向けの20億円、100億宣言企業向けの15億円という最低投資額の算定には含められません。
外注費では、補助事業に必要な加工、設計、検査などの一部を外部へ委託する費用などが対象となります。
専門家経費では、技術指導や補助事業の実施に必要な専門的助言を受ける費用などが対象です。
ただし、大規模成長投資補助金への申請書や成長投資計画書を作成するために支払う費用は、補助対象にはなりません。
最低投資額を確認するときは、
建物費・機械装置費・ソフトウェア費など
と
外注費・専門家経費
を分けて計算してください。
大規模成長投資補助金の第6次公募スケジュール

第6次公募は2026年7月31日に開始され、8月31日17時が申請締切です。
申請後は書面審査とプレゼンテーション審査が行われ、2026年11月上旬ごろに採択結果が公表される予定です。
第6次公募は2026年8月31日17時まで
2026年第6次公募の申請期間は、7月31日から8月31日17時までです。
大規模投資の申請では、一般的な小規模補助金より準備する情報も多くなります。
たとえば、
- 投資計画
- 事業収支
- 賃上げ計画
- 設備等の見積書
- 資金調達計画
- 企業の成長計画
などを整理する必要があります。
社内の経営部門や財務部門だけでなく、設備メーカーや金融機関などとの調整が必要になることもあります。
締切直前に準備を始めるのではなく、投資計画を具体化した段階から必要書類を確認しておきましょう。
採択結果は2026年11月上旬に公表予定
第6次公募の採択結果は、2026年11月上旬ごろに公表される予定です。
想定されている主な流れは次のとおりです。
- 2026年8月31日までに申請
- 書面審査
- プレゼンテーション審査
- 2026年11月上旬ごろに採択発表
- 採択後に交付申請
- 交付決定後に補助事業を実施
注意したいのは、採択と交付決定は別という点です。
採択された後に改めて交付申請があり、対象経費の内容などが確認されます。
そのため、採択結果だけを見て設備の発注などを進めず、正式な交付決定を確認してください。
申請にはGビズIDプライムが必要
第6次公募はJグランツによる電子申請で、GビズIDプライムアカウントが必要です。
GビズIDプライムを取得していない場合は、申請前に準備する必要があります。
取得手続きに時間がかかることもあるため、補助金の締切直前に申請しないほうが安全です。
GビズIDの発行が間に合わなくても、大規模成長投資補助金の申請期限が延長されるわけではありません。
申請を検討し始めた段階で、社内に利用できるGビズIDプライムがあるか確認してください。
大規模成長投資補助金の審査

大規模成長投資補助金では、書面による一次審査と、経営者によるプレゼンテーションを含む二次審査が行われます。
最低投資額や賃上げ要件を満たすだけでなく、成長性、地域への波及効果、費用対効果、実現可能性なども確認されます。
一次審査では事業計画や定量面が確認される
一次審査では、提出した申請書類をもとに、事業計画や投資による効果などが確認されます。
特に、
- 売上高の成長
- 付加価値額の増加
- 労働生産性の向上
- 賃上げ
- 投資による事業規模の拡大
など、数値を用いた計画が審査材料になります。
ただし、数値が高ければ高いほどよいわけではありません。
根拠のない売上予測や、実現性の低い成長率を設定すると、計画そのものの信頼性が下がります。
現在の経営状況や市場環境、設備投資によって生まれる効果を踏まえ、実現可能な数値を設定する必要があります。
一次審査通過後はプレゼンテーション審査が行われる
一次審査を通過すると、外部有識者によるプレゼンテーション審査へ進みます。
二次審査では、提出した成長投資計画をもとに、投資の必要性や成長性、実現可能性などについて説明します。
プレゼンテーションは、経営者本人が行うことが前提です。
外部のコンサルタントに任せるのではなく、経営者自身が、
- なぜ今この投資が必要なのか
- 投資によって会社をどう成長させるのか
- なぜ20億円以上の投資が必要なのか
- どのように賃上げへつなげるのか
を説明できる状態にしておく必要があります。
申請書の内容とプレゼンテーションの説明にズレが出ないよう、社内でも計画を共有しておきましょう。
経営力・成長性・地域波及効果・費用対効果・実現可能性が審査される
審査では、経営力、先進性・成長性、地域への波及効果、大規模投資による費用対効果、実現可能性などが確認されます。
たとえば成長性では、市場環境を踏まえた事業戦略が構築されているか、生産性を大きく高められるかなどが見られます。
地域への波及効果では、
- 従業員の賃上げ
- 雇用の増加
- 地域内企業との取引
- 地域経済への波及
なども判断材料となります。
また、会社の事業規模に対して十分な投資リスクを取っているか、補助金額に対して付加価値の増加が見込めるかといった費用対効果も審査対象です。
つまり、「20億円以上投資するから採択される」という制度ではありません。
投資規模、企業成長、生産性向上、賃上げまでを一つの計画として説明する必要があります。
大規模成長投資補助金を申請するときの注意点

大規模成長投資補助金を利用する際は、採択後の交付手続きや賃上げ目標、最低投資額の算定方法に注意してください。
補助上限50億円だけを見るのではなく、採択後まで継続する条件を確認したうえで申請を判断する必要があります。
採択と交付決定は同じではない
採択されたからといって、申請した補助金額がそのまま交付されるわけではありません。
採択後に交付申請を行い、計上した経費が補助対象として適切か確認されます。
その結果、
- 一部経費が対象外になる
- 交付額が減額される
- 申請額全額が認められない
といったことがあります。
また、補助金は原則として補助事業の実施後に実績報告を行い、補助金額が確定してから支払われます。
数十億円規模の投資では、補助金が入金される前に自社で資金を確保する必要があります。
設備投資計画だけでなく、金融機関からの借入などを含めた資金調達計画まで検討しておきましょう。
賃上げ目標の未達成時は補助金返還の対象になる
申請時に設定した賃上げ目標を達成できなかった場合は、原則として未達成率に応じた補助金返還の対象となります。
一般企業向けでは年平均5.0%以上、100億宣言企業向けでは年平均4.5%以上という目標を、補助事業終了後3年間にわたって達成する必要があります。
そのため、
採択されるためだけに高い賃上げ目標を設定する
という申請は避けるべきです。
投資による生産性向上や収益増加を踏まえ、実際に継続できる給与水準を設定してください。
最大50億円という大きな補助金だからこそ、賃上げ未達時のリスクまで含めた経営判断が必要です。
20億円・15億円の投資額にはすべての経費を算入できない
一般企業向けの20億円、100億宣言企業向けの15億円という最低投資額には、補助対象経費をすべて含められるわけではありません。
外注費と専門家経費は、最低投資額の算定から除外されます。
| 経費 | 最低投資額への算入 |
| 建物費 | 対象 |
| 機械装置費 | 対象 |
| ソフトウェア費 | 対象 |
| 外注費 | 対象外 |
| 専門家経費 | 対象外 |
たとえば総事業費が21億円でも、外注費と専門家経費が2億円含まれていれば、最低投資額の算定対象は19億円です。
一般企業向けの20億円以上という条件を満たさなくなります。
申請前には総事業費ではなく、最低投資額として算入できる経費だけを合計した金額を確認してください。
第6次公募の最新要領を基準に申請する
大規模成長投資補助金は、公募回によって申請要件が変わっています。
2026年第6次では、一般企業向けの最低投資額が20億円以上となり、100億宣言企業向けには15億円以上の投資要件が設定されています。
過去の公募で使われていた最低投資額や賃上げ条件を、そのまま現在の申請に当てはめることはできません。
申請時には、
- 補助対象者
- 最低投資額
- 賃上げ要件
- 補助対象経費
- 公募期間
- 審査方法
- 申請方法
- 採択後の義務
を第6次公募の最新資料で確認してください。
特に大規模投資では計画変更の影響も大きいため、過去年度の情報ではなく、実際に申請する募集回の条件を基準に判断する必要があります。
まとめ|大規模成長投資補助金は投資額と賃上げ要件を最初に確認する

大規模成長投資補助金は、中堅・中小・スタートアップ企業による大規模投資を支援し、企業成長と持続的な賃上げにつなげる制度です。
2026年第6次の補助率は1/3以下、補助上限額は50億円です。
一般企業向けでは20億円以上の投資と年平均5.0%以上の賃上げ、100億宣言企業向けでは15億円以上の投資と年平均4.5%以上の賃上げが求められます。
まず自社が最低投資額と賃上げ要件を現実的に満たせるかを確認してください。そのうえで、建物費、機械装置費、ソフトウェア費など対象となる投資を整理します。
第6次公募の申請期限は2026年8月31日17時です。申請にはGビズIDプライムが必要で、書面審査を通過した後には経営者によるプレゼンテーション審査も行われます。
また、採択後も交付申請や賃上げ状況の確認があります。
「最大50億円もらえる補助金」という金額だけで判断せず、大規模投資による成長、生産性向上、継続的な賃上げまで実現できる計画になっているかを確認したうえで申請を検討しましょう。
