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業務改善助成金の飲食店事例|POSレジ・券売機・厨房設備の導入例を解説

飲食店では、注文受付、会計、配膳、洗浄、仕込み、売上集計など、毎日の業務に細かな作業が多く発生します。

人手不足や最低賃金の引上げが重なると、少人数でも店舗を回せる仕組みづくりが欠かせません。

そこで検討しやすい制度の一つが、業務改善助成金です。

業務改善助成金は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上に役立つ設備投資等を行った場合に、その費用の一部が助成される制度です。

令和8年度の案内では、事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度とされています。

飲食店では、POSレジ、券売機、オーダーシステム、自動食器洗い機、厨房機器、店舗レイアウトの見直しなどが検討されやすい設備です。

ただし、設備を買えば自動的に対象になるわけではありません。賃金引上げと業務改善の効果をセットで説明できることが大切です。

目次

飲食店でも業務改善助成金を活用できる

飲食店でも、業務改善助成金を活用できる可能性があります。

ポイントは、導入する設備やシステムが、店舗の生産性向上や労働能率の増進につながるかどうかです。

単なる買い替えや見た目の改善ではなく、作業時間の削減、注文ミスの防止、会計処理の効率化、厨房作業の省力化など、現場の負担を減らす投資として説明できる必要があります。

飲食店の設備投資やシステム導入も対象になり得る

業務改善助成金では、生産性向上に資する設備投資等が助成対象になります。

飲食店であれば、POSレジやセルフレジ、券売機、オーダーエントリーシステム、自動食器洗い機、厨房機器などが検討されやすい設備です。

たとえば、会計作業に時間がかかっている店舗でPOSレジを導入すれば、会計処理や売上集計の時間短縮につながります。

注文の聞き間違いやキッチンへの伝達ミスが多い店舗なら、タッチパネル式の注文システムやキッチンプリンターの導入により、注文受付から調理指示までの流れを効率化できます。

飲食店では、次のような業務が助成金活用のきっかけになりやすいです。

店舗の課題導入候補
会計や売上集計に時間がかかるPOSレジ・セルフレジ
注文ミスや伝達漏れが多いオーダーシステム・キッチンプリンター
食器洗いに人手が取られる自動食器洗い機
仕込みや調理に時間がかかる厨房機器・調理機器
動線が悪く作業効率が落ちる店舗レイアウト変更・厨房改修

このように、飲食店での活用は「設備を導入すること」自体が目的ではなく、どの作業をどれだけ効率化できるかが重要です。

事業場内最低賃金の引上げと設備投資をセットで行う必要がある

業務改善助成金は、設備投資だけを助成する制度ではありません。

事業場内最低賃金の引上げと、生産性向上に資する設備投資等をセットで行う必要があります。

厚生労働省の令和8年度案内でも、事業場内最低賃金の引上げ計画と設備投資等の計画を立てて申請し、交付決定後に計画どおり事業を進め、結果を報告することで助成金が支給されるとされています。

飲食店では、アルバイトやパートスタッフの時給が地域別最低賃金に近いことも多いため、制度の対象になるか確認しやすい一方で、賃金引上げ後の人件費負担も考える必要があります。

助成金を使って設備を導入しても、導入後に店舗運営が苦しくなっては意味がありません。

そのため、申請前には次の3点を整理しておくことが大切です。

  • どの従業員の賃金をいくら引き上げるのか
  • どの設備を導入して、どの作業を効率化するのか
  • 賃上げ後も店舗運営を続けられる収益改善につながるのか

設備投資と賃上げを別々に考えるのではなく、賃上げを支えるために業務効率を上げるという流れで整理すると、制度の趣旨に合いやすくなります。

飲食店では省力化・会計効率化・厨房作業の改善で使われやすい

飲食店で業務改善助成金が検討されやすいのは、省力化や作業時間短縮に直結する設備です。

特に、会計、注文、洗浄、仕込み、集計といった作業は、日々の負担が大きく、改善効果を説明しやすい領域です。

たとえば、食器洗いに毎日長い時間を取られている店舗で自動食器洗い機を導入すれば、洗浄作業の時間短縮が期待できます。

実際に、飲食店で自動食器洗い機を導入し、大量の食器を洗浄できるようになって作業効率が改善された事例が紹介されています。

また、宿泊業・飲食サービス業の事例では、食器洗浄機の導入により洗浄時間が短縮された例や、予約カート機能・クレジットカード決済機能を備えたホームページにより、注文聞き取り業務や請求・領収業務の時間が短縮された例も紹介されています。

飲食店は作業負担を減らす設備投資で活用を検討しやすい

飲食店でも業務改善助成金を活用できる可能性があります。
特に、POSレジ、券売機、オーダーシステム、自動食器洗い機、厨房機器など、日々の作業時間を減らせる設備は検討しやすい対象です。
大切なのは、設備導入と賃金引上げをセットで考え、店舗の生産性向上につながる投資として説明できるようにすることです。

業務改善助成金とは

業務改善助成金は、飲食店を含む中小企業・小規模事業者が、賃金引上げと生産性向上を同時に進めるための制度です。

飲食店の事例を理解する前に、制度の基本を押さえておくと、自店が対象になるかどうかを判断しやすくなります。

ここでは、制度の概要を必要な範囲に絞って整理します。

事業場内最低賃金を引き上げる中小企業向けの助成金

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金を引き上げたうえで、生産性向上に役立つ設備投資等を行う中小企業・小規模事業者を支援する制度です。

令和8年度の案内では、事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、設備投資等を行った場合に、その費用の一部を助成するとされています。

飲食店でいう事業場内最低賃金とは、店舗で働く従業員の中で最も低い時間給を指します。

パート・アルバイトを雇用している店舗では、この賃金が地域別最低賃金に近いケースもあるため、制度の確認対象になりやすいです。

ただし、賃金を引き上げるだけでは対象になりません。賃上げと同時に、生産性向上に資する設備投資等を行う必要があります。

対象は中小企業・小規模事業者

業務改善助成金の対象は、中小企業・小規模事業者です。

令和8年度案内では、対象事業者として、中小企業・小規模事業者であること、みなし大企業でないこと、事業場内最低賃金が令和8年度地域別最低賃金未満であること、解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないことなどが示されています。

飲食店で確認したい主な要件は、次のとおりです。

確認項目内容
企業規模中小企業・小規模事業者に該当するか
賃金水準事業場内最低賃金が要件に合うか
賃金引上げ対象労働者の賃金を引き上げられるか
不交付事由解雇や賃金引き下げなどがないか
設備投資生産性向上につながる投資か

この表のように、飲食店であっても、店舗ごとの賃金状況や事業場単位の条件を確認する必要があります。

設備投資後に実績報告を行って助成金が支給される

業務改善助成金は、申請すればすぐに支給される制度ではありません。

賃金引上げ計画と設備投資等の計画を立てて交付申請し、交付決定後に計画どおり事業を進めます。

その後、実績報告を行い、審査を経て助成金が支給される流れです。

飲食店では、設備の納品時期や店舗工事のスケジュールがずれることがあります。

交付決定前に設備を購入したり、期限内に支払いが完了しなかったりすると、対象外になる可能性があります。

レジや券売機などの導入でも、納品・設置・支払い・稼働開始までの流れを早めに確認しておくことが重要です。

賃上げと設備投資をセットで進める制度

業務改善助成金は、飲食店の設備導入を支援する制度であると同時に、賃金引上げを前提とした助成金です。
設備投資だけ、賃上げだけではなく、賃上げ後も店舗を効率よく運営できる仕組みを作る制度として理解すると分かりやすくなります。

飲食店で業務改善助成金の対象になる設備

飲食店で業務改善助成金を使う場合、対象になりやすいのは、作業時間の短縮や省力化につながる設備です。

特に、POSレジ・セルフレジ、券売機・オーダーシステム、自動食器洗い機・厨房機器は、取り上げられやすい代表例です。

ここでは、飲食店で検討しやすい設備を具体的に整理します。

POSレジ・セルフレジ

POSレジやセルフレジは、飲食店で活用しやすい設備の一つです。

会計処理、売上集計、商品別売上の把握、客数・客単価の分析、在庫管理などを効率化できます。

手書きや手入力で集計している店舗では、閉店後の集計作業やレジ締め時間を短縮しやすくなります。

POSレジを導入すると、次のような効果が期待できます。

改善できる業務期待できる効果
会計処理会計時間の短縮、打ち間違い防止
売上集計日次・月次集計の効率化
客数・客単価分析メニュー改善や販売戦略に活用
在庫管理食材や商品の管理精度向上
レジ締め閉店後作業の短縮

レジ業務はスタッフの負担が大きく、混雑時の待ち時間にも直結します。

POSレジやセルフレジの導入は、会計効率化だけでなく、接客品質の改善にもつながります。

券売機・タッチパネル式オーダーシステム

券売機やタッチパネル式オーダーシステムは、注文受付や会計を効率化できる設備です。

特に、ラーメン店、定食店、セルフ式店舗、テイクアウト対応店舗などでは、注文内容の聞き取りやレジ対応を減らしやすくなります。

オーダーシステムを導入すると、スタッフが注文を聞きに行く時間を減らせます。

さらに、キッチンプリンターや厨房モニターと連携すれば、注文内容が厨房へ直接伝わり、聞き間違いや伝達漏れを防ぎやすくなります。

飲食店では、次のような課題に向いています。

  • 注文受付にスタッフの時間が取られる
  • 混雑時にレジ前で行列ができる
  • キッチンへの伝達ミスが多い
  • 会計と注文確認が重なりスタッフが忙しい
  • テイクアウトやデリバリー注文を効率化したい

券売機やオーダーシステムは、単に便利な設備ではなく、注文・会計・厨房伝達をまとめて効率化する設備として説明しやすいのが特徴です。

自動食器洗い機・厨房機器

自動食器洗い機や厨房機器も、飲食店で検討しやすい設備です。

食器洗い、仕込み、調理、加熱、冷却、保管などの作業は、店舗運営の中で大きな負担になります。

特に、食器洗いは営業時間中も閉店後も発生しやすく、スタッフの手を取られやすい作業です。

飲食店で自動食器洗い機を導入し、大量の食器を洗浄できるようになり、作業効率が改善された事例が紹介されています。

手作業で食器を洗っていたため労力と時間がかかっていた店舗で、自動食器洗い機の導入により作業効率が改善された内容です。

厨房設備では、次のような機器が検討されます。

設備改善できる作業
自動食器洗い機洗浄作業、閉店後作業
スチームコンベクションオーブン調理工程、仕込み作業
真空包装機仕込み、保存、提供準備
急速冷凍機食材管理、作り置き
大型調理機器大量調理、提供スピード

厨房機器を選ぶ際は、単に性能が高いかではなく、どの作業を何分短縮できるか、何人分の作業を減らせるかを説明できると申請時に整理しやすくなります。

飲食店では注文・会計・厨房作業の省力化設備が検討しやすい

飲食店で業務改善助成金の対象として検討しやすいのは、POSレジ・セルフレジ、券売機・オーダーシステム、自動食器洗い機・厨房機器などです。
共通しているのは、スタッフの作業時間を減らし、店舗運営を効率化できる設備であることです。
導入前後の作業時間やミスの削減効果を説明できる設備ほど、計画に落とし込みやすくなります。

飲食店の業務改善助成金の活用事例

飲食店で業務改善助成金を検討するなら、具体的な活用事例を見るとイメージしやすくなります。

ここでは、POSレジシステム、券売機、厨房設備・店舗レイアウト改善の3つに分けて、どのような業務改善につながるのかを整理します。

事例はそのまま真似るのではなく、自店の課題に置き換えて考えることが大切です。

POSレジシステムの導入事例

POSレジシステムの導入は、飲食店の会計・集計・分析業務を効率化する代表的な事例です。

たとえば、手入力で売上を管理していた店舗では、毎日のレジ締めや売上集計に時間がかかります。

POSレジを導入すると、売上、客数、客単価、メニュー別売上を自動で集計しやすくなり、閉店後の事務作業を削減できます。

導入前後のイメージは次のとおりです。

導入前導入後
レジ締めに時間がかかる売上集計が自動化される
メニュー別売上を把握しにくい売れ筋・不人気メニューを確認しやすい
会計ミスが起きやすい入力ミスや計算ミスを減らしやすい
在庫管理が属人的販売データを在庫管理に活用しやすい

POSレジは、単なる会計機器ではありません。

売上分析やメニュー改善にも使えるため、店舗運営全体の見直しにつながります。

業務改善助成金で説明する場合は、「レジが便利になる」ではなく、会計時間・集計時間・管理作業をどれだけ削減できるかを中心に整理すると伝わりやすくなります。

券売機導入の事例

券売機の導入は、注文受付と会計を省力化する代表的な事例です。

特に、ランチタイムに来店が集中する飲食店では、注文を聞く、会計する、厨房へ伝えるという一連の作業にスタッフが取られやすくなります。

券売機を導入すれば、注文と会計をお客様側で完結できるため、スタッフは調理や配膳、接客に集中しやすくなります。

券売機導入で期待できる効果は、次のとおりです。

  • 注文受付時間の短縮
  • レジ対応スタッフの負担軽減
  • 会計ミスの削減
  • 注文内容の聞き間違い防止
  • 混雑時の待ち時間短縮
  • キッチンへの伝達スピード向上

券売機は、少人数運営の飲食店と相性があります。

スタッフ数を増やしにくい店舗でも、注文・会計の一部を設備に任せられるため、賃上げ後の人件費負担を吸収するための省力化策として説明しやすいです。

厨房設備・店舗レイアウト改善の事例

厨房設備や店舗レイアウトの改善も、飲食店でよくある活用事例です。

たとえば、自動食器洗い機を導入すれば、洗浄作業の時間を減らせます。調理機器を更新すれば、仕込み時間や調理時間を短縮できる場合があります。

作業動線を見直せば、配膳や片付け、仕込みの移動回数を減らせます。

宿泊業・飲食サービス業の生産性向上事例では、焼肉店でロースターを導入し、焼肉弁当の生産量が1時間あたり増加した例や、食器洗浄機の導入により洗浄時間が短縮された例が紹介されています。

厨房設備やレイアウト改善では、次のような見方が有効です。

改善対象具体例
洗浄作業自動食器洗い機の導入
調理作業高効率調理機器の導入
仕込み作業真空包装機・急速冷凍機の導入
配膳・片付け動線改善、作業台配置の見直し
生産量大型機器や高火力設備の導入

店舗レイアウトの変更は、単なる内装変更ではなく、スタッフの移動距離や作業時間を減らせるかがポイントです。

見た目をきれいにするための改装ではなく、労働能率の増進につながる改善として説明できる必要があります。

事例は自店の作業負担に置き換えて考える

飲食店の業務改善助成金では、POSレジ、券売機、自動食器洗い機、厨房設備、レイアウト改善などの事例が参考になります。
ただし、事例をそのまま真似るのではなく、自店で時間がかかっている作業やミスが起きやすい工程に置き換えることが大切です。
どの設備で、どの作業を、どれだけ改善できるかを整理すると、申請内容も作りやすくなります。

飲食店で業務改善助成金を使うときの注意点

飲食店で業務改善助成金を使う際は、対象になりそうな設備だけを見て進めるのは危険です。

申請のタイミング、汎用設備の扱い、生産性向上効果の説明など、注意すべき点があります。

特に、交付決定前に設備を購入してしまうと対象外になる可能性があるため、導入スケジュールの管理が重要です。

交付決定前に設備を購入しない

業務改善助成金では、交付申請を行い、交付決定を受けた後に設備導入を進める流れが基本です。

令和8年度案内でも、計画を立てて申請し、交付決定後に計画どおりに事業を進めることが示されています。

飲食店では、券売機や厨房機器を早く入れたい気持ちが出やすいですが、申請前や交付決定前に契約・発注・購入してしまうと、助成対象として認められない可能性があります。

特に、厨房設備は納期がかかることもあるため、店舗の繁忙期や改装時期と合わせて早めにスケジュールを組む必要があります。

設備導入前には、次の順番を意識しておくと安全です。

  1. 対象要件を確認する
  2. 見積書を取得する
  3. 賃金引上げ計画と事業計画を作成する
  4. 交付申請を行う
  5. 交付決定後に契約・発注する
  6. 納品・支払い・実績報告へ進む

この順番を崩さないことが、助成対象から外れないための基本です。

パソコンや車両など汎用的な設備は対象外になりやすい

飲食店では、パソコン、タブレット、車両などを業務に使うことがあります。

ただし、汎用性が高い設備は対象外になりやすいため注意が必要です。制度上、通常の事業活動に伴う経費や汎用性の高い設備は慎重に判断されます。

たとえば、単なる事務用パソコン、一般的なタブレット、通常の配送にも使える車両などは、飲食店の業務改善に使うとしても、対象になるかは個別確認が必要です。

令和8年度の厚生労働省ページでは、物価高騰等要件に該当する特例事業者の場合に、パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末や周辺機器について助成対象経費の特例が示されていますが、通常の考え方とは分けて確認する必要があります。

つまり、パソコンやタブレットを導入したい場合は、通常の対象経費として考えるのではなく、最新要件や特例の該当有無を必ず確認することが大切です。

設備導入による生産性向上を説明できるようにする

業務改善助成金では、設備を導入する理由を具体的に説明する必要があります。

「便利になる」「最新設備にしたい」だけでは弱く、作業時間の短縮やミスの削減など、業務改善効果を示すことが重要です。

飲食店では、次のような指標を使うと説明しやすくなります。

設備説明しやすい効果
POSレジレジ締め時間、売上集計時間の削減
券売機注文受付・会計対応時間の削減
オーダーシステム注文ミス、厨房伝達ミスの削減
自動食器洗い機洗浄時間、閉店後作業の短縮
厨房機器仕込み時間、調理時間の短縮
レイアウト変更移動距離、作業手順の削減

申請前には、導入前の作業時間や課題を記録しておくと便利です。

たとえば、「閉店後の食器洗浄に毎日60分かかっている」「レジ締めに毎日30分かかっている」など、現状を数字で把握しておくと、導入後の改善効果も説明しやすくなります。

導入前の順番と効果説明を間違えないことが大切

飲食店で業務改善助成金を使うときは、交付決定前に設備を購入しないこと、汎用設備の扱いに注意すること、生産性向上効果を説明できるようにすることが大切です。
特に、導入前後の作業時間を数字で整理しておくと、設備投資の必要性を伝えやすくなります。

業務改善助成金の申請方法

業務改善助成金の申請では、賃金引上げ計画と設備投資の計画を作成し、交付申請後に審査を受け、交付決定後に設備導入を進めます。

飲食店では、設備の納品時期や店舗工事のタイミングも関係するため、申請から実績報告までの流れを把握しておくことが重要です。

事業計画と賃金引上げ計画を作成する

最初に行うのは、事業計画と賃金引上げ計画の作成です。

どの従業員の賃金を引き上げるのか、どの設備を導入するのか、その設備によってどの業務が改善されるのかを整理します。

飲食店では、次のような形で計画を作ると分かりやすくなります。

計画項目内容
賃金引上げ対象従業員、引上げ額、実施時期
導入設備POSレジ、券売機、自動食器洗い機など
改善対象業務会計、注文、洗浄、仕込み、集計
改善効果作業時間短縮、ミス削減、回転率向上
実施時期交付決定後の発注・納品・支払い予定

この段階で、見積書や設備カタログ、導入後の業務フローも整理しておくと、申請内容に一貫性が出ます。

交付申請後に審査を受ける

事業計画と賃金引上げ計画を作成したら、交付申請を行います。

交付申請後、労働局による審査を受け、交付決定を受けてから設備導入に進みます。

ここで重要なのは、審査前に設備導入を進めないことです。

飲食店では、業者から「今なら早く納品できる」と言われることもありますが、交付決定前に契約・発注してしまうとリスクがあります。

導入業者にも助成金を使う予定であることを伝え、契約タイミングを調整しておくと安心です。

設備導入後に実績報告を行う

交付決定後は、計画に沿って設備導入、賃金引上げ、支払いを進めます。その後、実績報告を行い、審査を経て助成金が支給されます。

厚生労働省の令和8年度案内でも、交付決定後に計画どおり事業を進め、事業の結果を報告することで助成金が支給されるとされています。

実績報告では、設備の納品書、請求書、領収書、賃金台帳、出勤簿など、導入と賃上げを証明する書類が必要になります。

飲食店では日々の営業が忙しく、書類管理が後回しになりがちですが、実績報告で不備があると支給まで時間がかかる可能性があります。

申請は計画作成から実績報告まで一連で考える

業務改善助成金の申請では、事業計画と賃金引上げ計画を作成し、交付申請、審査、交付決定、設備導入、実績報告へ進みます。
飲食店では設備導入のスケジュールが店舗運営に影響しやすいため、最初から実績報告まで見据えて準備することが大切です。

飲食店の業務改善助成金でよくある質問

飲食店で業務改善助成金を検討すると、レイアウト変更、パソコンやタブレット、車両購入などが対象になるのか気になるケースが多いです。

これらは一見すると業務改善に関係しそうですが、汎用性や目的によって判断が分かれやすい部分です。

ここでは、飲食店でよくある疑問を整理します。

レイアウト変更は助成対象になるか

レイアウト変更は、作業動線の改善や労働能率の増進につながる場合、検討余地があります。

たとえば、厨房内の作業台やシンク、調理機器の配置を見直すことで、スタッフの移動距離が減り、仕込みや提供の時間が短縮されるようなケースです。

ただし、単なる内装変更や見た目の改善だけでは対象として弱くなります。

重要なのは、どの作業がどのように効率化されるかです。

レイアウト変更を検討する場合は、次のように整理すると分かりやすくなります。

変更内容説明すべき効果
厨房動線の見直し移動時間の短縮
作業台の配置変更仕込み作業の効率化
レジ位置の変更会計・配膳動線の改善
客席配置の変更配膳・片付け作業の短縮

パソコンやタブレットは購入できるか

パソコンやタブレットは、飲食店でも注文管理や売上管理に使われることがあります。

ただし、汎用性が高いため、通常は慎重に確認する必要があります。

単なる事務用パソコンや一般利用できるタブレットは、対象外になりやすいと考えたほうが安全です。

一方で、令和8年度の厚生労働省ページでは、物価高騰等要件に該当する特例事業者において、パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末や周辺機器が助成対象経費の特例として示されています。

そのため、パソコンやタブレットを検討する場合は、通常の対象経費として判断せず、特例に該当するか、導入目的が明確か、専用性を説明できるかを確認する必要があります。

車両購入は対象になるか

飲食店では、仕入れ、配達、キッチンカー、デリバリーなどで車両購入を考えることがあります。

ただし、車両は汎用性が高く、通常の移動や配送にも使えるため、対象になるかは慎重な確認が必要です。

車両購入を検討する場合は、単に「店で使う車」ではなく、業務改善や生産性向上にどのようにつながるのかを説明する必要があります。

たとえば、配送時間の短縮、配達件数の増加、食品運搬の効率化などを示せるかがポイントです。

ただし、車両は制度上の扱いが変わる可能性もあるため、最新の交付要綱・要領や労働局への確認が欠かせません。自己判断で進めず、申請前に確認しておくことが安全です。

判断が分かれやすい費用は最新要件で確認する

レイアウト変更、パソコン、タブレット、車両購入などは、飲食店の業務改善に関係しそうでも、必ず対象になるとは限りません。
特に汎用性が高い設備は慎重に確認する必要があります。判断に迷う費用は、最新の要綱・要領や労働局の確認を前提に進めることが大切です。

飲食店で導入設備を選ぶときの考え方

飲食店で業務改善助成金を使うなら、補助対象になりそうな設備を探すだけでは不十分です。

大切なのは、自店の人手不足や作業負担の原因を見つけ、その原因を減らせる設備を選ぶことです。

設備選びを間違えると、助成金は使えても現場の負担があまり減らないという結果になりかねません。

人手不足の原因になっている作業から選ぶ

まずは、自店で人手不足の原因になっている作業を洗い出します。

飲食店では、注文受付、会計、食器洗い、仕込み、配膳、片付け、在庫確認、売上集計など、スタッフの時間を取る作業が多くあります。

設備を選ぶときは、次の順番で考えると失敗しにくくなります。

  1. どの作業に時間がかかっているかを確認する
  2. その作業が毎日どのくらい発生しているかを見る
  3. 設備導入で何分短縮できるかを考える
  4. 短縮した時間を接客や調理に回せるかを確認する
  5. 賃上げ後も店舗運営が安定するかを見る

たとえば、レジ対応が忙しい店舗なら券売機やセルフレジ、洗い場が回らない店舗なら自動食器洗い機、厨房内の移動が多い店舗ならレイアウト改善が候補になります。

作業時間の削減効果を数字で説明できる設備を選ぶ

業務改善助成金では、生産性向上の効果を説明できることが重要です。

そのため、導入前後の作業時間を数字で示しやすい設備を選ぶと、計画を作りやすくなります。

たとえば、次のような数字を使うと説明しやすくなります。

作業導入前導入後の見込み
レジ締め30分10分
食器洗い60分25分
注文受付1組あたり3分1組あたり1分
売上集計45分10分
仕込み作業120分80分

このように、削減できる時間を具体的に示せると、設備導入の必要性が伝わりやすくなります。

特に飲食店では、1日あたりの短縮時間が小さく見えても、月単位・年単位で見ると大きな改善になります。

賃上げ後も利益を残せる運営改善につなげる

業務改善助成金は、賃上げとセットの制度です。

そのため、設備を導入して終わりではなく、賃上げ後も利益を残せる店舗運営につながるかを考える必要があります。

たとえば、券売機で注文受付を省力化できれば、少人数でもピークタイムを回しやすくなります。自動食器洗い機で洗浄時間を減らせれば、スタッフを接客や仕込みに回せます。

POSレジで売上分析ができれば、利益率の高いメニューを強化しやすくなります。

設備導入は、単なる時短ではなく、次のような効果につなげることが理想です。

  • 人件費上昇に耐えられる店舗運営
  • 少人数でも回るオペレーション
  • スタッフの負担軽減
  • 接客・調理品質の向上
  • 売上や利益率の改善

設備は補助対象より先に店舗課題から選ぶ

飲食店で導入設備を選ぶときは、補助対象になりそうな設備から探すより、まず自店の課題から考えることが大切です。
レジ対応、注文受付、洗浄、仕込み、在庫管理など、負担が大きい作業を見つけ、その作業を数字で改善できる設備を選ぶと、業務改善助成金の計画にも落とし込みやすくなります。

飲食店の業務改善助成金は具体的な省力化事例から考える

飲食店でも、業務改善助成金を活用できる可能性があります。

代表的な事例としては、POSレジ、セルフレジ、券売機、タッチパネル式オーダーシステム、自動食器洗い機、厨房機器、店舗レイアウトの改善などがあります。

これらは、注文受付、会計、洗浄、調理、集計といった日常業務の負担を減らしやすい設備です。

制度を使う際は、事業場内最低賃金の引上げと設備投資をセットで行うことが前提です。

令和8年度の案内でも、事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その費用の一部を助成する制度とされています。

最後に、飲食店で確認したいポイントを整理します。

確認ポイント内容
対象可否中小企業・小規模事業者か確認する
賃金引上げ事業場内最低賃金の引上げが必要
設備選び作業時間を削減できる設備を選ぶ
申請タイミング交付決定前に購入しない
効果説明時間短縮・ミス削減・回転率向上を示す
実績報告証憑や賃金台帳を準備する

飲食店で大切なのは、助成金ありきで設備を選ぶことではありません。

まずは自店で負担が大きい作業を洗い出し、その作業を効率化できる設備を選ぶことです。

省力化によって賃上げ後も無理なく店舗を運営できる状態を作ることが、業務改善助成金を活用するうえでの一番のポイントです。

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