くるみん認定を取得した中小企業のなかには、「くるみん助成金はいくら受け取れるのか」「どのような取り組みが対象になるのか」と気になっている事業者も多いでしょう。
2026年度のくるみん助成金は、正式には「中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業」として実施されています。対象となるのは、常時雇用する労働者数が300人以下で、くるみん認定・くるみんプラス認定・プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定を取得している事業主です。トライくるみん認定は助成対象になりません。
2026年度の助成額は、1事業主あたり最大50万円です。認定区分によって助成上限額が高くなる仕組みではありません。くるみん・くるみんプラスは1回の認定につき1回、プラチナくるみん・プラチナくるみんプラスは1年度につき1回申請できます。
対象となるのは、育児休業の取得促進や子育て支援、業務負担の軽減、所定外労働の削減など、仕事と家庭を両立しやすい職場環境を整える取り組みです。
この記事では、2026年度のくるみん助成金について、対象企業、助成額、対象となる取り組みや経費、申請期間、申請から交付までの流れ、利用時の注意点を解説します。
くるみん助成金とは

くるみん助成金は、仕事と子育てを両立しやすい職場環境づくりを進める中小企業を支援する制度です。
2026年度は、こども家庭庁所管の「中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業」として実施されています。制度の実施期間は2021年10月から2027年3月末までです。
くるみん認定を取得しているだけで自動的に50万円を受け取れるわけではありません。
対象となる取り組みを実施し、実際に発生した対象経費について審査を受けたうえで助成額が決定されます。
2026年度は中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業として実施されている
くるみん助成金は、次世代育成支援対策推進法に基づく認定企業のうち、一定の条件を満たす中小事業主を対象としています。
制度の目的は、企業が従業員の育児や家庭生活と仕事を両立しやすい雇用環境を整備することです。
対象事業には、
- 育児休業等を取得しやすくする取り組み
- 従業員の子育てを支援する取り組み
- 業務負担や残業を削減する取り組み
- その他、仕事と家庭の両立に必要な雇用環境整備
などがあります。
単に福利厚生を充実させれば対象になるわけではありません。
実施する取り組みが、従業員の職業生活と家庭生活の両立支援につながることが必要です。
2026年度の助成上限は1事業主あたり50万円
2026年度のくるみん助成金は、1事業主あたり最大50万円です。
たとえば、対象事業に40万円の経費がかかった場合、審査によって40万円まで助成される可能性があります。
一方、対象となる事業費が80万円だったとしても、助成上限は50万円です。
また、「プラチナくるみんだから助成上限が高くなる」といった仕組みではありません。
認定区分によって異なるのは、主に申請できる回数です。
くるみん助成金の対象となる企業

くるみん助成金を申請するには、企業規模や認定区分などの条件を満たす必要があります。
主な条件を整理すると、次のとおりです。
| 確認項目 | 2026年度の条件 |
| 常時雇用する労働者数 | 300人以下 |
| くるみん認定 | 対象 |
| くるみんプラス認定 | 対象 |
| プラチナくるみん認定 | 対象 |
| プラチナくるみんプラス認定 | 対象 |
| トライくるみん認定 | 対象外 |
| 助成上限 | 50万円 |
対象になるか判断するときは、現在の従業員数だけでなく、認定申請時の状況も確認しましょう。
常時雇用する労働者300人以下の事業主が対象
くるみん助成金は、次世代育成支援対策推進法に規定する中小事業主が対象です。
具体的には、常時雇用する労働者数が300人以下であることが要件となります。
業種や資本金による制限ではなく、常時雇用する労働者数で判断されます。
公式FAQでは、現在の従業員数が300人を超えている場合でも、くるみん認定申請時に認定申請書へ記載した労働者数が300人以下であれば、助成対象になるとされています。
そのため、認定取得後に従業員数が増えた企業も、すぐに対象外とは判断せず、認定申請時の内容を確認するとよいでしょう。
くるみん・くるみんプラス・プラチナくるみん等の認定が必要
助成対象となるのは、以下の認定を取得した事業主です。
- くるみん認定
- くるみんプラス認定
- プラチナくるみん認定
- プラチナくるみんプラス認定
2026年度については、認定取得時期にも条件があります。
くるみん・くるみんプラスについては、2025年度または2026年度に認定を取得した事業者が申請対象になります。
プラチナくるみん・プラチナくるみんプラスについては、2026年3月31日時点または2026年度中の一定期間に認定を受けていることが条件です。
認定を取得してから時間が経っている場合は、自社が2026年度の対象に該当するか公式判定資料で確認しましょう。
トライくるみん認定は助成対象外
トライくるみん認定を取得していても、くるみん助成金の対象にはなりません。
「くるみん」という名称が含まれているため混同しやすいポイントです。
申請前に、自社が取得している認定の正式名称を確認しましょう。
認定区分によって申請できる回数が異なる
2026年度の助成上限は認定区分にかかわらず50万円ですが、申請可能回数は異なります。
| 認定区分 | 申請可能回数 |
| くるみん | 1回の認定につき1回 |
| くるみんプラス | 1回の認定につき1回 |
| プラチナくるみん | 1年度につき1回 |
| プラチナくるみんプラス | 1年度につき1回 |
くるみん認定で助成を受けたあと、同じ行動計画によってくるみんプラス認定を取得した場合は、同一計画について再度申請することはできません。
一方、プラチナくるみん・プラチナくるみんプラスでは、対象期間中であれば年度ごとに申請できる仕組みです。
くるみん助成金の対象となる取り組み

くるみん助成金では、会社が支出した費用であれば何でも対象になるわけではありません。
従業員の職業生活と家庭生活の両立を支援するための雇用環境整備であることが必要です。
育児休業等の取得促進に関する取り組みが対象
対象となる取り組みの一つが、育児休業などを取得しやすくするための環境整備です。
たとえば、育児休業制度を従業員に周知するためのパンフレットやポスターなどを作成する取り組みがあります。
重要なのは、法律上の制度を単に用意するだけではなく、従業員が実際に利用しやすくするための取り組みとして実施することです。
2026年度の利用ガイドでは、育児休業等の制度普及に必要な印刷物などが対象例として示されています。
子育て支援や業務負担軽減の取り組みも対象
従業員の子育てを支援する取り組みや、業務負担を軽減する施策も対象です。
たとえば、
- 子育て支援制度の整備
- 所定外労働を削減する施策
- 在宅勤務・柔軟な働き方の環境整備
- 人員体制の強化
などが考えられます。
公式の過去事例では、クラウド型サービスを導入して在宅勤務や外出先でも業務ができるようにし、仕事と家庭を両立しやすい環境を整えたケースも紹介されています。
ただし、同じITツールでも導入目的が単なる業務効率化だけでは対象にならない可能性があります。
くるみん助成金では、仕事と家庭の両立支援につながる取り組みとして説明できることが重要です。
法律で義務付けられた対応だけでは対象にならない場合がある
2026年度の利用ガイドでは、育児・介護休業法などで企業に義務付けられている内容を実施するだけの経費は対象外とされています。
そのため、
「法改正によって必要になったので対応した」
だけでは、助成対象にならない場合があります。
法律上の最低限の義務を超えて、従業員が制度を利用しやすい環境を整える取り組みであるかを確認しましょう。
くるみん助成金の対象経費

くるみん助成金では、対象事業を実施するために必要な複数の経費が助成対象です。
2026年度の主な対象経費には、次のものがあります。
- 職員給与
- 各種手当
- 社会保険料事業主負担金
- 厚生費等
- 諸謝金
- 備品費
- 消耗品費
- 印刷製本費
- 通信運搬費
- 光熱水料
- 借料・損料
- 会議費
- 賃金
- 雑役務費・委託料
ただし、実際に対象となるかは実施事業との関連性や支払時期、証拠書類などによって判断されます。
給与・各種手当・社会保険料の事業主負担分が対象になる
くるみん助成金では、人件費も一定の条件を満たせば助成対象になります。
たとえば、対象事業を実施するために必要な職員給与や各種手当、社会保険料の事業主負担分などです。
業務負担の軽減や子育て支援のために人員を増やす場合など、事業との関係性を示せるケースがあります。
一方、役員報酬は対象外です。
人件費を申請する場合は、雇用契約書や賃金台帳、社会保険料の支払を確認できる資料などが必要になります。
備品費・消耗品費・借料・委託料なども対象になる
子育て支援や働きやすい職場環境づくりに必要な物品・サービスにかかる費用も対象になり得ます。
たとえば、
- 制度周知のための印刷費
- 在宅勤務等に必要なサービス利用料
- コンサルタントへの相談費用
- 会議室や設備の借料
- 外部業者への委託料
などです。
ただし、会社が実際に実施する事業であり、会社が支出した経費であることを証明する必要があります。
見積書、契約書、請求書、領収書などは申請・完了報告時に重要な資料となります。
単価50万円以上の備品や消費税相当額は対象外
備品費は対象経費ですが、単価50万円以上の備品は対象外です。
また、消費税相当額も助成対象になりません。
「助成上限が50万円だから、50万円の備品なら全額対象になる」と考えるのは誤りです。
備品の単価条件と助成金全体の上限額は別に確認する必要があります。
他の補助金等を受けた同一経費は原則対象外
対象経費は、原則として本助成事業以外の補助金などの支給を受けていないことが条件です。
同じ費用について別の補助金と重複して申請することは避けましょう。
ただし、雇用保険法に基づく雇用関係助成金については例外があります。
併用を検討するときは、「同じ企業が複数制度を利用できるか」ではなく、「同一経費を重複して申請していないか」を確認することが重要です。
くるみん助成金の対象期間と申請期限

くるみん助成金では、対象事業を実施する時期や経費の支払時期も重要です。
申請期限だけでなく、認定取得日や納品・支払期限まで確認しましょう。
2026年度は原則2026年4月1日以降の事業経費が対象
2026年度では、原則として2026年4月1日以降に実施した対象事業の経費が助成対象です。
ただし、2026年度中に新たにくるみん認定等を取得した企業は、認定取得日以降に実施した事業の経費が対象となります。
たとえば2026年9月に認定を取得した場合、原則として4月までさかのぼってすべての経費を申請できるわけではありません。
認定取得時期によって対象期間が変わる点に注意しましょう。
2027年2月28日までに納品・支払いを完了する必要がある
2026年度の対象経費は、2027年2月28日までに納品と支払いを完了する必要があります。
年度をまたいで実施・納品・支払いを行う経費は対象外です。
そのため、設備やサービスの契約期間が長い場合は特に注意しましょう。
申請時点では対象と思っていても、納品や支払いが期限を超えると助成対象にならない可能性があります。
申請期間は2026年5月27日から2027年2月5日まで
2026年度の申請受付期間は、
2026年5月27日~2027年2月5日
です。
ただし、予算上限に達した場合は、期間内でも受付が終了する可能性があります。
申請期限ぎりぎりまで待つのではなく、認定条件や対象経費を確認した段階で早めに準備を進めるとよいでしょう。
くるみん助成金の申請から交付までの流れ

くるみん助成金は、認定を取得したあとにポータルサイトから申請します。
申請書を提出して終わりではありません。
事業実施後には完了報告を行い、交付額が確定した後に請求手続きを進めます。
ポータルサイトから必要書類を提出する
申請は、くるみん助成金ポータルサイトの助成申請フォームから行います。
2026年度の主な提出書類には、
- 申請書
- 予算書
- 事業計画書
- 根拠資料
- 誓約書
- くるみん認定通知書
- 認定申請書
- 公表資料
- 定款等
- 登記事項証明書または開業届
- 社会保険料納付書控え
などがあります。
オンライン申請が基本で、来所による提出は受け付けていません。
また、第三者による代行申請はできず、事業主自身が申請する必要があります。
助成決定後に計画した事業を実施する
申請内容が審査され、助成決定を受けたら、申請した計画に沿って事業を実施します。
ただし、2026年度の対象経費には実施時期の条件があります。
特に年度途中で認定を取得した場合は、認定取得日以前の事業費が対象にならない可能性があります。
事業内容や経費を変更するときは、自己判断で進めず、必要な手続きを確認しましょう。
事業完了後は完了報告を行う
対象事業を実施し、必要な支払いまで完了したら、完了報告を行います。
完了報告では、
- 実施した事業内容
- 支出した金額
- 請求書
- 領収書
- 支払いを確認できる資料
- 実施内容を確認できる資料
などを提出します。
申請時に提出した計画と実際の事業内容が一致していることも重要です。
2026年度は、2027年2月28日までに対象事業の納品・支払いを完了させる必要があります。
交付額確定後に請求して助成金を受け取る
完了報告の審査後、最終的な助成額が確定します。
助成金は、申請した金額がそのまま必ず交付されるわけではありません。
実際に対象となった経費や提出資料などをもとに審査され、50万円を上限として助成額が決まります。
その後、所定の請求手続きを行い、助成金が振り込まれます。
くるみん助成金を申請するときの注意点

くるみん助成金は、認定さえ取得していれば自由に使える助成金ではありません。
実施する事業の内容や経費、期間、申請回数などに細かな条件があります。
特に認定取得時期と経費の対象期間を混同しないようにしましょう。
認定取得時期によって対象経費の開始日が異なる
2026年度開始時点ですでに対象認定を取得している企業と、2026年度中に新たに認定を取得した企業では、対象経費となる期間が異なります。
年度中に認定を取得した場合は、認定取得日以降に実施した事業の経費が対象です。
「年度内に認定を取ったから、4月に使った費用も対象になる」と判断しないようにしましょう。
事業開始日・契約日・納品日・支払日を整理しておくことが大切です。
助成上限50万円を複数回に分けて申請できるわけではない
くるみん・くるみんプラス認定企業の場合、1回の認定につき申請は1回です。
たとえば、20万円を申請したあとに「上限50万円まで30万円余っているから追加申請する」といった使い方はできません。
そのため、申請前に年度内で予定している対象事業や経費を整理しておく必要があります。
プラチナくるみん・プラチナくるみんプラスについては1年度につき1回ですが、こちらも年度内に複数回申請する仕組みではありません。
予算上限に達すると申請期間内でも受付終了する場合がある
2026年度の申請期限は2027年2月5日ですが、予算の上限に達した場合は早期終了する可能性があります。
申請には事業計画書や経費の根拠資料など複数の書類が必要です。
期限直前に準備を始めると、必要資料がそろわない可能性があります。
対象事業が決まった段階で利用ガイドや根拠資料チェックシートを確認し、早めに申請準備を進めるとよいでしょう。
くるみん助成金は50万円上限と申請回数を確認して活用しよう

2026年度のくるみん助成金は、「中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業」として実施されています。
対象となるのは、常時雇用する労働者数が300人以下で、
- くるみん認定
- くるみんプラス認定
- プラチナくるみん認定
- プラチナくるみんプラス認定
のいずれかを取得した事業主です。
トライくるみん認定は対象になりません。
助成額は1事業主あたり最大50万円です。
認定の種類によって上限額が高くなるわけではなく、くるみん・くるみんプラスは1回の認定につき1回、プラチナくるみん・プラチナくるみんプラスは1年度につき1回申請できます。
対象となるのは、育児休業の取得促進、子育て支援、業務負担軽減、所定外労働削減など、従業員が仕事と家庭を両立しやすい環境を整える取り組みです。
経費についても、職員給与や各種手当、備品費、消耗品費、借料、委託料など幅広く設定されています。ただし、単価50万円以上の備品や消費税相当額、他の補助金等ですでに支給を受けた同一経費などは対象外です。
2026年度の申請受付期間は2026年5月27日から2027年2月5日までです。
対象事業については、原則として2026年4月1日以降に実施し、2027年2月28日までに納品・支払いを完了する必要があります。年度中に新たに認定を取得した場合は、認定取得日以降の事業経費が対象です。
くるみん助成金を活用するときは、まず自社の認定区分と申請可能回数を確認しましょう。
そのうえで、対象となる取り組みと経費を整理し、対象期間や支払期限を確認してから申請を進めることが重要です。
