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受動喫煙防止対策助成金を個人事業主でも活用するための条件と手順

飲食店や美容室、喫茶店などを経営する個人事業主の方にとって、「受動喫煙防止対策」は避けて通れない課題です。

改正健康増進法の施行以降、店舗や事務所でも喫煙環境の整備が義務化され、違反すると罰則の対象となる場合もあります。

一方で、「改装費や換気設備の導入費が負担になる」「法人でないと助成金は使えないのでは?」と感じている人も多いのではないでしょうか。

実は、個人事業主でも一定の条件を満たせば「受動喫煙防止対策助成金」を活用できる可能性があります。

この制度をうまく利用すれば、単なる法令対応にとどまらず、店舗環境の改善や顧客満足度の向上、さらにはリピーター獲得のチャンスにつなげることもできます。

この記事では、

個人事業主が申請できる条件や注意点
・助成対象となる設備や工事内容
・実際に助成金を経営改善へ活かすポイント

をわかりやすく解説します。

「義務だから仕方なく」ではなく、“環境整備を通じてお店の価値を高める”前向きな投資として、この助成金を活用していきましょう。

目次

受動喫煙防止対策助成金とは?

まず押さえておきたいのが、「受動喫煙防止対策助成金」とはどんな制度なのかという点です。

名前は聞いたことがあっても、対象者や補助内容までしっかり理解している個人事業主は意外と少ないのではないでしょうか。

受動喫煙防止対策助成金の概要と目的

受動喫煙防止対策助成金は、厚生労働省が実施する職場の喫煙環境整備を支援する制度です。

改正健康増進法の施行により、飲食店やオフィスなどでは「受動喫煙を防ぐための設備(喫煙専用室・加熱式たばこ専用室など)」を設けることが義務化されました。

この助成金は、そうした喫煙室の新設や改修、換気装置の導入、設計・施工費用などに対して国が費用の一部を助成する仕組みです。

個人事業主や小規模事業者も対象となるため、環境整備のコストを抑えながら法令に対応できる点が大きな魅力といえます。

ただし、助成対象となる条件にはいくつかの制限があり、労災保険の加入状況や事業の形態によって申請可否が異なるため注意が必要です。

助成金は「義務対応」ではなく「経営改善のチャンス」

受動喫煙防止対策助成金は、単なる負担軽減策ではなく、店舗や職場環境をアップデートし、顧客や従業員に選ばれる空間をつくるための投資と捉えることが重要です。

より詳しい条件・対象設備・申請ステップを知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
👉受動喫煙防止対策助成金の対象者・要件・申請ポイントをわかりやすく解説

個人事業主が申請対象になりうるかを確認する

まず確認すべきは、「個人事業主でも受動喫煙防止対策助成金を申請できるのか?」という点です。

結論から言えば、一定の条件を満たせば個人事業主も申請可能です。

ただし、申請の可否は「労災保険加入の有無」や「事業の実態」によって判断されます。

労災保険の適用状況と個人事業主の扱い

受動喫煙防止対策助成金の対象者は、労災保険に加入している中小企業事業主です。

個人事業主の場合、従業員を雇っていれば「労働者を使用する事業主」として労災保険に加入しているため、申請対象になります。

一方で、従業員を雇っていない一人親方の場合は、原則としてこの助成金の対象外です。

ただし、「一人親方労災特別加入制度」を利用している場合など、労災保険の適用が認められているケースは例外的に対象となる可能性があります。

「中小企業事業主」の定義と個人事業主との関係

受動喫煙防止対策助成金では、「中小企業事業主」という区分で支給対象が設定されています。

この定義は、中小企業基本法に基づき、業種別の資本金または常時使用する従業員数で判断されます。

たとえば、

・小売業・サービス業 – 資本金5,000万円以下、または従業員50人以下
・製造業・建設業 – 資本金3億円以下、または従業員300人以下

個人事業主には資本金の概念がないため、従業員数で判断されるのが一般的です。従業員が一定数以下であれば、法人と同様に「中小企業事業主」として認められます。

「既存特定飲食提供施設」など施設種別の条件

個人事業主が運営する店舗が「既存特定飲食提供施設」に該当するかも確認が必要です。

これは、2020年4月の法改正以前から営業しており、かつ床面積100㎡以下の飲食店など、一定の要件を満たす施設を指します。

この条件を満たしていれば、店舗内に喫煙専用室や加熱式たばこ専用室を設ける場合に助成対象となる可能性があります。

個人経営の飲食店やバー、喫茶店などは、まさにこの「特定飲食提供施設」に該当するケースが多いです。

個人事業主も条件次第で対象になる

個人事業主であっても、

・労災保険に加入している
・従業員を雇っている
・「特定飲食提供施設」など条件を満たす事業場である

これらの条件をクリアしていれば、受動喫煙防止対策助成金を申請できます。
つまり、法人かどうかではなく「雇用関係と事業の実態」で判断される点が最大のポイントです。

個人事業主ならではの申請要件・注意点

次に、個人事業主が申請を進める際に特に注意すべき要件や落とし穴について見ていきましょう。

法人向けとは異なる部分もあるため、「どんなケースで申請できるか/できないか」を明確に理解することが大切です。

従業員を雇用していない場合の扱い(いわゆる「一人親方」)

個人事業主の中には、従業員を雇わずに自身のみで事業を営む「一人親方」も多くいます。
しかし、この場合は原則として助成金の対象外です。

助成金は「労働者の健康を守るための職場環境整備」を目的としているため、従業員がいない=職場が存在しないと見なされるからです。

ただし、一人親方労災特別加入をしている場合や、アルバイト・パートを一時的に雇用している場合には、例外的に認められるケースもあります。

申請前に、最寄りの労働局または労働基準監督署に確認するのが確実です。

資本金のない個人事業主が「中小企業事業主」とみなされる条件

個人事業主は法人と異なり資本金を持たないため、「中小企業事業主」の定義に当てはまるかどうかが不安になる方も多いでしょう。

この場合は、従業員数や事業規模によって中小企業とみなされるのが基本です。

たとえば、従業員が数名規模で、地域の飲食業・サービス業を営んでいる場合には、実質的に中小企業事業主と同等の扱いを受けます。

また、個人事業主でも青色申告を行っている、事業所得が安定しているといった場合、助成対象として判断されやすい傾向にあります。

個人事業主が過去に受給していないこと・重複申請の回避

受動喫煙防止対策助成金は、同一事業場・同一事業主につき原則1回限りです。

過去に同じ助成金を受けている場合、追加申請は認められません。

また、他の補助金(例 – 省エネ補助金・環境整備補助金など)と重複して同一工事を申請することも不可です。

複数の助成金を活用したい場合は、対象経費を分けて申請するなど、明確な区分管理を行うことが重要です。

個人事業主は「事前確認」と「一度きり」を意識

個人事業主の場合でも、

・労災保険への加入
・従業員雇用の有無
・過去の受給歴の確認

これらを正しく整理すれば、助成金を受け取るチャンスがあります。
「法人でないから対象外」と決めつけず、条件をクリアできるかを事前に確認することが最大のポイントです。

個人事業主が実際に助成対象となる設備・工事内容を理解する

受動喫煙防止対策助成金は「喫煙室の設置工事」に関する費用を対象としていますが、個人事業主の場合、「どんな設備や工事が補助の対象になるのか」がわかりにくいと感じる方も多いでしょう。

ここでは、実際に助成対象となる設備・費用・申請時の注意点を、個人事業主の視点で整理します。

喫煙専用室・加熱式たばこ専用室などの設備要件

助成対象となるのは、法律で定められた技術的基準を満たす喫煙室です。

主なタイプは以下の3種類です。

喫煙専用室 – 喫煙のみ可能(飲食は不可)
指定たばこ専用喫煙室 – 加熱式たばこのみ喫煙可能で、飲食も可能
加熱式たばこ専用室 – 従来型たばこを完全に排除した室内で、喫煙と飲食の両立が可能

これらの喫煙室は、室内と外部の気圧差を確保し、煙が漏れ出さない構造であることが前提です。

個人事業主の場合でも、飲食店やバー・スナックなどがこの要件を満たす形で改修を行えば助成対象になります。

工事費・設備購入費・設計費など助成対象経費の範囲

助成の対象となるのは、喫煙室の設置や改修に直接関係する費用です。

具体的には次のような経費が含まれます。

施工費 – 間仕切りやドアの設置、床や天井の改修など
設備費 – 換気装置・排気ダクト・空調機器の導入
設計費・管理費 – 図面作成、現場監督、確認申請などにかかる費用
サイン・表示関連費 – 喫煙室の標識や案内板設置など

一方で、喫煙所とは関係のない内装リフォームや家具購入、清掃費などは対象外です。

補助率は原則として2分の1(上限100万円)で、自己負担とのバランスを見ながら工事規模を決定するのが現実的です。

事前申請・着工前のタイミングに関する注意点(個人事業主視点で)

最も重要なのは、工事着工前に申請が完了していることです。

助成金は「事前申請」が必須であり、着工後に申請した場合は全額対象外となります。

個人事業主の場合、業者との打ち合わせを並行して進めることが多く、申請前に見積書や設計図を揃える段階で工事を始めてしまうミスが頻発します。

提出前に「見積書」「設計図」「仕様書」を確定させ、助成金交付決定通知が届いてから着工することを徹底しましょう。

申請前に“準備8割”で成功する

個人事業主が受動喫煙防止対策助成金を活用するには、

・技術的基準を満たす喫煙室を設置する
・工事費・設備費・設計費など対象経費を明確にする
・工事前に必ず申請を完了させる

この3点を押さえることが成功の鍵です。
「申請してから考える」ではなく「準備をしてから申請する」意識を持つことで、無駄なコストや申請リスクを防げます。

助成金を“経費削減”で終わらせない、個人事業主が得られる3つの経営効果

受動喫煙防止対策助成金は、単に喫煙室設置の経費を軽減するための制度ではありません。

むしろ、店舗や職場の価値を高める「投資」として活用できるのが最大のメリットです。

ここでは、個人事業主がこの助成金を通じて得られる3つの経営効果を紹介します。

補助金活用で「法令対応+顧客満足度」を同時に実現

まず1つ目の効果は、法令対応と顧客満足度の両立です。

改正健康増進法により、すべての事業者に受動喫煙防止措置が求められるようになりましたが、助成金を活用すれば、法令を守りながら顧客ニーズにも応える店舗づくりが可能です。

たとえば、「喫煙可能なエリアを明確に分ける」ことで非喫煙者からの評価も高まり、家族連れ・女性客など新しい層の来店促進につながります。

健康経営の実践が信頼・リピーター増加につながる

2つ目は、従業員の健康を守ることで信頼と定着率を高める効果です。

受動喫煙のリスクを下げることは、従業員にとって働きやすい職場環境の実現につながります。

結果として、スタッフの定着率が上がり、教育コストや採用コストの削減にも寄与します。

また、健康経営を意識した取り組みは、近年「企業選び」「店舗選び」の基準として注目されており、社会的信用の向上にも直結します。

小規模店舗こそブランディングの差別化チャンス

3つ目は、ブランディング効果です。

個人経営の店舗ほど、「居心地の良さ」「安心感」「清潔感」が顧客の印象を左右します。

助成金で喫煙室を整備することは、単なる設備投資ではなく、店舗のブランドイメージを強化する戦略的施策になります。

たとえば、SNSで「禁煙対応済み」「喫煙室完備」と発信することで、競合との差別化が図れ、口コミによる新規客の獲得にもつながります。

助成金は“未来への投資”と捉える

受動喫煙防止対策助成金は、単なる経費削減ではなく、

・顧客満足度の向上
・従業員の定着・健康維持
・店舗のブランド強化

といった経営的な波及効果をもたらす制度です。
個人事業主だからこそ、小さな投資で大きな信頼を得る機会として積極的に活用する価値があります。

受動喫煙防止対策助成金は“店舗価値を上げるチャンス”

受動喫煙防止対策助成金は、単なる法令対応のための制度ではなく、店舗の魅力を高めるための経営ツールです。

特に個人事業主の場合、少額の投資で職場環境の改善・顧客満足度の向上・信頼性アップという3つの効果を同時に得ることができます。

助成金の申請条件や対象となる工事内容を正しく理解すれば、喫煙室の設置を「コスト」ではなく「投資」として活かせます。

「義務対応のためにやる」から「お客様と従業員のために整える」へ、この意識の転換こそが、補助金活用の本当の価値です。

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