企業の従業員が安心して働ける環境を整えるうえで、「産業保健体制の構築」は欠かせません。
しかし現実には、「産業医を確保できない」「健康管理に十分な予算が取れない」といった課題を抱える中小企業が多く存在します。
そうした課題に対応するため、厚生労働省が推進しているのが「団体経由産業保健活動推進助成金」です。
この制度は、商工会議所や業界団体などが中小企業の代表として申請・支援を行う仕組みで、単独では難しい産業保健活動を団体単位で支援する点が大きな特徴です。
たとえば、地域の企業が連携して産業医や保健師による健康相談を実施したり、共同でストレスチェック・職場環境改善を進める場合などに、この助成金を活用できます。
本記事では、「団体経由産業保健活動推進助成金」の概要・対象・申請条件・注意点までをわかりやすく解説します。
中小企業でも無理なく産業保健を実現できるよう、制度の仕組みと活用の流れをしっかり押さえておきましょう。
団体経由産業保健活動推進助成金とは?

中小企業の産業保健格差を是正するために設けられたのが「団体経由産業保健活動推進助成金」です。
この制度は、単独では十分な産業保健体制を整えられない中小企業が、業界団体や商工会などを通じて共同で支援を受けられる仕組みとなっています。
ここでは制度の概要から助成金額、目的までわかりやすく解説します。
制度の概要(中小企業の産業保健活動を団体単位で支援)
「団体経由産業保健活動推進助成金」は、団体が中心となって会員企業の健康管理体制を強化する活動を支援する制度です。
対象となるのは、労働者の健康保持増進を目的として、産業医の選任・ストレスチェック・職場環境改善活動などを共同で実施する団体です。
具体的な支援対象には、次のような取り組みが含まれます。
・複数の中小企業が共同で産業医や保健師を雇用する活動
・団体による健康管理研修や安全衛生教育の開催
・職場巡視・作業環境測定・健康相談会などの実施
これにより、中小企業単独では難しい産業保健体制の整備を団体単位で進められる点が特徴です。
助成対象となる団体と企業の関係(共同申請の仕組み)
この制度では、団体が中心となって構成員企業と連携し、共同で助成金を申請する形をとります。
つまり、1社単独での申請はできず、団体が代表して申請・管理するのが原則です。
助成金の流れは以下の通りです。
1.団体が構成員企業をとりまとめ、産業保健活動計画を策定
2.団体が計画を提出し、助成金の交付申請を実施
3.計画に基づく活動を実施し、終了後に実績報告書を提出
4.厚生労働省(または独立行政法人労働者健康安全機構)による審査・支給決定
構成員企業は申請の直接の当事者ではないものの、団体の計画に基づき、健康診断や職場環境改善などの施策に参加することで恩恵を受ける仕組みです。
助成金額と補助率(支給上限・対象経費の内訳)
助成金額は、活動の種類や規模によって異なります。
おおまかな支給内容は以下のとおりです。
| 区分 | 対象経費の例 | 補助率 | 上限額(目安) |
| 産業医・保健師の共同選任 | 謝金・交通費・派遣費 | 3/4以内 | 最大500万円程度 |
| 健康教育・研修会開催 | 会場費・講師費・資料作成費 | 3/4以内 | 最大300万円程度 |
| 職場環境改善活動 | 測定機器・備品購入・外部委託費 | 3/4以内 | 最大500万円程度 |
※上限額は年度ごとに変更される場合があります。
団体が活動に必要な費用の大部分を補助してもらえるため、自己負担を抑えつつ中小企業の健康管理を強化できるのが大きなメリットです。
制度の目的|中小企業の産業保健格差をなくす仕組み
この制度の根本的な目的は、「大企業と中小企業の産業保健格差を是正すること」にあります。
中小企業では産業医の確保や健康管理体制の構築が難しく、結果として労働災害リスクや健康問題が深刻化しやすい現状があります。
団体単位で支援を行うことで、個々の企業では実現しにくい専門的サポートを受けられるのがこの助成金の強みです。
これにより、業界全体としての安全衛生水準の向上にもつながります。
団体単位の取り組みで「健康経営」の実現を後押し
団体経由産業保健活動推進助成金は、中小企業の産業保健体制を底上げするための制度的支援策です。
団体が中心となって産業医確保や職場改善を進めることで、単独企業では難しい健康経営の実現を可能にします。
助成率も高く、業界全体の安全・健康文化を築くうえで活用価値の高い制度といえます。
申請できる団体・企業の条件

この助成金を受けるには、申請主体となる団体と構成員企業の双方が一定の条件を満たす必要があります。
ここでは、それぞれの条件と支給対象となる活動内容、注意点を整理します。
申請主体となる「団体」の定義(商工会・業界団体など)
申請主体となるのは、複数の中小企業を構成員とする法人格を有する団体です。
具体的には、以下のような組織が該当します。
・商工会議所・商工会
・業界団体・協同組合・協会
・中小企業団体中央会
・労働安全衛生推進団体 など
これらの団体は、構成員企業の産業保健向上を目的とした活動を計画・実施できる体制を持つことが求められます。
単なる名義貸しのような形式的な団体では申請できません。
構成員企業に求められる条件(中小企業・雇用保険適用事業所)
構成員企業は、中小企業であり、かつ雇用保険適用事業所であることが前提です。
また、以下のような基準も設けられています。
・労働者の健康管理を自社で十分に実施できない規模であること
・団体が行う産業保健活動に積極的に参加する意思を有していること
・活動報告・効果検証などに必要なデータ提供が可能であること
これにより、助成金が本当に必要な中小企業に支援が行き届くよう配慮されています。
助成対象となる活動内容(産業医配置・健康指導・職場環境改善)
助成の対象となるのは、団体が中心となって会員企業の健康管理を支援する活動全般です。
代表的な対象活動は次のとおりです。
・共同での産業医・保健師の確保と派遣
・メンタルヘルス・生活習慣病予防に関する教育
・ストレスチェックや健康相談の実施
・作業環境測定や職場巡視によるリスク評価
・改善に向けた対策・研修・設備整備 など
健康診断の結果を活用したフォローアップや、職場改善の継続的取り組みも助成対象に含まれます。
不支給となるケース(計画不備・活動実績なし・報告遅延など)
助成金が不支給となる主なケースは以下の通りです。
・活動計画の内容が不十分、または実施体制が不明確な場合
・実際の活動が計画と異なり、成果が確認できない場合
・事業完了後の実績報告が遅延・不備となった場合
・助成対象外の経費(人件費・交際費など)を含んでいる場合
とくに報告書の遅延や支出証拠書類の不備は支給停止につながるため注意が必要です。
計画段階から記録管理の体制を整えることが成功のカギとなります。
条件を満たした団体連携が支援の鍵
この助成金を活用するには、団体・構成員企業ともに要件を明確に理解しておくことが不可欠です。
特に、団体が主導して活動を計画・管理する体制が整っていなければ、支給審査で不備と判断されるリスクもあります。
しっかりとした運営・報告を行えば、業界全体の健康経営推進に直結する助成金といえるでしょう。
助成対象となる産業保健活動の具体例

団体経由産業保健活動推進助成金では、企業が単独で実施するのが難しい産業保健活動を、団体を通じて体系的に行うことが求められます。
対象となる活動は幅広く、健康管理から職場環境の改善まで多岐にわたるのが特徴です。
ここでは、助成金の対象となる代表的な取り組みを具体的に紹介します。
産業医や保健師による健康相談・指導
最も基本的な活動は、団体が産業医や保健師を確保し、構成員企業の従業員に対して健康相談や指導を行う取り組みです。
たとえば、以下のような活動が助成対象になります。
・産業医による職場巡視や健康アドバイス
・保健師による個別面談・生活習慣改善指導
・健康診断結果に基づくフォローアップ面談
・高ストレス者へのカウンセリング・復職支援
これらは従業員の健康リスクを早期発見・予防するうえで重要な要素です。
特に中小企業では産業医の選任が難しいため、団体を通じた共同派遣が現実的な解決策となります。
ストレスチェックやメンタルヘルス教育
次に挙げられるのが、メンタルヘルスに関する教育・測定活動です。
従業員の心の健康を守るための具体的な施策として、以下のような取り組みが助成対象に含まれます。
・団体が中心となってストレスチェックを一括実施
・結果に基づく職場単位でのフィードバックや改善提案
・メンタルヘルス研修(管理職・従業員向け)の開催
・外部講師によるメンタルヘルス講座・セルフケア講習
心の健康は生産性・離職率に直結する分野です。
団体が横断的に支援することで、メンタル不調の早期対応体制を整えやすくなります。
安全衛生教育・健康診断結果の活用支援
産業保健活動の中でも見落とされがちなのが、安全衛生教育や健康診断結果の「活用」です。
この助成金では、単に健康診断を実施するだけでなく、その結果をもとに改善・教育へつなげる取り組みが評価されます。
・健診データの分析と傾向把握(団体単位での集計)
・高リスク項目に対する教育や改善計画の作成
・安全衛生大会・健康教育セミナーの開催
・管理職向け健康マネジメント研修の実施
「受けっぱなしの健康診断」を防ぎ、改善サイクルを生み出す仕組みを導入することが目的です。
これにより、団体全体として健康経営の推進度を高められます。
作業環境改善・設備導入(空調・照明・休憩スペース整備など)
物理的な職場環境の改善も助成対象です。
特に、労働者の健康保持や快適な職場づくりに直結する設備投資が支援の中心となります。
具体的な対象例は以下の通りです。
・作業場の空調・換気設備の新設・更新
・照明改善による目の疲労軽減・安全性向上
・休憩スペースやリラクゼーションルームの設置
・騒音・粉塵・有害物質対策のための設備導入
これらは労働災害や過労リスクを防ぎ、従業員満足度を向上させる取り組みとして高く評価されます。
団体単位で一括整備を行うことで、コスト効率も向上します。
団体による総合的な健康支援で企業の底上げを実現
団体経由産業保健活動推進助成金では、健康相談・教育・環境整備など複数分野を横断的に支援しています。
産業医や保健師による指導と環境改善を組み合わせることで、個人と職場の両面から健康づくりを進められるのが大きな特徴です。
単発の施策ではなく、団体による「継続的・包括的な活動」が助成対象となる点を押さえておきましょう。
申請から支給までの流れ

助成金を確実に受け取るためには、計画的な申請と正確な報告が欠かせません。
ここでは、「申請〜実施〜報告〜支給」までの一連のプロセスを整理します。
申請スケジュールと提出先(労働局・産業保健総合支援センター)
申請は、通常年度単位で募集され、受付期間が定められています。
申請書類の提出先は、以下のいずれかになります。
・団体の所在地を管轄する都道府県労働局
・産業保健総合支援センター(厚生労働省の委託機関)
申請スケジュールは年度によって異なりますが、一般的な流れは次の通りです。
| 時期 | 内容 |
| 4月〜6月 | 申請受付(団体による計画提出) |
| 7月〜9月 | 審査・交付決定 |
| 10月〜翌年2月 | 活動の実施 |
| 翌年3月末まで | 実績報告・支給申請 |
早めの計画策定と提出準備が、採択率を高める鍵となります。
必要書類と事前準備(計画書・見積書・構成員リストなど)
申請にあたっては、団体としての体制・活動内容・経費計画を明示する必要があります。
主な提出書類は以下の通りです。
・産業保健活動計画書(活動内容・実施体制・スケジュール)
・経費の見積書・内訳書
・構成員企業リスト(企業名・業種・従業員数など)
・団体の規約・役員名簿・登記事項証明書
・事業実施に関する同意書(構成員の署名)
提出書類の不備や計画の不明確さは審査で減点対象になります。
とくに、経費見積りの根拠や構成員の活動参加体制は丁寧にまとめましょう。
審査のポイント(活動の具体性・継続性・地域性)
審査では、次のような点が重点的に確認されます。
1.活動内容の具体性 – 計画が明確で実現可能か
2.継続性 – 助成期間終了後も活動が続く仕組みがあるか
3.地域性・波及効果 – 地域産業や会員企業全体に効果が及ぶか
4.経費の妥当性 – 見積金額や支出項目に不自然さがないか
単なる「一回きりの研修」や「形式的な活動」は対象外です。
審査側は、団体としての社会的意義と持続的インパクトを重視します。
助成金交付後の報告義務と実績確認
助成金が交付された後は、活動の実績を証明する報告書の提出が義務付けられています。
報告段階での不備や遅延は、支給額の減額や不支給につながる場合があります。
報告時に必要な主な書類は以下の通りです。
・実績報告書(活動実施内容・成果・効果)
・支出証拠(領収書・契約書・振込明細など)
・参加者名簿・研修資料・記録写真
・活動の継続計画(次年度以降の取り組み予定)
報告書の内容が審査結果と異なる場合は返還を求められることもあるため注意が必要です。
計画段階から記録・証跡を整理しておくとスムーズです。
計画・報告の精度が助成金獲得の決め手
団体経由産業保健活動推進助成金は、計画性・実行性・報告性の3点が評価の柱です。
「実施できそう」ではなく「どのように成果を出すか」を明確に示すことが採択率を高めるポイントです。
また、報告フェーズを意識した記録管理を行えば、次年度以降の継続支援にもつながります。
利用時の注意点・制約事項

団体経由産業保健活動推進助成金を活用する際には、いくつかの注意点や制約があります。
対象経費の範囲や他制度との併用可否、書類保存義務などを理解しておかないと、思わぬトラブルや不支給リスクにつながることがあります。
ここでは、申請前に確認すべき主なポイントを整理します。
対象経費の範囲と除外項目(飲食・福利厚生費は対象外)
この助成金で支援されるのは、産業保健活動の実施に直接必要な経費のみです。
したがって、活動目的と関係のない費用は対象外となります。
対象となる経費の一例は以下のとおりです。
・産業医・保健師の派遣費、交通費
・健康教育や安全衛生講習の講師料、会場費
・測定機器や改善設備の購入費
・教材や資料作成に要する印刷費
一方、除外される代表的な項目は次の通りです。
・懇親会や飲食を伴う会合の費用
・福利厚生目的のレクリエーション費
・団体の通常運営経費(人件費・光熱費など)
・政治・宗教活動に関連する支出
経費の適正性は審査時および監査時に厳しく確認されるため、支出内容を明確に区分しておくことが重要です。
助成金の重複受給禁止(他制度との併用制限)
本助成金は、同一の活動内容に対して他の助成制度から重複して資金を受けることが禁止されています。
つまり、同じ経費を複数の助成金に申請することはできません。
たとえば以下のケースでは注意が必要です。
・「産業医活動助成金」と同一の産業医派遣費を申請
・「健康経営支援助成金」で講習費を申請済みにもかかわらず、本助成金でも同内容を計上
・地方自治体の補助金と同一事業を重複申請
ただし、活動の目的や内容が明確に区別されていれば、併用が可能な場合もあります。
計画書作成時に、対象範囲を整理し重複を避けることが大切です。
年度ごとの募集期間・申請上限に注意
助成金の募集は年度単位で実施され、予算額の上限に達し次第、受付が終了します。
そのため、早めの情報収集と申請準備が不可欠です。
特に注意すべきポイントは次の通りです。
・募集開始から締切までの期間は概ね2〜3か月程度
・年度内の申請回数には制限がある場合がある
・交付決定前に着手した経費は原則として対象外
スケジュールを見誤ると、せっかくの計画が無効になる可能性もあるため、早期申請が鉄則です。
助成事業終了後の書類保存義務と監査対応
助成金の交付を受けた団体は、事業終了後も一定期間、関連書類を保存する義務があります。
具体的には、交付年度終了後5年間程度の保存が求められます。
保存対象となる書類には次のようなものがあります。
・支出証拠書類(領収書・請求書・契約書など)
・実施報告書・写真・参加名簿
・経費台帳・活動記録
これらは、労働局や産業保健総合支援センターによる監査の際に提示を求められることがあります。
不備や紛失が発覚すると返還命令につながる可能性もあるため、事業完了後も書類管理体制を維持することが不可欠です。
助成金の「正しい使い方」と「管理体制」が採択の鍵
団体経由産業保健活動推進助成金は、中小企業の健康管理を支援する心強い制度ですが、経費の範囲・申請スケジュール・書類管理のルールを守らなければリスクも伴います。
対象経費の明確化と記録の徹底が、信頼される団体運営の証です。
計画から報告、保存まで一貫した管理体制を整えておくことで、スムーズな審査・支給につながります。
他の産業保健関連助成金との違いと併用の可否

産業保健分野には、他にも複数の助成制度があります。
「団体経由産業保健活動推進助成金」はそれらの補完的な位置づけにあり、目的や対象が明確に区分されています。
ここでは、他制度との違いと併用の可否を解説します。
産業医活動助成金・小規模事業場産業医制度との違い
産業医活動助成金や小規模事業場産業医制度は、企業単位での支援を中心とした制度です。
一方、団体経由産業保健活動推進助成金は「団体単位」での申請が前提となります。
| 比較項目 | 団体経由産業保健活動推進助成金 | 産業医活動助成金/小規模事業場産業医制度 |
| 申請主体 | 団体(商工会・業界団体など) | 企業単位 |
| 主な目的 | 団体を通じた中小企業全体の支援 | 個別企業の産業医選任支援 |
| 対象範囲 | 産業医派遣・教育・環境改善など包括的 | 産業医配置・医師面談など限定的 |
| 継続性 | 団体による長期的な健康管理体制づくり | 一時的な支援中心 |
団体による横断的な取り組みを支援する点で本制度がより包括的であり、産業医助成金と役割が明確に異なります。
健康経営支援助成金との併用ルール
「健康経営支援助成金」との併用は、活動内容が重複しなければ可能です。
たとえば次のようなケースでは併用が認められる場合があります。
・団体助成金で「産業医派遣」を実施し、健康経営助成金で「従業員向け運動プログラム」を実施
・団体が「産業保健教育」を担当し、各企業が「職場改善活動」を独自に展開
ただし、同じ経費(講師費・設備費など)を二重に計上することは不可です。
計画段階で、どの助成金で何を実施するのかを明確に分ける必要があります。
地域単位での連携支援(商工会・医師会との共同実施事例)
本助成金の強みは、地域単位での多機関連携を促進できる点にもあります。
実際に、以下のような成功事例が報告されています。
・商工会と医師会が連携し、産業医を地域単位で派遣する仕組みを構築
・中小企業団体が自治体と協働して健康相談会や啓発セミナーを開催
・地域保健センターと共同でストレスチェック事業を展開
こうした事例は、地域全体の産業保健意識を底上げし、持続的な支援体制づくりにつながるとして高く評価されています。
団体がハブ(中核)となり、医療機関・行政・経済団体を巻き込むことが成功の鍵です。
制度の位置づけを理解し、適切に併用・連携することが重要
団体経由産業保健活動推進助成金は、団体を通じて中小企業の健康経営を支援する中核制度です。
他の助成金との違いを理解したうえで、目的・対象を整理して併用することで最大限の効果を発揮します。
また、商工会や医師会など地域ネットワークと連携すれば、業界全体の安全衛生レベル向上にも貢献できるでしょう。
団体の力を活かして、無理のない産業保健活動を実現しよう

中小企業にとって、産業医の確保や職場環境の改善を単独で進めるのは決して容易ではありません。
「団体経由産業保健活動推進助成金」は、そうした企業の課題を解消するために、商工会・業界団体などを通じて複数社が協力しながら産業保健活動を進められる仕組みです。
この助成金を活用すれば、以下のようなメリットが得られます。
・団体主導で産業医・保健師を確保できるため、人材確保コストを大幅に軽減
・健康相談・教育・環境改善など、幅広い活動を一括で支援
・高い補助率(最大3/4)で、予算を気にせず健康管理体制を整備
・報告・監査を適正に行えば、継続的な支援も受けられる
特に、「健康経営を進めたいが費用や体制に不安がある」中小企業にとって、本助成金は大きな後押しになります。
また、商工会や業界団体などの中間支援組織にとっても、会員企業の価値向上を図る実効的な取り組みとして有効です。
産業保健は“企業の義務”ではなく、“企業の未来を守る投資”です。
この助成制度を上手に活用し、従業員が安心して働ける職場環境を団体全体で築いていきましょう。
