障害者介助等助成金は、障害者を雇用する事業主が、業務上必要な介助や職場支援、復職支援などを行う際に利用できる助成制度です。
対象となる支援は一つではありません。職場介助者の配置・委嘱、手話通訳や要約筆記、職場支援員、職場復帰支援、重度訪問介護サービス利用者への職場介助など、障害の種類や必要な支援内容に応じて複数の助成措置があります。
ただし、障害者を雇用していれば一律に利用できるわけではありません。対象障害者、支援内容、申請時期などの要件を満たす必要があります。
また、過去にあった「障害者相談窓口担当者の配置助成金」はすでに廃止されています。古い制度情報ではなく、現在の制度体系に沿って確認することが大切です。
障害者介助等助成金とは?

障害者介助等助成金は、障害者の雇用継続に必要な介助や雇用管理上の支援を行う事業主に対して、費用の一部を助成する制度です。
人による支援が中心ですが、対象となる措置は幅広く設定されています。
障害者の雇用継続に必要な介助・雇用管理を支援する制度
障害者介助等助成金では、障害者が職場で業務を続けるために必要となる介助や支援を対象とします。
たとえば、
- 文書の朗読
- PC入力の補助
- 業務上の移動介助
- 手話通訳
- 要約筆記
- 日常的な業務指導
- 職場復帰支援
などです。
障害者本人の業務遂行を支えるだけでなく、継続して働きやすい環境を整えることも制度の目的です。
障害者なら誰でも同じ助成を受けられるわけではない
障害者介助等助成金は、障害者手帳を持っていればすべて同じ支援を利用できる制度ではありません。
たとえば職場介助者の配置・委嘱では、重度の視覚障害者や一定の重度四肢機能障害者などが主な対象です。
一方、職場支援員や職場復帰支援では、別の対象要件が設定されています。
そのため、
障害者を雇っているから職場介助者の費用が助成される
と一括りにせず、対象障害者と必要な支援の組み合わせを確認する必要があります。
支援内容によって利用する助成措置が異なる
障害者介助等助成金には、複数の助成措置があります。
代表的なものを整理すると次のとおりです。
| 必要な支援 | 主な助成措置 |
| 業務を直接介助してほしい | 職場介助者の配置・委嘱 |
| 手話通訳・要約筆記が必要 | 手話通訳・要約筆記等担当者 |
| 日常的な業務指導が必要 | 職場支援員の配置・委嘱 |
| 休職した障害者を復帰させたい | 職場復帰支援 |
| 重度訪問介護等を使う従業員に業務介助が必要 | 重度訪問介護サービス利用者等職場介助 |
| 中途障害等により技能習得が必要 | 技能習得支援 |
制度名から探すより、「何に困っているか」を先に整理すると選びやすくなります。
障害者介助等助成金の主な種類

障害者介助等助成金には、介助者を配置する制度だけでなく、意思疎通支援や職場復帰などを対象とする助成もあります。
それぞれ役割が異なるため、同じ「支援者を置く制度」としてまとめないことが重要です。
業務を直接介助するなら「職場介助者の配置・委嘱助成金」
障害者本人が業務を行う際に直接的な介助が必要な場合は、職場介助者の配置・委嘱助成金を確認します。
職場介助者が行う支援には、
- 文書を読み上げる
- 書類作成を補助する
- PC入力を手伝う
- 書類を整理する
- 業務上の移動や外出を介助する
などがあります。
事業主が自社の従業員を介助者として配置する方法と、外部の人へ委嘱する方法があります。
聴覚障害者の意思疎通支援なら「手話通訳・要約筆記等担当者」
聴覚障害者との業務上の意思疎通に支援が必要な場合は、手話通訳や要約筆記等の担当者に関する助成を確認します。
たとえば、
- 会議
- 面談
- 研修
- 業務指示
- 社内説明
などで意思疎通支援が必要になる場合です。
単に社内に手話ができる人がいるだけではなく、制度上の対象者や支援内容を満たす必要があります。
日常的な業務指導なら「職場支援員の配置・委嘱助成金」
障害者の日常的な業務遂行を支える場合は、職場支援員の配置・委嘱助成金が候補です。
職場支援員は、
- 業務手順の説明
- 作業方法の指導
- 職場内の相談
- 上司や同僚との調整
- 業務上の課題への対応
などを行います。
職場介助者が「業務を直接介助する」のに対し、職場支援員は「業務遂行を援助・指導する」という違いがあります。
休職した障害者の復帰なら「職場復帰支援助成金」
病気や事故などにより中途障害となり、一定期間休職した従業員の職場復帰を支援する場合は、職場復帰支援助成金を確認します。
対象となる措置には、
- 勤務時間の調整
- 職務内容の変更
- 職務開発
- 必要な講習
などがあります。
新たに障害者を採用するケースだけでなく、既存従業員の復職にも使える点が特徴です。
重度訪問介護等の利用者には専用の職場介助助成金がある
重度訪問介護、同行援護、行動援護などを利用する一定の障害者が働く場合は、専用の職場介助助成金を利用できることがあります。
業務上必要な介助をサービス事業者へ委託する場合などが対象です。
通常の職場介助者制度とは対象者や助成率が異なるため、別制度として確認します。
中途障害・中高年齢等の技能習得を支援する助成金もある
中途障害や加齢に伴う職業能力上の課題に対応するため、必要な技能を身につける支援制度もあります。
現在は、
- 中途障害者等技能習得支援助成金
- 中高年齢等障害者技能習得支援助成金
などが設けられています。
職場介助とは目的が異なるため、業務継続に必要な技能習得が課題になっている場合に確認します。
職場介助者の配置・委嘱助成金の対象と支給額

職場介助者の配置・委嘱は、障害者介助等助成金の代表的な支援です。
ただし、対象障害者は限定されています。また、「配置」と「委嘱」で支給方法が異なります。
重度視覚障害者・一定の重度四肢機能障害者が主な対象
職場介助者の配置・委嘱は、主に業務遂行時の直接介助が必要な重度障害者を対象としています。
代表例は、
- 2級以上の視覚障害者
- 一定の重度四肢機能障害者
などです。
障害の等級だけでなく、担当業務で実際に介助が必要かどうかも重要です。
介助が不要な業務に対して、単に人員を増やす目的で申請することはできません。
職場介助者を配置する場合は助成率3/4・月額最大15万円
職場介助者を事業所内に配置する場合、現在の制度では助成率3/4が基本です。
支給限度額は月額15万円です。
ただし、実際にかかった費用や対象となる介助内容などによって支給額は変わります。
上限15万円が必ず毎月支給されるわけではありません。
外部へ委嘱する場合は1回あたりの支給上限が設定される
自社で職場介助者を雇用するのではなく、必要なときだけ外部の介助者へ委嘱する方法もあります。
委嘱の場合は、配置型のような月額ではなく、1回あたりの支給限度額などが設定されています。
業務の頻度が限られている場合や、特定の場面だけ介助が必要な場合は委嘱型が適することがあります。
どちらが使えるかは、業務内容と必要な介助頻度から判断します。
新規措置終了後も継続措置の助成を受けられる場合がある
職場介助者の支援は、新たに配置・委嘱した期間だけで終わるとは限りません。
一定の条件を満たせば、新規措置の助成期間終了後も「継続措置」として支援対象になる場合があります。
さらに、中高年齢等に伴って介助の必要性が変化した場合には、中高年齢等措置が利用できることもあります。
長期間支援が必要な障害者を雇用している場合は、初回申請だけでなく、その後の支援制度も確認しましょう。
障害者介助等助成金で対象になる介助・ならない介助

「介助」という言葉から、仕事中に必要なすべての介護を対象にできると思われがちです。
しかし、障害者介助等助成金では、基本的に業務遂行に必要な介助が中心です。
文書朗読・PC入力・業務上の移動介助などは対象になり得る
職場介助者による支援では、障害者本人が担当する業務を遂行するために必要な介助が対象になります。
たとえば、
- 視覚障害者への文書朗読
- 書類作成の補助
- PC操作・入力の補助
- 書類の整理
- 業務上の外出や移動の付き添い
などです。
本人が業務を続けるために必要な介助であることがポイントです。
手話通訳・要約筆記は聴覚障害者の業務支援として対象
聴覚障害者については、業務上のコミュニケーションを支えるための手話通訳や要約筆記等が対象になります。
具体的には、
- 会議への参加
- 研修受講
- 面談
- 業務説明
- 社内打ち合わせ
などです。
通常の社内コミュニケーションだけでなく、業務遂行に必要な意思疎通であることを確認します。
食事・トイレなど業務外の日常生活介助は別制度になる
職場で行う介助であっても、食事やトイレなどの日常生活上の介助が、そのまま障害者介助等助成金の対象になるとは限りません。
たとえば、
- 食事
- 給水
- トイレ
- 姿勢調整
- 日常生活上の見守り
などは、業務そのものを遂行するための介助とは区別されます。
重度訪問介護サービスなど、福祉制度側で支援する範囲と分けて考える必要があります。
単に人員を増やすだけでは助成対象にならない
障害者をサポートするために社員を1人増やしたとしても、その人件費が自動的に助成されるわけではありません。
対象障害者に対して、
- どの業務で
- どんな介助が必要なのか
- 誰がどのように支援するのか
を明確にします。
一般的な人員補充や業務分担のための増員とは区別が必要です。
職場支援員・職場復帰支援はいくら助成される?

障害者介助等助成金では、直接介助だけでなく、業務指導や復職支援にも助成があります。
支給額は措置の種類や対象者、企業規模によって異なります。
職場支援員の配置は中小企業で月額最大4万円
中小企業が職場支援員を配置する場合、短時間労働者以外の対象者では月額最大4万円が支給されます。
短時間労働者の場合は月額最大2万円です。
職場支援員の配置では、
- 業務の指導
- 職場内での援助
- 日常的な相談
などを継続的に行います。
支給期間は原則2年間で、精神障害者の場合はより長い期間が設定される取扱いがあります。
職場支援員の委嘱は1回1万円・月額4万円が上限
職場支援員を自社で配置せず、外部の人へ委嘱する方法もあります。
委嘱の場合は、
- 1回につき1万円
- 月額4万円まで
が支給限度額の目安です。
必要な支援頻度や社内体制に応じて、配置と委嘱を選びます。
職場復帰支援は中小企業で月額6万円などの支援がある
中途障害者等が職場へ復帰するために、時間的配慮や職務開発などを行う場合、中小企業では月額6万円などの支援があります。
また、職場復帰に必要な講習を行う場合は、講習費用に対する助成もあります。
たとえば、
- 短時間勤務から復帰する
- 業務内容を変更する
- 新しい業務スキルを学ぶ
といったケースです。
対象障害者・措置・支給期間によって金額は変わる
障害者介助等助成金では、一つの共通上限額があるわけではありません。
同じ支援でも、
- 中小企業かどうか
- 短時間労働者か
- 障害の種類
- 新規措置か継続措置か
- 支援期間
などによって金額が異なります。
そのため、制度全体の「最大額」だけで判断せず、自社が利用する措置ごとの金額を確認してください。
重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金とは?

重度訪問介護などを利用する障害者が働く場合には、通常の職場介助者制度とは別に専用の助成があります。
福祉サービスと雇用支援制度を組み合わせて利用する点が特徴です。
重度訪問介護・同行援護・行動援護の利用者等が対象
対象となるのは、重度訪問介護、同行援護、行動援護などを利用する一定の障害者です。
さらに、市町村等から職場での介助が必要と認められていることなどの条件があります。
本人が福祉サービスを利用しているというだけで、自動的に職場介助助成の対象になるわけではありません。
中小企業は委託費の9/10・月額15万円まで助成される
中小企業が業務上必要な職場介助をサービス事業者へ委託する場合、対象費用の9/10が助成されます。
月額上限は15万円です。
通常の職場介助者配置とは助成率が異なるため、重度訪問介護等の利用者を雇用している場合は専用制度を先に確認しましょう。
業務上の介助と福祉サービスによる生活介助を分けて利用する
この制度でも、仕事に必要な介助と生活上必要な介助を分けます。
たとえば、
職場介助助成の対象候補
- PC操作
- 書類作成
- 業務上の移動
- 業務に必要な姿勢保持の一部
福祉サービス側で確認する支援
- 食事
- 排せつ
- 給水
- 日常生活上の介護
といった整理が必要です。
両制度の対象範囲を混同しないようにしましょう。
市町村等への事前相談・利用決定が必要
重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金を利用する場合は、JEEDだけで手続きが完結するとは限りません。
市町村等による職場介助の必要性確認や、福祉サービス側の手続きが関係します。
そのため、
- 市町村等へ相談
- 必要な介助内容を整理
- JEEDへ助成制度を確認
- 必要な認定・申請
- サービス事業者へ委託
という順番で進めることが重要です。
障害者介助等助成金の申請方法

障害者介助等助成金は、支援を始めた後に領収書を提出すれば受け取れる制度ではありません。
制度によって認定申請や提出期限が定められているため、措置を始める前から準備しましょう。
1.JEED都道府県支部へ利用できる制度を事前相談する
まず、事業所所在地を管轄するJEEDの都道府県支部へ相談します。
相談時には、
- 対象障害者
- 障害の程度
- 雇用状況
- 必要な支援
- 配置・委嘱予定日
などを整理しておくと進めやすくなります。
同じ「支援が必要」という状況でも、職場介助者、職場支援員、ジョブコーチなど適する制度が異なります。
2.受給資格認定が必要な措置は期限内に認定申請する
制度によっては、助成を受ける前に受給資格認定が必要です。
認定前に介助者を配置したり、支援を開始したりすると、その期間が助成対象外になることがあります。
申請期限は措置ごとに異なります。
たとえば職場支援員では、配置・委嘱を行った日の翌日から3か月後の応当日までが認定申請期限として設定されています。
3.認定後に介助者の配置・委嘱などの措置を実施する
必要な認定を受けた後、計画に沿って支援措置を実施します。
実施後は、
- 支援日
- 支援時間
- 支援内容
- 支払った費用
- 対象労働者の勤務状況
などを記録します。
支給申請時に実施状況を確認できるよう、日常的に証拠書類を残しておくことが必要です。
4.支給対象期間ごとに必要書類をそろえて支給申請する
一定の支給対象期間が終了したら、必要書類をそろえて支給申請を行います。
主な書類として、
- 支給申請書
- 雇用関係を確認する書類
- 賃金関係書類
- 介助実績
- 委嘱費用を確認できる書類
などが求められます。
必要書類は利用する助成措置によって異なります。
5.対象手続きはe-Gov電子申請も利用できる
現在、一部の障害者介助等助成金についてはe-Govによる電子申請にも対応しています。
紙申請だけでなく電子申請を利用できるため、自社の申請体制に合わせて選択できます。
ただし、すべての手続きが同じ方法に対応しているとは限りません。
利用する制度の最新案内で確認してください。
障害者介助等助成金を利用するときの注意点

障害者介助等助成金では、制度名が似た支援が多いため、対象者と役割を正確に整理することが重要です。
過年度の情報にも注意しましょう。
障害者相談窓口担当者の配置助成金はすでに廃止されている
過去には「障害者相談窓口担当者の配置助成金」が障害者介助等助成金の一つとして利用されていました。
しかし、この制度は2024年3月31日で廃止されています。
2024年4月1日以降に開始した措置は新規支給対象ではありません。
古い制度一覧に掲載されていても、現在の制度として申請しないようにしてください。
対象障害者と介助内容の組み合わせを申請前に確認する
助成金の対象可否は、
- 障害の種類・程度
- 雇用条件
- 必要な支援
- 支援担当者
- 支援方法
を組み合わせて判断します。
たとえば職場介助者制度を利用したくても、対象障害者の要件を満たさなければ利用できません。
逆に、職場介助者に該当しなくても職場支援員など別の制度が使える場合があります。
配置・委嘱を始める時期と認定申請期限に注意する
助成金を利用するときに特に注意したいのが、支援開始日と申請期限です。
「まず介助者を置いて、数か月後に申請する」という進め方では、制度によって対象外になることがあります。
支援開始予定日が決まった時点で、認定申請が必要か確認してください。
職場介助者と職場支援員・ジョブコーチを混同しない
障害者を支援する人には、似た名称の制度があります。
| 支援者 | 主な役割 |
| 職場介助者 | 業務そのものを直接介助 |
| 職場支援員 | 日常的な業務遂行を援助・指導 |
| ジョブコーチ | 職場適応を専門的に支援 |
同じ障害者に必要な支援でも、目的によって使う制度は変わります。
助成額だけで選ばず、実際の支援内容に合う制度を利用しましょう。
最新年度のJEEDパンフレット・申請様式を使用する
障害者介助等助成金は、制度改正や支給額の見直しが行われることがあります。
過去の申請書やパンフレットでは、
- 廃止済み制度
- 古い支給額
- 古い申請期限
- 現在と異なる制度名
が掲載されている場合があります。
申請する際は、必ず現在の年度の資料・様式を使用してください。
障害者介助等助成金は必要な支援内容から制度を選ぼう

障害者介助等助成金は、障害者の雇用継続に必要な介助や支援を行う事業主に対して、費用の一部を助成する制度です。
代表的な支援には、
- 職場介助者の配置・委嘱
- 手話通訳・要約筆記
- 職場支援員
- 職場復帰支援
- 重度訪問介護サービス利用者等への職場介助
- 技能習得支援
などがあります。
ただし、同じ「障害者支援」でも制度の役割は異なります。
職場介助者は業務を直接介助し、職場支援員は日常的な業務遂行を援助・指導します。ジョブコーチは職場適応を専門的に支援する別制度です。
また、職場介助者の配置は助成率3/4・月額最大15万円、職場支援員の配置は中小企業で月額最大4万円、重度訪問介護サービス利用者等への職場介助は中小企業で委託費の9/10・月額最大15万円など、措置によって支給内容が変わります。
利用するときは、支給額だけを見るのではなく、
- 対象障害者
- 必要な支援内容
- 配置か委嘱か
- 認定申請の期限
- 支援開始時期
まで確認してください。
過去に存在した障害者相談窓口担当者の配置助成金はすでに廃止されています。古い制度情報に注意し、最新のJEED資料を確認してから申請を進めましょう。
