障害者雇用安定助成金は、現在は廃止されています。以前は、障害者の職場定着やジョブコーチによる支援、施設整備などに活用できる制度として利用されていました。
現在は、旧制度の支援内容の一部が別の助成金や、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の制度へ移行しています。そのため、障害者雇用安定助成金を探している場合は、旧制度名ではなく「何を支援したいのか」から現行制度を選ぶ必要があります。
たとえば、ジョブコーチによる職場定着なら職場適応援助者助成金、作業設備やスロープなどの整備なら障害者作業施設設置等助成金が候補です。
古い制度名や申請先をそのまま参考にせず、現在の制度へ置き換えて確認しましょう。
障害者雇用安定助成金は現在も使える?

障害者雇用安定助成金は、現在新たに申請できる現行制度ではありません。
以前の制度で支援していた内容の一部は、現在も別の名称や制度で支援されています。
障害者雇用安定助成金はすでに廃止されている
障害者雇用安定助成金は、すでに廃止されています。
そのため、
障害者雇用安定助成金を2026年度に申請したい
と考えても、旧制度名のまま新規申請することはできません。
過去には、
- 障害者職場適応援助コース
- 障害者職場定着支援コース
- 中小企業障害者多数雇用施設設置等コース
など、障害者の雇用継続や職場環境整備を支援する複数の仕組みがありました。
現在は制度再編により、目的に応じて別の助成金を確認する形になっています。
一部の支援内容は他の助成金やJEEDの制度へ移管された
障害者雇用安定助成金が廃止されたからといって、障害者の職場定着や設備整備に対する支援そのものがなくなったわけではありません。
現在は、主に独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が取り扱う助成金として、
- 職場適応援助者助成金
- 障害者作業施設設置等助成金
- 障害者福祉施設設置等助成金
- 重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金
- 職場復帰支援助成金
- 職場支援員の配置または委嘱助成金
などがあります。
旧制度を探している場合は、これらの現行制度へ置き換えて確認する必要があります。
現在は「何を支援したいか」で後継制度を選ぶ
現在の制度は、旧「障害者雇用安定助成金」という一つの名称から探すより、実施したい取組から選ぶ方が分かりやすくなっています。
目安は次のとおりです。
| 支援したい内容 | 現在確認する主な制度 |
| ジョブコーチによる職場定着 | 職場適応援助者助成金 |
| 作業設備・スロープ等の整備 | 障害者作業施設設置等助成金 |
| 休憩室などの福祉施設整備 | 障害者福祉施設設置等助成金 |
| 重度障害者を多数雇用するための施設整備 | 重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金 |
| 中途障害者などの職場復帰 | 職場復帰支援助成金 |
| 職場支援員の配置 | 職場支援員の配置または委嘱助成金 |
制度名よりも、「職場定着」「設備」「復帰」など自社の目的を先に整理してください。
障害者雇用安定助成金の代わりに使える主な制度

旧制度の支援内容は、現在では複数の助成金へ分かれています。
対象となる障害者や支援内容によって使える制度が異なるため、目的別に確認しましょう。
ジョブコーチによる職場定着支援なら「職場適応援助者助成金」
障害者が職場へ適応できるよう、ジョブコーチによる支援を行う場合は職場適応援助者助成金が候補です。
ジョブコーチは、
- 障害者本人への業務支援
- 職場内でのコミュニケーション支援
- 上司や同僚への助言
- 業務手順の整理
- 職場環境の調整
などを行います。
旧障害者雇用安定助成金の「障害者職場適応援助コース」を探している場合は、現在の職場適応援助者助成金を確認してください。
スロープ・作業設備などの整備なら「障害者作業施設設置等助成金」
障害者が安全かつ円滑に働くための作業施設や設備を整える場合は、障害者作業施設設置等助成金が候補になります。
たとえば、
- スロープ
- 作業スペースの改修
- 障害特性に対応した機械
- 専用設備
- 業務上必要となる補助装置
などです。
単に会社全体の設備を新しくするだけではなく、障害者の雇用に伴って必要となる施設・設備であることが重要です。
休憩室などの整備なら「障害者福祉施設設置等助成金」
障害者の福祉を増進するための施設を設置・整備する場合は、障害者福祉施設設置等助成金を確認します。
対象候補には、
- 休憩室
- 休養室
- 食堂
- その他障害者の就労継続を支える福祉施設
などがあります。
作業そのものに使う設備とは目的が異なるため、障害者作業施設設置等助成金と分けて考えます。
障害者を多数雇用する施設整備なら「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」
重度障害者を多数継続雇用するために、大規模な施設整備を行う場合は、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金が候補です。
旧制度の「中小企業障害者多数雇用施設設置等コース」に近い支援を探している場合は、現在のこの制度を確認します。
ただし、
- 対象障害者数
- 雇用割合
- 継続雇用
- 施設・設備の必要性
など、一般的な設備助成より条件が細かく設定されています。
単に障害者を数人雇っているだけで利用できる制度ではありません。
職場復帰を支援するなら「職場復帰支援助成金」
事故や疾病などにより障害を負った労働者が職場へ復帰するために、必要な措置を行う場合は職場復帰支援助成金を確認できます。
たとえば、
- 勤務時間の調整
- 職務内容の変更
- 職場環境の整備
- 復職支援計画に基づく支援
などです。
新たに障害者を採用するケースだけでなく、すでに雇用している従業員が障害を負った場合にも利用候補となります。
日常業務の支援担当者を置くなら「職場支援員の配置または委嘱助成金」
障害者の業務遂行や職場適応を支援するために職場支援員を配置・委嘱する場合は、専用の助成制度があります。
職場支援員は、
- 業務手順の確認
- 日常的な相談
- 上司・同僚との調整
- 職場内での課題解決
などを支援します。
ジョブコーチによる専門的・集中的な支援と、日常的に職場内で行う支援は役割が異なります。
職場適応援助者助成金とは?

職場適応援助者助成金は、ジョブコーチによる支援を通じて、障害者の職場適応と定着を支援する制度です。
支援者が自社の従業員か、外部支援機関の担当者かによって制度が分かれます。
自社のジョブコーチによる支援は「企業在籍型職場適応援助者助成金」
企業在籍型職場適応援助者助成金は、自社に所属する職場適応援助者が障害者を支援する場合に利用を検討します。
対象となる支援には、
- 作業遂行に関する支援
- 人間関係への助言
- 業務手順の調整
- 職場担当者への助言
などがあります。
障害者本人だけを支援するのではなく、職場全体が適切に対応できる状態を作ることが目的です。
外部のジョブコーチによる支援は「訪問型職場適応援助者助成金」
企業の外部からジョブコーチが訪問して支援する場合は、訪問型職場適応援助者助成金があります。
主に、職場適応援助者を配置して障害者雇用を支援する法人などが対象となる制度です。
企業側がジョブコーチ支援を受けたい場合は、地域障害者職業センター等へ相談し、どの支援方法が適しているか確認するとよいでしょう。
中小企業の企業在籍型は対象者により月額4万~12万円
企業在籍型職場適応援助者助成金では、対象障害者の区分や労働時間によって支給額が異なります。
中小企業の場合、代表的な月額は次のとおりです。
| 対象者 | 短時間労働者以外 | 短時間労働者 |
| 精神障害者 | 月額12万円 | 月額6万円 |
| 精神障害者以外 | 月額8万円 | 月額4万円 |
支給期間は原則6か月です。
ただし、具体的な支給対象や期間は、最新の制度資料で確認してください。
地域障害者職業センターの支援計画に基づいて実施する
職場適応援助者による支援は、会社が独自に「ジョブコーチ役」を決めれば自動的に助成対象になるわけではありません。
支援計画や対象者、職場適応援助者の資格・要件などを確認する必要があります。
企業在籍型を利用する場合も、対象者への支援内容を整理し、制度に沿った形で進めます。
障害者雇用の施設・設備に使える助成金

障害者の雇用に伴って施設や設備を整える場合は、整備内容によって使う助成金が変わります。
作業設備、福祉施設、大規模な多数雇用施設を分けて考えることが重要です。
作業施設・作業設備の整備には障害者作業施設設置等助成金
障害者作業施設設置等助成金は、障害者の雇用に必要な作業施設・設備を設置または整備する事業主を支援する制度です。
対象になり得るのは、
- 建物のバリアフリー化
- 作業スペースの変更
- 障害特性に応じた設備
- 特殊な作業機器
などです。
ただし、一般の設備投資と区別できることが必要です。
「設備が古いから交換する」だけではなく、障害者が業務を行ううえで必要な措置であることを説明します。
休憩室など福祉施設の整備には障害者福祉施設設置等助成金
障害者福祉施設設置等助成金は、就労する障害者が利用する福祉施設の整備を支援します。
作業効率を高める設備というより、
- 休憩
- 休養
- 食事
- 職場での生活面
を支える設備が中心です。
作業施設助成金と目的が異なるため、何のために整備する設備なのかを最初に整理してください。
重度障害者を多数継続雇用する施設には専用助成金がある
多数の重度障害者を雇用する事業所では、専用の施設設置等助成金を利用できる場合があります。
通常の作業施設設置助成よりも大規模な支援となる一方、事業所や対象労働者に関する要件も厳格です。
対象となる障害者数や雇用状況を確認し、自社が制度の対象になるかを事前に判断する必要があります。
工事・購入前に認定や事前相談が必要な制度がある
施設・設備系の助成金で特に注意したいのが、工事や購入を始める時期です。
制度によっては、認定や申請手続きを行う前に、
- 工事契約
- 発注
- 設備購入
- 支払い
を進めると助成対象外になることがあります。
「後から領収書を提出すれば補助してもらえる」という制度ではありません。
設備導入を決めた段階で、先に申請窓口へ相談してください。
障害者雇用の職場定着・復帰に使える助成金

障害者雇用では、採用時だけでなく、雇用後の定着や復職にも支援制度があります。
職場環境を整えるだけでは解決しにくい場合は、人による支援制度も確認しましょう。
中途障害者等の職場復帰には「職場復帰支援助成金」
雇用中の従業員が病気や事故などで障害を負った場合、同じ職場へそのまま復帰できるとは限りません。
職場復帰支援助成金では、
- 勤務時間の変更
- 職務内容の変更
- 支援者の配置
- 職場環境の改善
など、復職に必要な措置を支援します。
新規採用向けの助成金とは役割が異なります。
職場支援員を配置・委嘱する場合も助成対象になり得る
障害者が日常業務を行う際に支援が必要な場合、職場支援員の配置や委嘱が助成対象になることがあります。
支援内容としては、
- 業務手順の説明
- 職場内での相談
- コミュニケーションの調整
- 課題発生時の対応
などです。
ジョブコーチによる一時的・集中的な支援から、職場内の継続的な支援へ移行したい場合にも確認しやすい制度です。
対象障害者と実施する措置によって利用制度が異なる
同じ「職場定着」という目的でも、必要な支援内容によって制度は変わります。
たとえば、
- 専門的なジョブコーチ支援
- 日常業務の支援員配置
- 設備改修
- 職場復帰
は、それぞれ別制度です。
一つの制度へ無理に当てはめず、対象障害者の状況と必要な措置から選びましょう。
障害者雇用安定助成金の後継制度はどこに申請する?

旧障害者雇用安定助成金と現在の後継制度では、申請先も異なります。
現在の障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、主にJEEDの各都道府県支部が窓口です。
障害者雇用納付金制度の助成金はJEED各都道府県支部へ申請する
作業施設設置、福祉施設、ジョブコーチ、職場支援員などの助成金は、JEEDの各都道府県支部へ申請・相談するのが基本です。
過去の障害者雇用安定助成金の記事では、
労働局
ハローワーク
が申請窓口として掲載されていることがあります。
しかし、旧制度の記事をそのまま現在の手続きへ当てはめないようにしてください。
制度によって申請前の認定・計画・事前相談が必要
現在の障害者雇用関係助成金では、制度ごとに申請時期が異なります。
特に設備系では、
- 制度対象の確認
- 事前相談
- 認定申請
- 認定後に工事・購入
- 支給申請
という順番になることがあります。
ジョブコーチ関連でも、支援開始前の計画や認定が必要です。
取組を始めてから助成金を探すのではなく、実施前に制度を確認しましょう。
古い障害者雇用安定助成金の申請様式は使わない
過去にダウンロードした障害者雇用安定助成金の申請書類は、現在の新規申請では使用できません。
制度名が似ていても、
- 申請書
- 添付書類
- 支給額
- 対象条件
- 申請先
が変わっています。
必ず現在利用する制度の様式を取得してください。
最新年度の助成金案内・申請様式を確認する
障害者雇用関係の助成制度は、年度によって支給額や対象要件、様式が変更されることがあります。
申請前には、
- 最新の助成金案内
- 対象障害者
- 助成対象措置
- 支給限度額
- 認定申請期限
- 支給申請期限
を確認します。
特に設備投資額が大きい場合は、制度対象外になったときの影響も大きくなります。
契約前の確認を徹底してください。
障害者雇用安定助成金を探している場合は現在の後継制度を確認しよう
障害者雇用安定助成金はすでに廃止されており、現在は旧制度名のまま新規申請することはできません。
ただし、障害者の職場定着や設備整備を支援する制度そのものがなくなったわけではありません。
現在は目的に応じて、
- ジョブコーチ支援なら職場適応援助者助成金
- 作業施設・設備なら障害者作業施設設置等助成金
- 休憩室等なら障害者福祉施設設置等助成金
- 重度障害者を多数雇用するなら専用の施設設置等助成金
- 職場復帰なら職場復帰支援助成金
- 日常業務の支援なら職場支援員の配置または委嘱助成金
といった制度を確認します。
また、旧制度と現在では申請窓口も異なります。JEEDが取り扱う助成金では、各都道府県支部への相談・申請が基本です。
設備工事や購入、ジョブコーチ支援を先に始めると対象外になる制度もあります。
障害者雇用に必要な支援内容を整理したうえで、契約・工事・支援開始前に現行制度の要件と申請時期を確認しましょう。

