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両立支援等助成金の「育児休業等支援コース」とは?中小企業向けに徹底解説!

育児休業を取得しやすい職場環境を整えたいが、具体的にどう支援制度を活用すればいいか悩んでいませんか?

両立支援等助成金の育児休業等支援コースは、育児と仕事の両立を支援する企業に対して国から給付される助成金制度です。

とくに中小企業にとっては、従業員の離職防止や定着促進のために有効な制度といえるでしょう。

この記事では、育児休業等支援コースの対象条件や申請時の注意点、必要な手続きまでをわかりやすく整理。

「自社も対象になるのかすぐに知りたい」「要件が複雑でよく分からない」という中小企業の担当者に向けて、判断の目安と申請の後押しとなる情報を丁寧に解説していきます。

この記事を読めば、自社が対象となるか明確に理解でき、スムーズに申請準備を進めることができます。

目次

育児休業等支援コースとは

育児と仕事の両立をサポートしたい中小企業の経営者や人事担当者にとって、「両立支援等助成金(育児休業等支援コース)」は非常に心強い制度です。

しかし、制度名だけでは内容が分かりにくく、「実際に何をすれば対象になるのか」「うちの会社は該当するのか」と迷うことも多いでしょう。

ここでは、育児休業等支援コースがどのような制度で、どんな企業やケースが対象になるのかをわかりやすく解説します。

▽育児休業等支援コースの概要と目的

育児休業等支援コースは、厚生労働省が実施する「両立支援等助成金」の一部で、企業が従業員の円滑な育児休業取得と職場復帰を支援する取り組みに対して助成金を支給する制度です。

少子化対策や労働力確保の観点から、育児休業を取得しやすく、復帰後も働きやすい環境を整える企業を支援する目的で設けられています。

▽対象企業と支給対象となる取り組み

このコースの対象となるのは、以下のような取り組みを行った中小企業事業主です。

雇用している労働者に育児休業を取得させる
・育児休業復帰支援プランを策定・実施する
育休復帰後の職場定着を支援する制度(短時間勤務など)を整備する

特に以下の2点が支給の要件として重視されます。

1.プランの策定・実施
事前に計画を立て、個別面談などの支援を実施
2.職場復帰後の定着
復帰後6か月以上継続勤務していること

▽支給金額の目安

支給額は取り組みの段階ごとに異なり、以下のような形で段階的に助成されます(一例です)。

・プラン策定・育休取得で – 28.5万円
・職場復帰で – 28.5万円
・継続勤務(定着)で – 28.5万円

1人の従業員につき最大85.5万円(条件により加算あり)が支給される可能性があります。

中小企業こそ活用すべき制度

育児休業等支援コースは、育休取得を促進し、復職後も長く働ける環境づくりを支援する助成制度です。
とくに人材の流出を防ぎたい中小企業にとっては、助成金による金銭的な支援に加え、従業員満足度や企業イメージの向上にもつながるメリットがあります。

育児と仕事の両立支援は企業の未来への投資です。この制度を正しく理解し、積極的に活用することで、持続可能な職場環境の構築を目指しましょう。

申請の準備とプロセス

両立支援等助成金「育児休業等支援コース」を申請するには、企業としての条件や制度の整備状況、法令遵守の有無など、多岐にわたる準備が必要です。

特に中小企業であることの定義や、就業規則への反映といった点は見落とされがちですが、申請の可否に直結する重要なポイントとなります。

ここでは、申請にあたってクリアすべき基礎的な要件を整理し、どの段階から準備すべきかを解説します。

中小企業としての定義(業種ごとの資本金・従業員数基準)

育児休業等支援コースは中小企業を主な対象として設計されています。

そのため、まず自社が中小企業に該当するかを明確にすることが出発点です。

中小企業の定義は業種ごとに異なり、以下のような基準が設けられています。

・製造業・建設業・運輸業など – 資本金3億円以下または常時使用する従業員数300人以下
・小売業 – 資本金5,000万円以下または従業員50人以下
・サービス業 – 資本金5,000万円以下または従業員100人以下

資本金と従業員数のいずれかを満たしていれば中小企業とみなされます。

グループ企業や親会社との連結状況にも注意が必要で、単体での基準を満たしていても全体での判断となる場合があります。

労働関係法令遵守と不支給要件の確認

支給の前提として、労働基準法や育児・介護休業法などの労働関係法令を遵守していることが必須です。

たとえば以下のような場合、申請が認められない、あるいは支給決定後に不支給となるリスクがあります。

労働基準監督署から是正指導を受けている
未払い残業代がある、または労働時間管理が適切に行われていない
労働保険や社会保険の適切な加入がされていない

また、過去に助成金を不正受給した経歴がある場合や、行政処分歴がある場合も不支給対象となります。

申請前には「事業主チェックリスト」等を用いて、自社の状況を客観的に点検しておくことが有効です。

就業規則における育児支援制度の整備と届出状況

助成金の審査においては、育児休業制度が社内ルールとして明文化されており、かつ労働基準監督署に届出がなされていることが求められます。

就業規則または育児・介護休業規程に以下のような項目が含まれているかを確認しましょう。

育児休業の対象者と取得手続き
育休期間中の賃金取り扱い
職場復帰時の取扱い、育児短時間勤務の運用

さらに、実際に周知されているか(雇用管理責任者による説明など)も審査のポイントになります。

制度が整っていても、従業員への説明が不十分であったり、育休取得に関する社内の理解が薄い場合は、制度活用として評価されにくくなります。

制度活用には“土台の整備”が不可欠

育児休業等支援コースを活用するためには、単に育休取得者がいるだけでは足りません。
企業の基本的な条件(中小企業該当性)や法令遵守、そして育児制度の整備と周知の実態がそろって初めて、申請資格が整います。
これらの土台がしっかりしていれば、助成金の活用だけでなく、社内の離職防止・育児支援体制の信頼性向上にもつながります。
まずは現状を点検し、必要な整備を一つずつ進めていきましょう。

対象となる従業員の条件

育児休業等支援コースを利用するためには、対象従業員の要件も明確に満たす必要があります。

企業側の準備が整っていても、従業員の属性や育休の取得状況によっては支給対象外となる可能性もあるため、注意が必要です。

ここでは、従業員に関する主な条件を詳しく解説していきます。

育児休業取得期間(連続3ヶ月以上/産後休業含む)の条件

助成金の支給対象となる育児休業は連続3ヶ月以上の取得が原則です。

これは、単発的・断続的な育休ではなく、一定期間にわたって業務を離れ、育児に専念する実態が必要とされるためです。

なお、女性の場合は産後休業を含めて3ヶ月以上であれば対象となる場合もあります

この基準を満たすかどうかは、育児休業開始日と復職日をベースに判断されるため、社内でのスケジュール管理が不可欠です。

従業員の雇用形態と雇用保険加入要件

支給対象となる従業員は原則として正社員(無期雇用)であり、かつ雇用保険に加入していることが必須です。

育児休業給付金の支給要件と同様の基準が適用されるため、パート・契約社員などについては、雇用保険の加入状況によって対象外となるケースもあります。

また、育児休業の開始日時点で引き続き1年以上の雇用実績があることも条件に含まれるため、短期雇用者の取得は対象とならない点にも注意しましょう。

支給対象となる期間の就労・復帰実績条件(勤務割合)

助成金は単に育児休業を取得しただけでは支給されません。

育休からの円滑な職場復帰が確認できることが重要条件です。

具体的には、育休から復帰した従業員が一定期間(原則6ヶ月)継続して、元の所定労働時間の80%以上勤務していることが求められます。

この「勤務割合」は実績で証明する必要があり、出勤簿や給与台帳による裏付けが必要です。

時短勤務などの場合でも、復帰前の所定労働時間を基準に判断されるため、過去データの整備が必要となります。

再度の取得・別ケースへの対応(同一・異なる子のケース)

同じ従業員が再び育児休業を取得した場合でも、「同一従業員×同一の子」に対しての支給は1回限りとなります。

ただし、同じ従業員が異なる子の出産・育児により育休を取得した場合は、新たに支給対象となるケースがあります。

一方で、複数の従業員が同時期に育休を取得した場合には、それぞれを対象として申請することが可能です。

制度上の柔軟性を活かしつつ、管理ミスのないように社内でのケース別対応マニュアルを整えておくことが望ましいでしょう。

従業員要件の確認が支給への第一歩

助成金の支給を受けるには、企業だけでなく従業員側の条件もクリアしている必要があります。
特に、連続取得期間・雇用保険加入・復帰後の就労実績といったポイントは、見落としがちな盲点です。
制度を正しく理解し、従業員のライフイベントに寄り添ったサポートを行うことで、両立支援等助成金の活用が現実的な選択肢になります。

制度整備の要件(申請前の必須条件)

両立支援等助成金の「育児休業等支援コース」は、単に育児休業を取得させれば支給される制度ではありません。

申請前の段階で、企業として整えておくべき制度や書類、実施すべき対応が数多く存在します。

これらを満たしていなければ、支給対象外となるケースもあるため、事前の整備が非常に重要です。

ここでは、制度整備に必要な3つの主要項目について詳しく解説します。

育休復帰支援プランの策定と実施の証明

助成金の申請には、「育休復帰支援プラン」の策定が必須となります。

このプランは、育児休業の取得前から職場復帰後までのプロセスを企業が支援するための計画書です。

内容には以下のような支援策を含める必要があります。

育休取得予定者への面談実施
業務引継ぎ・復帰後の業務調整の計画
復帰前後のフォロー体制(研修、業務の配慮など)

さらに重要なのは、このプランを実施した証拠(面談記録や業務調整の内容など)を残すことです。

単に策定しただけでは不十分であり、「実施されたこと」が客観的に確認できる書類の提出が求められます。

対象従業員への面談・周知措置の記録

育休復帰支援プランに含まれる面談や周知措置については、具体的な日付・内容・参加者名を記録した書類の整備が必要です。

特に重要視されるのが次の2点です。

・育休前面談 – 育児休業の取得予定者と、取得時期・復帰時期・業務引継ぎについて話し合った記録
・復帰前面談 – 職場復帰直前に、働き方や配慮事項、業務内容を再確認した記録

これらは社内メモではなく、文書として保存可能な形式(面談記録表など)で残し、申請時に提出できるようにしておく必要があります。

一般事業主行動計画の策定・公開義務と適用範囲

さらに、常時雇用する労働者が101人以上の事業主については、「次世代育成支援対策推進法」に基づく一般事業主行動計画の策定と外部公開が義務付けられています。

この計画は、以下のような取り組みを文書化したものです。

育児と仕事の両立支援のための数値目標と達成期限
具体的な行動項目(制度の見直し、研修の実施など)

また、この計画は厚生労働省の両立支援のひろば(ポータルサイト)に掲載し、誰でも閲覧できる状態にする必要があります。

掲載が確認できない場合、助成金申請時に不備と判断される恐れがあります

制度整備に関するまとめ

申請前に企業が取り組むべき制度整備は、形式的な準備にとどまりません。
「策定→実施→記録→公開」という一連の流れを的確に進めることが、育児休業等支援コースの支給対象になるための前提条件です。
特に中小企業では、「忙しくてそこまで手が回らない」と感じることもあるかもしれませんが、今後の採用活動や定着支援においてもこれらの整備は大きな資産となります。
事前準備を怠らず、確実な支給申請へとつなげていきましょう。

申請対象となる支給時期と回数の制限

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の支給を受けるには、申請時期や回数に関していくつかの明確なルールが設けられています。

これらを理解しないまま制度を利用しようとすると、「制度は使えると思っていたのに申請が通らなかった」という事態にもなりかねません。

本章では、支給のタイミングや申請回数に関する制限を解説し、企業としてスムーズに支給申請を進めるためのポイントを整理します。

初回取得に限る支給・期間制限の有無

基本的に、支給対象となるのは「初めて育児休業を取得した従業員」に対してです。

たとえば、同一の従業員が過去に他の子で育休を取得し、すでに助成金の対象となっていた場合は、その後の取得は原則として支給対象外となる点に注意が必要です。

また、制度上は「一定の期間内に初めて育休を取得したケース」であることが求められ、申請のタイミングにも上限があります

支給対象となる育児休業の取得開始から起算して2ヶ月以内に支給申請書を提出する必要があるため、遅れて申請した場合には不支給となる可能性もあります。

こうした制限は、企業側が制度運用を管理するうえでのリスク管理にも直結します。初回取得かどうかの確認は、事前の人事情報の整理が不可欠です。

複数回取得に対する制限(取得者の制限:5年以内など)

両立支援等助成金の中でも、「支給対象者が同じ従業員であっても、育児休業の取得が異なる子であれば再申請できるケース」があります

ただし、これには前回の取得から5年以内であることなど、一定の期間制限が設けられている場合があるため、細かな要件の確認が重要です。

一例として、前回の育児休業が4年前で、今回別の子の育休を取得した場合には対象となる可能性がありますが、6年前であれば対象外となるといったイメージです。

さらに、企業全体としての助成金受給上限回数や、複数人同時取得の制限にも配慮する必要があります。

制度を活用する際は、1人だけでなく組織全体の取得実績や申請歴の管理を徹底することが求められます。

タイミング管理が申請成功のカギを握る

支給時期や回数の制限は、見落とされがちな要素でありながら、助成金の可否を左右する重要なポイントです。特に「初回取得であること」や「育休開始から2ヶ月以内の申請」などは、日付ベースで明確な制約があるため、企業としての対応スピードが問われます。

また、同一従業員による複数回の取得でも、「別の子」で「前回から一定年数が経過していない」などの条件を満たせば対象となる可能性があるため、定期的な制度確認と社内情報の整理が欠かせません

助成金の活用を通じて、育児支援と職場定着を実現するためにも、こうしたルールを正確に把握し、申請のタイミングを逃さない体制づくりが重要です。

まずは「社内制度」と「従業員条件」の整理から始めよう

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は、中小企業が従業員の育児休業を積極的に支援し、職場復帰までを円滑に進めるための強力な制度です。

助成を受けるには、単に育休を取得させるだけではなく、「社内制度の整備」「育休プランの策定」「就業規則の整備」「支援内容の記録」など、多角的な対応が求められます

また、対象従業員の雇用保険加入や育休の取得期間、復職後の就労実態にも注意が必要です。

支給対象は基本的に初回取得時に限られ、同一人物の繰り返し申請には回数・年数の制限があります

そのため、制度活用のタイミングと対象者の選定も極めて重要です

これらの要件を整理・把握することで、「自社が申請できるかどうか」が明確になります。

制度導入を迷っている企業こそ、この助成金をきっかけに育児支援体制の整備を進め、職場環境の改善に取り組むことができます。

今すぐ、自社の就業規則や育児休業支援体制をチェックし、該当しそうな従業員のケースを見直してみてはいかがでしょうか。

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