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再雇用で使える補助金・助成金・給付金は?企業・本人向け制度を解説

定年後の再雇用を検討している企業や、60歳以降も働き続ける人の中には、「再雇用で使える補助金はある?」「給料が下がった場合に受け取れるお金は?」と気になっている方も多いでしょう。

再雇用に関連する国の支援制度は、一般に「補助金」と検索されることが多いものの、実際には企業が受け取る助成金と、再雇用された本人が受け取る給付金に分かれています。

企業が定年の引上げや継続雇用制度の導入などを行う場合は「65歳超雇用推進助成金」が代表的です。一方、60歳以降の賃金が一定以上下がった本人には「高年齢雇用継続給付」があります。

2026年8月時点の主な制度を整理すると、次のとおりです。

状況主に確認する制度主な受給者
65歳以上への定年引上げなどを行う65歳超継続雇用促進コース事業主
高年齢者向けの賃金・人事制度などを整備する高年齢者評価制度等雇用管理改善コース事業主
50歳以上の有期契約労働者を無期雇用へ転換する高年齢者無期雇用転換コース事業主
60歳以降も働き、賃金が一定以上低下した高年齢雇用継続給付労働者
60歳以上の人を新たに雇い入れる特定求職者雇用開発助成金など事業主

制度ごとに対象者や支給条件、申請時期が異なります。自社や本人がどの制度に該当するのかを分けて確認することが、最初の判断基準になります。

目次

再雇用で活用できる補助金・助成金・給付金

再雇用に関連する代表的な支援は、企業向けの「65歳超雇用推進助成金」と、労働者向けの「高年齢雇用継続給付」です。また、60歳以上の人を新たに採用する場合には、雇入れを支援する助成金の対象になることもあります。

同じ「高年齢者の雇用」に関する制度でも、誰が受け取るのか、どのような雇用を対象としているのかは異なります。

企業向けは「65歳超雇用推進助成金」が中心

企業が高年齢者を継続して雇用できる環境を整える場合は、65歳超雇用推進助成金が代表的な制度です。

65歳超雇用推進助成金には、次の3コースがあります。

  • 65歳超継続雇用促進コース
  • 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
  • 高年齢者無期雇用転換コース

単に定年後の従業員を再雇用すれば一律で支給される制度ではありません。

たとえば、定年を65歳以上へ引き上げたり、継続雇用制度を導入したりする企業は「65歳超継続雇用促進コース」を確認します。

一方、再雇用後も働きやすいように賃金・人事評価制度や勤務制度を整備する企業は「高年齢者評価制度等雇用管理改善コース」が候補です。

有期契約で働く50歳以上の従業員を無期雇用へ転換するなら「高年齢者無期雇用転換コース」を確認します。

自社が実施しようとしている取り組みと、各コースの対象措置を照らし合わせて選ぶ必要があります。

再雇用された本人は「高年齢雇用継続給付」を確認する

60歳以降も働き続け、60歳時点などと比べて賃金が75%未満に低下した人は、高年齢雇用継続給付の対象になるか確認しましょう。

高年齢雇用継続給付は、一定の条件を満たす60歳以上65歳未満の雇用保険一般被保険者を対象とした制度です。

企業に支給される助成金とは異なり、給付を受けるのは労働者本人です。

たとえば、60歳で定年を迎えた後に同じ会社で再雇用され、給与が60歳時点の70%程度まで下がった場合は、給付対象となるか確認する余地があります。

ただし、「再雇用されて給与が下がった」という理由だけで必ず受給できるわけではありません。雇用保険の被保険者期間や年齢、毎月の賃金額などの要件を満たす必要があります。

60歳以上の人を新たに雇用する場合は雇入れ助成も確認する

60歳以上の人を新たに採用する企業は、特定求職者雇用開発助成金などの雇入れ助成も確認できます。

特定求職者雇用開発助成金の「特定就職困難者コース」では、一定の高年齢者をハローワーク等の紹介により継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主が対象となります。

2026年5月1日以降、高年齢者については、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けている60歳以上の人が対象です。原則として、助成金の対象労働者であることを明示した職業紹介を受ける必要があります。

短時間労働者以外の高年齢者の場合、支給額は中小企業で1人あたり60万円、中小企業以外では50万円です。

ただし、この制度は同じ会社で定年後に再雇用するケースとは性質が異なります。

一度退職した人を形式的に採用し直せば対象になるというものではないため、「継続雇用」と「新たな雇入れ」は分けて考えましょう。

65歳超雇用推進助成金とは

65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が働き続けられる雇用環境を整備する事業主を支援する制度です。

2026年度は3つのコースが用意されており、定年制度の変更、人事・雇用管理制度の整備、無期雇用への転換など、企業が実施する取り組みによって利用するコースが変わります。

65歳超継続雇用促進コースは定年引上げや継続雇用制度の導入が対象

65歳超継続雇用促進コースは、65歳以上への定年引上げや定年の廃止、継続雇用制度の導入などを行った事業主を対象としています。

2026年4月の改正により、受給額は15万円~240万円となりました。制度の内容や対象となる雇用保険被保険者数、引き上げる年齢などによって金額が変わります。

たとえば、定年引上げ・定年廃止の場合の受給額は次のように設定されています。

対象被保険者数65歳以上への引上げ66~69歳への引上げ(5歳以上)70歳以上への引上げ定年廃止
1~3人15万円40万円45万円60万円
4~6人20万円65万円70万円120万円
7~9人25万円110万円115万円180万円
10人以上30万円135万円140万円240万円

66~69歳への定年引上げが5歳未満の場合は別の支給額が設定されています。また、継続雇用制度や他社による継続雇用制度を導入する場合も金額は異なります。

対象となる制度は、労働協約や就業規則として整備する必要があります。単に「本人と合意したため65歳以降も働いてもらう」といった個別対応だけでは、助成金の要件を満たすとは限りません。

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは評価・賃金制度などの整備が対象

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、高年齢者が働きやすいように雇用管理制度を新設・改善する事業主が対象です。

対象となる措置には、55歳以上の高年齢者を対象とした次のような制度があります。

  • 賃金・人事処遇制度の導入・改善
  • 労働時間制度の導入・改善
  • 在宅勤務制度の導入・改善
  • 研修制度の導入・改善
  • 健康管理制度の導入
  • その他、高年齢者の雇用機会を増やすための雇用管理制度

2026年度は、賃金・人事処遇制度を導入・改善した場合、中小企業では60万円、中小企業以外では45万円が支給されます。

それ以外の対象となる雇用管理整備措置では、中小企業30万円、中小企業以外23万円です。対象措置に伴って必要な機器等を導入した場合には、一定の導入経費に対する助成も設けられています。

このコースでは、先に「雇用管理整備計画書」を提出し、認定を受ける必要があります。制度を変更してから助成金を探すのではなく、計画段階で対象要件を確認しておく必要があります。

高年齢者無期雇用転換コースは50歳以上の有期契約労働者の無期転換が対象

高年齢者無期雇用転換コースは、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者へ転換した事業主を支援する制度です。

2026年度は、対象労働者1人につき中小企業40万円、中小企業以外30万円へ支給額が変更されています。

対象となる労働者についても要件があり、2026年度は転換日までの有期契約労働者としての雇用期間が通算1年以上であることなどが求められます。

「50歳を超えた有期契約社員を無期契約に変更すれば受給できる」という単純な制度ではありません。事前の計画認定や雇用期間など、複数の条件を確認したうえで転換を進める必要があります。

特に再雇用者を有期契約としている企業では、自社の雇用形態と対象労働者の年齢・契約期間を確認すると、このコースを検討できるか判断しやすくなります。

再雇用後に賃金が下がった人が利用できる高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付は、60歳以降も雇用保険に加入して働き、60歳到達時などと比べて賃金が75%未満へ低下した人を支援する給付制度です。

企業ではなく本人が受ける制度で、「定年後の再雇用で給料が下がった」という人が確認しておきたい代表的な給付金です。

高年齢雇用継続基本給付金は60歳以降も継続して働く人が対象

高年齢雇用継続基本給付金は、基本手当などを受給せず、60歳以降も継続して働く人が主な対象です。

支給対象期間では、原則として次のような条件を満たす必要があります。

  • 60歳以上65歳未満である
  • 雇用保険の一般被保険者として働いている
  • 被保険者期間が5年以上ある
  • 支給対象月の賃金が60歳到達時などの賃金月額の75%未満
  • 支給対象月の初日から末日まで被保険者である

さらに、支給限度額や最低限度額などの条件もあります。これらの金額は毎年8月1日に改定されます。

支給期間は原則として60歳に達した月から65歳に達する月までです。ただし、それぞれの月について支給条件を満たしている必要があります。

そのため、60歳で定年を迎えて同じ会社に再雇用されても、賃金の低下率が基準を満たしていなければ給付されません。

高年齢再就職給付金は基本手当を受給して再就職した人が対象

高年齢再就職給付金は、60歳以降に離職して基本手当を受給した後、一定の条件を満たして再就職した人が対象となる給付です。

同じ「60歳以降の就労」でも、高年齢雇用継続基本給付金とは対象となる状況が異なります。

高年齢再就職給付金では、再就職した日の前日時点における基本手当の支給残日数によって、支給できる期間が変わります。

支給残日数が200日以上なら再就職日の翌日から2年、100日以上200日未満なら1年が基本です。ただし、65歳に達した場合は、その月までとなります。

定年後にそのまま同じ会社で継続雇用されるケースと、一度離職して求職活動を行った後に再就職するケースを混同しないようにしましょう。

2025年4月以降に60歳になる人は最大支給率が10%

高年齢雇用継続給付の支給率は、60歳に達した時期によって異なります。

2025年4月1日以降に60歳へ到達した人は、各月に支払われた賃金の10%を上限として支給されます。2025年3月31日以前に60歳へ到達した人については、従来どおり15%が上限です。

60歳到達日最大支給率
2025年3月31日以前賃金の15%
2025年4月1日以降賃金の10%

最大10%が一律で支給されるわけではありません。

実際の支給額は、60歳到達時などの賃金と現在の賃金との割合によって計算されます。また、賃金が75%以上の場合は高年齢雇用継続給付の対象となりません。

再雇用時の給与を決める際には、「給与が下がれば給付金で必ず補える」と考えず、本人の賃金水準と給付条件を個別に確認する必要があります。

再雇用に関する助成金・給付金の申請方法

再雇用に関する助成金や給付金は、制度ごとに申請先や手続きが異なります。

特に企業向けの助成金では、制度を導入する前に計画提出が必要なコースもあります。実施後に制度を知っても申請できないことがあるため、雇用条件や就業規則を変更する前に手続きの流れを確認しましょう。

65歳超雇用推進助成金はコースごとに申請時期と手続きが異なる

65歳超雇用推進助成金は、3コースで同じ申請手順ではありません。

たとえば、高年齢者評価制度等雇用管理改善コースでは、雇用管理整備計画書を提出して認定を受けた後、計画に基づいて制度を実施する流れです。

一方、65歳超継続雇用促進コースでは、定年引上げや継続雇用制度などを実施した後、所定の申請期間内に支給申請を行います。

2026年度の65歳超継続雇用促進コースでは、制度実施日の属する月の翌月から起算して4か月以内の各月月初から15日までが申請期間とされています。

65歳超雇用推進助成金の相談・申請窓口は、高齢・障害・求職者雇用支援機構の都道府県支部です。

コースによって必要な計画書や申請書が変わるため、自社で利用するコースを決めてから令和8年度の支給要領・申請の手引きを確認しましょう。

高年齢雇用継続給付は原則として事業主を通じて申請する

高年齢雇用継続給付は、原則として事業主が本人に代わって申請手続きを行います。

支給対象となるか確認する際には、60歳時点などの賃金額と再雇用後の賃金を比較します。そのため、企業側では賃金台帳や雇用保険に関する情報を正確に管理しておかなければなりません。

本人が申請することも認められていますが、勤務先が手続きを行っていることも多いため、まず人事・労務担当者へ確認するとスムーズです。

申請では支給対象月ごとに賃金などを確認する必要があります。賃金額の変更や雇用状況によって支給額が変わるため、一度認定されれば65歳まで同じ金額を受け取れる制度ではありません。

支給限度額なども毎年変更されるため、申請時点の基準を確認してください。

申請前に就業規則・雇用契約・賃金記録を確認する

助成金を申請する企業は、制度変更や再雇用を行う前に、就業規則や雇用契約、賃金関係書類の内容を確認しておきましょう。

最低限チェックしたい項目は次のとおりです。

  • 定年年齢が就業規則にどのように定められているか
  • 継続雇用制度の対象者と上限年齢
  • 再雇用後の雇用形態と契約期間
  • 対象者の年齢と雇用保険加入状況
  • 賃金台帳と実際の支給額が一致しているか
  • 助成金の計画認定が制度実施前に必要か
  • 支給申請期限を過ぎていないか
  • 令和8年度の支給要領を確認したか

就業規則上の制度と実際の運用に食い違いがあると、申請時の確認に影響します。

また、2026年4月以降の特定求職者雇用開発助成金では、支給申請時に賃金台帳の提出が確認できなければ不支給となる取扱いが示されています。

申請直前に書類を集めるのではなく、高年齢者の雇用制度を検討する段階から必要書類を整理しておく方が安全です。

再雇用で助成金・給付金を利用するときの注意点

再雇用に関連する支援制度は、年齢だけで対象が決まるわけではありません。

制度を実施するタイミング、雇用形態、賃金、雇用保険の加入期間などによって利用できる制度が変わります。特に企業向け助成金では、先に雇用制度を変更すると申請できなくなるものがあるため注意が必要です。

制度を実施してからでは申請できない助成金がある

企業向け助成金の中には、取り組みを始める前に計画書を提出し、認定を受ける必要がある制度があります。

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースはその代表例です。雇用管理整備計画書を事前に提出し、認定された計画に沿って制度を導入・改善します。

そのため、

「再雇用者向けの賃金制度を変更した」
↓
「費用がかかったので利用できる助成金を探す」

という順序では、対象にならないことがあります。

助成金の利用を予定しているなら、就業規則や賃金制度、雇用契約を変更する前に確認してください。

一方、65歳超継続雇用促進コースのように、制度実施後に所定期間内で支給申請するコースもあります。

「助成金はすべて事前申請」「すべて実施後申請」と一括りにはできません。

再雇用と再就職では利用できる制度が異なる

同じ60歳以降の就労でも、定年後に同じ企業で働き続ける「再雇用」と、退職後に別の会社などへ就職する「再就職」では利用できる制度が変わります。

たとえば、同じ会社で継続して働き、60歳以降に賃金が一定以上下がった人は、高年齢雇用継続基本給付金を確認します。

一度離職して基本手当を受けた後に再就職する場合は、高年齢再就職給付金が選択肢です。

企業側でも同様です。

既存の従業員を定年後も雇用し続ける取り組みと、ハローワーク等から60歳以上の求職者を新たに採用する取り組みでは、対象となる助成制度が異なります。

「60歳以上を雇用している」という条件だけで制度を選ばず、雇用前後の関係が継続なのか、新規の雇入れなのかを確認しましょう。

高年齢雇用継続給付は年金や他の給付との調整に注意する

高年齢雇用継続給付を受ける人は、他の社会保障制度との関係にも注意が必要です。

たとえば、特別支給の老齢厚生年金を受給している人が高年齢雇用継続給付を受けると、年金の一部が支給停止となることがあります。

また、高年齢雇用継続給付の支給対象月について、育児休業給付や介護休業給付の支給対象となっている場合は、高年齢雇用継続給付の支給要件を満たしません。

給付金だけを見て「毎月いくら増えるか」を判断すると、実際の受取額との差が生じることがあります。

年金を受給している人は年金側の調整も含めて確認し、必要に応じて年金事務所やハローワークで確認すると安心です。

支給額・対象要件は年度ごとの最新情報を確認する

助成金や給付金は制度改正によって支給額や要件が変わるため、申請する年度の公的情報を確認する必要があります。

実際に2026年度だけでも、65歳超雇用推進助成金では複数の変更が行われています。

65歳超継続雇用促進コースでは、支給額が15万~240万円へ変更され、従来の「1事業主1回限り」という取扱いの廃止や、対象となる継続雇用制度の拡大などが行われました。

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースも定率助成から定額助成へ変更されています。

高年齢者無期雇用転換コースでは、対象労働者1人あたりの受給額が中小企業40万円、中小企業以外30万円へ変更されました。

さらに、特定求職者雇用開発助成金では2026年5月から、60歳以上の高年齢者に関する対象要件も変更されています。

過去年度の記事や資料に掲載された金額をそのまま申請判断に使わず、厚生労働省や高齢・障害・求職者雇用支援機構などが公開している最新年度の支給要領を基準にしてください。

再雇用に使える補助金・助成金・給付金を確認して活用しよう

再雇用に関連する支援制度は、企業向けと労働者本人向けを分けて考えると整理しやすくなります。

企業が定年の引上げや継続雇用制度、雇用管理制度の整備を行う場合は、65歳超雇用推進助成金が代表的です。60歳以降も働く本人の賃金が一定以上下がった場合は、高年齢雇用継続給付を確認します。

また、60歳以上の人を新たに採用する場合には、一定の条件のもとで特定求職者雇用開発助成金などが対象となることもあります。

注意したいのは、制度ごとに申請するタイミングが違う点です。雇用制度の変更前に計画認定が必要なものもあれば、制度実施後に期限内で支給申請するものもあります。

2026年度は65歳超雇用推進助成金をはじめ、支給額や対象要件の改正も行われています。

対象者の年齢や雇用形態だけで判断せず、実施する取り組みと最新年度の要件を照らし合わせたうえで申請を進めましょう。

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