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事業再生に使える補助金とは?対象経費や申請のポイントを解説

売上の減少や原材料費の高騰、人手不足などによって、経営の立て直しが必要になることがあります。

しかし、事業を再生するために新しい設備を導入したり、販路を開拓したりするには、まとまった費用が必要です。

「経営改善に利用できる補助金はあるのか」

「赤字の補填や運転資金にも使えるのか」

このような疑問を持つ経営者も多いのではないでしょうか。

事業再生や経営改善に取り組む事業者は、国や地方自治体が実施する補助金を利用できる可能性があります。

ただし、「事業再生補助金」という名称の全国共通制度が常に用意されているわけではありません。

実際には、事業者の所在地や経営課題、実施する取り組みに応じて、販路開拓、設備導入、デジタル化、専門家への相談などを支援する制度を探します。

また、補助金は赤字や借入金を直接補填するものではありません。経営改善につながる具体的な取り組みに対して、必要な経費の一部を支援する制度です。

本記事では、事業再生に使える補助金の考え方、対象になりやすい経費、申請方法、利用するときの注意点を分かりやすく解説します。

目次

事業再生に使える補助金とは

事事業再生に使える補助金とは、売上回復や生産性向上など、経営を立て直すための取り組みに必要な費用の一部を支援する制度です。

国の補助金だけでなく、都道府県や市区町村が、地域内の中小企業や個人事業主を対象に実施する制度もあります。

補助金を探すときは、「経営が苦しい」という状況だけでなく、経営を改善するために何を行うのかを明確にすることが重要です。

事業再生補助金という一つの制度ではない

「事業再生補助金」は、事業再生に利用できる支援制度を広く表す言葉として使われることがあります。

しかし、全国の事業者が同じ条件で申請できる、一つの補助金制度を指すとは限りません。

実際には、次のような取り組みを支援する国や自治体の制度から、自社に合うものを選びます。

  • 新しい顧客を獲得するための販路開拓
  • 生産性を高めるための設備導入
  • 業務を効率化するためのシステム導入
  • 新商品・新サービスの開発
  • 専門家を活用した経営改善
  • 省エネ設備による固定費削減
  • 店舗や事業所の改修

制度によって、対象者、対象経費、補助率、申請期限は異なります。

経営状況が悪化しているだけで申請できるとは限らないため、補助金の目的と自社の改善策が合っているかを確認しましょう。

経営改善や事業継続に向けた取り組みを支援する

事業再生に使える補助金は、企業の赤字を直接穴埋めする制度ではありません。

一般的には、経営改善や事業継続に必要な投資が支援されます。

経営課題と改善策の例は次のとおりです。

経営課題改善に向けた取り組み
来店客が減少している広告やWeb集客を強化する
店頭販売に依存しているECサイトやオンライン販売を始める
設備が古く生産性が低い新しい機械や省力化設備を導入する
手作業が多い受発注・在庫管理システムを導入する
原価が上昇している生産工程や仕入れ方法を見直す
経営課題を整理できていない専門家へ相談して改善計画を作成する

例えば、売上の減少が集客不足によるものであれば、広告やECサイトの導入が改善策になります。

設備の老朽化によって生産量が落ちている場合は、機械設備の更新や省力化が必要です。

補助金を選ぶときは、補助金額の大きさではなく、自社の経営課題を解決できるかを確認しましょう。

自治体独自の補助金もある

地方自治体では、地域内の中小企業や個人事業主を対象に、経営力強化や経営改善を支援する補助金を実施している場合があります。

対象になり得る取り組みは次のとおりです。

  • 経営計画の策定
  • 専門家への相談
  • 販売促進
  • ホームページやECサイトの制作
  • ITシステムの導入
  • 設備の購入
  • 店舗や事業所の改修
  • 新商品・新サービスの開発

自治体の補助金では、次のような条件が設けられることがあります。

  • 対象地域に本店や事業所がある
  • 一定期間以上事業を行っている
  • 中小企業または個人事業主に該当する
  • 法人税や住民税を滞納していない
  • 指定された期間内に事業を完了する
  • 交付決定後に契約や支払いを行う

制度名や対象経費は地域によって異なります。

事業所がある都道府県と市区町村の公式サイトを確認しましょう。

また、経営悪化が深刻な場合は、補助金を探すだけでなく、中小企業活性化協議会、金融機関、商工会・商工会議所などへ早めに相談することも大切です。

自社の所在地と経営課題に合う制度を確認する

事業再生に利用できる補助金は、全国共通の一制度ではありません。

国や自治体が実施する複数の制度から、自社の所在地と経営課題に合うものを探します。

まずは、経営が悪化した原因と、立て直すために必要な取り組みを整理しましょう。

事業再生に使える補助金の対象経費

事業再生補助金は、経営改善や新たな事業展開を支援するために設けられた制度です。

補助金の対象になるのは、経営改善に必要と認められた経費です。

同じ費用でも、利用する制度や申請内容によって、対象になる場合とならない場合があります。

申請前には、補助対象経費だけでなく、対象外経費も確認してください。

経営改善に向けた専門家への相談費用

自治体の経営改善支援制度では、専門家への相談やコンサルティングにかかる費用が補助対象になる場合があります。

相談先の例は次のとおりです。

  • 中小企業診断士
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 行政書士
  • 社会保険労務士
  • 経営コンサルタント
  • ITコンサルタント
  • デザイナー
  • マーケティング事業者

専門家の支援によって、次のような取り組みを進められます。

  • 経営状況の分析
  • 資金繰り計画の作成
  • 原価や固定費の見直し
  • 新しい事業計画の策定
  • 商品やサービスの改善
  • 販売戦略の見直し
  • ITシステム導入の検討

ただし、通常の税務申告や記帳代行、毎月の顧問料などは、補助対象外になる場合があります。

依頼する業務の内容や料金を、見積書や契約書で明確にしましょう。

販路開拓や販売促進にかかる費用

売上を回復させるための販路開拓や販売促進費も、補助対象になる可能性があります。

対象となり得る費用は次のとおりです。

  • チラシやパンフレットの制作
  • Web広告や新聞広告
  • 看板や店舗サインの設置
  • 展示会・商談会への出展
  • 新商品のパッケージ制作
  • ECサイトの構築
  • 販売用ホームページの制作
  • 商品・サービスの写真撮影
  • 動画や販促物の制作

広告を実施するだけでなく、経営課題との関係を説明する必要があります。

「売上を増やすために広告を出す」と書くだけでは、施策の具体性が伝わりません。

次のように、現状と目標を整理しましょう。

現在は既存顧客からの紹介が売上の約80%を占めている。ECサイトとWeb広告を導入し、1年間で新規顧客50件、売上150万円の増加を目指す。

経営課題、実施する取り組み、期待する成果をつなげることが大切です。

設備・システムの導入費用

生産性向上や業務効率化に必要な設備・システムも、補助対象になる場合があります。

対象となり得るものは次のとおりです。

  • 製造・加工機械
  • 省力化設備
  • POSレジ
  • 予約管理システム
  • 顧客管理システム
  • 受発注システム
  • 在庫管理システム
  • 会計・請求システム
  • 省エネ設備
  • 新サービスに必要な専用機器

ただし、古い設備を新しいものへ交換するだけでは、補助対象にならない場合があります。

設備の導入によって、どのような問題を解決し、売上や利益、生産性をどの程度改善できるのかを説明しましょう。

例えば、単に「新しい機械を購入する」と書くのではなく、次のように具体化します。

老朽設備の故障により、月平均20時間の生産停止が発生している。新設備の導入によって停止時間を月5時間以内に抑え、生産量を20%増加させる。

設備そのものではなく、導入によって得られる改善効果が重要です。

対象外になりやすい経費

事業再生に必要な費用であっても、次のような経費は補助対象外になりやすい傾向があります。

  • 過去の赤字の補填
  • 借入金の返済
  • 税金や社会保険料
  • 通常の商品仕入れ
  • 日常的な水道光熱費
  • 一般的な人件費
  • 事業主本人の報酬
  • 家賃などの固定費
  • 交付決定前に契約・支払いした費用
  • 補助事業との関係が薄い設備
  • 私的利用が可能な物品
  • 消費税

補助金は、資金繰りが厳しい事業者へ自由に使える現金を支給する制度ではありません。

運転資金や借入金の返済が必要な場合は、補助金だけでなく、金融機関や公的な再生支援機関への相談も検討しましょう。

赤字補填ではなく改善施策に使う

事業再生に使える補助金は、赤字や借入金を直接補填するためのものではありません。

販路開拓、専門家への相談、設備・システムの導入など、経営改善につながる具体的な施策が支援対象です。

何にいくら使うのかだけでなく、その支出によって経営がどう改善するのかを整理しましょう。

事業再生に使える補助金の申請方法

申請方法は制度によって異なりますが、基本的な流れには共通点があります。

補助金を見つけてすぐに申請書を作るのではなく、最初に経営課題と改善策を整理することが大切です。

1.対象者と申請条件を確認する

利用したい制度が見つかったら、公募要領や募集案内を確認します。

主な確認項目は次のとおりです。

  • 対象となる事業者
  • 本店や事業所の所在地
  • 資本金や従業員数
  • 事業を行っている期間
  • 対象となる経営改善施策
  • 補助対象経費
  • 補助率と上限額
  • 申請受付期間
  • 事業実施期間
  • 契約・発注できる時期
  • 必要書類
  • 申請方法

過去の募集要項ではなく、現在の年度や公募回に対応した資料を確認してください。

制度の内容は、年度や公募回によって変更される場合があります。

2.経営課題と改善策を整理する

申請書を作成する前に、経営悪化の原因を整理します。

「売上が減少した」という結果だけでなく、なぜ売上が落ちたのかを具体化しましょう。

経営上の問題考えられる原因改善策
来店客が減少した認知度が低い広告・販促を強化する
利益率が低下した原価が上昇した工程や仕入れを見直す
生産量が落ちた設備が老朽化した新しい設備を導入する
業務負担が大きい手作業が多いITシステムを導入する
売上先が偏っている販路が限定されているECや新市場へ展開する
改善方法が分からない経営分析が不足している専門家へ相談する

経営課題と関係のない設備やサービスを申請しても、その必要性を説明できません。

改善策が補助金の目的と一致しているかを確認しましょう。

3.事業計画書や見積書を準備する

事業再生に関する補助金では、次のような書類が必要になる場合があります。

  • 申請書
  • 事業計画書
  • 経営改善計画書
  • 経費明細書
  • 見積書
  • 会社概要
  • 履歴事項全部証明書
  • 決算書
  • 確定申告書
  • 月次試算表
  • 資金繰り表
  • 納税証明書
  • 本人確認書類

すべての制度で同じ書類が必要になるわけではありません。

公募要領に記載された提出書類を確認し、発行に時間がかかるものから準備しましょう。

事業計画書では、次の内容をつなげて説明します。

  1. 現在の経営状況
  2. 業績が悪化した原因
  3. 補助金を使って行う取り組み
  4. 必要となる経費
  5. 実施スケジュール
  6. 改善後の売上・利益の見込み

「売上を回復する」といった抽象的な目標ではなく、数値を使うことが大切です。

記載例

既存設備の故障により、月平均20時間の生産停止が発生している。新設備の導入によって停止時間を月5時間以内に抑え、生産量を20%増加させる。導入後1年間で売上300万円、営業利益80万円の改善を目指す。

目標には、現在の実績や見積もりなどの根拠を持たせましょう。

4.期限内に申請する

必要書類がそろったら、指定された方法で申請します。

主な申請方法は次のとおりです。

  • 電子申請
  • 郵送
  • 自治体窓口への持参
  • 専用フォームからの提出

国の補助金では、Jグランツなどの電子申請システムを使用する場合があります。

電子申請にGビズIDプライムが必要な制度もあるため、早めに取得手続きを進めましょう。

締切直前は、書類の不足や入力ミスに対応できない可能性があります。

余裕を持って申請し、提出後は受付番号や完了メールを保存してください。

5.交付決定後に事業を実施する

補助金へ採択されても、すぐに設備の購入や契約を始められるとは限りません。

正式な交付決定を受けてから、補助事業を開始する制度が多くあります。

交付決定前に契約や支払いを行うと、その費用が対象外になる可能性があります。

事業を実施するときは、申請した内容に沿って契約、発注、支払いを行いましょう。

設備や依頼先、金額などを変更する場合は、事前の承認が必要になることもあります。

事業完了後は、請求書や振込記録、設備の写真などを添えて実績報告を行います。

補助金申請の詳しい手続きについては、関連記事の補助金の申請方法を初心者向けに解説|必要書類や受給までの流れもご覧ください。

申請前に必要書類と実施時期を確認する

事業再生に関する補助金を申請するときは、最初に対象者や対象経費を確認します。

そのうえで、経営課題、改善策、必要な支出、改善後の数値目標を事業計画書へまとめましょう。

契約や支払いを行える時期も制度ごとに異なるため、事業を始める前に確認することが重要です。

事業再生に補助金を使うときの注意点

補助金を利用すれば、経営改善に必要な費用の負担を軽減できます。

一方で、申請すれば必ず受け取れるわけではありません。入金までの自己資金や、採択後の経費管理も必要です。

補助金だけを前提に再生計画を立てないようにしましょう。

申請しても必ず採択されるわけではない

補助金には審査があります。

対象要件を満たしていても、申請内容の評価や予算の状況によって不採択になる可能性があります。

次のような申請は、計画の必要性や実現可能性が伝わりにくくなります。

  • 業績悪化の原因が分からない
  • 補助金の目的と取り組みが合っていない
  • 導入する設備の必要性が不明確
  • 売上や利益の目標に根拠がない
  • 経費の内訳が曖昧
  • 実施スケジュールに無理がある
  • 補助金終了後の収益計画がない

採択されるための文章を作るのではなく、実際に経営を改善できる計画を作ることが重要です。

交付決定前の契約や支払いは対象外になりやすい

多くの補助金では、交付決定日より前に発生した経費は対象になりません。

特に、次の行為を行う前に確認が必要です。

  • 設備の注文
  • コンサルタントとの契約
  • 広告の出稿
  • ホームページ制作の発注
  • システムの契約
  • 店舗改装の契約
  • 代金の支払い

採択通知と交付決定通知が分かれている制度もあります。

採択されたという連絡だけで事業を始めないようにしましょう。

補助金は後払いが多い

補助金は、事業を実施して費用を支払った後に入金されるのが一般的です。

設備や広告費を先に支払う資金がなければ、採択されても事業を実施できません。

申請前に、次の金額を整理しましょう。

  • 補助事業に必要な総額
  • 補助対象となる経費
  • 補助対象外の経費
  • 消費税
  • 補助金の見込額
  • 入金までに必要な自己資金

資金が不足する場合は、金融機関への相談や融資も検討します。

事業再生では、補助金を得ることよりも、資金ショートを防ぐことが優先です。

計画変更や実績報告が必要になる

補助金の採択後は、申請した計画に沿って事業を進めます。

次の内容を変更するときは、事務局の承認が必要になる場合があります。

  • 購入する設備
  • 契約する事業者
  • 事業の実施場所
  • 経費の金額や内訳
  • 実施スケジュール
  • 事業内容

事業終了後は、実績報告によって経費の支払いと事業の実施を証明します。

保存しておきたい書類は次のとおりです。

  • 見積書
  • 契約書
  • 発注書
  • 納品書
  • 請求書
  • 振込明細
  • 通帳の写し
  • 設備や成果物の写真
  • 広告や制作物
  • 事業の効果を示す資料

書類を提出できない経費は、補助対象として認められない可能性があります。

補助金だけに依存しない

補助金は一時的な支援です。

補助金を使って設備やシステムを導入しても、売上や利益が改善しなければ、事業再生にはつながりません。

申請前に、補助金終了後も事業を続けられるか確認しましょう。

  • 設備の維持費を支払えるか
  • システムの月額料金を継続できるか
  • 新しい販路から安定した売上を得られるか
  • 追加の人件費が利益を圧迫しないか
  • 売上が計画を下回った場合の対策があるか
  • 借入金を返済しながら資金を確保できるか

補助金の申請と並行して、収益構造や資金繰りの見直しを進めることが重要です。

資金繰りと実施後の管理まで考える

事業再生に補助金を使うときは、不採択や入金の遅れも想定する必要があります。

交付決定前に契約せず、補助事業に関する書類を確実に保存しましょう。

補助金を受け取ることを目的にせず、補助金終了後も利益を出せる経営改善計画を作ることが大切です。

経営改善につながる使い方を考えよう

事業再生に利用できる補助金は、全国共通の「事業再生補助金」という一つの制度ではありません。

国や自治体が実施する制度から、自社の所在地や経営課題、取り組み内容に合うものを選びます。

補助対象になり得る主な取り組みは次のとおりです。

  • 専門家を活用した経営改善
  • 広告やECによる販路開拓
  • 設備導入による生産性向上
  • ITシステムによる業務効率化
  • 省エネ設備による固定費削減
  • 新商品・新サービスの開発

一方、赤字の穴埋めや借入金の返済、税金、通常の運転資金などは、補助対象外になるのが一般的です。

申請時は、業績が悪化した原因を整理し、補助金を使って何を改善するのかを事業計画書で示しましょう。

また、補助金は後払いが多く、審査によって不採択になる可能性もあります。

自己資金や融資を含めて資金繰りを考え、補助金を受け取れなくても事業を継続できる計画を立てることが重要です。

経営状態が深刻な場合は、補助金を探すだけでなく、中小企業活性化協議会や金融機関、商工会・商工会議所などへ早めに相談しましょう。

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