中小企業等海外展開支援事業費補助金の海外出願支援事業では、2026年度も外国への特許・商標などの出願案件が採択されています。
実際の採択結果を見ると、製造・技術系企業による特許出願だけでなく、食品やブランド関連企業による商標出願、抜け駆け対策商標の採択例も確認できます。
ただし、採択されたからといって外国で特許や商標の登録が確定したわけではありません。採択事例は「どのような外国出願が実際に支援されているか」を判断する材料として活用するのが適切です。
中小企業等海外展開支援事業費補助金の採択事例

2026年度も、特許・商標・抜け駆け対策商標など複数の外国出願について採択・交付決定事例が公表されています。
採択結果は全国一括ではなく、各地域の実施機関から公表される形が基本です。
2026年度に確認できる主な採択例を整理すると、次のようになります。
| 地域 | 採択企業 | 出願種別 |
| 岐阜県 | 株式会社ライフテック | 特許 |
| 岐阜県 | 中島産業株式会社 | 特許 |
| 岐阜県 | 通用理研株式会社 | 商標 |
| 岐阜県 | 株式会社156物産 | 商標・抜け駆け対策商標 |
| 福島県 | 株式会社朝日ラバー | 特許 |
| 福島県 | ASK株式会社 | 特許 |
| 福島県 | 株式会社小田原屋 | 商標 |
| 福島県 | ゼノジェンファーマ株式会社 | 特許 |
| 福島県 | 合資会社男山酒造店 | 商標 |
2026年度も特許・商標などの外国出願が採択されている
2026年度の採択結果では、外国特許だけでなく商標や抜け駆け対策商標も実際に支援されています。
中小企業等海外展開支援事業費補助金の海外出願支援事業は、海外進出全般を支援する制度ではありません。
対象となるのは、主に次のような知的財産の外国出願です。
- 特許
- 実用新案
- 意匠
- 商標
- 抜け駆け対策商標
2026年度の公表済み事例を見ると、技術を海外で保護するための特許出願と、商品名やブランドを守るための商標出願の双方で採択実績があります。
そのため、「製造業向けの特許だけが対象」という制度ではありません。
採択結果は地域の実施機関ごとに公表される
採択事例を調べる際は、自社所在地を担当する地域の実施機関を確認するのが基本です。
海外出願支援事業は、各都道府県等の中小企業支援機関などを窓口として実施されています。
そのため、全国の採択企業が一つの一覧にまとめられるとは限りません。
たとえば2026年度では、岐阜県や福島県などで、それぞれ採択企業や出願種別が公表されています。
自社と近い事例を確認したい場合は、
- 自社所在地の実施機関を確認する
- 最新年度の採択結果を見る
- 出願種別を確認する
という順番で探すと分かりやすくなります。
採択と外国での権利取得は同じではない
補助金に採択されたからといって、外国で特許・商標などの権利取得が確定したわけではありません。
採択は、外国出願に必要な一定の費用について補助を受けられる対象として認められた段階です。
その後、実際に外国へ出願し、各国・地域の審査などを経て権利取得を目指します。
つまり、
補助金の採択
→外国出願費用への支援
特許・商標などの登録
→外国の知財制度に基づく審査結果
という別の手続きです。
採択企業一覧を「外国で特許取得に成功した企業一覧」として見るのは適切ではありません。
2026年度の特許出願の採択事例

2026年度には、複数の地域で外国特許出願の採択実績が確認されています。
製造・技術系企業などが海外で技術を保護する際に、外国出願支援事業を活用していることが分かります。
製造・技術系企業などで外国特許出願の採択実績がある
2026年度の採択結果では、外国特許出願で複数の企業が採択されています。
岐阜県では株式会社ライフテックや中島産業株式会社、福島県では株式会社朝日ラバー、ASK株式会社、ゼノジェンファーマ株式会社などの特許案件が確認できます。
特許は、自社の技術や発明を海外市場で保護したい企業にとって重要な知的財産です。
外国出願では、
- 外国特許庁への出願費用
- 国内・現地代理人費用
- 翻訳費用
などの負担が発生します。
海外で事業を展開する予定があり、自社技術を模倣や無断利用から守りたい場合は、こうした外国特許出願が支援対象となります。
ただし、採択企業名だけから具体的な発明内容や採択理由を推測することはできません。
1社で複数の特許案件が採択される例もある
外国出願支援では、1企業につき必ず1案件までというわけではありません。
2026年度の岐阜県の採択結果では、中島産業株式会社について複数の特許案件が交付決定されています。
これは、自社が複数の発明について外国出願を予定している場合にも参考になる事例です。
ただし、複数案件を申請できることと、すべての案件が採択されることは別です。
案件ごとに、
- 外国で権利を取得する必要性
- 事業展開との関係
- 権利取得の見込み
- 資金計画
などを確認する必要があります。
企業全体の補助上限もあるため、複数案件を予定している場合は予算配分まで含めて検討してください。
米国・欧州などへの特許出願事例も確認できる
2026年度の採択結果では、米国や欧州などへの外国出願事例も確認できます。
外国特許を取得する国・地域は、単に市場規模だけで選ぶものではありません。
たとえば、
- 商品を販売する国
- 製造拠点がある国
- 競合企業が存在する市場
- 将来的にライセンス展開を予定する地域
などを踏まえて出願先を選びます。
外国出願は国・地域が増えるほど費用負担も大きくなりやすいため、補助金を活用する際も事業戦略との整合性が必要です。
採択事例を見るときは、「どの企業が採択されたか」だけでなく、出願国が公表されている場合は自社の海外展開先と近いかも確認すると参考になります。
2026年度の商標出願の採択事例

2026年度は、外国商標についても複数の採択実績があります。
海外で商品・サービスを販売する企業にとって、ブランド名や商品名を保護する外国商標は特許とは異なる重要性を持ちます。
食品・ブランド関連企業などで外国商標の採択実績がある
2026年度の福島県では、株式会社小田原屋や合資会社男山酒造店の商標案件が採択されています。
岐阜県でも、通用理研株式会社や株式会社156物産の商標案件が確認できます。
外国で商品を販売する際、日本国内で商標登録しているだけでは、海外でも同じ権利が自動的に認められるわけではありません。
そのため、
- ブランド名
- 商品名
- サービス名称
- ロゴ等
を海外市場でも保護したい企業は、進出国・地域での商標出願を検討する必要があります。
食品や地域ブランドなど、日本独自の商品を海外へ展開する企業にとっても利用を検討しやすい支援です。
通常商標と抜け駆け対策商標の両方に採択事例がある
2026年度には、通常の外国商標だけでなく、抜け駆け対策商標についても採択実績があります。
岐阜県では、株式会社156物産が通常商標と抜け駆け対策商標の両方で交付決定されています。
抜け駆け対策商標とは、海外で第三者に自社ブランドなどを先に商標出願されるリスクへ対応するための出願です。
海外展開では、日本企業が海外へ進出する前に第三者によって商標を取得されるトラブルも考えられます。
そのため、
すでに海外販売を本格化している企業だけが対象
とは限りません。
将来の海外展開に備えてブランドを守るという視点でも、外国商標出願を検討できます。
1社で複数の商標案件が採択される例もある
商標についても、1社で複数の案件が交付決定される例があります。
2026年度の採択結果では、同じ企業が通常商標と抜け駆け対策商標の双方について採択されたケースが確認できます。
複数のブランドを展開している企業や、複数国で商標保護が必要な企業では、外国出願が複数案件になることもあります。
ただし、
- 通常商標なのか
- 抜け駆け対策なのか
- どの国・地域へ出願するのか
- 事業上どの商標を優先するのか
を整理する必要があります。
採択事例は「複数案件でも申請できる」という参考にはなりますが、自社の案件も同様に採択されることを保証するものではありません。
地域別に見る2026年度の採択事例

2026年度の採択結果は地域ごとに公表されており、特許と商標の双方で実績があります。
地域別に見ることで、自社所在地の窓口でどのような外国出願が実際に採択されているかを確認できます。
岐阜県では特許・商標・抜け駆け対策商標が採択されている
2026年度の岐阜県では、特許・商標・抜け駆け対策商標の複数種類について交付決定が確認されています。
主な事例は次のとおりです。
| 採択企業 | 出願種別 |
| 株式会社ライフテック | 特許 |
| 中島産業株式会社 | 特許 |
| 通用理研株式会社 | 商標 |
| 株式会社156物産 | 商標・抜け駆け対策商標 |
特許だけに偏らず、ブランド保護を目的とした外国商標にも利用されていることが分かります。
また、同一企業で複数案件が採択されている事例も確認できます。
福島県では特許3社・商標2社の採択結果が公表されている
2026年度の福島県では、5社の採択結果が公表されています。
内訳は特許3社、商標2社です。
| 採択企業 | 出願種別 |
| 株式会社朝日ラバー | 特許 |
| ASK株式会社 | 特許 |
| ゼノジェンファーマ株式会社 | 特許 |
| 株式会社小田原屋 | 商標 |
| 合資会社男山酒造店 | 商標 |
特許と商標の双方で採択されており、外国への技術保護とブランド保護のどちらにも利用されていることが確認できます。
一部の公表情報では、米国や欧州など出願先についても確認できます。
他地域の採択結果も各実施機関で順次公表される
海外出願支援事業は全国の中小企業が利用できますが、公募や採択結果の公表は地域ごとに行われます。
そのため、自社と近い事例を探すなら、全国の採択企業だけを見るよりも自社所在地の実施機関を確認する方が実用的です。
地域によって、
- 採択企業名
- 出願種別
- 出願国
- 採択案件数
など、公表される情報の範囲は異なります。
2026年度の結果が未公表の地域でも、公募終了後に採択結果が掲載されることがあります。
過年度の結果を見る場合も、制度内容や条件が変更されていないか最新年度と照らし合わせてください。
採択事例から分かること

採択事例から分かるのは、実際にどのような外国出願が支援されているかです。
一方、採択された決定的な理由や審査点数など、公表結果だけでは判断できない情報もあります。
特許だけでなく商標も実際に支援対象となっている
公表済みの採択事例を見ると、外国特許だけでなく商標についても複数の採択があります。
そのため、自社技術を保護する企業だけでなく、海外でブランドを守りたい企業も利用を検討できます。
たとえば、
技術・発明を保護したい
→特許
ブランド・商品名を保護したい
→商標
海外で第三者にブランドを先取りされるリスクへ備えたい
→抜け駆け対策商標
というように、目的から自社と近い事例を探すと分かりやすくなります。
複数案件で交付決定を受ける企業もある
2026年度には、1社で複数の外国出願案件について交付決定を受けている事例もあります。
これは、海外展開に合わせて複数の知的財産を保護する企業にとって参考になります。
たとえば、
- 複数の発明について特許出願する
- 通常商標と抜け駆け対策商標を組み合わせる
- 複数のブランドを海外で保護する
といった考え方です。
ただし、申請できることと採択されることは同じではありません。
複数案件を予定している場合も、案件ごとに出願の必要性や事業との関連を整理する必要があります。
全国の中小企業が地域窓口を通じて外国出願に活用できる
採択事例は特定の大都市に集中しているわけではなく、各地域の中小企業による外国出願で確認できます。
地域の支援機関が窓口となるため、地方企業でも外国での知的財産取得を目指す際に利用を検討できます。
「海外展開=大企業向け」と考える必要はありません。
自社に外国で守るべき技術・デザイン・ブランドがあり、制度上の要件を満たすなら、所在地を担当する実施機関の公募情報を確認する価値があります。
採択事例を見るときの注意点

採択事例は制度活用のイメージをつかむ材料になりますが、それだけで自社の採択可能性を判断することはできません。
申請件数や審査内容など、公表されていない情報も多いためです。
採択企業だけを見ても採択率は分からない
採択企業数だけを見ても、その地域や出願種別の採択率は判断できません。
採択率を計算するには、
採択件数 ÷ 申請件数
が必要です。
たとえば特許3件が採択されていても、申請が4件だったのか30件だったのかで意味は大きく変わります。
採択結果に申請件数が掲載されていない場合は、「特許は採択されやすい」などと判断しないようにしてください。
採択結果から審査理由や評価点は判断できない
企業名や出願種別が公表されていても、採択された具体的な理由までは通常分かりません。
そのため、
- この業種だから有利
- 特許だから高評価
- この国への出願だから採択された
といった推測は避けるべきです。
採択企業はあくまで「実際に支援対象となった外国出願の例」として参考にします。
申請する際は、自社の案件について最新の公募要領や審査基準を確認してください。
採択されても外国で権利登録されるとは限らない
補助金への採択と、外国での権利登録は別です。
採択後に外国へ出願しても、各国・地域の審査によって特許や商標が登録されないこともあります。
特に特許では、新規性や進歩性などについて審査を受けます。
商標でも、先行商標との関係などによって登録結果は異なります。
採択事例を見る際は「外国出願費用の支援を受けた企業」であり、「外国で権利取得に成功した企業」とは限らない点を区別してください。
最新の採択結果は申請する地域ごとに確認する
実際に申請を検討する際は、自社所在地を担当する実施機関の最新採択結果を確認してください。
地域によって公募時期や採択結果の公表タイミングが異なります。
また、年度が変われば対象条件や運用が変更されることもあります。
過去の採択企業と自社を比較する場合も、まず最新年度の制度要件を確認し、そのうえで同じ出願種別や近い事例を探すのが適切です。
まとめ|採択事例は自社の外国出願と近いケースを探すために活用する

中小企業等海外展開支援事業費補助金の海外出願支援事業では、2026年度も外国特許や商標などの採択事例が公表されています。
実際には、技術系企業による特許出願だけでなく、食品・ブランド関連企業などの商標出願、抜け駆け対策商標についても交付決定例があります。
また、1社で複数の特許案件や商標案件について交付決定を受けている事例も確認できます。
採択事例を確認する際は、
- 自社と近い出願種別か
- 特許・商標のどちらを利用しているか
- 出願先の国・地域が近いか
- 自社所在地の実施機関でどのような採択例があるか
を見ると参考になります。
ただし、採択企業一覧だけから採択率や審査理由を判断することはできません。補助金への採択と外国での権利取得も別です。
採択事例は「どんな外国出願が実際に支援されているか」を確認する材料として使い、自社の申請では最新年度の公募条件と出願計画を基準に判断してください。
