2026年08月27日 更新

LLMO対策はSEOと別予算にすべき?中小企業の予算・体制・外注先の決め方

生成AIを使って商品や会社を調べる人が増え、「LLMO」「AEO」「GEO」といった名称の支援サービスも増えています。

経営者として迷いやすいのが、「従来のSEOとは別に予算を確保すべきなのか」という点です。

結論からいえば、LLMOという名称だけを理由にSEOとは別予算を設ける必要はありません。

Googleは2026年5月に生成AI検索向けの公式ガイドを公開し、AI OverviewsやAI Modeでも従来のSEOのベストプラクティスが引き続き基盤になると明示しています。

独自性のあるコンテンツ、クロール可能なサイト、適切な技術構成など、SEOと共通する部分は多くあります。

Google「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」

一方、生成AI上で自社がどう扱われているかの調査、AI経由流入の計測、ChatGPTなどGoogle以外への対応は、従来のSEO契約に含まれていない場合があります。

したがって、中小企業が判断すべきなのは「LLMOをやるか」ではなく、既存SEOで対応できる業務と、新たに予算を付ける価値がある業務を切り分けることです。

LLMO対策は「SEOとは別物」と考える前に重複を確認する

LLMOの提案を受けたとき、最初に確認したいのは施策の新しさではなく、現在のSEO施策との重複です。

同じ作業に二重で費用を払ってしまえば、生成AI上の露出が増えても投資効率は悪化します。

Googleは生成AI検索について、専用の構造化データを要求しておらず、AI向けに文章を特殊な形へ書き換える必要もないとしています。

また、llms.txtについても、設置してもGoogle検索での可視性やランキングには影響せず、Google検索では無視されると説明しています。

まず、提案された施策を次のように分けます。

提案された業務基本的な扱い
クロール・インデックス改善SEOと重複しやすい
サイト構造・内部リンク改善SEOと重複しやすい
独自コンテンツ・事例強化SEOと共通
AI検索上のブランド表示調査追加業務になり得る
ChatGPT等での引用・言及調査追加業務になり得る
AI経由流入の計測設計既存契約内容次第
AI検索専用の特殊施策根拠を確認

この整理をすると、「LLMO対策月30万円」がすべて新しい業務なのか、既存SEOで実施している内容に別名を付けただけなのかを判断できます。

別予算にするのは、既存SEOでは行っていない追加業務が明確な場合だけと考えるとよいでしょう。

まず自社がLLMOに追加投資する段階かを判断する

生成AI検索への対応が重要になったからといって、すべての会社が同じ優先順位で投資する必要はありません。

Web集客の基礎に大きな問題が残っているなら、LLMOより先に改善した方が投資回収しやすい場合があります。

例えば、サービスページが十分にない、自然検索流入が少ない、事例や独自情報がほとんどない、問い合わせ導線が弱いという会社では、AI検索だけを対象にした施策より、サイト自体の改善を優先した方がよい場合があります。

判断の目安を整理すると次のようになります。

現在の状態優先する投資
SEO基盤・サービスページが弱いSEO・サイト改善
独自情報や事例が不足コンテンツ投資
SEO流入はあるが問い合わせが少ないCV導線改善
SEO基盤がありAI上の露出を把握できていないLLMO調査を検討
AI経由の接点・商談が確認できているLLMO投資拡大を検討

ここで重要なのは、「生成AI時代だからLLMO」という順番にしないことです。

現在のWeb集客で一番大きなボトルネックがどこにあるかを確認し、LLMOがそこを改善できる場合だけ優先順位を上げます。

LLMO予算は「月額」ではなく作業単位に分解する

LLMO支援は会社によって内容が異なるため、「月20万円なら安い」「月50万円なら高い」と金額だけで判断するのは危険です。

予算を承認する前に、少なくとも「何を調べる費用なのか」「誰が改善を実行するのか」「その後も毎月必要なのか」に分解します。

例えば月30万円の支援なら、次のように内訳を確認します。

費用項目確認する内容
現状診断どのAIサービス・質問を調査するか
コンテンツ改善誰が記事やサービスページを修正するか
技術改善SEO施策と何が異なるか
モニタリング何を何件・何回測定するか
レポート・改善提案数値報告だけか実行案まで含むか

例えば現在、SEO会社に月40万円を払い、記事改善やテクニカルSEO、Search Console分析まで依頼している会社が、別会社からLLMO月30万円を提案されたとします。

30万円のうち20万円相当が既存SEOと同じコンテンツ・技術改善で、純粋な追加業務がAI上の調査10万円相当なら、70万円へ予算を増やす前に、既存SEO会社に追加調査を依頼できないか確認する方が合理的です。

LLMO予算は「新しいマーケティング予算」として一括承認するのではなく、SEOとの重複を引いた追加価値に対して払うと考えます。

社内で持つ業務と外注する業務を先に決める

LLMO関連業務をすべて外注すると、自社にしか分からない情報がコンテンツへ反映されず、一般的な改善だけで終わる可能性があります。

一方、AI検索の変化を社内担当者だけで追い続けるのも負担です。

そこで、情報を持つ役割と分析する役割を分けます。

社内で持つべきなのは、顧客から実際に聞かれる質問、受注・失注理由、導入事例、自社独自のデータ、商品・サービスの正確な情報です。

外部に任せやすいのは、AI検索上の表示調査、競合比較、クロール状況の確認、計測環境の設計、改善案の優先順位付けです。

つまり、LLMO担当者を新設することより、

事業情報を出す人
→Webへ反映する人
→AI・SEOを分析する人
→投資継続を判断する人

を決める方が重要です。

特に中小企業では、経営者や営業責任者が持つ顧客情報をWeb担当者に渡す仕組みがなければ、外注費を増やしても独自性のあるコンテンツを作りにくくなります。

外注先は「LLMO専門会社」という名称だけで選ばない

生成AI検索は変化が速く、サービス内容も標準化されていません。

そのため、「LLMO専門」という肩書きだけでは支援品質を判断できません。

Googleも2026年6月に公開した第三者SEOサービスに関する公式ガイドで、AEOやGEOを含む外部ツール・サービスの助言はGoogle公式情報と照らして評価するよう促しています。

また、第三者ツールはGoogle内部のランキングデータへアクセスできず、成果を保証することもできないとしています。

Google「第三者のSEOツールとアドバイスに関するガイダンス」

外注先を比較するときは、会社名や導入企業数より、次の内容を確認します。

比較項目確認すること
SEOとの違い追加料金で何が増えるか
対応範囲Google・ChatGPTなど何を対象にするか
納品物調査のみか改善実装まで行うか
KPI何を成果として測るか
データ公式データと独自ツールをどう使うか
契約最低契約期間・解約条件
改善方法成果が出ない場合に何を変えるか

既存SEO会社がAI検索の計測・分析まで対応できるなら、別会社を増やす必要はありません。

反対に、多数の商品やブランドをAI上で継続監視したい、海外を含む複数LLMを調査したいなど、既存会社では埋められない役割がある場合は専門会社を追加する価値があります。

支援会社に契約前に5つの質問をする

LLMO支援の提案内容を比較するには、施策名を聞くより「なぜ必要なのか」を説明させる方が有効です。

契約前には、少なくとも次の5点を確認します。

1.「現在のSEO施策と何が違いますか?」

既存契約と重複するなら、追加料金を払う理由を確認します。

2.「Google・OpenAIのどの公式情報を根拠にしていますか?」

例えば、「llms.txtを入れればGoogleのAI検索で有利になる」といった説明は、現在のGoogle公式見解とは一致しません。

3.「何を成果として測りますか?」

AI上の表示だけなのか、流入・問い合わせ・商談まで追うのかを確認します。

4.「3か月後に何が変わっている想定ですか?」

「記事を10本改善します」ではなく、「AI上の可視性や流入をどの状態へ持っていくのか」を聞きます。

5.「成果が出なければ何を止めますか?」

施策を継続する前提ではなく、縮小・変更・停止条件まで説明できる会社かを確認します。

特に「AI検索の上位表示を保証する」という提案には注意が必要です。

OpenAIもChatGPT Searchについて、ランキングは複数の要因で決まり、上位表示を保証する方法はないと明示しています。

OpenAI「ChatGPT Search」

LLMOの成果を「AIに引用された回数」だけで評価しない

生成AIに自社名が表示されることは一つの成果ですが、それだけで投資を継続する根拠にはなりません。

Web集客へ予算を使う以上、最終的には問い合わせや商談とのつながりを確認します。

Googleは2026年6月、Search ConsoleにAI OverviewsやAI Modeなど生成AI機能でのインプレッションを確認できる専用レポートを発表しました。

現時点では一部サイトから段階的に展開されています。

Google「Search Console に検索の生成 AI のパフォーマンス レポートを導入」

またOpenAIは、OAI-SearchBotによるクロールを許可しているサイトについて、ChatGPTからの参照トラフィックをGoogle Analyticsなどで確認できると案内しています。

OpenAI「パブリッシャーと開発者 – FAQ」

経営判断では、次の順番で成果を確認します。

段階指標
可視性AI検索上で表示・参照されたか
流入AI経由の訪問が発生したか
ブランド指名検索やブランド接点が増えたか
CV問い合わせにつながったか
商談有効商談になったか
収益受注・粗利につながったか

例えばLLMOに月30万円を6か月投資すると、投資額は180万円です。

その期間にAI経由や関連する指名検索から12件の追加商談が発生し、3件受注、1件当たり粗利80万円なら、

80万円×3件=240万円となります。

単純な粗利効果は240万円ですが、投資額180万円を差し引けば60万円です。

さらに社内担当者が月20時間を使い、時間単価3,000円なら6か月で36万円の社内コストが発生します。

すると単純な差額は、

240万円-180万円-36万円=24万円です。

この水準で十分かは会社によって異なりますが、少なくとも「AIに100回引用された」という数字だけより、投資判断しやすくなります。

3~6か月で継続・改善・縮小・停止を判断する

LLMOは市場も検索サービス側の仕様も変化が速いため、最初から年間契約ありきで考えるより、一定期間ごとに投資配分を見直す方が合理的です。

契約前に、結果ごとの判断を決めておきます。

3~6か月後の状態判断
AI上の可視性・流入・商談が改善継続・拡大
可視性は改善したがCVしないサイト導線を改善
SEOとの作業重複が大きいLLMO専用予算を縮小
記事改善は進んだがAI固有の成果が不明SEO予算へ統合
独自ツールの数値しか示されない公式データとの整合性を確認
高額だが成果測定ができない停止を検討

特に重要なのは、LLMO予算を一度作ったら守るのではなく、SEO・広告・サイト改善と同じWeb集客予算の中で再配分することです。

LLMOよりサービスページ改善の方が商談を増やせるなら、予算を戻します。

反対に、生成AI経由の接点から質の高い商談が増えているなら、投資を広げます。

この判断を繰り返します。

まとめ|LLMO予算を決める前に現在のSEO契約を1枚にする

LLMO対策をSEOとは別予算にすべきかという問いに対して、最初から「別にする」「一緒にする」と決める必要はありません。

判断基準は、既存SEOでは対応できない追加業務があり、その業務の成果を測定できるかです。

最初に行うべきことは、LLMO会社から見積もりを取ることではありません。

現在のSEO会社・制作会社・社内担当者が実施している業務を一枚の表に書き出してください。

その横に、

「すでに対応済み」
「生成AI向けに追加確認が必要」
「社内対応可能」
「外注が必要」

の4列を追加します。

例えば既存SEO会社がコンテンツ改善、クロール改善、Search Console分析まで担当しているなら、それらをLLMO予算へ重ねる必要はありません。

一方、ChatGPT上の表示調査やAI経由の流入分析を誰も行っていないなら、その業務だけを試験的に追加できます。

まず3~6か月、追加業務だけに予算を付けて、可視性→流入→問い合わせ→商談→粗利の順に結果を確認する。

「LLMOという新しい施策だから予算を増やす」のではなく、既存SEOとの差分にだけ投資し、成果が確認できた部分へ予算を広げることが、中小企業にとって無理のないLLMO対策です。

関連キーワード

人気記事

新着記事

目次