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新事業進出補助金は個人事業主も対象?2026年の条件と新制度への移行を解説

新事業進出補助金は、法人だけでなく個人事業主も対象となる制度でした。ただし、個人事業主なら誰でも申請できたわけではなく、従業員が0人の事業者や創業後1年未満の事業者は対象外でした。

また、2026年8月現在、従来の新事業進出補助金から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」へ制度が移行しています。新制度には「新事業進出枠」が設けられており、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援します。

個人事業主が申請を検討する際に確認したい従業員要件、補助額、対象経費、必要書類、申請時の注意点を整理します。

目次

新事業進出補助金は個人事業主も対象

新事業進出補助金は、法人化していない個人事業主でも対象となる制度でした。

ただし、個人事業主という事業形態だけで対象になるわけではありません。従業員数や事業実績、新事業の内容など、制度で定められた要件を満たす必要があります。

法人化していなくても個人事業主として申請できる

新事業進出補助金を利用するために、法人化する必要はありません。

個人で事業を営んでいる場合でも、中小企業者等として対象要件を満たせば申請対象となります。

そのため、

補助金を使うために株式会社や合同会社を設立しなければならない

と考える必要はありません。

見るべきなのは法人・個人という違いだけではなく、事業実績、従業員数、新事業の内容などです。

また、2026年に始まった「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」でも、個人事業者が利用することを前提とした規定が設けられています。

従業員が0人の個人事業主はそのままでは申請できない

旧・新事業進出補助金では、応募申請時点で従業員数が0人の事業者は対象外でした。

これは、新事業への進出を通して事業規模を拡大し、賃上げにつなげることが制度目的に含まれていたためです。

したがって、

個人事業主の状況対象判断
従業員を雇用している対象候補
従業員0人旧制度では対象外
法人化していない対象候補
個人事業主+従業員あり要件を満たせば申請可能

という整理になります。

「個人事業主」と「ひとりで事業をしている人」は同じ意味ではありません。

個人事業主であっても従業員を雇用していれば対象候補になる一方、代表者1人だけで事業をしている状態では旧制度の要件を満たしませんでした。

開業直後ではなく一定の事業実績が必要になる

旧・新事業進出補助金では、新規設立・創業後1年未満の事業者も対象外でした。

最低1期分の決算書を提出する必要があり、新事業へ進出する前の既存事業について一定の実績が求められていたためです。

そのため、

開業したばかりなので補助金を使って最初の事業を始めたい

という創業支援型の制度ではありません。

すでに既存事業を営んでいる事業者が、その事業基盤を持ちながら新たな製品・サービスや市場へ進出するための制度と考えると分かりやすくなります。

個人事業主が新事業進出補助金を申請するための条件

個人事業主が利用する場合も、単に新しいことを始めれば対象になるわけではありません。

既存事業とは異なる新市場への進出、付加価値の向上、賃上げなどを含む事業計画が求められます。

既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業へ進出する

新事業進出補助金の中心となるのは、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出です。

現在の後継制度でも、新事業進出枠では、

  • 自社にとって新しい製品・商品・サービスである
  • 既存事業とは異なる新しい市場を対象とする

ことが基本となっています。

たとえば、既存サービスに予約システムを追加するだけでは、新事業への進出とは言いにくくなります。

一方、既存事業で培った技術やノウハウを活用しながら、これまで対象としていなかった顧客層へ新しい製品・サービスを提供する計画なら、新事業として検討しやすくなります。

単なる業務効率化と、新しい事業への進出を区別する必要があります。

付加価値額の成長を含む事業計画を策定する

新事業への投資だけでなく、その結果として事業を成長させる計画が必要です。

現在の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」では、補助事業終了後3~5年の事業計画について、付加価値額の年平均成長率4.0%以上の増加などが基本要件として設定されています。

つまり、

新店舗を作りたい
新しい機械が欲しい

だけではなく、その投資によってどのように売上や付加価値を伸ばすのかまで計画する必要があります。

個人事業主の場合も、現在の事業規模を基準に将来の数値を現実的に組み立てることが求められます。

従業員の賃上げ要件を満たす

新事業への進出とあわせて、従業員の賃金を引き上げる計画も確認が必要です。

現在の後継制度では、補助事業終了後3~5年の事業計画において、1人あたり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上の増加が基本要件に含まれています。

個人事業主だから賃上げ要件がなくなるわけではありません。

従業員を雇用している場合は、新事業による成長と従業員への還元をセットで考える必要があります。

事業場内最低賃金などの要件を確認する

賃金総額だけでなく、事業場内最低賃金にも要件があります。

現在の後継制度では、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準にすることが基本要件の一つです。

個人事業主がアルバイトやパートを雇用している場合も、対象となる従業員の賃金を確認する必要があります。

新事業の内容だけを見て申請準備を進めるのではなく、現在の給与水準と事業計画期間中の賃上げ計画まで先に確認しておくと、申請可能か判断しやすくなります。

個人事業主はいくら補助を受けられる?

旧・新事業進出補助金では、個人事業主も従業員数によって補助上限が決まりました。

小規模な100万円前後の投資を支援する制度ではなく、補助下限750万円が設定された比較的大規模な新事業向け制度です。

従業員20人以下なら補助上限は2,500万円

旧制度では、従業員20人以下の場合の補助上限は2,500万円でした。

個人事業主だから補助上限が低く設定されるわけではありません。

補助上限は事業形態ではなく従業員数によって決まり、

従業員数通常の補助上限
20人以下2,500万円
21~50人4,000万円
51~100人5,500万円
101人以上7,000万円

という仕組みでした。

個人事業主の多くは20人以下の区分に該当すると考えられますが、実際の従業員数を基準に判断してください。

大幅賃上げ特例では上限3,000万円

旧制度では、一定の賃上げ要件を満たす場合、従業員20人以下の補助上限が3,000万円まで引き上げられる特例がありました。

通常上限2,500万円に対して500万円高くなります。

ただし、上限が高くなるから特例を利用するのではなく、必要な賃上げを継続できるかまで検討する必要があります。

補助金を受けるためだけに無理な賃金計画を設定すると、新事業開始後の経営負担につながります。

補助率は1/2で補助下限は750万円

旧制度の通常の補助率は1/2、補助下限は750万円でした。

補助率1/2なら、単純計算では補助対象経費1,500万円に対して750万円の補助額になります。

つまり、

100万円の設備を導入したい
数百万円だけ補助してほしい

といった小規模投資には制度規模が合いません。

個人事業主でも申請できる制度ではありますが、ある程度まとまった新事業投資と、その自己負担分を用意できる事業者向けと考える必要があります。

個人事業主が新事業進出補助金に使える主な経費

新事業進出補助金では、新しい事業に直接必要となる機械・システムや建物、広告宣伝などが対象経費に含まれていました。

ただし、既存事業で通常使用している経費まで幅広く補助してもらえる制度ではありません。

新事業に必要な機械装置・システム構築費が対象

新事業を実施するために必要な機械装置やシステムの導入費は、補助対象経費として計上できました。

たとえば新しい製品を製造するための専用設備など、新事業との関係を明確に説明できる投資です。

注意したいのは、

システムなら何でも対象になる

わけではないです。

既存事業の会計ソフトや予約管理システムを単純に入れ替えるだけでは、新事業への進出という制度目的とつながりません。

設備・システムは、新しく始める事業に必要なものかを基準に判断します。

新事業に必要な建物費も対象になる

旧制度では、新事業に必要な建物費も補助対象経費に含まれていました。

新事業のための施設整備など、大きな投資を伴う事業にも利用しやすい点が特徴です。

一方、自宅や既存店舗の一般的な修繕費を自由に補助してもらえるわけではありません。

建物への投資が新事業を行うために必要であり、事業計画と直接結び付いている必要があります。

広告宣伝・販売促進費は新事業との関連が必要

広告宣伝・販売促進費も補助対象経費として設定されていました。

ただし、既存商品の通常広告まで幅広く対象になるわけではありません。

新たに立ち上げる事業について、

  • 新しい顧客を獲得する
  • 新市場へ認知を広げる
  • 新製品・新サービスを販売する

ための費用として、事業計画との関係を示す必要があります。

通常の事業経費や単なる既存設備の更新は対象にならない

普段から発生する一般的な事業経費や、既存設備を同等品へ取り替えるだけの投資には向いていません。

制度の目的は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることだからです。

たとえば、

対象になりにくい例

  • 既存店舗の設備を同等品へ交換
  • 通常業務用のパソコンを購入
  • 既存サービスの広告を継続

制度目的と合わせやすい例

  • 新市場向け製品の製造設備を導入
  • 新事業専用のシステムを構築
  • 新サービスの市場開拓を行う

という違いがあります。

個人事業主が申請するときに必要な書類

個人事業主は、法人とは異なり確定申告に関する資料を使って事業実績や財務状況を確認します。

申請年度や制度によって必要書類は変わるため、実際の申請では必ず最新の公募要領・応募申請ガイドを確認してください。

確定申告書と青色申告決算書を準備する

青色申告をしている個人事業主は、確定申告書や青色申告決算書など、自身の事業実績を確認できる資料を準備します。

個人事業主には法人のような決算書がないため、確定申告関係の資料が財務状況を確認する材料になります。

申請直前になってから探すのではなく、過年度分を含めて提出できる状態に整理しておくとスムーズです。

白色申告の場合は収支内訳書を使用する

白色申告の個人事業主は、青色申告決算書ではなく収支内訳書などを使用して事業実績を確認します。

青色申告をしていないという理由だけで、個人事業主が自動的に対象外になるわけではありません。

ただし、必要な申告資料を提出できなければ事業実績を確認できません。

申請する制度の最新資料で、対象となる年度や提出範囲まで確認してください。

労働者名簿で従業員数を確認する

個人事業主にとって特に注意したいのが、従業員数の確認です。

新事業進出枠では従業員数によって補助上限が変わるため、申請時の人数を正確に把握する必要があります。

また、旧制度では従業員0人が対象外でした。

「家族が手伝っている」「短時間のアルバイトがいる」というだけで独自判断せず、公募要領における従業員の定義に照らして人数を確認してください。

GビズIDプライムを申請前に取得する

電子申請を利用する制度では、GビズIDプライムの取得を早めに進めます。

個人事業主も自身の事業者情報でGビズIDプライムを取得して申請手続きを行います。

GビズIDの準備が終わっていなければ、申請書が完成していても電子申請を進められません。

新制度へ移行した現在は申請方法も変更されるため、使用する電子申請システムと必要なアカウントを最新の応募申請ガイドで確認してください。

個人事業主が利用するときの注意点

個人事業主が新事業進出補助金を利用するときは、補助額だけでなく自己資金や発注時期、採択後の経費精査まで考えておく必要があります。

数千万円規模の投資になることもあるため、「採択されたら資金面はすべて解決する」と考えないようにしてください。

補助金は後払いのため事業資金を先に確保する

補助金は、基本的に事業費を最初に受け取ってから設備を購入する仕組みではありません。

事業者自身が補助事業を実施し、必要な支払いを行った後に実績確認を受け、補助金が支払われます。

補助率1/2なら、補助対象経費の残り半分は自己負担です。

さらに補助金が入金されるまでの間は、補助対象分についても一時的に自社で支払う資金が必要になります。

個人事業主ほど、申請前に自己資金や融資を含めた資金繰りを確認しておく必要があります。

交付決定前に契約・発注した経費は対象外

補助対象経費は、原則として交付決定後に契約・発注したものが対象です。

現在の後継制度でも、交付決定日前に契約・発注した経費は補助対象にならないと明記されています。

そのため、

補助金を申請する予定だから先に設備を注文しておく

という進め方は避けてください。

採択と交付決定も別の手続きです。採択通知を受けただけで発注せず、実際に事業を開始できる時点を確認してから契約します。

補助額だけでなく自己負担額を確認する

補助率が1/2なら、対象経費の半分は原則として事業者負担です。

旧制度では補助下限750万円だったため、補助額750万円を受けるには、単純計算で1,500万円以上の補助対象経費が必要でした。

さらに、

  • 補助対象外の経費
  • 消費税等
  • 補助上限を超えた部分
  • 入金までの立替資金

ということも考える必要があります。

個人事業主にとってはかなり大きな投資になるため、「最大いくらもらえるか」より「自分はいくら負担できるか」を先に計算する方が現実的です。

採択されても申請額の全額交付が保証されるわけではない

補助金の採択は、申請した経費がすべてそのまま認められることを意味しません。

採択後の交付申請で経費が精査され、補助対象外と判断された費用があれば交付額は減額されます。

現在の後継制度でも、採択後の精査によって補助金額が減額され、補助下限を下回れば採択取消となることがあります。

そのため、申請段階から新事業との関係が説明できる経費だけを計上し、補助金が満額交付されることを前提に資金計画を立てないようにしてください。

2026年は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金へ移行

2026年にこれから新規申請する場合は、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の最新公募を確認する必要があります。

新制度には、旧制度の目的を引き継ぐ「新事業進出枠」が設けられています。

旧新事業進出補助金の新規公募は終了している

従来の「中小企業新事業進出補助金」は2025年から2026年にかけて複数回公募されましたが、現在は後継となる新制度が開始されています。

旧制度の公式サイトは採択者向けの交付申請・実績報告などの情報を引き続き掲載していますが、新規に補助金を探す場合は新制度の公募内容を確認する必要があります。

古い記事や旧公募要領だけを見て申請準備を進めないようにしてください。

新制度にも新事業進出枠が設けられている

2026年6月29日に公募が開始された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」には、3つの枠があります。

  • 革新的新製品・サービス枠
  • 新事業進出枠
  • グローバル枠

このうち新事業進出枠は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援します。

旧制度で新事業への進出を検討していた個人事業主は、まずこの新事業進出枠を確認するとよいでしょう。

新制度でも個人事業主は申請対象になる

新制度でも個人事業主が申請することを想定した制度設計になっています。

公募要領では個人事業から法人成りする場合の取扱いなども定められており、個人事業者そのものが一律に対象外となる制度ではありません。

新事業進出枠では、補助下限750万円、従業員1〜20人の場合の補助上限2,500万円、通常の補助率1/2という枠組みが設定されています。

ただし旧制度と新制度では、対象要件や特例など細部が異なります。

旧制度で対象だったから新制度でも自動的に対象になるとは考えず、改めて条件を確認してください。

これから申請する場合は最新の公募要領を確認する

2026年8月時点では、新制度の第1回公募が開始されています。申請受付は2026年9月30日、応募締切は10月30日18時と案内されています。

これから申請を検討する個人事業主は、

  • 自社が補助対象者に該当するか
  • 従業員数は要件を満たすか
  • 新事業進出枠に該当する事業か
  • 賃上げ要件を達成できるか
  • 補助対象経費はいくらか
  • 自己資金を確保できるか

を確認してから準備を進めてください。

特に個人事業主は「法人ではないから無理」と考える必要はありません。一方で、制度規模が大きく、賃上げや新市場進出まで求められるため、自身の事業規模に合う補助金かを先に判断することが欠かせません。

まとめ|個人事業主も対象だが従業員数と事業規模を確認する

新事業進出補助金は個人事業主も対象でしたが、旧制度では従業員0人や創業後1年未満の事業者は対象外でした。法人化しているかではなく、事業実績や従業員、新事業の内容などを満たしているかが判断基準です。

また、補助下限750万円、通常の補助率1/2という比較的大規模な制度だったため、小さな設備購入や一般的なIT導入のための補助金ではありません。

2026年現在は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が開始され、新事業進出枠が設けられています。個人事業主も対象候補となりますが、旧制度と条件が完全に同じではありません。

これから申請するなら、古い新事業進出補助金の情報だけで判断せず、新制度の最新公募要領を基準に、従業員数、新事業の内容、賃上げ要件、自己負担額まで確認してから準備を進めてください。

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