大規模成長投資補助金の対象企業は、原則として常時使用する従業員数が2,000人以下の会社等です。中小企業だけでなく、中堅企業も対象になります。
ただし、企業規模だけで申請できるわけではありません。一般枠では10億円以上の投資に加え、補助事業終了後3年間で対象事業に関わる従業員等の1人あたり給与支給総額を年平均4.5%以上引き上げる計画が必要です。
自社が大規模成長投資補助金の対象企業に該当するか、企業規模・投資額・賃上げ・対象外要件の順に確認していきましょう。
大規模成長投資補助金の対象企業とは

大規模成長投資補助金では、常時使用する従業員数2,000人以下の中堅・中小企業が基本的な対象です。
一般的な中小企業向け補助金のように、資本金だけで対象企業を判断する制度ではありません。まずは従業員数を確認します。
常時使用する従業員数2,000人以下の会社等が対象
対象企業を判断するときの基本条件は、常時使用する従業員数が2,000人以下であることです。
たとえば、
- 従業員500人の企業
- 従業員1,000人の中堅企業
- 従業員1,800人の企業
なども、ほかの要件を満たせば申請対象となります。
一方、常時使用する従業員数が2,000人を超える企業は、原則として対象になりません。
一般的な「中小企業」のイメージより規模の大きい企業まで対象になるため、中小企業基本法上の中小企業に該当しないという理由だけで対象外と判断しないようにしてください。
従業員数は企業グループではなく単体ベースで判断する
従業員数2,000人以下かどうかは、申請企業の単体ベースで確認します。
たとえば、申請企業単体では従業員1,500人でも、国内外の連結子会社まで含めると3,000人になるケースがあります。この場合でも、企業単体で2,000人以下なら対象候補です。
大企業グループに属しているから自動的に対象外になるわけではありません。
ただし、大企業との資本関係によって「みなし大企業」に該当すると扱いが変わるため、従業員数とは別に資本関係も確認する必要があります。
中小企業だけでなく中堅企業も対象になる
大規模成長投資補助金は、中小企業だけでなく中堅企業も対象です。
制度では、地域の雇用を支える中堅・中小企業による大規模な成長投資を促し、持続的な賃上げにつなげることが重視されています。
そのため、
資本金が中小企業基準を超えているから申請できない
とは限りません。
まず確認するのは常時使用する従業員数です。
上場企業についても、上場していることだけを理由に対象外とはなりません。企業規模や資本関係など、制度で定められた条件に沿って判断します。
大規模成長投資補助金の対象企業が満たす投資要件

対象企業に該当していても、投資規模が小さければ一般枠には申請できません。
一般枠では、専門家経費・外注費を除く補助対象経費について10億円以上の投資が必要です。
一般枠では10億円以上の投資が必要
大規模成長投資補助金の一般枠では、投資額10億円以上が基本要件です。
そのため、
従業員数が2,000人以下なので対象企業だ
というだけでは申請条件を満たしません。
企業規模とあわせて、実施する投資計画が10億円以上になるかを確認します。
対象となる投資には、工場や倉庫、販売拠点などの新設・増築、機械設備、ソフトウェアなどがあります。
制度名のとおり、通常の設備更新よりも大規模な成長投資を想定しています。
専門家経費・外注費は10億円の投資額要件に含まれない
10億円以上の投資額を計算するときは、すべての補助対象経費を単純に合計できるわけではありません。
一般枠では、専門家経費と外注費を除く補助対象経費で10億円以上になる必要があります。
たとえば、
- 建物費
- 機械装置費
- ソフトウェア費
などを中心に大規模投資を行い、別途専門家費用や外注費が発生する計画でも、10億円要件の判定では対象範囲を分けて考えます。
「総事業費が10億円を超えているから大丈夫」と判断せず、投資額要件に算入できる経費を確認してください。
省力化・生産性向上・事業拡大につながる成長投資が対象
10億円以上使えば、どのような投資でも対象になるわけではありません。
制度の目的は、人手不足などの課題へ対応しながら企業の成長を促し、賃上げにつなげることです。
たとえば、
- 新工場を建設して生産能力を拡大する
- 大型設備を導入して省力化する
- 物流拠点を整備して事業規模を拡大する
- 新たな事業拠点を整備する
- 大規模な生産設備を導入して生産性を高める
といった計画が考えられます。
単に老朽化した設備を同程度の設備へ交換するだけでは、成長投資としての説明が弱くなります。
「何を買うか」だけではなく、その投資によって事業規模・生産性・雇用・賃金がどう変わるのかまで整理する必要があります。
大規模成長投資補助金の対象企業が満たす賃上げ要件

一般枠では、10億円以上の投資とあわせて継続的な賃上げが求められます。
補助事業終了後3年間について、対象事業に関わる従業員等の1人あたり給与支給総額を年平均4.5%以上引き上げることが要件です。
1人あたり給与支給総額を年平均4.5%以上引き上げる
賃上げ要件では、対象事業に関わる従業員等の1人あたり給与支給総額について、年平均4.5%以上の上昇を計画します。
単に企業全体の売上や利益を伸ばせばよいわけではありません。
大規模投資による成長を従業員の賃金へ還元することまで制度の目的に含まれています。
そのため、申請前には、
- 現在の給与水準
- 投資後の従業員数
- 対象事業に関わる人員
- 今後の給与支給総額
を確認し、継続可能な賃上げ計画を作る必要があります。
賃上げ目標は補助事業終了後3年間で確認される
賃上げは一時的に実施すれば終わる要件ではありません。
一般枠では、補助事業終了後3年間を対象として年平均上昇率を確認します。
そのため、
補助金を受ける年だけ大きく賃上げする
という計画ではなく、企業成長と連動した持続的な給与計画が必要です。
大規模設備を導入した結果として生産能力や収益性が高まり、その成果を賃金へ還元できるかまで考えて投資計画を作ります。
賃上げ目標を達成できない場合は補助金返還の対象になる
申請時に掲げた賃上げ目標を達成できない場合、未達成率に応じて補助金の返還を求められます。
そのため、採択を得るためだけに無理な賃上げ目標を設定するのは避けてください。
大規模投資によって期待される利益や生産性の伸びと、給与支給総額の上昇を現実的に結び付ける必要があります。
なお、事業者の責めに帰さない事情がある場合などは、制度上の取り扱いを個別に確認します。
大規模成長投資補助金の対象外となる企業

従業員2,000人以下でも、みなし大企業や一部の1次産業などは対象外となります。
また、一般枠では投資額10億円未満の場合も要件を満たしません。
常時使用する従業員数が2,000人を超える企業は対象外
企業単体で常時使用する従業員数が2,000人を超える場合は、基本的な対象企業要件を満たしません。
この制度では、資本金よりも従業員数が企業規模を判断する主要な基準になっています。
| 従業員数 | 基本的な判断 |
| 500人 | 対象候補 |
| 1,500人 | 対象候補 |
| 2,000人 | 対象候補 |
| 2,001人 | 原則対象外 |
実際にはみなし大企業などほかの要件もあるため、2,000人以下だから自動的に申請できるわけではありません。
みなし大企業は対象外
大企業との資本関係などによって「みなし大企業」に該当する場合は、単独申請の補助対象外となります。
たとえば、大企業から一定割合以上の出資を受けている企業などは、みなし大企業に該当するか確認が必要です。
従業員数だけを見ると2,000人以下でも、資本関係によって扱いが変わります。
グループ会社や大企業子会社などが申請を検討する場合は、みなし大企業の定義を先に確認してください。
農作物の生産など一部の1次産業は対象外
実施する補助事業の内容が農作物の生産そのものなど、1次産業を主たる事業とする場合は補助対象外です。
そのため、
業種を問わずすべての企業が使える
という制度ではありません。
一方で、農業に関連する企業であっても、実際に行う補助事業の内容によって判断は異なります。
会社の業種名だけで対象外と決めるのではなく、予定する事業そのものが対象要件を満たすか確認してください。
10億円未満の投資計画では一般枠の要件を満たさない
一般枠では、専門家経費・外注費を除く補助対象経費が10億円未満なら投資額要件を満たしません。
たとえば、5億円や8億円規模の設備投資では、企業規模が対象であっても一般枠には申請できません。
この補助金は名称のとおり、大規模な成長投資を対象としています。
中小企業向けの一般的な設備投資補助金と比べても投資規模が大きいため、自社の投資計画が制度規模に合うかを早い段階で確認してください。
複数企業で大規模成長投資補助金を申請できるケース

大規模成長投資補助金は、1社単独だけでなく一定の要件を満たす共同申請にも対応しています。
中堅・中小企業を中心としたコンソーシアム形式で、最大10社まで参加できます。
一定要件を満たせばコンソーシアム形式で申請できる
複数企業が連携して大規模投資を行う場合は、コンソーシアム形式で申請できる仕組みがあります。
たとえば複数の企業が連携し、新たな生産拠点やサプライチェーンを構築するような計画です。
単独企業では投資効果を十分に発揮できない事業でも、企業間で役割を分担することで成長投資につながるケースがあります。
ただし、共同申請なら企業要件を確認しなくてよいわけではありません。
コンソーシアムは最大10社まで参加できる
コンソーシアム形式では、最大10社までの共同申請が対象となります。
参加企業が多ければよいわけではなく、
- どの企業が何を担当するのか
- 投資によってどのような相乗効果が出るのか
- 全体として成長につながるか
を整理する必要があります。
単に投資額を合算する目的で複数企業を集めるのではなく、共同で取り組む合理的な理由が必要です。
共同申請でも各参加企業の要件確認が必要
コンソーシアム形式でも、参加企業ごとの立場や対象要件を確認する必要があります。
たとえば、みなし大企業の扱いや従業員規模などは共同申請でも無関係にはなりません。
企業によってはコンソーシアムへ参加できても、補助対象企業として扱われないことがあります。
共同申請を予定する場合は、代表企業だけでなく参加各社について条件を確認してください。
大規模成長投資補助金の対象企業か確認するチェックポイント

自社が対象企業に該当するかは、「企業規模」「投資規模」「賃上げ」「投資内容」「対象外要件」の5つを順番に確認すると判断しやすくなります。
対象要件を満たすことと、審査で採択されることは別です。まず申請資格があるかを確認してから、具体的な事業計画を検討します。
従業員数が2,000人以下か
最初に確認するのは、申請企業単体の常時使用する従業員数です。
2,000人以下なら基本的な企業規模の要件を満たします。
この段階では、
- 資本金が大きい
- 上場している
- グループ全体では2,000人を超える
という理由だけで対象外と判断しないようにしてください。
ただし、みなし大企業などの条件は別途確認します。
10億円以上の投資計画があるか
次に、予定する投資が一般枠の10億円以上という条件を満たすかを確認します。
この際、専門家経費・外注費を除いて計算する点に注意してください。
単に総事業費を見るのではなく、
10億円要件に含められる投資はいくらか
を整理する必要があります。
投資額が基準に届かない場合は、無理に投資規模を大きくするのではなく、別の設備投資支援制度を検討した方が自然です。
継続的な賃上げを実行できるか
大規模成長投資補助金では、大規模投資と賃上げをセットで考える必要があります。
一般枠では、補助事業終了後3年間で対象事業に関わる従業員等の1人あたり給与支給総額を年平均4.5%以上引き上げます。
そのため、投資資金だけではなく、
- 将来の利益計画
- 人員計画
- 給与水準
- 賃上げ後の固定費
まで確認してください。
投資後の成長によって継続的に人件費を負担できる事業計画かどうかが判断材料になります。
単なる設備更新ではなく成長につながる投資か
大規模投資であっても、その内容が企業の成長につながるものかを確認します。
たとえば、
老朽化した設備を同じ能力の設備へ交換する
だけでは、事業拡大や生産性向上との関係を示しにくくなります。
一方、
新工場を建設して生産能力を拡大する
省力化設備を導入して人手不足へ対応する
新拠点を設けて販売・生産規模を拡大する
といった計画なら、制度目的との関係を整理しやすくなります。
10億円以上という金額だけではなく、投資後に企業がどう成長するのかを確認してください。
みなし大企業などの対象外要件に該当しないか
最後に、企業規模や投資額以外の対象外要件を確認します。
特に、
- みなし大企業に該当しないか
- 補助事業が対象外となる1次産業に該当しないか
- その他の対象外事業者に該当しないか
を確認してください。
自社の対象可否を整理すると次のとおりです。
| 確認項目 | 基本的な判断 |
| 従業員2,000人以下 | ○ |
| 従業員2,000人超 | × |
| 一般枠で10億円以上の投資 | ○ |
| 一般枠で10億円未満 | × |
| 賃上げ年平均4.5%以上 | ○ |
| 中堅企業 | ○ |
| 中小企業 | ○ |
| みなし大企業 | 単独申請は対象外 |
| 一部の1次産業 | × |
すべて確認したうえで、最新年度の公募要領に沿って最終的な申請可否を判断します。
まとめ|大規模成長投資補助金は従業員2,000人以下の中堅・中小企業が対象

大規模成長投資補助金の対象企業は、原則として常時使用する従業員数2,000人以下の会社等です。
中小企業だけでなく中堅企業も対象となり、従業員数は申請企業の単体ベースで判断します。
ただし、企業規模だけでは申請できません。
一般枠では、
- 10億円以上の投資
- 対象事業に関わる従業員等の1人あたり給与支給総額を年平均4.5%以上引き上げる
- みなし大企業などの対象外要件に該当しない
といった条件も確認する必要があります。
自社が対象か調べる際は、まず「従業員2,000人以下か」を確認し、その後に投資額・賃上げ・投資内容・資本関係を順番に確認してください。
また、対象企業に該当しても自動的に補助金を受けられるわけではありません。申請資格を満たしたうえで審査を受けるため、投資による成長性や実現可能性まで含めた事業計画が必要です。
