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ものづくり補助金の事例を業種別に紹介|採択事例・成果事例の見方も解説

ものづくり補助金では、製造業だけでなく、食品、サービス業、IT・システム開発など幅広い事業が採択されています。

ただし、過去に採択された設備や事業内容をそのまま真似すればよいわけではありません。事例を見るときは、「どのような課題があり、何に投資し、その結果どのような新製品・新サービスにつながったか」を確認する必要があります。

自社に近い事例を探す際に役立つよう、ものづくり補助金の活用事例を業種別に整理し、事例の見方や公式情報から探す方法も紹介します。

目次

ものづくり補助金の事例から分かること

ものづくり補助金の事例を見る際は、「採択事例」と「成果事例」を分けて考えると理解しやすくなります。

採択事例からは審査を通過した事業テーマが分かり、成果事例からは補助事業を実施した後の取組や事業化の状況を確認できます。

採択事例では実際に採択された事業テーマを確認できる

採択事例を見ると、どのような事業テーマがものづくり補助金で採択されているのかを確認できます。

採択者一覧には、事業者名と事業計画名が掲載されています。そのため、自社と同じ業種や似た技術分野で、どのような新製品・新サービスの開発が行われているかを調べる際に役立ちます。

たとえば、採択事例を見る際は次のような部分に注目します。

  • 新しい製品・サービスとして何を開発するのか
  • どのような設備やシステムを活用するのか
  • 従来の事業と何が違うのか
  • どの市場や顧客を対象としているのか

特に注意したいのは、設備名だけを参考にしないことです。

同じ加工機やシステムを導入していても、単なる設備更新なのか、新しい製品を生み出すための投資なのかによって事業の意味は変わります。

成果事例では設備導入後の事業化・成果まで確認できる

成果事例では、採択後にどのような設備や技術を導入し、事業化へつなげたのかを確認できます。

採択者一覧との違いを整理すると、次のようになります。

種類主に確認できる内容
採択事例採択された事業者・事業計画名
成果事例導入設備・開発内容・事業化への取組
成果事例集課題への対応や成果獲得までの過程

採択されたテーマを知りたいなら採択者一覧、実際の活用方法まで知りたいなら成果事例を見るのが向いています。

事業計画を考える際は、成果の数字だけでなく、課題から投資、事業化までがどのようにつながっているかを見ると参考になります。

ものづくり補助金の活用事例【業種別】

ものづくり補助金は、製造業に限定された制度ではありません。

公式の成果事例には、金属加工などの製造業だけでなく、食品、宿泊・サービス業、IT・情報サービスなど幅広い分野の取組が掲載されています。

製造業では新しい加工・生産技術の導入事例がある

製造業では、新しい加工技術の確立や生産工程の高度化、新製品開発などにものづくり補助金を活用した事例があります。

公式の成果事例には、精密小型部品の製作効率や品質を高めるため、CNC旋盤と自動化システムを導入した取組などが掲載されています。

事業の構造を整理すると、次のように考えられます。

項目内容
業種金属製品製造業
課題精密部品の生産効率・品質向上
投資CNC旋盤・自動化設備
取組精密部品の生産工程を高度化

ほかにも、新しい鋳造技術やめっき技術など、従来の設備・技術では対応できなかった加工を実現するための事例があります。

製造業の事例で見るべきなのは、「高性能な機械を購入した」という結果だけではありません。

新しい設備によって、

  • これまで加工できなかった製品へ対応する
  • 高精度化する
  • 新しい製法を確立する
  • 新規市場へ参入する

など、事業の幅を広げているかを確認すると参考になります。

食品関連では新商品開発・製造工程高度化の事例がある

食品関連では、新商品の開発や新しい製造方法の導入にものづくり補助金を活用した事例があります。

たとえば、新しい充填設備を導入し、従来とは異なる品質や形態の商品を生産できる体制を整えた事例があります。

単純な設備更新ではなく、

既存工程の課題

新設備の導入

新しい商品を開発

販売できる商品・市場を広げる

という流れになっている点が特徴です。

また、酒造関連ではIoTやAIなどを取り入れ、製造技術の継承や新しい商品の開発につなげた事例もあります。

飲食関連でも、製麺設備などを利用して品質を高め、店内提供だけでなく通販やテイクアウト向けの商品を開発するといった取組が見られます。

食品事業者が参考にする場合は、「製造量を増やしたか」よりも、設備投資によって新しい商品や販売方法を生み出しているかを見ると分かりやすくなります。

サービス業では新サービス開発の事例がある

サービス業でも、新しいサービス提供方法を実現するためにものづくり補助金を活用した事例があります。

たとえば宿泊業では、急速冷凍などの新しい技術を導入し、宿泊サービス以外の収益源を作るための取組が行われています。

また、サービス提供の効率化だけでなく、新しい宿泊形態や顧客体験を生み出すための投資事例もあります。

専門サービス分野では、検査・診断業務を支援するシステムを開発し、人手不足への対応やサービス品質の向上を目指した事例などもあります。

サービス業では物理的な製品を製造しないため、「ものづくり補助金は使えない」と考えがちです。

しかし、新しいサービスを開発するための設備やシステム投資で、制度の要件を満たせば申請対象となります。

IT・システム分野でも新サービス開発の事例がある

IT・情報サービス分野では、新しいシステムやクラウドサービスの開発にものづくり補助金を活用した事例があります。

過去の成果事例には、農業生産に関する情報を記録し、流通まで支援するクラウドシステムの開発などがあります。

また、宿泊施設向けに多言語対応の注文システムを開発した事例や、利用者の利便性を高めるための各種ITサービスも見られます。

IT分野で参考にしたいのは、単に、

新しいシステムを作った

という点ではありません。

  • 既存サービスでは解決できない課題がある
  • 新しい機能や仕組みを開発する
  • 顧客へ新しい価値を提供する
  • 事業として継続・拡大する

という流れがあるかを見る必要があります。

「ものづくり」という名称にとらわれず、新サービス開発として制度目的に合うかを判断してください。

ものづくり補助金の事例は「課題・投資・成果」で見る

ものづくり補助金の事例を自社の計画へ生かすなら、設備や補助金額だけを見るのでは不十分です。

課題→投資→新しい取組→成果という順番で見ると、なぜその事業に投資が必要だったのかを理解しやすくなります。

導入前にどのような経営・技術課題があったか確認する

最初に確認するのは、設備やシステムを導入する前にどのような課題があったのかです。

製造業であれば、

  • 現在の設備では必要な精度を出せない
  • 受注したい製品を加工できない
  • 新商品を量産できない
  • 外注している工程がボトルネックになっている

などが考えられます。

サービス業なら、

  • 現在の仕組みでは新しい顧客ニーズに対応できない
  • 手作業では新サービスを提供できない
  • 新市場へ参入するための技術が不足している

といった課題です。

同じ設備を導入する場合でも、企業によって抱えている課題は異なります。

設備ではなく「課題」から事例を比較すると、自社に近い事例を見つけやすくなります。

設備やシステムを何のために導入したか確認する

次に見るのは、設備やシステムが課題解決にどう関係しているかです。

たとえば加工設備を導入する場合でも、

既存製品を今までと同じ方法で作る
のと、
従来できなかった高精度加工を実現し、新製品を開発する
のでは意味が違います。

事例を確認するときは、

この設備がなければ、なぜ新しい事業を実現できないのか

という視点を持つと判断しやすくなります。

設備名や価格だけを参考にしても、自社の事業計画には直接つながりません。

新製品・新サービスにどのようにつながったか確認する

設備投資によって、どのような新製品・新サービスが生まれたかも確認します。

ものづくり補助金の成果事例には、

  • 新しい加工技術を使った製品
  • 新たな食品
  • 通販向け商品
  • 新しい宿泊サービス
  • クラウドシステム
  • ITを利用した新サービス

など幅広い取組があります。

ここで注意したいのは、設備導入そのものを事業成果と考えないことです。

たとえば、

新しい機械を導入した

ではなく、

新しい機械を導入し、これまで対応できなかった製品を開発した

までつながっている事例を見る方が参考になります。

導入後にどのような事業成果が出たか確認する

成果事例では、補助事業を実施した後にどのような変化があったかも確認できます。

たとえば、

  • 新製品の販売開始
  • 新しい顧客の獲得
  • 新市場への参入
  • 生産体制の構築
  • 提供できるサービスの拡大
  • 製造技術の高度化

などです。

ただし、他社の売上増加率や生産性向上の数字を、そのまま自社の計画へ当てはめてはいけません。

企業規模や市場、投資額、顧客条件などが異なるためです。

参考にするなら成果の数字そのものではなく、投資が事業成果へどうつながったかという流れを見てください。

ものづくり補助金で対象になりにくい事例

過去の採択事例を見るだけではなく、どのような事業が制度目的と合いにくいかも理解しておく必要があります。

特に、単なる設備更新や新製品・新サービスとの関係が弱い投資には注意してください。

古い設備を同等設備へ入れ替えるだけでは対象になりにくい

老朽化した設備を、ほぼ同じ機能の新しい設備へ交換するだけでは、ものづくり補助金の対象事業として説明しにくくなります。

たとえば、

古い加工機を同等性能の新品へ交換する
だけなら、通常の設備更新に近い取組です。

一方、

新しい加工機を導入し、従来は作れなかった高精度製品を開発する

のであれば、新製品開発との関係が明確になります。

成果事例を見るときも、「何を買ったか」ではなく「導入後に何が新しくできるようになったか」を確認してください。

設備導入と新製品・新サービス開発の関係が弱い事業は注意する

設備導入の必要性と新製品・新サービス開発がつながっていない事業も注意が必要です。

たとえば、

生産性を上げたいので最新設備を導入する

だけでは、ものづくり補助金を使って何を実現するのかが見えません。

一方、

顧客から高精度部品の要望があるものの、現在の設備では対応できない。新設備を導入し、新たな製品として事業化する

という計画なら、課題と設備投資の関係を説明できます。

事例を見る際も、設備導入と事業目的が一本の流れになっているかを確認すると、自社の計画との違いが分かりやすくなります。

自社の事業規模に対して過大な投資計画は慎重に判断する

過去事例で大規模な設備投資を見つけても、その金額をそのまま自社へ当てはめる必要はありません。

補助金は投資額の全額を負担してくれる制度ではなく、事業者側にも自己負担が生じます。

また、補助金は原則として補助事業の実施後に支払われるため、先に設備代などを支払うための資金も必要です。

投資を考える際は、

  • 自社の売上規模に合っているか
  • 自己負担分を用意できるか
  • 補助金入金までの資金を確保できるか
  • 設備導入後の売上・利益で投資を回収できるか

まで確認してください。

他社の成功事例は、投資規模ではなく「なぜその投資を選んだのか」という判断材料として使う方が安全です。

自社に近いものづくり補助金の事例を探す方法

自社に似た事例を探すなら、公式の成果事例検索と採択者一覧を使い分けるのが効率的です。

成果事例検索では過去の活用方法を、採択者一覧では直近の採択事業テーマを確認できます。

公式の成果事例検索では6,000件超の事例を確認できる

公式の成果事例検索では、6,000件を超える過去の成果事例を確認できます。

製造業だけでなく、食品、宿泊、サービス、ITなど幅広い業種が掲載されているため、自社と似た取組を探す際に役立ちます。

大量の事例を最初から順番に読む必要はありません。

自社の、

  • 業種
  • 技術
  • 商品
  • 設備
  • サービス
  • 地域

などをキーワードにして絞り込むと効率的です。

複数の似た事例を見ることで、「この設備を買えばよい」という表面的な比較ではなく、課題や投資目的の共通点を探せます。

業種・技術・設備などのキーワードで検索する

公式の事例を探すときは、業種だけでなく、設備名や技術名も組み合わせると自社に近い事例を見つけやすくなります。

たとえば次のような探し方です。

自社の事業検索キーワード例
金属加工金属加工、切削、精密加工、CNC
食品製造食品、冷凍、充填、包装
飲食製麺、テイクアウト、通販
ITAI、クラウド、システム、情報サービス
宿泊ホテル、旅館、宿泊
医療関連医療、診断、検査

完全に同じ事例が見つからなくても問題ありません。

「抱えている課題が似ている」「設備投資の目的が似ている」といった事例も参考になります。

採択者一覧では最新公募の事業計画名を確認できる

直近の制度でどのような事業が採択されているかを確認したい場合は、最新の採択者一覧が役立ちます。

2026年第23次では、1,275者の申請から448者が採択され、2026年8月7日に結果が公表されました。

ただし、「事例」を調べる目的であれば、申請件数や採択率そのものを詳しく分析する必要はありません。

見るべきなのは、最新の制度環境でどのような事業計画名が採択されているかです。

成果事例は事業実施後に掲載されるため、最新公募の事業テーマを知りたい場合は採択者一覧の方が早く確認できます。

一方、採択者一覧には採択理由や詳しい事業内容までは掲載されません。事業計画名の表現を真似するのではなく、現在どのような分野・テーマで事業が計画されているかを見るために利用してください。

過去事例は現在の公募要件と分けて参考にする

過去の成果事例を参考にするときは、現在の公募制度と同じ条件で採択されたとは限らない点に注意してください。

ものづくり補助金では、年度によって申請枠や対象要件が変更されています。

過去には、

  • 通常枠
  • デジタル枠
  • グリーン枠
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠

など、現在とは異なる名称・条件の枠も設けられていました。

そのため、

過去の成果事例
→事業アイデアや課題解決の方法を参考にする

最新の公募要領
→現在申請できる事業か判断する

という使い分けが必要です。

過去に採択された事例だからといって、現在も同じ条件で申請できるとは限りません。

まとめ|ものづくり補助金の事例は「何を買ったか」より事業の流れを見る

ものづくり補助金には、製造業だけでなく、食品、サービス業、IT・システム分野など幅広い活用事例があります。

自社の事業計画を考える際は、他社が導入した設備やシステムだけを真似するのではなく、

課題 → 投資 → 新製品・新サービス → 成果

という流れを確認してください。

採択者一覧では実際に採択された事業テーマを確認でき、成果事例では補助事業を実施した後の取組や事業化の状況を確認できます。目的に合わせて使い分けると、自社に近い事例を探しやすくなります。

また、過去の成果事例には現在とは異なる申請枠や要件で採択された事業も含まれます。事例は事業アイデアを整理する材料として活用し、実際に申請できるかどうかは最新の公募要領を基準に判断してください。

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