新しい機械やシステムを導入したいものの、費用負担の大きさから設備投資に踏み切れない企業は少なくありません。
製造設備や省力化機器、業務システムなどは、企業の生産性向上や事業拡大に役立ちます。一方で、まとまった資金が必要になるため、自己資金だけで導入するのが難しいケースもあります。
そこで活用を検討したいのが、国や地方自治体などが実施する補助金・助成制度です。
制度の目的と設備投資の内容が合えば、導入費用の一部を支援してもらえる可能性があります。
ただし、設備を購入すれば自動的に補助金が受け取れるわけではありません。
補助金ごとに、対象となる事業者、設備、経費、実施期間が定められています。申請前に契約や発注をすると、対象外になる場合もあります。
また、補助金は原則として後払いです。採択されても、設備代金は一度自社で支払わなければなりません。
本記事では、設備投資に利用できる補助金・支援制度の種類や、対象になりやすい設備について解説します。設備を購入する前に確認したいポイントも紹介するため、無理のない投資計画を立てる際にお役立てください。
設備投資に利用できる補助金・支援制度

設備投資に使える支援制度には、機械設備の導入を対象とするものだけでなく、ITシステム、省力化設備、省エネルギー設備などを対象とするものもあります。
どの制度を利用できるかは、購入する設備の種類だけでは決まりません。
設備を導入する目的や、導入後に実現したい成果によっても変わります。
例えば、同じ機械を購入する場合でも、新製品の開発に使うのか、人手不足を解消するために使うのかで、検討する制度は異なります。
まずは、自社が行う設備投資の目的を整理しましょう。
機械設備の導入に使える補助金
製造設備や加工機械、生産ラインなどの導入では、生産性向上や新製品開発を支援する補助金を利用できる可能性があります。
対象になり得る設備の例は次のとおりです。
- 製造機械
- 加工機械
- 検査装置
- 包装設備
- 搬送装置
- 測定機器
- 試作設備
- 新しいサービスに必要な専用機器
ただし、既存設備を同等の機械へ入れ替えるだけでは、補助対象にならない場合があります。
補助金では、設備導入によってどのような成果を生み出すのかが重視されます。
例えば、次のような内容です。
- 生産量を増やす
- 作業時間を短縮する
- 不良品を減らす
- 新しい商品を製造する
- 外注していた工程を内製化する
- これまで対応できなかった注文を受けられるようにする
設備の性能だけを説明するのではなく、現在の課題と導入後の変化を示す必要があります。
ソフトウェアやシステムも設備投資に含まれる場合がある
設備投資というと、工場の機械や店舗設備を想像しやすいでしょう。
しかし、補助金によっては、業務用ソフトウェアやクラウドシステムも対象になります。
対象になり得るものには、次のような例があります。
- 会計システム
- 受発注システム
- 在庫管理システム
- 顧客管理システム
- 予約管理システム
- POSレジ
- 生産管理システム
- 勤怠管理システム
- 決済システム
- セキュリティ対策ツール
システムを導入すると、手作業の削減やデータの一元管理につながります。
例えば、紙で管理していた在庫情報をシステム化すれば、確認や入力にかかる時間を減らせます。発注漏れや在庫不足の防止にも役立つでしょう。
ただし、市販されているすべてのソフトウェアを自由に購入できるとは限りません。
指定された登録ツールから選ぶ制度や、導入支援事業者と共同で申請する制度もあります。
パソコンやタブレットなどの汎用品は、単独では対象外になることもあります。
導入したい製品名だけで判断せず、対象経費の条件を確認してください。
省力化設備による人手不足対策
人手不足が深刻な企業では、省力化や自動化を目的とした設備投資も選択肢になります。
省力化設備とは、これまで人が行っていた作業を自動化したり、少ない人数で対応できるようにしたりする設備です。
対象になり得る設備には、次のようなものがあります。
- 自動搬送装置
- 配膳ロボット
- 券売機
- 自動精算機
- 自動包装機
- 清掃ロボット
- 無人受付システム
- 自動倉庫
- 検品システム
- 予約受付システム
省力化設備を導入する際は、「便利になる」という説明だけでは不十分です。
現在どの業務に何人・何時間かかっているのかを整理し、導入後にどの程度削減できるのかを示しましょう。
例えば、1日3時間かかっている集計作業を30分に短縮できる場合、1日当たり2時間30分の削減です。
年間の営業日数を掛ければ、設備導入による時間削減効果を数値で示せます。
空いた時間を接客や営業、商品開発などへ振り向ける計画まで示せると、設備投資の必要性が伝わりやすくなります。
省エネルギー設備の導入を支援する制度
電気代や燃料費の削減を目的として、省エネルギー設備の導入を支援する制度もあります。
対象になり得る設備の例は次のとおりです。
- 高効率空調
- LED照明
- 高効率ボイラー
- 冷蔵・冷凍設備
- コンプレッサー
- 変圧器
- 省エネ型の製造設備
- エネルギー管理システム
- 断熱設備
- 太陽光発電設備
省エネ設備の支援では、導入前後のエネルギー使用量を比較することが重要です。
単に古い設備を新しくするのではなく、電力使用量や燃料消費量をどの程度減らせるのかを確認します。
例えば、年間電気代が300万円かかっている設備を更新し、20%削減できる場合、年間の削減見込みは60万円です。
導入費用が600万円であれば、単純計算では10年で回収できます。補助金を利用できれば、自己負担額が減り、回収期間も短くなる可能性があります。
設備メーカーの資料だけでなく、自社の稼働時間や使用状況を踏まえて効果を計算しましょう。
販路開拓に必要な設備が対象になる場合もある
小規模事業者向けの補助金では、新しい顧客の獲得や販路開拓に必要な設備が対象になる場合があります。
例えば、次のような設備です。
- 新商品を製造するための機械
- 新サービスに必要な専用設備
- 店舗で新しい顧客層を受け入れるための設備
- 移動販売に必要な機器
- 展示販売に使う設備
- オンライン販売に必要な撮影機材
- 新しい施術や加工に使う機器
ただし、設備を購入すること自体が目的ではありません。
「新しい顧客を獲得する」「新しい販売方法を始める」といった販路開拓の計画が必要です。
例えば、従来は店頭販売だけだった事業者が、新たにオンライン販売を始めるケースを考えてみましょう。
商品撮影用の機材、梱包設備、受注管理システムなどを組み合わせて導入すれば、新しい販路の構築につながります。
設備と販路開拓の関係を具体的に説明することが大切です。
国以外にも設備投資支援がある
設備投資に関する支援は、国の補助金だけではありません。
都道府県や市区町村でも、地域の企業を対象とした制度を実施する場合があります。
自治体の支援には、次のような種類があります。
- 設備導入費の補助
- 工場や店舗の改修費補助
- 省エネルギー設備への助成
- DX・デジタル化支援
- 低利融資
- 信用保証料の補助
- 借入金の利子補給
- 固定資産税の軽減
- 専門家派遣
- 設備導入前の相談支援
自治体の制度では、所在地に関する条件が設けられます。
本店所在地だけでなく、設備を設置する事業所や工場の所在地が基準になることもあります。
確認したい条件は次のとおりです。
- 自治体内に本店または事業所があるか
- 自治体内へ設備を設置するか
- 一定期間以上事業を継続しているか
- 市区町村税などを滞納していないか
- 対象業種に該当するか
- 地域内で雇用を増やす計画があるか
国の制度が利用できなくても、自治体の支援に該当する場合があります。
設備投資を検討するときは、国、都道府県、市区町村の順に情報を確認するとよいでしょう。
補助金以外の支援も比較する
設備投資の負担を軽減する方法は、補助金だけではありません。
融資や税制優遇などを利用できる場合もあります。
| 支援方法 | 主な特徴 |
| 補助金・助成金 | 原則返済不要だが、審査や実績報告がある |
| 融資 | 返済が必要だが、まとまった資金を確保しやすい |
| 利子補給 | 融資の利息負担を軽減できる |
| 信用保証料補助 | 保証付き融資の初期負担を抑えられる |
| 税制優遇 | 一定の設備投資について税負担を軽減できる |
| リース | 初期費用を抑えて設備を利用できる |
| 専門家派遣 | 設備選定や導入計画の相談ができる |
補助金は魅力的ですが、採択結果が出るまで設備を購入できないことがあります。
設備の導入を急ぐ場合は、融資やリースのほうが事業計画に合うケースもあるでしょう。
支援金額だけでなく、導入時期、手続きの負担、返済条件を比較して選ぶことが重要です。
設備を購入する前に補助対象になるか確認する

設備投資に補助金を利用する場合、購入後に申請することは難しいケースが多くあります。
申請前や交付決定前に契約・発注・支払いをすると、補助対象外になる可能性があるためです。
設備を選ぶ段階から、公募要領や対象経費を確認しましょう。
設備の導入目的を明確にする
補助金の申請では、どの設備を購入するかだけでなく、なぜ必要なのかを説明します。
最初に、現在の課題を整理しましょう。
- 生産能力が不足している
- 人手不足で注文を断っている
- 作業時間が長い
- 不良品が多い
- 外注費が高い
- 電気代が増えている
- 新しい商品を製造できない
- 顧客管理に時間がかかる
- 受注や在庫情報を一元管理できていない
次に、設備導入によってどのように解決するかを示します。
例えば、「新しい加工機を導入する」という説明だけでは、投資の必要性が伝わりません。
「現在は1個の加工に30分かかっており、月100件までしか対応できない。新設備の導入後は1個10分となり、月300件まで対応できる」と示すと、効果が具体的になります。
導入目的が曖昧なまま、補助金に合わせて設備を選ぶのは避けましょう。
単純な買い替えでは対象にならない場合がある
古くなった設備を買い替えることは、事業継続のために必要です。
しかし、補助金では、同じ機能の設備へ更新するだけでは対象にならないことがあります。
補助金の目的には、次のようなものがあるためです。
- 生産性向上
- 新商品・新サービスの開発
- 販路開拓
- 省力化
- デジタル化
- 省エネルギー化
- 賃上げ
- 地域雇用の創出
設備更新を申請する場合は、新設備によってどのような改善が生まれるかを示します。
例えば、故障した機械を同等品へ交換するだけでは、通常の維持費と判断される可能性があります。
一方、加工速度が2倍になり、消費電力を30%削減できる設備へ更新する場合は、生産性向上や省エネ効果を説明できます。
設備の価格差や性能差を比較し、導入効果を整理しましょう。
中古設備の扱いを確認する
設備投資を抑えるため、中古設備を検討する企業もあります。
ただし、補助金によっては中古設備を対象外としています。
中古設備を認める制度でも、次のような条件が設けられる場合があります。
- 複数の中古販売事業者から見積もりを取得する
- 型式や製造年を確認できる
- 価格の妥当性を証明できる
- 耐用年数が残っている
- 個人間売買ではない
- 関係会社からの購入ではない
中古設備は新品より価格を抑えられますが、補助対象として認められなければ、全額自己負担になります。
申請前に制度の条件を確認してください。
汎用品は対象外になりやすい
パソコン、スマートフォン、一般的な家具などは、事業以外にも使える汎用品として補助対象外になることがあります。
対象外になりやすいものの例は次のとおりです。
- パソコン
- タブレット
- スマートフォン
- 一般的なプリンター
- テレビ
- 家庭用エアコン
- 机や椅子
- 乗用車
- 事務用品
ただし、制度によっては、指定されたシステムとセットで購入する場合や、一定の条件を満たす場合に限り対象になることもあります。
「業務で使うから対象になる」と自己判断しないことが重要です。
公募要領に対象経費として明記されているかを確認しましょう。
交付決定前に契約・発注しない
設備投資の補助金で特に注意したいのが、契約や発注の時期です。
一般的な流れは次のとおりです。
- 補助金を選ぶ
- 申請書を提出する
- 審査を受ける
- 採択結果が通知される
- 交付申請を行う
- 交付決定を受ける
- 設備を契約・発注する
- 設備を導入して支払う
- 実績報告を行う
- 補助金額が確定する
- 補助金を受け取る
「採択」と「交付決定」は同じではありません。
採択された後も、交付決定前に発注すると対象外になる場合があります。
特に注意したい行為は次のとおりです。
- 売買契約を締結する
- 発注書を出す
- 手付金を支払う
- リース契約を結ぶ
- 工事を始める
- 設備を納品してもらう
- 前払い金を振り込む
設備メーカーから納期を急かされても、申請上の手続きを優先してください。
交付決定日を確認してから契約しましょう。
見積書の内容を詳しく確認する
補助金申請では、設備の見積書を提出することがあります。
見積書には、設備名、型式、数量、単価などが明確に記載されている必要があります。
「設備一式」だけでは、対象経費を確認できません。
見積書で確認したい項目は次のとおりです。
- メーカー名
- 製品名
- 型式
- 数量
- 税抜価格
- 消費税額
- 税込価格
- 運搬費
- 設置費
- 初期設定費
- 保守費
- 値引き額
- 納期
- 支払条件
- 見積書の有効期限
補助金によっては、一定額以上の設備について相見積もりを求めます。
相見積もりを取得できない場合は、特定の設備でなければならない理由書などが必要になることもあります。
申請締切の直前では見積もりが間に合わない可能性があります。
設備の候補が決まった段階で、早めに依頼しましょう。
補助対象期間内に導入を完了する
補助金では、設備を導入できる期間が決められています。
期間内に契約するだけではなく、納品、設置、検収、支払いまで完了しなければならない場合があります。
大型設備や海外製品では、納期が長くなりやすいため注意が必要です。
確認したい内容は次のとおりです。
- 設備の納期
- 設置工事にかかる期間
- 試運転の日程
- 支払時期
- 補助事業の完了期限
- 実績報告の期限
- 遅延した場合の対応
設備が期限までに納品されなければ、補助対象から外れる可能性があります。
申請前に販売事業者へ納期を確認し、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
支払い方法にもルールがある
補助金では、経費を実際に支払ったことを証明する必要があります。
そのため、現金払いではなく、銀行振込など記録が残る方法を指定されることがあります。
主な証拠書類は次のとおりです。
- 契約書
- 発注書
- 納品書
- 請求書
- 振込明細
- 通帳の写し
- 領収書
- 設備の写真
- 型式や製造番号が分かる資料
- 固定資産台帳
クレジットカード払いでは、補助対象期間内に口座から引き落とされることが必要になる場合があります。
手形や相殺決済が認められない制度もあります。
設備を購入する前に、認められる支払い方法を確認してください。
補助金は後払いになることが多い
多くの補助金は、設備を導入して代金を支払った後に交付されます。
例えば、1,100万円の設備に対し、補助率2分の1で500万円の補助金を受け取れる計画を立てたとします。
設備購入時には、原則として1,100万円を自社で用意しなければなりません。
補助金が入金されるまでの間、資金不足にならないよう注意が必要です。
さらに、次の金額は自己負担になります。
- 補助率に含まれない部分
- 補助上限額を超えた部分
- 消費税
- 対象外経費
- 実績報告で認められなかった経費
- 設備導入後の保守費
- 補助金入金までの借入利息
申請前に、設備代金をいつ支払うのか、補助金がいつ入る見込みなのかを確認しましょう。
必要であれば、金融機関へつなぎ融資を相談する方法もあります。
同じ設備へ複数の補助金を使えない場合がある
設備投資では、国と自治体の両方に利用できそうな制度が見つかることがあります。
ただし、同じ設備や同じ経費へ複数の補助金を重ねて使うことは、原則として認められない場合があります。
例えば、設備価格1,000万円に対し、国の補助金と自治体の補助金をそれぞれ申請し、自己負担を0円にするような使い方はできない可能性があります。
併用を検討するときは、次の点を確認しましょう。
- 対象となる設備が同じか
- 対象経費が重複しているか
- 補助対象期間が重なっているか
- 自治体制度に国費が含まれているか
- 補助金と融資は併用できるか
- 税制優遇も利用できるか
別々の設備へ異なる補助金を使える場合もあります。
判断が難しいときは、両方の実施機関へ確認してください。
補助金を使う前に設備投資の採算性を確認する

補助金を利用できれば、設備投資の自己負担を抑えられます。
しかし、補助金があるという理由だけで設備を導入すると、維持費が増えたり、想定した売上を得られなかったりする可能性があります。
補助金の申請前に、設備投資によって得られる効果と必要な費用を比較しましょう。
設備導入による効果を数値化する
設備投資の効果は、できる限り数値で確認します。
主な項目は次のとおりです。
- 生産量の増加
- 作業時間の削減
- 人件費の削減
- 外注費の削減
- 不良品率の低下
- 電気代の削減
- 売上の増加
- 客単価の向上
- 受注件数の増加
- 残業時間の削減
例えば、月60万円かかっていた外注工程を設備導入によって内製化し、材料費や人件費を含む内製コストが月30万円になるとします。
この場合、月30万円、年間360万円の改善が見込めます。
ただし、設備の保守費や電気代が増える場合は、その分を差し引かなければなりません。
実質的な自己負担額を計算する
設備の購入価格から補助金見込額を引いただけでは、実際の負担額を正確に把握できません。
次の費用も含めて計算します。
- 設備本体
- 運搬費
- 設置工事費
- 初期設定費
- 操作研修費
- 消費税
- 補助対象外経費
- 借入金の利息
- 導入後の保守費
- システム利用料
- 消耗品費
実質的な自己負担額は、次のように考えられます。
設備導入にかかる総額-補助金額=実質的な自己負担額
例えば、設備本体が800万円、設置費が100万円、消費税が90万円で、補助金が400万円の場合を考えます。
設備投資の総額は990万円です。補助金が400万円なら、実質的な自己負担額は590万円となります。
補助対象外となる費用があれば、さらに負担額が増えます。
投資回収期間を計算する
投資回収期間とは、設備投資に使った資金を、設備導入による利益の増加やコスト削減で回収するまでの期間です。
基本的な計算方法は次のとおりです。
実質的な自己負担額÷年間の利益改善額=投資回収期間
自己負担額が600万円で、年間の利益改善額が200万円なら、単純計算で回収期間は3年です。
ただし、実際には設備の故障、需要の変動、材料費の高騰なども起こります。
計画どおりに売上が伸びなかった場合も想定し、余裕を持った数字で確認しましょう。
設備の維持費も含めて比較する
高性能な設備ほど、維持費が高くなる場合があります。
導入後に発生する費用として、次のものを確認しましょう。
- 定期点検費
- 修理費
- 保守契約費
- 消耗部品費
- ソフトウェア利用料
- 電気代
- 通信費
- 操作研修費
- 更新費
- 廃棄費
設備価格が安くても、維持費が高ければ長期的な負担が増えます。
複数の設備を比較するときは、購入価格だけでなく、使用予定期間中の総費用を確認してください。
補助金なしでも導入する価値があるか考える
補助金には審査があるため、不採択になる可能性があります。
補助金が受け取れなければ設備を導入しないのか、自己資金や融資で導入するのかを事前に決めておきましょう。
比較したい項目は次のとおりです。
| 比較項目 | 補助金を利用する場合 | 利用しない場合 |
| 自己負担額 | 少なくなる可能性がある | 全額を負担する |
| 導入時期 | 交付決定後になる | 自社の都合で決めやすい |
| 申請手続き | 必要 | 不要 |
| 実績報告 | 必要 | 不要 |
| 設備の変更 | 制限される場合がある | 比較的自由 |
| 処分制限 | 設けられる場合がある | 通常はない |
| 不採択リスク | ある | ない |
補助金の採択を待っている間に、設備導入が半年遅れることもあります。
設備を早く導入すれば毎月50万円のコストを削減できる場合、半年の遅れによる機会損失は300万円です。
補助金額と導入を遅らせる損失を比較しましょう。
補助金受給後の制限も確認する
補助金を使って購入した設備は、一定期間、自由に売却や廃棄ができない場合があります。
これを処分制限といいます。
次の行為を行う際、事前の承認が必要になることがあります。
- 設備を売却する
- 廃棄する
- 他社へ譲渡する
- 担保に入れる
- 別の事業所へ移動する
- 補助目的以外に使用する
- 貸し出す
承認を得ずに処分すると、補助金の返還を求められる可能性があります。
設備の寿命や事業計画を考え、長期間使用できるものを選びましょう。
設備導入後の運用体制を整える
設備を購入しても、使える従業員がいなければ十分な効果を得られません。
導入前に次の内容を決めておきましょう。
- 操作担当者
- 操作研修の日程
- 設備の使用ルール
- 点検・清掃の担当者
- 故障時の連絡先
- 稼働状況の記録方法
- 導入効果の測定方法
- セキュリティ管理
- データのバックアップ方法
システムを導入する場合は、既存業務との連携も重要です。
新しいシステムと紙の管理を長期間併用すると、かえって作業が増える可能性があります。
導入後の業務手順まで計画し、従業員へ共有しましょう。
設備投資の目的と資金計画を整理して補助金を活用しよう

設備投資に使える補助金・支援制度には、機械設備、システム、省力化設備、省エネルギー設備などを対象とするものがあります。
自治体が独自の補助金や融資、利子補給などを実施している場合もあります。
ただし、設備を購入するだけで補助金を受け取れるわけではありません。
設備導入によって、生産性向上、新商品開発、販路開拓、省力化、省エネルギー化などを実現する計画が必要です。
補助金を探すときは、設備の名称ではなく、導入目的から制度を絞り込みましょう。
設備投資を進める際に確認したいポイントは次のとおりです。
- 補助金の目的と設備投資の内容が合っているか
- 自社が対象事業者の要件を満たしているか
- 導入する設備が補助対象になっているか
- 中古設備や汎用品が対象になるか
- 相見積もりが必要か
- 補助対象期間内に納品・支払いを完了できるか
- 交付決定前に契約・発注していないか
- 認められる支払い方法を確認したか
- 補助金が入金されるまでの資金を用意できるか
- 同じ設備に別の補助金を重複して使っていないか
- 導入後の維持費や保守費を負担できるか
- 補助金を使った設備の処分制限を確認したか
補助金は、設備投資の負担を軽減するための手段です。
補助金を受け取ること自体を目的にしてしまうと、不要な設備を導入したり、維持費が経営を圧迫したりする可能性があります。
設備導入前には、実質的な自己負担額、年間の利益改善額、投資回収期間を計算しましょう。
補助金が不採択になった場合や、設備の導入が遅れた場合も想定することが大切です。
自社の経営課題を解決し、長期的な利益につながる設備であるかを確認したうえで、補助金を活用してください。
