助成金は、従業員の雇用維持や正社員化、人材育成、職場環境の改善などに取り組む事業主を支援する制度です。
融資とは異なり、適正に受給した助成金は原則として返済する必要がありません。資金面の負担を抑えながら、人材の採用や育成、働きやすい職場づくりを進められる点が大きな特徴です。
ただし、助成金は申請書を提出するだけで受け取れるものではありません。
雇用保険への加入や労働保険料の納付、適切な賃金の支払いなど、事業主が満たすべき共通要件があります。さらに、利用する助成金ごとに、対象労働者や取り組みの内容、実施時期なども細かく定められています。
申請のタイミングにも注意が必要です。
助成金によっては、正社員への転換、研修、賃上げなどを実施する前に、計画書や届出書を提出しなければなりません。取り組みを始めてから制度を調べても、申請に間に合わない可能性があります。
また、申請時には就業規則、雇用契約書、賃金台帳、出勤簿など、日頃の労務管理を確認できる書類が必要です。申請の直前に書類だけを整えるのではなく、実際の雇用状況と記録を一致させておかなければなりません。
本記事では、助成金を申請・受給するための要件と、申請を始める前に準備すべきことを詳しく解説します。
助成金を申請・受給するための要件

厚生労働省が所管する雇用関係助成金を受給するには、すべての助成金に共通する要件と、各助成金に個別に定められた要件の両方を満たす必要があります。
共通要件を満たしていても、対象労働者や実施内容が個別要件に合っていなければ受給できません。
反対に、対象となる取り組みを実施していても、労働保険料の滞納や申請期限の超過があれば、不支給になる可能性があります。
申請前に、自社の雇用状況と労務管理を確認しましょう。
雇用保険適用事業所の事業主である
雇用関係助成金の多くは、雇用保険適用事業所の事業主を対象としています。
雇用保険の加入対象となる労働者を雇った場合、事業所の設置や被保険者資格の取得など、必要な手続きを行わなければなりません。
主に確認したい項目は次のとおりです。
- 雇用保険適用事業所の届出を行っている
- 加入対象となる従業員を雇用保険へ加入させている
- 雇用保険被保険者資格の取得手続きを行っている
- 退職者の資格喪失手続きを適切に行っている
- 労働保険の年度更新を行っている
- 労働保険料を申告・納付している
短時間勤務や有期雇用の従業員であっても、所定労働時間や雇用見込みなどの条件によっては、雇用保険への加入が必要です。
「正社員ではないから加入させなくてよい」とは限りません。
対象労働者を雇用保険へ加入させていなければ、助成金の対象にならないだけでなく、本来必要な加入手続きの是正を求められる可能性もあります。
厚生労働省の案内でも、雇用関係の給付金は、特に断りがない限り、雇用保険適用事業所の事業主を主な支給対象としています。
労働保険料を適切に納付している
助成金を申請する事業主は、労働保険料を適切に納付している必要があります。
労働保険とは、労災保険と雇用保険を合わせた名称です。
労働者を一人でも雇用している場合、原則として労働保険の成立手続きを行い、保険料を申告・納付します。
次のような状態がないか確認しましょう。
- 労働保険の成立手続きを行っていない
- 年度更新をしていない
- 申告した従業員数や賃金額に誤りがある
- 労働保険料を滞納している
- 分割納付の期限を過ぎている
- 雇用保険の加入対象者が申告から漏れている
労働保険料の納付状況が著しく不適切な事業主は、雇用関係助成金の支給対象外になることがあります。
助成金の申請を予定している場合は、保険料の納付書や申告書の控えも整理しておくとよいでしょう。
労働関係法令を守っている
雇用関係助成金は、従業員の雇用や処遇の改善を支援する制度です。
そのため、申請する事業主には、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令を遵守することが求められます。
次のような問題がある場合は、申請前に改善が必要です。
- 地域別最低賃金を下回る給与を支払っている
- 時間外労働に対する割増賃金を支払っていない
- 労働時間を適切に記録していない
- 必要な休憩や休日を与えていない
- 労働条件を書面などで明示していない
- 有給休暇を適切に付与していない
- 雇用保険への加入手続きを行っていない
- 就業規則と実際の運用が異なっている
- 給与から不適切な控除を行っている
例えば、出勤簿に残業の記録があるにもかかわらず、賃金台帳に残業代の支給がなければ、法令に沿った給与計算が行われていない可能性があります。
助成金の申請書だけを正しく作成しても、実際の労務管理に問題があれば受給できません。
まずは毎月の勤怠、給与、雇用契約を確認しましょう。
助成金ごとの個別要件を満たしている
助成金には、それぞれ異なる目的があります。
正社員化を支援するもの、人材育成を支援するもの、育児休業の取得を支援するものなど、制度によって対象となる取り組みはさまざまです。
そのため、共通要件に加えて、利用する助成金の個別要件も確認しなければなりません。
個別要件として定められる主な項目は次のとおりです。
- 対象となる事業主
- 対象となる労働者
- 雇用形態
- 雇用保険の加入期間
- 雇用期間
- 賃金額や賃金の引上げ率
- 訓練の内容や時間
- 育児・介護休業の取得期間
- 正社員へ転換する時期
- 就業規則へ記載すべき制度
- 計画書の提出期限
- 支給対象期間
- 支給申請期限
例えば、非正規雇用労働者の正社員化を支援する助成金では、転換前の雇用期間や雇用区分、転換後の賃金などが確認されます。
人材育成に関する助成金では、職務に関連した訓練であることや、対象となる訓練時間を満たすことなどが必要です。人材開発支援助成金についても、コースごとに支給要件や提出書類が設定されています。
助成金の名称だけで判断せず、最新の支給要領やパンフレットを確認してください。
対象となる取り組みを計画どおりに実施する
助成金は、計画書を提出しただけでは支給されません。
計画に記載した取り組みを実際に行い、その内容を証明する必要があります。
例えば、次のような取り組みです。
- 有期雇用労働者を正社員へ転換する
- 対象労働者に職務関連の研修を受けさせる
- 賃金規程を改定して給与を引き上げる
- 育児休業を取得させる
- 職場復帰に向けた面談を行う
- 業務を代替する従業員を配置する
- 生産性向上につながる設備を導入する
- 対象となる求職者を雇用する
計画書と実際の運用に違いが生じた場合は、変更手続きが必要になることがあります。
例えば、研修日程や対象労働者を変更した場合、所定の期限までに変更届を出さなければならない可能性があります。
自己判断で内容を変更せず、申請先へ確認しましょう。
計画届と支給申請の期限を守る
助成金には、書類を提出できる期限が定められています。
要件をすべて満たしていても、期限を過ぎると申請できない場合があります。
特に確認したいのは、次の2つです。
- 取り組み開始前に提出する計画届の期限
- 取り組み実施後に提出する支給申請の期限
例えば、研修開始前に訓練計画を提出する制度では、研修を始めた後から計画届を提出しても対象になりません。
正社員化に関する制度でも、転換日の前にキャリアアップ計画などの提出が必要になる場合があります。
一方、支給申請は、正社員転換や研修などの対象期間が終了した後に行います。
申請期限を管理する際は、次の日付を一覧にしておくとよいでしょう。
- 計画書の作成日
- 計画届の提出期限
- 取り組みの開始日
- 対象期間の終了日
- 支給申請の受付開始日
- 支給申請期限
- 追加書類の提出期限
厚生労働省も、共通の支給要領だけでなく、各助成金の個別要件、申請手続き、期限を確認するよう案内しています。期限を過ぎた申請は、支給されない場合があります。
支給審査や実地調査に協力する
助成金の申請後は、提出した書類を基に支給審査が行われます。
申請内容によっては、追加書類の提出や説明を求められることもあります。
また、事業所を訪問して勤務実態や帳簿を確認する実地調査が行われる場合もあります。
事業主に求められる主な対応は次のとおりです。
- 指定された書類を期限内に提出する
- 申請内容について説明する
- 賃金や勤務状況を確認できる資料を提示する
- 対象労働者の雇用実態を説明する
- 実地調査を受け入れる
- 申請書類や証拠書類を保存する
- 労働局などからの連絡へ対応する
申請後に追加書類を求められても、記録が残っていなければ事実を証明できません。
計画書、雇用契約書、出勤簿、賃金台帳、振込記録などをまとめて保管しましょう。
雇用関係助成金では、計画届や支給申請書を提出した事業所に対し、随時実地調査が行われています。
支給対象外となる条件に該当しない
事業主や対象労働者が基本的な要件を満たしていても、一定の条件に該当すると助成金を受給できない場合があります。
主な例は次のとおりです。
- 労働保険料の納付状況が著しく不適切である
- 過去に助成金を不正受給した
- 支給審査や実地調査に協力しない
- 必要な書類を提出しない
- 申請内容と実際の雇用状況が異なる
- 労働関係法令に違反している
- 対象労働者を一定の理由で解雇している
- 同じ経費や賃金について別の助成金を重複申請している
- 助成金ごとに定められた対象外事業主に該当する
- 申請期限を過ぎている
解雇の有無や過去の受給履歴など、確認する期間が制度ごとに決められていることもあります。
現在の状況だけでなく、対象期間前後の雇用状況も確認しましょう。
他の助成金との重複を確認する
同じ労働者、同じ期間、同じ賃金や経費について、複数の助成金を重ねて受給できない場合があります。
例えば、一人の従業員の研修中に支払った賃金を、同じ期間について複数の助成金へ申請すると、重複受給に当たる可能性があります。
併用を検討するときは、次の内容を整理しましょう。
- 対象となる労働者
- 対象となる期間
- 対象となる給与
- 研修費
- 設備費
- 人材採用費
- 休業手当
- 既に受給している助成金
- 現在申請中の助成金
厚生労働省では、雇用関係助成金の併給調整を確認するための資料も案内しています。
別の制度を利用している場合は、その名称と対象期間を申請窓口へ伝えましょう。
不正受給を行わない
虚偽の申請や事実と異なる書類の作成は、不正受給に当たります。
実際には勤務していない従業員を対象者として申請したり、支払っていない給与を支払ったように装ったりしてはいけません。
不正受給と判断される可能性がある行為には、次のようなものがあります。
- 出勤簿を実際と異なる内容へ書き換える
- 賃金台帳の金額を偽る
- 給与を支払った後に返金させる
- 対象外の労働者を対象者として申請する
- 実施していない研修を実施したことにする
- 申請期限に間に合わせるため日付を変更する
- 助成金の条件を満たすよう形式だけを整える
- 審査で不利になる事実を申告しない
不正受給の場合、受け取った助成金の全額返還に加え、延滞金や不正受給額の2割相当額の納付を求められます。
さらに、不正受給決定日から5年間、ほかの雇用関係助成金も受給できません。一定の場合は、事業主名なども公表されます。
専門家へ申請を依頼した場合でも、事業主の責任がなくなるわけではありません。
提出前に申請内容を確認し、事実と異なる記載がないかチェックしましょう。
助成金申請を始める前に準備すること

助成金の申請は、書類を提出するところから始まるわけではありません。
自社が行いたい取り組みを整理し、対象となる助成金を選び、必要な社内制度や書類を整えるところから始まります。
取り組みを実施した後では、要件を満たせない場合があります。
採用、正社員化、研修、賃上げなどの開始日から逆算して準備しましょう。
助成金を使う目的を明確にする
最初に、「助成金を受け取りたい」ではなく、会社が何を実現したいのかを整理します。
例えば、次のような目的です。
- 非正規雇用労働者を正社員へ転換したい
- 従業員に新しい技術を習得させたい
- 育児休業を取得しやすい環境を作りたい
- 介護による離職を防ぎたい
- 賃金を引き上げたい
- 業務を効率化したい
- 高齢者や障害者などの雇用を進めたい
- 一時的な業績悪化の中でも雇用を維持したい
目的が明確になれば、候補となる制度を絞り込みやすくなります。
設備を導入したいのに正社員化を支援する助成金を調べても、目的が一致しません。
また、設備投資や販路開拓を目的とする場合は、雇用関係助成金ではなく、補助金や自治体の支援制度が適していることもあります。
制度名から探すのではなく、自社の取り組みから選びましょう。
最新の支給要領と申請様式を確認する
助成金制度は、年度途中でも要件や様式が変更されることがあります。
過去に申請した助成金であっても、以前と同じ条件とは限りません。
確認すべき資料は次のとおりです。
- 最新のパンフレット
- 支給要領
- 共通要領
- 申請様式
- 記載例
- よくある質問
- 提出書類チェックリスト
- 改正内容
- 申請先の案内
厚生労働省は、雇用関係助成金に共通する支給要領と申請様式を公開しています。ただし、実際に受給するには、各助成金の個別要件も満たさなければなりません。
現在公開されている支給要領は、改正日が明記されています。保存していた古い様式を使い回さず、申請時点の最新版を取得しましょう。
取り組みの開始日から逆算する
助成金申請では、対象となる取り組みをいつ始めるのかが重要です。
開始日として考えられるのは、次のような日付です。
- 従業員を採用する日
- 正社員へ転換する日
- 研修を開始する日
- 賃金を引き上げる日
- 育児休業を開始する日
- 新しい人事制度を施行する日
- 設備を発注する日
- 対象となる休業を始める日
開始日を決めたら、それより前に必要な手続きを確認します。
例えば、次のように予定を組みます。
| 時期 | 主な準備 |
| 取り組み開始の数か月前 | 制度と対象要件を確認する |
| 開始前 | 就業規則や雇用契約を整備する |
| 所定の期限まで | 計画届や申請書を提出する |
| 取り組み開始後 | 勤怠・賃金・実施記録を残す |
| 対象期間終了後 | 支給要件を満たしたか確認する |
| 支給申請期間内 | 支給申請書と添付書類を提出する |
| 申請後 | 追加書類や審査へ対応する |
制度によって提出時期は異なります。
「開始前ならいつでもよい」とは限らないため、具体的な期限を確認しましょう。
就業規則を確認する
助成金によっては、対象となる制度を就業規則へ記載しておく必要があります。
例えば、正社員への転換制度、育児・介護休業、賃金制度などです。
就業規則で確認したい項目は次のとおりです。
- 正社員と非正規雇用労働者の定義
- 正社員への転換制度
- 転換の対象者と手続き
- 賃金の決定方法
- 昇給や賞与
- 退職金制度
- 育児・介護休業制度
- 短時間勤務制度
- 教育訓練制度
- 休職や復職の手続き
書類に制度が書かれているだけではなく、従業員へ周知し、実際に規則どおり運用する必要があります。
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が必要です。
10人未満の事業場でも、助成金の要件を証明するために社内規程の整備が必要になる場合があります。
変更が必要な場合は、従業員代表からの意見聴取や届出の期間も考慮しましょう。
労働条件通知書・雇用契約書を整える
労働条件通知書や雇用契約書は、対象労働者の雇用条件を証明する重要な書類です。
少なくとも次の項目を明確にします。
- 契約期間
- 契約更新の有無
- 就業場所
- 担当業務
- 始業・終業時刻
- 休憩時間
- 休日
- 給与
- 手当
- 給与の締切日と支払日
- 退職に関する事項
- 雇用形態
- 社会保険・雇用保険の加入
正社員転換に関する助成金では、転換前と転換後の書類を比較します。
雇用形態の名称だけを変え、勤務時間や給与などが変わっていなければ、制度上の正社員転換として認められない可能性があります。
書面と実際の働き方を一致させましょう。
賃金台帳と出勤簿を毎月確認する
助成金申請では、対象労働者の勤務状況と給与支払いを確認するため、賃金台帳や出勤簿の提出を求められることがあります。
申請時に慌てて作るのではなく、毎月記録してください。
出勤簿などでは、次の内容を確認します。
- 出勤日
- 始業・終業時刻
- 休憩時間
- 労働時間
- 時間外労働
- 休日労働
- 深夜労働
- 欠勤
- 遅刻・早退
- 有給休暇
賃金台帳では、次の内容を確認します。
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間
- 基本給
- 時間外手当
- その他の手当
- 控除額
- 差引支給額
出勤簿と賃金台帳の残業時間が一致しているかも重要です。
給与の銀行振込額が賃金台帳と一致しているか、毎月確認しましょう。
必要書類を一覧化する
助成金によって必要書類は異なりますが、一般的には次のような資料を準備します。
- 計画届
- 支給申請書
- 支給要件確認申立書
- 支払方法・受取人住所届
- 就業規則
- 労働条件通知書
- 雇用契約書
- 賃金台帳
- 出勤簿・タイムカード
- 給与の振込記録
- 雇用保険の加入を確認できる書類
- 労働保険料の納付を確認できる書類
- 対象となる取り組みの実施記録
- 研修カリキュラムや修了証
- 休業や復職に関する記録
- 見積書・請求書・領収書
- 法人の登記事項証明書
- 個人事業主の開業届
- 振込先口座を確認できる書類
厚生労働省は、雇用関係助成金に共通する申請様式として、支給要件確認申立書などを公開しています。
個別の助成金では追加書類が必要です。
公式のチェックリストを使い、提出前に一つずつ確認しましょう。
書類の内容を一致させる
必要書類がすべてそろっていても、内容に矛盾があると審査が遅れる可能性があります。
特に、次の組み合わせを確認してください。
| 書類 | 一致させる内容 |
| 就業規則と雇用契約書 | 雇用区分、勤務時間、賃金制度 |
| 雇用契約書と実際の勤務 | 勤務日数、勤務時間、担当業務 |
| 出勤簿と賃金台帳 | 労働時間、残業時間、欠勤日 |
| 賃金台帳と振込記録 | 支給額、支払日 |
| 計画届と実施記録 | 対象者、期間、取り組み内容 |
| 支給申請書と添付書類 | 人数、金額、対象期間 |
| 就業規則と社内運用 | 転換制度、休業制度、賃金制度 |
例えば、雇用契約書では週30時間勤務となっているのに、実際には毎週40時間働いている場合、契約と勤務実態が一致していません。
申請書の数字だけを合わせるのではなく、労働条件自体を適正に管理しましょう。
電子申請の準備をする
雇用関係助成金の一部は、雇用関係助成金ポータルから電子申請できます。
電子申請にはGビズIDが必要です。
代理人へ電子申請を依頼する場合も、事業主によるGビズIDの取得が必要とされています。
電子申請を利用する場合は、次の準備を進めましょう。
- GビズIDを取得する
- 対象の助成金が電子申請に対応しているか確認する
- 必要な添付書類をデータ化する
- ファイル形式や容量を確認する
- 申請担当者を決める
- ログイン情報を適切に管理する
- 締切前に入力を始める
申請期限当日に初めて操作すると、入力や添付に時間がかかる可能性があります。
システム障害や通信トラブルも想定し、余裕を持って提出しましょう。
郵送・窓口申請の提出先を確認する
すべての助成金が同じ窓口で受け付けられるわけではありません。
都道府県労働局、ハローワーク、助成金センターなど、制度や地域によって申請先が異なります。
確認したい内容は次のとおりです。
- 申請先の名称
- 担当部署
- 所在地
- 郵送申請の可否
- 窓口受付時間
- 必着か消印有効か
- 提出部数
- 原本が必要か
- 控えを返却してもらえるか
郵送する場合は、配達状況を確認できる方法を利用すると安心です。
提出した書類の控えも保管しましょう。
申請後の連絡を見落とさない
申請書を提出したら、手続きが終わるわけではありません。
審査中に、内容確認や追加資料の提出を求められることがあります。
申請後は、次の連絡手段を定期的に確認しましょう。
- 登録したメールアドレス
- 電子申請ポータルのお知らせ
- 会社の電話
- 郵便物
- 代理人からの連絡
追加資料の提出期限を過ぎると、審査を進められない可能性があります。
申請担当者が不在でも対応できるように、社内で情報を共有してください。
受給後も書類を保存する
助成金が振り込まれた後も、関係書類をすぐに処分してはいけません。
受給後に、申請内容の確認や実地調査が行われる可能性があります。
保存しておきたい主な書類は次のとおりです。
- 計画届と支給申請書の控え
- 支給決定通知書
- 就業規則
- 雇用契約書
- 賃金台帳
- 出勤簿
- 給与の振込記録
- 研修や休業などの実施記録
- 見積書・契約書・請求書
- 労働局などとのやり取り
- 申請内容を確認した社内資料
保存期間は助成金ごとに確認しましょう。
担当者が退職・異動しても確認できるように、保管場所と管理責任者を決めてください。
助成金の申請は受給要件と開始前の準備が重要

助成金を申請・受給するには、雇用保険への加入や労働保険料の納付など、事業主に共通する要件を満たす必要があります。
さらに、利用する助成金ごとに、対象労働者、取り組みの内容、実施期間、申請期限などが定められています。
助成金の申請で確認したい主な要件は次のとおりです。
- 雇用保険適用事業所である
- 対象労働者を適切に雇用保険へ加入させている
- 労働保険料を適切に納付している
- 労働関係法令を守っている
- 助成金ごとの個別要件を満たしている
- 計画どおりに取り組みを実施している
- 計画届と支給申請の期限を守っている
- 支給審査や実地調査へ協力できる
- ほかの助成金との重複がない
- 不正受給や支給対象外の条件に該当しない
これらの要件は、申請直前だけ確認すればよいものではありません。
雇用契約、勤怠管理、給与計算など、日頃の労務管理が適切に行われていることが前提です。
助成金の利用を検討するときは、まず自社が実施したい取り組みを整理しましょう。
そのうえで、対象となる制度を選び、取り組みの開始日から逆算して準備します。
申請前に進めたい準備は次のとおりです。
- 助成金を使う目的を明確にする
- 最新の支給要領と申請様式を確認する
- 対象労働者と事業主の要件を確認する
- 計画届の提出期限を調べる
- 就業規則や社内規程を整える
- 労働条件通知書や雇用契約書を確認する
- 賃金台帳と出勤簿を毎月作成する
- 必要書類を一覧にして管理する
- 書類同士の内容を一致させる
- 電子申請や郵送申請の方法を確認する
助成金は、取り組みを始めた後では申請できない場合があります。
正社員化、研修、賃上げ、育児休業などを予定している場合は、実施日を決める前に制度を確認しましょう。
また、助成金は申請すれば必ず支給されるものではありません。
書類の不足や期限超過だけでなく、実際の雇用状況が要件と異なる場合も不支給になる可能性があります。
申請書を整えることよりも、適切な労務管理を継続することが大切です。
最新の支給要領と個別の申請要件を確認し、余裕を持って準備を進めましょう。
