「東京都正規雇用等転換安定化支援助成金」は、2026年度から「東京都正規雇用転換安定化支援助成金」へ名称変更されています。
この制度は、国のキャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定を受けた中小企業等を対象に、正社員へ転換した労働者の育成や定着を東京都が追加で支援するものです。
2026年度は制度内容も拡充され、基本助成は1人20万円、1事業所あたり最大5人で100万円となりました。さらに、退職金制度、結婚・育児支援制度、介護支援制度、賃上げの要件を満たすと加算を受けられ、最大助成額は190万円です。
ただし、正社員へ転換しただけでは受給できません。3年間の指導育成計画の策定、メンターの選任、計画に基づく研修などを3か月の支援期間中に実施する必要があります。
また、東京都への申請は国のキャリアアップ助成金の支給決定後です。国と東京都へ同時に申請する制度ではないため、手続きの順番にも注意しましょう。
東京都正規雇用等転換安定化支援助成金は2026年度から名称変更

2025年度まで使われていた「東京都正規雇用等転換安定化支援助成金」という名称は、2026年度から変更されています。
現在の正式名称は「東京都正規雇用転換安定化支援助成金」です。
現在の正式名称は「東京都正規雇用転換安定化支援助成金」
2026年度から、制度名から「等」が外れました。
旧名称で検索すると2025年度以前の情報が多く表示されますが、
- 対象人数
- 助成額
- 賃上げ条件
- 加算項目
- 申請方法
などが現在とは異なります。
特に、2026年度は対象人数が最大5人へ拡大され、賃上げ要件も変更されています。
過去の「最大3人」「時間単価30円以上」などの条件をそのまま参考にしないようにしてください。
キャリアアップ助成金の支給決定を受けた中小企業等が対象
東京都の助成金を単独で申請することはできません。
まず、国のキャリアアップ助成金(正社員化コース)の対象となる正社員転換を行い、東京労働局から支給決定を受けることが前提です。
その後、東京都へ正規雇用転換安定化支援助成金を申請します。
そのため、この制度は「キャリアアップ助成金と自由に併用できる助成金」というより、国の支給決定を受けた事業者に対する東京都独自の追加支援と考える方が分かりやすいです。
正社員転換後の育成・定着を支援する東京都独自制度
国のキャリアアップ助成金が正社員化そのものを支援するのに対し、東京都の制度はその後の職場定着を重視しています。
具体的には、
- 指導育成計画の策定
- メンターによる支援
- 研修
- 退職金制度
- 結婚・育児支援制度
- 介護支援制度
- 賃上げ
などを通じて、正社員へ転換した労働者が長く働ける環境を整備します。
東京都正規雇用転換安定化支援助成金の支給額

2026年度は、基本助成と4つの加算制度で構成されています。
すべての条件を満たした場合、1雇用保険適用事業所につき最大190万円です。
基本助成は1人20万円・最大5人で100万円
基本助成は、対象労働者1人につき20万円です。
対象人数と助成額は次のとおりです。
| 対象労働者数 | 基本助成額 |
| 1人 | 20万円 |
| 2人 | 40万円 |
| 3人 | 60万円 |
| 4人 | 80万円 |
| 5人 | 100万円 |
1年度につき、1つの雇用保険適用事業所で最大5人まで申請できます。
2025年度以前は最大3人でしたが、2026年度から5人へ拡大されています。
退職金制度整備で10万円加算
支援期間中に対象労働者を含む正社員向けの退職金制度を新たに整備すると、10万円が加算されます。
すでに退職金制度が存在している場合に、単に対象者を追加するだけで加算対象になるとは限りません。
新たな制度整備として認められる内容であることが必要です。
制度を導入した場合は、就業規則や退職金規程などへ反映し、必要な手続きを行います。
結婚・育児支援制度整備で10万円加算
結婚、妊娠、出産、育児に関する支援制度を新設した場合も10万円が加算されます。
たとえば、法定制度を上回る休暇や支援制度などが考えられます。
重要なのは、既存制度をそのまま利用するのではなく、支援期間中に新たな制度として整備することです。
就業規則等への反映も必要になります。
介護支援制度整備で10万円加算
2026年度から新たに追加されたのが、介護支援制度整備加算です。
介護に関する有給休暇制度を新たに導入し、就業規則等を整備すると10万円が加算されます。
2025年度以前の制度にはなかった項目なので、古い記事では掲載されていないことがあります。
介護離職を防ぎ、正社員として長く働き続けられる環境を整えることが目的です。
60円以上の賃上げで1人12万円・最大60万円加算
2026年度の賃上げ加算は、対象労働者1人につき12万円です。
最大5人まで対象となるため、最大60万円が加算されます。
| 賃上げ対象者 | 加算額 |
| 1人 | 12万円 |
| 2人 | 24万円 |
| 3人 | 36万円 |
| 4人 | 48万円 |
| 5人 | 60万円 |
賃上げは単に月給を増やせばよいわけではありません。
時間当たりの賃金額を60円以上引き上げる必要があります。
さらに、引上げ後の時間当たり賃金額が、東京都最低賃金を60円以上上回ることも必要です。
すべての要件を満たすと最大190万円
2026年度の最大助成額は次のとおりです。
| 助成・加算 | 最大額 |
| 基本助成 | 100万円 |
| 退職金制度整備加算 | 10万円 |
| 結婚・育児支援制度整備加算 | 10万円 |
| 介護支援制度整備加算 | 10万円 |
| 賃上げ加算 | 60万円 |
| 合計 | 190万円 |
最大190万円を受けるには、5人すべてが基本助成の対象となり、さらに4つの加算条件をすべて満たす必要があります。
「申請すれば190万円」という制度ではありません。
東京都正規雇用転換安定化支援助成金の対象事業主・対象労働者

この制度を利用するには、事業主と労働者の両方が要件を満たす必要があります。
特に重要なのは、東京労働局からキャリアアップ助成金の支給決定を受けていることです。
東京労働局管内に雇用保険適用事業所がある中小企業等が対象
主な対象は、東京労働局管内に雇用保険適用事業所を持つ中小企業等です。
本社所在地だけで判断するのではなく、対象労働者が勤務する事業所や雇用保険の適用状況を確認します。
東京都外の事業所で正社員転換した労働者について、東京都の制度をそのまま利用できるわけではありません。
キャリアアップ助成金正社員化コースの支給決定が必要
東京都へ申請する前に、国のキャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定を受けている必要があります。
基本的な流れは、
- キャリアアップ計画を作成する
- 非正規雇用労働者を正社員へ転換する
- 国のキャリアアップ助成金を申請する
- 東京労働局から支給決定を受ける
- 東京都の助成金へ申請する
という順番です。
国の助成金を申請しただけの段階では、東京都の助成金へ進めません。
対象労働者は2023年4月1日以降に都内事業所で正規転換された人
2026年度では、原則として2023年4月1日以降に都内事業所で正規雇用へ転換され、キャリアアップ助成金正社員化コースの支給決定対象となった労働者が対象です。
ただし、過去に同じ対象労働者について本助成金を受給している場合など、対象外となるケースがあります。
対象者を決めるときは、国の支給決定通知だけでなく、東京都の最新募集要項も確認してください。
助成金を受けるために必要な3か月間の取組

東京都の基本助成を受けるには、交付決定後の3か月間に定着支援の取組を行う必要があります。
正社員転換だけで終了する制度ではありません。
3年間の指導育成計画を策定する
対象労働者について、正社員転換後3年間の指導育成計画を作成します。
計画には、
- 今後習得してもらう業務
- 必要な能力・スキル
- 育成スケジュール
- 研修内容
- 将来的に期待する役割
などを盛り込みます。
形式的に書類を作るのではなく、対象労働者が正社員として継続的に成長できる内容にすることが重要です。
メンターを選任して対象労働者を指導する
対象労働者を支援する指導育成者、いわゆるメンターを選任します。
メンターは、
- 業務上の相談
- 職場での悩み
- スキル習得
- キャリア形成
などを支援します。
単に直属上司の名前を書くだけではなく、実際に指導や相談対応を行うことが必要です。
対象労働者が複数いる場合は、適切な指導体制を整えてください。
指導育成計画に基づく研修を実施する
3か月の支援期間中に、指導育成計画に沿った研修を実施します。
研修内容は、対象労働者の業務やキャリア形成につながる内容である必要があります。
たとえば、
- 業務知識
- 専門スキル
- 接客・営業
- マネジメント
- 資格関連
- 職場内研修
などが考えられます。
研修を実施した事実を確認できる資料も保存しておきましょう。
2026年度の4つの加算要件

2026年度は、基本助成に加えて4種類の加算があります。
制度を新設するだけでなく、支援期間中に実際に整備し、就業規則などへ反映することが重要です。
退職金制度は新たに導入して就業規則等へ反映する
退職金制度整備加算を受けるには、対象となる正社員について退職金制度を新たに整備します。
制度内容が曖昧なままではなく、
- 対象者
- 支給条件
- 算定方法
- 支給時期
などを明確にし、就業規則や退職金規程に定めます。
必要に応じて労働基準監督署への届出も行います。
結婚・妊娠・出産・育児に関する制度を新設する
結婚・育児支援制度整備加算では、対象労働者が生活環境の変化後も働き続けられる制度を整えます。
単に法定の育児休業制度を記載しているだけではなく、新たな支援制度として認められる内容が必要です。
既存制度との違いを整理し、導入日や対象者を明確にしてください。
介護に関する有給休暇制度を新設する
介護支援制度整備加算では、介護に関する有給休暇制度を新設します。
介護休業法上の最低限の制度をそのまま記載するだけではなく、東京都の加算要件に合う制度として整える必要があります。
新しい制度を設けた場合は、対象者へ周知し、就業規則等にも反映します。
賃上げは時間単価60円以上かつ東京都最低賃金+60円以上が必要
賃上げ加算では、支援期間中に対象労働者の時間当たり賃金額を60円以上引き上げます。
さらに、引上げ後の賃金額が東京都最低賃金を60円以上上回っていなければなりません。
たとえば時間単価を60円上げても、引上げ後の金額が最低賃金+60円未満なら、加算要件を満たせない可能性があります。
月給制の場合も、時間当たり賃金額へ換算して判定します。
東京都正規雇用転換安定化支援助成金の申請方法

東京都の助成金は、正社員転換直後に申請するわけではありません。
国のキャリアアップ助成金の支給決定を受けてから申請します。
1.キャリアアップ計画を作成して正社員転換を行う
まず、国のキャリアアップ助成金のルールに沿ってキャリアアップ計画を作成します。
その後、対象となる有期雇用労働者等を正規雇用へ転換します。
この段階では、東京都助成金の申請ではなく、国の正社員化コースの要件を満たすことが先です。
2.国のキャリアアップ助成金を申請して支給決定を受ける
正社員転換後、所定の期間を経て国のキャリアアップ助成金を申請します。
東京労働局の審査を経て支給決定通知書を受領したら、東京都制度への申請を検討できます。
支給決定通知書は東京都への申請でも重要な書類です。
紛失しないよう保管しておきましょう。
3.東京都へ事業実施計画書兼交付申請書を提出する
国の支給決定後、東京都の所定受付期間内に交付申請を行います。
申請時には、
- 事業実施計画書兼交付申請書
- キャリアアップ助成金の支給決定通知
- 対象労働者に関する書類
- 雇用保険関係資料
などが必要になります。
年度によって様式が変更される可能性があるため、過去年度の申請書を使わないようにしてください。
4.3か月の支援期間中に育成・研修・加算取組を実施する
交付決定後は、指定された3か月の支援期間に、
- 指導育成計画に基づく支援
- メンターによる指導
- 研修
- 加算制度の整備
- 賃上げ
などを行います。
加算を申請する場合は、支援期間中に必要な制度整備を完了させます。
支援期間外に行った取組では、要件を満たせない場合があるため注意してください。
5.実績報告書を提出して助成金を受け取る
3か月の支援期間終了後は、指定された期間内に実績報告を行います。
実績報告では、
- 育成計画の実施状況
- メンターによる支援
- 研修実績
- 就業規則等
- 賃金台帳
- 賃上げ実績
などを確認できる資料を提出します。
審査によって助成額が確定した後、助成金が支給されます。
2026年度の申請期間・申請方法

2026年度の交付申請受付期間は、2026年5月1日から10月31日までです。
ただし、期間中であれば自由な3か月を選べるわけではありません。
申請受付は2026年5月1日から10月31日まで
2026年度の申請受付は5月1日に始まり、10月31日まで予定されています。
ただし、東京都の予算状況によっては予定より早く受付を終了する場合があります。
国のキャリアアップ助成金の支給決定を受けたら、後回しにせず申請時期を確認しましょう。
第1回から第6回まで受付期間と支援期間が分かれている
2026年度は、交付申請が第1回から第6回までに分かれています。
各回ごとに、
- 交付申請受付期間
- 支援期間
- 実績報告受付期間
が設定されています。
そのため、「10月31日までに申請すればいつでも同じ」というわけではありません。
どの回に申請するかによって、その後の3か月の取組期間も変わります。
電子申請はJグランツを利用しgBizIDプライムが必要
2026年度はJグランツを利用した電子申請に対応しています。
電子申請を利用する場合はgBizIDプライムが必要です。
IDの取得には時間がかかることがあるため、電子申請を予定している事業者は早めに準備しましょう。
交付申請を電子で行った場合は、その後の実績報告や変更・中止関係の手続きも電子で行います。
郵送申請も利用できる
電子申請だけでなく、郵送での申請も可能です。
ただし、電子と郵送を途中で自由に切り替えられるとは限りません。
申請方法ごとのルールを確認したうえで、最初に提出方法を決めましょう。
また、郵送の場合は到着日や提出期限にも注意が必要です。
予算上限に達すると期間内でも受付終了する場合がある
申請期間が10月31日まで設定されていても、必ずその日まで受け付けるとは限りません。
予算の範囲を超えた場合は、年度途中で受付が終了することがあります。
キャリアアップ助成金の支給決定を受けたら、利用する回の受付期間を確認し、早めに東京都への申請準備を進めてください。
東京都正規雇用転換安定化支援助成金を申請するときの注意点

2026年度は制度内容が大きく変わっているため、過去年度の資料を参考にすると条件を間違える可能性があります。
特に申請順序と加算要件に注意が必要です。
キャリアアップ助成金の支給決定前には東京都へ申請できない
東京都の制度は、国のキャリアアップ助成金の支給決定が前提です。
正社員へ転換した直後や、キャリアアップ助成金を申請しただけの段階では東京都へ申請できません。
支給決定通知を受け取ってから、該当する交付申請受付期間を確認します。
各回の3か月の支援期間を守る
東京都へ申請した後は、指定された3か月の支援期間があります。
研修やメンター支援、制度整備、賃上げなどは、この期間との関係が重要です。
申請前から実施していた取組や、支援期間終了後に始めた取組では加算対象にならない可能性があります。
スケジュールを確認してから実施してください。
加算制度は既存制度ではなく新たな制度整備が必要
退職金、結婚・育児、介護の加算は、単に既存制度があるだけで受けられるものではありません。
支援期間中に新たな制度整備を行い、就業規則等へ反映することが基本です。
制度名だけ追加するのではなく、対象者や利用条件を明確にします。
2025年度以前の金額・様式を使用しない
2026年度は、
- 制度名
- 対象人数
- 賃上げ条件
- 加算額
- 介護支援加算
- 電子申請
など複数の変更があります。
特に過去の記事では、
- 最大3人
- 基本60万円
- 賃上げ30円
- 賃上げ加算最大18万円
- オンライン申請不可
など現在とは異なる情報が残っています。
必ず2026年度の募集要項・申請様式を使って手続きを進めましょう。
東京都正規雇用転換安定化支援助成金は国の正社員化支援とセットで確認しよう

2025年度までの「東京都正規雇用等転換安定化支援助成金」は、2026年度から「東京都正規雇用転換安定化支援助成金」へ名称変更されています。
制度を利用するには、まず国のキャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定を受けることが必要です。
その後、東京都へ申請し、3か月間に、
- 3年間の指導育成計画を作成する
- メンターを選任する
- 計画に沿った研修を実施する
ことで基本助成の対象となります。
2026年度の基本助成は1人20万円、最大5人で100万円です。
さらに、
- 退職金制度整備:10万円
- 結婚・育児支援制度整備:10万円
- 介護支援制度整備:10万円
- 賃上げ:最大60万円
が加算され、最大190万円まで受給できる可能性があります。
賃上げ加算では、対象労働者の時間当たり賃金額を60円以上引き上げるだけでなく、引上げ後の賃金が東京都最低賃金より60円以上高いことも必要です。
また、申請は2026年5月1日から10月31日までの予定ですが、第1回から第6回まで受付期間が分かれています。予算状況によって早期終了する場合もあります。
国のキャリアアップ助成金と東京都の助成金を同時に進めるのではなく、
正社員転換 → 国の申請 → 支給決定 → 東京都へ申請 → 3か月の定着支援 → 実績報告
という順番を確認して進めましょう。
