省エネルギー投資促進支援事業費補助金を利用して設備を更新したい場合、最初に確認したいのが「導入予定の設備が補助対象になるか」です。
2026年の設備単位型では、高効率空調、高性能ボイラ、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具、工作機械など、幅広い省エネ設備が対象です。対象となる指定設備は15区分あり、これ以外にもSIIが認めた高性能な設備が対象になる場合があります。
ただし、設備の種類が対象区分に該当するだけでは申請できません。
原則として、導入する製品が補助対象設備として確認できることに加え、設備更新によって一定以上の省エネ効果を得られる必要があります。
2026年の設備単位型・従来枠では、「省エネ率10%以上」「省エネ量1kl以上」「経費当たり省エネ量1kl/千万円以上」のいずれかを満たすことが要件です。
この記事では、省エネルギー投資促進支援事業費補助金の対象設備、型番の確認方法、省エネ要件、補助率、対象外になるケースまで解説します。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金で対象になる設備

設備単位型では、省エネ性能の高い設備への更新を支援します。
2026年の対象は、大きく「ユーティリティ設備」と「生産設備」に分けられます。
主な指定設備は次の15区分です。
| 分類 | 対象設備 |
| ユーティリティ設備 | 高効率空調 |
| ユーティリティ設備 | 産業ヒートポンプ |
| ユーティリティ設備 | 業務用給湯器 |
| ユーティリティ設備 | 高性能ボイラ |
| ユーティリティ設備 | 高効率コージェネレーション |
| ユーティリティ設備 | 低炭素工業炉 |
| ユーティリティ設備 | 変圧器 |
| ユーティリティ設備 | 冷凍冷蔵設備 |
| ユーティリティ設備 | 産業用モータ |
| ユーティリティ設備 | 制御機能付きLED照明器具 |
| 生産設備 | 工作機械 |
| 生産設備 | プラスチック加工機械 |
| 生産設備 | プレス機械 |
| 生産設備 | 印刷機械 |
| 生産設備 | ダイカストマシン |
高効率空調・LED照明など10種類のユーティリティ設備が対象
店舗、オフィス、工場、倉庫などで利用する設備では、高効率空調や冷凍冷蔵設備、高性能ボイラなどが対象です。
たとえば、古い業務用エアコンを省エネ性能の高い機種へ更新する場合は「高効率空調」の区分を確認します。
業務用冷蔵庫や冷凍庫であれば「冷凍冷蔵設備」です。
工場で使用するポンプや送風機、コンプレッサなどは、設備仕様によって「産業用モータ」の対象になる場合があります。
照明については注意が必要です。
対象区分は単なる「LED照明」ではなく、制御機能付きLED照明器具です。
そのため、一般的なLED照明へ交換すれば必ず補助対象になるわけではありません。
工作機械など5種類の生産設備も対象
製造業向けの生産設備も対象になっています。
対象となるのは、
- 工作機械
- プラスチック加工機械
- プレス機械
- 印刷機械
- ダイカストマシン
の5区分です。
たとえば、NC旋盤やマシニングセンタなどを更新する場合は、工作機械の対象設備を確認します。
射出成形機などであれば、プラスチック加工機械に該当する可能性があります。
ただし、「工作機械だから対象」「プレス機だから対象」と設備の名称だけで判断することはできません。
原則として、導入するメーカーや型番が補助対象になっているか確認する必要があります。
15区分以外でもSIIが認めた高性能設備は対象になる
設備単位型では、15種類の指定設備だけでなく、「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定された設備も対象になります。
そのため、15区分に名前がないという理由だけで、すぐに対象外と判断する必要はありません。
特殊な生産設備や高性能設備を導入する場合は、最新の対象設備一覧も確認しましょう。
対象設備は随時更新されることがあるため、過去年度の設備一覧ではなく、申請する年度の情報を確認することが重要です。
導入予定の設備が補助対象か型番で確認する

対象設備かどうかを確認するときは、設備名だけでなく、導入予定製品のメーカー・製品名・型番まで確認します。
SIIでは、補助対象設備を検索できるページを公開しています。
SIIの補助対象設備検索でメーカー・製品名・型番を調べる
設備単位型では、補助対象となる指定設備を検索できます。
検索時には、
- 設備区分
- メーカー
- 製品名
- 型番
などを使って、導入予定設備が登録されているか確認します。
たとえば業務用エアコンを導入する場合でも、メーカー名だけで判断するのではなく、見積書に記載された型番まで照合することが重要です。
同じシリーズでも容量や仕様によって型番が分かれていることがあります。
検索結果に複数の類似製品が表示された場合は、導入予定設備の仕様と一致しているか確認しましょう。
同じ設備区分でも対象外になる型番がある
「高効率空調」「高性能ボイラ」などの対象区分に該当していても、すべての製品が自動的に補助対象になるわけではありません。
設備ごとに一定の性能基準が設定されています。
そのため、
「業務用エアコンなら何でも対象」
「省エネ型の冷蔵庫なら申請できる」
とは限りません。
見積もりを取得する段階で補助対象型番を確認しておけば、後から設備を選び直すリスクを減らせます。
設備販売会社へ相談する場合も、単に「省エネ設備が欲しい」と伝えるのではなく、「設備単位型の補助対象設備であること」を確認するとよいでしょう。
低炭素工業炉など型番検索に表示されない設備もある
補助対象設備検索に型番が表示されない場合でも、必ずしも対象外とは限りません。
最新の設備検索では、低炭素工業炉や産業用モータのうちインバータについて、製品型番登録を行わない扱いがあります。
また、圧縮機を除く産業用モータについては、製品型番登録されていない設備でも申請できる場合があります。
過年度の申請手引きでも、低炭素工業炉や型番登録されていない産業用モータを導入する場合は、製品カタログやメーカー発行の仕様書を提出する仕組みが示されています。
したがって、
検索結果に出ない=対象外
とは一律に判断しないことが重要です。
型番検索に表示されない設備を検討している場合は、その設備区分の公募要領や申請手引きを確認しましょう。
対象設備でも省エネ効果の要件を満たす必要がある

設備単位型では、対象設備を導入するだけでは申請要件を満たしません。
設備更新によって一定以上の省エネルギー効果が見込まれることも必要です。
従来枠では、次のいずれかを満たすことが求められます。
| 省エネ要件 | 基準 |
| 省エネ率 | 10%以上 |
| 省エネ量 | 1kl以上 |
| 経費当たり省エネ量 | 1kl/千万円以上 |
省エネ率10%以上なら要件を満たせる
既存設備から高効率設備へ更新し、対象範囲におけるエネルギー使用量を10%以上削減できる場合は、省エネ率の要件を満たします。
たとえば、老朽化した空調設備を最新の高効率空調へ更新し、対象設備全体で必要な削減率に達するケースです。
重要なのは、カタログに「省エネ」と書かれているかどうかではありません。
既存設備と更新後設備のエネルギー使用量を比較し、省エネ効果を計算する必要があります。
省エネ量1kl以上でも申請要件を満たせる
省エネ率10%に届かなくても、省エネ量が原油換算で1kl以上であれば要件を満たせます。
工場などエネルギー消費量が大きい事業所では、削減率自体は10%未満でも、実際の削減量が大きくなることがあります。
そのようなケースで利用できる基準です。
「10%削減できなければ申請できない」と考えず、3つの省エネ要件のどれに該当するか確認しましょう。
経費当たり省エネ量1kl/千万円以上でも対象になる
設備投資額に対して一定以上の省エネ効果がある場合は、経費当たり省エネ量で判定する方法もあります。
基準は1kl/千万円以上です。
つまり、投資額に対してどの程度効率よくエネルギー削減を実現できるかを見る指標です。
設備を複数台更新する場合は、単体の性能だけではなく、申請する設備全体のエネルギー使用量や投資額を整理する必要があります。
設備単位型で補助される金額と対象経費

設備が対象になるか確認したら、次に補助率と対象経費を確認します。
2026年の設備単位型・従来枠では、補助対象経費は設備費です。
設備単位型・従来枠の補助率は1/3以内
設備単位型・従来枠の補助率は、補助対象経費の1/3以内です。
たとえば、補助対象となる設備費が900万円の場合、単純計算では最大300万円が補助額の目安になります。
ただし、実際の交付額は申請内容や対象経費の審査によって決まります。
設備購入に必要なすべての費用へ一律1/3が支給されるわけではありません。
補助対象になるのは原則として設備費
設備単位型・従来枠で補助対象となる経費は設備費です。
そのため、
- 設備本体
- 対象設備として認められる付帯設備
などは対象になり得ますが、工事費や設計費などを設備費と同じように計上できるとは限りません。
見積書を取得するときは、
- 設備本体価格
- 工事費
- 撤去費
- 運搬費
- その他費用
を分けて記載してもらうと、対象経費を整理しやすくなります。
補助上限は1事業あたり1億円
設備単位型・従来枠の補助上限は、1事業全体で1億円です。
大規模な工場や事業所で複数設備をまとめて更新する場合にも利用できます。
ただし、補助額が大きいからといって必要以上の設備をまとめて申請するのは適切ではありません。
省エネ効果や事業計画との整合性を確認し、更新が必要な設備を選定しましょう。
省エネ設備でも補助対象外になるケース

高効率設備を導入する場合でも、申請手続きや設備条件によっては補助対象外になります。
特に注意したいのが、交付決定前の契約・発注です。
交付決定前に契約・発注した設備は対象外
補助対象設備として登録されている製品でも、交付決定前に契約や発注を行うと補助対象外になります。
SIIの補助対象設備検索でも、交付決定前に契約・発注等を行った設備は補助対象外になると明記されています。
設備更新を急いでいる場合でも、
見積取得
↓
補助金申請
↓
交付決定
↓
契約・発注
の順序を崩さないことが重要です。
販売会社から「先に発注しておかないと納期に間に合わない」と言われた場合でも、補助金を利用するなら契約時期を慎重に判断しましょう。
中古設備や基準を満たさない設備は対象にならない
設備単位型は、一定の省エネ性能を持つ設備への更新を支援する制度です。
そのため、中古品や性能基準を満たしていない設備は、原則として補助対象にはなりません。
価格が安い設備を選ぶだけではなく、対象となる性能基準を満たしているか確認する必要があります。
補助金を使う前提で設備を探すのであれば、見積取得より前に対象設備検索を確認しておくとスムーズです。
単なる設備の新設ではなく既存設備からの更新が基本
設備単位型・従来枠は、省エネ設備への更新によってエネルギー使用量を削減する取り組みを支援します。
そのため、新しく店舗を開業して空調設備を新設するケースなど、比較対象となる既存設備がない投資では利用できない場合があります。
申請では、既存設備と導入後設備のエネルギー使用量を比較します。
現在どの設備を使用しているのか分かるように、
- メーカー
- 型番
- 台数
- 能力
- 使用時間
などを事前に確認しておきましょう。
一般的なLEDではなく制御機能付きLED照明器具が対象
照明設備は特に誤解しやすい部分です。
設備単位型の指定設備は「制御機能付きLED照明器具」とされています。
そのため、単純に蛍光灯を一般的なLEDへ交換するだけでは、対象設備の条件を満たさない可能性があります。
照明更新を検討している場合は、制御機能の要件と対象製品の型番を必ず確認しましょう。
2026年度は設備単位型にも複数の申請タイプがある

2026年は、省エネ設備への更新方法によって申請タイプが分かれています。
従来枠だけを見て設備を選ぶのではなく、自社の投資内容によっては別タイプが適している場合があります。
従来枠は幅広い指定設備への更新に利用できる
設備単位型・従来枠は、15区分の指定設備などへ更新して、省エネを図る事業に利用します。
補助率は1/3以内、上限は1億円です。
一般的な高効率空調、ボイラー、冷凍冷蔵設備、工作機械などへの更新で利用を検討しやすいタイプです。
対象設備を確認したい場合は、まず従来枠の指定設備検索から確認するとよいでしょう。
GX設備単位型は対象メーカーや高性能設備の条件を確認する
2026年の設備単位型には、GXに対応した設備投資を支援する枠も設けられています。
メーカー強化枠では、GXへの取り組みを表明しているメーカーが製造・販売する対象設備を導入することが条件です。
従来枠より高い補助上限が設定されるなど条件が異なるため、大規模な設備更新を行う場合は比較しておきましょう。
ただし、メーカーや製品ごとに対象条件があるため、単に省エネ性能が高いという理由だけで利用できるわけではありません。
電化・燃料転換が目的なら別タイプも確認する
化石燃料を使用する設備から、電化・低炭素設備へ転換する場合は、電化・脱炭素燃転型が適している可能性があります。
対象設備には、
- 産業ヒートポンプ
- 業務用ヒートポンプ給湯器
- 高性能ボイラ
- 高効率コージェネレーション
- 低炭素工業炉
などがあります。
単純な高効率設備への更新なのか、エネルギー源そのものを変える設備投資なのかで、確認すべき申請タイプが異なります。
省エネ補助金を申請する前に確認しておきたいこと

対象設備が見つかっても、そのまま購入するのではなく、申請要件とスケジュールを確認してから進めます。
設備更新を決めた段階で、既存設備と導入予定設備の情報をそろえておくと申請準備を進めやすくなります。
既存設備のメーカー・型番・台数を確認する
省エネ効果を計算するには、現在使用している設備の情報が必要です。
確認しておきたいのは、
- メーカー名
- 製品型番
- 台数
- 定格能力
- 消費電力
- 稼働時間
などです。
古い設備では銘板が読みづらかったり、製品カタログが残っていなかったりすることもあります。
設備更新を検討し始めた段階で写真や型番を記録しておくとよいでしょう。
導入予定設備をSIIの対象設備検索で照合する
販売会社から見積書を受け取ったら、記載されている型番と補助対象設備検索の型番を照合します。
確認時は、数字やアルファベットの違いだけでなく、末尾記号や仕様条件まで確認しましょう。
SIIの申請手引きでも、検索結果に複数設備が表示された場合は、製品名や型番に記載された条件と導入設備の仕様が一致しているか確認するよう案内されています。
型番が確認できない場合は、自己判断せず、設備販売会社やSIIの公募要領を確認しましょう。
省エネ効果を計算して要件を確認する
最後に、既存設備と導入設備を比較し、
- 省エネ率10%以上
- 省エネ量1kl以上
- 経費当たり省エネ量1kl/千万円以上
のいずれかを満たせるか確認します。
設備が補助対象リストに掲載されていても、この省エネ要件を満たせなければ設備単位型・従来枠の要件を満たせません。
対象設備であること
と
事業として省エネ要件を満たすこと
は分けて考えることが重要です。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金は設備名だけでなく型番と省エネ効果を確認しよう

省エネルギー投資促進支援事業費補助金の設備単位型では、高効率空調、高性能ボイラ、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具、工作機械など、15区分の指定設備が主な対象です。
また、15区分以外でも、SIIが認めた高性能な設備が対象になる場合があります。
対象設備を確認するときは、
導入したい設備が15区分等に該当する
↓
SIIの設備検索でメーカー・型番を確認する
↓
省エネ要件を満たすか計算する
↓
補助率・対象経費を確認する
↓
交付決定後に契約・発注する
という順で進めると分かりやすくなります。
設備単位型・従来枠の省エネ要件は、「省エネ率10%以上」「省エネ量1kl以上」「経費当たり省エネ量1kl/千万円以上」のいずれかです。補助率は1/3以内、補助対象経費は設備費、補助上限は1事業全体で1億円となっています。
ただし、設備検索で型番が見つからないからといって、必ずしも対象外ではありません。
低炭素工業炉や一部の産業用モータのように、型番登録を行わず、仕様書などを使って申請する設備もあります。
一方、対象設備として確認できる製品でも、交付決定前に契約・発注すると補助対象外です。
補助金を利用して設備更新を行う場合は、購入を決めてから制度を確認するのではなく、見積取得の段階で対象設備・型番・省エネ効果を確認しておきましょう。
