省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、高効率な省エネ設備への更新やエネルギーマネジメントシステム(EMS)の活用などを支援する国の補助制度です。
2026年度も公募が行われており、2026年9月20日時点では第3次公募が受付中です。第3次公募は2026年8月20日から9月28日までで、第4次公募も10月上旬から実施される予定です。
2026年度の省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、主に「(Ⅲ)設備単位型」と「(Ⅳ)エネルギー需要最適化型」で構成されています。設備単位型では、高効率空調やボイラ、冷凍冷蔵設備、工作機械などへの更新が対象です。従来枠の補助率は1/3以内、補助上限は1事業全体で1億円となっています。
一方で、名称がよく似た「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」も存在します。対象となる申請タイプが異なるため、制度名を混同しないことが重要です。
この記事では、省エネルギー投資促進支援事業費補助金について、2026年度の制度内容、補助率、対象設備、省エネ要件、公募スケジュール、申請時の注意点まで解説します。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金とは?2026年度も公募中

省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、事業者による省エネルギー設備への更新などを支援し、エネルギー消費量やエネルギーコストの削減を促進する制度です。
2026年度の新規採択は、令和7年度補正予算による事業として実施されています。資源エネルギー庁では、同補助金の事業内容を「(Ⅲ)設備単位型」と「(Ⅳ)エネルギー需要最適化型」として整理しています。
省エネ性能の高い設備への更新を支援する国の補助金
利用しやすい代表的な申請方法が「設備単位型」です。
工場や事業所全体を大規模に改修するのではなく、対象となる設備単位で省エネ設備へ更新する取り組みを支援します。
たとえば、
- 古い業務用エアコンを高効率空調へ更新する
- ボイラを高性能な設備へ更新する
- 業務用冷蔵庫・冷凍庫を高効率設備へ更新する
- 工作機械を省エネ性能の高い機種へ更新する
といったケースが考えられます。
設備単位型・従来枠では、SIIが定める指定設備への更新が基本です。
2026年度の新規公募は令和7年度補正予算で実施されている
2026年に行われている新規公募は、令和7年度補正予算による省エネ・非化石転換補助金として実施されています。
資源エネルギー庁によると、令和7年度補正予算の「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の予算額は125億円です。国庫債務負担行為を含む総額は175億円とされています。
年度名だけを見ると分かりにくいですが、2026年に新規申請する場合も、この令和7年度補正予算事業の公募内容を確認します。
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」とは別制度
省エネ補助金では、非常によく似た2つの制度名が使われています。
| 制度 | 主な事業内容 |
| 省エネルギー投資促進支援事業費補助金 | (Ⅲ)設備単位型、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型 |
| 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 | (Ⅰ)工場・事業場型、(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型、(Ⅲ)GX設備単位型、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型 |
資源エネルギー庁でも、この2事業は分けて案内されています。
一般的な指定設備への更新を検討している場合は、まず「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の設備単位型・従来枠を確認すると分かりやすいでしょう。
一方、工場・事業場全体の大幅な省エネ、電化・燃料転換、特に高性能なGX設備の導入などを行う場合は、もう一方の事業に該当する可能性があります。
2026年度は設備単位型とエネルギー需要最適化型を確認する

省エネルギー投資促進支援事業費補助金を検討する場合は、まず「何を導入して、どのような省エネを行うのか」を整理します。
一般的な設備更新と、EMSを利用したエネルギー管理では申請内容が異なります。
| 項目 | 設備単位型・従来枠 | エネルギー需要最適化型 |
| 主な目的 | 高効率設備への更新 | EMSによるエネルギー管理・最適化 |
| 主な対象 | 空調・ボイラ・工作機械など | SIIが認めたEMS機器 |
| 補助率 | 1/3以内 | 中小企業等1/2以内、大企業等1/3以内 |
| 上限 | 1億円 | 1億円 |
| 主な対象経費 | 設備費 | 設計費・設備費・工事費 |
一般的な省エネ設備更新なら設備単位型
高効率空調やボイラ、冷凍冷蔵設備、生産設備などを更新する場合は、設備単位型が主な選択肢です。
対象となる設備単位で省エネ効果を計算できるため、事業所全体を大規模に改修するケースだけでなく、特定設備の更新でも利用できます。
ただし、単に「古い設備を新しい設備に替える」だけでは足りません。
対象設備と省エネ要件の両方を満たす必要があります。
EMSを導入する場合はエネルギー需要最適化型を確認する
エネルギー需要最適化型は、EMSを導入してエネルギー使用状況を把握・表示・分析し、運用改善につなげる取り組みを支援する申請タイプです。
対象となるのは、SIIが定めるシステム要件を満たし、補助対象設備として公表されたEMS機器です。
申請では、EMSを利用した省エネ計画を作成し、導入後も運用改善を行います。
省エネ効果については、原油換算量ベースで2%改善が目安とされています。
なお、EMSを単独で導入する場合の申請区分については別途条件があるため、SIIの最新公募要領で確認しましょう。
GX設備単位型や工場・事業場型は別の補助事業で扱われる
2026年度の省エネ・非化石転換補助金には、
- 工場・事業場型
- 電化・脱炭素燃転型
- GX設備単位型
- 設備単位型
- エネルギー需要最適化型
など、複数の申請タイプがあります。
そのため、「設備単位型」という言葉だけを見て制度を判断すると混乱しやすくなります。
たとえば、特に高性能な設備を導入する「GX設備単位型」は、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」側の事業です。
自社が通常の指定設備を更新するのか、GX設備を導入するのか、工場全体で省エネを進めるのかを整理してから申請タイプを選びましょう。
設備単位型の補助率・上限・省エネ要件

省エネルギー投資促進支援事業費補助金の中でも利用を検討しやすいのが、設備単位型・従来枠です。
補助率だけでなく、省エネ効果の条件も設定されています。
補助率は1/3以内・上限は1事業1億円
設備単位型・従来枠の補助率は、補助対象経費の1/3以内です。
補助上限は1事業全体で1億円となっています。
たとえば、補助対象設備費が900万円で、全額が補助対象経費として認められた場合、補助額は単純計算で最大300万円が目安です。
ただし、実際の交付額は審査によって決まります。
「設備購入額の1/3が必ず受け取れる」という意味ではありません。
補助対象経費は設備費
設備単位型・従来枠の補助対象経費は「設備費」です。
そのため、設備更新に関係するすべての費用が補助されるわけではありません。
見積書を取得する際は、
- 設備本体
- 工事費
- 運搬費
- 撤去費
- その他の費用
を分けて記載してもらうと、補助対象経費を整理しやすくなります。
設計費や工事費まで含めて申請したい場合は、設備単位型以外の申請タイプが適している可能性もあります。
省エネ率10%以上など3つの要件のいずれかを満たす
設備単位型・従来枠では、設備更新によって次のいずれかを満たす必要があります。
- 省エネ率10%以上
- 省エネ量1kl以上
- 経費当たり省エネ量1kl/千万円以上
つまり、対象設備のリストに掲載された機器を購入するだけでは申請要件を満たしません。
既存設備と更新後の設備を比較し、一定以上の省エネ効果を確認する必要があります。
たとえば削減率が10%未満でも、省エネ量が原油換算で1kl以上であれば、別の基準で要件を満たせる可能性があります。
3つの条件のうち、どれに該当するか確認しましょう。
どのような省エネ設備が対象になる?

設備単位型・従来枠では、SIIが定めた指定設備への更新を支援します。
2026年度は15区分の設備が指定されており、このほか「その他SIIが認めた高性能な設備」が対象になる場合もあります。
高効率空調・ボイラ・冷凍冷蔵設備などが対象
主なユーティリティ設備には、
- 高効率空調
- 産業ヒートポンプ
- 業務用給湯器
- 高性能ボイラ
- 高効率コージェネレーション
- 低炭素工業炉
- 変圧器
- 冷凍冷蔵設備
- 産業用モータ
- 制御機能付きLED照明器具
があります。
注意したいのは、設備の名称だけで対象かどうかを判断できないことです。
たとえば照明設備は、単なるLED照明ではなく「制御機能付きLED照明器具」が公式の対象区分になっています。
工作機械などの生産設備も対象
製造業で使用する生産設備も補助対象です。
主な対象は、
- 工作機械
- プラスチック加工機械
- プレス機械
- 印刷機械
- ダイカストマシン
です。
NC旋盤やマシニングセンタなどの工作機械を更新する場合も、対象製品に該当すれば利用を検討できます。
ただし、同じ設備区分でも、すべてのメーカー・型番が対象になるわけではありません。
導入予定設備はSIIの補助対象設備検索で確認する
対象設備は、SIIが公開する設備検索から確認できます。
SIIでは指定設備一覧やエネマネ事業者一覧などを公開しており、申請前に対象設備を確認できる仕組みになっています。
設備単位型を利用する場合は、
設備区分を確認する
↓
導入予定のメーカー・型番を確認する
↓
省エネ要件を確認する
という順で進めると分かりやすいでしょう。
なお、設備によっては型番登録を行わない例外もあります。
対象設備の15区分や型番の確認方法については、別途「省エネルギー投資促進支援事業費補助金の対象設備」の記事で詳しく確認するとよいでしょう。
エネルギー需要最適化型の対象と補助率

省エネルギー投資促進支援事業費補助金では、高効率設備への更新だけでなく、EMSを活用したエネルギー管理も支援対象です。
設備単体の更新だけではなく、使用状況を「見える化」し、運用そのものを改善したい企業が確認したい申請タイプです。
SII登録のEMS機器を使ったエネルギー管理が対象
エネルギー需要最適化型では、SIIのシステム要件を満たし、補助対象設備として公表されたEMS機器を導入します。
導入後は、
- エネルギー消費状況の把握
- 使用量の表示
- データ分析
- 設備運用の改善
などを行います。
単に計測機器や管理ソフトを導入するだけではなく、取得したデータを実際の省エネ活動へつなげることが重要です。
中小企業等は補助率1/2以内・大企業等は1/3以内
エネルギー需要最適化型の補助率は、
- 中小企業者等:1/2以内
- 大企業・その他:1/3以内
です。
補助上限は1事業全体で1億円となっています。
設備単位型・従来枠の1/3以内とは補助率が異なるため、混同しないようにしましょう。
設計費・設備費・工事費が補助対象
エネルギー需要最適化型では、
- 設計費
- 設備費
- 工事費
が補助対象経費です。
設備単位型・従来枠が基本的に設備費のみであるのに対し、対象経費の範囲に違いがあります。
一方で、EMSにはシステム要件や活用計画など独自の条件があります。
補助率だけで申請タイプを選ぶのではなく、自社が行いたい省エネの内容に合わせて選択しましょう。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金を利用するときの注意点

補助対象設備や補助率を確認していても、申請手順を間違えると補助対象にならない可能性があります。
特に設備投資では、契約・発注のタイミングに注意が必要です。
交付決定前に契約・発注しない
補助金を利用する場合は、交付申請を行い、交付決定を受けた後に対象事業を開始するのが基本です。
設備の納期を確保するために先に契約・発注すると、補助対象として認められない可能性があります。
設備販売会社へ見積もりを依頼するときは、
「省エネ補助金を利用する予定で、交付決定後に発注する」
ことを伝えておくとよいでしょう。
購入を決めてから補助金を探すのではなく、設備選定の段階から申請スケジュールを確認することが重要です。
設備単位型は既存設備からの更新が基本
設備単位型・従来枠は、省エネ型設備への「更新」によってエネルギー使用量を削減する事業を支援します。
そのため、比較対象となる既存設備がない単純な新設では、従来枠の対象にならない可能性があります。
一方、2026年度のGX設備単位型などには新設を対象とする申請タイプもあります。
新店舗や新工場へ設備を導入する場合は、通常の設備単位型・従来枠だけでなく、別の申請タイプに該当しないか確認しましょう。
国の他の補助金との重複受給に注意する
同じ設備や同じ経費に対して、国から複数の補助金を重複して受給できない場合があります。
たとえば同じ設備費について、別の国庫補助制度と二重に申請することは避ける必要があります。
複数の補助金を検討している場合は、
- どの設備をどの制度へ申請するか
- 補助対象経費が重なっていないか
- 地方自治体独自の補助制度との併用条件
を事前に整理しましょう。
2026年度の公募スケジュールと申請方法

2026年度は複数回に分けて公募が行われています。
2026年9月20日時点では、第3次公募の申請期間中です。
第3次公募は2026年9月28日まで
2026年度の公募スケジュールは次のとおりです。
| 公募 | 申請期間 |
| 第1次公募 | 2026年3月30日~4月27日 |
| 第2次公募 | 2026年6月1日~7月9日 |
| 第3次公募 | 2026年8月20日~9月28日 |
| 第4次公募 | 2026年10月上旬開始予定 |
第3次公募に間に合わない場合でも、第4次公募が予定されています。
ただし、第4次公募の詳細な期間や条件は正式発表を確認する必要があります。
第4次公募は2026年10月上旬から予定されている
SIIは第4次公募について、2026年10月上旬から実施予定と案内しています。詳細は決まり次第公表されます。
また、第4次公募からはGX設備単位型のトップ性能枠で対象設備の追加も予定されています。
公募回によって対象条件が更新される可能性があるため、過去回の公募要領だけで判断しないようにしましょう。
申請前に既存設備・省エネ効果・見積書を準備する
設備単位型を申請する場合は、まず現在使用している設備と、更新予定設備の情報を整理します。
主に確認しておきたいのは、
- 既存設備のメーカー・型番
- 設備台数
- 稼働時間
- エネルギー使用量
- 更新予定設備のメーカー・型番
- 設備費
- 省エネ効果
です。
特に省エネ効果は、設備単位型の申請要件に関係します。
「省エネ性能の高い設備だから申請できる」と考えず、既存設備との比較まで準備しましょう。
SIIの申請ポータルから交付申請を進める
SIIの2026年特設サイトでは、設備単位型などの申請に必要なアカウント登録、申請手引き、対象設備検索が案内されています。
申請時は、
利用する申請タイプを決める
↓
公募要領を確認する
↓
対象設備を確認する
↓
既存設備・省エネ効果を整理する
↓
見積書など必要書類を準備する
↓
申請用アカウントを作成する
↓
交付申請する
↓
交付決定後に契約・発注する
という順で進めます。
公募回によって必要書類や期限が変わる可能性があります。
申請時は必ず最新回の公募要領・申請手引きを確認しましょう。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金は申請タイプと省エネ要件を確認しよう

省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、省エネ性能の高い設備への更新やEMSを利用したエネルギー管理を支援する制度です。
2026年度の同補助金では、主に、
- (Ⅲ)設備単位型
- (Ⅳ)エネルギー需要最適化型
が実施されています。
一般的な高効率設備への更新であれば、設備単位型・従来枠を確認するとよいでしょう。
設備単位型・従来枠は、
- 補助率1/3以内
- 上限1億円
- 補助対象経費は設備費
です。
さらに、
- 省エネ率10%以上
- 省エネ量1kl以上
- 経費当たり省エネ量1kl/千万円以上
のいずれかを満たす必要があります。
対象設備には、高効率空調、高性能ボイラ、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具、工作機械などがあります。
一方、EMSを活用してエネルギー使用状況の把握・分析・運用改善を行う場合は、エネルギー需要最適化型を確認します。
中小企業者等の補助率は1/2以内、大企業・その他は1/3以内です。対象経費には設計費・設備費・工事費が含まれます。
2026年9月20日時点では第3次公募が行われており、申請期限は9月28日です。さらに第4次公募が10月上旬から予定されています。
利用を検討する場合は、
どの設備を更新するか
↓
設備単位型・EMSのどちらが適しているか
↓
対象設備か確認する
↓
省エネ要件を確認する
↓
見積書などを準備する
↓
交付申請する
↓
交付決定後に契約・発注する
という順で進めましょう。
また、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」とは制度内容が異なります。GX設備や工場・事業場全体の大規模な省エネを検討している場合は、別制度側の申請タイプも確認することが重要です。
