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事業承継・引継ぎ補助金の補助額はいくら?2026年の上限・補助率を解説

事業承継・引継ぎ補助金は、現在「事業承継・M&A補助金」の名称で実施されています。2026年の第15次公募では、申請する枠によって補助上限額や補助率が異なります。

最大額だけを見ると2,000万円ですが、これは専門家活用枠の100億企業特例を利用する場合です。一般的な事業承継促進枠は原則800万円で、一定の賃上げ要件を満たすと1,000万円まで引き上げられます。

自社が実際にいくら受け取れるのかを判断するには、申請枠・補助率・補助対象経費を分けて確認する必要があります。

目次

事業承継・引継ぎ補助金の補助額はいくら?

2026年第15次の事業承継・M&A補助金では、申請枠によって補助上限が150万円から2,000万円まで設定されています。

ただし、最大2,000万円をすべての申請者が利用できるわけではありません。まずは自社が利用する申請枠を確認する必要があります。

主な補助上限額を整理すると次のとおりです。

申請枠・類型主な補助上限
事業承継促進枠原則800万円
事業承継促進枠・賃上げ適用1,000万円
専門家活用枠・通常600万円
専門家活用枠・DD費用上乗せ800万円
小規模売り手支援類型450万円
100億企業特例2,000万円
PMI専門家活用類型150万円
PMI事業統合投資類型原則800万円
PMI事業統合投資類型・賃上げ適用1,000万円
廃業・再チャレンジ枠300万円

現在の事業承継・M&A補助金は最大2,000万円

2026年第15次公募で最も高い補助上限は2,000万円です。

ただし、この金額は専門家活用枠の買い手支援類型に設けられている100億企業特例を利用する場合の上限です。

通常の事業承継やM&Aで一律2,000万円まで補助される制度ではありません。

そのため、「事業承継・M&A補助金は最大2,000万円」とだけ覚えるのではなく、自社がどの申請枠に該当するのかまで確認してください。

通常の事業承継促進枠は800万円・賃上げで1,000万円

事業承継促進枠の補助上限は原則800万円です。

一定の賃上げ要件を満たす場合は、補助上限を1,000万円まで引き上げられます。

たとえば、事業承継を契機として設備を導入したり、店舗や事業所を改修したりする場合は、事業承継促進枠が候補になります。

ただし、上限が1,000万円になっても、補助対象経費が少なければ1,000万円を受け取れるわけではありません。

実際の補助額は、補助対象経費と補助率から計算します。

補助額は申請枠と補助率によって変わる

同じ1,000万円の経費を支出しても、補助率が1/2か2/3かによって補助額は変わります。

たとえば補助対象経費900万円の場合、

  • 補助率1/2:450万円
  • 補助率2/3:600万円

です。

そのため、補助上限だけでは実際の受取額を判断できません。

「どの枠を使うか」「自社に何%の補助率が適用されるか」「補助対象経費はいくらか」の3点を確認する必要があります。

事業承継促進枠の補助額・補助率

事業承継促進枠では、補助上限は原則800万円です。一定の賃上げ要件を満たす場合は1,000万円まで引き上げられます。

補助率は、小規模事業者が2/3以内、それ以外の事業者は1/2以内です。

補助上限は原則800万円

事業承継促進枠の基本となる補助上限は800万円です。

事業承継をきっかけに行う設備投資や事業所の改修など、承継後の事業成長につながる取組を支援します。

ただし、800万円はあくまで上限です。

たとえば補助対象経費が600万円で補助率1/2なら、

600万円 × 1/2 = 300万円

となります。

上限800万円の制度でも、このケースで受け取れる補助額は最大300万円です。

一定の賃上げで上限1,000万円

所定の賃上げ要件を満たす場合は、補助上限を800万円から1,000万円へ引き上げられます。

上限引き上げを利用すると、大規模な設備投資などにも補助金を充てやすくなります。

たとえば小規模事業者が補助対象経費1,500万円を計上し、2/3の補助率が適用されると、

1,500万円 × 2/3 = 1,000万円

となります。

ただし、賃上げ要件を満たせなかった場合は、上限引き上げ部分について返還を求められるため注意が必要です。

補助額を増やすためだけに無理な賃上げ計画を立てず、実現できる人件費計画かどうかまで確認してください。

小規模事業者は補助率2/3・その他は1/2

事業承継促進枠では、小規模事業者には2/3以内、それ以外の事業者には1/2以内の補助率が適用されます。

たとえば補助対象経費が900万円なら、

区分補助率補助額の目安自己負担の目安
小規模事業者2/3600万円300万円
その他1/2450万円450万円

となります。

同じ投資額でも150万円の差が出るため、自社が小規模事業者に該当するかは補助額を試算する前に確認しておきましょう。

補助下限額は100万円

事業承継促進枠には、補助上限だけでなく補助下限も設定されています。

第15次公募では、補助下限は100万円です。

つまり、補助率を掛けた結果が100万円に満たない小規模な事業については、この枠の利用に適さないことがあります。

たとえば補助率1/2なら、単純計算で少なくとも200万円程度の補助対象経費がなければ補助額100万円には届きません。

上限だけでなく下限も確認すると、自社の投資規模が制度に合っているか判断しやすくなります。

専門家活用枠の補助額・補助率

専門家活用枠では、M&Aに伴う専門家費用などを支援します。

通常の補助上限は600万円ですが、デュー・ディリジェンス費用の上乗せや小規模売り手支援、100億企業特例などによって上限が変わります。

通常の買い手・売り手支援は上限600万円

通常の買い手支援類型・売り手支援類型では、補助上限は600万円です。

M&Aを進める際に発生する、

  • 仲介費用
  • フィナンシャルアドバイザー費用
  • 専門家への報酬
  • M&Aに必要な一部の調査費用

などが対象になります。

ただし、すべてのM&A関連費用が自動的に対象になるわけではありません。

対象となる専門家や契約内容にも条件があるため、申請する経費の対象可否を確認してから補助額を計算してください。

デュー・ディリジェンス費用で上限800万円まで上乗せできる

一定のデュー・ディリジェンス費用を計上する場合は、通常の600万円に上乗せし、最大800万円まで補助上限を拡大できます。

デュー・ディリジェンスは、M&Aの対象企業について財務・法務・事業などを調査する手続きです。

たとえば買収後に想定外の債務や契約リスクが判明することを防ぐために実施します。

通常上限600万円とDD費用を含む800万円では条件が異なるため、「専門家活用枠なら最大800万円」と一括りにしないようにしてください。

小規模売り手支援類型は上限450万円

第15次公募では、小規模な売り手を支援する類型も設けられています。

補助上限は450万円、補助率は2/3以内です。

通常の売り手支援類型より上限額は低い一方、補助率が高く設定されています。

たとえば補助対象経費450万円なら、

450万円 × 2/3 = 300万円

が補助額の目安です。

対象経費が大きいからといって450万円を超えて補助されるわけではないため、補助率による計算額と上限額の両方を確認します。

100億企業特例では最大2,000万円

専門家活用枠の買い手支援類型には、100億企業特例が設けられています。

この特例では、補助上限が最大2,000万円です。

ただし、補助率は全額について一律ではありません。

補助額1,000万円以下の部分と、1,000万円を超えて2,000万円までの部分で補助率が分かれます。

そのため、通常の買い手支援類型と同じ計算方法ではありません。

「最大2,000万円」という金額だけを見て、自社にも適用されると判断しないようにしてください。

PMI推進枠の補助額・補助率

PMI推進枠は、M&A成立後の経営統合を支援する枠です。

第15次公募では「PMI専門家活用類型」と「事業統合投資類型」があり、補助上限が大きく異なります。

PMI専門家活用類型は上限150万円・補助率1/2

PMI専門家活用類型の補助上限は150万円、補助率は1/2以内です。

補助下限は50万円となっています。

M&A後に、

  • 組織体制を整える
  • 業務プロセスを統合する
  • 経営管理体制を見直す
  • PMI計画を策定する

といった場面で、専門家の支援を受ける費用などが対象になります。

補助上限は他枠より小さいため、大型設備への投資ではなく、専門家による統合支援を受けたい企業向けです。

事業統合投資類型は原則800万円

事業統合投資類型では、補助上限は原則800万円です。

M&A後の事業統合を進めるための設備投資などが対象となります。

PMI専門家活用類型の150万円と比べて上限が大きいのは、専門家費用だけでなく実際の事業統合に必要な投資を支援するためです。

補助率は原則1/2ですが、小規模事業者については一定部分まで2/3が適用されます。

一定の賃上げで事業統合投資類型は1,000万円

事業統合投資類型でも、所定の賃上げ要件を満たす場合は補助上限を800万円から1,000万円まで引き上げられます。

事業承継促進枠と同様、上限1,000万円はすべての申請者に自動適用されるものではありません。

補助対象経費が十分にあり、さらに賃上げ要件を満たす必要があります。

M&A後に設備投資と賃上げを同時に進める企業では有力な選択肢ですが、上限引き上げ分まで前提にした資金計画を作る際は、要件達成の見込みまで確認してください。

廃業・再チャレンジ枠の補助額

第15次公募の廃業・再チャレンジ枠は、単独申請なら最大300万円です。

ほかの申請枠と併用して廃業費を上乗せする仕組みもありますが、組み合わせる類型によって上限が異なります。

単独申請は最大300万円・補助率2/3

廃業・再チャレンジ枠を単独申請する場合、補助上限は300万円、補助率は2/3以内です。

補助下限は50万円となっています。

事業の一部または全部を廃止し、新たな事業へ挑戦する際などに発生する廃業関連費用を支援します。

たとえば補助対象経費300万円なら、

300万円 × 2/3 = 200万円

です。

補助上限300万円を受けるには、2/3の補助率なら450万円以上の補助対象経費が必要になります。

他枠との併用では廃業費を上乗せできる

廃業・再チャレンジ枠は、事業承継促進枠や専門家活用枠などと併用して申請できる仕組みがあります。

その場合、基本となる申請枠の補助上限とは別に、廃業費を追加できることがあります。

たとえば事業承継に伴って旧設備や既存店舗を撤去する必要がある場合などです。

ただし、廃業関連の費用であれば何でも上乗せできるわけではありません。

対象となる経費や申請条件を満たしたものだけが補助対象になります。

小規模売り手支援類型では廃業費上限が異なる

小規模売り手支援類型と廃業費を組み合わせる場合は、通常の上乗せ額とは異なります。

小規模売り手支援類型では、廃業費について最大150万円となるため、「廃業費はすべて最大300万円」と考えないようにしてください。

同じ専門家活用枠でも、通常の売り手支援と小規模売り手支援では条件が異なります。

補助額を試算するときは、自社がどの類型に該当するかを先に確定させる必要があります。

事業承継・M&A補助金はいくら受け取れる?

実際の補助額は、基本的に「補助対象経費×補助率」で計算し、その金額と各枠の補助上限を比較して決まります。

上限額だけを見るのではなく、自己負担まで含めて計算することが必要です。

補助額は「補助対象経費×補助率」で計算する

基本となる計算式は次のとおりです。

補助対象経費 × 補助率 = 補助額

たとえば補助対象経費が600万円の場合、

補助率補助額自己負担
1/2300万円300万円
2/3400万円200万円

となります。

ただし、この計算額が各枠の補助上限を超えた場合は、上限額までしか補助されません。

補助率1/2なら自己負担は基本的に1/2

補助率1/2が適用される場合、補助対象経費の半分が基本的な自己負担になります。

たとえば1,000万円の補助対象経費なら、

1,000万円 × 1/2 = 500万円

が補助額です。

残る500万円は事業者が負担します。

さらに補助対象外経費がある場合は、その費用も全額自己負担です。

「補助率1/2=事業全体の費用が半額になる」とは限りません。

補助率2/3なら自己負担は基本的に1/3

補助率2/3なら、補助対象経費の基本的な自己負担は1/3です。

たとえば補助対象経費900万円なら、

900万円 × 2/3 = 600万円

が補助額となり、自己負担は300万円です。

1/2と比べると自己負担を抑えられますが、補助率2/3が適用される対象者や類型は限られています。

自社が小規模事業者等の条件を満たすか確認してから試算してください。

計算額が上限を超える場合は補助上限額まで

補助率を掛けた金額が制度上の上限を超えた場合は、上限額までしか補助されません。

たとえば事業承継促進枠の通常上限800万円で、小規模事業者が補助対象経費1,500万円を計上すると、

1,500万円 × 2/3 = 1,000万円

です。

しかし、賃上げによる上限引き上げを利用しない場合は、実際の補助上限は800万円です。

そのため、残る700万円は自己負担になります。

補助額を確認するときの注意点

補助上限は「申請すれば受け取れる金額」ではありません。

補助対象経費・補助率・上限額・各種要件をすべて満たした範囲で補助額が決まります。

補助上限額がそのまま交付されるわけではない

補助上限800万円の枠でも、必ず800万円が交付されるわけではありません。

たとえば補助対象経費600万円、補助率1/2なら、補助額は300万円です。

また、申請時に対象経費として計上していても、審査や交付手続きの中で補助対象外と判断されれば、最終的な補助額は少なくなります。

上限額ではなく、自社の対象経費を基準に資金計画を作ってください。

最大2,000万円は100億企業特例の金額

現在の制度で最大2,000万円という数字が使われるのは、専門家活用枠の100億企業特例です。

通常の事業承継促進枠や一般的なM&A専門家費用の支援が2,000万円になるわけではありません。

代表的な金額を整理すると、

  • 事業承継促進:800万円
  • 賃上げ適用:1,000万円
  • 専門家活用通常:600万円
  • DD上乗せ:800万円
  • 100億企業特例:2,000万円

です。

制度全体の「最大額」と、自社が利用する枠の「上限額」を区別してください。

賃上げ要件を満たさないと上限引き上げ分の返還が必要になる

事業承継促進枠などで800万円から1,000万円への上限引き上げを利用する場合は、所定の賃上げ要件を満たす必要があります。

要件を達成できなければ、上限800万円を超えて交付された部分について返還を求められます。

最大では200万円の差が生じるため、資金計画への影響も小さくありません。

補助額を増やすためだけに賃上げ特例を選ぶのではなく、実際に継続できる賃金水準かを確認したうえで申請してください。

次回公募では補助額・補助率が変わることがある

補助額や補助率は、公募回によって変更されることがあります。

2026年8月17日時点で最新の確定条件は第15次公募ですが、次回の第16次公募で同じ上限額・補助率が継続するとは限りません。

過去の「事業承継・引継ぎ補助金」と現在の「事業承継・M&A補助金」でも、申請枠や補助上限は変化しています。

実際に申請する際は、その公募回の最新条件を基準に補助額を計算してください。

まとめ|事業承継・M&A補助金の補助額は申請枠ごとに確認する

事業承継・引継ぎ補助金は、現在「事業承継・M&A補助金」として実施されています。

2026年第15次公募では、申請枠によって補助額が大きく異なります。通常の事業承継促進枠は原則800万円、賃上げ要件を満たす場合は1,000万円です。専門家活用枠では通常600万円、100億企業特例では最大2,000万円となります。

また、PMI専門家活用は150万円、廃業・再チャレンジの単独申請は300万円など、目的によって適する枠も違います。

実際の補助額を確認するときは、

  • 自社が利用する申請枠
  • 補助上限
  • 適用される補助率
  • 補助対象経費
  • 上限引き上げや上乗せの条件

を順番に確認してください。

「最大2,000万円」という制度全体の最大額ではなく、自社に該当する枠でいくら受け取れるのかを計算することが、現実的な資金計画につながります。

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