MENU

業務改善助成金でECサイト制作はできる?ネットショップ構築・リニューアルの対象経費と要件を解説

業務改善助成金は、ECサイトやネットショップの制作費をそのまま補助する制度ではありません。

ただし、ECサイトの新規構築やリニューアルによって、受注処理・在庫確認・顧客対応・発送管理などの業務が効率化され、生産性向上に資する設備投資等として説明できる場合は、対象経費として検討できる可能性があります。

大事なのは、「売上を伸ばすためのサイト制作」だけでなく、従業員の作業時間を減らす、手入力を減らす、電話やメール対応を効率化する、受注から発送までの流れを整えるといった業務改善効果を示せるかどうかです。

業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引上げと、生産性向上に資する設備投資等を組み合わせて支援する制度です。

制度案内でも、事業場内最低賃金を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その費用の一部を助成するとされています。

一方で、広告宣伝だけを目的としたLP制作、見た目の変更だけのデザインリニューアル、バナー制作、月額の運用費や保守費などは、業務改善助成金の趣旨とズレやすい費用です。

ECサイト制作を検討する場合は、「販売促進」ではなく「業務効率化」まで説明できるかを軸に考える必要があります。

目次

業務改善助成金でECサイト制作が対象になる可能性はある

業務改善助成金でECサイト制作が対象になるかどうかは、「ECサイトを作ること」自体ではなく、導入によってどの業務がどれだけ改善されるかで判断されます。

ネットショップの構築やリニューアルでも、受注処理の自動化、在庫連携、顧客管理、決済処理、発送管理などが効率化されるなら、制度の趣旨に近づきます。

反対に、見た目をきれいにするだけ、売上アップだけを狙うだけでは、対象経費として説明しにくくなります。

ECサイト構築が生産性向上につながる場合は検討できる

ECサイト構築が業務改善助成金の対象になり得るのは、労働時間の削減や作業効率化につながる場合です。

たとえば、これまで電話・FAX・メールで受けていた注文をECサイト上で受け付けられるようにし、注文内容が自動で管理画面に入る仕組みにするケースが考えられます。

これにより、注文内容を手入力する時間、聞き間違いを確認する時間、在庫を個別に確認する時間を減らせる可能性があります。

よくある相談として、既存のホームページに商品一覧だけがあり、注文は電話やメールで受けているケースがあります。

この状態だと、スタッフが注文内容を確認し、在庫を調べ、請求案内を送り、発送管理を別の表で行う流れになりがちです。

ECサイトを導入して、受注・決済・在庫・発送管理をまとめられるなら、単なるサイト制作ではなく、業務改善のための投資として説明しやすくなります。

ECサイト導入による業務改善効果は、次のように整理できます。

導入前の課題ECサイト導入後の改善例
電話やメールで注文を受けている注文受付をオンライン化し、確認作業を削減
在庫数を手作業で確認している在庫情報をサイトや管理画面で連携
顧客情報を別シートで管理している顧客情報をEC管理画面で一元管理
請求・決済案内を個別対応している決済機能により入金確認を効率化
発送状況を手入力している発送管理システムと連携して作業を短縮

このように、ECサイト制作を申請するなら、サイトの見た目よりも、従業員の作業がどう減るのかを具体的に示すことが重要です。

賃上げと設備投資等の計画がセットで必要になる

業務改善助成金は、ECサイト制作費だけを助成する制度ではありません。

制度の基本は、事業場内最低賃金の引上げ計画と、生産性向上に資する設備投資等の計画をセットで立てることです。

厚生労働省の案内でも、賃金引上げ計画と設備投資等の計画を立てて申請し、交付決定後に計画どおり事業を進め、結果を報告することで助成金が支給されると説明されています。

つまり、ECサイトを作るだけでは不十分です。

事業場内で最も低い賃金を30円以上引き上げる計画があり、その賃上げを支えるためにECサイト導入で業務効率を高める、という流れが必要になります。

たとえば、「受注処理にかかる時間を削減し、少人数でも売上対応できる体制を作る」「在庫確認や顧客対応を効率化し、従業員の負担を減らす」といった説明があると、制度趣旨に近づきます。

申請前に整理したいポイントは、次のとおりです。

  • 事業場内最低賃金を何円引き上げるのか
  • 対象となる労働者は誰か
  • ECサイト導入でどの業務が効率化されるのか
  • 導入前後で作業時間がどの程度変わるのか
  • 見積書のうち、どの機能が業務改善に関係するのか

このあたりが曖昧なままだと、「ECサイト制作費を補助してほしい」というだけの申請に見えやすくなります。

販促目的だけのサイト制作は対象外になりやすい

ECサイト制作でも、販促目的だけの内容は対象外になりやすいと考えたほうが安全です。

たとえば、ブランドイメージを高めるためのデザイン変更、キャンペーン用LP、バナー制作、広告用ページ、写真撮影やコピー作成だけが中心の制作は、業務改善助成金の目的とはズレやすくなります。

もちろん、ECサイトには売上拡大の目的もあります。しかし、業務改善助成金で重視したいのは、売上アップそのものよりも、労働能率の増進や生産性向上です。

売れるサイトを作るという説明だけではなく、注文受付、在庫管理、顧客対応、発送管理がどのように効率化されるのかを説明する必要があります。

対象になりやすいECサイトと、対象外になりやすい制作を比べると、次のようになります。

内容業務改善助成金での見方
受注・決済・在庫管理機能を備えたECサイト業務効率化を説明しやすい
既存サイトに自動受注機能を追加手作業削減を説明しやすい
デザインだけのリニューアル業務改善との関係が弱い
広告用LPやバナー制作販促目的が強く、対象外になりやすい
月額広告運用費継続的な販促費として慎重な確認が必要

ECサイト制作を業務改善助成金で考えるなら、最初から「どの機能が作業時間を減らすのか」を制作会社と共有しておくことが大切です。

ECサイト制作は業務効率化まで説明できるかが分かれ目

業務改善助成金でECサイト制作が対象になる可能性はあります。
ただし、単なるホームページ制作や販促用LPではなく、受注処理、在庫管理、顧客対応、発送管理などの効率化につながるECサイトであることが重要です。
さらに、事業場内最低賃金の引上げ計画も必要になります。
ECサイト制作費だけを見るのではなく、賃上げと業務改善をセットで説明できるかが大きな判断ポイントです。

業務改善助成金とは

業務改善助成金は別記事で詳しく紹介されている前提で、ここではECサイト制作を考えるうえで必要なポイントだけを簡単に整理します。

押さえておきたいのは、業務改善助成金が「賃上げ」と「生産性向上投資」をセットで見る制度だという点です。

ECサイト制作を検討する場合も、この基本から外れないように考える必要があります。

事業場内最低賃金を30円以上引き上げる制度

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金を30円以上引き上げることが前提になる制度です。

制度案内では、事業場内最低賃金を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成すると説明されています。

ECサイト制作を考える場合も、まず確認すべきは「賃上げ対象者がいるか」です。

労働者がいない個人事業主や、事業場内最低賃金の引上げ対象者がいない場合は、制度に乗りにくくなります。

ECサイト制作の必要性より先に、事業場内最低賃金の要件を確認することが大切です。

生産性向上に資する設備投資等が助成対象になる

業務改善助成金では、機械設備導入、コンサルティング、人材育成・教育訓練など、生産性向上に資する設備投資等が対象になります。

厚生労働省の案内でも、設備投資等にかかった費用に一定の助成率をかけた金額と助成上限額を比較し、いずれか安い方が支給されるとされています。

ECサイト制作をこの制度で考えるなら、「サイト制作」ではなく「業務効率化のためのシステム導入」に近い説明が必要です。

受注管理、在庫管理、決済、顧客管理、発送管理など、業務の手間を減らす機能があるほど説明しやすくなります。

対象は中小企業・小規模事業者

業務改善助成金の対象は、中小企業・小規模事業者です。

令和7年度の案内では、中小企業・小規模事業者であること、大企業と密接な関係を有するみなし大企業でないこと、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であることなどが示されています。

ECサイト制作を考える前に、次の条件を確認しておくとスムーズです。

確認項目見るポイント
企業規模中小企業・小規模事業者に該当するか
労働者の有無賃上げ対象となる従業員がいるか
賃金水準事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が要件内か
不交付事由解雇や賃金引下げなどがないか
導入予定交付決定前に契約・発注していないか

ECサイト制作の見積もりを取る前に、この表の条件を確認しておくと、申請できる可能性を早めに判断できます。

ECサイト制作を見る前に賃上げ要件を確認する

業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引上げと、生産性向上に資する設備投資等を支援する制度です。
ECサイト制作を検討する場合も、まずは中小企業・小規模事業者に該当するか、賃上げ対象者がいるか、最低賃金の要件を満たすかを確認する必要があります。
制度の中心は、あくまで賃上げと業務改善の両立です。

ECサイト制作で対象になり得る経費

ECサイト制作で対象になり得る経費は、サイト全体の制作費というより、業務効率化につながる機能やシステムに関わる費用です。

新規構築、リニューアル、在庫管理や決済システムとの連携などが候補になります。

ただし、どの費用も必ず対象になるわけではありません。

見積書の中で、業務改善に関係する部分を分けて説明できるようにしておくことが重要です。

ECサイトの新規構築費

ECサイトの新規構築費は、受注・決済・在庫・顧客管理などの機能を備え、従業員の作業時間削減につながる場合に検討対象になり得ます。

たとえば、これまで電話注文やメール注文に頼っていた事業者が、ECサイトで自動受注できるようにするケースです。

新規構築で説明しやすい業務改善効果は、次のようなものです。

機能改善できる業務
商品登録機能商品情報の管理を一元化
カート・注文受付機能電話・メール注文の手作業を削減
決済機能入金案内や確認作業を効率化
顧客管理機能顧客情報の転記や確認を削減
注文管理機能発送準備や対応状況を見える化

このような機能があると、ECサイト制作が「販促」だけでなく「業務効率化」にもつながると説明しやすくなります。

申請時には、導入前の作業時間と導入後の見込みを整理しておくと説得力が出ます。

既存ECサイトのリニューアル費

既存ECサイトのリニューアル費も、内容によっては検討対象になり得ます。

ただし、単なるデザイン変更やブランドイメージ刷新だけでは弱くなります。

対象になりやすいのは、古いECサイトを改善し、受注処理や在庫管理、商品登録、顧客対応の負担を減らすリニューアルです。

たとえば、以下のようなリニューアルは業務改善との関係を説明しやすくなります。

  • 手作業の商品登録をCSV連携で効率化する
  • 在庫切れ商品の表示を自動化する
  • 注文情報を販売管理システムに連携する
  • 問い合わせフォームを整備して対応漏れを減らす
  • 顧客情報と購入履歴を一元管理する

一方で、トップページの見た目を変えるだけ、写真を差し替えるだけ、キャンペーンページを追加するだけの場合は、業務効率化の説明が弱くなります。

リニューアルの場合は、何が古くて、どの作業が非効率で、導入後にどう改善するのかを明確にしておくことが大切です。

EC運営に必要なシステム連携費

ECサイト制作とあわせて、在庫管理、販売管理、決済、配送管理、顧客管理などのシステム連携を行う場合、業務改善との関係を説明しやすくなります。

EC運営では、サイト単体よりも、周辺業務との連携が作業時間の削減に直結しやすいからです。

システム連携の例を整理すると、次のとおりです。

連携内容期待できる効果
在庫管理連携在庫確認や売り越し対応を削減
販売管理連携売上データの手入力を削減
決済連携入金確認や請求対応を効率化
配送管理連携送り状作成や発送通知を効率化
顧客管理連携問い合わせ対応や購入履歴確認を短縮

ECサイト制作を申請する場合は、こうした連携費用を見積書上で分けてもらうと、業務改善効果を説明しやすくなります。

制作会社に「助成金で使いたい」と伝えるだけでなく、「どの機能がどの業務を効率化するか」を一緒に整理してもらうとよいでしょう。

対象になり得るのは業務効率化につながる制作費

ECサイト制作で対象になり得るのは、新規構築費、既存サイトの業務改善型リニューアル費、在庫管理・販売管理・決済・配送管理などのシステム連携費です。
大切なのは、サイト制作費を一式で見るのではなく、どの機能がどの作業を減らすのかを説明できるようにすることです。
見積書の段階から、業務改善に関わる費用を分けて整理しておきましょう。

ECサイト制作で対象外になりやすい経費

ECサイト制作に関係する費用でも、すべてが業務改善助成金の対象になるわけではありません。

特に、広告宣伝だけを目的にしたLPやバナー制作、汎用性の高いパソコン・スマートフォン、月額利用料や保守費などのランニングコストは慎重に見る必要があります。

申請前に対象外になりやすい費用を把握しておくと、見積もりや資金計画のズレを防ぎやすくなります。

広告宣伝だけを目的にしたLPやバナー制作

広告宣伝だけを目的にしたLPやバナー制作は、業務改善助成金の趣旨とズレやすい費用です。

LPは商品やサービスを売るためのページであり、業務効率化というより販売促進の性格が強くなりやすいからです。

もちろん、LPや商品ページがECサイトの一部に含まれることはあります。

ただし、申請で強く説明したいのは、見た目や訴求力ではなく、業務効率化です。

たとえば、注文受付や問い合わせ削減につながらない単独LP、広告用バナー、キャンペーン画像だけの制作は対象外になりやすいと考えたほうが安全です。

判断しやすいように、販促寄りと業務改善寄りを分けると次のようになります。

制作内容見方
受注機能付きECサイト業務改善として説明しやすい
在庫管理連携付きECサイト業務効率化を説明しやすい
デザイン変更のみ業務改善との関係が弱い
広告用LP販促目的が強く慎重な確認が必要
バナー制作広告宣伝費として対象外になりやすい

このように、同じWeb制作でも、目的によって見られ方が変わります。

汎用性の高いパソコンやスマートフォン

ECサイト運営にはパソコンやスマートフォンが必要になることがあります。

しかし、汎用性の高い機器は対象外になりやすい費用です。通常業務にも使えるため、ECサイト運営専用の設備として説明しにくいからです。

たとえば、ECサイト管理用のノートパソコン、商品撮影用スマートフォン、一般的なタブレットなどは、ほかの用途にも使いやすい備品です。

業務改善助成金では、事業に必要だから何でも対象になるわけではありません。

汎用性が高いものは、制度上の対象経費として認められるか慎重に確認する必要があります。

月額利用料や保守費など継続的なランニングコスト

ECサイトでは、サーバー代、ドメイン代、保守費、月額カート利用料、広告運用費、モール出店料など、継続的に発生する費用があります。

こうしたランニングコストは、初期構築費とは分けて考える必要があります。

業務改善助成金では、設備投資等にかかった費用が中心です。

毎月発生する運用費、保守費、広告費、販売手数料などは、通常の事業運営費に近く、対象外になりやすい可能性があります。

見積書を取るときは、初期構築費、カスタマイズ費、システム連携費、月額利用料、保守費を分けて記載してもらうと確認しやすくなります。

対象外になりやすい費用は、次のように整理できます。

費用注意点
広告用LP制作販促目的が強い
バナー・広告画像制作業務改善との関係が弱い
パソコン・スマートフォン汎用性が高い
サーバー・保守の月額費継続的な運用費として慎重な確認が必要
広告運用費販促費として見られやすい
モール手数料通常の販売経費に近い

ECサイト制作費を申請する場合は、対象外になりやすい費用を見積もりから切り分けておくと、申請後の減額リスクを抑えやすくなります。

販促費・汎用機器・月額費用は慎重に確認する

ECサイト制作に関係する費用でも、広告宣伝だけを目的にしたLPやバナー制作、汎用性の高いパソコンやスマートフォン、月額利用料や保守費などは対象外になりやすい費用です。
業務改善助成金では、売上アップよりも業務効率化との関係が重要になります。
申請前に、初期構築費とランニングコスト、業務改善費と販促費を分けて確認しましょう。

業務改善助成金でECサイトを申請するための要件

業務改善助成金でECサイト制作を申請するには、ECサイトの必要性だけでなく、賃金引上げ計画、業務改善効果、契約・発注のタイミングをそろえる必要があります。

とくに交付決定前に契約や制作着手をしてしまうと、助成対象外になる可能性があります。

制度の順番を守ることが、申請の基本です。

事業場内最低賃金を引き上げる計画が必要

業務改善助成金では、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる計画が必要です。

令和7年度の案内では、事業場内最低賃金を30円以上引き上げることが制度の基本として示されています。

つまり、ECサイト制作だけを理由に申請することはできません。

たとえば、時給1,080円の従業員を1,110円に引き上げるなど、対象となる労働者と引上げ額を具体的に整理する必要があります。

賃金引上げの内容は、就業規則、賃金規定、雇用契約書、賃金台帳などで確認されるため、書類整備も重要です。

ECサイト導入による業務改善効果を説明する必要がある

ECサイト導入による業務改善効果は、具体的に説明する必要があります。

「売上を増やしたい」「ネット販売を始めたい」だけでは弱く、従業員の作業がどう効率化されるのかを示すことが大切です。

説明しやすい業務改善効果には、次のようなものがあります。

業務導入前導入後
受注処理電話・メール内容を手入力注文情報を自動取得
在庫確認担当者が都度確認在庫情報を自動反映
顧客対応注文状況を個別確認マイページや通知機能で対応削減
決済確認振込確認を手作業決済システムで確認を効率化
発送管理送り状を手入力配送管理と連携

この表のように、導入前後の変化を明確にすると、ECサイトが生産性向上に資する投資であることを説明しやすくなります。

見積書の機能名と、改善される業務を対応させておくとさらに分かりやすくなります。

交付決定後に契約・発注・納品を進める必要がある

業務改善助成金では、交付決定前に設備投資等を進めると対象外になる可能性があります。

厚生労働省の案内でも、事業場内最低賃金の引上げや設備投資等は、これから実施するものが助成対象とされています。

ECサイト制作では、制作会社との契約、着手金の支払い、デザイン制作、システム開発、納品、公開など、複数のタイミングがあります。

補助金を使う場合は、交付決定前に正式契約や制作着手をしないよう注意が必要です。

相談や見積もり取得はできても、正式な発注や納品は交付決定後に進める流れが基本になります。

申請時の流れを簡単に整理すると、次のとおりです。

  1. 対象要件を確認する
  2. 賃金引上げ計画を立てる
  3. ECサイト制作の見積書を取得する
  4. 業務改善効果を整理する
  5. 交付申請を行う
  6. 交付決定後に契約・制作へ進む
  7. 制作完了後に実績報告を行う
  8. 審査後に助成金を受け取る

この順番を守らないと、せっかくECサイトを作っても助成対象にならない可能性があります。

賃上げ・業務改善効果・契約タイミングをそろえる

業務改善助成金でECサイト制作を申請するには、事業場内最低賃金の引上げ計画、ECサイト導入による業務改善効果、交付決定後の契約・発注という3つの条件をそろえる必要があります。
特に交付決定前の契約や制作着手はリスクになります。ECサイト制作を進める前に、賃金計画、見積書、業務改善効果、スケジュールを整理しておきましょう。

ECサイト導入で生産性向上を説明するポイント

ECサイト導入を業務改善助成金で説明する場合、最も重要なのは「業務がどう効率化されるか」です。

ECサイトは売上拡大のためのツールでもありますが、業務改善助成金では売上よりも、労働時間の削減、手作業の削減、確認作業の短縮などを中心に説明したほうが制度趣旨に合います。

現場の作業を洗い出し、導入前後でどれだけ変わるかを具体化しましょう。

受注処理や問い合わせ対応の時間削減を示す

ECサイト導入で最も説明しやすいのが、受注処理や問い合わせ対応の時間削減です。

電話やメールで注文を受けている場合、注文内容の確認、在庫確認、金額案内、支払い案内、発送予定日の連絡など、多くの作業が発生します。

ECサイトで注文受付から決済までをオンライン化すれば、こうした作業を減らせる可能性があります。

たとえば、次のような説明が考えられます。

  • 電話注文の対応時間を削減できる
  • メール注文の転記作業を減らせる
  • 注文内容の聞き間違いを防げる
  • よくある質問を商品ページ内で案内できる
  • 注文状況の問い合わせを減らせる

このように、従業員の手間を具体的に言語化すると、ECサイト導入の必要性が伝わりやすくなります。

在庫管理や発送管理の効率化を示す

ECサイトは、在庫管理や発送管理の効率化にもつながります。

特に商品点数が多い事業者や、実店舗とネット販売を並行する事業者では、在庫確認に時間がかかりやすくなります。

ECサイトと在庫管理システムを連携できれば、在庫数の確認や売り越し対応を減らせる可能性があります。

発送管理でも、注文情報をもとに送り状作成や発送通知を効率化できる場合があります。

発送件数が増えるほど、手作業のままではミスや残業が増えやすくなります。

ECサイト導入によって、注文から発送までの流れを整えられるなら、生産性向上の説明として有効です。

生産性向上の説明では、以下のように「改善前」と「改善後」を並べると分かりやすくなります。

項目改善前改善後
注文受付電話・メールで個別対応ECサイトで自動受付
在庫確認担当者が都度確認在庫情報を管理画面で確認
決済振込案内と入金確認が必要オンライン決済で効率化
発送準備注文情報を手入力注文データを活用
顧客対応注文状況を個別に回答自動メールやマイページで案内

この表のように整理すると、ECサイト制作が単なる売上拡大策ではなく、業務改善のための投資であることを説明しやすくなります。

売上拡大だけでなく労働能率の増進を中心に説明する

ECサイトを作るとき、多くの事業者は売上アップを期待します。

それ自体は自然ですが、業務改善助成金では売上拡大だけを強調しすぎないほうが安全です。

重要なのは、売上を増やすことだけでなく、従業員の作業効率を高め、賃上げを実現しやすい体制を作ることです。

説明の中心は、次のように置くと制度趣旨に合いやすくなります。

  • 手作業を減らして受注処理を効率化する
  • 在庫確認や発送準備の時間を短縮する
  • 問い合わせ対応を減らして従業員の負担を軽減する
  • 少人数でも注文増加に対応できる体制を作る
  • 業務効率化によって賃上げの原資を確保しやすくする

「売れるサイト」ではなく、業務が回るサイトとして説明するイメージです。ここを押さえると、業務改善助成金との相性を示しやすくなります。

生産性向上は作業時間の削減で具体化する

ECサイト導入の生産性向上は、受注処理、問い合わせ対応、在庫確認、発送管理などの作業時間削減で説明すると分かりやすくなります。
売上拡大だけでなく、従業員の手作業や確認作業をどれだけ減らせるかを具体化することが大切です。
導入前後の業務フローを表にすると、ECサイト制作の必要性を説明しやすくなります。

業務改善助成金でECサイト制作を進める流れ

業務改善助成金でECサイト制作を進める場合は、通常のWeb制作とは違い、補助金の手続きに合わせたスケジュール管理が必要です。

先に制作会社と契約してしまうと対象外になる可能性があるため、対象要件の確認、賃金引上げ計画、見積書取得、交付申請、交付決定後の制作という順番を守ることが大切です。

対象要件と賃金引上げ計画を確認する

最初に、自社が業務改善助成金の対象になり得るかを確認します。

中小企業・小規模事業者に該当するか、賃上げ対象の労働者がいるか、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が要件内か、不交付事由がないかを確認しましょう。

制度案内では、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であることなどが対象事業者の要件として示されています。

同時に、賃金引上げ計画を立てます。

誰の賃金を、いつ、いくら引き上げるのかを整理し、就業規則や賃金台帳との整合性も確認します。

ECサイト制作の見積もりより先に、賃金要件を確認しておくと無駄な準備を減らせます。

ECサイト制作の見積書と業務改善計画を準備する

対象要件を確認したら、ECサイト制作会社から見積書を取得します。

このとき、「ECサイト制作一式」だけではなく、機能ごとに費用を分けてもらうと申請しやすくなります。

受注機能、決済機能、在庫連携、顧客管理、発送管理連携など、業務改善に関わる部分を分けて整理しましょう。

見積書とあわせて、業務改善計画も準備します。ECサイト導入前の課題、導入する機能、改善される業務、削減できる作業時間、賃上げとの関係を整理します。

準備する内容は、次のようにまとめると分かりやすくなります。

準備するもの内容
見積書機能ごとに費用を分ける
業務フロー導入前後の作業を整理する
賃上げ計画対象者・引上げ額・実施時期を明確にする
EC機能一覧受注・決済・在庫・顧客管理などを整理
効果説明作業時間削減や対応ミス削減を示す

この準備ができていると、ECサイト制作が業務改善につながる投資だと説明しやすくなります。

交付申請・交付決定後に制作へ進む

申請準備が整ったら、交付申請を行います。

その後、審査を経て交付決定を受けてから、制作会社との正式契約や制作着手へ進む流れです。

厚生労働省の案内でも、交付決定後に計画どおり事業を進める流れが示されています。

ECサイト制作では、着手金の支払い、デザイン制作、システム開発、テスト、公開、納品など工程が複数あります。

補助金の対象にするなら、契約日、発注日、納品日、支払日、公開日をきちんと管理しておく必要があります。

制作完了後は実績報告を行い、証憑確認を経て助成金が支給されます。

手続きの流れは、次のとおりです。

  1. 自社の対象要件を確認する
  2. 賃金引上げ計画を立てる
  3. ECサイト制作の見積書を取る
  4. 業務改善効果を整理する
  5. 交付申請を行う
  6. 交付決定後に契約・制作を進める
  7. 制作完了後に実績報告を行う
  8. 審査後に助成金を受け取る

この順番を守ることで、契約タイミングのミスを避けやすくなります。

補助金の流れに合わせて制作スケジュールを組む

業務改善助成金でECサイト制作を進める場合は、対象要件の確認、賃金引上げ計画、見積書取得、業務改善計画、交付申請、交付決定後の制作という流れを守る必要があります。
通常のWeb制作と違い、先に契約・発注してしまうと対象外になる可能性があります。
制作会社にも補助金のスケジュールを共有し、交付決定後に正式着手できるよう調整しましょう。

ECサイト制作なら業務改善助成金とIT導入補助金のどちらを確認すべきか

ECサイト制作を検討している場合、業務改善助成金だけでなく、IT導入補助金も候補に入ることがあります。

どちらを確認すべきかは、目的と対象経費によって変わります。

賃上げと業務効率化をセットで進めるなら業務改善助成金、ITツール導入やEC運営システムが中心ならIT導入補助金も確認したいところです。

関連記事:IT導入補助金でECサイトを構築する方法をわかりやすく解説|対象者・申請手順・注意点まとめ

賃上げと業務効率化を同時に進めるなら業務改善助成金

業務改善助成金が向いているのは、ECサイト導入によって業務を効率化し、その効果を踏まえて事業場内最低賃金を引き上げたい場合です。

たとえば、受注管理や在庫確認の作業を減らし、従業員の負担を軽くしながら賃上げを進めるケースです。

この場合は、ECサイト制作費そのものよりも、賃上げと業務改善の関係が重要になります。

業務改善助成金は、事業場内最低賃金を引き上げるための支援制度であり、労働者がいない場合は対象にならないと案内されています。

そのため、従業員を雇用していて、賃上げ対象者がいる事業者に向いた制度です。

EC機能やITツール導入が中心ならIT導入補助金も候補になる

ECサイトやネットショップの導入では、IT導入補助金も確認したい制度です。

2026年度は「デジタル化・AI導入補助金2026」として案内されており、中小企業・小規模事業者等がITツール導入費用の補助を受ける制度として公開されています。

IT導入補助金は、登録されたITツールの導入が前提になるため、自由に制作会社へ発注するWeb制作とは仕組みが異なります。

EC機能、受発注、決済、会計、在庫管理などのITツール導入が中心なら、業務改善助成金よりIT導入補助金のほうが制度目的に合う場合があります。

賃金要件・対象経費・導入ツールの違いで選ぶ

業務改善助成金とIT導入補助金は、どちらが上というより、目的が違います。業務改善助成金は、賃上げと生産性向上投資が軸です。

IT導入補助金は、ITツール導入による業務効率化やデジタル化が軸です。

選び方を整理すると、次のようになります。

比較項目業務改善助成金IT導入補助金
主な目的賃上げ+生産性向上ITツール導入・デジタル化
ECサイトとの関係業務改善につながる制作なら検討登録ITツールなら検討
賃上げ要件必要枠により要件確認が必要
対象経費設備投資等として説明できる費用登録ITツール・関連費用
向いているケース従業員の作業時間を減らし賃上げしたいEC機能や受発注ツールを導入したい

ECサイトを新しく作る場合でも、業務改善助成金が合うケースと、IT導入補助金が合うケースがあります。

制度名だけで決めず、賃上げがあるか、導入するものが登録ITツールか、業務改善効果をどう説明するかで判断しましょう。

賃上げ重視なら業務改善助成金、ITツール重視ならIT導入補助金

ECサイト制作では、業務改善助成金とIT導入補助金の両方を確認する価値があります。
賃上げと業務効率化を同時に進めるなら業務改善助成金、EC機能やITツールの導入が中心ならIT導入補助金が候補になります。
どちらを選ぶかは、賃金要件・対象経費・導入ツール・業務改善効果を比べて判断することが大切です。

業務改善助成金でECサイト制作を考えるなら業務効率化の説明が重要

業務改善助成金でECサイト制作が対象になる可能性はあります。

ただし、単なるホームページ制作や販促用LPではなく、受注処理、在庫管理、顧客対応、決済、発送管理などの業務効率化につながるECサイトであることが重要です。

制度の基本は、事業場内最低賃金の引上げと、生産性向上に資する設備投資等の組み合わせです。

最後に、判断ポイントを整理します。

確認ポイント内容
対象可否ECサイトが業務効率化につながるか
賃上げ事業場内最低賃金を30円以上引き上げる計画があるか
対象経費新規構築・リニューアル・システム連携費を分けて確認
対象外経費LP、バナー、広告費、月額費、汎用機器は慎重に確認
スケジュール交付決定後に契約・発注・制作へ進む
比較制度IT導入補助金のほうが合う場合もある

ECサイト制作を業務改善助成金で考えるなら、制作会社に見積もりを依頼する段階で、受注・在庫・決済・発送・顧客管理のどこが効率化されるのかを整理しておくとスムーズです。

売上を伸ばすためのサイトではなく、従業員の作業負担を減らし、賃上げしやすい業務体制を作るサイトとして説明できるかが、申請判断の大きな分かれ目になります。

この記事を書いた人

目次