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人材開発支援助成金の不正受給とは?典型例・違反行為・グレーゾーンをわかりやすく解説

人材開発支援助成金は、従業員のスキルアップやリスキリングを支援する制度です。

研修費や訓練中の賃金の一部を助成してもらえるため、社員教育を進めたい企業にとっては心強い制度といえます。

ただし、制度の仕組みを誤って理解したまま申請すると、不正受給と判断されるリスクがあります。

特に近年は、「実質無料で研修を受けられる」「助成金で全額戻る」といった勧誘に関連する不正受給への注意喚起が強まっています。

厚生労働省も、人材開発支援助成金では訓練経費が無料になったり、助成金で利益を得たりすることはできないと明示しています。 

人材開発支援助成金の不正受給とは、簡単にいえば、実態と異なる申請や虚偽の書類によって、本来受け取れない助成金を受け取ることです。

代表的な例としては、訓練費を実質的に負担していないのに申請する、受講していない訓練を受講したことにする、訓練費や賃金助成の対象額を水増しする、といった行為があります。

さらに、2026年4月以降の見直しでは、申請事業主と密接な関係にある者への支払いは助成対象外とされるなど、審査上の注意点も増えています。

この記事では、人材開発支援助成金の不正受給とは何か、典型例、違反行為、グレーゾーン、ペナルティ、危険な勧誘の見抜き方まで整理します。

読後に、自社が避けるべき申請・契約・訓練運用のポイントが具体的に分かるようにまとめています。

目次

人材開発支援助成金の不正受給とは何か

人材開発支援助成金の不正受給は、単に「申請書を間違えた」というレベルの話ではありません。

制度上、本来は受け取れない助成金を、虚偽の申請、実態と異なる証明、形式だけ整えた訓練などによって受けようとする行為が問題になります。

助成金は公的な財源で支給されるため、書類上の整合性だけでなく、実際に訓練が行われたか、事業主が費用を負担しているか、対象要件を満たしているかまで見られます。 

虚偽申請や実態と異なる申請で助成金を受けることが不正受給に当たる

人材開発支援助成金の不正受給とは、実態と異なる内容で助成金を申請し、本来受けられない支給を受ける、または受けようとすることです。

厚生労働省の資料でも、助成金を不正に受給した事業主だけでなく、不正を助言した代理人なども問題になるとされています。

つまり、申請書に書かれている内容と、実際の訓練・支払い・受講状況が一致しているかが重要です。 

たとえば、実際には訓練を受けていないのに受講したことにする、出席していない時間を訓練時間に含める、支払っていない費用を支払ったように見せる、といった行為は危険です。

書類が一見そろっていても、実態が伴わなければ不正受給と判断される可能性があります。

事業主だけでなく訓練実施機関や代理人の関与も問題になる

不正受給は、申請した事業主だけの問題とは限りません。

訓練実施機関、コンサルタント、社会保険労務士などの代理人が、実態と異なる申請を助言したり、虚偽書類の作成に関与したりした場合も問題になります。

厚生労働省の資料では、不正受給を行った事業主だけでなく、不正に関与した代理人等も対象になり得ることが示されています。 

実際の現場では、事業主が制度に詳しくないまま、

外部業者から「この方法なら大丈夫です」と説明されて進めてしまうケースもあります。

しかし、最終的に申請主体は事業主です。訓練機関や代理人に任せきりにせず、自社でも費用負担、受講実態、提出書類の内容を確認する必要があります。

不正受給は返還だけでなく公表や不支給措置につながる

不正受給と判断されると、支給済み助成金の返還だけでは済まない可能性があります。

厚生労働省の資料では、不正受給から5年以内の支給申請は対象外となる不支給措置が示されています。

また、場合によっては事業主名や代表者名の公表、悪質なケースでは刑事告訴につながることもあります。 

不正受給のリスクを整理すると、主に次のようになります。

返還だけに目が行きがちですが、信用面への影響も非常に大きいです。

リスク内容
助成金の返還受給済みの助成金を返す必要がある
不支給措置一定期間、助成金を受けられなくなる可能性がある
事業主名等の公表企業名・代表者名などが公表される場合がある
信用低下取引先・金融機関・従業員からの信頼に影響する
刑事告訴悪質な場合は捜査機関への対応が生じることもある

このように、不正受給は「助成金を返せば終わり」という話ではありません。

企業の信用や今後の助成金活用にも関わるため、最初から不正につながる申請を避ける姿勢が重要です。

不正受給は実態と違う申請で助成金を受ける行為

人材開発支援助成金の不正受給は、虚偽申請や実態と異なる申請で、本来受け取れない助成金を受ける行為です。
事業主だけでなく、訓練機関や代理人の関与も問題になり得ます。
返還、公表、不支給措置、信用低下まで含めると、影響はかなり大きいため、書類の見た目より実態に合った申請を徹底することが大切です。

人材開発支援助成金で多い不正受給の典型例

人材開発支援助成金の不正受給で特に注意したいのは、訓練費の実質負担がないケースです。

厚生労働省は、事業主が訓練費を全額負担することが必須であり、返金やクーポン、サービス提供などを受けると、全額負担していないとみなされ助成金を受給できないと注意喚起しています。

つまり、「実質無料」はかなり危険なサインです。 

訓練経費を実質的に負担していないのに申請するケース

最も代表的な不正受給の典型例が、訓練費を実質的に負担していないケースです。

表面上は事業主が訓練機関へ費用を支払っていても、後からキャッシュバックを受ける、広告協力費として返金される、別サービスを無償提供される、といった形で実質的な負担がなくなる場合があります。

厚生労働省のリーフレットでも、「無料で訓練が受けられます」は危険サインとされています。 

このようなスキームでは、書類上は支払っているように見えても、実質的には訓練費を負担していないため、制度の前提を外します。

助成金は、企業が実際に負担した訓練経費の一部を助成する制度です。費用負担がないのに助成金を受け取れば、利益を得る形になってしまい、不正受給リスクが高まります。

受講実績や出席実態がないのに受講したことにするケース

受講実績がないのに、出席したことにして申請するケースも典型的な不正受給です。

人材開発支援助成金では、訓練を実施し、対象労働者が実際に受講していることが前提になります。

受講していない社員を受講者として記載したり、欠席時間を受講時間として扱ったりすれば、実態と異なる申請になります。

特にeラーニングや定額制サービスでは、受講状況が曖昧になりやすいです。

ログインしただけ、動画を開いただけ、実際には受講していないのに修了扱いにする、といった運用は危険です。

訓練実施機関の管理画面だけでなく、自社でも受講実態を確認できる状態にしておく必要があります。

訓練経費や賃金助成の対象額を実態より多く計上するケース

訓練経費や賃金助成の対象額を実態より多く計上することも、不正受給につながります。

たとえば、実際の受講料より高い金額で申請する、対象外の費用を混ぜる、実際には訓練していない時間を賃金助成の対象時間に含める、といった行為です。

人材開発支援助成金は、経費や訓練時間、賃金助成の対象額をもとに支給額が決まります。数字を少し盛るだけでも、支給額に直接影響します。

現場では「細かい調整」のつもりでも、制度上は不正な水増しと見られる可能性があります。

典型例をまとめると、次のようになります。

どれも「書類を作れるか」ではなく、「実態として説明できるか」が分かれ目です。

典型例何が問題か
キャッシュバック付き研修事業主が実質的に訓練費を負担していない
広告協力費などで返金名目を変えて費用が戻っている
受講していない社員を申請訓練実態がない
欠席時間を受講時間に含める訓練時間の水増しになる
対象外費用を混ぜる助成対象経費の不正計上になる

このようなケースは、事業主側に「不正をするつもり」がなかったとしても、結果として不正受給に近づきやすいです。

怪しい提案を受けた時点で立ち止まることが大切です。

実質無料・受講実態なし・金額水増しは典型的な危険パターン

人材開発支援助成金の不正受給で多いのは、訓練費を実質的に負担していないケース、受講実態がないケース、経費や時間を水増しするケースです。
特に「実質無料」は危険なサインです。
事業主が本当に費用を負担し、社員が実際に受講し、申請額が実態と一致しているかを確認する必要があります。

違反行為として見られやすいポイント

不正受給は、明らかな虚偽申請だけでなく、対象外の支払いを含めたり、制度改正で除外された費用をそのまま申請したりすることでも問題になります。

特に2026年4月以降は、密接な関係にある者への支払いが助成対象外になるなど、注意すべきルールが増えています。

最新ルールを見ずに過去の感覚で申請すると、意図せず違反に近づくことがあります。

虚偽の訓練受講証明書や書類を作成・提出する

訓練を実施していないのに受講証明書を作る、出席していない時間を出席扱いにする、修了していない訓練を修了済みとする。このような書類作成は、非常に重い違反行為です。

書類が整っていても、その内容が実態と違えば不正受給に当たる可能性があります。

訓練実施機関が証明書を出している場合でも、事業主が安心しきるのは危険です。

助成金を申請する以上、事業主側でも受講者、受講日、訓練時間、訓練内容が正しいかを確認しておく必要があります。

外部機関の書類だから大丈夫、ではありません。

助成対象外の支払いを対象経費として申請する

助成対象にならない費用を対象経費として申請することも問題です。

訓練と直接関係のない費用、対象外のサービス、実態として訓練費とはいえない支払いを混ぜると、助成対象経費の不正計上になり得ます。

特に注意したいのは、セット販売や抱き合わせ契約です。

研修費に見える請求書の中に、実際には広告費、コンサル費、システム利用料、別サービスの対価が含まれている場合、どこまでが助成対象なのかを切り分ける必要があります。

請求書の名目だけでなく、中身を確認することが重要です。

密接な関係にある者への支払いを助成対象に含める

2026年4月以降の見直しでは、申請事業主と「密接な関係にある者」への支払いは、全コース共通で助成対象外とされています。

具体的には、代表者等の配偶者や3親等以内の親族、親会社・子会社、代表者自身や雇用する労働者が代表を務める教育訓練機関への支払いなどが挙げられています。

このルールは、身内や関連会社を使って訓練費を循環させるような申請を防ぐ意味があります。

以前から問題視されやすかった論点ですが、2026年4月以降はより明確に注意すべきポイントになっています。

関連会社や知人の研修会社を使う場合は、助成対象になるかを慎重に確認したほうが安全です。

書類虚偽・対象外経費・関係者取引は特に注意が必要

違反行為として見られやすいのは、虚偽の受講証明書や出席書類、助成対象外経費の申請、密接な関係にある者への支払いの計上です。
特に関係者取引は2026年4月以降の重要な注意点です。申請前には、書類の内容だけでなく、支払い先や契約内容の実態まで確認する必要があります。

グレーゾーンで特に注意したいケース

不正受給の怖さは、最初から明らかに違法と分かるケースばかりではない点です。

外部業者から「問題ありません」「みんなやっています」「実質無料ですが不正ではありません」と説明されると、事業主側も判断に迷うことがあります。

けれども、人材開発支援助成金では、形式より実質が重要です。

費用負担や訓練実態を説明できないスキームは、グレーに見えてもかなり危険です。 

訓練費を後からキックバックや値引きで戻すケース

表向きは訓練費を支払っていても、後からキャッシュバック、広告協力費、紹介料、ポイント、クーポン、別サービスの無償提供などで戻ってくる場合は危険です。

厚生労働省は、訓練経費の返金、クーポン、サービス提供などを受け取ると、事業主が全額負担していないとみなされ、助成金を受給できないと注意喚起しています。 

ここで大切なのは、名目ではなく実質です。「キャッシュバックではなく広告協力費です」と言われても、結果として訓練費が戻るなら危険です。

助成金を使って訓練費が無料になったり、利益が出たりする構造は避けるべきです。

サブスク型やeラーニングで実際の受講実態が曖昧なケース

サブスク型やeラーニングの研修は便利ですが、受講実態が曖昧になりやすい面があります。

ログイン履歴だけで本当に訓練を受けたといえるのか、対象労働者が実際に学習したのか、業務時間中に訓練として実施されたのか。こうした点が説明できないと、後で問題になりやすくなります。

特に定額制サービスでは、契約しているだけで実際の受講が伴わないケースに注意が必要です。

制度上求められるのは、助成対象となる訓練の実施実態です。

動画を見られる環境を用意しただけでは、訓練実施の説明として弱い場合があります。

訓練機関任せで事業主が内容を十分確認していないケース

外部の訓練機関や代理人が「全部やります」と言ってくれると、事業主側は楽に感じるかもしれません。

しかし、訓練内容、費用負担、受講管理、提出書類の確認まで丸投げすると危険です。

不正スキームに巻き込まれても、事業主が「知らなかった」と言えば必ず免れるわけではありません。

判断に迷いやすいグレーゾーンを整理すると、次のようになります。

少しでも当てはまる場合は、申請前に管轄労働局や公式窓口で確認するのが安全です。

グレーに見えるケース危険な理由
後から返金される実質的に訓練費を負担していない
広告協力費が戻る名目を変えたキックバックに見られ得る
受講ログだけで管理実際の受講実態を説明しにくい
業者が書類をすべて作る事業主が内容を把握できない
「専門家監修だから大丈夫」と言われる公式要件を満たす保証にはならない

このようなケースは、最初は便利に見えます。

ただ、助成金の申請では、自社で説明できない仕組みに乗ること自体がリスクになります。

グレーゾーンは費用負担と受講実態を説明できるかで判断する

グレーゾーンで特に注意したいのは、訓練費が後から戻るケース、サブスク型やeラーニングで受講実態が曖昧なケース、訓練機関任せで内容を確認していないケースです。
判断に迷ったら、自社が本当に費用を負担しているか、社員が実際に受講しているか、書類内容を自社で説明できるかで見直すと危険を避けやすくなります。

不正受給と判断された場合のペナルティ

不正受給と判断された場合の影響は、助成金の返還だけではありません。

企業名や代表者名の公表、不支給措置、今後の助成金申請への影響、悪質な場合の刑事告訴など、経営上かなり大きなダメージにつながります。

人材育成のための助成金で信用を落としてしまっては、本末転倒です。

支給済み助成金の返還が求められる

不正受給と判断されると、まず支給済みの助成金の返還が問題になります。

本来受け取れない助成金を受け取っているため、返還を求められるのは当然の流れです。

返還額はケースによりますが、不正に受け取った分が対象になります。

さらに、場合によっては加算金や延滞金が関係することもあります。

単に「もらった分を返せば済む」とは限らず、金銭面の負担は想像より大きくなる可能性があります。

事業主名や関与者名が公表されることがある

不正受給では、事業主名や代表者名が公表されることがあります。

労働局のページでも、人材開発支援助成金の不正受給に関与した事業主の公表事例が掲載されています。

実名公表されると、取引先、金融機関、採用候補者、従業員からの信頼に影響します。

特に近年は、助成金の不正受給に対する目が厳しくなっています。

企業名が公表されると、検索結果に残り続ける可能性もあります。

短期的な助成金額より、信用面の損失のほうが大きくなるケースもあります。

不支給措置や他の助成金申請への影響が生じる

厚生労働省の資料では、不正受給を行ってから5年以内の事業主等は支給対象にならないことが示されています。

また、不正行為に関与した役員等が属する事業主も支給対象外になる場合があります。 

つまり、一度の不正受給が、その後の助成金活用に長く影響する可能性があります。

人材開発支援助成金だけでなく、他の雇用関係助成金にも影響が及ぶことがあります。

助成金を継続的に活用したい企業ほど、不正リスクを避ける意識が必要です。

不正受給は返還だけでなく信用と今後の申請にも影響する

不正受給と判断されると、助成金の返還、公表、不支給措置、信用低下など複数の不利益が生じます。
悪質な場合には刑事告訴の可能性もあります。
金額だけでなく、企業の信用と今後の制度利用に影響するため、怪しい申請や危険な勧誘には乗らないことが重要です。

危険な勧誘やスキームを見抜くポイント

不正受給に巻き込まれないためには、危険な勧誘を早い段階で見抜くことが大切です。

人材開発支援助成金は制度が複雑なため、外部業者に相談すること自体は悪いことではありません。

ただし、「実質無料」「必ず受給できる」「書類はこちらで整えるから大丈夫」といった言葉には注意が必要です。 

「実質無料で受けられる」と強調する案内は警戒する

厚生労働省は、「無料で訓練が受けられます」は危険サインと明示しています。

事業主が訓練費を全額負担することが必須であり、後から返金やサービス提供を受けると助成金を受給できない可能性があります。 

実際の現場では、「助成金でほぼ戻るので実質無料」「広告協力で負担なし」「キャッシュバックがあります」といった案内が出ることがあります。

こうした提案は、名目がどうであれかなり危険です。少しでも費用が戻る仕組みがあるなら、申請前に立ち止まるべきです。

訓練実態より申請のしやすさばかりを売りにする業者に注意する

本来、人材開発支援助成金は従業員の能力開発を支援する制度です。

それなのに、訓練内容よりも「申請が簡単」「受給率が高い」「書類は全部作る」といった点ばかりを強調する業者には注意が必要です。

助成金は、制度要件を満たした訓練を実施した結果として支給されるものです。

申請しやすさだけが前面に出て、訓練の質や実施実態が薄い場合は、不正受給や不支給のリスクが高まります。

事業主側で負担や受講実態を説明できないなら立ち止まる

危険なスキームかどうかを見抜くうえで、いちばん実務的な判断基準は、自社で説明できるかです。

訓練費を誰が負担しているのか、社員がいつ何を受講したのか、受講料の内訳は何か、なぜこの訓練が必要なのか。

これらを説明できないなら、申請を進める前に確認が必要です。

危険な勧誘のサインは、次のように整理できます。

ひとつでも当てはまる場合は、すぐに契約せず、公式資料や労働局で確認したほうが安全です。

  • 「実質無料」と強調される
  • 「キャッシュバックがある」と言われる
  • 「広告協力すれば費用負担なし」と言われる
  • 「専門家監修だから不正ではない」と説明される
  • 訓練内容より助成金額ばかり説明される
  • 受講実態の管理方法が曖昧
  • 契約内容や費用内訳を自社で説明できない

このような案内は、うまい話に見えても助成金の制度趣旨から外れやすいです。

助成金は「無料で研修を受ける制度」ではありません。

実質無料やキャッシュバックの勧誘は危険サイン

危険な勧誘を見抜くポイントは、「実質無料」「キャッシュバック」「費用負担なし」といった言葉です。訓練実態より申請のしやすさばかりを強調する業者にも注意が必要です。
事業主側で費用負担や受講実態を説明できないなら、申請前に必ず立ち止まるべきです。

不正受給を避けるために事業主が確認したいこと

不正受給を避けるには、制度を難しく考えすぎるより、基本に立ち返ることが大切です。

訓練費を本当に負担しているか、社員が実際に受講しているか、提出書類が実態と一致しているか。

この3つを自社で確認できれば、多くの危険は避けやすくなります。

外部業者や訓練機関に任せる場合でも、最終確認を事業主側で行うことが欠かせません。

訓練費を誰がどのように負担しているかを明確にする

まず確認すべきなのは、訓練費の負担関係です。

人材開発支援助成金は、事業主が支払った訓練経費の一部を助成する制度です。費用が後から戻る、別名目で返金される、サービス提供で実質相殺されるといった仕組みがあるなら危険です。 

契約前には、請求書、契約書、支払い条件、返金や特典の有無を確認しましょう。

特に「助成金が出たら一部戻します」「広告協力で相殺します」といった条件がある場合は、申請を進める前に必ず確認が必要です。

訓練実施の証拠を自社でも管理する

訓練実施の証拠は、訓練機関任せにしないほうが安全です。

受講者名、受講日時、訓練内容、出席状況、修了状況、eラーニングの受講ログなどを、自社でも確認できる状態にしておくことが重要です。

特にオンライン訓練では、受講者本人が実際に受講したかどうかを説明できる記録が必要です。

単なる申込履歴や契約書だけでは、訓練実態の説明として不十分になることがあります。

支給申請のためだけでなく、後から確認を受けたときに説明できるよう管理しておくべきです。

訓練機関や代理人の説明をうのみにせず公式資料で確認する

外部業者の説明が分かりやすくても、最終的な判断は公式資料に照らす必要があります。

特に、不正受給に関する注意喚起、対象外経費、密接な関係にある者への支払い、定額制・eラーニングの扱いなどは、年度によって見直されることがあります。

2026年4月以降の変更点でも、密接な関係にある者への支払いが助成対象外になるなど、注意点が増えています。

不正受給を避けるための確認項目をまとめると、次のとおりです。

申請前のチェックリストとして使いやすい部分です。

確認項目見るべきポイント
費用負担事業主が実質的に全額負担しているか
返金・特典キャッシュバックや別サービス提供がないか
受講実態実際に誰がいつ何を受講したか
書類内容申請書類と実態が一致しているか
支払い先密接な関係にある者への支払いではないか
外部業者説明内容を公式資料で確認しているか

この表の項目を確認するだけでも、不正受給に近づくリスクはかなり下げられます。

とくに「費用負担」と「受講実態」は最優先で見るべきです。

費用負担・受講実態・公式確認の3点で不正リスクを下げる

不正受給を避けるには、訓練費を誰が負担しているか、社員が実際に受講しているか、外部業者の説明が公式資料と合っているかを確認することが重要です。
訓練機関や代理人に任せる場合でも、自社で説明できる状態を保つ必要があります。
怪しいと感じたら、申請前に管轄労働局へ確認するのが安全です。

悪意がなくても不正受給に近づきやすい場面

不正受給というと、意図的にだます行為を想像しがちです。

しかし、実務では「知らなかった」「業者に言われた」「書類上は問題ないと思った」という形で危険な申請に近づくことがあります。

悪意がなくても、制度の前提を外していれば不正受給と判断される可能性があります。

だからこそ、グレーに見える場面ほど慎重な確認が必要です。

制度理解が曖昧なまま「勧められるがまま」で申請する

制度をよく理解しないまま、外部業者に勧められるまま申請するのは危険です。

特に人材開発支援助成金は、訓練内容、対象経費、訓練時間、受講実態、費用負担など確認すべき点が多くあります。

事業主側が理解しないまま進めると、後から「実は対象外だった」と気づくことがあります。

外部業者のサポートを受けること自体は問題ありません。

ただし、助成金の申請主体は事業主です。最低限、自社で「何の訓練を、誰に、いくらで、どのように実施するのか」を説明できる状態にしておく必要があります。

訓練の実態確認より書類づくりを優先してしまう

助成金申請では書類が重要です。しかし、書類づくりが目的化すると危険です。

訓練実態が曖昧なのに、出席簿や受講証明書だけを整える。費用負担が実質的にないのに、請求書や領収書だけを整える。こうした運用は、不正受給に近づきます。

本来、書類は実態を証明するためのものです。実態がない書類だけ整えても、確認を受けたときに説明できません。

書類が先ではなく、訓練実態が先という順番を崩さないことが重要です。

疑問があっても労働局や公式窓口に確認しない

「少し怪しいかも」と感じたのに、確認せず進めることも危険です。

厚生労働省のリーフレットでも、不安な場合や判断に迷った場合は、すぐに労働局へ相談するよう案内されています。 

特に、実質無料、返金、関係会社への支払い、eラーニングの受講実態、外部業者のスキームに疑問がある場合は、自己判断で進めないほうが安全です。

確認する手間より、不正受給と判断された後のダメージのほうがずっと大きいです。

悪意がなくても危険になりやすい場面は、次のように整理できます。

自社が当てはまっていないか、申請前に見直しておくと安心です。

  • 制度内容をよく理解せず業者任せにする
  • 「みんなやっている」と言われて安心する
  • 実態より書類の完成を優先する
  • 費用が戻る仕組みを軽く考える
  • 受講ログや出席状況を確認していない
  • 疑問があるのに労働局へ確認しない

このような状態は、故意でなくても危険です。

助成金申請では、分からないまま進めるより、止まって確認するほうが結果的に早く安全です。

うっかり不正を防ぐには自社で説明できる状態が必要

悪意がなくても、制度理解が曖昧なまま業者任せにしたり、訓練実態より書類づくりを優先したりすると、不正受給に近づくことがあります。
疑問がある場合は、自己判断で進めず労働局や公式窓口に確認することが大切です。
最終的には、自社で費用負担・受講実態・申請内容を説明できるかが大きな分かれ目です。

人材開発支援助成金の不正受給は実態と違う申請から起きやすい

人材開発支援助成金の不正受給とは、虚偽申請や実態と異なる申請によって、本来受け取れない助成金を受けることです。

典型例は、訓練費を実質的に負担していないのに申請するケース、受講実態がないケース、訓練経費や賃金助成の対象額を水増しするケースです。

特に「実質無料」「キャッシュバック」「広告協力費で相殺」といった提案は、厚生労働省も危険サインとして注意喚起しています。 

また、2026年4月以降は、申請事業主と密接な関係にある者への支払いが助成対象外になるなど、関係者取引にも注意が必要です。

不正受給と判断されれば、助成金の返還だけでなく、事業主名等の公表、不支給措置、信用低下につながる可能性があります。

最後に、不正受給を避けるために確認したいポイントを整理します。

確認すること判断の目安
訓練費の負担自社が実質的に負担しているか
返金や特典キャッシュバックやサービス提供がないか
受講実態社員が実際に訓練を受けているか
書類の正確性申請内容と実態が一致しているか
支払い先関連会社や親族など対象外支払いではないか
外部業者の説明公式資料と照らして確認しているか

人材開発支援助成金は、適正に使えば社員教育を進めるうえで非常に有効な制度です。

ただし、助成金で訓練費を無料にしたり、利益を得たりする制度ではありません。

怪しい勧誘や説明できないスキームには乗らず、費用負担・受講実態・書類内容を自社で説明できる状態を保つことが、不正受給を避けるいちばん確実な方法です。

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