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業務改善助成金は個人事業主も使える?2026年度の対象条件・助成額・申請方法を解説

業務改善助成金は、個人事業主でも条件を満たせば利用できます。

ただし、自分一人だけで事業をしていて従業員を雇用していない場合は対象になりません。

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金を引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資などを行った中小企業・小規模事業者を支援する制度だからです。

2026年度は制度内容が一部変更され、

  • 50円コース
  • 70円コース
  • 90円コース

の3種類となっています。

助成率は事業場内最低賃金に応じて4分の5または4分の3で、助成上限額は条件によって最大600万円です。

また、2026年度は賃金引き上げの対象となる労働者について、雇用保険への加入や雇入れ後6か月以上といった条件にも注意が必要です。

この記事では、個人事業主が業務改善助成金を利用するための条件、2026年度の助成額、対象経費、申請方法、申請時の注意点まで解説します。

目次

個人事業主も業務改善助成金を利用できる

業務改善助成金は、法人だけを対象とした制度ではありません。

個人で店舗や事業所を経営している場合でも、中小企業・小規模事業者として要件を満たせば申請できます。

個人事業主についても、生産性要件の算定方法が公式の交付要領で定められており、制度上の対象となることが確認できます。

従業員を雇用している個人事業主は対象になり得る

たとえば、

  • 個人経営の飲食店
  • 美容室
  • 小売店
  • 整骨院
  • 製造業
  • サービス業

などで従業員を雇っている場合は、業務改善助成金を利用できる可能性があります。

重要なのは、法人か個人かではありません。

事業場内最低賃金の引き上げと、生産性向上につながる設備投資等を行うことが制度の基本です。

従業員がいない一人事業・一人親方は対象外

業務改善助成金は、従業員の賃金を引き上げることが支給要件です。

そのため、

自分一人だけで事業をしている

という個人事業主は利用できません。

事業主本人の所得を増やす制度ではなく、雇用している労働者の賃金引き上げを支援する制度だからです。

業務委託先や外注先がいるだけでは、通常は「自社の労働者を賃上げする」という要件を満たしません。

法人か個人かではなく中小企業・小規模事業者の要件で判断する

個人事業主だから特別な申請枠が用意されているわけではありません。

基本的な支給要件は法人と共通です。

まず確認したいのは、

  • 従業員を雇用しているか
  • 賃金条件を満たしているか
  • 対象となる賃上げを行えるか
  • 生産性向上につながる設備投資等を行うか

です。

「個人事業主だから使えない」「小規模だから使えない」と判断する必要はありません。

個人事業主が業務改善助成金を申請する条件

2026年度の業務改善助成金では、従業員を雇っていれば自動的に対象になるわけではありません。

対象労働者や現在の賃金水準について確認が必要です。

賃上げ対象者は雇用保険被保険者である必要がある

2026年度は、事業場内最低賃金者や賃金引き上げ人数として数える労働者について、交付申請時点で雇用保険に加入していることが必要です。

そのため、

  • 正社員
  • パート
  • アルバイト

という雇用形態だけで判断するのではなく、雇用保険の加入状況を確認します。

パートやアルバイトであっても、条件を満たして雇用保険被保険者となっていれば対象になり得ます。

雇入れ後6か月を経過した労働者の賃金を引き上げる

2026年度の業務改善助成金では、事業場内最低賃金について、雇入れ後6か月を経過した労働者を基準に確認します。

たとえば、申請直前に採用した従業員だけを対象に賃上げして利用する、といった進め方はできない場合があります。

個人事業主の場合、従業員数が少ないケースも多いため、

  • 雇入れ日
  • 雇用保険加入日
  • 現在の時給換算額

を早めに確認しましょう。

事業場内最低賃金が2026年度の対象範囲に入っている必要がある

業務改善助成金では、「事業場内最低賃金」が重要です。

事業場内最低賃金とは、その店舗・事業所で働く労働者のうち、最も低い時間当たり賃金です。

2026年度は制度改正があり、対象となる事業場の賃金条件も従来から変更されています。

過去年度の記事にある「地域別最低賃金との差が50円以内」という条件を、そのまま2026年度の申請に当てはめないよう注意しましょう。

申請時には、その年の地域別最低賃金と最新の交付要領を確認する必要があります。

解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないことも必要

業務改善助成金では、設備投資と賃上げだけでなく、不交付事由に該当しないことも必要です。

たとえば、

  • 従業員の解雇
  • 賃金引き下げ
  • 労働関係法令に関する一定の問題

などがある場合、支給を受けられないことがあります。

助成金を利用するためだけに一部の従業員の賃金を上げ、別の従業員の賃金を下げるといった運用は避けましょう。

2026年度の賃上げ額と助成上限額

2026年度の業務改善助成金では、事業場内最低賃金の引き上げ額に応じて3つのコースがあります。

コース賃上げ額
50円コース50円以上
70円コース70円以上
90円コース90円以上

2025年度以前の30円・45円・60円・90円コースとは異なります。

2026年度に申請する場合は、50円・70円・90円の3コースで判断します。

引き上げる労働者数によって助成上限額が変わる

助成上限額は、賃上げ額だけではなく、何人の労働者を引き上げるかによって変わります。

たとえば90円コースでは、

引き上げる労働者数通常の上限額事業場規模30人未満
1人90万円100万円
2~3人150万円240万円
4~5人270万円270万円
6~7人360万円360万円
8人以上450万円450万円
10人以上※600万円600万円

※10人以上の区分は所定の要件を満たす場合に適用されます。

個人事業主は従業員数が少ないケースもありますが、1人の賃上げから申請できる区分があります。

最大600万円まで助成される場合がある

2026年度の助成上限額は、条件を満たす場合に最大600万円です。

ただし、

600万円分の設備を買えば600万円もらえる

という意味ではありません。

実際の支給額は、

助成対象経費×助成率
と
コースごとの助成上限額

を比較して決まります。

事業場内最低賃金に応じて助成率は4/5または3/4

2026年度の助成率は、

  • 事業場内最低賃金1,050円未満:4/5
  • 事業場内最低賃金1,050円以上:3/4

です。

たとえば助成対象経費が100万円で、助成率4/5なら、計算上の助成額は80万円です。

ただし、選択したコース・賃上げ人数による上限額を超えて受給することはできません。

個人事業主が使える主な対象経費

業務改善助成金は、単に賃金を引き上げれば受給できる制度ではありません。

生産性向上につながる設備投資等を同時に行う必要があります。

POSレジ・券売機・製造設備など生産性向上設備が対象

対象になり得る代表例には、

  • POSレジ
  • 自動釣銭機
  • 券売機
  • 製造機械
  • 包装機
  • 業務用設備
  • 在庫管理システム

などがあります。

たとえば飲食店でPOSレジを導入し、注文・会計・在庫管理の作業時間を削減するといった取り組みです。

厚生労働省も、生産性向上のための設備投資としてPOSレジシステムなどを例示しています。

コンサルティングや業務フロー改善も対象になる場合がある

対象経費は機械・設備だけではありません。

業務フローの見直しなど、生産性向上につながるコンサルティング費用も助成対象になる場合があります。

ただし、通常の経営相談や事業運営費なら何でも対象になるわけではありません。

業務改善計画との関連性が必要です。

物価高騰等要件を満たす場合は対象経費が拡大される

2026年度も一定の条件を満たす「特例事業者」について、助成対象経費が拡大される仕組みがあります。

物価高騰等要件は、原材料費の高騰など外的要因により、申請前6か月間平均の利益率が前年度と比べて3%ポイント以上低下していることなどが基準です。

該当する場合は、通常より幅広い設備が対象となる可能性があります。

一般的な自動車は2026年度から原則対象外

過去年度には、特例事業者について一定の自動車購入を認める取り扱いがありました。

しかし2026年度は制度が変更され、特殊用途自動車を除く自動車は助成対象外です。

そのため、

  • 営業用乗用車
  • 通常の軽自動車
  • 一般的な軽バン
  • 通常の貨物車

などを業務改善助成金で購入する前提では考えない方がよいでしょう。

車両購入を検討している場合は、特殊用途自動車に該当するか、他の支援制度を利用できないか確認する必要があります。

個人事業主が業務改善助成金を申請する流れ

業務改善助成金は、設備を購入してから申請する制度ではありません。

交付申請から設備導入まで、順番を守ることが重要です。

事業場内最低賃金と対象労働者を確認する

最初に、

  • 従業員が雇用保険へ加入しているか
  • 雇入れ後6か月以上経過しているか
  • 現在の時間当たり賃金はいくらか

を確認します。

申請では賃金台帳等も必要です。

労働局によっては、申請前6か月分の賃金台帳を求めています。

月給制の場合も時間給へ換算し、事業場内最低賃金を確認しましょう。

賃上げ計画と設備投資計画を作成する

次に、

  • 何円賃上げするか
  • 何人を賃上げするか
  • 何の設備を導入するか
  • 設備導入によってどの業務を改善するか

を決めます。

たとえば、

会計作業に1日2時間かかっているためPOSレジを導入し、1時間へ短縮する

というように、設備導入と生産性向上との関係を具体的に説明できる状態にします。

交付申請を行い交付決定を待つ

必要書類をそろえたら、交付申請を行います。

申請時には、

  • 交付申請書
  • 事業実施計画
  • 賃金台帳
  • 設備の見積書

などを提出します。

労働局では、設備について2社以上の見積書を求める場合があります。

申請した時点では、設備を発注・購入しないよう注意してください。

交付決定後に賃上げ・設備導入を実施する

2026年度は、賃金の引き上げを申請後に行う必要があります。

また、地域別最低賃金の発効日の前日までに賃金引き上げを実施する必要があります。

設備についても、交付決定を確認してから導入します。

「申請したから大丈夫」と判断して、交付決定前に設備を購入しないようにしましょう。

事業完了後に実績報告と支給申請を行う

設備の納品・支払い、賃金引き上げなどが完了したら、実績報告と支給申請を行います。

2026年度の事業完了期限は原則として交付決定年度の1月31日です。

実績報告・支給申請は、設備導入等の完了後、定められた期限までに提出します。

佐賀労働局では、設備の納品・経費支払い・賃上げのすべてが完了した日から1か月を経過する日、または4月10日のいずれか早い日を提出期限として案内しています。

個人事業主が申請するときの注意点

個人事業主の場合、法人と比べて従業員数が少ないこともあり、1人の雇用条件が対象可否に大きく影響します。

交付決定前に設備を購入しない

もっとも注意したいのが購入時期です。

たとえば、

助成金を使う予定だから、先にPOSレジを注文しておこう

という進め方は避けましょう。

交付決定前に設備を導入した場合、助成対象外になる可能性があります。

まず申請し、交付決定を確認してから設備の発注・購入へ進むのが基本です。

複数店舗がある場合は事業場ごとに確認する

業務改善助成金は、企業・事業者単位ではなく事業場単位で考える制度です。

個人事業主が、

  • 本店
  • 2号店
  • 別地域の営業所

など複数の事業場を運営している場合、それぞれの事業場について賃金条件や労働者を確認する必要があります。

店舗Aの最低賃金が低いからといって、店舗Bも同じ条件で申請できるとは限りません。

各事業場の従業員・賃金・設備投資を分けて確認しましょう。

賃金台帳・出勤簿・雇用関係書類を整備する

個人事業では、給与計算や勤怠管理を簡易的に行っているケースもあります。

しかし、助成金申請では賃金台帳などの資料が必要です。

特に、

  • 雇入れ日
  • 労働時間
  • 支払賃金
  • 雇用保険加入状況

を確認できる状態にしておきましょう。

申請時の数字と実際の給与支払いが一致していることが重要です。

2026年度は申請期限が地域ごとに異なる

2026年度の申請受付は2026年9月1日に開始されています。

申請期限は、

申請する事業場がある都道府県の地域別最低賃金発効日の前日
または
2026年11月30日

のいずれか早い日です。

そのため、全国一律で11月30日まで申請できるわけではありません。

都道府県によっては、それよりかなり早く締め切られます。

設備の相見積もりや賃金台帳の準備も必要なため、申請を検討している場合は早めに地域の締切日を確認しましょう。

賃上げは申請後・最低賃金発効前に行う

2026年度は賃上げのタイミングにも注意が必要です。

賃金引き上げは申請後に行い、申請事業場に適用される地域別最低賃金の発効日の前日までに実施する必要があります。

先に賃上げしてから申請することはできません。

「最低賃金が上がったから自動的に賃金を変更した」というだけでは、業務改善助成金の賃上げとして認められない可能性があります。

申請と賃金改定の順番を確認してください。

個人事業主が対象になるか30秒でチェック

申請を検討している場合は、まず次の項目を確認しましょう。

チェック項目確認
従業員を雇っている□
対象労働者が雇用保険に加入している□
雇入れ後6か月以上経過している□
2026年度の賃金条件を満たしている□
50円・70円・90円以上の賃上げを予定している□
生産性向上につながる設備投資等を行う□
まだ設備を購入・発注していない□
地域ごとの申請期限に間に合う□

すべてに当てはまる場合は、業務改善助成金を利用できる可能性があります。

ただし、実際の対象可否は申請事業場の状況や設備内容、不交付事由なども含めて判断されます。

業務改善助成金は従業員を雇う個人事業主も利用できる

業務改善助成金は、法人だけでなく個人事業主でも利用できます。

ただし、

自分一人だけで事業をしている
→ 対象外

従業員を雇用している
→ 条件を満たせば対象になる可能性あり

という違いがあります。

2026年度に確認したい主なポイントは、

①従業員を雇用している
↓
②対象者が雇用保険被保険者
↓
③雇入れ後6か月以上経過
↓
④事業場の賃金要件を確認
↓
⑤50円・70円・90円以上賃上げ
↓
⑥生産性向上の設備投資等を実施

です。

助成率は事業場内最低賃金1,050円未満なら4分の5、1,050円以上なら4分の3です。条件によって最大600万円まで助成される場合があります。

ただし、設備を先に購入してから申請することは避けましょう。

基本的には、

対象確認
↓
賃上げ・設備計画作成
↓
交付申請
↓
交付決定
↓
設備導入・賃上げ
↓
実績報告・支給申請

という順番で進めます。

また、2026年度は申請期限が都道府県ごとの地域別最低賃金発効日に左右されます。申請を検討している個人事業主は、まず管轄の労働局で締切日と最新の交付要領を確認し、従業員の雇入れ日・雇用保険・現在の賃金を整理してから設備投資計画を進めましょう。

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