省力化投資補助金の「カタログ注文型」は、人手不足に悩む中小企業や小規模事業者などが、公式カタログに登録された省力化製品を導入する際に使える補助金です。
補助率は1/2以下で、補助上限額は従業員数によって異なります。2026年3月19日以降は、従業員5人以下で500万円、6~20人で750万円、21人以上で1,000万円が通常上限です。一定の賃上げ要件を満たす場合は、最大1,500万円まで引き上げられます。
一方で、省力化につながる設備であれば自由に選べるわけではありません。対象になるのは公式カタログに掲載された製品で、登録された販売事業者と共同で申請する必要があります。
申請前に製品を発注すると補助対象外になる可能性もあります。導入したい設備がある場合は、まず公式カタログへの掲載状況と販売事業者を確認しましょう。
省力化投資補助金のカタログ型とは?

省力化投資補助金のカタログ注文型は、人手不足を解消するために省力化製品を導入する中小企業等を支援する制度です。
一般に「カタログ型」と呼ばれることもありますが、正式には「カタログ注文型」とされています。
公式カタログの省力化製品を導入する中小企業等を支援する制度
カタログ注文型では、あらかじめ省力化効果などが確認され、公式カタログへ登録された製品から導入する設備を選びます。
たとえば、人が行っていた作業の一部を自動化したり、少ない人数でも同じ業務量をこなせるようにしたりする設備が対象です。
制度の目的は、単なる設備更新ではありません。
人手不足を解消しながら生産性を高め、従業員の賃上げにつなげることが求められています。
カタログ注文型は販売事業者と共同で申請する
カタログ注文型の大きな特徴は、申請者だけで手続きを完結させる仕組みではないことです。
公式カタログから導入したい製品を選んだ後、その製品について登録されている販売事業者を選択します。
その後、販売事業者と事業計画などを作成し、共同で交付申請を行います。
通常の補助金のように、
設備を選ぶ
自社だけで申請する
好きな販売店から購入する
という流れではありません。
カタログにない設備は原則として対象にならない
カタログ注文型では、公式製品カタログに登録されていない製品は原則として補助対象になりません。
たとえば、自社が以前から欲しかった機械が省力化につながるとしても、カタログ未登録ならそのまま申請することはできません。
そのため、設備を選んでから制度を確認するのではなく、最初に公式カタログを確認する方が効率的です。
自社専用の設備構成や、カタログにない機械・システムを導入したい場合は、一般型など別の制度が適することがあります。
省力化投資補助金カタログ型の補助率・補助上限額

カタログ注文型の補助率は1/2以下です。
補助上限額は従業員数によって異なり、一定の賃上げ要件を満たす場合は上限額が引き上げられます。
補助率は一律1/2以下
カタログ注文型の補助率は、原則として補助対象経費の1/2以下です。
企業規模によって、小規模事業者だけ2/3になるといった仕組みではありません。
たとえば、補助対象経費が400万円で、その全額が補助対象として認められた場合、補助額の目安は最大200万円です。
ただし、実際には従業員数ごとの補助上限額を超えることはできません。
従業員5人以下は上限500万円
2026年3月19日以降、従業員5人以下の事業者は通常500万円が補助上限額です。
賃上げ特例の要件を満たす場合は、750万円まで引き上げられます。
以前の制度では、現在より低い上限額が設定されていました。
過年度の解説を参考にする場合は、古い金額をそのまま使わないようにしてください。
従業員6~20人は上限750万円
従業員数が6~20人の場合は、通常750万円が上限です。
一定の賃上げ要件を達成する場合は、1,000万円まで引き上げられます。
従業員数による区分は、申請時点の企業規模を基に確認する必要があります。
従業員21人以上は上限1,000万円
従業員21人以上の場合は、通常1,000万円が補助上限額です。
賃上げ特例を適用できれば、最大1,500万円まで引き上げられます。
カタログ注文型で「最大1,500万円」と紹介されることがありますが、すべての事業者が1,500万円を申請できるわけではありません。
従業員21人以上であり、さらに賃上げ特例の条件を満たす必要があります。
賃上げ要件を満たすと最大1,500万円まで引き上げられる
補助上限額を引き上げるには、一定の賃上げ目標を設定し、達成する必要があります。
2026年3月19日以降の主な条件は、
- 事業場内最低賃金を3.0%以上引き上げる
- 給与支給総額を6%以上増加させる
ことです。
両方を満たすことが必要です。
賃上げ特例を利用して高い上限額で交付決定を受けても、最終的に要件を達成できなければ補助額が減額される場合があります。
自社の給与計画も含めて申請するか判断しましょう。
省力化投資補助金カタログ型の対象者・申請要件

カタログ注文型は、省力化設備を導入したいすべての企業が利用できるわけではありません。
中小企業等であることに加え、人手不足や生産性向上に関する要件を満たす必要があります。
人手不足の状態にある中小企業等が対象
対象となるのは、人手不足の状態にある中小企業や小規模事業者などです。
人手不足とは、単に求人を出しているというだけではありません。
現在の業務において人員不足が生じており、省力化製品の導入によって作業時間や必要人数を減らせることを説明する必要があります。
たとえば、
- 人材を採用しても必要人数を確保できない
- 従業員の負担が大きい
- 人手による単純作業が多い
- 業務量に対して人員が不足している
といった状況と、導入する製品の効果を結び付けます。
労働生産性を年平均3%以上向上させる計画が必要
基本要件として、補助事業終了後3年間で労働生産性の年平均成長率3.0%以上を目指す事業計画が必要です。
つまり、製品を導入して終わりではありません。
導入によって、
- 作業時間を減らす
- 処理件数を増やす
- 少人数で同じ業務を行えるようにする
- 従業員をより付加価値の高い業務へ配置する
など、生産性を高める計画を立てます。
実際の効果については、補助事業終了後も報告が求められます。
賃上げ特例は最低賃金3%・給与支給総額6%の増加が必要
通常の補助上限額で申請する場合と、賃上げ特例を使う場合では要件が異なります。
特例を利用する場合は、
- 事業場内最低賃金を3%以上引き上げる
- 給与支給総額を6%以上増加させる
という目標を達成する必要があります。
最大1,500万円という金額だけで特例を選ばず、今後の人件費負担まで含めて検討してください。
省力化投資補助金カタログ型の対象製品・経費

カタログ注文型では、補助対象となる製品と経費があらかじめ一定の範囲に限定されています。
「省力化できる設備なら何でも対象」と考えないことが重要です。
対象になるのは公式カタログに登録された省力化製品
導入できるのは、公式の製品カタログに登録されている製品です。
カタログには、省力化に効果があると認められた製品が、製品カテゴリごとに掲載されています。
掲載製品は随時追加・更新されるため、以前確認したときに対象外だった機器が後から追加されることもあります。
逆に、過去の記事に掲載されている製品が現在も同じ条件で申請できるとは限りません。
申請時点の最新カタログを確認してください。
製品本体価格に加えて設置・運搬・設定費用も対象
主な補助対象経費は、製品本体価格と導入経費です。
導入経費には、たとえば、
- 設置費
- 運搬費
- 動作確認費
- マスタ設定などの導入設定費
が含まれる場合があります。
製品を使い始めるために必要な一定の費用まで対象になる点は、カタログ注文型の特徴です。
ただし、通常の維持費や消耗品、対象外サービスなどまで広く補助されるわけではありません。
対象製品ごとに登録された販売事業者から選ぶ
カタログに製品が掲載されていても、どの販売店から購入してもよいわけではありません。
対象製品ごとに登録された販売事業者が設定されています。
申請者はその中から販売事業者を選び、導入内容や事業計画について相談します。
その販売事業者と共同で申請するため、製品を見つけたら次に「どの販売事業者が登録されているか」を確認してください。
また、実際の販売価格がそのまま全額補助対象になるとは限りません。
製品ごとに補助対象となる価格や条件が設定されているため、販売事業者へ確認したうえで申請金額を決めます。
省力化投資補助金カタログ型の申請方法

カタログ注文型では、GビズIDプライムを取得したうえで製品と販売事業者を選び、共同で交付申請します。
交付決定前に購入・発注しないことが重要です。
1.GビズIDプライムを取得する
申請にはGビズIDプライムが必要です。
まだ取得していない場合は、設備選定と並行して早めに手続きを進めましょう。
GビズIDには複数種類がありますが、申請に必要なのはプライムアカウントです。
取得に時間がかかる場合もあるため、申請直前まで放置しない方が安全です。
2.公式カタログから対象製品を選ぶ
次に、公式製品カタログから自社の課題に合った省力化製品を探します。
この段階では、
- 現在どの作業に人手がかかっているか
- 導入によって何時間削減できるか
- 何人分の作業負担を軽減できるか
- 生産性向上につながるか
まで整理しておくと、後の事業計画を作りやすくなります。
欲しい製品が公式カタログにない場合は、カタログ注文型では申請できません。
3.対象製品の販売事業者を選ぶ
製品ページには、対応する販売事業者が登録されています。
その中から購入・導入を相談する販売事業者を選びます。
販売事業者は単に製品を販売するだけでなく、申請手続きにも関わります。
導入経費や設置条件、申請可能な価格なども確認してください。
4.販売事業者と事業計画を作成して共同申請する
申請者と販売事業者で必要な情報を入力し、共同で交付申請を行います。
申請では、
- 人手不足の状況
- 現在の業務
- 製品を導入する理由
- 省力化効果
- 労働生産性向上計画
- 賃上げ計画
などを整理します。
カタログに載っている製品を選べば自動的に採択されるわけではありません。
自社の人手不足解消にその製品が必要であることを示す必要があります。
5.交付決定後に製品を導入する
交付決定を受けてから、正式に製品を発注・導入します。
補助金を使う予定だからといって、交付決定前に購入してはいけません。
先に契約や発注を進めた費用は、補助対象として認められない可能性があります。
納期の長い設備を検討している場合も、補助事業の手続きとスケジュールを合わせる必要があります。
6.実績報告後に補助金を受け取る
製品を導入し、支払いなどが完了した後は実績報告を行います。
内容が確認され、補助金額が確定した後に支払いを受ける流れです。
つまり、原則として設備代を先に自社で支払う必要があります。
補助金が先に振り込まれて、その資金で設備を購入する仕組みではありません。
導入費用を一時的に負担できる資金計画も準備しておきましょう。
省力化投資補助金カタログ型は2回目も申請できる?

現在のカタログ注文型は、一定の条件を満たせば2回目以降の申請も可能です。
ただし、初回とまったく同じ要件で繰り返し申請できる制度ではありません。
前回の補助金支払い完了後は2回目以降も申請できる
2回目以降の申請を行うには、原則として前回申請分の補助金支払いまで完了している必要があります。
前回の補助事業を進めている途中で、次の設備について同時に交付申請することはできません。
1回目を完了させ、その成果を確認してから次の申請へ進みます。
2回目以降は省力化効果・生産性向上・賃上げの追加要件がある
複数回利用する場合は、初回よりも追加条件が設定されています。
主なポイントは、
- 前回の導入で省力化効果が確認できる
- 労働生産性の年平均成長率4%以上を目指す
- 賃上げに取り組む
- 前回申請後に事業場内最低賃金を引き上げている
などです。
「一度採択されたから次回も申請しやすい」という仕組みではありません。
前回の補助事業で実際に成果を出していることが重要です。
1回の申請で申請できる製品は1種類
1回の交付申請で申請できる製品は1種類です。
たとえば、
- 清掃ロボット
- 自動精算機
- 配膳ロボット
といった異なる種類の製品を、一つの申請にまとめることはできません。
同じ製品を複数台導入する場合とは扱いが異なるため注意してください。
複数種類を導入したい場合は、2回目以降の申請条件を確認しながら順番に進めます。
複数の交付申請を同時に進めることはできない
複数回申請が認められていても、同時並行で複数の交付申請を行えるわけではありません。
前回の補助事業を完了し、補助金の支払いまで終えた後に次の申請へ進みます。
そのため、複数種類の省力化製品を導入したい場合は、導入順序も考えておく必要があります。
最も省力化効果が高い設備から優先するなど、事業全体の計画を立てて申請しましょう。
省力化投資補助金カタログ型を利用するときの注意点

カタログ注文型は、登録製品から選べるため制度を理解しやすい一方、製品選定や申請時期を間違えると補助対象にならないことがあります。
最後に実務上の注意点を整理します。
交付決定前に製品を発注・導入しない
特に注意したいのが、製品の発注時期です。
交付申請を行っただけでは、まだ製品を購入してよい段階ではありません。
交付決定を受ける前に、
- 発注する
- 契約する
- 納品を受ける
- 支払いを行う
といった行為を進めると、対象経費として認められない可能性があります。
販売事業者との相談段階と正式な発注を分けて考えてください。
最新の製品カタログから対象製品を確認する
製品カタログは固定ではありません。
新しい製品カテゴリや製品が追加されたり、登録内容が変更されたりすることがあります。
過去の記事や販売店の古い資料だけを見て対象だと判断するのは避けましょう。
申請するときは、必ず最新の公式カタログを確認してください。
賃上げ特例を達成できない場合は補助額が減額される
賃上げ特例を使えば補助上限額を引き上げられますが、申請時に目標を書くだけでよいわけではありません。
所定の期間内に目標を達成する必要があります。
未達成の場合は、通常の補助上限額を超える部分について減額や返還等が生じる可能性があります。
高い補助上限だけを目的に特例を選ばず、実現可能な賃上げ計画を立ててください。
申請受付は2027年3月末頃までの予定
カタログ注文型は随時申請を受け付ける方式ですが、無期限の制度ではありません。
2026年3月19日の制度改定では、申請受付期間が2027年3月末頃まで延長される予定とされています。
また、予算や制度変更によってスケジュールが変わる可能性があります。
設備導入時期が決まっている場合は、締切直前まで待たずに準備を進めましょう。
省力化投資補助金カタログ型は対象製品と販売事業者を確認しよう

省力化投資補助金のカタログ注文型は、人手不足に悩む中小企業等が、公式カタログに登録された省力化製品を導入する際に利用できる制度です。
2026年3月19日以降の補助率は1/2以下で、通常の補助上限額は、
- 従業員5人以下:500万円
- 従業員6~20人:750万円
- 従業員21人以上:1,000万円
です。
一定の賃上げ要件を満たす場合は、それぞれ750万円、1,000万円、1,500万円まで上限を引き上げられます。
ただし、補助金を利用するには公式カタログに登録された製品を選び、その製品に登録された販売事業者と共同で申請しなければなりません。
自社だけで申請して、好きな販売店から製品を購入する制度ではない点に注意してください。
申請を進めるときは、
- 自社が人手不足の状態にあるか確認する
- GビズIDプライムを取得する
- 公式カタログから対象製品を探す
- 登録販売事業者を選ぶ
- 省力化効果と生産性向上計画を整理する
- 販売事業者と共同申請する
- 交付決定後に製品を発注・導入する
という順番で進めると分かりやすくなります。
また、現在は一定の条件を満たせば2回目以降の申請も可能です。
ただし、前回の補助金支払い完了や省力化効果、生産性向上、賃上げなど追加条件があります。複数種類の製品を同時に申請できるわけでもありません。
まずは、自社が解消したい人手不足の業務を明確にし、その課題に合う製品が公式カタログに登録されているか確認しましょう。
