「人手不足を解消するために設備を導入したい」
「省力化補助金を利用できる事業者や設備を知りたい」
「設備を導入すると、どの程度の補助を受けられるのか確認したい」
このような疑問を持つ中小企業や個人事業主も多いのではないでしょうか。
省力化補助金の正式名称は、中小企業省力化投資補助金です。
人手不足に悩む中小企業や小規模事業者などが、IoTやロボットをはじめとする省力化設備を導入し、作業時間の削減や生産性向上に取り組む際の費用を支援します。
例えば、飲食店への券売機や自動精算機の導入、宿泊施設への清掃ロボットの導入、工場への自動搬送装置の導入などが考えられます。
ただし、設備を購入すれば、必ず補助金を受け取れるわけではありません。
中小企業などの対象要件を満たしたうえで、人手不足の状況や設備導入による省力化効果を示す必要があります。また、補助率や補助上限額は、申請する類型や従業員数などによって異なります。
本記事では、省力化補助金の概要、対象となる事業者と申請要件、補助率と補助上限額について解説します。
申請前に整理しておきたい省力化効果についても紹介するため、設備導入を検討している方は参考にしてください。
省力化補助金とは

省人化省力化補助金は、企業の生産性向上と人手不足の解消を目的として設けられた支援制度です。
省力化補助金は、人手不足に悩む中小企業や小規模事業者などによる設備投資を支援する制度です。
人が行っていた作業の一部を機械やシステムへ置き換えることで、作業時間や負担を減らし、生産性を高めることを目的としています。
単なる設備の更新や、古くなった機械の買い替えを支援する制度ではありません。
設備の導入によって、どの作業をどの程度省力化できるのかを明確にする必要があります。
人手不足の解消と生産性向上を支援する制度
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業などが、IoTやロボットをはじめとする省力化設備を導入する取り組みを支援します。
設備投資によって人手不足を解消するとともに、企業の付加価値額や生産性を高め、賃上げにつなげることが制度の目的です。
例えば、飲食店で従業員が注文受付と会計を行っている場合、券売機やセルフオーダーシステムを導入することで、接客に必要な作業時間を減らせる可能性があります。
宿泊施設で清掃作業に人手がかかっている場合は、清掃ロボットを導入することで、従業員が行う床清掃の負担を軽減できるでしょう。
製造業では、部品や製品の運搬を自動搬送装置へ置き換えることで、従業員の移動時間や運搬作業を削減できます。
省力化補助金で重視されるのは、単純な人員削減ではありません。
設備によって定型作業や負担の大きい作業を減らし、従業員が接客、品質管理、商品開発など、より付加価値の高い業務へ取り組める環境を整えることが大切です。
人手不足の状態で従業員を減らすことを目的にするのではなく、限られた人員でも事業を継続・成長させられる体制づくりを目指します。
中小企業や小規模事業者が対象
省力化補助金は、主に中小企業や小規模事業者などを対象としています。
一般型では、中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、一定の特定事業者、特定非営利活動法人、社会福祉法人などが補助対象者として示されています。
法人だけでなく、要件を満たす個人事業主も対象になる可能性があります。
ただし、中小企業に該当するかどうかは、単に会社の知名度や売上規模だけで判断されるものではありません。
業種ごとに、資本金や常勤従業員数の基準が設けられています。
また、補助対象者の範囲は、申請する類型や公募回によって異なる場合があります。
申請前には、次の点を確認しましょう。
- 自社の業種
- 資本金または出資総額
- 常勤従業員数
- 法人形態
- みなし大企業に該当しないか
- 過去の補助金利用状況
- 税金の滞納などがないか
- 公募要領で定める対象外事業者に該当しないか
会社の規模が小さいという理由だけで、自動的に補助対象になるわけではありません。
最新の公募要領に掲載された対象者の定義と、自社の情報を照らし合わせる必要があります。
省力化につながる設備導入を支援する
省力化補助金では、人が行っている作業を減らし、業務の効率化や生産性向上につながる設備が対象になります。
現在の制度には、主に「カタログ注文型」と「一般型」があります。
カタログ注文型では、省力化や生産性向上に効果がある汎用製品を、あらかじめ登録された製品カタログから選んで導入します。販売事業者が申請を支援する点も特徴です。
一般型では、個別の現場や事業内容に合わせた設備導入やシステム構築を支援します。
対象となり得る設備の例は次のとおりです。
- 券売機
- 自動精算機
- セルフレジ
- セルフオーダーシステム
- 清掃ロボット
- 配膳ロボット
- 自動搬送装置
- 自動倉庫
- 包装機
- 検品機器
- ロボット溶接機
- IoTを活用した管理設備
- 省力化につながる生産設備
- 現場に合わせて構築するシステム
ただし、上記に該当する設備であれば、すべて補助対象になるわけではありません。
カタログ注文型では、製品カタログに登録された製品を選ぶ必要があります。
一般型では、導入設備が自社の人手不足を解消し、生産性向上につながることを事業計画で示さなければなりません。
また、パソコンや一般的な事務機器など、幅広い用途に使える設備は、単独では対象にならない可能性があります。
設備名だけで判断せず、申請する類型の公募要領や製品カタログを確認しましょう。
人手不足を設備投資で解消するための補助金
省力化補助金は、人手不足に悩む中小企業や小規模事業者などが、省力化設備を導入する際の費用を支援する制度です。
設備を導入して人の作業を減らし、付加価値額や生産性を高めることを目的としています。
古い設備を新しくするだけではなく、導入によってどのような省力化効果を得られるのかを説明することが重要です。
省力化補助金の対象者と申請要件

企業の成長や業務の効率化を目指して補助金を活用したいと考えている方にとって、「省力化・省人化補助金」と「ものづくり補助金」のどちらが自社に適しているのかを見極めることは非常に重要です。
どちらの補助金も事業の発展をサポートするための制度ですが、補助金額や補助率、対象となる企業や事業の条件にはそれぞれ異なる特徴があります。
自社のニーズに最も合った補助金を選ぶことで、資金を有効活用し、業務の効率化や生産性向上を実現できます。
省力化・省人化補助金とも のづくり補助金の違いを徹底比較し、それぞれの特長や適用条件について詳しく解説します。
また、ものづくり補助金の詳細についてはこちらの記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
▶ ものづくり補助金について詳しく解説
補助金で受け取れる金額の違い
補助金を活用するうえで、最も気になるのは支給される金額の違いです。
・省力化・省人化補助金は、主に業務の効率化や自動化を目的とした設備やシステム導入の費用を支援し、補助額の上限は数百万円~数千万円規模となることが多いです。実際に工場の自動化機器の導入や事務作業のデジタル化を進める際に活用されます。
・ものづくり補助金は、新たな製品開発や生産プロセスの改善を目指す企業向けで、補助金の上限額は最大で1億円に達するケースもあるため、大規模な設備投資を検討している企業にとって魅力的な選択肢となります。具体的には、最新の生産設備を導入して製品品質を向上させる場合などが該当します。
どちらの補助金を選ぶべきかは、事業の目的や投資規模に応じて判断することが重要です。
補助率の比較
補助金を申請する際には、どれくらいの費用を補助してもらえるのか(補助率)を理解しておくことが大切です。
・省力化・省人化補助金の補助率は通常1/2~2/3程度となっており、自動化・省力化設備の導入にかかる費用のうち、最大で3分の2が補助されます。
・一方、ものづくり補助金では、補助率が1/2程度のケースが一般的で、設備投資にかかるコストの半分までが補助される仕組みです。ただし、業種や取り組みによって補助率が異なる場合があるため、最新の公募要領をしっかり確認する必要があります。
補助率が高いほど企業の自己負担が減るため、導入計画に応じて最適な補助金を選ぶことが重要です。
対象となる企業や事業の条件とは?
どちらの補助金も、対象となる企業や事業には一定の条件が設けられています。
・省力化・省人化補助金の主な対象は、中小企業や小規模事業者で、業種としては製造業、物流業、サービス業など、業務の自動化・効率化を必要とする事業が該当します。例えば、物流センターにおける自動仕分けシステムの導入や、飲食店のオーダーシステムの自動化が対象となります。
・一方、ものづくり補助金は、製造業や工業関連の企業を中心に、新製品開発やプロセス改善を目指す企業に適用されます。具体的には、工場の生産ラインを最新技術にアップグレードすることや、新たな製品分野の開発や技術革新に取り組むプロジェクトが支援を受けることができます。
事業の目的や将来の展望に応じて、どちらの補助金が自社に適しているかを慎重に検討することが重要です。
補助金の活用は、企業の成長を後押しし、競争力の向上に大きく寄与します。
どちらの補助金が自社に最適なのかを把握し、計画的な活用を目指しましょう。
適切な補助金を選び、スムーズな申請手続きを行うことで、事業の発展をサポートする大きな一歩となるでしょう。
省力化・省人化補助金の申請に必要な準備と手続きの流れ

省力化補助金を申請するには、中小企業などの事業者要件だけでなく、人手不足や省力化効果に関する要件も満たす必要があります。
また、賃上げによる補助上限額の引き上げを希望する場合は、追加要件を確認しなければなりません。
補助金額だけを見て申請を決めるのではなく、実現可能な事業計画を立てることが大切です。
中小企業・小規模事業者に該当する
最初に、自社が補助対象となる中小企業や小規模事業者などに該当するかを確認します。
中小企業の基準は、業種によって異なります。
例えば、製造業、卸売業、小売業、サービス業では、資本金や従業員数の基準が同じではありません。
資本金の要件を満たしていても、従業員数が基準を超えている場合などは、申請できない可能性があります。
また、大企業から出資を受けている場合は、みなし大企業に該当しないかの確認も必要です。
申請時には、次のような情報を用意します。
- 法人番号
- 資本金
- 従業員数
- 事業内容
- 売上高
- 決算情報
- 株主や出資者の情報
- 役員情報
申請者情報と、登記事項証明書や決算書などの内容が一致しているかも確認しましょう。
法人名や所在地が変更されているにもかかわらず、GビズIDや提出書類が古い情報のままでは、申請手続きに影響する可能性があります。
人手不足の状態にある
省力化補助金では、単に新しい設備が欲しいという理由だけではなく、人手不足の状態にあることを示す必要があります。
カタログ注文型の補助対象者も、「人手不足の状態にある中小企業等」とされています。
人手不足の状況を整理するときは、次のような情報を確認しましょう。
- 求人を出しても応募が集まらない
- 採用しても定着しない
- 従業員の時間外労働が増えている
- 一部の業務を外注している
- 受注や予約を断っている
- 営業時間や生産量を減らしている
- 特定の従業員へ業務が集中している
- 退職者の補充ができていない
例えば、「人が足りず忙しい」という説明だけでは、人手不足の程度が分かりません。
次のように具体化すると、状況を伝えやすくなります。
厨房スタッフを2人募集しているものの、6か月間採用できておらず、既存従業員の月平均時間外労働が15時間増えている。
製品の運搬作業に毎日2人が合計4時間対応しており、製造工程へ配置する人員が不足している。
人手不足の原因や影響を数値で整理すると、設備導入の必要性も説明しやすくなります。
省力化による付加価値額の向上を目指す
設備を導入するだけではなく、付加価値額や生産性の向上につなげる計画が必要です。
省力化によって作業時間が減っても、空いた時間をどのように活用するかが決まっていなければ、事業全体の成長にはつながりにくいでしょう。
例えば、セルフレジを導入して会計作業を減らした場合、従業員を接客や売り場づくりへ配置できます。
自動搬送装置を導入して運搬作業を減らした場合は、従業員が製造や品質管理へ集中できるようになります。
省力化によって生まれた時間を、次のような業務へ振り分けることが考えられます。
- 顧客対応の強化
- 営業活動
- 新商品やサービスの開発
- 生産量の拡大
- 品質管理
- 従業員教育
- 予約や受注への対応
- 店舗や工場の改善活動
申請時には、設備導入前後の作業時間だけでなく、売上、生産量、対応件数、付加価値額などの変化も考えます。
省力化効果と事業成長の関係を明確にしましょう。
賃上げ要件を確認する
省力化補助金では、賃上げ目標を達成することで、補助上限額が引き上げられる場合があります。
カタログ注文型では、2026年3月19日以降の制度改定後、事業場内最低賃金を3.0%以上、給与支給総額を6%以上増加させる計画を策定した事業者について、補助上限額を引き上げる仕組みがあります。申請時には、賃上げ計画を従業員へ表明することも必要です。
ただし、賃上げ目標は、補助上限額を高くするためだけに設定するものではありません。
人件費や売上の見通しを踏まえ、実際に達成できる計画を立てる必要があります。
賃上げを検討するときは、次の項目を確認しましょう。
- 現在の事業場内最低賃金
- 対象となる従業員
- 給与支給総額
- 賃上げを実施する時期
- 設備導入後の売上や利益の見込み
- 人件費の増加に対応できる資金計画
- 従業員への表明方法
- 目標を達成できなかった場合の扱い
自己の責任によらない正当な理由がなく、賃上げ目標を達成できなかった場合は、補助額が減額される可能性があります。
補助上限額の引き上げだけに注目せず、設備導入後も継続できる賃上げ計画を立てましょう。
企業規模と事業計画の両方を確認する
省力化補助金を申請するには、中小企業や小規模事業者などの対象要件を満たす必要があります。
さらに、人手不足の状態や、設備導入による省力化効果、付加価値額の向上見込みなどを示さなければなりません。
賃上げによる補助上限額の引き上げを希望する場合は、追加要件を確認し、無理のない計画を作成しましょう。
省力化補助金の補助率と補助上限額

省力化補助金の補助率と補助上限額は、申請する類型、従業員数、賃上げ要件の達成状況などによって異なります。
補助上限額がそのまま受け取れる金額ではありません。
補助対象経費に補助率をかけた金額と、補助上限額を比較して、低いほうが補助金額の上限になります。
補助率は原則2分の1
カタログ注文型の補助率は、補助対象経費の2分の1以下です。
例えば、補助対象経費が400万円の場合、補助率2分の1で計算すると、補助金額は最大200万円です。
計算式は次のようになります。
400万円×2分の1=200万円
設備費が400万円であっても、全額が補助されるわけではありません。
少なくとも残りの200万円に加え、消費税や補助対象外経費を自己負担する必要があります。
補助対象経費が1,200万円の場合は、計算上の補助額は600万円です。
ただし、従業員数に応じた補助上限額が500万円であれば、実際の補助金額は最大500万円となります。
補助金額を見積もるときは、次の両方を確認しましょう。
- 補助対象経費に補助率をかけた金額
- 従業員数などで決まる補助上限額
また、設備の見積金額すべてが補助対象経費として認められるとは限りません。
消費税、対象外の工事費、保守費用、汎用性の高い備品などが含まれている場合は、自己負担額が増える可能性があります。
見積書は、設備本体、設置費、運搬費、付属品など、費用の内訳が分かる形で取得しましょう。
従業員数によって補助上限額が異なる
カタログ注文型では、応募・交付申請時点の従業員数によって補助上限額が決まります。
2026年3月19日以降の制度改定後の補助上限額は、次のとおりです。
| 従業員数 | 補助上限額 | 賃上げ要件達成時 |
| 5人以下 | 200万円 | 300万円 |
| 6~20人 | 500万円 | 750万円 |
| 21人以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
括弧内の金額は、定められた賃上げ要件を達成する場合の補助上限額です。
例えば、従業員数が10人の事業者で、賃上げ要件を利用しない場合、補助上限額は500万円です。
補助対象経費が800万円であれば、補助率2分の1で計算した金額は400万円となるため、補助金額は最大400万円です。
一方、補助対象経費が1,200万円の場合、補助率2分の1では600万円ですが、上限額が500万円であるため、補助金額は最大500万円です。
| 補助対象経費 | 2分の1で計算した金額 | 上限額 | 補助金額の上限 |
| 400万円 | 200万円 | 500万円 | 200万円 |
| 800万円 | 400万円 | 500万円 | 400万円 |
| 1,200万円 | 600万円 | 500万円 | 500万円 |
なお、従業員数の数え方には、公募要領上のルールがあります。
短時間勤務の従業員や役員などを、単純にすべて人数へ含められるとは限りません。
自社の従業員数を判断するときは、公募要領や申請の手引きを確認しましょう。
賃上げによって補助上限額が引き上げられる場合がある
定められた賃上げ目標を達成する計画を立てると、補助上限額が引き上げられる場合があります。
例えば、従業員数が6~20人の事業者では、通常の補助上限額は500万円ですが、賃上げ要件を満たす場合は750万円まで引き上げられます。
ただし、補助上限額が750万円へ引き上げられても、補助対象経費が600万円であれば、補助率2分の1で計算した補助額は最大300万円です。
上限額が引き上げられたからといって、自動的に括弧内の金額を受け取れるわけではありません。
また、賃上げには継続的な人件費負担が伴います。
一時的に賃金を引き上げても、その後の売上や利益が不足すれば、事業の継続が難しくなる可能性があります。
設備導入によって、どの程度の売上増加やコスト削減を実現できるのかを計算し、賃上げ原資を確保できるか確認しましょう。
補助金は自己負担と立て替えが必要
補助金は、原則として設備を導入した後に支払われます。
一般的には、交付決定後に設備を発注・導入し、申請者が代金を支払った後、実績報告などを経て補助金額が確定します。
そのため、補助対象経費の全額を一度は自社で用意しなければならない場合があります。
例えば、1,000万円の設備を導入し、補助金額が500万円になる予定でも、設備代金の支払い時には1,000万円と消費税などを準備する必要があります。
補助金の入金まで、金融機関の融資や自己資金で対応することも考えられます。
申請前に、次の点を確認しましょう。
- 設備導入時に必要な資金
- 補助対象外となる費用
- 消費税
- 補助金が入金されるまでの運転資金
- 不採択になった場合の対応
- 補助金額が想定より少なくなった場合の対応
- 融資を利用する場合の返済計画
補助金を受け取ることを前提に設備を発注すると、不採択や減額によって資金繰りが悪化する可能性があります。
補助金がなくても導入できるか、または計画を縮小できるかも検討しておきましょう。
補助金額だけでなく自己負担額も確認する
カタログ注文型の補助率は、原則として2分の1以下です。
補助上限額は従業員数によって異なり、賃上げ要件を満たすことで引き上げられる場合があります。
ただし、補助上限額をそのまま受け取れるわけではありません。
補助対象経費、補助率、補助上限額を確認し、消費税や対象外経費を含む自己負担額を計算しましょう。
省力化補助金の申請前に整理したい省力化効果


省力化補助金の申請では、導入する設備の性能だけでなく、設備によってどの作業をどの程度減らせるのかを説明することが重要です。
「最新設備を導入したい」「従業員の負担を減らしたい」といった抽象的な説明だけでは、導入効果を判断しにくくなります。
現在の作業人数や作業時間を確認し、導入前後の変化を数値で整理しましょう。
現在の作業人数と作業時間を確認する
最初に、設備で省力化したい作業の現状を把握します。
確認したい項目は次のとおりです。
- 作業の名称
- 作業内容
- 1回当たりの作業時間
- 1日の作業回数
- 1か月の稼働日数
- 作業を担当する人数
- 時間外労働の状況
- 作業によって発生している待ち時間
- ミスややり直しの件数
- 外注費
例えば、飲食店の会計業務を省力化する場合は、1件当たりの会計時間、1日の会計件数、担当する従業員数などを確認します。
1件当たり3分、1日100件の会計を行っている場合、1日の会計作業は合計300分です。
月25日営業であれば、単純計算で月125時間の作業が発生しています。
現状を数値にすると、省力化設備が必要な理由を説明しやすくなります。
設備導入後に削減できる作業を整理する
次に、設備を導入することで減らせる作業を整理します。
例えば、セルフレジを導入した場合でも、会計に関するすべての作業がなくなるわけではありません。
現金の回収、釣銭の補充、エラー対応、利用方法の案内などは引き続き必要になる可能性があります。
削減できる作業と、残る作業を分けて考えましょう。
| 導入設備 | 削減できる可能性がある作業 | 導入後も残る作業 |
| セルフレジ | 商品登録、会計、釣銭計算 | エラー対応、現金回収 |
| 清掃ロボット | 床面の定期清掃 | 隅や階段の清掃、機器管理 |
| 自動搬送装置 | 製品・部品の運搬 | 積み下ろし、異常時対応 |
| 券売機 | 注文受付、代金受領 | 商品提供、問い合わせ対応 |
| 自動包装機 | 包装、封かん | 材料補充、品質確認 |
導入後に必要となる保守や管理の時間も含めて、省力化効果を計算することが大切です。
削減時間を数値で示す
省力化効果は、導入前と導入後の作業時間を比較して示します。
例えば、現在の作業時間が月125時間で、設備導入後に月40時間まで減らせる場合、省力化できる時間は月85時間です。
月125時間-月40時間=月85時間の削減
年間では、次のように計算できます。
月85時間×12か月=年間1,020時間の削減
削減時間だけでなく、処理件数や生産量の変化を示す方法もあります。
- 1時間当たりの処理件数
- 1日当たりの生産数
- 顧客の待ち時間
- 従業員の時間外労働
- 外注費
- 作業ミスの件数
- 受注を断った件数
例えば、自動包装機の導入によって、1時間当たりの包装数が100個から180個へ増えるのであれば、生産性向上の効果を具体的に示せます。
根拠のない見込みではなく、設備の仕様、現場の作業記録、見積もり時の説明などを基に計算しましょう。
人員削減ではなく人手不足の解消につなげる
省力化補助金は、設備を導入して従業員を解雇することを主な目的とした制度ではありません。
省力化によって生まれた時間を、より付加価値の高い業務へ振り分けることが重要です。
例えば、次のような活用が考えられます。
- 会計作業を減らし、接客時間を増やす
- 運搬作業を減らし、製造工程へ人員を配置する
- 清掃時間を減らし、客室整備や顧客対応を強化する
- 検品作業を自動化し、品質改善へ取り組む
- 事務作業を減らし、営業活動を増やす
設備導入後の人員配置まで計画すると、省力化と事業成長の関係が明確になります。
人手不足によって受注を断っていた事業者であれば、省力化によって受注可能件数を増やせる可能性があります。
従業員の時間外労働が多い事業者であれば、設備導入によって残業時間を減らし、労働環境の改善につなげられるでしょう。
まとめ|導入前後の変化を数値で説明する
省力化補助金の申請前には、現在の作業人数、作業時間、作業回数などを確認します。
そのうえで、設備導入後に削減できる時間や、増やせる生産量・対応件数を計算しましょう。
省力化した時間をどの業務へ振り分けるのかも整理すると、付加価値額や生産性の向上につながる計画を作りやすくなります。
省力化補助金は人手不足と導入効果を整理して申請しよう
省力化補助金の正式名称は、中小企業省力化投資補助金です。
人手不足に悩む中小企業や小規模事業者などが、省力化につながる設備を導入し、付加価値額や生産性を高める取り組みを支援します。
省力化補助金を検討するときは、次の点を確認しましょう。
- 自社が中小企業などの対象要件を満たしているか
- 人手不足の状態を具体的に説明できるか
- 導入設備によって省力化できる作業は何か
- 導入前後の作業時間を数値で比較できるか
- 省力化した時間をどの業務へ活用するか
- 付加価値額や生産性の向上につながるか
- 賃上げ要件を無理なく達成できるか
- 補助金を差し引いた自己負担額を用意できるか
カタログ注文型の補助率は2分の1以下で、補助上限額は従業員数によって異なります。
2026年3月19日以降は、従業員数5人以下が200万円、6~20人が500万円、21人以上が1,000万円です。賃上げ要件を満たす場合は、それぞれ300万円、750万円、1,500万円へ引き上げられます。
ただし、補助上限額がそのまま支給されるわけではありません。
補助対象経費に補助率をかけた金額と、従業員数に応じた補助上限額を比較して、補助金額が決まります。
また、補助金は原則として後払いです。
設備代金や消費税、補助対象外経費を含め、補助金が入金されるまでの資金を準備する必要があります。
申請前には、公募要領や製品カタログを確認し、自社の人手不足と設備導入の効果を数値で整理しましょう。
設備を導入すること自体を目的にせず、省力化によって生まれた時間を活用し、売上や生産性、従業員の労働環境を改善する計画を立てることが大切です。
