IT導入補助金を利用すると、パソコンの購入費用を補助してもらえる場合があります。
ただし、パソコンだけを購入する目的では申請できません。
インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトウェアとセットで導入し、登録されたIT導入支援事業者を通じて購入する必要があります。
また、申請前や交付決定前にパソコンを購入すると、補助対象外になります。
「パソコンを買い替えたいだけでも申請できるのか」
「家電量販店で購入しても対象になるのか」
「実際にいくら補助されるのか」
このような疑問を持つ事業者も多いのではないでしょうか。
なお、2026年度からIT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」へ名称が変更されています。
本記事では、一般的に検索されているIT導入補助金という名称も使用しながら、パソコン購入の対象条件や補助額、申請方法、注意点を解説します。
IT導入補助金でパソコンを購入できる条件

IT導入補助金でパソコンを購入するには、インボイス枠のインボイス対応類型を利用する必要があります。
パソコンは補助事業の中心となるITツールではなく、対象ソフトウェアを使用するためのハードウェアとして扱われます。
そのため、パソコンだけを購入する申請は認められていません。
パソコン購入はインボイス対応類型が対象
パソコンやタブレットなどのハードウェアを補助対象として申請できるのは、インボイス枠のインボイス対応類型です。
インボイス対応類型は、インボイス制度に対応した次の機能を持つソフトウェアの導入を支援します。
- 会計
- 受発注
- 決済
パソコンは、これらのソフトウェアを使用するために必要な機器として申請します。
通常枠など、ほかの申請枠でパソコンの購入費を申請できるとは限りません。パソコンの導入を希望する場合は、最初にインボイス対応類型の条件を確認しましょう。
パソコン単体では申請できない
インボイス対応類型では、ハードウェアだけの申請はできません。
例えば、次のような申請は対象外です。
- 古くなったパソコンだけを買い替える
- 動画編集やデザイン作業用のパソコンだけを購入する
- インターネット閲覧や文書作成だけに使うパソコンを購入する
- 対象ソフトウェアを導入せず、パソコンのみを申請する
パソコンは、補助対象となるソフトウェアの使用に必要な機器でなければなりません。
単に業務で使うという理由だけでは、補助対象として認められない点に注意してください。
対象ソフトウェアとのセット導入が必要
パソコンとセットで導入するソフトウェアには、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済のいずれかの機能が必要です。
対象となり得るソフトウェアの例は次のとおりです。
- 会計ソフト
- 請求書作成ソフト
- 受発注管理システム
- 決済管理システム
- POSレジと連携するソフトウェア
- インボイス対応の販売管理システム
申請するソフトウェアは、補助金事務局へ登録されたITツールでなければなりません。
一般に販売されているソフトウェアであっても、登録されていなければ補助対象にはなりません。
また、ソフトウェアの使用に対して、パソコンの性能や台数が過剰と判断されないようにする必要があります。
IT導入支援事業者から購入する
IT導入補助金では、申請者が自由にパソコンやソフトウェアを購入するのではなく、登録されたIT導入支援事業者と共同で申請します。
IT導入支援事業者は、対象ITツールの提案や申請情報の入力、導入後の実績報告などを支援する事業者です。
パソコンを申請する場合は、次の点を確認しましょう。
- 希望するソフトウェアを取り扱っているか
- パソコンも補助対象として販売できるか
- パソコンの機種や仕様を選べるか
- 導入設定や保守費用が含まれるか
- 補助対象外となる費用はいくらか
- 申請や実績報告のサポート範囲
登録されたIT導入支援事業者やITツールは、公式の検索ページで確認できます。
パソコンはITツールに付随する機器として申請する
IT導入補助金でパソコンを購入するには、インボイス対応類型を利用します。
パソコンだけでは申請できません。
会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つ対象ソフトウェアとセットで、登録されたIT導入支援事業者を通じて申請しましょう。
IT導入補助金でパソコンを購入するときの補助額

パソコンやタブレットなどのハードウェアには、ソフトウェアとは別の補助率と補助上限額が設定されています。
購入費用の全額が補助されるわけではありません。
また、パソコンの購入費が高くても、補助上限額を超えた分は自己負担です。
パソコン購入費の補助率
パソコン・タブレットなどの補助率は、購入費の2分の1以内です。
例えば、補助対象となるパソコンの購入費が16万円の場合、補助額の目安は次のようになります。
16万円×2分の1=8万円
この場合、計算上の補助額は8万円です。
一方、25万円のパソコンを購入した場合、2分の1は12万5,000円になります。
しかし、補助上限額が10万円であるため、補助額は最大10万円です。
パソコン購入費の補助上限額
パソコン・タブレットなどの補助上限額は10万円です。
対象となる主なハードウェアと補助内容は、次のとおりです。
| ハードウェア | 補助率 | 補助上限額 |
| パソコン・タブレットなど | 2分の1以内 | 10万円 |
| レジ・券売機など | 2分の1以内 | 20万円 |
パソコンの購入費が20万円であれば、補助率2分の1で最大10万円となります。
ただし、10万円以下のパソコンを購入した場合に、必ず10万円を受け取れるわけではありません。
補助対象となる金額の考え方
パソコンを購入するときは、税込価格ではなく、補助対象経費として認められる金額を確認する必要があります。
例えば、税込22万円のパソコンを購入する場合、税抜価格が20万円であれば、補助額の計算は次のとおりです。
20万円×2分の1=10万円
消費税は補助対象外となるのが一般的です。そのため、消費税分と補助されない残額は事業者が負担します。
また、次のような費用は、パソコン本体の補助対象経費に含まれない場合があります。
- 配送料
- 延長保証
- 補助対象外の周辺機器
- 補助事業と関係のないソフトウェア
- 不要なオプション
- 消費税
見積書を確認するときは、パソコン本体、ソフトウェア、設定費用、保守費用などの内訳を分けてもらいましょう。
購入費の全額が補助されるわけではない
パソコン・タブレットの補助率は2分の1以内、補助上限額は10万円です。
20万円を超えるパソコンを購入しても、補助額は原則として最大10万円です。
残りの購入費や消費税、補助対象外の費用は自己負担になるため、導入前に総額を確認しましょう。
IT導入補助金でパソコンを購入する申請方法

IT導入補助金の申請は、申請者だけで行うのではありません。
IT導入支援事業者と相談しながら、対象ソフトウェアの選定、事前準備、交付申請を進めます。
交付決定を受けるまでは、パソコンやソフトウェアを購入しないことが重要です。
1.対象ソフトウェアとIT導入支援事業者を選ぶ
最初に、自社の業務課題を整理し、導入するソフトウェアを選びます。
例えば、次のような課題が考えられます。
| 業務上の課題 | 導入するITツールの例 |
| 手作業で帳簿を作成している | 会計ソフト |
| 請求書の発行に時間がかかる | 請求書作成システム |
| 注文情報を紙で管理している | 受発注管理システム |
| 店舗売上を手入力している | POS・決済システム |
| インボイス対応ができていない | インボイス対応会計ソフト |
導入したいITツールが決まったら、そのツールを取り扱うIT導入支援事業者へ相談します。
パソコンの導入も希望する場合は、パソコンを含めた申請に対応しているか確認してください。
2.申請に必要な準備を行う
交付申請前には、GビズIDプライムの取得とSECURITY ACTIONの宣言が必要です。
GビズIDプライムは、法人や個人事業主が行政サービスへログインするための共通アカウントです。
取得には時間がかかる場合があるため、早めに手続きを行いましょう。
SECURITY ACTIONは、中小企業や小規模事業者が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。
そのほか、法人と個人事業主では必要書類が異なります。
主な書類は次のとおりです。
法人の場合
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書
- 法人の基本情報を確認できる資料
個人事業主の場合
- 本人確認書類
- 所得税の納税証明書
- 確定申告書
- 事業の実態を確認できる資料
実際に必要となる書類は、公募要領や申請画面で確認してください。
3.IT導入支援事業者と共同で申請する
IT導入支援事業者から申請マイページへの招待を受けたら、申請者情報や事業内容を入力します。
申請の主な流れは次のとおりです。
- IT導入支援事業者から申請マイページの招待を受ける
- 代表者や事業者の基本情報を入力する
- 必要書類を添付する
- IT導入支援事業者がITツールや事業計画を入力する
- 申請内容を最終確認する
- 宣誓を行い、事務局へ提出する
IT導入支援事業者が入力した内容も、申請者自身で確認する必要があります。
パソコンの台数や金額、導入するソフトウェア、自己負担額などに誤りがないか確認しましょう。
4.交付決定後にパソコンを購入する
審査が完了し、交付決定通知を受けたら、補助事業を開始できます。
交付決定後に行う主な手続きは次のとおりです。
- ソフトウェアの契約
- パソコンの発注
- パソコンとソフトウェアの納品
- 導入設定
- 代金の支払い
交付決定前に契約、発注、支払いを行うと、補助金を受け取れません。
申請を提出しただけでは購入できないため、必ず交付決定通知を確認してください。
5.導入後に実績報告を行う
パソコンやソフトウェアの導入が完了したら、事業実績報告を行います。
実績報告では、発注、契約、納品、支払いが実際に行われたことを証明します。
必要になる主な証拠書類は次のとおりです。
- 契約書
- 発注書
- 納品書
- 請求書
- 支払いを確認できる資料
- パソコンやソフトウェアの導入を確認できる資料
実績報告は、申請者とIT導入支援事業者が協力して行います。
報告内容の確認後に補助金額が確定し、補助金が支払われます。
交付決定前に購入しない
IT導入補助金では、最初に対象ソフトウェアとIT導入支援事業者を選びます。
GビズIDプライムや必要書類を準備し、IT導入支援事業者と共同で申請しましょう。
交付決定前にパソコンを購入すると対象外になるため、必ず通知を待ってから契約・発注してください。
IT導入補助金でパソコンを購入するときの注意点

IT導入補助金を使えば、パソコンの購入費用を抑えられる可能性があります。
一方、購入先や購入時期を間違えると、補助金を受け取れません。
補助金を前提にパソコンを購入する場合は、一般的な買い替えとは手続きが異なることを理解しておきましょう。
家電量販店や通販で自由に購入できない
IT導入補助金では、登録されたIT導入支援事業者を通じて、パソコンを導入する必要があります。
そのため、申請者が独自に次のような方法で購入したパソコンは、補助対象にならない可能性があります。
- 家電量販店で購入する
- メーカー公式通販で購入する
- ECモールで購入する
- 中古販売店で購入する
- 知人や別の事業者から購入する
価格が安いという理由だけで先に購入せず、IT導入支援事業者が提示する購入方法を確認してください。
パソコンだけの買い替えには利用できない
IT導入補助金は、パソコンの買い替えを目的とした制度ではありません。
例えば、次のような理由だけでは申請できません。
- パソコンの動作が遅くなった
- OSのサポートが終了する
- 新しい機種に替えたい
- 故障に備えて予備機を購入したい
- 従業員が増えたので台数を追加したい
対象ソフトウェアを導入し、その使用に必要なパソコンとして申請する必要があります。
パソコンだけが必要な場合は、補助金を利用せず購入したほうが、手続きや導入時期の面で適していることもあります。
交付決定前に契約・購入しない
申請前や交付決定前に、パソコンやソフトウェアを契約・購入してはいけません。
対象外になる可能性がある行為は次のとおりです。
- パソコンを発注する
- ソフトウェアを契約する
- 手付金を支払う
- パソコンの代金を支払う
- 製品を納品してもらう
- ソフトウェアを利用開始する
交付申請後も、交付決定通知が届くまでは購入できません。
業務上すぐにパソコンが必要な場合は、補助金の審査期間を待てるかを確認しましょう。
申請しても必ず交付されるわけではない
IT導入補助金には審査があります。
申請要件を満たしていても、必ず交付決定を受けられるわけではありません。
また、2026年度のインボイス対応類型でも、申請数に対してすべてが交付決定されているわけではありません。
不採択になった場合を考え、次の点を確認しておきましょう。
- 補助金がなくても導入できるか
- 申請結果を待てるか
- パソコンの故障などに対応できるか
- 自己負担額を支払えるか
- 次回の締切へ申請し直す余裕があるか
補助金の交付を前提に、必要なパソコンの購入を先延ばしにしすぎないことも大切です。
購入先と購入時期を事前に確認する
IT導入補助金でパソコンを購入するときは、IT導入支援事業者を通じて申請・購入します。
家電量販店や通販で自由に購入したパソコンや、交付決定前に契約したパソコンは対象になりません。
パソコンだけの買い替えにも利用できないため、対象ソフトウェアを本当に導入する必要があるか確認しましょう。
パソコン購入のためだけに申請してよいか判断する

IT導入補助金を利用すると、パソコンの購入費用を抑えられる可能性があります。
しかし、パソコンの補助上限額だけを見て申請すると、不要なソフトウェアや導入費用によって、支出が増えることもあります。
申請前に、補助金を使う場合と使わない場合の総費用を比較しましょう。
導入するソフトウェアが本当に必要か確認する
パソコンを申請するには、インボイス制度に対応した対象ソフトウェアの導入が必要です。
補助金を利用するためだけに、不要なソフトウェアを契約するのは避けましょう。
次の点を確認してください。
- 現在の業務に課題があるか
- ソフトウェアによって課題を解決できるか
- 現在使用しているソフトウェアと重複しないか
- 従業員が使いこなせるか
- 導入後も継続して利用する予定があるか
パソコンの補助額よりも、ソフトウェアを導入する必要性を優先して判断しましょう。
パソコンとソフトウェアを含む自己負担額を確認する
申請前には、パソコンだけでなく、導入全体の費用を確認します。
主な費用は次のとおりです。
- パソコンの購入費
- ソフトウェアの購入費
- クラウドサービスの利用料
- 初期設定費
- データ移行費
- 導入研修費
- 保守サポート費
- 消費税
- 補助対象外となる費用
例えば、パソコンが20万円、ソフトウェアや導入支援が30万円の場合、総額は50万円です。
パソコンが最大10万円補助されても、ソフトウェアを含む自己負担が大きければ、補助金を使わずパソコンだけを購入したほうが安い場合があります。
補助金を使わない購入方法とも比較する
IT導入補助金を使う場合は、購入先や購入時期が制限されます。
一方、補助金を使わなければ、次のような選択が可能です。
- 複数の販売店から価格を比較する
- セールやキャンペーンを利用する
- 必要な性能の機種だけを選ぶ
- すぐにパソコンを購入する
- ソフトウェアを別の販売店から契約する
補助金を利用する場合の価格が、市場価格より高くなる可能性もあります。
補助金適用後の自己負担額と、通常購入した場合の金額を比較しましょう。
補助額ではなく総費用で判断する
IT導入補助金を利用するかどうかは、パソコンの補助額だけでは判断できません。
ソフトウェア、導入設定、保守費用などを含む総額から、補助金を差し引いた自己負担額を確認しましょう。
対象ソフトウェアが自社に必要であり、導入後も業務改善につながる場合に利用することが大切です。
パソコンは対象ソフトウェアとセットで申請する

IT導入補助金でパソコンを購入するには、インボイス枠のインボイス対応類型を利用します。
パソコン単体では申請できません。
インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトウェアとセットで導入する必要があります。
パソコン・タブレットなどの補助率は2分の1以内、補助上限額は10万円です。
申請から導入までの主な流れは次のとおりです。
- 対象ソフトウェアを選ぶ
- IT導入支援事業者へ相談する
- GビズIDプライムなどを準備する
- IT導入支援事業者と共同で申請する
- 交付決定後にパソコンを購入する
- 導入後に実績報告を行う
家電量販店や通販で独自に購入したパソコンや、交付決定前に契約・購入したパソコンは補助対象になりません。
また、申請しても必ず交付されるわけではなく、補助金は実績報告後に支払われます。
パソコンを安く購入することだけを目的にせず、対象ソフトウェアが自社の業務改善に必要かを確認しましょう。
ソフトウェアや導入支援費を含めた総費用を比較し、補助金を利用するほうが自社にとって有利かを判断することが重要です。
