開業や創業時に補助金を利用したい場合、「飲食店でも対象になるのか」「美容室やネットショップでも使えるのか」「開業前でも申請できるのか」と気になる人も多いでしょう。
結論からいうと、飲食、美容、小売、サービス、宿泊、製造など、幅広い事業が創業支援制度の対象になり得ます。
ただし、「開業補助金」という名称の全国共通制度が1つあるわけではありません。
2026年に創業者が確認したい代表的な制度の一つが「小規模事業者持続化補助金<創業型>」です。第4回では、小規模事業者であることに加え、開業日と特定創業支援等事業による支援を受けた日の両方が、2025年12月15日から2026年12月15日までに入っていることなどが要件となっています。
また、自治体が独自に実施する創業助成制度では、所在地や創業時期、業種などについて別の条件が設けられています。
そのため、「飲食店だから対象」「美容室だから対象」と業種だけで判断することはできません。
この記事では、2026年の開業・創業向け補助制度について、対象になり得る事業、従業員数や創業時期などの条件、対象外になりやすいケース、自分の事業が対象か確認する方法まで解説します。
開業補助金の対象事業は制度によって異なる

開業・創業時に利用できる補助制度には、国が実施する制度と自治体独自の制度があります。
対象となる事業も、それぞれの制度目的によって異なります。
飲食・美容・小売・製造・宿泊など幅広い業種が対象になり得る
開業向けの補助制度は、一部の業種だけに限定されているとは限りません。
たとえば小規模事業者持続化補助金<創業型>では、業種によって小規模事業者の従業員数基準は異なるものの、商業・サービス業、宿泊業・娯楽業、製造業その他と幅広い事業者が対象になり得ます。
具体的には、
- 飲食店
- 美容室・サロン
- 小売店
- EC事業
- 宿泊施設
- 製造業
- 建設業
- 運送業
- IT・ソフトウェア関連
などでも、制度の条件を満たせば申請対象になる可能性があります。
実際の業種区分は、今後予定している事業内容や現在行っている事業の実態をもとに判断されます。
「開業補助金」という全国共通の1制度は存在しない
検索では「開業補助金」という言葉が使われますが、これは特定の正式制度名ではありません。
実際には、
- 小規模事業者持続化補助金<創業型>
- 東京都などの創業助成制度
- 市区町村独自の創業支援補助金
など、複数の制度があります。
そのため、
自分の事業は開業補助金の対象か
を判断する場合は、先に利用する制度を決める必要があります。
制度が違えば、対象となる業種、創業時期、所在地、対象経費も変わります。
業種だけでなく事業者規模・創業時期・所在地で判断する
対象事業かどうかを見るときは、業種名だけではなく、
- 従業員数
- 開業日・設立日
- 事業所所在地
- 創業支援の利用状況
- 法人・個人事業主などの事業形態
- 補助事業の目的
まで確認します。
たとえば同じ美容室でも、創業時期の要件を満たしていなければ創業型を利用できないことがあります。
逆に、まだ本格的な事業活動を始めていなくても、条件を満たせば対象になる場合があります。
持続化補助金<創業型>の対象になる事業者

2026年に全国で創業支援を探す場合、まず確認したい制度の一つが小規模事業者持続化補助金<創業型>です。
創業した小規模事業者等による販路開拓などを支援します。
第4回は創業後1年以内の小規模事業者等が中心
第4回では、開業日または設立年月日と、特定創業支援等事業による支援を受けた日の両方が、2025年12月15日から2026年12月15日までに入っていることが要件です。
つまり、単純に「開業後1年以内なら申請できる」というわけではありません。
創業時期だけでなく、必要な創業支援を受けた時期も確認します。
第4回の申請受付期間は2026年11月5日から12月15日17時までです。
開業前でも補助事業終了までに事業を開始すれば対象になり得る
創業型では、申請時点で創業直後であり、まだ商品・サービスの提供を開始していない事業者でも補助対象になり得ます。
ただし、補助事業終了までに商品またはサービスの提供を開始し、事業活動を始める必要があります。
そのため、
店舗のオープン前だから申請できない
とは限りません。
一方で、「いつか開業したい」という段階で事業開始時期も決まっていない場合は、要件を満たさない可能性があります。
開業準備中で利用を検討している場合は、予定している開業日と補助事業期間を照らし合わせましょう。
特定創業支援等事業を受けていることが必要
創業型を利用するうえで重要なのが、特定創業支援等事業です。
これは、産業競争力強化法に基づいて認定された市区町村や、連携する支援機関などが行う創業支援です。
第4回では、特定創業支援等事業による支援を受けた日も2025年12月15日から2026年12月15日までに入っている必要があります。
開業後に補助金を知ってから支援を受けようとしても、締切までに条件を満たせない場合があります。
創業型の利用を考えているなら、早い段階で自治体や商工会・商工会議所などへ確認するとよいでしょう。
業種ごとの小規模事業者要件

創業型では、小規模事業者であることも要件です。
小規模事業者に該当するかは、業種と常時使用する従業員数で判断します。
| 業種 | 常時使用する従業員数 |
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業その他 | 20人以下 |
商業・一般サービス業は従業員5人以下
小売や一般的なサービス業などは、常時使用する従業員5人以下が基準です。
たとえば、
- 小売店
- 美容室
- 一般的なサービス業
などが該当する可能性があります。
なお、個人事業主本人や会社役員など、一定の人は「常時使用する従業員数」に含まれない扱いがあります。
従業員数だけを自己判断せず、公募要領の定義まで確認しましょう。
宿泊業・娯楽業は従業員20人以下
ホテル・旅館などの宿泊業や、一定の娯楽業は20人以下が小規模事業者の基準です。
一般サービス業より従業員数の上限が大きいため、宿泊施設を開業する場合でも利用できる可能性があります。
ただし、宿泊業であれば必ず対象になるわけではありません。
創業時期や特定創業支援等事業など、ほかの要件も合わせて満たす必要があります。
製造業・建設業などは従業員20人以下
製造業その他についても、常時使用する従業員20人以下が基準です。
「製造業その他」には製造業だけではなく、分類が難しい建設業・運送業なども含まれる場合があります。
そのため、
- 工場を立ち上げる
- 建設・設備工事業を開業する
- 運送事業を始める
- ソフトウェアなど無形の商品を生産・販売する
といったケースでも、事業内容によって対象になり得ます。
自治体の創業補助金では対象事業が地域ごとに異なる

全国制度だけでなく、都道府県や市区町村でも創業支援が行われています。
自治体制度は地域ごとに条件が異なるため、開業予定地から探すことが重要です。
自治体制度では所在地・創業時期・支援利用歴を確認する
自治体独自の創業支援では、
- 市内・都内で開業する
- 一定期間内に創業している
- 指定された創業支援を利用している
- 税金を滞納していない
- 一定期間事業を継続する
などの条件が設けられる場合があります。
同じ飲食店でも、大阪市で開業する場合と東京都で開業する場合では利用できる制度が違います。
まず開業場所を決めて、その自治体が実施している制度を確認しましょう。
東京都でも飲食・美容・小売など幅広い事業が対象になり得る
東京都の創業助成事業でも、特定の一般業種だけに対象を限定しているわけではありません。
一方で、対象外とされている業種・業態があります。
公式案内では、
- 個人開業医による医業
- 風俗関連業
- ギャンブル・賭博
- 連鎖販売取引
- 送り付け商法
- 催眠商法
- 霊感商法
などは申請できないとされています。
「創業なら何でも対象」ではない点に注意しましょう。
自治体ごとに対象事業の考え方は変わる
ある自治体では飲食店の店舗改装が対象でも、別の自治体では広告費中心の支援しか行っていないことがあります。
また、
- 空き店舗活用
- 移住創業
- 女性・若者向け創業
- 商店街出店
- 地域課題解決型事業
など、自治体独自の目的を設けている場合もあります。
自分の事業と支援制度の目的が一致しているかを確認しましょう。
開業補助金の対象外になりやすい事業

創業・開業であれば、すべての事業が補助対象になるわけではありません。
対象外の考え方は制度ごとに違いますが、いくつか注意しやすいポイントがあります。
医療・風俗・ギャンブルなど対象外になる制度がある
自治体制度では、社会通念上、公的資金による支援に適さないとされる事業を対象外としているケースがあります。
東京都の創業助成事業では、個人開業医による医業、風俗関連業、ギャンブル・賭博などが対象外です。
ただし、
医療ならすべての補助金で対象外
という意味ではありません。
対象業種は制度ごとに異なるため、利用予定制度の公募要領で確認してください。
既存事業をそのまま引き継ぐだけでは創業扱いにならない場合がある
親族や第三者から既存店舗・既存事業をそのまま引き継ぐケースでは、制度上の「創業」に該当するか注意が必要です。
新しい法人を作ったからといって、必ずしも新規創業として扱われるとは限りません。
実質的に同一の事業を継続するだけなのか、新しい商品・サービスや事業モデルへ取り組むのかによって扱いが変わる場合があります。
事業承継や第二創業の場合は、創業支援制度だけでなく事業承継向け制度も確認しましょう。
制度の支援目的と合わない事業は利用できない
対象業種であっても、補助事業の目的が制度と合っていなければ申請できない、または補助対象として認められない可能性があります。
たとえば持続化補助金<創業型>は、経営計画に基づいて行う販路開拓などを支援する制度です。
そのため、
開業したのでパソコンを買いたい
だけでは、制度の目的との関係が弱くなります。
「誰に商品・サービスを販売し、そのために何へ投資するのか」を整理することが重要です。
対象事業と対象経費は別に確認する

「自分の業種が対象」ということと、「使いたい費用が補助される」ということは別問題です。
ここは開業補助金を探す際に特に混同しやすい部分です。
対象事業でもすべての開業費用が補助されるわけではない
たとえば飲食店が制度の対象事業者だったとしても、
- 店舗取得費
- 家賃
- 厨房設備
- 内装工事
- 広告費
- パソコン
- 人件費
がすべて補助対象になるとは限りません。
制度ごとに対象経費の範囲が決められています。
そのため、
自分が対象事業者か
と
使いたい経費が対象か
を分けて確認しましょう。
店舗改装・広告・設備は制度によって対象範囲が異なる
開業時によく発生する費用には、
- 店舗改装
- 機械設備
- Webサイト制作
- 広告
- 看板
- 賃料
などがあります。
全国型の補助金では販路開拓との関連性が重視される一方、自治体制度では店舗改装や賃料などを支援する場合があります。
自分が最も補助してほしい費用を先に整理すると、利用する制度を選びやすくなります。
交付決定前の契約・支払いは対象外になりやすい
補助金を利用する場合、交付決定前の契約や支出が補助対象外になる制度が多くあります。
そのため、
先に店舗を改装する
↓
後から補助金を探す
という順番では、費用を補助対象にできない可能性があります。
開業準備を始める段階で、
- 補助金の公募時期
- 交付決定予定
- 店舗契約
- 設備発注
- オープン予定日
を整理しておきましょう。
自分の開業が対象か確認する方法

開業補助金を探すときは、制度を片っ端から調べるより、条件を順番に確認する方が効率的です。
全国で創業するなら持続化補助金<創業型>を確認する
まず確認したいのが、小規模事業者持続化補助金<創業型>です。
2026年第4回の場合は、
- 小規模事業者に該当する
- 開業日・設立日が2025年12月15日~2026年12月15日に入っている
- 特定創業支援等事業を受けた日も同期間内
- 補助事業終了までに事業活動を開始する
といった条件を確認します。
第4回の申請受付は2026年11月5日から12月15日17時までです。
自治体の創業補助金は開業予定地から探す
全国制度の条件に合わない場合でも、自治体独自の制度を利用できる可能性があります。
たとえば、
「大阪市 創業 補助金」
「東京都 創業 助成金」
「○○市 開業 支援」
など、開業予定地を入れて探します。
自治体の公式サイトだけでなく、商工会・商工会議所、産業振興機関などでも案内されている場合があります。
公募要領は対象者→対象事業→対象経費の順で確認する
制度が見つかったら、最初から全文を読む必要はありません。
まず、
①対象者
→ 自分が申請できるか
②対象事業
→ 自分が行う事業が制度目的に合うか
③対象経費
→ 使いたい費用が補助されるか
の順で確認します。
この3つをすべて満たしてから、
- 補助率
- 上限額
- 申請期限
- 必要書類
- 審査方法
を確認すると効率的です。
開業補助金は業種だけでなく創業時期・規模・所在地まで確認しよう

開業補助金の対象事業は、特定の業種だけに限られているわけではありません。
飲食、美容、小売、サービス、宿泊、製造、建設など、幅広い事業が対象になり得ます。
ただし、「開業補助金」という全国共通の1制度はありません。
2026年に全国で創業する場合は、小規模事業者持続化補助金<創業型>が代表的な制度の一つです。
同制度では、業種によって小規模事業者の基準が異なります。
- 商業・サービス業:5人以下
- 宿泊業・娯楽業:20人以下
- 製造業その他:20人以下
です。
さらに第4回では、開業日・設立日と特定創業支援等事業を受けた日の両方が、2025年12月15日から2026年12月15日までに入っている必要があります。
申請時点でまだ本格的に事業を始めていなくても、補助事業終了までに商品・サービスの提供を開始すれば対象になり得ます。
一方、自治体の創業助成制度では、所在地や創業時期、業種など独自の条件があります。
制度によっては、医業、風俗関連業、ギャンブル・賭博などが対象外です。
自分の開業が対象か確認するときは、
業種
↓
従業員数
↓
創業時期
↓
所在地
↓
必要な創業支援を受けているか
↓
使いたい経費が対象か
の順で確認しましょう。
「同じ業種の人が補助金を使っていたから自分も使える」と判断するのではなく、自分が利用する制度の最新公募要領で対象条件を確認することが重要です。
