中小企業等海外展開支援事業費補助金のうち、外国出願を支援する制度では、対象となる外国出願費用の2分の1が補助されます。2026年の補助上限は1企業あたり300万円です。
ただし、1案件ごとの上限も設定されており、特許は150万円、実用新案・意匠・商標は60万円、抜け駆け対策商標は30万円となっています。
実際の補助額を判断するには、補助対象経費に2分の1を掛けた金額と、案件ごとの上限、企業全体の上限を順番に確認する必要があります。
中小企業等海外展開支援事業費補助金の補助額はいくら?

外国出願に対する補助率は2分の1で、1企業あたりの補助上限は300万円です。
さらに、特許や商標など知的財産の種類ごとに1案件あたりの上限が設定されています。
| 区分 | 補助上限 |
| 1企業あたり | 300万円 |
| 特許 | 150万円/案件 |
| 実用新案 | 60万円/案件 |
| 意匠 | 60万円/案件 |
| 商標 | 60万円/案件 |
| 抜け駆け対策商標 | 30万円/案件 |
外国出願にかかる対象経費の1/2が補助される
補助率は、補助対象経費の2分の1です。
たとえば、外国への特許出願にかかる補助対象経費が200万円なら、基本的な計算は次のようになります。
200万円 × 1/2 = 100万円
この場合、特許1案件の補助上限150万円を下回っているため、100万円が補助額の目安になります。
残る100万円は事業者の自己負担です。
ただし、実際にはすべての支出が補助対象経費として認められるとは限りません。対象となる出願費用だけを基準に計算します。
1企業あたりの補助上限は300万円
1企業が受けられる補助金の上限は300万円です。
複数の外国出願を行う場合でも、企業全体で300万円を超えて補助を受けることはできません。
たとえば、複数案件について案件別の補助額を計算した結果が、
- 特許A:150万円
- 特許B:120万円
- 商標A:40万円
となった場合、合計は310万円です。
しかし、1企業あたりの上限が300万円なので、実際に受けられる補助額は最大300万円となります。
1案件ごとの上限は知的財産の種類によって異なる
1案件あたりの補助上限は、特許・実用新案・意匠・商標で異なります。
最も上限が高いのは特許で150万円です。
一方、実用新案・意匠・商標は60万円、抜け駆け対策商標は30万円となっています。
そのため、「1企業300万円まで使える」という数字だけで予算を組むのは適切ではありません。
まず案件ごとの補助額を計算し、その合計が企業上限300万円以内に収まるかを確認します。
特許・実用新案・意匠・商標の補助上限

外国出願の補助上限は、知的財産の種類によって30万円から150万円まで異なります。
出願する権利の種類を確認したうえで、1案件ごとの補助上限を把握しておきましょう。
特許の補助上限は1案件150万円
外国への特許出願では、1案件あたり150万円が補助上限です。
補助率は2分の1なので、補助対象経費が300万円なら、
300万円 × 1/2 = 150万円
となり、1案件の上限まで補助を受けられる計算です。
一方、対象経費が400万円なら、
400万円 × 1/2 = 200万円
となりますが、特許の上限150万円を超えています。
この場合の補助額は最大150万円で、残る250万円は自己負担となります。
実用新案の補助上限は1案件60万円
外国への実用新案出願では、1案件あたり60万円が補助上限です。
補助率2分の1で上限60万円まで受けるには、対象経費が120万円以上必要になります。
たとえば対象経費80万円なら、
80万円 × 1/2 = 40万円
となり、補助額の目安は40万円です。
対象経費が150万円なら計算上は75万円ですが、上限が60万円なので補助額は最大60万円となります。
意匠の補助上限は1案件60万円
外国への意匠出願では、1案件あたり60万円が上限です。
補助率は他の区分と同じ2分の1です。
たとえば対象経費100万円なら、
100万円 × 1/2 = 50万円
となります。
上限60万円を下回っているため、補助額の目安は50万円です。
複数国へ出願する場合などは費用が大きくなることもありますが、1案件の上限60万円を超えた部分は自己負担になります。
商標の補助上限は1案件60万円
外国への通常の商標出願では、1案件あたり60万円が補助上限です。
たとえば対象経費120万円なら、
120万円 × 1/2 = 60万円
となり、上限まで補助される計算です。
一方、対象経費160万円なら計算上80万円ですが、補助額は最大60万円です。
海外展開では国や地域ごとに商標権を取得することもあるため、複数出願を予定している場合は企業全体の300万円上限も合わせて確認してください。
抜け駆け対策商標の補助上限は1案件30万円
抜け駆け対策商標では、1案件あたり30万円が補助上限です。
通常の商標が60万円なのに対して、上限が半分になっている点に注意してください。
補助率2分の1なので、対象経費60万円で、
60万円 × 1/2 = 30万円
となり、上限へ到達します。
通常商標と抜け駆け対策商標を混同すると補助額の試算がずれるため、どの区分で申請するのかを先に確認しておきましょう。
実際にもらえる補助額の計算方法

実際の補助額は、基本的に「補助対象経費×1/2」で計算します。
ただし、計算結果が案件別上限や1企業あたり300万円の上限を超える場合は、それぞれの上限までとなります。
補助額は「補助対象経費×1/2」で計算する
基本となる計算式は次のとおりです。
補助対象経費 × 1/2 = 補助額
たとえば、外国出願にかかる対象経費が100万円なら、補助額は50万円です。
補助率だけで見ると、自己負担も50万円になります。
ただし、案件別の補助上限を超えないことが前提です。
具体的な計算例をまとめると次のようになります。
| 出願種類 | 対象経費 | 1/2の金額 | 補助額の目安 |
| 特許 | 200万円 | 100万円 | 100万円 |
| 特許 | 400万円 | 200万円 | 150万円 |
| 商標 | 80万円 | 40万円 | 40万円 |
| 商標 | 160万円 | 80万円 | 60万円 |
計算額が案件別上限を超える場合は上限額まで
補助対象経費の2分の1が、そのまま補助されるとは限りません。
計算した金額が1案件ごとの上限を超えた場合は、上限額までとなります。
たとえば外国特許の対象経費が500万円なら、
500万円 × 1/2 = 250万円
です。
しかし、特許1案件の上限は150万円なので、補助額は最大150万円です。
この場合、350万円が自己負担となります。
補助率2分の1でも、上限を超える規模の出願では実質的な自己負担割合が大きくなる点に注意してください。
複数案件でも1企業あたり300万円を超えない
複数の外国出願を申請する場合は、各案件の補助額を計算した後、企業全体の上限300万円を確認します。
たとえば、
| 案件 | 案件ごとの補助額 |
| 特許A | 150万円 |
| 特許B | 120万円 |
| 商標A | 40万円 |
| 合計 | 310万円 |
この場合、案件単位ではそれぞれ上限以内です。
しかし、企業全体では310万円となるため、補助されるのは最大300万円です。
複数の国や権利について出願を予定している企業ほど、案件別上限だけでなく企業上限まで含めた予算管理が必要になります。
上限を超えた費用は自己負担になる
補助上限を超えた費用は、事業者が負担します。
たとえば特許1案件の補助対象経費が400万円なら、本来の2分の1は200万円です。
しかし上限は150万円なので、
400万円-150万円=250万円
が自己負担です。
このように、「補助率1/2」と「自己負担1/2」は必ずしも一致しません。
上限に達する対象経費の目安を整理すると、次のようになります。
| 種類 | 補助上限 | 上限に達する対象経費の目安 |
| 特許 | 150万円 | 300万円 |
| 実用新案 | 60万円 | 120万円 |
| 意匠 | 60万円 | 120万円 |
| 商標 | 60万円 | 120万円 |
| 抜け駆け対策商標 | 30万円 | 60万円 |
この金額を超える部分については、補助率2分の1の計算結果より自己負担が増えます。
補助額の計算対象になる主な経費

補助額の計算対象になるのは、外国出願に直接必要となる一定の費用です。
海外展開に関係する費用であれば何でも対象になるわけではありません。
外国特許庁への出願手数料が対象になる
外国特許庁へ支払う出願手数料などは、主な補助対象経費です。
外国へ特許・実用新案・意匠・商標を出願する場合、各国・地域の知財制度に応じた手数料が発生します。
こうした外国出願に直接必要な費用を対象経費として計上し、その金額に2分の1を掛けて補助額を計算します。
ただし、実際に対象となる手数料の範囲は申請する出願内容によって異なるため、最新の公募条件で確認してください。
国内・現地代理人費用が対象になる
外国出願に必要な国内代理人や現地代理人への費用も対象となります。
海外で知的財産権を取得する際は、国内の弁理士等だけでなく、出願先の国・地域にいる代理人を通じて手続きを進めることがあります。
そのため、外国出願に直接関係する、
- 国内代理人への費用
- 現地代理人への費用
なども補助額の計算対象となります。
ただし、外国出願と関係のない顧問料や一般的な法律相談費用まで広く対象になるわけではありません。
外国出願に必要な翻訳費用が対象になる
外国出願に必要な翻訳費用も対象経費に含まれます。
特許明細書や商標・意匠に関する申請書類などを海外へ提出する際は、出願国・地域に応じた言語への翻訳が必要になります。
特に特許では書類量が多くなり、翻訳費が大きくなることもあります。
こうした外国出願に直接必要な翻訳費は、対象経費として補助額の計算に含められます。
翻訳費を見積もる際は、代理人費や出願手数料と合わせて外国出願全体の予算を確認すると、自己負担額まで把握しやすくなります。
補助対象外の費用は補助額の計算に含めない
補助額は、実際に支払った費用全体ではなく、制度上認められた補助対象経費を基準に計算します。
たとえば海外展開に関係していても、
- 展示会への出展
- 海外向け広告
- 市場調査
- 越境ECの構築
- 現地法人の設立
などを外国出願支援の対象経費として一緒に計算することはできません。
「海外事業のために使った費用」ではなく、「外国への知的財産出願に必要な対象経費」であることが基準です。
対象外経費まで含めて2分の1を計算すると、実際の補助額を過大に見積もることになるため注意してください。
補助額を確認するときの注意点

補助額を確認するときは、補助率だけでなく案件別上限・企業上限・対象経費の3点を見る必要があります。
「費用の半分が必ず補助される」と考えると、実際の交付額との差が大きくなることがあります。
上限額がそのまま交付されるわけではない
特許なら150万円、企業全体なら300万円という金額は、あくまで補助上限です。
上限額を申請すれば、その金額が自動的に交付されるわけではありません。
たとえば特許出願の補助対象経費が100万円なら、
100万円 × 1/2 = 50万円
です。
特許の上限150万円には余裕がありますが、補助額は50万円となります。
上限額ではなく、自社で発生する対象経費から計算してください。
1案件上限と1企業上限を混同しない
補助額には「1案件あたり」と「1企業あたり」の2種類の上限があります。
特許で150万円まで補助されるからといって、特許を3件申請すれば必ず450万円を受け取れるわけではありません。
企業全体では最大300万円です。
一方、1件しか申請しない場合は、企業上限300万円まで余裕があっても、特許なら1案件150万円を超えられません。
つまり、補助額は、
- 対象経費×1/2
- 1案件ごとの上限
- 1企業あたり300万円の上限
の順に確認すると整理しやすくなります。
実際の申請では地域窓口の最新公募条件を確認する
外国出願支援は、地域の中小企業支援機関等が窓口となって実施されます。
そのため、実際に申請するときは、自社所在地を担当する実施機関の公募内容を確認してください。
公募期間や提出方法などは、実施機関ごとに確認が必要です。
補助額の基本条件だけを見て申請準備を進めるのではなく、利用する地域窓口の最新案内まで確認したうえで手続きを進めます。
年度によって補助条件が変わる場合がある
補助率や上限額、対象経費などは、年度によって変更されることがあります。
2026年は補助率2分の1、1企業あたり300万円、特許1案件150万円などが基本ですが、将来の公募でも同じ条件が続くとは限りません。
また、過年度の記事には異なる制度や海外展開支援策の金額が掲載されていることもあります。
実際に申請する際は、申請年度の最新条件を基準に補助額を計算してください。
まとめ|外国出願費の1/2・1企業最大300万円が基本

中小企業等海外展開支援事業費補助金の外国出願支援では、対象となる外国出願費用の2分の1が補助されます。
2026年の補助上限は、1企業あたり300万円です。さらに1案件ごとに、特許150万円、実用新案・意匠・商標60万円、抜け駆け対策商標30万円という上限があります。
実際の補助額を確認するときは、
- 補助対象経費はいくらか
- 2分の1にするといくらか
- 案件別上限を超えていないか
- 複数案件の合計が300万円を超えていないか
を順番に確認してください。
外国特許庁への出願手数料、国内・現地代理人費用、翻訳費用などが主な計算対象です。海外展示会や広告など、外国出願とは別の海外展開費用を一緒に計算しないよう注意が必要です。
補助率だけでなく上限額まで含めて試算し、自己負担額を把握したうえで外国出願の予算を組みましょう。
