2026年07月11日 更新
ホテルの電気代を削減するには?空調・照明・契約見直しまで具体策を網羅

- 電気代が高騰する背景とホテル業界への影響
- ホテルで電気代が高くなる主な原因とは
- 電力使用のピーク時間帯とその特徴
- 電気料金の制度変更や燃料費調整額の影響
- “使い方”と“制度”の両面で負担増が進行中
- 電気代を削減するための基本的な考え方
- 消費電力の「見える化」が第一歩
- 使用量の平準化とピークカットの重要性
- 節電ではなく「最適化」に視点を変える
- 削減のカギは「見える化・平準化・自動化」の3ステップ
- 設備別に見る電気代の削減ポイント
- 空調設備の見直しと自動制御の導入
- 照明のLED化と時間帯制御の活用
- 冷蔵・冷凍設備や厨房機器の省エネ対策
- “設備別アプローチ”が最も効く節電戦略
- 具体的な対策事例|導入効果と費用対効果
- 自動空調制御システムの導入事例
- BEMS(ビルエネルギー管理システム)活用の成功例
- 省エネ補助金を活用した導入例と注意点
- 「成果が見える投資」だけが正解とは限らない
- 電気代削減のために活用できる補助金・支援制度
- 省エネ補助金(エネルギー合理化等支援事業)とは
- 中小企業向けの省エネ設備導入支援制度
- 補助金申請時のポイントと注意点
- 補助金を活用することで「攻めの省エネ投資」が可能に
- 見落とされがちな「契約プラン見直し」のインパクトとは?
- 契約電力と基本料金の関係性を理解する
- 実際の使用実績に合った電力契約に変更する方法
- 電力会社の選定とPPS(新電力)活用の可能性
- 「契約見直し=即効性の高いコスト削減策」
- まとめ|利益を守るための「仕組みある電気代削減」を

ホテル業界では、電気代の高騰が経営を圧迫する深刻な課題となっています。
特に近年は、エネルギー価格の上昇に加え、電力需給ひっ迫による制度変更など、外部要因によって固定費が想定以上に増えるケースが目立ちます。
全国の宿泊施設からは「コロナ明けで稼働率が戻ったのに、利益が思ったほど出ない」「光熱費が月100万円単位で増えている」といった声も聞かれ、単なる節電では対応しきれない状況に直面しているのが実情です。
こうした背景から、電気代の「削減」ではなく「最適化」という考え方が注目されており、設備更新や補助金の活用、電力契約の見直しまで、多角的な取り組みが求められています。
本記事では、電気代が高くなる要因から設備ごとの対策、さらに契約プランの見直しといった具体的な削減策を網羅的に整理し、ホテル経営者・支配人・施設管理者が「すぐに実践できるヒント」を提供します。
電気に関するお悩みはお気軽にご相談ください。
電気代が高騰する背景とホテル業界への影響

ホテル業界にとって、電気代は運営コストの中でも無視できない“重たい固定費”です。
とくに2026年現在は、インバウンド需要の回復で稼働率は上がっているにもかかわらず、利益が伸び悩む背景に「エネルギーコストの高止まり」があるという声が増えています。
「館内すべてが空調対象」「24時間体制で給湯や照明を稼働させる必要がある」など、ホテルならではの事情が電力コストに大きく影響しているのです。
ホテルで電気代が高くなる主な原因とは
ホテルの電力消費は、他業種と比べて極めて特殊です。
その特徴は、「全館24時間稼働+エリアごとに異なる快適性要求」という運営形態にあります。
とくにコストを押し上げる代表的な要因は以下のとおりです。
- 空調(HVAC)負荷が大きい
客室、ロビー、レストラン、会議室など、すべてが異なる温度設定を求められます。全体の電力消費の約40〜50%を占めるほどの負荷です。 - 給湯設備の消費が膨大
大浴場や各部屋への安定給湯には、ヒートポンプや電気温水器が常時稼働しており、夜間でも電力を消費し続けます。 - 老朽化した設備の非効率性
築年数の経過した施設では、旧型の空調機器やボイラーが使用されており、最新設備と比較してエネルギー効率が著しく劣るケースも目立ちます。
これらが重なり、電力単価が同じでも“使用量が膨らむ”構造になっているのがホテル業界の実態です。
電力使用のピーク時間帯とその特徴
ホテルの電力使用には、非常に分かりやすい「山」があります。とくに多いのが、夕方と朝の時間帯です。
| 時間帯 | 電力需要が高まる主な理由 |
| 17時〜21時(夕方) | チェックインが集中、客室空調・照明の一斉稼働、厨房でのディナー準備、ロビー照明など |
| 7時〜9時(朝) | 朝食会場の稼働、シャワー・ドライヤーなど客室の同時使用、洗濯・清掃作業の開始など |
特に高圧受電をしている施設では、このピーク時間帯が“年間の電気料金”に大きな影響を及ぼすため、運用面での調整が求められる場面です。
電気料金の制度変更や燃料費調整額の影響
電力市場は今、過渡期にあります。制度や単価そのものが、以前とは大きく変化しています。
- 燃料費調整額の上昇
世界情勢や為替の影響により、LNG・石炭などの燃料価格が上昇し、それがそのまま電気代に反映されます。 - 再エネ賦課金の増加
再生可能エネルギー導入のための「賦課金」も上がり続けており、使用量が多いほど負担が重くなる構造です。 - 電力契約の複雑化
電力自由化以降、選択肢が増えた一方で、契約内容が最適でないまま放置されているケースも散見されます。
こうした制度的・外部的な要因も、電気代高騰に拍車をかけているのが現状です。
“使い方”と“制度”の両面で負担増が進行中
- ホテルは構造的に電力使用量が多くならざるを得ない
- ピーク時の使用集中が基本料金を押し上げている
- 制度や燃料費調整額の変化により、単価自体も高騰傾向
つまり、使い方を見直すだけでなく、契約や制度面の最適化も不可欠だということ。次章では、この高止まりしたコストをどうやって削減するか、実践的な考え方を解説していきます。
電気代を削減するための基本的な考え方

「電気代を下げたいけれど、お客様の快適さを犠牲にはしたくない」
これは多くのホテル現場から聞かれるリアルな声です。単に「節電しよう」と言うだけでは、クチコミ評価や再来率に悪影響が出ることも。
だからこそ今、ホテルに必要なのは、テクノロジーを活用した“最適化”という発想です。
ホテルの電気代削減は、現場ごとの節電だけでなく、法人全体の省エネ施策として捉えることが重要です。
空調・照明・厨房設備・給湯設備などの使用状況を施設ごとに比較し、電力消費が大きい設備から優先的に見直すことで、法人省エネ電気料金削減の取り組みとして改善ポイントを整理しやすくなります。
特に複数施設を運営している場合は、設備更新、BEMSによる見える化、ピークカット、契約プランの見直しをまとめて進めることで、単なる節電ではなく継続的なコスト最適化につなげやすくなります。
この章では、効果的な電気代削減のための3つの視点を紹介します。
消費電力の「見える化」が第一歩
電気代削減は、やみくもに始めても成果が出ません。
まずは「何に、どれだけ使っているのか」を可視化することが出発点です。
- BEMS(ビルエネルギー管理システム)で設備・フロアごとの使用量をリアルタイム管理
- スマートメーター連携で時間帯別のピークを把握し、無駄な待機電力を特定
一例として、深夜帯に厨房機器が無駄に稼働していたケースでは、運用を少し見直すだけで月数万円規模の削減につながった事例もあります。
使用量の平準化とピークカットの重要性
高圧受電契約をしている施設では、電気料金の基本料金が「年間最大デマンド値」によって決まるのが一般的です。
つまり、一時的なピーク使用があるだけで、その後1年間ずっと高額な基本料金を払い続けることになります。
だからこそ、ピークの平準化とカットが非常に重要です。
- 夕方のピークに合わせて、バックヤードの空調や非優先エリアの照明を一時的に減力
- 深夜帯や早朝など、使用量が少ない時間に給湯や空調の予熱・貯湯を回す
- デマンドモニターでリアルタイム監視を行い、設定値に近づいたら自動で機器の出力を制限
これらの取り組みにより、年間で数十万〜数百万円のコスト削減につながる可能性があります。
節電ではなく「最適化」に視点を変える
従来の「節電」は、“こまめに消す”など人の努力に依存していましたが、今は違います。
「システムによる自動最適化」こそが主流です。
たとえば
- 人感センサーと連動した客室制御で、離室時に空調・照明を自動でエコモードへ
- 外気導入や排熱回収システムによる負荷軽減
- スケジュール制御による機器の稼働分散
こうした仕組みは、“快適さを保ちつつ、知らぬ間に省エネ”を実現する強力な手段。
導入コストはかかっても、中長期で見ると大きなリターンが見込めます。
削減のカギは「見える化・平準化・自動化」の3ステップ
| 項目 | 目的 | 期待できる効果 |
| 見える化 | 無駄を特定し、改善点を明確にする | 対象を絞った効率的な改善が可能 |
| 平準化 | ピーク時の使用集中を避ける | 基本料金を数十万円規模で圧縮可能 |
| 自動最適化 | 快適性を保ったまま運用を最適化 | 長期的・継続的なコストダウンが可能 |
電気代を削る時代は終わり、「ムリなく削減する仕組みをつくる時代」に入りました。
次章では、設備ごとの具体的な対策にフォーカスし、即実行できる現場レベルの施策を掘り下げていきます。
設備別に見る電気代の削減ポイント

ホテルの電気代削減において、最も大きなインパクトを生むのが「設備の効率化」と「運用の自動化」です。
2026年現在は、AIやIoTの進化により、お客様に不快感を与えることなく“裏側で賢く省エネする仕組み”が一般化しています。
この章では、電力消費の大半を占める空調・照明・厨房・冷蔵設備の3分野に絞り、すぐに取り組める現実的な対策を紹介します。
空調設備の見直しと自動制御の導入
空調は、ホテル全体の消費電力の約40〜50%を占める最大のコスト要因です。
だからこそ、ここを効率化するだけで電気代全体に大きく効いてきます。
具体的な対策は次の通りです。
- 客室管理システムとの連動
チェックイン情報やカードキーの抜き差しをトリガーに、無人状態では設定温度を緩和したり空調を自動でオフに切り替える運用が可能です。 - AIによる予測制御
天気予報や予約状況をもとに、前日に冷温水を最適なタイミングで作る“事前制御”が可能になります。 - セントラル管理型空調のスケジュール制御
宴会場やレストランなど、使用予定があるスペースは、稼働時間に合わせたプレ冷暖房設定が有効です。
照明のLED化と時間帯制御の活用
照明は単体での電力比率はそこまで高くないものの、点灯時間が長く、数も多いため、全体としての負荷は無視できません。
以下のような改善策が効果を発揮します。
- 全館のLED化
水銀灯や蛍光灯からLEDに切り替えることで、最大で照明電力の80%削減が可能です。 - 調光+スケジュール制御の導入
ロビーや廊下などの共用部では、自然光がある時間帯や深夜に照度を30〜50%まで落とすスケジュール制御が有効です。 - 人感センサーの徹底
非常階段やバックヤード、リネン室などでは、人感センサーを設置することで“消し忘れ”によるロスをゼロにできます。
冷蔵・冷凍設備や厨房機器の省エネ対策
厨房は空調に次ぐ高負荷ゾーンであり、24時間稼働が基本の冷蔵・冷凍設備も見直しの余地が大きい分野です。
主な改善策は次の通りです。
- 厨房の排熱・給気管理
高効率な換気フードや排熱を給湯に再利用するシステムを活用することで、空調負荷を軽減できます。 - 業務用冷蔵庫の高効率モデルへの更新
10年以上使用している機器を、インバータ搭載の最新型に変更するだけで大幅な省エネが可能です。 - フィルター清掃と温度設定の見直し
フィルターの詰まりや設定温度の過剰が電力浪費につながるため、定期メンテナンスで改善される場合があります。
“設備別アプローチ”が最も効く節電戦略
最後に、各設備ごとの削減効果の目安を表で整理しておきます。
| 設備カテゴリ | 主な対策 | 期待される削減率 |
| 空調 | 自動制御・AI予測・客室管理連動 | 15〜25% |
| 照明 | LED化・調光スケジュール・人感センサー | 50〜80%(照明部分) |
| 厨房・冷蔵 | 換気管理・高効率機器更新・排熱再利用 | 10〜20% |
優先順位に迷った場合は、電力消費が最も大きい空調から取り組むのが効果的です。
次は、こうした施策を導入して実際に成果を上げたホテルの事例を見ていきましょう。

具体的な対策事例|導入効果と費用対効果

「実際のホテルではどうやって電気代を下げているのか?」
ここでは、設備投資・運用改善・補助金活用の3つの軸から、具体的な成功事例をご紹介します。
自動空調制御システムの導入事例
全国チェーンのビジネスホテルで実施された施策をご紹介します。
- 対象:客室数150室のビジネスホテル
- 内容:各客室に人感センサーと温度センサーを設置し、BEMSと連携。
- 結果:空調代を年間で約18%削減。
- 投資額:約800万円(センサー・制御設備含む)
- 回収見込み:補助金併用で約3.5年で投資回収
快適性は維持しつつ、裏側で効率化された成功事例です。
BEMS(ビルエネルギー管理システム)活用の成功例
中規模ホテルでも、“設備を変えずに”コスト削減に成功した例があります。
- 対象:宴会場と厨房を持つシティホテル
- 内容:BEMS導入により電力デマンドを30分単位で可視化
- 改善策:厨房と宴会場の使用スケジュールを調整し、ピーク電力を抑制
- 結果:基本料金を年間約120万円削減
高額な設備更新をせず、運用面だけで成果を出した点が特徴的です。
省エネ補助金を活用した導入例と注意点
老朽化した空調設備を更新した際の補助金活用事例です。
- 対象:大型観光ホテル
- 施策:セントラル空調(チラー)を最新型へ入れ替え
- 総事業費:約4,500万円
- 補助額:環境省の補助金により約1,500万円が支給
- 効果:空調コストを20%削減、設備の寿命も延長
注意点としては以下の点が挙げられます。
- 申請は工事前が必須(着工後は対象外)
- 省エネ効果の報告義務があり、1〜3年分の実績提出を求められる場合が多い
「成果が見える投資」だけが正解とは限らない
導入対策の費用対効果を、下記の表で確認してみましょう。
| 対策内容 | 期待される削減率 | 回収期間の目安 |
| 照明の完全LED化 | 照明代の50〜80% | 1〜2年 |
| 空調の自動制御導入 | 空調代の15〜25% | 3〜5年 |
| デマンド管理(運用改善) | 基本料金の5〜10% | 即時(システム費用のみ) |
補助金を活用して初期コストを抑えつつ、確実に回収できる投資へ変換する。
この視点が、ホテル経営における電気代削減の実行性を高めます。
電気代削減のために活用できる補助金・支援制度

設備を更新するだけがコスト削減ではありません。
補助金を活用すれば、同じ投資でも“回収までのスピード”が圧倒的に変わります。
とくに2026年は、脱炭素化を後押しする流れが加速しており、ホテル・旅館業にも使いやすい支援制度が整備されています。
ここでは、代表的な補助金と、中小ホテルでも活用できる支援策、申請時の注意点を紹介します。
省エネ補助金(エネルギー合理化等支援事業)とは
まず押さえておきたいのが、経済産業省が主導する代表的な省エネ補助金です。
この制度では、以下のような設備が補助対象となります。
- 高効率空調設備(例:最新型パッケージエアコンやチラー)
- インバータ搭載ポンプ・ファン類
- 高性能ボイラー、LED照明、BEMSなど管理系設備
補助率の目安としては、設備費用の1/3〜1/2が支援されるケースが多く、初期投資を大きく圧縮できます。
ただし、補助を受けるには「導入前後の省エネ効果(効率改善)」をデータで証明する必要があります。
単なるリプレイスではなく、「どれだけ効率が良くなるか」を明示するのがポイントです。
中小企業向けの省エネ設備導入支援制度
中小規模のホテル・旅館でも使える制度は複数あります。
ここでは、税制優遇と地方独自の補助制度を中心に見てみましょう。
利用できる主な支援策は以下の通りです。
- 中小企業経営強化税制
対象となる設備投資について、即時償却や税額控除が可能になります。キャッシュフローに余裕を持たせながら投資がしやすくなる制度です。 - 観光庁や地方自治体の宿泊施設向け補助金
たとえば「高付加価値化改修支援」など、省エネと併せて施設改善を図る制度もあります。とくに温泉旅館や観光ホテルにとっては導入しやすい枠組みです。
これらを組み合わせることで、実質的な負担を半分以下に抑えられるケースもあります。
補助金申請時のポイントと注意点
補助金には「落とし穴」もあるため、申請前にいくつか確認しておくべきポイントがあります。
以下のような点に注意が必要です。
- 着工前の申請が必須
交付決定が出る前に工事を始めてしまうと、補助金は一切適用されません。 - 専門家のサポートが重要
「省エネ診断士」や「エネルギー管理士」などの専門家による効果シミュレーションが必要な場合があります。 - 実績報告の義務あり
補助金を受けた場合は、導入後1〜3年にわたってエネルギー使用量の報告が求められることが一般的です。
補助金を活用することで「攻めの省エネ投資」が可能に
設備更新の初期コストに悩む必要はありません。
補助金や税制をうまく組み合わせることで、投資回収期間は半分以下になることもあります。
| 支援内容 | 補助・優遇内容 | 活用のポイント |
| エネルギー合理化等支援事業 | 設備費の1/3〜1/2補助 | 導入前後の省エネ効果を要証明 |
| 中小企業経営強化税制 | 即時償却or税額控除 | キャッシュフロー改善に有効 |
| 観光庁・自治体の宿泊施設支援 | 改修+省エネで補助対象 | 観光資源の活用地域で採択率高め |
特に老朽設備の更新を検討しているホテルは、「まず補助金から確認する」ことが鉄則です。
見落とされがちな「契約プラン見直し」のインパクトとは?

設備更新や節電の前に、「そもそも電気の契約内容が今の使い方に合っているか?」を見直すだけで、毎月数万円〜数十万円の固定費が減る可能性があります。
実際には、契約プランを放置したまま数年間が経過しているケースも多く、“無駄に高い基本料金を払い続けている”ホテルは少なくありません。
ホテルの電力契約を見直す際は、現在の契約電力や基本料金だけでなく、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金、時間帯別単価まで含めて総額で確認することが重要です。
特に宿泊施設は、空調・給湯・照明・厨房設備などで電力使用量が大きくなりやすいため、法人電気料金比較を行うことで、現在の契約が施設の使用実態に合っているか判断しやすくなります。
単価だけで安さを判断するのではなく、ピーク時間帯や契約条件、解約条件まで含めて比較することで、無駄な固定費を抑えやすくなります。
この章では、電気代を根本から見直すための「契約の最適化」のポイントを解説します。
契約電力と基本料金の関係性を理解する
高圧契約をしているホテルの基本料金は、「過去1年間の最大デマンド値(30分間の最大使用量)」で決まります。
この仕組みには、次のような落とし穴があります。
- たった一度のピークで高額固定費が決まる
宴会場と厨房、客室空調が同時に稼働した30分があれば、その数値が1年間の料金基準になる可能性があります。 - ピークカットで毎月の請求が変わる
最大デマンド値を5%下げるだけでも、毎月の基本料金を大きく圧縮できるケースがあります。
このように、契約電力を適切にコントロールすることで、年間数百万円単位の固定費削減も不可能ではありません。
実際の使用実績に合った電力契約に変更する方法
プラン変更にあたっては、まず「今の使い方を正しく知る」ことが第一歩です。
以下の手順で現状把握を行います。
- Bルートデータ(スマートメーター情報)の取得と分析
30分ごとの電力使用履歴を確認し、「どの時間帯にどれだけ使っているか」を見える化します。 - 負荷率の検討
平均電力と最大電力のバランスを見ることで、時間帯別プランの方が有利かどうか判断できます。 - 適正な契約電力に変更
もし“過剰な契約”になっていれば、電力会社に申し出て基本料金を下げる手続きが可能です。
このプロセスを省エネコンサルタントや電力仲介業者がサポートしてくれるケースも増えています。
電力会社の選定とPPS(新電力)活用の可能性
電力自由化が進み、現在はPPS(新電力)各社が多様なプランを展開しています。
最近の選定トレンドは以下の通りです。
- 市場連動型プランの見直し
過去の高騰リスクを受け、上限付き・固定単価型のプランが主流になりつつあります。 - グリーン電力+法人割引プランの拡大
再生可能エネルギー由来の電力を導入することで、“サステナブルホテル”としての訴求力も向上します。 - 過去10年以上プラン変更していない場合は特に要注意
契約時点から使用状況が変わっているのに見直しをしていないと、今の使い方に全く合っていないプランのままになっている可能性が高いです。
「契約見直し=即効性の高いコスト削減策」
節電や投資より前に、“契約そのものを最適化”することで得られるメリットは非常に大きいです。
以下のように整理すると、その即効性がよく分かります。
| 見直し項目 | 内容例 | 期待できる効果 |
| 最大デマンドの抑制 | ピークカット制御の導入 | 基本料金の5〜10%削減 |
| 契約電力の再設定 | 実使用に合った容量への変更 | 過剰契約の是正で年間数十万円減 |
| 電力プランの再選定 | 固定単価型・時間帯別・グリーン電力プランなど | 単価安定・CSR訴求にも有効 |
契約内容の見直しは“無料でできる節電策”とも言えます。
特に電力会社を10年以上変えていない施設は、一度使用実態をデータで確認するだけでも大きな気付きにつながるはずです。
まとめ|利益を守るための「仕組みある電気代削減」を

ホテルにおける電気代削減は、単なる「節約」ではありません。
それはむしろ、顧客満足を維持しながら利益率を守る“戦略的な運営改善”です。
この記事では、電気代の構造的な高騰要因から、具体的な削減アプローチ、導入事例、補助金の活用法、そして見落とされがちな契約プランの見直しまで、網羅的に解説してきました。
あらためて、押さえておくべきポイントを整理します。
| 対策カテゴリ | 主な施策内容 | 期待される効果 |
| 設備効率化 | 高効率空調・LED照明・厨房の熱管理・自動制御の導入 | 電力消費の15〜25%削減 |
| 運用改善 | BEMSによるピーク抑制・人感センサー・調光制御など | 基本料金の5〜10%削減 |
| 補助金の活用 | 省エネ補助金・税制優遇・宿泊施設向け地域支援などの制度活用 | 初期投資の1/2程度を公的資金でカバー可能 |
| 契約の最適化 | デマンド値見直し・プラン変更・PPS活用・負荷率分析 | 無駄な基本料金を是正、グリーン化によるブランド強化 |
重要なのは、コストを削減しながら“お客様に不便を感じさせない”こと。
そのためには、「設備」と「契約」と「制度」の3つをバラバラに考えるのではなく、相互に連動させて最適化する視点が求められます。
すぐにできる取り組みとしては、以下のようなステップから始めるのが現実的です。
- スマートメーターのデータを分析し、使用状況を“見える化”する
- 空調や照明の自動制御化を検討し、ピーク時間の電力負荷を調整する
- 現在の契約電力と使用実績に乖離がないかチェックする
- 次回の設備更新時に向けて、補助金の情報を早めにキャッチアップしておく
エネルギーコストが経営を左右する時代、省エネは「守りの節約」ではなく、「攻めの利益改善」
今こそ、“仕組み”として電気代を最適化し、より持続可能で収益性の高いホテル経営へと踏み出す時です。

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