「中途採用等支援助成金」という名称は現在使われておらず、2024年4月から「早期再就職支援等助成金」へ名称変更されています。
中途採用を増やす事業者が利用する制度は、現在の「早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)」です。
2026年4月8日以降は制度内容も見直され、通常助成は対象となる中途採用者1人につき20万円となりました。一定の成長要件を満たせば、1人につき10万円が加算されます。
1事業所につき1年度20人まで対象となるため、条件を満たせば通常助成で最大400万円、成長要件加算を含めると最大600万円です。
ただし、中途採用を行えば自動的に支給される制度ではありません。中途採用率の引上げや、前職と比べて5%以上の賃上げ、無期フルタイムでの雇用など複数の要件があります。
旧制度の「50万円」「45歳以上を採用すると100万円」「中途採用率20ポイント上昇」といった情報は、現在の制度とは異なります。申請を検討するときは2026年度の条件を基準に確認しましょう。
中途採用等支援助成金は現在「早期再就職支援等助成金」に名称変更

中途採用等支援助成金は廃止されたわけではなく、制度再編によって名称が変更されています。
現在、中途採用を拡大する企業が利用するのは「早期再就職支援等助成金」の中途採用拡大コースです。
現在利用できるのは早期再就職支援等助成金の中途採用拡大コース
旧「中途採用等支援助成金」のうち、中途採用を増やす企業を支援していた仕組みは、現在の中途採用拡大コースへ引き継がれています。
主な目的は、中途採用者の雇用機会を増やすとともに、採用後の賃金や雇用管理を改善することです。
そのため、単に求人を出したり採用人数を増やしたりするだけでは対象になりません。
事前に中途採用計画を作成し、その計画に沿って対象となる中途採用者を雇い入れる必要があります。
2026年4月8日から支給額・要件が見直された
2026年度は、中途採用拡大コースの支給方法や要件が大きく変更されています。
従来は、中途採用率を一定以上高めた事業所に対して50万円などを支給する仕組みが中心でした。
現在は、対象となる中途採用者の人数に応じて支給額が決まります。
基本は1人20万円です。
さらに一定の成長要件を満たす事業所については、対象者1人あたり10万円が加算されます。
過去の記事や資料を参考にするときは、制度改正前の金額と混同しないようにしてください。
UIJターンコースは2026年3月31日に廃止
旧制度では、地方へ移住して就職する人を採用した事業者向けにUIJターンコースも設けられていました。
しかし、UIJターンコースは2026年3月31日で廃止されています。
そのため、現在の「中途採用等支援助成金」を調べる場合は、中途採用拡大コースを中心に確認すれば十分です。
旧UIJターンコースの支給額や要件を、現在利用できる制度として扱わないようにしましょう。
中途採用拡大コースの支給額

2026年度の中途採用拡大コースは、対象となる中途採用者の人数に応じて支給額が決まります。
従来のように事業所単位で一律50万円という仕組みではありません。
通常助成は対象者1人につき20万円
基本となる支給額は、対象労働者1人につき20万円です。
たとえば、対象となる中途採用者を3人雇い入れた場合は、
20万円×3人=60万円
が通常助成の支給額の目安となります。
ただし、採用した人すべてが自動的に対象人数へ含まれるわけではありません。
無期雇用・フルタイム・賃金引上げなど、対象労働者の要件を満たす必要があります。
成長要件を満たすと1人につき10万円が加算
一定の成長性が認められる事業所では、通常の20万円に加えて1人につき10万円が加算されます。
つまり、対象者1人あたり最大30万円です。
成長要件は、主に次のいずれかで判断されます。
- ローカルベンチマークによる財務分析結果が一定水準以上
- 直近2年度を比較して、給与等受給者1人あたりの平均受給額が5%以上増加
単に売上が増えているだけではなく、財務状況や従業員への賃金還元まで含めて確認されます。
1事業所1年度20人まで支給対象になる
支給対象となる人数は、1事業所につき1年度20人までです。
そのため、通常助成のみであれば、
20万円×20人=400万円
が1年度の最大額です。
対象者全員について成長要件加算も適用される場合は、
30万円×20人=600万円
となります。
ただし、「最大600万円」という金額だけで利用可否を判断するのは避けましょう。
実際の支給額は、対象要件を満たした中途採用者数によって決まります。
中途採用拡大コースの対象労働者

支給対象となる中途採用者には、雇用形態や雇用保険、過去の雇用関係などについて条件があります。
採用した人が中途入社であれば、すべて対象になるわけではありません。
新卒採用ではない中途採用者が対象
対象となるのは、新規学卒者や新卒と同じ採用枠で雇い入れられた人ではない中途採用者です。
そのため、年齢だけで判断することはできません。
たとえば、卒業後一定期間が経過していても、新卒と同じ採用枠・選考方法で採用された場合は、中途採用者として扱われないことがあります。
重要なのは採用時の区分です。
雇用保険に加入する無期フルタイム労働者が対象
対象者は、期間の定めなく雇用されるフルタイム労働者であることが基本です。
また、雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇用される必要があります。
そのため、
- 有期契約社員
- 短時間勤務のパート
- 一時的なアルバイト
などは、原則として支給対象者には含まれません。
「正社員」という名称だけで判断するのではなく、実際の契約期間や所定労働時間を確認してください。
採用前1年間に申請事業主や密接な関係会社で雇用されていないことが必要
形式的な中途採用による助成金利用を防ぐため、採用前の雇用関係にも条件があります。
対象者が雇入れ前1年間に、
- 申請事業主
- 密接な関係にある事業主
で雇用されていた場合、対象外になることがあります。
たとえば、グループ会社間で従業員を移籍させただけのケースでは、通常の中途採用とは扱われない可能性があります。
ハローワーク以外の求人経路でも対象になり得る
中途採用拡大コースでは、必ずハローワークから紹介を受けなければならないわけではありません。
要件を満たせば、
- 求人サイト
- 人材紹介会社
- 自社採用サイト
- その他の採用経路
から採用した人も対象になり得ます。
採用経路よりも、対象労働者の雇用条件と中途採用計画に沿った採用であることが重要です。
中途採用拡大コースの主な受給要件

中途採用拡大コースでは、対象者を採用するだけでなく、中途採用率や賃金、雇用管理制度についても条件があります。
2026年度は、特に中途採用率と前職からの賃金上昇が重要です。
中途採用者の雇用管理制度を整備する
申請する事業者は、中途採用者が働き続けられるよう雇用管理制度を整備する必要があります。
具体的には、
- 労働時間
- 休日・休暇
- 雇用契約
- 評価制度
- 処遇
- 福利厚生
などを整理します。
助成金は採用費の補填だけを目的とした制度ではありません。
採用後の雇用管理まで含めて、中途採用を拡大する企業を支援する仕組みです。
中途採用計画期間は6か月または1年間
中途採用計画は、6か月または1年間で設定します。
その期間内に中途採用を行い、計画終了後の実績を基に支給要件を確認します。
ただし、中途採用率50%以上という要件を利用する場合は、計画期間を1年間とする必要があります。
自社の採用時期や予定人数に合わせて計画期間を決めることが重要です。
中途採用率を前年同期より5ポイント以上上昇させる
受給要件の一つは、中途採用計画期間中の中途採用率を、前年同期と比較して5ポイント以上高めることです。
たとえば、前年同期の中途採用率が30%だった場合は、計画期間中に35%以上を目指します。
旧制度では20ポイント以上の上昇が必要だった時期がありますが、2026年度は同じ条件ではありません。
1年間の計画なら中途採用率50%以上でも要件を満たせる
2026年度では、中途採用率を前年同期比で5ポイント以上上げる方法とは別に、もう一つのルートがあります。
計画期間を1年間とし、その期間の中途採用率が50%以上になれば要件を満たせます。
たとえば前年からすでに中途採用比率が高く、さらに5ポイント上げることが難しい企業でも利用を検討しやすくなっています。
中途採用率は、無期フルタイムで採用した人のうち、中途採用者がどの程度占めるかを基に確認します。
採用者の賃金を前職より5%以上引き上げる
2026年度では、対象となる中途採用者の賃金を前職より5%以上高くすることが必要です。
雇入れ前の事業所で支払われていた賃金と比較し、雇入れ後6か月間の各賃金支払日において5%以上高い水準を確保します。
つまり、
前職より給与が下がる転職者を採用しても助成対象になる
という制度ではありません。
採用予定者の前職賃金を確認したうえで、提示する給与条件を決める必要があります。
成長要件加算を受ける条件

通常助成に加えて1人10万円の成長要件加算を受けるには、事業所の成長性について一定の条件を満たす必要があります。
単に中途採用人数が多ければ加算されるわけではありません。
ローカルベンチマークの財務分析がB以上なら加算対象になり得る
成長要件の一つが、ローカルベンチマークを用いた財務分析です。
財務分析結果が一定の基準以上となる事業所は、成長要件加算の対象になり得ます。
ローカルベンチマークでは、
- 売上増加率
- 営業利益率
- 労働生産性
- EBITDA有利子負債倍率
- 営業運転資本回転期間
- 自己資本比率
などを基に財務状況を確認します。
そのため、加算を検討する場合は直近の決算情報を整理しておきましょう。
1人当たり平均受給額を直近2年度で5%以上上昇させても対象になり得る
もう一つの成長要件は、給与水準の上昇です。
直近2年度を比較して、給与等受給者1人あたりの平均受給額を5%以上増加させている場合、加算要件を満たす可能性があります。
企業の成長を売上だけでなく、従業員への給与還元でも判断する仕組みです。
どちらの要件を利用できるかは、自社の財務状況や賃金実績を確認して判断します。
中途採用拡大コースの申請方法

中途採用拡大コースは、採用後に初めて助成金の存在を知って申請する制度ではありません。
事前に中途採用計画を作り、その計画に沿って採用を進めます。
1.中途採用計画と雇用管理制度を整備する
まず、中途採用をどの期間にどの程度増やすのかを決めます。
あわせて、
- 雇用形態
- 労働時間
- 評価制度
- 処遇
- 福利厚生
など、中途採用者に適用する雇用管理制度を整理します。
計画期間は6か月または1年間です。
中途採用率50%以上の要件を利用する場合は、1年間の計画とします。
2.中途採用計画を管轄労働局へ届け出る
計画を作成したら、所定の期限までに管轄の労働局へ届け出ます。
重要なのは、対象となる採用を始める前に手続きを進めることです。
計画を提出せずに採用を進め、後から助成金だけ申請することはできません。
提出期限や必要書類は申請時点の最新様式で確認してください。
3.計画期間中に対象となる中途採用者を雇い入れる
計画期間中に、
- 中途採用者
- 雇用保険被保険者
- 無期雇用
- フルタイム
などの要件を満たす労働者を雇い入れます。
採用時には前職の賃金水準も確認し、5%以上高い賃金となるよう雇用条件を設定します。
求人票や労働条件通知書だけでなく、実際に支払う賃金も要件を満たす必要があります。
4.雇入れ後6か月の賃金が前職より5%以上高いことを確認する
対象労働者については、雇入れ後6か月間の各賃金支払日に支給された賃金を確認します。
一時的に初月だけ高く設定すればよいわけではありません。
6か月を通じて、前職と比べて5%以上高い賃金水準を維持する必要があります。
給与計算の方法や手当の取扱いも含め、事前に確認しておく方が安全です。
5.必要書類をそろえて支給申請する
計画期間が終了し、対象者の雇用や賃金要件を満たしたら支給申請を行います。
申請時には、
- 中途採用計画
- 雇用契約関係書類
- 賃金台帳
- 出勤簿
- 雇用保険関係書類
- 前職の賃金を確認できる資料
などが必要になる場合があります。
対象者ごとに要件を満たしているか確認し、管轄労働局へ申請します。
中途採用拡大コースを利用するときの注意点

中途採用拡大コースは、採用後に条件を整えれば受給できる制度ではありません。
計画提出のタイミングや雇用形態、賃金条件を採用前から整理しておくことが重要です。
中途採用計画を提出する前に採用を進めない
最も注意したいのが、中途採用計画の提出時期です。
対象者を先に雇い入れた後、
この採用に助成金を使いたい
と考えても、計画対象にできない可能性があります。
採用予定がある時点で制度を確認し、計画届を提出してから採用活動を進める方が安全です。
パート・有期雇用は支給対象者にならない
中途採用した人であっても、すべてが対象人数へ算入されるわけではありません。
期間の定めがある契約やパートタイム勤務などは、原則として対象になりません。
助成金のためだけに雇用契約書上の名称を「正社員」にしても、実態が要件と一致していなければ対象外になる可能性があります。
無期雇用か、フルタイムか、雇用保険の対象かを確認してください。
支給申請日前に離職した人は支給対象から除かれる
対象労働者が採用後すぐに退職した場合にも注意が必要です。
支給申請日前に離職している人は、通常助成の支給対象者数から除かれます。
そのため、
採用時点で対象だったから20万円もらえる
とは限りません。
助成金は採用だけでなく、一定期間雇用を継続していることも前提となっています。
旧制度の50万円・100万円という支給額を参考にしない
中途採用等支援助成金は制度改正が繰り返されているため、検索すると旧制度の情報が多く表示されます。
特に、
- 中途採用率20ポイント上昇で50万円
- 45歳以上を初めて採用すると60万円・100万円
- 生産性要件達成で追加支給
といった内容は、現在の中途採用拡大コースとは異なります。
2026年度は、
- 通常20万円/人
- 成長要件加算10万円/人
- 年度20人まで
- 中途採用率+5ポイントまたは50%
- 前職比5%以上の賃上げ
を基準に確認してください。
中途採用等支援助成金を調べるときは2026年度の現行制度を確認しよう

旧「中途採用等支援助成金」は、現在「早期再就職支援等助成金」へ名称変更されています。
中途採用を増やす企業が利用するのは、中途採用拡大コースです。
2026年度の通常助成は対象者1人につき20万円で、一定の成長要件を満たす場合は1人10万円が加算されます。
1事業所につき1年度20人まで対象となるため、通常助成は最大400万円、加算を含めると最大600万円です。
ただし、受給には単なる採用人数の増加だけでなく、
- 中途採用計画を事前に作成・提出する
- 対象者を無期フルタイムで雇用する
- 中途採用率を前年同期より5ポイント以上高める、または1年計画で50%以上にする
- 前職より5%以上高い賃金を6か月間支払う
- 支給申請時まで対象者を継続雇用する
といった条件があります。
過去の制度では50万円や100万円といった支給メニューもありましたが、現在は対象者数に応じた支給方式へ変わっています。
「中途採用等支援助成金」で検索した場合も、古い情報だけを参考にせず、2026年度の早期再就職支援等助成金・中途採用拡大コースの条件を確認しましょう。
