省力化投資補助金の一般型は、人手不足に悩む中小企業などが、自社の業務に合わせた設備やシステムを導入し、省力化・生産性向上に取り組む場合に利用できる補助金です。
カタログ注文型とは異なり、あらかじめ登録された製品から選ぶ方式ではありません。複数の設備やシステムを組み合わせたり、自社仕様にカスタマイズした設備を導入したりできる点が特徴です。
補助上限額は従業員数によって750万円から8,000万円まで設定され、大幅な賃上げ要件を満たす場合は最大1億円まで引き上げられます。
補助率は通常の中小企業で1/2、小規模企業者・小規模事業者や再生事業者では2/3が基本です。ただし、補助額が1,500万円を超える部分については1/3となります。
申請には、労働生産性の向上や賃上げ、最低賃金引上げなどを含む3~5年の事業計画が必要です。単に設備を新しくするだけでは対象になりません。
省力化投資補助金の一般型とは?

省力化投資補助金の一般型は、人手不足の解消につながる設備・システム投資を支援する制度です。
一般的な設備更新ではなく、自社の業務プロセスを見直し、少ない人数でも業務を行える仕組みを作ることが求められます。
人手不足を解消するオーダーメイド設備・システム導入を支援する制度
一般型では、自社の業務に合わせて設計・構築した設備やシステムを導入できます。
たとえば、
- 複数工程を自動化する生産設備
- ロボットと搬送設備を組み合わせたシステム
- 現場専用の自動化設備
- 業務システムと機械設備を連携させた仕組み
などが考えられます。
重要なのは、設備を購入すること自体ではありません。
導入によって人が行っていた作業を減らしたり、従業員をより付加価値の高い業務へ配置したりするなど、省力化につながる計画が必要です。
カタログにない設備や複数設備の組み合わせも対象になり得る
カタログ注文型では、公式カタログへ登録された製品から選びます。
一方、一般型では、カタログに掲載されていない設備やシステムも対象になり得ます。
さらに、
- 複数の機械を組み合わせる
- 既存設備と新しいシステムを連携させる
- 自社の工程に合わせて仕様を変更する
といった投資も検討できます。
その分、なぜその設備構成が必要なのか、省力化効果を事業計画で説明することが重要です。
一般型は公募回ごとに申請する
一般型は、いつでも申請できる制度ではありません。
公募回ごとに、
- 公募開始
- 申請受付開始
- 申請締切
- 採択発表
が設定されます。
カタログ注文型の随時申請とは仕組みが異なるため、設備導入時期から逆算して公募スケジュールを確認する必要があります。
省力化投資補助金一般型の補助上限額・補助率

一般型の補助上限額は、従業員数によって異なります。
大幅な賃上げに取り組む場合は、通常より高い上限額が適用されます。
補助上限額は従業員数に応じて750万円~8,000万円
通常の補助上限額は次のとおりです。
| 従業員数 | 通常の補助上限額 | 大幅賃上げ特例 |
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6~20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21~50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51~100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
従業員数が多いほど、補助上限額も高く設定されています。
ただし、上限額まで必ず補助されるわけではありません。
実際の補助額は、補助対象経費と補助率を基に計算します。
大幅賃上げ特例を満たすと最大1億円
一般型では、大幅な賃上げに取り組む事業者について補助上限額を引き上げる特例があります。
主な要件として、
- 給与支給総額の年平均成長率6%以上
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高くする
などが求められます。
従業員101人以上で大幅賃上げ特例を利用した場合、補助上限額は最大1億円です。
「一般型は最大1億円」と紹介されることがありますが、すべての事業者に1億円の上限が適用されるわけではありません。
中小企業の補助率は原則1/2
通常の中小企業では、補助率は原則1/2です。
たとえば、補助対象経費が1,000万円の場合、
1,000万円×1/2=500万円
が補助額の計算上の目安となります。
ただし、従業員数に応じた補助上限額を超える部分は支給されません。
小規模事業者・再生事業者は原則2/3
小規模企業者・小規模事業者や再生事業者については、補助率が原則2/3となります。
同じ1,000万円の対象経費でも、
1,000万円×2/3=約666万円
が計算上の目安です。
通常の中小企業より補助割合が高く設定されています。
補助額1,500万円を超える部分は1/3
一般型で特に注意したいのが、「1,500万円」の基準です。
1,500万円を超えるかどうかは、設備投資額ではなく補助額で判断します。
補助額が1,500万円を超える場合、超過部分については補助率が1/3以下となります。
たとえば「設備投資額が1,500万円を超えたから、その部分だけ1/3になる」という意味ではありません。
ここは誤解しやすいため、申請額を計算するときに注意してください。
最低賃金引上げ特例で中小企業も2/3になる場合がある
通常は補助率1/2の中小企業でも、一定の最低賃金引上げ要件を満たせば、1,500万円以下の部分について補助率2/3が適用される場合があります。
この特例は、補助上限額を引き上げる大幅賃上げ特例とは別の仕組みです。
「賃上げ特例」とひとまとめにせず、
- 補助率を上げる特例
- 補助上限額を上げる特例
を分けて考える必要があります。
省力化投資補助金一般型の申請要件

一般型では、省力化設備を導入するだけでは申請要件を満たしません。
3~5年の事業計画を作成し、生産性や賃金の向上を目指す必要があります。
労働生産性を年平均4%以上向上させる計画が必要
基本要件の一つが、労働生産性の向上です。
3~5年の事業計画期間で、労働生産性の年平均成長率4.0%以上を目指します。
設備導入によって、
- 作業時間を削減する
- 生産量を増やす
- 必要な作業人数を減らす
- 従業員を付加価値の高い業務へ配置する
など、具体的な省力化効果を計画に落とし込む必要があります。
1人当たり給与支給総額または給与支給総額を増加させる
賃金についても、一定の成長目標が必要です。
主な基準は、
- 1人当たり給与支給総額の年平均成長率が、地域別最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
- 給与支給総額の年平均成長率2.0%以上
のいずれかを満たす計画です。
省力化によって生まれた利益や付加価値を、従業員の処遇改善にもつなげることが求められます。
事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くする
事業計画期間中は、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準にする必要があります。
たとえば地域別最低賃金が1,100円なら、事業場内最低賃金は1,130円以上が基準です。
大幅賃上げ特例では+50円以上が求められるため、通常要件との違いを確認してください。
従業員21人以上は一般事業主行動計画の公表が必要
従業員21人以上の事業者は、交付申請時までに一般事業主行動計画を公表する必要があります。
設備投資や賃上げ要件だけではなく、企業規模によって追加要件がある点に注意してください。
直前になって準備すると申請に間に合わない可能性があるため、早めに確認しましょう。
省力化投資補助金一般型の対象経費

一般型では、設備やシステムだけでなく、省力化投資に必要な関連経費も補助対象となります。
ただし、中心となる機械装置・システム構築費には最低金額の条件があります。
50万円以上の機械装置・システム構築費が必須
一般型では、1つ以上の機械装置・システム構築費について、税抜50万円以上の投資が必要です。
つまり、
コンサルティングだけ
クラウドサービスだけ
外注だけ
といった申請は基本的にできません。
設備やシステムを中心とした省力化投資であることが前提です。
運搬費・技術導入費・外注費なども対象
主な補助対象経費は、
- 機械装置・システム構築費
- 運搬費
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
です。
たとえば機械導入だけでは完結せず、システム連携や専門家の支援が必要な場合にも対応できます。
ただし、各経費には対象範囲や上限があります。
機械装置・システム構築費以外は合計500万円まで
機械装置・システム構築費以外の補助対象経費については、原則として合計500万円が上限です。
たとえば、
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
などを大量に計上し、機械設備投資より高額にするような申請はできません。
一般型はあくまで設備・システム投資が中心です。
汎用設備・パッケージソフトの単純導入は対象外になり得る
一般型は、好きな設備を自由に購入できる制度ではありません。
たとえば、
- 市販の汎用設備をそのまま導入する
- 一般的なパッケージソフトだけを購入する
- 単純に古い設備を新しくする
- 業務プロセスを変えずに設備を更新する
といった投資は、一般型の目的に合わない場合があります。
自社の現場に合わせた省力化や、設備・システムの組み合わせによる業務改善が必要です。
省力化投資補助金一般型とカタログ注文型の違い

一般型とカタログ注文型は、どちらも人手不足解消を目的としますが、設備の選び方と申請方法が異なります。
自社仕様の設備・システムを導入するなら一般型
一般型が向いているのは、
- カタログにない設備を導入したい
- 複数設備を組み合わせたい
- システムと機械を連携させたい
- 自社専用にカスタマイズしたい
といったケースです。
設備投資の自由度は高い一方、事業計画の内容や省力化効果について詳しく説明する必要があります。
登録製品を導入するだけならカタログ注文型を確認する
公式カタログに自社の課題を解決できる製品が掲載されているなら、カタログ注文型も候補です。
カタログ注文型では、登録された製品と販売事業者を選び、共同申請します。
一般型ほど複雑な設備構成が必要ない場合は、カタログ注文型の方が制度に合うことがあります。
| 比較項目 | 一般型 | カタログ注文型 |
| 設備 | 自社仕様・組み合わせ | 登録製品 |
| 申請 | 公募回制 | 随時受付 |
| 最大補助額 | 1億円 | 1,500万円 |
| 主な用途 | 複雑・大規模な省力化 | 汎用製品の導入 |
省力化投資補助金一般型の第8回公募スケジュール

2026年9月時点では、第8回公募が進められています。
一般型は公募期間が決まっているため、締切から逆算して準備する必要があります。
第8回は2026年9月18日から申請受付
第8回公募は2026年8月18日に開始されました。
電子申請の受付開始は2026年9月18日10時です。
GビズIDプライムを取得していない場合は、受付開始後に準備を始めるのではなく、早めに取得しておきましょう。
公募締切は2026年10月16日17時
第8回公募の申請締切は、2026年10月16日17時です。
締切直前は、
- 申請システムへのアクセス集中
- 入力漏れ
- 添付書類不足
- GビズIDの準備不足
などが起きやすくなります。
余裕を持って申請を完了させる方が安全です。
採択発表は2027年2月上旬予定
第8回の採択発表は、2027年2月上旬が予定されています。
ただし、採択された時点で設備を発注できるとは限りません。
その後に交付申請を行い、交付決定を受けてから補助事業を開始します。
「採択=すぐ購入可能」と考えないようにしてください。
第9回以降は最新スケジュールを確認する
一般型は継続的に公募回が設けられますが、具体的な日程は回ごとに異なります。
第8回締切後に申請を検討する場合は、第9回以降の最新情報を確認してください。
過去の公募日程を基に申請時期を決めるのは避けましょう。
省力化投資補助金一般型の申請方法

一般型では、設備を購入してから補助金を申請するのではなく、事業計画を作成して応募し、採択・交付決定を受けてから設備投資を進めます。
1.GビズIDプライムを取得する
電子申請にはGビズIDプライムが必要です。
取得には一定の時間がかかる場合があります。
公募締切直前まで取得していないと申請できない可能性があるため、設備や事業計画の検討と並行して準備してください。
2.省力化する業務と導入設備を整理する
次に、
- どの業務に人手がかかっているか
- 現在何人・何時間かかっているか
- 設備導入後にどう変わるか
- 従業員をどの業務へ再配置するか
を整理します。
「最新設備を導入したい」だけでは不十分です。
人手不足との関係と省力化効果を具体的に示します。
3.3~5年の事業計画を作成して応募申請する
一般型では、3~5年間の事業計画を作成します。
計画には、
- 省力化効果
- 労働生産性
- 給与支給総額
- 最低賃金
- 設備投資内容
- 将来の付加価値向上
などを盛り込みます。
数字だけを形式的に合わせるのではなく、設備導入とのつながりを説明できる計画にすることが重要です。
4.採択後に交付申請を行う
応募申請の審査で採択された後、補助対象経費の詳細などを確認する交付申請へ進みます。
採択された申請内容でも、すべての経費がそのまま補助対象として認められるとは限りません。
見積内容や経費区分を確認し、交付決定を受けます。
5.交付決定後に設備を発注・導入する
設備の契約・発注は原則として交付決定後に行います。
採択通知を受けただけの段階や、交付申請中に先行発注すると、補助対象外になる可能性があります。
設備納期が長い場合でも、補助金を利用するなら手続きの順番を守ってください。
一般型では最大18か月の補助事業実施期間が設けられているため、大規模な設備投資にも対応しやすくなっています。
6.実績報告後に補助金の支払いを受ける
設備の導入と支払いが完了したら、実績報告を行います。
提出内容が確認され、補助額が確定した後に補助金が支払われます。
つまり、補助金が設備購入前に振り込まれる制度ではありません。
高額な設備投資では、一時的な資金負担も含めて計画しておく必要があります。
省力化投資補助金一般型を利用するときの注意点

一般型は高額な設備投資に対応できますが、補助額の大きさだけで申請を判断するのは避けるべきです。
生産性や賃金の目標は、補助事業終了後も確認されます。
交付決定前に契約・発注しない
最も基本的な注意点は、設備発注のタイミングです。
一般型では、
応募
採択
交付申請
交付決定
契約・発注
という順番が基本です。
採択された段階で契約を進めると、補助対象外になる可能性があります。
設備会社と商談や見積取得を行うことと、正式に契約・発注することは分けて考えましょう。
賃上げ・生産性目標を無理に設定しない
補助金を受け取りたいからといって、実現が難しい数値を事業計画へ入れるのは避けた方が安全です。
一般型では、労働生産性や賃金に関する目標が設定されています。
さらに大幅賃上げ特例を利用すると、通常より高い目標を達成する必要があります。
目標未達の場合は補助金返還などが生じる可能性もあるため、実現可能性を検討して申請してください。
同じ補助対象経費を他制度と重複させない
同じ機械やシステムについて、他の国庫補助制度と二重に補助を受けることはできません。
別の補助金を利用する予定がある場合は、
- どの設備をどの制度で申請するか
- 同じ経費が重複していないか
を事前に整理する必要があります。
制度ごとに対象経費を分ければ利用できるケースもありますが、同じ費用を二重計上しないようにしてください。
申請中や補助金支払前は次回申請できない
一般型を複数回利用したい場合にも注意が必要です。
すでに一般型について、
- 応募申請中
- 交付申請中
- 交付決定後で補助金の支払いが完了していない
といった状態では、次の申請を行えません。
複数回の設備投資を予定している場合は、前回申請分の進捗まで含めて次回公募への参加時期を判断しましょう。
省力化投資補助金一般型は設備の省力化効果と事業計画を確認しよう

省力化投資補助金の一般型は、人手不足に悩む中小企業等が、自社の業務に合わせた設備やシステムを導入する際に利用できる制度です。
カタログ注文型とは異なり、
- カタログにない設備
- 複数設備の組み合わせ
- 自社専用システム
- オーダーメイド・セミオーダーメイド設備
などを活用した省力化に向いています。
補助上限額は従業員数に応じて750万円から8,000万円までで、大幅賃上げ特例を満たす場合は最大1億円です。
補助率は通常の中小企業で1/2、小規模事業者や再生事業者では2/3が基本となります。
ただし、補助額が1,500万円を超える部分は1/3です。
申請では、
- 人手不足となっている業務を整理する
- 省力化につながる設備・システムを決める
- 労働生産性4%以上の向上を含む事業計画を作成する
- 賃上げ・最低賃金要件を確認する
- 公募期限内に応募申請する
- 採択・交付決定後に設備を発注する
という流れで進めます。
最大1億円という金額だけを見るのではなく、設備導入によってどれだけ人手を減らせるか、生産性と賃金を継続的に高められるかまで計画することが重要です。
