設備投資を行うときには、機械や生産設備、ロボット、システムなどの導入費用に補助金を利用できる場合があります。
2026年に中小企業や小規模事業者が確認したい主な制度には、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」「中小企業省力化投資補助金」「業務改善助成金」「大規模成長投資補助金」などがあります。
ただし、設備を購入すれば自動的に補助対象になるわけではありません。
多くの制度では、
- 新製品・新サービスの開発
- 人手不足の解消
- 生産性向上
- 賃上げ
- 新市場への進出
など、設備投資によって何を実現するのかが重要です。
そのため、「どの設備を買うか」だけでなく、設備投資の目的から補助金を選ぶことがポイントになります。
この記事では、2026年に設備投資で利用できる主な補助金、目的別の選び方、対象になりやすい設備、申請前に確認したい注意点まで解説します。
2026年に設備投資で使える主な補助金

設備投資に使える補助金は一つではありません。
2026年に確認したい代表的な制度を目的別に整理すると、次のとおりです。
| 設備投資の目的 | 主に確認したい制度 |
| 新製品・新サービス開発 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 |
| 人手不足・自動化 | 中小企業省力化投資補助金 |
| 賃上げ+生産性向上 | 業務改善助成金 |
| 大規模な工場・拠点投資 | 大規模成長投資補助金 |
| 販路開拓に伴う設備導入 | 小規模事業者持続化補助金 |
新製品・新サービス開発なら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
新しい製品やサービスの開発、新市場への進出に伴って設備を導入する場合は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が候補です。
2026年6月には第1回公募要領が公開されています。
対象となる取り組みには、
- 技術的革新性のある製品・サービス開発
- 新市場への進出
- 高付加価値事業への転換
- 海外市場開拓
などがあります。
設備を購入すること自体が目的ではありません。
導入する機械やシステムによって、どのような新しい製品・サービスを生み出すのか、どのように付加価値を高めるのかを事業計画で示す必要があります。
単純な老朽設備の交換よりも、事業成長につながる投資との相性がよい制度です。
人手不足・自動化なら中小企業省力化投資補助金
人手不足の解消や作業の自動化を目的とする場合は、中小企業省力化投資補助金が有力な候補です。
2026年時点では、
- カタログ注文型
- 一般型
の2種類があります。
カタログ注文型は、省力化効果が確認されている登録製品をカタログから選び、販売事業者と共同で申請する方式です。
補助上限は、賃上げ要件を満たす場合を含めると最大1,500万円です。
一方、一般型では、自社の現場に合わせて複数の設備やシステムを組み合わせるなど、より個別性の高い省力化投資を支援します。
一般型の補助上限は最大1億円です。
たとえば、
- 自動搬送設備
- ロボット
- 自動包装機
- 自動検査設備
- 業務自動化システム
など、人の作業を減らし、生産性向上につながる設備投資との相性がよい制度です。
賃上げと設備導入を同時に行うなら業務改善助成金
事業場内最低賃金の引き上げと設備投資を同時に行う場合は、業務改善助成金を確認しましょう。
2026年度も実施されており、生産性向上につながる設備投資を行い、その成果を賃上げへつなげる事業者を支援します。
対象になり得る設備としては、
- POSレジ
- 自動釣銭機
- 業務用機械
- 生産設備
- 作業効率化につながるシステム
などがあります。
ただし、
新しい設備を購入したい
だけでは利用できません。
事業場内最低賃金を一定額以上引き上げることが前提になります。
設備投資と賃上げをセットで考えている事業者向けの制度です。
大規模な工場・拠点投資なら大規模成長投資補助金
工場新設や大規模な生産設備導入など、投資額が大きい場合は大規模成長投資補助金が候補です。
2026年度の第5次以降では、一般企業は原則20億円以上、100億宣言企業は15億円以上の投資が必要です。
補助率は3分の1以下、補助上限は50億円です。
一般的な中小企業の設備更新というより、
- 新工場建設
- 生産拠点増設
- 大規模ライン構築
- 大型物流拠点
- 大規模な生産能力増強
などを想定した制度です。
また、大規模な設備投資だけでなく、事業成長と継続的な賃上げも求められます。
販路開拓に伴う設備なら小規模事業者持続化補助金も候補
小規模事業者が販路開拓を目的として設備を導入する場合は、小規模事業者持続化補助金が候補になることがあります。
ただし、設備投資そのものを主目的とする制度ではありません。
たとえば、
- 新しい商品を販売するための設備
- 新サービス提供に必要な機器
- 店舗改装と一体となった設備
など、販路開拓との関連性があることが重要です。
「古くなった設備を買い替える」だけでは対象にならない可能性があります。
自社に合う設備投資補助金の選び方

設備投資補助金を選ぶときは、設備名ではなく投資目的から考えると分かりやすくなります。
生産性向上・新製品開発ならものづくり系を選ぶ
新製品の製造や新サービス提供に必要な設備を導入する場合は、ものづくり・新事業系の補助金を確認します。
たとえば、
新しい加工機を導入して、これまで作れなかった製品を製造する
といった投資です。
設備導入前と導入後で、
- 何ができるようになるのか
- 売上や付加価値がどう変わるのか
- どの市場へ進出するのか
を説明できることが重要です。
人手不足解消なら省力化投資補助金を選ぶ
人手不足によって、
- 生産量を増やせない
- 残業が増えている
- 単純作業に人員を取られている
- 採用しても人が集まらない
という場合は、省力化投資補助金との相性がよいでしょう。
たとえば、
3人で行っていた作業を2人に減らせる
1日4時間かかっていた作業を2時間に短縮できる
など、省力化効果を具体的に説明できる設備が適しています。
最低賃金を引き上げるなら業務改善助成金を選ぶ
設備投資と同時に従業員の賃金を引き上げる予定がある場合は、業務改善助成金を確認します。
設備投資によって生産性を高め、その成果を賃上げへ還元することが制度の軸です。
そのため、
設備導入
↓
作業時間短縮
↓
生産性向上
↓
賃金引上げ
という流れを説明しやすい投資と相性があります。
投資額が大きい場合は成長投資系の制度を確認する
数十億円規模の工場建設や生産ライン増設では、一般的な中小企業向け補助金では補助上限が足りません。
その場合は、大規模成長投資補助金など大型投資向け制度を確認します。
投資規模だけでなく、
- 売上拡大
- 地域雇用
- 生産能力向上
- 賃上げ
まで含めた成長計画が必要です。
設備投資補助金で対象になりやすい経費

補助対象経費は制度によって異なります。
「設備」と呼べるものなら何でも対象になるわけではありません。
機械装置・生産設備は代表的な補助対象
設備投資型の補助金では、
- 加工機
- 製造装置
- 包装機
- 検査装置
- ロボット
- 搬送設備
- 業務用機械
などが代表的な補助対象です。
ただし、その設備が事業計画と直接関係している必要があります。
事業計画に必要性が説明されていない設備は、対象外になる可能性があります。
システム・ソフトウェアも制度によって対象になる
設備投資というと機械をイメージしがちですが、
- 生産管理システム
- 自動化ソフトウェア
- 受発注システム
- 業務管理システム
などが対象になる制度もあります。
特に省力化・生産性向上を目的とする場合、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた投資が対象になることがあります。
一方、一般的なオフィスソフトなどは対象外となる場合があります。
建物・改修費は対象制度が限られる
工場や店舗を建設・改修する費用は、すべての設備投資補助金で対象になるわけではありません。
設備そのものは対象でも、
- 土地購入
- 建物新築
- 内装工事
- 外構工事
などは対象外となる制度があります。
一方、大規模成長投資補助金のように、大規模な拠点整備まで対象に含める制度もあります。
設備だけでなく建物工事も予定している場合は、対象経費を分けて確認しましょう。
車両・パソコン・中古設備は制度ごとに確認する
特に対象可否を確認したいのが、
- 自動車
- トラック
- パソコン
- タブレット
- スマートフォン
- 中古設備
です。
汎用性が高く、補助事業以外にも使える機器は対象外となる制度が少なくありません。
車両も通常の営業車では対象にならず、特定の用途・設備を備えた車両だけ認められるケースがあります。
中古設備についても対象外となる制度や、複数見積もりなど追加条件がある制度があります。
購入前に公募要領を確認しましょう。
設備投資補助金を申請する前に確認したい条件

設備投資補助金は、購入後に領収書を提出すれば補助してもらえる制度ではありません。
申請前の準備が重要です。
単なる老朽設備の更新だけでは対象にならない場合がある
設備投資補助金でよくある誤解が、
古くなった機械を買い替えたいから補助金を使いたい
というものです。
もちろん制度によっては更新も対象になります。
しかし、多くの設備投資型補助金では、
- 生産性向上
- 省力化
- 新製品開発
- 新市場進出
- 賃上げ
などの目的が求められます。
そのため、
古い機械Aを同等性能の新しい機械Bへ交換するだけ
では、制度目的との関連性が弱い場合があります。
一方、
新設備によって加工時間を30%短縮する
新しい製品を製造できるようにする
など、導入効果を説明できれば事業計画を作りやすくなります。
交付決定前の契約・発注は対象外になる場合がある
設備投資補助金では、交付決定前に設備を発注・契約すると対象外になる場合があります。
一般的には、
公募確認
↓
申請
↓
採択
↓
交付申請
↓
交付決定
↓
発注・設備導入
という流れです。
制度によっては採択と交付決定が別の手続きになっています。
「採択されたから設備を購入してよい」と自己判断しないようにしましょう。
補助金は後払いが基本で自己資金も必要
設備投資補助金の多くは後払いです。
たとえば1,000万円の設備を購入し、500万円が補助される場合でも、
最初から500万円だけ払えばよい
という仕組みではありません。
基本的には一度事業者が支払い、その後に実績報告を行い、補助額が確定してから補助金が交付されます。
そのため、
- 自己資金
- 金融機関からの融資
- つなぎ資金
なども含めた資金計画が必要です。
補助率だけを見て設備投資額を決めないようにしましょう。
賃上げ・付加価値・最低賃金などの要件を確認する
近年の設備投資補助金では、設備導入だけでなく賃上げや付加価値向上を求める制度が増えています。
たとえば、
- 給与支給総額
- 1人あたり給与
- 最低賃金
- 付加価値額
- 労働生産性
などについて目標を設定する制度があります。
申請時に条件を満たしていても、補助事業終了後に達成状況の報告を求められるケースがあります。
設備を購入できるかだけでなく、数年後まで続く条件も確認しておくことが重要です。
設備投資補助金の申請方法

制度によって違いはありますが、設備投資補助金はおおむね次の流れで申請します。
制度を選ぶ
↓
対象要件を確認
↓
GビズID等を準備
↓
事業計画を作成
↓
見積書を取得
↓
電子申請
↓
採択・交付決定
↓
設備を導入
↓
実績報告
↓
補助金交付
最新の公募要領で対象者・設備・期限を確認する
最初に、申請する年度・公募回の公募要領を確認します。
特に見るべきなのは、
- 対象者
- 対象設備
- 補助率
- 補助上限
- 申請期限
- 事業実施期間
- 賃上げ要件
- 対象外経費
です。
同じ制度でも公募回や年度によって内容が変更されることがあります。
前年の記事や古い申請書をそのまま使わないようにしましょう。
GビズIDプライムを早めに取得する
国の設備投資補助金では、電子申請にGビズIDプライムが必要な制度が多くあります。
申請締切直前になってから準備すると、ID取得が間に合わない可能性があります。
設備投資を検討し始めた段階で、自社がすでにGビズIDプライムを持っているか確認しましょう。
設備導入による効果を事業計画に落とし込む
事業計画では、
何を買うのか
だけでなく、
導入すると事業がどう改善するのか
を説明します。
たとえば、
導入前
3人で1日8時間作業
導入後
2人で1日6時間作業
なら、省力化効果を数字で説明できます。
新製品開発なら、
- 新製品の売上予測
- 想定顧客
- 市場規模
- 競合との差
- 投資回収
などを整理します。
設備のカタログを添付するだけではなく、設備が事業計画の中でどのような役割を持つのかを示しましょう。
見積書・必要書類をそろえて電子申請する
導入設備が決まったら見積書を取得します。
制度によっては複数社から相見積もりを取る必要があります。
その他、
- 決算書
- 従業員数に関する資料
- 賃金台帳
- 事業計画
- 設備仕様書
- 事業実施場所の資料
などが必要になる場合があります。
提出書類と電子申請フォームの金額や名称が一致しているか確認してください。
採択・交付決定後に設備を導入する
審査で採択されても、すぐに設備を購入できるとは限りません。
制度によっては、
採択
↓
交付申請
↓
交付決定
という段階があります。
設備の契約・発注が可能になるタイミングは公募要領で確認してください。
設備導入後は領収書や振込記録、写真などをそろえて実績報告を行います。
補助額確定後に請求し、補助金を受け取るのが基本的な流れです。
補助金以外に使える設備投資の支援制度
設備投資費を抑える方法は補助金だけではありません。
税制優遇を利用できる場合もあります。
中小企業投資促進税制で特別償却・税額控除を受けられる場合がある
中小企業投資促進税制は、中小企業者等が一定の設備を取得した場合に税負担を軽減する制度です。
対象設備について、
- 取得価額の30%の特別償却
- 7%の税額控除
のいずれかを利用できる場合があります。
税額控除を利用できる企業規模などには条件があります。
現行制度の適用期限は2027年3月31日です。
補助金のように設備購入費が後から振り込まれる制度ではなく、税金を軽減する仕組みです。
先端設備等導入計画で固定資産税が軽減される場合がある
設備を設置する自治体が「導入促進基本計画」を策定している場合は、先端設備等導入計画の認定を受けられる可能性があります。
一定の要件を満たした設備について、固定資産税の軽減措置を受けられる場合があります。
設備取得前に認定手続きが必要になることがあるため、
設備を買った後に申請する
のでは遅い可能性があります。
補助金と同様、導入前に確認しましょう。
補助金と税制は対象設備・併用条件を確認する
補助金と税制優遇は、同じ設備について利用できる場合もあります。
ただし、制度によって併用条件が異なります。
また、
- 補助金は採択審査がある
- 補助金は後払いが多い
- 税制は税額を軽減する
- 税制は利益や税額によって効果が変わる
という違いがあります。
設備導入コストを最小限にしたい場合は、補助金だけでなく税制優遇まで含めて検討しましょう。
設備投資補助金は購入する設備ではなく投資目的から選ぼう

2026年に設備投資へ利用できる制度は複数あります。
代表的な選び方は、
新製品・新サービス開発
→ 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
人手不足・自動化
→ 中小企業省力化投資補助金
賃上げ+生産性向上
→ 業務改善助成金
大規模な工場・拠点投資
→ 大規模成長投資補助金
小規模事業者の販路開拓
→ 小規模事業者持続化補助金
です。
重要なのは、
この機械が補助対象か
だけで考えないことです。
設備投資補助金では、
設備を導入する
↓
生産性が上がる
↓
人手不足を解消する
↓
新製品を作る
↓
売上・付加価値・賃金を高める
といった投資効果が重視されます。
また、交付決定前の発注や契約が対象外になる制度もあります。
補助金は後払いが基本のため、設備購入代金を一時的に自社で負担できる資金計画も必要です。
設備投資を検討するときは、
①投資目的を整理する
↓
②自社に合う制度を選ぶ
↓
③対象設備・要件を確認する
↓
④GビズID・見積書・事業計画を準備する
↓
⑤申請・交付決定後に設備を導入する
という順番で進めましょう。
さらに、設備によっては中小企業投資促進税制や先端設備等導入計画など、税制面の支援を利用できる可能性もあります。
2026年に設備投資を行う場合は、補助金の金額だけで判断せず、設備導入の目的、対象経費、賃上げ要件、資金繰り、税制優遇まで含めて最適な制度を選ぶことが重要です。
