IP電話から固定電話にかけるには？仕組み・料金・注意点をわかりやすく解説！

「IP電話から固定電話にかけられるの？」

「050番号でも一般の電話に発信できるのか不安…」

 こんな疑問をお持ちではありませんか？

テレワークやコスト削減を目的にIP電話を導入する企業や個人が増える一方で、固定電話への発信や通話の安定性について不安やトラブルを抱えるケースも少なくありません。

本記事では、IP電話と固定電話の違いから、通話の可否・料金・トラブル対処法、さらに導入判断に役立つ視点までをわかりやすく解説します。

「IP電話で本当に固定電話とスムーズにやり取りできるのか？」

「もし通じないとしたら原因は何か？」

「今後、固定電話に戻した方がいいのか？」

こうしたリアルな悩みに答えながら、コスト・品質・使い勝手の観点から“最適な電話環境”を考えるヒントをお届けします。

IP電話と固定電話の違いを理解しよう

「IP電話と固定電話の違いは何か？」と聞かれると、明確に説明できる人は意外と少ないかもしれません。

どちらも“電話”という共通点がありますが、仕組み・コスト・使い勝手は大きく異なるのが実情です。

ここでは、両者の特徴を整理し、利用シーンに応じた選択の参考になるよう解説します。

IP電話とは？仕組みと基本的な特徴

IP電話とは、インターネット回線を利用して音声をデータに変換し、通話を行う仕組みの電話サービスです。

電話線ではなく光回線やブロードバンドを利用するため、専用の加入電話回線を引く必要がありません。

特徴としては以下のような点が挙げられます。

• 050などの番号が付与され、インターネットが使えれば全国どこでも利用可能 
• 通話料が従来の固定電話より安く、特に遠距離通話や国際電話でコスト削減効果が大きい 
• スマートフォンやパソコンのアプリとも連携でき、柔軟に使える

ただし、通話品質は回線状況に依存し、ネットが不安定だと音声が途切れるリスクもあります。

固定電話とは？従来の電話網との違い

固定電話は、NTTが整備する加入電話回線（アナログ回線・ISDN回線など）を利用する従来型の電話です。

市外局番（03や06など）を持つ番号が割り当てられ、長年ビジネスや家庭で使われてきました。

固定電話の大きな特徴は、回線そのものが専用に確保されており、通信品質や安定性が非常に高いことです。

停電時にも通話が可能で、災害時の信頼性はIP電話より優れています。

一方で、開通工事や基本料金が必要で、利用コストは比較的高め。また、契約場所に縛られるため、引っ越しやオフィス移転の際には番号変更が必要になる場合があります。

IP電話と固定電話のコスト・利便性の比較

両者を比較すると、コストと利便性においてIP電話が優位、品質と信頼性において固定電話が優位という構図が見えてきます。

IP電話は初期費用が安く、通話料も低額。固定電話は基本料金＋通話料がかかり、長距離や国際通話は高額。 

IP電話はインターネット環境があればどこでも利用可能で、スマホやPCと連携しやすい。固定電話は設置場所に縛られるが、緊急通報や災害時でも利用可能。 

固定電話は常に安定した音質を確保できる。IP電話は回線状態に左右されやすい。

このように、「コストを抑えたいならIP電話」「安定性を重視するなら固定電話」という棲み分けが基本となります。

▷利用目的に応じて“最適な回線”は変わる

IP電話と固定電話は、仕組み・コスト・利便性の面で大きく異なります。

• IP電話はコスト優位・柔軟性が高い 
• 固定電話は品質・信頼性に強みがある

つまり、どちらが優れているかではなく、自社や個人の利用目的に合わせて最適な回線を選ぶことが重要です。

コスト削減を狙うならIP電話、信頼性や緊急時の安心感を重視するなら固定電話といったように、目的を明確にしたうえで選択することが失敗しないポイントとなります。

IP電話から固定電話への通話は可能？

IP電話を導入した人や企業からよくある疑問のひとつが、「IP電話から固定電話へ通話できるのか？」というものです。

結論から言えば、多くの場合は可能ですが、利用するサービスや電話番号の種類によって制約がある場合もあるため注意が必要です。

ここでは、通話の仕組みや制限、通じないときの原因と対処法を整理して解説します。

発信の可否とその仕組み

IP電話から固定電話へは、基本的にインターネット網と公衆電話網（PSTN）を中継するゲートウェイを介して接続されます。

つまり、音声データをインターネット上でやり取りし、それを変換して固定電話の回線につなげる仕組みです。

この仕組みによって、050番号や一部の0ABJ番号を持つIP電話からも固定電話に発信することが可能です。

ただし、通話は必ず事業者の設備を経由するため、利用中のIP電話サービスが固定電話接続に対応しているかを事前に確認する必要があります。

電話番号の種類による接続制限とは

IP電話には大きく分けて050番号と0ABJ番号（03や06などの市外局番を持つ番号）の2種類があります。

050番号のIP電話
固定電話への発信は可能ですが、緊急通報（110・119など）には非対応のケースが多いです。 

0ABJ番号（市外局番付き）IP電話
固定電話とほぼ同じ扱いで利用でき、緊急通報にも対応する場合があります。

また、事業者によっては一部の特殊番号（フリーダイヤル・ナビダイヤルなど）に接続できないこともあるため、利用用途に応じて番号の種類や事業者の仕様を確認することが重要です。

IP電話→固定電話で通話がつながらない原因と対処法

「固定電話に発信したのに通じない」「呼び出し音すら鳴らない」といったケースもあります。主な原因は以下の通りです。

• 回線の不安定さ – インターネット回線が不足していると通話が成立しにくい。 
• サービス仕様の制限 – IP電話サービスが固定電話発信をサポートしていない、または一部番号に未対応。 
• 機器設定の不備 – ルーターやアプリの設定が正しくなく、通信がブロックされている。 
• 番号形式の制限 – 相手がフリーダイヤルやナビダイヤルなど、非対応番号の場合。

対処法としては、ネット回線を有線に切り替える、対応範囲を事業者に確認する、機器設定を見直すといった方法が有効です。

▷IP電話から固定電話への通話は可能だが条件に注意

IP電話から固定電話へは発信可能ですが、番号の種類や事業者の仕様によって制限がある点に注意が必要です。

• 050番号は固定電話に通話できるが、緊急通報には非対応が多い 
• 0ABJ番号（市外局番付きIP電話）は固定電話と同等に使える場合がある 
• つながらない場合は、回線状況・機器設定・事業者仕様を確認する

つまり、「通話できるかどうか」はIP電話サービスと番号の種類に大きく左右されます。
導入時には、実際の利用シーンに合わせて事業者やプランを選ぶことが成功のポイントです。

IP電話から固定電話へ発信するメリットと注意点

IP電話から固定電話に発信することは可能ですが、利用する上で大きなメリットと同時に注意すべき課題も存在します。

特に「コスト面での優位性」「通話品質への不安」「災害時の利用可否」は、多くのユーザーや企業が気にするポイントです。

ここでは、メリットとリスクを整理しながら、導入時に押さえておくべき点を解説します。

通話料金の違いとコスト削減効果

IP電話の最大のメリットは通話料金の安さです。

従来の固定電話では、市外通話や携帯電話への発信は割高でしたが、IP電話の場合は距離に関係なく全国一律料金で提供されるケースが多く、特に長距離通話のコスト削減効果は大きいです。

また、同じ事業者や同じIP電話サービス同士なら無料通話が可能な場合もあり、企業の複数拠点間やリモートワーク環境における通信費削減に役立ちます。

法人にとっては、外出先からオフィスへの通話も社内内線のように扱えるため、コスト効率の高い運用が実現できます。

通話品質・遅延の課題とその対策

一方で、IP電話はインターネット回線に依存するため、通話品質が安定しないリスクがあります。具体的には以下のような課題が発生しやすいです。

• 音声が途切れる・遅延する 
• 相手の声が聞き取りづらい 
• 複数人が同時にネットを使うと通話が不安定になる

これらはビジネス利用において大きなストレスとなり、商談や顧客対応での信頼低下にもつながりかねません。

対策としては、

• 有線回線の利用（Wi-Fiのみでの通話を避ける） 
• QoS設定で音声通信を優先化する 
• 回線帯域を十分に確保できるプロバイダを選ぶ

つまり、サービスの選定以上にネットワーク環境の整備が通話品質を左右するといえます。

災害時や停電時の通信リスクとは

固定電話と比較した場合、IP電話の大きな弱点は災害時や停電時の脆弱性です。

固定電話は電源供給がなくても通話可能なケースがありますが、IP電話はルーターやモデムなどの通信機器が動作しないと利用できません。

また、緊急通報（110番・119番など）への接続が制限されている場合があるため、災害時や停電時に使えないリスクを理解した上で利用することが大切です。

企業の場合は、BCP（事業継続計画）の観点から、IP電話だけに依存せず、固定電話や携帯電話をバックアップ手段として確保する体制を整えるのが理想です。

▷コスト優位性は魅力だが、品質・災害対策の両立が重要

IP電話から固定電話への発信は、コスト削減効果が高く、柔軟な利用が可能という大きなメリットがあります。

しかしその一方で、

• 回線品質による通話トラブルのリスク 
• 災害・停電時に利用できない弱点 
• 緊急通報など一部機能の制限

といった注意点も見逃せません。

つまり、IP電話を最大限活用するには、「コスト優位性」と「安定した運用環境」をどう両立するかがポイントです。

企業や個人利用のいずれにおいても、IP電話と固定電話を補完的に使い分ける戦略が、安全かつ効率的な通信環境を実現する鍵となります。

固定電話からIP電話への発信もできる？

IP電話が普及する中で、「固定電話からIP電話へ発信できるのか？」という疑問を持つ方も少なくありません。

結論から言えば、多くの場合は通話可能ですが、番号の種類やサービス仕様によって制限がかかるケースもあります。

ここでは、発信条件や番号の認識のされ方、実際の通話品質に関するポイントを整理します。

発信できる条件と制限

固定電話からIP電話への発信は基本的に可能ですが、利用する番号やサービスによってつながらないケースがあります。

050番号のIP電話
多くの固定電話から発信できますが、一部地域や古い交換機ではつながらないことがあります。 

0ABJ番号（03・06などの市外局番が付くIP電話）
固定電話と同等に扱われるため、制限はほとんどありません。

ただし、フリーダイヤル（0120）やナビダイヤル（0570）など、特殊番号への接続はIP電話サービス側で非対応の場合があるため注意が必要です。

050番号や03番号の認識され方

IP電話には大きく分けて「050番号」と「0ABJ番号」があります。

固定電話から発信する際も、この番号の種類によって受け手の印象や認識が異なるのが特徴です。

• 050番号「IP電話専用番号」として知られており、ビジネス上は「コスト重視」のイメージを与えることがあります。 
• 03や06などの0ABJ番号従来の固定電話番号と同じ扱いで信頼性が高く、地域密着や企業の拠点感を伝えやすいというメリットがあります。

企業が顧客対応にIP電話を利用する場合は、番号の種類が顧客からの信頼度に直結することも意識すべきポイントです。

通話時の着信表示や音質の違い

固定電話からIP電話に発信した場合、着信表示や音質に違いが出るケースがあります。

• 着信表示
  通常は発信者番号が表示されますが、IP電話事業者によっては「非通知」や「不明」と表示されることもあります。 

• 音質
  固定電話側はアナログ回線、IP電話側はインターネット回線を利用するため、途中で音声が変換される過程で品質が低下することもあるのが実情です。特に050番号を使った通話では「雑音が混じる」「遅延が発生する」といった報告も少なくありません。

こうした差異は、利用するプロバイダや回線の品質によって大きく左右されるため、通話の安定性を重視するなら、信頼性の高い回線やサービスを選ぶことが重要です。

▷固定電話からの発信も可能だが、番号と品質を意識しよう

固定電話からIP電話への発信は基本的に可能ですが、番号の種類やサービス仕様によって条件が変わる点に注意が必要です。

• 050番号は発信可能だが、つながらない地域や信頼性の課題がある 
• 0ABJ番号（03や06など）は固定電話と同等に扱われ、信用度が高い 
• 着信表示や音質に差が出る場合があり、事業者選びが品質を左右する

つまり、発信自体は問題なく行えるものの、「どう見えるか」「どう聞こえるか」がビジネスに影響する可能性があります。

利用シーンに応じて、コストだけでなく番号の種類や通話品質まで考慮して選ぶことが大切です。

IP電話と固定電話を併用するケースとは

「IP電話か固定電話か、どちらを選ぶべきか」と悩む企業や個人は多いですが、実際には両方を併用するのが最適解となるケースも少なくありません。

コスト削減と安定性をバランスよく確保できるからです。

ここでは、実際の使い分けの事例や、PBXを活用した統合運用の可能性、さらに社外通話の品質を重視する場合の選択肢について解説します。

企業や店舗での使い分けの実例

企業や店舗では、用途に応じてIP電話と固定電話を併用している事例が多く見られます。

• 社内・拠点間の通話 → IP電話を活用し、無料または低コストで通信 
• 顧客対応や外部からの受電 → 固定電話を利用し、信頼性と番号の安心感を確保 
• EC事業や小売店 → コストを抑えるため注文受付はIP電話で対応し、クレーム対応や重要顧客窓口には固定電話を利用

このように、「内部のコスト効率」にはIP電話、「外部の信用性」には固定電話という切り分けをすることで、通信費と信頼性のバランスを保つことができます。

PBX・クラウドPBXによる統合運用の可能性

従来は「IP電話と固定電話は別物」と考えられていましたが、現在はPBX（構内交換機）やクラウドPBXを利用することで、両者をシームレスに統合することが可能です。

たとえば、

• 社内はIP電話を利用し、拠点間の内線を無料化 
• 外部からの着信は固定電話番号（03番号など）で受ける 
• PBXで両方を連携し、社員は1つの端末で使い分け可能

この仕組みにより、「コストを抑えながら信頼性も確保する」ハイブリッドな運用が実現します。

特にクラウドPBXは、初期費用が少なく柔軟に拡張できるため、中小企業でも導入が進んでいます。

社外との通話品質を重視するならどう選ぶ？

顧客や取引先との通話品質は、企業の信用に直結します。特に営業・サポート窓口では、「声が聞き取りづらい」「通話が途切れる」だけで信頼を損なう可能性があります。

そのため、

• 社外対応は固定電話を基本とする 
• IP電話は社内・遠隔拠点・リモートワーク向けに活用 といった選択が有効です。

ただし、近年は光回線と高品質なIP電話サービスの普及により、外線通話もIP電話で十分対応可能なケースも増えています。

最終的には、「どの通話が最も信用に影響するか」を基準に使い分けを判断することが重要です。

▷併用で“コストと信頼性”の最適解を導く

IP電話と固定電話は、それぞれに強みと弱みがあります。

• IP電話 – コスト削減・柔軟性に優れる 
• 固定電話 – 信頼性・通話品質・緊急通報対応に優れる

両者を併用することで、コスト効率と安定性の両立が可能になります。
特にPBXやクラウドPBXを導入すれば、両方を一元的に管理でき、業務効率も高まります。

つまり「どちらを選ぶか」ではなく、目的や利用シーンに応じて併用し、最適なバランスを取ることこそが現代の通信環境にふさわしい選択肢といえるでしょう。

IP電話利用時に固定電話へつながらないときのチェックポイント

IP電話を利用していると、「固定電話に発信してもつながらない」「呼び出し音が鳴らない」といったトラブルに直面することがあります。

原因はひとつではなく、回線環境・サービス仕様・機器の設定や不具合など、複数の要因が絡み合っている場合が少なくありません。

ここでは、代表的なチェックポイントを整理し、トラブル解消の糸口を紹介します。

通信回線の種類と通信状況

IP電話はインターネット回線を利用するため、回線の種類や通信状況がそのまま通話品質や接続可否に直結します。

• 回線の種類
  光回線なら安定して利用できますが、ADSLやモバイル回線などでは速度や安定性に難があり、通話が不安定になりやすいです。 

• 通信状況
  家庭やオフィスで同時に大容量通信（動画配信・クラウド利用）が行われていると、音声データが圧迫され通話が成立しないことがあります。

対策としては、有線LANを利用する、通話用に回線を分ける、QoS設定で音声通信を優先するなどが効果的です。

利用サービスの仕様・制限設定

IP電話サービスには、それぞれ接続できる番号や通話ルールに制限が設けられています。

• 一部のIP電話サービスは、固定電話への発信が非対応 
• 050番号からはフリーダイヤル（0120）やナビダイヤル（0570）につながらない場合がある 
• 緊急通報（110・119）への発信に対応していないサービスも多い

「固定電話につながらない」と感じても、実際にはサービス仕様上つながらない番号だったというケースは珍しくありません。

契約しているサービスの仕様を確認することが重要です。

IP電話アプリや機器の不具合

IP電話はルーターや専用アダプター、スマホアプリなどを介して利用するケースが多いため、機器やアプリ側の不具合が原因になることもあります。

• アプリのバージョンが古い、設定が間違っている 
• ルーターのポート設定が正しくなく、通話がブロックされている 
• 機器自体の故障や不具合

こうした場合は、アプリの更新、設定のリセット、別の端末での動作確認を行うと切り分けがしやすくなります。

それでも改善しない場合は、契約事業者に問い合わせ、機器交換や設定支援を受ける必要があります。

▷原因を切り分けて確認することが解決の第一歩

IP電話が固定電話につながらない原因は、回線環境・サービス仕様・機器不具合と多岐にわたります。

• 通信回線が安定しているかを確認 
• 契約サービスの仕様や制限を理解する 
• アプリや機器の設定・不具合をチェックする

このように、一つひとつ要因を切り分けて確認することが解決の近道です。

特にビジネス利用の場合は、トラブルが信用問題に直結するため、導入時に制限や仕様を把握し、バックアップ手段（固定電話や携帯電話）を用意しておくことが安心につながります。

IP電話と固定電話、どちらを選ぶべきか？

電話環境を整える際、多くの人や企業が直面するのが「IP電話と固定電話、どちらを選ぶべきか？」という問題です。

両者にはコスト・安定性・利便性といった点で明確な違いがあり、利用する目的や環境によって最適解は変わります。

ここでは、ビジネスと個人利用の観点からそれぞれの特徴を整理し、目的別の選び方を解説します。

ビジネス用途で求められる安定性

ビジネスの現場では、通話の安定性と信頼性が最優先されます。

顧客対応や商談の最中に音声が途切れるだけで、信頼を損なうリスクがあるからです。

• 固定電話の強み公衆電話網を利用するため、災害や停電時でも利用できる場合があり、安定性に優れる。市外局番を持つ番号（03や06など）は顧客からの安心感も高い。 

• IP電話の弱点回線環境に依存するため、通信が不安定だと遅延や途切れが発生。
  緊急通報に対応していないサービスもある。

そのため、外部顧客とのやり取りや信用が第一の業務では固定電話が有利と言えます。

ただし、拠点間の内線やテレワーク用途では、IP電話の柔軟性と低コストが役立ちます。

個人利用で重視すべきコスト面

個人や小規模事業者にとっては、毎月のコストをどれだけ抑えられるかが重要です。

• IP電話の強み
  初期費用が安く、通話料も距離に関係なく全国一律料金が多い。
  特に長距離通話や国際電話では圧倒的にコスト優位。スマホやPCと連携できる利便性も高い。 

• 固定電話の弱点基本料金が発生し、市外通話や携帯電話への発信は料金が高め。
  利用頻度が少ない個人にとっては割高感がある。

個人利用で「電話は最低限」「コストをできるだけ抑えたい」という場合は、IP電話をメインにする方が効率的です。

目的別に考える「最適な電話回線の選び方」

最終的に、どちらを選ぶべきかは利用目的とシーンに合わせて判断するのが正解です。

• 顧客対応・信頼性重視 → 固定電話を基本とする 
• コスト削減・柔軟性重視 → IP電話を導入する 
• 両立を図りたい場合 → PBXやクラウドPBXを活用して併用運用

特に法人利用では、外部には固定電話、内部連絡にはIP電話といった使い分けが有効です。

個人利用であれば、スマホアプリと連携可能なIP電話を導入しつつ、必要に応じて固定電話をサブとして残す選択も考えられます。

▷利用目的を明確にすれば最適解は自然と決まる

IP電話と固定電話には、それぞれコスト・利便性・安定性という強みと弱みがあります。

• ビジネス用途では安定性を重視し、固定電話が有利 
• 個人利用ではコスト優位なIP電話が有利 
• 信頼性とコストを両立させたい場合は、両者を併用するのが効果的

つまり、「どちらを選ぶか」で迷うときは、まず自分（自社）が電話をどう使うのか、その目的を明確にすることが最も大切です。

その答えが見えれば、最適な電話環境は自然と決まります。

IP電話から固定電話へ切り替える前に検討すべき“3つの視点”

コスト面でのメリットからIP電話を導入したものの、「やはり固定電話に戻した方が良いのでは？」と考えるケースも増えています。

しかし、安易に切り替えると余計な費用や手間が発生する可能性もあり、判断は慎重に行う必要があります。

ここでは、切り替えを検討する際に必ず押さえておきたい“3つの視点”を紹介します。

コスト優位性が逆転するケースとは？

一般的にIP電話は通話料金が安く、固定電話よりコスト面で有利です。

しかし、利用状況によってはコスト優位性が逆転するケースもあります。

• 社内よりも顧客や外部との通話が中心で、固定電話や携帯宛の通話が多い場合 
• IP電話サービスの月額基本料やオプション費用がかさむ場合 
• 通信環境を整えるために高速回線や専用機器への追加投資が必要になった場合

このようなケースでは、トータルコストで見ると固定電話の方が安定し、無駄な出費を避けられる可能性があります。

信頼性と通話品質、実はどちらが弱点か

IP電話の課題としてよく挙げられるのが通話品質の不安定さです。インターネット回線に依存するため、通信が混雑すると遅延や途切れが発生しやすくなります。

一方で固定電話は、公衆電話網を利用するため常に安定した音声品質を確保でき、停電時にも利用可能です。

特にビジネスにおいては「声が聞き取りづらい」だけで信用を失うこともあり、信頼性の観点では固定電話に軍配が上がるといえます。

ただし、最新の光回線と高品質なIP電話サービスを利用すれば、実用上ほぼ問題ないレベルの通話品質を確保できる場合もあります。

切り替え前には、実際の利用環境で品質を検証することが重要です。

番号継続・非継続がもたらす影響の見極め方

電話番号の継続可否は、切り替えを検討する際の大きなポイントです。

• IP電話から固定電話へ番号を引き継げるケース
  → 市外局番（03や06など）の0ABJ番号を使っている場合、継続できる可能性が高い 

• 番号を継続できないケース
  → 050番号を利用している場合、固定電話に切り替えると番号変更が必要になる

番号を変更すると、名刺・ホームページ・広告媒体の修正コストや、顧客からの信用低下といった影響が避けられません。

特に長年使い続けてきた番号の場合は、切り替えによるダメージが大きくなる可能性があります。

▷切り替え前に“費用・品質・番号”を必ず確認すること

IP電話から固定電話への切り替えを検討する際には、以下の3点を必ず確認する必要があります。

• コスト – 発信先や利用状況によっては、固定電話の方が割安になるケースがある 
• 信頼性 – 通話品質や災害時の利用可否では、固定電話が優位 
• 番号継続 – 番号が引き継げない場合、信用やコストに大きな影響を及ぼす

つまり、「不満があるからすぐ切り替える」という短絡的な判断は避けるべきです。

費用、品質、番号の3つの視点を整理し、自社や個人の利用目的に照らして冷静に判断することが、後悔しない電話環境づくりにつながります。

まとめ｜利用目的に合わせた最適な選択が鍵

IP電話と固定電話は、それぞれに強みと弱みがあります。

• IP電話は、コスト削減や柔軟な利用に強く、テレワークや拠点間通信に最適。 
• 固定電話は、信頼性と通話品質に優れ、顧客対応や災害時の安心感に向いている。

また、利用環境や目的によっては「併用」や「クラウドPBXを活用した統合運用」が最適解となるケースも少なくありません。

さらに、IP電話から固定電話へ切り替える際には、費用面・通話品質・番号継続の3つの視点を必ず確認することが重要です。

結局のところ、どちらが優れているかではなく、「自社（あるいは個人）が何を重視するか」によって最適解は変わるのです。

通信環境を整える前に利用目的を明確化すれば、後悔しない電話環境を選び取ることができるでしょう。