最大需要電力とは?デマンド値との違い・基本料金に影響する仕組みを解説
この記事の内容について相談する
専門スタッフが無料でお答えします。オンライン相談も可能です。
最大需要電力とは、一定期間の中で最も高くなった電力使用のピークを示す指標です。
法人向けの高圧契約では、契約電力や基本料金に影響することがあるため、電気料金を見直すうえで重要になります。
まず、関連する言葉を整理しておきましょう。
- デマンド値:30分ごとの平均使用電力
- 最大需要電力:1か月などの一定期間で最も高かったデマンド値
- デマンド:文脈によってデマンド値または最大需要電力を指す言葉
高圧契約では、30分ごとの平均使用電力をもとにデマンド値が算出されます。
その月の中で最も高いデマンド値が、最大需要電力です。
最大需要電力が高くなると、契約電力や基本料金に影響する場合があります。
つまり、電気をどれだけ使ったかだけでなく、どの時間帯に集中して使ったかも料金に関わります。
たとえば、夏場の始業直後に空調を一斉に起動したり、生産設備や冷凍冷蔵設備を同じ時間帯に動かしたりすると、30分間の平均使用電力が高くなります。
その結果として、最大需要電力の上昇につながる可能性があるのです。
最大需要電力を抑えるには、使用電力量の削減だけでは不十分な場合があります。
設備の稼働時間、空調の起動タイミング、ピークが出やすい時間帯を確認し、電力使用の集中を避けることが大切です。
電気に関するお悩みはお気軽にご相談ください。
最大需要電力とは

最大需要電力とは、一定期間で最も高くなったデマンド値のことです。
高圧契約では、30分ごとの平均使用電力をもとにデマンド値を算出し、その最大値が契約電力や基本料金に影響する場合があります。
最大需要電力とは一定期間で最も高いデマンド値のこと
最大需要電力とは、一定期間の中で最も高くなったデマンド値です。
電力使用のピークを示す数値であり、企業の電気料金を考えるうえで重要な指標になります。
企業や施設では、空調、照明、生産設備、冷凍冷蔵設備、厨房機器などを同時に使うことがあります。
多くの設備が同じ時間帯に稼働すると、電力使用量が一気に高くなります。
こうしたピークを確認する指標が、最大需要電力です。
最大需要電力は、単に「電気をたくさん使った月」を見るものではありません。
短い時間に電力使用が集中したかどうかを見る指標です。
たとえば、1か月全体の使用電力量が同じでも、使い方によって最大需要電力は変わります。
毎日なだらかに電力を使う施設と、一部の時間帯に電力使用が集中する施設では、最大需要電力が異なる場合があります。
最大需要電力が高くなりやすい施設には、以下があります。
- 空調負荷が大きいオフィスビル
- 生産設備を使う工場
- 冷凍冷蔵設備を使う食品関連施設
- 厨房機器を多く使う店舗
- 大型照明や空調を使う商業施設
- ポンプやコンプレッサーを使う施設
最大需要電力を理解することは、企業の電気料金を見直す第一歩です。
使用電力量だけでなく、電力使用のピークを把握することで、基本料金の見直しや設備運用の改善につなげやすくなります。
デマンド値は30分ごとの平均使用電力で算出される
デマンド値は、30分ごとの平均使用電力で算出されます。
瞬間的に一度だけ大きな電力を使った値ではありません。
30分間の平均として見られる点が重要です。
分かりやすく言うと、デマンド値は「ある30分間で平均してどれくらい電気を使ったか」を示す数値です。
30分間に空調、照明、設備などを同時に使えば、その時間帯のデマンド値は高くなります。
デマンド値が高くなりやすい状況には、以下があります。
- 始業時に空調を一斉に起動する
- 工場設備を同じ時間帯に稼働させる
- 昼過ぎに空調負荷が高まる
- 営業開始時に照明や厨房機器をまとめて使う
- 冷凍冷蔵設備と空調の負荷が重なる
このように、デマンド値は設備の使い方や稼働タイミングに左右されます。
短時間のピークでも、同じ30分枠の中に複数の設備稼働が重なると、デマンド値が高くなる可能性があります。
最大需要電力を下げるには、設備を止めるだけではなく、使う時間帯をずらすことも重要です。
空調の起動時間を少しずらしたり、生産設備の稼働を分散したりする運用改善でも、ピークを抑えられる場合があります。
最大需要電力が契約電力の基準になる
最大需要電力は、契約電力の基準になります。
高圧契約では、一定期間の最大需要電力が契約電力に影響することがあります。
契約電力とは、電力会社との契約上の電力の大きさです。
基本料金は、この契約電力をもとに計算されるため、契約電力が大きいほど基本料金も高くなりやすくなります。
特に注意したいのは、最大需要電力が一度高くなると、その後の料金に影響する場合があることです。
1か月の中で短時間だけ電力使用が集中しても、その最大値が契約電力の基準になる可能性があります。
高圧小口契約では、当月を含む直近12か月の最大需要電力のうち、最も大きい値が契約電力の基準になることが多くあります。
高圧大口や特別高圧では、契約内容やメニューによって決まり方が異なるため、契約条件の確認が必要です。
企業の電気料金を見直すなら、使用電力量だけでなく、最大需要電力を確認しましょう。
基本料金に影響する部分を把握することで、より具体的な対策を考えやすくなります。
最大需要電力が基本料金に影響する仕組み
最大需要電力が基本料金に影響するのは、契約電力の基準になる場合があるためです。
高圧契約では、30分ごとの平均使用電力を計測し、1か月の最大値を確認します。
その最大需要電力が、基本料金に関係します。
1か月の中で最も高いデマンド値が最大需要電力になる
デマンド値は、30分ごとに計測されます。
1日は48回、1か月が30日であれば約1,440回の計測点があります。
その中で最も高い値が、その月の最大需要電力になります。
つまり、1か月の大半で電力使用を抑えられていても、1回だけ高いピークが出ると、その値が最大需要電力として扱われます。
たとえば、通常は200kW前後で推移している施設でも、ある日の30分だけ300kWまで上がれば、その月の最大需要電力は300kWになります。
この最大値が、契約電力の判断に影響する場合があります。
最大需要電力の管理で重要なのは、平均的な使用量だけを見ることではありません。
最も高くなった30分を確認し、その原因を把握することです。
ピークが出た日には、以下のような要因が重なっていることがあります。
- 空調を一斉に起動した
- 生産設備が同時に稼働した
- 冷凍冷蔵設備の負荷が高かった
- 繁忙時間帯に設備使用が集中した
- 外気温の影響で空調負荷が上がった
- 臨時の設備稼働があった
最大需要電力を抑えるには、1か月の中で最も電力使用が集中する30分を見つけることが大切です。
直近12か月の最大値が契約電力の基準になる場合がある
高圧小口契約では、当月を含む直近12か月の最大需要電力のうち、最も大きい値が契約電力の基準になることが多くあります。
つまり、ある月に高い最大需要電力が出ると、その後の契約電力に影響する可能性があります。
この仕組みでは、1回のピークが長く影響することがあります。
たとえば、夏場に空調負荷が高まり、最大需要電力が大きく上がると、その値がしばらく契約基準として残る可能性に注意が必要です。
そのため、最大需要電力の管理では「今月だけ抑えればよい」と考えるのではなく、年間を通じてピークを出さない運用が重要です。
特に注意したい時期は、以下です。
- 夏季の空調負荷が高い時期
- 冬季の暖房負荷が高い時期
- 繁忙期で設備稼働が増える時期
- 新設備を導入した直後
- 営業時間や生産時間が変わった時期
高圧大口や特別高圧では、契約メニューや協議内容によって契約電力の決まり方が異なる場合があります。
自社の契約条件を確認し、どの最大需要電力が料金に影響するのか把握しておきましょう。
夏季とその他季で料金単価が異なる場合がある
電力会社や契約メニューによっては、夏季とその他季で電力量料金単価が異なる場合があります。
夏季は空調使用が増え、電力需要が高まりやすいため、料金体系上も注意が必要です。
ここで整理しておきたいのは、基本料金と電力量料金の違いです。
- 基本料金:契約電力をもとに計算される料金
- 電力量料金:実際に使った電力量をもとに計算される料金
最大需要電力は、主に契約電力や基本料金に関わります。
一方で、夏季やその他季の単価差は、電力量料金に関わることが多いです。
夏季・その他季の区分や単価は、電力会社や契約メニューによって異なります。
そのため、料金表や契約内容を確認することが大切です。
特に夏季は、空調負荷によって最大需要電力も使用電力量も上がりやすい時期です。
夏にピークが出やすい施設では、事前に空調運用や設備稼働のタイミングを見直しておくとよいでしょう。
最大需要電力が下がっても契約電力はすぐに下がらない
最大需要電力の管理で注意したいのは、ピークを下げても契約電力がすぐに下がるとは限らないことです。
過去の最大需要電力が契約基準として残る場合があるためです。
一度高い最大需要電力が出ると、その値がしばらく契約電力の基準になることがあります。
反対に、契約電力を下げるには、継続して低い状態を維持することが必要です。
この点は、設備オーナーや施設管理者にとって重要です。
短期間の節電だけでは、基本料金の改善につながりにくい場合があります。
契約電力を下げるためには、一定期間にわたって最大需要電力を抑え続けましょう。
たとえば、夏の1か月だけ高い最大需要電力が出た場合、その後に使用状況を改善しても、すぐに契約電力が下がらないことがあります。
だからこそ、ピークが出る前に予防する運用が大切です。
最大需要電力は、上がると影響が早く出やすく、下げるには時間がかかる場合があります。
この非対称なルールを理解しておくことで、早めの対策が必要な理由が分かります。
最大需要電力の管理が重要な理由

最大需要電力の管理が重要な理由は、基本料金、設備投資、電力会社の切り替え、料金改定への影響に関わるためです。
電気料金を下げたい場合、単価比較だけでなく、電力使用のピークをどう抑えるかを考える必要があります。
基本料金の削減に直結しやすい
最大需要電力の管理は、基本料金の削減に直結しやすい取り組みです。
最大需要電力を抑えることで、契約電力の上昇を防ぎ、基本料金の負担を抑えられる可能性があります。
電気料金を下げる方法として、使用電力量の削減を考える企業は多くあります。
もちろん、使用電力量を減らすことも重要です。
ただし、高圧契約では、最大需要電力を抑えることにも同じくらい目を向けましょう。
使用電力量の削減は、電力量料金に影響します。
一方で、最大需要電力の管理が関わるのは基本料金です。
この2つは分けて考える必要があります。
たとえば、以下のように整理できます。
- 使用電力量を減らす:電力量料金の削減につながる
- 最大需要電力を抑える:基本料金の上昇防止につながる
- 両方を管理する:電気料金全体の削減につながる
電気料金を見直す場合は、請求書の合計金額だけでなく、基本料金と電力量料金の内訳を確認しましょう。
基本料金の負担が大きい施設では、最大需要電力の管理効果が出やすい場合があります。
設備投資や空調更新の判断材料になる
最大需要電力のデータは、設備投資や空調更新の判断材料にもなります。
ピークが高い原因を把握すれば、見直すべき設備を判断しやすくなるためです。
最大需要電力が高くなりやすい設備には、空調、冷凍冷蔵設備、生産設備、コンプレッサー、ポンプなどがあります。
これらの設備が古い場合や、同じ時間帯に集中して稼働している場合は、ピークの原因になっていないか確認しましょう。
ただし、最大需要電力が高いからといって、すぐに設備更新が必要とは限りません。
まずは、運用で改善できる余地を確認することが大切です。
設備投資を検討する前に確認したい項目は、以下です。
- どの時間帯にピークが出ているか
- その時間帯にどの設備が動いているか
- 起動時間をずらせる設備はあるか
- 設定温度や稼働条件を見直せるか
- 古い設備が過剰に電力を使っていないか
- 更新した場合の削減効果はどの程度か
設備更新には費用がかかります。
だからこそ、最大需要電力のデータを確認し、投資すべき設備を見極めることが重要です。
電力会社の切り替えだけでは解決しない場合がある
電気料金を下げるために、電力会社の切り替えを検討する企業もあります。
単価の低下によって、電気料金の削減を期待できるためです。
ただし、電力会社の切り替えだけで解決するとは限りません。
理由は、最大需要電力が高いままだと、基本料金の負担が残るためです。
電力量料金の単価が下がっても、契約電力が大きければ、基本料金の削減余地が限られることがあります。
特に、以下のような施設では注意が必要です。
- 基本料金の割合が大きい
- 夏季や冬季にピークが出やすい
- 空調や生産設備の同時稼働が多い
- 契約電力が実態より高い可能性がある
- 設備運用の見直しをしていない
電力会社の切り替えは、料金見直しの一つの方法です。
しかし、使用ピークを管理しなければ、根本的な改善につながらない場合があります。
電気料金を本気で見直すなら、単価比較と最大需要電力の管理をセットで考えることが大切です。
電気料金改定時の影響を受けやすくなる
電気料金は、電力会社の料金改定、燃料費、託送料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金などの影響を受けます。
契約電力が大きい施設では、料金改定の影響も大きくなりやすいです。
基本料金単価が変わる場合、契約電力が大きいほど影響額も大きくなります。
電力量料金の単価が変わる場合も、使用電力量が多い施設ほど影響を受けやすい点に注意が必要です。
そのため、設備オーナーや施設管理者は、料金改定時に以下を確認する必要があります。
料金改定は、自社ではコントロールできない部分もあります。
しかし、最大需要電力を抑えることは、自社の運用で改善できる可能性がある部分です。
外部要因で単価が変わる時期ほど、自社で管理できる最大需要電力を見直すことが重要です。
最大需要電力が上がりやすい設備と時間帯
最大需要電力は、空調や生産設備、冷凍冷蔵設備などが同じ時間帯に重なると上がりやすくなります。
特に始業直後、昼過ぎ、繁忙時間帯はピークが出やすいため、30分単位で設備の稼働状況を確認することが大切です。
空調の一斉起動で最大需要電力が上がりやすい
空調の一斉起動は、最大需要電力が上がる代表的な原因です。
特に夏季や冬季は空調負荷が大きくなります。
始業時や開店前に空調をまとめて起動すると、30分間の平均使用電力が高くなりやすい点に注意が必要です。
オフィスビルや店舗では、朝の始業前に空調、照明、換気設備を同時に稼働させることがあります。
そこにエレベーター、厨房機器、パソコン、その他の設備の稼働が重なると、ピークがさらに高くなりかねません。
空調によるピーク上昇を抑えるには、以下の方法があります。
- 空調の起動時間を分散する
- フロアごとに起動タイミングをずらす
- 設定温度を見直す
- 外気温に応じて運転開始時間を調整する
- 不在エリアの空調を抑える
空調は快適性に直結する設備です。
無理に止めると、従業員や利用者の負担になります。
停止ではなく、起動時間や出力を調整する考え方が現実的です。
生産設備や冷凍冷蔵設備の同時稼働に注意する
工場や食品関連施設では、生産設備や冷凍冷蔵設備の同時稼働に注意が必要です。
大型設備が同じ時間帯に動くと、最大需要電力が一気に上がることがあります。
最大需要電力に影響しやすい設備には、以下があります。
- 生産ライン
- コンプレッサー
- ポンプ
- 冷凍冷蔵設備
- 加熱設備
- 乾燥設備
- 大型モーター
- 厨房機器
これらの設備は、業務に欠かせないものが多くあります。
そのため、単純に止めればよいわけではありません。
重要なのは、同時稼働の重なりを確認することです。
たとえば、生産設備の起動時間と冷凍冷蔵設備の負荷が重なっている場合、ピークが発生しやすくなります。
設備の起動順序を変えるだけで、最大需要電力を抑えられる場合もあります。
設備の稼働を見直す際は、生産性や品質への影響も確認しましょう。
現場担当者と相談しながら、無理のない範囲で調整することが大切です。
始業直後・昼過ぎ・繁忙時間帯を確認する
最大需要電力が上がりやすい時間帯は、施設によって異なります。
ただし、一般的には始業直後、昼過ぎ、繁忙時間帯にピークが出やすくなります。
始業直後は、空調、照明、パソコン、生産設備などが一斉に動き始めます。
昼過ぎは、外気温が高くなり、空調負荷が増えることがあります。
店舗や商業施設では、来客が増える時間帯に照明、空調、厨房機器などの使用が重なる点にも注意が必要です。
確認したい時間帯は、以下の通りです。
- 始業前後
- 開店前後
- 昼過ぎ
- 繁忙時間帯
- 生産ラインの切り替え時
- 冷凍冷蔵設備の負荷が高い時間
- 夏季や冬季の空調ピーク時間
最大需要電力は、施設ごとの運用によって変わります。
自社のピークがいつ発生しているかを、データで確認することが重要です。
ピーク時間帯が分かれば、設備の使い方を調整しやすくなります。
対策は大がかりな設備投資だけではありません。
起動時間をずらす、稼働順序を変える、空調設定を見直すといった運用改善から始められます。
30分単位で設備の重なりを見る
デマンド値は30分ごとの平均使用電力で算出されます。
そのため、設備の稼働状況も30分単位で見ることが大切です。
同じ設備でも、使うタイミングによって最大需要電力への影響は変わります。
複数の設備が同じ30分枠に重なると、デマンド値が上がり、その月の最大需要電力になる可能性があります。
たとえば、以下のようなケースです。
- 8時30分から空調を一斉起動する
- 8時35分から生産設備を起動する
- 8時40分から換気設備を強運転にする
- 8時45分から冷凍冷蔵設備の負荷が高まる
このように設備稼働が同じ30分枠に集中すると、平均使用電力が高くなります。
逆に、起動時間を少しずつずらすだけで、ピークがなだらかになる場合があります。
最大需要電力の管理では、1日の合計使用量だけではなく、30分単位の重なりを見ることが重要です。
設備オーナーや施設管理者は、ピークが出た時間帯に何が動いていたかを確認しましょう。
最大需要電力を抑えるための基本的な考え方

最大需要電力を抑えるには、ピークカットとピークシフトの考え方が重要です。
さらに、デマンド監視装置でピークの兆候を把握し、必要に応じてデマンドコントロールシステムで設備制御を行う方法もあります。
ピークカットで最大需要電力を抑える
ピークカットとは、電力使用の山を小さくする考え方です。
最大需要電力を抑えることで、契約電力や基本料金の上昇を防ぎやすくなります。
ピークカットの例には、以下があります。
- 空調の出力を一時的に抑える
- 不要な照明を消す
- 使っていない設備を停止する
- 一部設備の稼働を調整する
- 冷凍冷蔵設備の運用を見直す
ピークカットは、電力使用が高くなりそうな時間帯に行います。
デマンド値が設定値に近づいた段階で、業務に影響しにくい設備から調整しましょう。
ただし、無理なピークカットは避けるべきです。
空調を止めすぎると、快適性が下がります。
生産設備を止めた場合は、作業効率や品質への影響も考慮しなければなりません。
重要なのは、削減効果と現場への影響のバランスです。
止めても問題ない設備、出力を抑えられる設備、調整できない設備を分けて考えましょう。
ピークシフトで電力使用の時間帯をずらす
ピークシフトとは、電力を使う時間帯をずらす考え方です。
電力使用が集中する時間を避けることで、最大需要電力を抑えやすくなります。
ピークシフトの例には、以下があります。
- 空調の起動時間をフロアごとにずらす
- 生産設備の稼働開始時間を分散する
- 充電や加熱工程の時間を変更する
- 清掃や換気の時間帯を調整する
- 冷凍冷蔵設備の負荷が重なる時間を避ける
ピークシフトは、設備を止めるのではなく、使う時間をずらす方法です。
そのため、現場への影響を抑えながら実施しやすい場合があります。
たとえば、すべての空調を8時30分に起動するのではなく、8時15分、8時30分、8時45分のように分散します。
これだけでも、30分枠内の電力集中を抑えられる可能性があります。
ピークシフトを行うには、設備ごとの稼働時間を把握する必要があります。
どの設備をずらせるか、どの設備は時間変更できないかを整理しましょう。
デマンド監視でピークの兆候を把握する
デマンド監視装置を使うと、ピークの兆候を把握しやすくなります。
設定したデマンド値に近づいた時点で、警報や通知を受けられるためです。
デマンド監視装置で確認できる内容には、以下があります。
- 現在の電力使用量
- デマンド値
- 設定値への接近状況
- 過去のピーク時間帯
- アラート履歴
- 電力使用の傾向
ピークが発生してからでは、基本料金への影響を防げない場合があります。
デマンド監視装置で早めに兆候をつかめば、空調や設備の運用を調整しやすくなります。
ただし、デマンド監視装置は基本的に「知らせる」役割です。
通知を受けたあとに、誰が何をするかを決めておかなければ、効果は出にくくなります。
アラートが出たときの対応手順を決めておきましょう。
空調の調整、照明の見直し、設備の起動を遅らせるといった対応を具体化することが大切です。
設備制御で自動的にピークを抑える
手動対応が難しい施設では、デマンドコントロールシステムによる設備制御も選択肢になります。
設定したデマンド値に近づくと、空調や照明などを自動で制御し、ピークを抑えます。
設備制御の対象になりやすいものには、以下があります。
- 空調設備
- 照明設備
- 換気設備
- ポンプ
- コンプレッサー
- 一部の生産設備
自動制御のメリットは、管理者が常に対応しなくてもよいことです。
複数拠点を管理している場合や、現場に常駐管理者がいない場合に役立ちます。
一方で、制御対象の選定には注意が必要です。
業務に影響する設備を制御すると、生産性や快適性が下がる場合があります。
導入前には、どの設備を制御できるか、どの設備は制御してはいけないかを整理しましょう。
設備ごとの優先順位を決めておくと、無理のないピーク対策につながります。
最大需要電力を下げるには月次データと設備運用をセットで見直す
最大需要電力を下げるには、電気料金の請求書だけでなく、30分単位のデマンドデータを確認することが重要です。
ピークが出た時間帯と設備稼働状況を照合し、設備更新の前に運用改善で下げられる余地を探しましょう。
請求書だけでなく30分デマンドデータを確認する
電気料金の請求書を見るだけでは、最大需要電力が上がった原因までは分かりにくいです。
請求書では、最大需要電力や契約電力は確認できても、どの時間帯にピークが出たかまでは分からない場合があります。
そこで重要になるのが、30分単位のデマンドデータです。
30分デマンドデータを確認すると、ピークが発生した日や時間帯を把握できます。
確認したい情報は、以下の通りです。
- 最大需要電力が出た日
- 最大需要電力が出た時間帯
- 前後のデマンド値
- 曜日や天候
- 営業日か休業日か
- その日の設備稼働状況
最大需要電力を下げるには、まずピークの原因を見つける必要があります。
請求書の金額だけを見ていても、具体的な対策にはつながりません。
30分単位で確認すれば、空調の一斉起動が原因なのか、生産設備の稼働が重なったのか、繁忙時間帯の設備使用が原因なのかを考えやすくなります。
ピークが出た日の設備稼働状況を照合する
最大需要電力が出た日と時間帯が分かったら、そのときの設備稼働状況を確認します。
どの設備が動いていたかを照合することで、ピークの原因を絞り込みやすくなります。
確認したい設備は、以下の通りです。
- 空調設備
- 冷凍冷蔵設備
- 生産設備
- 厨房機器
- コンプレッサー
- ポンプ
- 照明設備
- 換気設備
たとえば、最大需要電力が出た時間帯に空調と生産設備が同時に立ち上がっていた場合、その重なりがピークの原因かもしれません。
冷凍冷蔵設備の負荷が高い時間帯と空調負荷が重なっている場合もあります。
設備稼働状況を確認する際は、現場担当者へのヒアリングも有効です。
データだけでは分からない運用上の事情があるためです。
「その時間帯に何が起きていたか」を確認すると、対策が具体的になります。
単なる節電にとどまらず、起動順序や稼働時間の見直しへつなげることも可能です。
設備更新より先に運用改善で下げられる余地を探す
最大需要電力が高い場合でも、すぐに設備更新が必要とは限りません。
まずは運用改善で下げられる余地がないかを確認しましょう。
運用改善の例には、以下があります。
- 空調の起動時間を分散する
- 設定温度を見直す
- 設備の稼働順序を変える
- 繁忙時間帯の作業を分散する
- 不要な設備の停止ルールを決める
- アラート時の対応手順を作る
これらは、設備投資をしなくても始められる場合があります。
特に、ピークの原因が設備の同時稼働であれば、稼働タイミングをずらすだけで改善できるかもしれません。
もちろん、古い設備や効率の悪い設備が原因の場合は、更新が有効なこともあります。
ただし、運用改善で下げられる部分を確認してから投資判断をした方が、無駄なコストを避けやすくなります。
設備オーナーにとって重要なのは、最大需要電力のデータを設備投資の判断材料にすることです。
感覚ではなく、データをもとに改善策を検討しましょう。
DRや蓄電池の活用も将来的な選択肢になる
最大需要電力の管理の延長として、DRや蓄電池の活用も将来的な選択肢になります。
DRとは、需要家が電力使用量を調整し、電力需給のバランスを取る仕組みです。
簡単に言うと、電気が不足しやすい時間帯に、使う電力を減らしたり、使用時間をずらしたりする考え方です。
最大需要電力を管理して電力使用のピークを把握しておくと、どの設備を調整できるか判断しやすくなります。
蓄電池も、ピーク対策に活用できる場合があります。
電力使用が少ない時間帯や太陽光発電の余剰電力を蓄え、ピーク時間帯に使えば、購入電力を抑えやすくなります。
将来的な選択肢としては、以下が考えられます。
- 蓄電池でピーク時間帯の購入電力を補う
- 太陽光発電と組み合わせて日中の購入電力を抑える
- DRに対応できる設備運用ルールを作る
- デマンドコントロールシステムで自動制御する
- BEMSなどでエネルギー管理を高度化する
ただし、これらはすべての施設に必要なわけではありません。
まずは30分デマンドデータを確認し、運用改善でできることを整理することが大切です。
そのうえで、投資効果が見込める場合に、蓄電池やDR対応を検討するとよいでしょう。
まとめ|最大需要電力は基本料金に影響する電力ピークの指標

最大需要電力とは、一定期間の中で最も高くなったデマンド値のことです。
デマンド値は30分ごとの平均使用電力を指し、最大需要電力はその中で最も高い値を指します。
高圧契約では、最大需要電力が契約電力や基本料金に影響する場合があります。
特に高圧小口契約では、直近12か月の最大需要電力のうち最も大きい値が、契約電力の基準となるケースが一般的です。
最大需要電力の管理で重要なのは、1か月の合計使用電力量だけを見るのではなく、最も電力使用が集中した30分を見ることです。
短時間のピークでも、契約電力に影響する可能性があります。
最大需要電力が上がりやすい原因には、空調の一斉起動、生産設備や冷凍冷蔵設備の同時稼働、始業直後や繁忙時間帯の設備使用があります。
どの設備が、どの時間帯に重なっているかを確認することが大切です。
最大需要電力を抑えるには、ピークカットやピークシフトの考え方が有効です。
デマンド監視装置でピークの兆候を把握し、必要に応じてデマンドコントロールシステムで設備制御を行う方法もあります。
設備更新を検討する前に、まずは30分デマンドデータを確認しましょう。
ピークが出た日や時間帯を把握し、設備稼働状況と照合することで、運用改善の余地を見つけやすくなります。
最大需要電力は、企業の電気料金を左右する重要な指標です。
基本料金を見直したい場合は、電力会社の切り替えや単価比較だけでなく、最大需要電力をどう抑えるかまで確認しましょう。
監修者コメント
製品選定では、カタログ上の性能よりも「導入後に誰が面倒を見るか」で差が出ます。保守の範囲と連絡先を契約時に明文化しておくことを、あわせておすすめします。
三浦 健一 みうら けんいち
ITコーディネータ / 情報処理安全確保支援士
株式会社中小企業のチカラ DX推進室
SIerでインフラ構築に従事したのち、中小企業のIT導入支援へ。ツールを入れることではなく「入れたあと運用が回るか」を判…
関連キーワード
次に読む


