2025年09月14日 更新
新卒採用にかかるコストとは?1人あたりの費用と内訳を徹底解説
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- 新卒採用にかかる平均コストと相場感
- 1人あたりの採用コストはいくら?
- 採用全体でかかる総額の目安とは
- 中小企業と大企業の採用費用の違い
- 採用コストの内訳と主要項目
- 媒体出稿費(ナビサイト・ダイレクトリクルーティング)
- 説明会・面接・選考運営にかかるコスト
- 人件費・採用担当者の稼働時間
- 内定者フォローや懇親会等の費用
- 採用手法別のコスト比較
- ナビサイト掲載型の費用感
- ダイレクトリクルーティングの特徴とコスト
- SNS・リファラル採用のコスト構造
- イベント・合同説明会の費用相場
- コストをかけても成果が出ない原因とは
- 目標設定やKPIの不備
- 選考フローの非効率さ
- 母集団形成と歩留まりのバランス
- 採用コストを削減する5つの方法
- 採用プロセスの見直しによる効率化
- 媒体選定の最適化
- インターンや早期接触の活用
- 内製と外注のバランス調整
- 採用活動のPDCAを回す仕組みづくり
- 採用コストを“投資”に変えるための視点
- 採用ROIをどう測定するか
- 入社後の活躍・定着との関連性
- 採用の質と長期的効果の考え方
- 最新データから見る新卒採用コストの相場と傾向
- 新卒採用の平均コスト(年度別・最新値)
- 業種別・企業規模別の採用費用比較
- 業種別コスト相場の傾向
- 中小企業vs大企業の採用コスト構造
- 中小企業が費用を抑える工夫ポイント
- 採用コストの見える化テンプレと計算式
- 「1人あたり採用単価」の計算方法
- 見える化シート例(コピペ可能な構成)
- 見える化で見つかる代表的な削減ポイント
- 採用コストと早期離職の関係
- 早期離職がコストにもたらす影響
- ミスマッチを防ぐ評価方法とコスト削減効果
- 採用コストを理解し、戦略的な“人材投資”へと変えていこう
「新卒1人を採用するのに、実際いくらかかっているのか?」
この問いに即答できる企業は、意外と多くありません。
ナビサイトの掲載費、説明会の会場費、選考対応にかかる人件費、内定者フォロー…。
新卒採用にかかるコストは、目に見える費用だけでなく、日々の工数や時間にも大きく関わっています。
採用活動が年々高度化・長期化する中、「何にどれだけ費用をかけるべきか」「逆にどこを削減すべきか」を見極めることは、企業にとって非常に重要な経営課題です。
本記事では、新卒採用にかかる平均コストの相場感から、費用内訳、採用手法別の比較、無駄な出費を防ぐ方法、さらには採用コストを“投資”として捉える視点まで、実務に直結する情報を網羅的に解説します。
「コストを抑えたいが、質は落としたくない」
そんな法人担当者の方に向けて、最適なヒントをご提供します。
新卒採用にかかる平均コストと相場感

新卒採用を計画する際、まず気になるのが「1人あたりにかかるコストはどの程度か?」「年間でどれくらいの予算が必要か?」という点です。
しかし、採用手法や企業規模、募集人数によって費用は大きく変動するため、一概に“平均値”を把握するのは難しいというのが実情です。
このセクションでは、企業が新卒採用を実施するうえでの基本的なコスト感覚を整理し、1人あたりの費用・全体の予算規模・企業規模による違いを分かりやすく解説します。
自社の採用計画と照らし合わせながら、現状のコスト感が高すぎるのか、適切なのかを判断する材料としてご活用ください。
1人あたりの採用コストはいくら?
まず、1人を採用するのにどれくらいの費用がかかるのか、という点から見ていきましょう。
一般的に、新卒1人を採用するためにかかる費用は40万円〜100万円が相場とされています。
この幅が生まれる理由は、主に以下のような要素によります。
- 使用する媒体の種類と掲載料金
- エントリー数や歩留まりによる募集数の変化
- 説明会・面接の開催数や参加者規模
- 内定後フォロー(懇親会、イベント、研修など)の有無
たとえば、ナビサイトを中心とした採用であれば、掲載料+エントリー数に応じた選考管理に多くの時間と人件費がかかります。
一方で、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用を活用すれば、媒体費は下がる一方で、アプローチやフォローにかかるリソースが増加する傾向があります。
採用手法や業種によってコスト構造は異なりますが、1人あたり60万円前後を想定しておくと、ひとつの目安になります。
採用全体でかかる総額の目安とは

次に、企業全体として新卒採用にどれだけの予算を組むべきかという点です。
1人あたりの採用コストが60万円だとすれば、10人採用する場合の採用コストは単純計算で600万円です。
しかし、実際には選考途中の辞退や不採用者の対応にも費用がかかるため、見込み人数の1.5〜2倍程度の予算を用意しておくのが現実的です。
加えて、以下のような「目に見えにくいコスト」も含めて考える必要があります。
- 採用広報にかかるブランディング施策
- 採用サイトやパンフレット等の制作費
- インターンシップやイベント運営費
- 採用担当者の稼働工数や社内連携時間
「採用にかかるコスト=媒体掲載料だけ」では不十分であり、全体でかかる運営費を含めて計算することが、予算設計では重要な視点です。
中小企業と大企業の採用費用の違い
採用にかかる費用は、企業規模によっても大きく異なります。
大企業の場合
- ブランド力があるため、ナビ掲載後のエントリー数が多く、採用単価が下がりやすい
- 採用チームが整備されており、人件費を吸収しやすい体制
- 媒体やイベントなどに広範囲な出稿が可能なため、費用は大きくなるが回収力もある
中小企業の場合
- エントリー数が少なく、母集団形成に苦戦しやすい
- 説明会や面接への参加率が低く、歩留まりが悪化しやすい
- 限られた人員で採用を行うため、外注費や人件費の比重が高くなりがち
つまり、中小企業のほうが「1人あたりの採用単価」が高くなる傾向にあるのが現状です。
そのため、限られた予算の中で成果を出すためには、採用ターゲットの明確化や媒体選定、初期段階での歩留まり対策が非常に重要になります。
採用コストの現実を知ることが最初の改善ステップ
新卒採用にかかるコストは、採用手法・企業規模・運用体制によって大きく異なるため、まずは自社の費用構造を可視化することが第一歩です。
- 1人あたりの目安は40〜100万円
- 採用人数×1.5〜2倍を目安に全体予算を確保
- 中小企業ほど単価が高くなる傾向があるため、効率的な運用設計が必須
現状の費用感が高すぎるのか、あるいは成果に見合っているのかを判断するには、他社事例や相場との比較が非常に有効です。
次のセクションでは、採用コストの内訳と主要な項目についてさらに詳しく見ていきましょう。
採用コストの内訳と主要項目

新卒採用にかかる費用を「ざっくり数十万円程度」と捉えている企業は多いかもしれませんが、その内訳を分解して把握している企業は意外と少数です。
実際には、求人広告費だけでなく、説明会の開催費用や担当者の工数、学生とのコミュニケーションにかかる諸費用など、多くの“見えにくいコスト”が積み重なって総額が膨らんでいるのが実情です。
このセクションでは、新卒採用で発生する主要なコスト項目を4つに分類し、それぞれの具体的な内容と費用感をわかりやすく解説します。
採用費用の全体像を整理することで、「どこにお金をかけるべきか」「どこを効率化できるか」の判断材料になります。
媒体出稿費(ナビサイト・ダイレクトリクルーティング)

新卒採用で最も明確に把握できるコストが、求人媒体への掲載費用です。
代表的な手法として、ナビサイト(例:マイナビ、リクナビ)やダイレクトリクルーティング(例:OfferBox、キミスカなど)があります。
| コスト項目 | 内容例・費用感 |
| 媒体出稿費 | ・ナビサイト(マイナビ・リクナビ等)の掲載料:1媒体あたり50~200万円程度・ダイレクトリクルーティング:数十万円~・オプション(バナー・スカウトメール等)で追加費用発生 |
| 説明会・面接・選考運営 | ・会場費(対面):数万円~10万円/回・オンライン配信費(Zoom等)・資料制作・印刷費・進行・受付・司会等の人的工数・多段階面接の評価・調整工数も含む |
| 人件費・担当者工数 | ・採用担当者の稼働時間(メール返信、日程調整、面接官との連携、報告書作成など)・1人月数十万円相当の“隠れコスト”になる場合も<br>・ATS導入や業務外注で最適化可能 |
| 内定者フォロー・懇親会 | ・内定者懇親会・イベント(会場代・食事・交通費)・内定者研修やフォロー施策(講師料・資料費)・LINE公式アカウントなど連絡ツールの運用費・リテンション施策としての役割も |
媒体選定を誤ると、母集団が集まらず“かけ損”になるリスクもあるため、費用対効果の分析が重要です。
説明会・面接・選考運営にかかるコスト
エントリー後の学生との接点を設けるには、説明会や面接の開催に関するコストが発生します。
オンライン化が進んだとはいえ、準備や運営には少なくない手間と費用がかかります。
- 会場費 – 対面開催の場合、レンタル会場の費用は1回あたり数万円〜10万円前後
- 配信環境整備費 – オンライン説明会の場合、Zoomの有料アカウントや録画編集費など
- 資料制作費・印刷費 – 会社案内や選考資料、学生向けの持ち帰り資料など
- 進行・司会・受付対応などの人的コスト
面接が多段階にわたる企業では、日程調整・評価シート管理・フィードバック作成などの間接的工数も無視できません。
これらが採用活動全体の効率に大きく影響するため、運営体制の最適化はコスト削減にも直結します。
人件費・採用担当者の稼働時間

見落とされがちですが、採用担当者の稼働コスト=人件費も採用コストの中核です。
たとえば、1人の人事が月間80時間を新卒採用に割いているとすれば、それだけで月数十万円相当のコストが発生していると考えられます。
- エントリー対応(メール返信、スケジュール調整)
- 面接官との連携、調整業務
- 日報・レポート作成、社内報告
- 学生からの問い合わせ対応やフォロー
これらを1件あたりの単価で意識していない企業ほど、業務が属人化・非効率化し、結果的に“隠れコスト”が膨らむ傾向にあります。
採用管理ツール(ATS)の導入や、外注可能な業務の見極めによって、人件費の最適化が図れるかどうかがコストコントロールの鍵です。
内定者フォローや懇親会等の費用
内定を出して終わりではなく、入社までのフォロー期間にもコストはかかります。
- 内定者懇親会やイベント費用(会場代、食事代、交通費など)
- 内定者向けの研修やフォローアップ施策(講師料、資料作成費)
- 連絡手段やフォローツールの運用費(LINE公式アカウント、有料メルマガなど)
特に近年は、内定辞退を防ぐために“リテンション(維持)施策”に注力する企業が増えており、これも採用コストの一部として考慮が必要です。
過剰なコストをかける必要はありませんが、適切な関係構築が採用成果を左右する重要工程であることは間違いありません。
採用コストの内訳を把握することで見直すべき“ムダ”が見えてくる
新卒採用にかかる費用は、「求人広告」だけではなく、選考から内定後までのあらゆる工程に複雑に分散して存在しています。
- 媒体費 – 見えるコスト
- 説明会・面接運営 – 運用面で膨らみやすいコスト
- 人件費 – 見落とされがちな“隠れコスト”
- 内定者対応 – 長期的なリテンション費用
これらを一つひとつ可視化し、「どこにお金をかけるべきか」「どこは効率化できるか」を見直すことが、コスト削減と採用成果の最大化の第一歩になります。
次のセクションでは、採用手法ごとのコスト比較について詳しく見ていきましょう。
ナビ、ダイレクトリクルーティング、SNS活用など、それぞれの費用構造の違いを理解することで、より合理的な採用戦略が立てられるはずです。
採用手法別のコスト比較

新卒採用にかかるコストを見直すうえで重要なのが、「どの採用手法を選ぶかによって、費用構造がどう変わるか」を理解することです。
ナビサイト、ダイレクトリクルーティング、SNS活用、合同説明会など、現在は多様な手段がありますが、手法ごとに初期費用・運用工数・成果の出方がまったく異なります。
このセクションでは、代表的な4つの採用手法について、費用感や特徴を比較しながら解説します。自社の採用体制や予算に合わせて、最適なチャネルを見極めるための基礎知識としてご活用ください。
ナビサイト掲載型の費用感
「マイナビ」や「リクナビ」などに代表されるナビサイト型は、新卒採用の王道的手法として広く利用されています。
費用感
- 基本掲載プラン – 50~200万円/1クール(約6ヶ月)
- オプション(上位表示・特集枠など) – 数十万円~追加発生
- スカウトメール – 1通数十円~数百円
メリット
- 大量の学生に一斉にアプローチできる
- 学生の検索行動をベースに母集団を形成できる
デメリット
- 掲載料が高額になりがち
- 他社との比較検討が前提になるため、自社の魅力が伝わりにくい可能性がある
- エントリー後の歩留まり対策が必須
ナビサイトは「まず知ってもらう」ための手段として強力ですが、掲載しただけで成果が出るとは限らず、運用ノウハウの有無で効果に大きな差が出ます。
ダイレクトリクルーティングの特徴とコスト

「OfferBox」や「キミスカ」などのダイレクトリクルーティングは、企業から学生に直接アプローチできる手法として、近年急速に浸透しています。
費用感
- 利用料 – 30~100万円/年程度(規模により変動)
- スカウト通数や成果報酬で別途加算されるケースも
メリット
- 志望度の高い学生に狙い撃ちでアプローチできる
- 興味を示した学生とのマッチ率が高い
- ナビサイトで埋もれがちな中小企業にも効果的
デメリット
- スカウト文面や配信タイミングの工夫が必要
- 担当者の稼働時間が多く、ノウハウが成果を左右する
初期費用は抑えめでも、対応工数が大きくなる可能性があるため、内製力がある企業向けともいえます。
「少人数・高精度の採用」を目指す企業には有効な選択肢です。
SNS・リファラル採用のコスト構造

InstagramやX(旧Twitter)などのSNS活用、または社員紹介によるリファラル採用は、コストを抑えつつも効果が期待できる手法として注目されています。
費用感
- SNS運用 – 内製であれば無料だが、代行依頼時は数万~数十万円/月
- リファラル採用 – 報奨金1人あたり5~20万円程度
メリット
- SNSでは、自社の文化や価値観を継続的に発信できる
- リファラルは定着率が高く、ミスマッチが少ない
- ナビ媒体に頼らず母集団形成が可能
デメリット
- SNSは継続的な発信とセンスが問われる
- リファラルは社内に候補者ネットワークがないと効果が薄い
これらの手法は、費用より“社内体制や社風”との相性が成否を左右するため、導入前に目的とKPIを明確にすることが重要です。
イベント・合同説明会の費用相場

合同企業説明会や就職イベントに出展する手法は、対面での接点創出が可能で、学生の印象にも残りやすいのが特徴です。
費用感
- 出展料 – 1イベントあたり10~50万円
- 会場設営・配布資料・人件費など – 別途10万円前後
メリット
- 直接会話できるため、企業理解を深めてもらいやすい
- 認知度の低い企業が学生に印象を残すチャンスになる
デメリット
- 参加人数によって効果にバラつきがある
- 準備や移動、運営にかかるコストと手間が重い
オンライン型のイベントも増えており、コストを抑えつつ全国の学生と接点が持てる機会も広がっています。
コストだけで選ばない。目的と体制に合った手法を選ぶことが重要
採用手法ごとの費用感を比較すると、一見すると安く見える手法にも見えない“工数コスト”が隠れていることがわかります。
- ナビサイト – 広く浅く認知を取るなら有効。費用は高め
- ダイレクトリクルーティング – 少数精鋭型で成果を出したい企業向け
- SNS・リファラル – 初期費用は低いが、戦略と継続力が問われる
- イベント – 対面での魅力発信を重視したい企業に最適
大切なのは、自社の採用目標・社内体制・学生との接点作りの方針に応じて、手法を選択・組み合わせることです。
コストはあくまで“投資”としての価値をどう最大化するかがカギ。
次のセクションでは、採用コストが成果に結びつかない原因について深掘りしていきます。
コストをかけても成果が出ない原因とは

「ナビ掲載に100万円以上使っているのにエントリーが集まらない」「説明会も面接も丁寧にやっているのに内定辞退が続く」このような悩みを抱える企業は少なくありません。
新卒採用においては、「お金をかければうまくいく」とは限らないのが現実です。
むしろ、戦略や設計に不備があると、いくら費用を投下しても思うような成果は得られません。
このセクションでは、コストをかけても成果が出ない主な原因を3つの観点(目標設計・選考フロー・歩留まり)から整理し、よくある落とし穴とその改善策を解説します。
目標設定やKPIの不備
最も基本的かつ見落とされやすいのが、採用活動における目標設定のあいまいさです。
たとえば、「5名採用したい」という数値だけがあっても、そこに至るプロセス設計がなければ、途中で何が課題なのか判断できません。
よくあるKPIの未設定・不備の例
- エントリー数、説明会参加率、面接通過率などが数値化されていない
- 母集団のターゲット像(学歴・志向性・スキル)が定義されていない
- 歩留まり悪化時の対策が事後的・属人的になっている
KPIがなければ、「なぜうまくいかないのか」「次にどこを改善すべきか」が見えず、毎年“感覚ベースの採用”に終始するリスクがあります。
改善策としては、各フェーズごとの目標値(エントリー数、面接通過率、内定承諾率など)を定め、毎週または毎月進捗をチェックする仕組みを設けることが有効です。
数値が可視化されれば、課題の特定と対処が迅速かつ戦略的に行えるようになります。
選考フローの非効率さ

次に成果を阻害する要因として多いのが、選考プロセス自体の非効率さです。
特に以下のような課題があると、せっかく集めた学生が途中で離脱しやすくなります。
よくある非効率の例
- フローが長すぎて他社に先に決められてしまう(例:説明会→GD→一次→二次→最終→内定)
- 面接の間隔が空きすぎて学生の熱が冷める
- 日程調整や連絡が遅く、印象が悪くなる
- フィードバックや連絡内容が定型的すぎて志望度が上がらない
今の学生は、選考スピード・コミュニケーションの質・企業との距離感を非常に重視しています。
つまり、「企業都合のスケジュール設計」では通用しないということです。
改善には、以下のような取り組みが有効です。
- 面接回数を最小限にする(初回で社員座談会+一次面接を同時に行う等)
- オンライン活用で日程の柔軟性を確保
- タイムリーな連絡とカジュアルなフォローを組み合わせる
選考スピードの遅さは、“採用機会の損失”そのもの。戦略的に選考設計を見直すことが、コスト対効果を高める近道になります。
母集団形成と歩留まりのバランス

新卒採用でよくあるもう一つの悩みが、「たくさんエントリーが集まったが、結局採用に至らない」というケースです。
これは、母集団形成と歩留まりの設計がアンバランスであることが原因です。
よくあるパターン
- 広く募集しすぎて、ミスマッチな応募が増える
- 初期接点での魅力付けが不足し、学生が途中で興味を失う
- 高い選考基準に対し、最初のターゲット設定が甘い
- 一部の媒体や手法に依存して、層の偏りが出る
つまり、数を集めるだけでは“採れる”にはつながらないということです。
質と量のバランスを見極め、初期フェーズでいかに“合う人”と出会うかが鍵となります。
具体的には以下の施策が効果的です。
- ペルソナを明確にしたうえで、手法(ナビ/スカウト/リファラルなど)を選ぶ
- 説明会の冒頭で「自社が合わない人」にも言及し、選考離脱をコントロール
- 説明会~面接初期にかけて、「選ばれる」視点のコンテンツを強化
結果的に、母集団の質が高まり、後工程のコストが下がるという好循環を生むことができます。
コストより先に“設計”を見直せば、成果は変わる
採用活動に成果が出ない原因は、必ずしも「費用が足りない」ことではありません。
むしろ、目標設定・プロセス設計・母集団の精度と歩留まりといった“構造面”に課題があるケースが大半です。
- KPIを明確にし、数字で改善ポイントを把握できる状態にする
- 学生目線で選考設計を見直し、スピードと魅力訴求を両立させる
- 母集団形成の段階から“質”を意識して、効率の良い選考に導く
このように、採用活動全体を“設計”から見直すことで、同じコストでも成果が大きく変わることは珍しくありません。
採用コストを削減する5つの方法

新卒採用は企業にとって将来を左右する重要な投資である一方、年々そのコストは増加傾向にあります。
ナビサイトの掲載料、選考運営費、内定者フォロー……すべてを手厚くしようとすればするほど、コストは膨らんでいきます。
しかし、すべての費用を削る必要はありません。
むしろ、“本当に必要なところに投資を集中し、不要な支出を見直す”ことこそが賢いコスト削減の鍵です。
このセクションでは、新卒採用コストを見直すために実践できる5つの具体的な方法を紹介します。
単なるコストカットではなく、採用の質を落とさずに効率化する視点を意識してご覧ください。
採用プロセスの見直しによる効率化
採用活動の中で最も見直し効果が高いのが、選考フローや説明会の構成と運営手法です。
たとえば、複数日にわたる対面型説明会をオンラインに切り替えることで、会場費・人件費・交通費を大幅に削減できます。
また、説明会と一次面接を同日に実施する「ワンデー選考」を導入すれば、学生の参加意欲を維持しつつ工数を削減することが可能です。
さらに、よくあるムダの例として「面接回数が多すぎる」「各回の評価項目が曖昧」「参加者が毎回異なる」なども挙げられます。
選考プロセスを設計から見直し、標準化・短縮化することで、時間的にも金銭的にも効果的な削減が実現できます。
媒体選定の最適化

多くの企業が毎年なんとなく利用しているナビサイトですが、「なんとなく」では費用対効果を最大化できません。
たとえば、マイナビ・リクナビといった大手媒体は掲載料も高額で、基本プランだけでも50万〜200万円かかります。
そこにバナー広告やDM送付を加えると、さらに費用は増加します。
一方で、ダイレクトリクルーティングやスカウト型サービス、SNS広告、専門性の高い中小型媒体などは、費用を抑えつつも母集団の質を高められる手法です。
過去のデータから「どの媒体が、どのフェーズで歩留まりが良かったか」を分析し、費用対効果の高いチャネルに予算を再配分することが重要です。
インターンや早期接触の活用

採用本番期にすべての費用を集中させるのではなく、“事前接触”によって後の工程を効率化することも効果的です。
一例として、1day仕事体験や短期インターンを通じて早期に学生と接点を持つことで、企業理解・志望度が自然と高まり、本選考での説明会や面接を簡素化できるケースもあります。
また、インターン経由での採用は歩留まりが高く、ミスマッチも少ない傾向があります。
初期段階で優秀層と関係を築ければ、内定フォローや懇親イベントにかける費用も抑えられる可能性があります。
インターンを「コスト」ではなく「前倒しの母集団形成」と捉えることが、採用全体のコストパフォーマンスを改善する鍵です。
内製と外注のバランス調整
採用活動のすべてを自社で行う「完全内製」も、すべてを外注に任せる「丸投げ」も、どちらもコスト効率としては最適とは言えません。
たとえば、説明会運営や候補者対応などのルーティン業務は採用代行に任せ、戦略設計や選考判断といったコア業務は社内で担うという分業体制が理想的です。
また、最近は「月額10万円〜」などの定額制RPO(採用代行)サービスも登場しており、スポット利用でのコスト抑制も可能です。
自社の人材リソース・経験値に応じて「何を任せて、何を残すか」を明確にすることで、コストをかけるべき部分に集中投資できるようになります。
採用活動のPDCAを回す仕組みづくり

最後に、採用活動の効果検証と継続改善の仕組みを持つことが、長期的なコスト削減につながります。
たとえば、
- どの媒体が最もエントリーに繋がったか
- 歩留まりが高いターゲット層はどこか
- 面接通過率や内定承諾率の推移
などを定量的に把握・記録しておくことで、来年度以降の施策に再活用でき、ムダな出費を防ぐことができます。
また、ATS(採用管理システム)の活用によって、担当者の属人化や対応漏れも防止できるため、採用体制そのものの効率化にもつながります。
一過性の活動で終わらせず、“振り返り→改善→最適化”のループを回す仕組みを設けることで、中長期的な採用コスト最適化が実現します。
削減=カットではない、“戦略的な最適化”が鍵
採用コスト削減というと、「今ある施策を削る」という発想になりがちですが、それではかえって成果が下がってしまう恐れもあります。
重要なのは、「成果につながる費用は残し、成果が曖昧な費用を見直す」ことです。
- 選考プロセスの構造を見直し、無駄な工数を減らす
- 媒体選定を分析的に行い、費用対効果の高いチャネルに絞る
- 早期接触やインターンで母集団の質を高める
- 外注と内製のバランスをとり、役割を明確化する
- 活動全体の振り返りと改善を毎年行う仕組みをつくる
これらの工夫を積み重ねることで、採用の質を保ちながらも、無理なくコストを最適化していくことが可能になります。
採用コストを“投資”に変えるための視点

新卒採用にかかる費用は、媒体掲載料から人件費、内定者フォローまで多岐にわたります。
そのすべてを「コスト」として扱ってしまうと、どうしても削減や抑制の方向へと意識が向いてしまいます。
しかし本来、採用活動は「企業の未来を創る人材」への投資であり、短期的な費用以上に長期的な成果や価値の回収こそが重要です。
この章では、採用活動を「費用対効果のある投資」として可視化・評価するための3つの視点を解説します。
コストをかけるべき理由を明確にし、経営層からの理解も得やすい考え方としてご活用ください。
採用ROIをどう測定するか
ROI(Return on Investment)とは、投資に対してどれだけのリターンが得られたかを示す指標です。
これを採用活動に応用することで、「かけた費用が成果につながっているか」を定量的に把握できます。
採用ROIの基本的な算出式は以下の通りです。
ROI =(採用による利益増加額 − 採用費用)÷ 採用費用 × 100
たとえば、優秀な新卒人材の活躍により、売上が年間で300万円増加し、採用コストが50万円だった場合、
*ROIは(300−50)÷50×100=500%となり、非常に高い投資効果と言えます。
もちろん、売上への直接的な影響だけでなく、生産性の向上・組織活性・定着率の改善なども含めた「広義のリターン」を評価軸に入れるのが現実的です。
重要なのは、事後評価を定期的に行う体制を整え、PDCAに組み込むことです。
入社後の活躍・定着との関連性

採用費用を“投資”と見なすには、入社後の活躍や定着度とのつながりを意識することが不可欠です。
単に「何人採れたか」ではなく、「採用した人が社内でどのように価値を生んだか」を追跡する視点が求められます。
たとえば、採用後1年以内に離職してしまうケースは、いくら採用単価が安くても「投資失敗」と評価せざるを得ません。
逆に、定着し数年後にマネージャーとして活躍しているような人材であれば、初期費用が高かったとしても、長期的な人件費・育成費を回収して余りある成果を生み出しているはずです。
具体的な可視化のためには、
- 入社後の業績・評価スコア
- 昇格スピード
- 退職率や定着年数
などの人事データとの連携によるトラッキング体制の構築が有効です。
採用単体ではなく、人材の“活用・成長”までを見据えたコスト評価が、経営的視点での説得力を高めます。
採用の質と長期的効果の考え方
本質的に、採用は「今の人手不足を補う」だけでなく、中長期的な組織成長を支える人材の確保という側面が強くあります。
そのため、短期的な成果(人数や応募数)ばかりを追うのではなく、「質の高い採用」へのシフトが不可欠です。
“質の高い採用”とは、単に高学歴やスキルのある人材を採ることではなく、「自社に合うかどうか」「企業文化に適応できるか」「将来的に活躍が見込めるか」などを見極めた上での採用です。
このような視点を採用の軸に据えることで、ミスマッチや早期離職を防ぎ、組織の持続的成長に貢献できる人材の獲得が可能になります。
また、採用プロセスで得た学生の反応や選考辞退理由なども、ブランディングや制度設計の改善に活かすことができ、企業全体の人材力向上に波及する“副次的効果”も生まれます。
つまり、採用活動を「点」ではなく「線」や「面」で捉えることが、投資としてのリターンを最大化する第一歩です。
採用は「経費」ではなく「未来への布石」
新卒採用の費用は、単に支出として処理するのではなく、将来の組織力を高める戦略的投資と位置づけるべきです。
- 採用ROIを意識し、費用対効果を数値で捉える
- 入社後の活躍や定着とつなげて評価する
- 質の高い採用を通じて長期的な成長を目指す
このような視点で採用を見直すことで、経営層への説得力も高まり、“採用=未来への布石”という共通認識の醸成にもつながります。
単なる費用削減ではなく、成果を生む「戦略的な採用投資」へと転換していくことこそが、これからの時代に求められる企業の姿勢と言えるでしょう。
最新データから見る新卒採用コストの相場と傾向

新卒採用にかかるコストは、単なる採用活動の経費ではなく、企業の成長戦略を支える重要な投資指標です。
採用市場の変化や人材競争の激化により、1人あたりの採用単価は年ごとに変動しており、その動きを把握することは、予算の妥当性を判断し、効果的な採用戦略を設計するうえで不可欠です。
本セクションでは、最新の実績データをもとに年度別の平均採用コストの推移を整理し、変動要因や今後の傾向について解説します。
新卒採用の平均コスト(年度別・最新値)
採用単価の代表的な調査として、マイナビが発表する「企業新卒内定状況調査」があります。
これによると、2024年卒における企業の新卒採用単価は約56.8万円/人となっています。
この水準は、コロナ前の2019年卒(約93.6万円/人)と比較すると大きく下がっていますが、2023年卒(約45.0万円/人)と比較すると大幅な上昇です。
年度別の平均採用単価は以下のとおりです。
| 年度 | 平均採用単価(万円/人) | 主な背景 |
| 2019年卒 | 93.6 | 採用競争が最も激しかった時期 |
| 2023年卒 | 45.0 | コロナ禍による採用活動の縮小 |
| 2024年卒 | 56.8 | 売り手市場の再来・競争激化 |
| 2025年卒予測 | 90〜110 | 人材不足の深刻化・理系人材争奪 |
平均値には企業規模や業種によるばらつきがあり、上場企業と非上場企業では単価に差が出ています。
マイナビ調査の詳細では、上場企業が約49.0万円/人、非上場企業が約57.5万円/人という結果が報告されています。
また業種別に見ると、専門性の高い人材を対象とするIT・金融業界では100〜120万円を超える採用単価が報告されており、理系人材や技術系ポジションで採用競争が激しい領域ほどコストが高くなる傾向が見られます。
採用単価は「メディア出稿費」「エージェント費用」「選考にかかる内部工数」「内定者フォロー費用」など複数の要素で構成され、その合計を実際に採用した人数で割ることで算出します。
たとえば、外部広告費200万円・内部人件費100万円・内定者フォロー費用50万円がかかり、5名採用した場合の単価は以下のとおりです。
(200万円+100万円+50万円)÷5名=70万円/人
このように、媒体費と内部工数のバランスや採用手法の選択によって、同じ採用人数でも総額・単価が大きく変わることがあります。
年度別の平均値だけではなく、自社の採用手法のコスト構造を正確に把握することが、戦略的な採用計画の鍵となります。
2025年卒に向けた採用コスト設計の考え方
2024年卒の実績データを見る限り、採用単価は再び上昇局面に入りつつあることが明らかです。
特に理系人材の確保が難化しており、今後も費用が高止まりする可能性があります。
そのため、2025年卒の採用活動では「単価60万円×採用人数+予備費20%」といった保守的な予算計画が推奨されます。
加えて、リファラルやダイレクトリクルーティングなど、メディア依存度を下げる施策を平行して進めることが、今後の採用成功に直結すると言えるでしょう。
必要に応じて、最新調査を随時確認しながら、柔軟に採用方針を見直す体制づくりも欠かせません。
業種別・企業規模別の採用費用比較

新卒採用にかかるコストは、業種や企業規模によって大きく異なります。
中小企業と大企業ではブランド力や採用チャネルの違いにより、1人あたりの採用単価に2〜3倍の差が出ることも珍しくありません。
ここでは業種別・企業規模別のコスト構造を整理し、現実的な予算感と中小企業が取るべき具体的な対策を紹介します。
業種別コスト相場の傾向
業種によって採用対象の人材層や必要なスキル、採用手法に差があるため、平均コストにもバラつきがあります。
| 業種 | 平均単価(万円) | 採用の特徴 |
| 建設・製造業 | 50〜70 | 大量採用+寮完備で応募集中しやすい |
| サービス業 | 60〜90 | 採用数が多い一方で離職率が高く継続コスト増 |
| 金融・IT系 | 90〜120 | 専門スキル・資格要件により高単価化 |
建設や製造はスケールメリット(大量採用)によって単価を抑えやすい一方、ITや金融はエージェント依存・技術スカウトによってコストが跳ね上がる傾向です。
特にIT業界では、理系人材の獲得難易度が高く、1人あたり100万円超も珍しくありません。
中小企業vs大企業の採用コスト構造
企業規模によって採用戦略そのものが異なり、費用構造にも明確な違いが現れます。
| 規模 | 採用単価(万円) | 年間総額の目安 | コスト増の主因 |
| 中小企業(50人未満) | 100〜200 | 500〜3,000万円 | 媒体依存・紹介手数料が大きい |
| 中堅企業(300人未満) | 80〜120 | 3,000〜8,000万円 | 複数チャネル併用が前提 |
| 大企業 | 50〜80 | 1億円超 | 自社採用ページ・学校推薦が中心 |
中小企業では知名度やブランド力の不足からナビ媒体・紹介会社への依存度が高く、単価が上昇しやすい構造です。
一方、大手企業は自社サイト・大学推薦との連携により、採用効率が高くコストが抑制される傾向にあります。
中小企業が費用を抑える工夫ポイント
採用単価を下げつつ、質を落とさない工夫として以下の施策が有効です。
| 施策 | 効果 | 目安削減率 |
| 自社HPの最適化 | 直応募増加による媒体費削減 | 約30%減 |
| 社員紹介制度の導入 | 内定承諾率が高く工数も削減 | 単価50万円前後に圧縮可能 |
| 地元大学との連携 | 合同説明会・推薦枠の確保で応募増 | 約40%減 |
| ダイレクトリクルーティング活用 | 成功報酬型で無駄な支出なし | 単価30〜40万円で制御可能 |
実際に、5名の採用を目指す中小企業がこれらの施策を導入することで、総額コスト500万円→180万円へと64%削減した事例もあります。
中小企業でも実現できる“戦略的コスト最適化”
新卒採用にかかる費用は、業種・企業規模によって異なり、一律の“相場”では判断できない時代に突入しています。
中小企業にとって重要なのは、大企業と同じ戦い方をするのではなく、コスト効率と成果を両立させる独自戦略を持つことです。
自社サイト活用や社員紹介制度、地元とのネットワーク連携を通じて、ブランド力が弱くても応募者を確保できる仕組みづくりが求められます。
数字に裏付けされた比較・施策を意識することで、採用単価60万円/人以下も現実的な目標となるでしょう。
採用コストの見える化テンプレと計算式

採用コストは「高い・安い」という感覚論で語られがちですが、数字で分解し可視化することで、削減余地は確実に見えてきます。
特に中小企業では、総額だけでなく内訳を整理することで、30%前後の無駄コストを特定できるケースも少なくありません。
ここでは、採用単価の基本的な考え方と、すぐに使える見える化テンプレの構成を紹介します。
「1人あたり採用単価」の計算方法
採用コストを把握するうえで、まず押さえておきたいのが1人あたり採用単価です。
計算式は非常にシンプルですが、これを定期的に確認している企業は多くありません。
基本式
採用コスト総額÷採用人数=1人あたり採用単価
計算例
- 採用コスト総額:2,000,000円
(媒体費・人件費・内定者対応・予備費を含む) - 採用人数:5名
→2,000,000円÷5名=400,000円/人
中小企業の実務では、内訳比率は以下のようになることが一般的です。
- 外部コスト(求人媒体・紹介手数料):50〜60%
- 内部工数(面接・選考対応):30〜40%
- 内定者フォロー費用:10〜15%
この比率を把握するだけでも、「どこに手を入れるべきか」の方向性が明確になります。
見える化シート例(コピペ可能な構成)
採用コストの見える化は、ExcelやGoogleスプレッドシートで十分実現可能です。
以下は、実務担当者がそのままコピーして使える想定の構成例です。
採用コスト見える化シート(例)
1.コスト内訳(年度累計)
- 求人媒体出稿費
- 紹介手数料
- 説明会・イベント費
- 内定者対応費(交通費・懇親会など)
- 内部人件費(面接・調整工数)
- その他予備費
各項目に「計画額」「実績額」「差異」を並べることで、想定より膨らんでいる項目が一目で把握できます。
2.採用成果指標
- 応募数
- 書類通過数
- 内定数
- 採用人数
ここまで整理すると、次のような指標を自動計算できます。
- 採用単価=総コスト÷採用人数
- 応募単価=総コスト÷応募数
- 内定率=内定数÷書類通過数
見える化の最大のメリットは、削減ポイントが感覚ではなく数字で特定できることです。
たとえば「媒体費は想定内だが、内部工数が想定より高い」「内定者対応にコストをかけすぎている」といった判断が可能になります。
見える化で見つかる代表的な削減ポイント
実際に見える化シートを運用すると、次のような改善余地が浮き彫りになります。
- 媒体を見直すことで応募単価が大きく下がる
- 紹介手数料の条件交渉余地がある
- 内定者フォローの内容が過剰になっている
- 面接工数を減らすことで内部人件費を抑えられる
月次で入力・確認を行うだけでも、採用単価を段階的に下げていく運用が可能になります。
採用コストは「見える化」した企業から改善できる
採用コストは、見えないままでは下がりません。
しかし、総額を分解し、1人あたり単価と内訳を可視化するだけで、改善余地は確実に見えてきます。
特別なツールや高度な分析は不要で、シンプルな計算式とテンプレを使った運用で十分です。
まずは「採用単価を出す」「内訳を並べる」ことから始めることで、感覚的な採用から数字に基づく採用管理へと一段階進めるはずです。
次の一手としては、この見える化データをもとに「どの施策を残し、どこを削るか」を判断するフェーズに進むことが重要になります。
採用コストと早期離職の関係

採用コストは単なる経費ではなく、人材という資産への投資です。
しかし、早期離職が発生すると、その投資は回収されないまま損失に転じます。
特に新卒・若手人材では、採用後の定着率がわずかに下がるだけで、企業全体のROIに大きな影響を与えます。
ここでは、早期離職がもたらすコスト構造と、ミスマッチを防ぐための具体的な打ち手を整理します。
早期離職がコストにもたらす影響
早期離職の最大の問題は、採用費用だけでなく「見えにくい損失」が積み上がる点です。
新卒社員が短期間で離職した場合、次のようなコストが発生します。
- 採用費用(求人媒体・説明会・選考工数)
- 在籍期間中の人件費
- 教育・研修コスト
- 本来生み出すはずだった生産性・機会利益の損失
試算例として、新卒社員が入社後3ヶ月で離職した場合、採用費用約56万円+人件費+教育コスト+生産性低下を含め、合計500万円超の損失になるケースもあります。
中途採用では即戦力前提となるため、この損失額はさらに大きくなり、600万円以上に達することも珍しくありません。
また、内定辞退率が高い企業では、採用活動を繰り返すことでコストが雪だるま式に膨らむ傾向があります。
内定者フォローを強化し、辞退率を下げるだけでも、即時的なコスト回収につながります。
ミスマッチを防ぐ評価方法とコスト削減効果
早期離職の多くは、能力不足ではなく期待値と現実のズレ(ミスマッチ)によって起こります。
このズレを防ぐには、内定前・入社後の両面での対策が不可欠です。
内定前の評価強化
- 過去行動を深掘りする面接手法(経験・行動ベースの質問)
- 適性検査や評価基準の数値化
- 面接官ごとの評価ブレを抑える共通指標の設定
これにより、「なんとなく合いそう」という主観的判断を減らし、ミスマッチ発生率を大きく下げることができます。
内定後・入社後のフォロー
- 内定者との定期連絡による不安解消
- 入社直後のオンボーディング設計
- メンター制度や1on1面談による早期ケア
特に入社後1〜3ヶ月のフォローは重要で、この期間の支援を強化するだけで、離職率を10%以上改善できるケースもあります。
採用単価を「一括コスト」として見るのではなく、定着年数で割った年間投資額として捉えることがポイントです。
定着率が上がれば、採用コストのROIは自然と改善されます。
採用コストは「削るもの」ではなく「回収するもの」
採用コストの本質は、いくら使ったかではなく、どれだけ成果として回収できたかにあります。
早期離職を防ぎ、定着率を高めることで、採用コストは「損失」から「投資」へと変わります。
内定前の評価精度向上と、入社後のフォロー体制を整えることは、結果的に無駄な採用コストを構造的に排除する最短ルートです。
採用費を減らす前に、まずは「離職を防ぐことで、どれだけ回収できるか」この視点を持つことが、成果につながる採用戦略の第一歩になります。
採用コストを理解し、戦略的な“人材投資”へと変えていこう

新卒採用には、媒体掲載費、説明会運営費、人件費、内定者フォロー費など多様な費用項目が存在し、その総額は1人あたり数十万円から100万円を超えるケースもあります。
さらに、採用手法の違いによってもコスト構造は大きく変化し、企業規模や選考フローの設計によっても必要なリソースは異なります。
この記事で紹介したように、コストだけを抑えることに注力するのではなく、採用の質や入社後の定着・活躍まで見据えた“投資視点”を持つことが、これからの採用戦略には欠かせません。
定量的なROIの把握と、定性的な採用効果の評価を両輪で行うことが、コスト以上の価値を生み出す採用活動につながります。
短期的な費用対効果と、中長期的な人材価値の両面から最適な採用戦略を構築し、自社の成長を担う人材を計画的に獲得していきましょう。
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