2026年08月08日 更新
脱炭素経営とは?メリット・デメリットや日本企業の取り組みを解説
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- 脱炭素経営とは
- CO2などの温室効果ガス排出量を削減する経営の考え方
- 省エネ・再エネ・排出量の見える化を経営に組み込む
- カーボンニュートラルやGXと関係が深い
- 脱炭素経営が注目される背景
- 気候変動対策が企業の重要課題になっている
- 取引先や投資家から脱炭素対応を求められている
- 法規制や情報開示への対応が必要になっている
- 脱炭素経営に取り組むメリット・デメリット
- メリット1|企業価値やブランドイメージの向上につながる
- メリット2|取引機会の維持・拡大につながる
- メリット3|省エネや再エネ導入でコスト削減につながる場合がある
- デメリット1|初期費用や運用コストがかかる
- デメリット2|社内の人材やノウハウが不足しやすい
- デメリット3|実態のないアピールはグリーンウォッシュと見なされる恐れがある
- 日本企業でも増加している脱炭素経営の取り組み
- TCFDに基づく気候関連情報の開示
- SBTによる温室効果ガス削減目標の設定
- RE100による使用電力の再エネ化
- 省エネ・再エネ導入による現場改善
- 2026年以降の脱炭素経営は「見える化」と「取引先対応」から始める
- 中小企業もサプライチェーン排出量の確認を求められやすい
- まずはScope1・Scope2の算定から始める
- 補助金・PPA・再エネ電力メニューを比較する
- 削減実績を取引先や採用活動で説明できる状態にする
- まとめ:脱炭素経営とはCO2排出量削減を企業価値につなげる経営

脱炭素経営とは、企業が事業活動で発生するCO2などの温室効果ガス排出量を把握し、削減に取り組む経営の考え方です。
単なる環境活動ではなく、企業価値の向上や取引機会の維持、将来の事業リスク対策にも関わる重要な取り組みです。
近年は、気候変動対策への関心が高まり、企業にも脱炭素への対応が求められています。
大企業やグローバル企業では、取引先に対してCO2排出量の把握や削減計画を求めるケースも増えています。
投資家や金融機関も、企業の環境対応を重視するようになっています。
脱炭素経営では、省エネ、再エネ導入、太陽光発電、PPA、排出量の見える化、サプライチェーン対応などを組み合わせて進めます。
取り組み方は企業規模や業種によって異なりますが、まずは自社の排出量を把握することが重要です。
一方で、脱炭素経営には初期費用や社内ノウハウ不足といった課題もあります。
削減実績や根拠がないまま環境配慮を強調すると、グリーンウォッシュと見なされる恐れもあります。
この記事では、脱炭素経営の意味、注目される背景、メリット・デメリット、日本企業で増えている取り組みを解説します。
あわせて、2026年以降に企業が始めたい「見える化」と「取引先対応」の進め方も紹介します。
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脱炭素経営とは

脱炭素経営とは、企業が事業活動で発生するCO2などの温室効果ガス排出量を把握し、削減に取り組む経営のことです。
環境への配慮だけでなく、事業継続、取引先対応、企業価値向上にも関わります。
これまで環境対策は、社会貢献やCSRの一部として扱われることもありました。
しかし現在では、脱炭素への対応が経営戦略の一部になっています。
電気代や燃料費の削減、取引先からの評価、投資家への説明などにも関わるためです。
CO2などの温室効果ガス排出量を削減する経営の考え方
脱炭素経営では、企業が事業活動で排出するCO2などの温室効果ガスを減らすことを目指します。
対象となる排出源は、電力、ガス、燃料、車両、製造工程、物流、仕入れなどさまざまです。
たとえば、工場で使う電力、店舗の空調、営業車の燃料、製品の輸送なども排出量に関係します。
企業によって、排出量が多い部分は異なります。
そのため、最初に自社の排出状況を把握することが重要です。
脱炭素経営は、単に「CO2を減らす活動」ではありません。
どこから排出量が多いのかを見える化し、削減計画を立て、経営に組み込む取り組みです。
電気代や燃料費の削減につながる場合もあります。
取引先からの要請に対応しやすくなることもあります。
中長期的には、企業の競争力にも関わります。
省エネ・再エネ・排出量の見える化を経営に組み込む
脱炭素経営では、省エネ、再エネ導入、排出量の見える化を経営に組み込みます。
どれか1つだけを行えば十分というものではありません。
複数の施策を組み合わせて進めることが大切です。
代表的な取り組みは、次のとおりです。
| 取り組み | 内容 |
| 排出量の見える化 | 電気、ガス、燃料などの使用量を把握する |
| 省エネ | LED化、高効率空調、設備更新、運用改善を行う |
| 再エネ導入 | 太陽光発電、PPA、再エネ電力メニューを活用する |
| サプライチェーン対応 | 仕入れ、物流、取引先の排出量も確認する |
| 情報開示 | 削減実績や目標を社内外に説明する |
省エネは、比較的始めやすい取り組みです。
照明のLED化や空調の設定見直し、設備の運用改善などから着手できます。
再エネ導入では、太陽光発電や再エネ電力メニュー、PPAなどが選択肢になります。
ただし、初期費用や契約条件の確認が必要です。
排出量の見える化は、脱炭素経営の土台です。
数字がなければ、削減効果も説明できません。
まずは現状を把握し、優先順位を決めることが重要です。
カーボンニュートラルやGXと関係が深い
脱炭素経営は、カーボンニュートラルやGXとも関係が深い考え方です。
それぞれ似た言葉ですが、意味は少し異なります。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から吸収量や削減量を差し引き、実質ゼロを目指す考え方です。
企業だけでなく、国や自治体の目標としても使われます。
GXは「グリーントランスフォーメーション」の略です。
脱炭素への対応を進めながら、経済成長や産業競争力の向上につなげる変革を指します。
脱炭素経営は、これらを企業単位で実践する取り組みです。
排出量を把握し、省エネや再エネを進め、事業活動の中に脱炭素を組み込んでいきます。
つまり、脱炭素経営は環境部門だけの取り組みではありません。
経営層、総務、経理、製造、物流、営業など、社内全体で進めるべきテーマです。
脱炭素経営が注目される背景

脱炭素経営が注目される背景には、気候変動対策への社会的な要請があります。
企業には、CO2排出量の削減だけでなく、排出量の把握や情報開示も求められつつあります。
また、取引先や投資家からの要請も強まっています。
脱炭素対応は、企業イメージだけでなく、取引や資金調達にも関わるようになっています。
気候変動対策が企業の重要課題になっている
地球温暖化や異常気象の影響により、気候変動対策は企業にとって重要な課題になっています。
猛暑、豪雨、台風、渇水などは、事業活動にも影響します。
たとえば、工場の操業停止、物流の遅延、原材料の不足、電力コストの上昇などが起こる可能性があります。
気候変動は、環境問題であると同時に、事業継続リスクでもあります。
そのため、企業には自社の排出量を減らすだけでなく、気候変動によるリスクを把握することも求められています。
脱炭素経営は、こうしたリスク管理の一部です。
また、エネルギー価格の上昇や電力需給の変化も、企業経営に影響します。
省エネや再エネ導入は、コスト対策としても意味があります。
脱炭素経営は、将来の規制に備える取り組みでもあります。
早めに排出量を把握し、削減策を進めておくことで、変化に対応しやすくなります。
取引先や投資家から脱炭素対応を求められている
脱炭素経営が重要になっている理由のひとつは、取引先や投資家からの要請です。
特に大企業やグローバル企業では、自社だけでなくサプライチェーン全体の排出量削減を進める動きがあります。
そのため、取引先に対して次のような対応を求めるケースがあります。
- CO2排出量の算定
- 電力使用量や燃料使用量の報告
- 削減目標の設定
- 再エネ電力の利用状況の確認
- 省エネ・再エネ導入計画の提出
中小企業であっても、取引先から環境対応を求められる可能性があります。
とくに製造業、物流業、建設業、部品供給を行う企業では、サプライチェーン排出量の一部として扱われることがあります。
投資家や金融機関も、企業の脱炭素対応を重視しています。
気候変動リスクへの対応が不十分な企業は、将来的な事業リスクが高いと見られる可能性があります。
脱炭素経営は、取引機会や資金調達にも関わるテーマです。
環境対応を後回しにすると、将来のビジネスに影響する場合があります。
法規制や情報開示への対応が必要になっている
企業には、気候関連情報の開示や排出量の把握が求められる流れがあります。
大企業を中心に、サステナビリティ情報の開示が重要になっています。
気候変動が事業に与える影響、温室効果ガス排出量、削減目標、再エネ利用状況などを説明する場面が増えています。
投資家や取引先は、企業がどのような方針で脱炭素に取り組んでいるかを見ています。
また、脱炭素に関する政策や制度も変化しています。
省エネ、再エネ、排出量算定、GX投資など、企業に関わるテーマは広がっています。
情報開示で重要なのは、根拠のあるデータを示すことです。
「環境に配慮しています」と伝えるだけでは不十分です。
排出量、削減量、再エネ比率、取り組み内容を数字で説明できる状態にする必要があります。
そのためには、日々の電力使用量や燃料使用量を管理し、社内でデータを集める体制を整えることが大切です。

脱炭素経営に取り組むメリット・デメリット

脱炭素経営には、企業価値の向上、取引機会の維持・拡大、コスト削減などのメリットがあります。
一方で、初期費用や運用コスト、社内ノウハウ不足、グリーンウォッシュリスクといった注意点もあります。
メリットだけを見るのではなく、デメリットも理解したうえで取り組むことが重要です。
メリット1|企業価値やブランドイメージの向上につながる
脱炭素経営に取り組むことで、環境対応に積極的な企業として社外に示しやすくなります。
顧客、取引先、投資家、求職者に対して、持続可能な経営を進めていることを伝えられます。
近年は、商品やサービスの品質だけでなく、企業の環境姿勢を重視する消費者や取引先も増えています。
脱炭素への取り組みは、企業の信頼性を高める要素になります。
また、採用面でもプラスになる可能性があります。
環境問題や社会課題に関心のある人材にとって、脱炭素経営に取り組む企業は魅力的に見えやすいためです。
ただし、イメージ向上だけを目的にすると危険です。
実態のある取り組みとデータに基づいた発信が必要です。
メリット2|取引機会の維持・拡大につながる
脱炭素経営は、取引機会の維持や拡大につながる場合があります。
大企業やグローバル企業では、取引先にもCO2排出量削減を求める動きが広がっているためです。
たとえば、取引先から排出量の報告を求められたとき、すぐに回答できる企業は信頼されやすくなります。
削減計画や再エネ導入の実績があれば、環境対応を重視する取引先との関係強化にもつながります。
入札や調達条件に、環境対応が含まれる場合もあります。
脱炭素経営に取り組んでいれば、こうした条件に対応しやすくなります。
逆に、排出量を把握していない、削減方針がない、再エネ利用の状況を説明できない場合、取引上の不利につながる可能性があります。
脱炭素経営は、将来の取引リスクを減らすための準備でもあります。
メリット3|省エネや再エネ導入でコスト削減につながる場合がある
脱炭素経営は、コスト削減につながる場合があります。
特に省エネは、電気代や燃料費の削減に直結しやすい取り組みです。
たとえば、照明のLED化、高効率空調への更新、空調設定の見直し、断熱対策、設備の運用改善などは、エネルギー使用量の削減につながります。
工場や店舗、オフィスなどでは効果が出やすい施策です。
再エネ導入も、長期的にはコスト削減につながる場合があります。
自家消費型太陽光発電を導入すれば、電力会社から購入する電力量を減らせる可能性があります。
PPAを活用すれば、初期費用を抑えて再エネ電力を調達できる場合もあります。
ただし、すべての施策がすぐに費用対効果を出すわけではありません。
初期費用、回収期間、補助金の有無、契約期間を確認することが大切です。
デメリット1|初期費用や運用コストがかかる
脱炭素経営には、初期費用や運用コストがかかる場合があります。
省エネ設備、太陽光発電、蓄電池、排出量算定ツール、外部コンサルティングなどを導入する場合、一定の費用が必要です。
特に、設備更新や再エネ導入は投資額が大きくなりやすいです。
短期的な資金負担が課題になることもあります。
また、排出量を継続的に管理するには、社内の工数も必要です。
電力使用量や燃料使用量のデータを集め、算定し、報告できる形に整理しなければなりません。
費用を抑えるには、補助金やリース、PPAなどを比較することが重要です。
いきなり大規模な投資をするのではなく、費用対効果の高い施策から始める方法もあります。
まずは、電力使用量の多い拠点や老朽化した設備から確認しましょう。
デメリット2|社内の人材やノウハウが不足しやすい
脱炭素経営では、専門的な知識が必要になる場面があります。
CO2排出量の算定、Scope1・Scope2・Scope3の整理、再エネ調達、情報開示、補助金申請などです。
社内に専門人材がいない場合、何から始めればよいかわからないことがあります。
担当者だけに任せると、負担が大きくなりやすいです。
脱炭素経営は、環境部門だけで完結する取り組みではありません。
経営層、総務、経理、製造、物流、営業など、複数の部署が関わります。
たとえば、電力使用量は総務や施設管理部門、燃料費は経理、配送や仕入れは物流・購買部門が関係します。
社内で情報を集める体制が必要です。
最初から完璧に進める必要はありません。
まずはScope1・Scope2の把握から始め、必要に応じて外部の専門家やツールを活用すると進めやすくなります。
デメリット3|実態のないアピールはグリーンウォッシュと見なされる恐れがある
脱炭素経営に取り組む際は、グリーンウォッシュに注意が必要です。
グリーンウォッシュとは、実態が十分でないにもかかわらず、環境に配慮しているように見せることです。
たとえば、排出量を把握していないのに「脱炭素に貢献」と強調したり、削減効果の根拠が不明確なまま発信したりすると、信頼を損なう可能性があります。
環境への取り組みを発信する場合は、根拠となるデータを整えましょう。
CO2削減量、再エネ比率、対象期間、対象拠点、証明書類などを確認することが大切です。
脱炭素経営では、取り組むことと同じくらい、正しく説明することが重要です。
過度な表現を避け、実績に基づいた発信を行いましょう。
日本企業でも増加している脱炭素経営の取り組み

日本企業でも、脱炭素経営の取り組みは広がっています。
代表的な取り組みには、TCFDに基づく情報開示、SBTによる削減目標の設定、RE100による使用電力の再エネ化があります。
これらの枠組みに加えて、実際の現場では省エネや再エネ導入も重要です。
制度や目標だけでなく、具体的な削減施策まで進める必要があります。
TCFDに基づく気候関連情報の開示
TCFDは、企業が気候変動によるリスクや機会を財務情報と関連づけて開示するための枠組みです。
脱炭素経営では、気候変動が自社の事業にどのような影響を与えるかを把握することが重要です。
たとえば、気温上昇、自然災害、エネルギー価格の変動、規制強化、消費者ニーズの変化などが事業に影響する可能性があります。
TCFDでは、こうしたリスクや機会を整理し、投資家や取引先に説明します。
TCFDへの対応は、大企業だけのものと思われがちです。
しかし、中小企業でも取引先から気候関連情報の提供を求められる可能性があります。
まずは、自社の事業に関係する気候リスクを整理することから始めるとよいでしょう。
たとえば、工場の浸水リスク、原材料調達の不安定化、電力コストの上昇などです。
SBTによる温室効果ガス削減目標の設定
SBTは、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標を設定する取り組みです。
パリ協定の目標と整合する形で、企業が排出量削減の目標を定めます。
SBTでは、自社の排出量だけでなく、サプライチェーン全体の排出量を考えることもあります。
そのため、取引先に排出量の把握や削減を求める流れにつながります。
企業がSBTに取り組むことで、脱炭素への目標を明確にできます。
社内で削減施策を進める際の基準にもなります。
一方で、目標を設定するだけでは不十分です。
実際に削減を進め、進捗を管理する必要があります。
省エネ、再エネ導入、設備更新、物流改善などを組み合わせて取り組むことが大切です。
RE100による使用電力の再エネ化
RE100は、企業が事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す国際的な取り組みです。
脱炭素経営の中でも、電力の再エネ化に特化した取り組みです。
RE100を達成するには、再エネ電力メニュー、太陽光発電、PPA、非化石証書などを活用します。
企業によって、どの方法が適しているかは異なります。
電力使用量が多い企業では、使用電力の再エネ化がCO2排出量削減に大きく影響します。
そのため、RE100は脱炭素経営を進めるうえで重要な選択肢になります。
ただし、RE100はすべての企業が参加できるわけではありません。
参加条件に合わない企業でも、自社独自の再エネ目標を設定したり、再エネ100宣言 RE Actionのような別の枠組みを活用したりする方法があります。
省エネ・再エネ導入による現場改善
脱炭素経営では、TCFD、SBT、RE100のような枠組みだけでなく、現場での削減施策も重要です。
実際にCO2排出量を減らすには、日々のエネルギー使用を見直す必要があります。
代表的な施策には、次のようなものがあります。
| 取り組み | 内容 |
| LED化 | 照明の消費電力を削減する |
| 高効率空調 | 空調効率を高め、電力使用量を抑える |
| 断熱・遮熱 | 空調負荷を減らす |
| 太陽光発電 | 自社で再エネ電力をつくる |
| PPA | 初期費用を抑えて再エネ電力を調達する |
| 蓄電池 | 発電した電気を有効活用する |
| エネルギーマネジメント | 使用量を見える化し、運用改善につなげる |
現場改善は、コスト削減にもつながりやすい取り組みです。
電力使用量が多い設備や、老朽化した設備から優先的に見直すと効果を出しやすくなります。
2026年以降の脱炭素経営は「見える化」と「取引先対応」から始める

2026年以降の脱炭素経営では、排出量の見える化と取引先対応が重要になります。
大企業が脱炭素を進めるほど、取引先にも排出量の把握や削減計画を求める流れが広がるためです。
中小企業でも、まずはScope1・Scope2の算定から始めると取り組みやすくなります。
そのうえで、省エネ、再エネ電力メニュー、PPA、補助金などを比較し、自社に合う方法を選びましょう。
中小企業もサプライチェーン排出量の確認を求められやすい
脱炭素経営は、大企業だけの課題ではありません。
中小企業でも、取引先からCO2排出量の確認を求められる可能性があります。
大企業がSBTやRE100に取り組むと、自社だけでなくサプライチェーン全体の排出量削減を進める必要があります。
そのため、部品、材料、物流、外注先などにも排出量の把握や削減協力を求めることがあります。
取引先から確認されやすい項目は、次のとおりです。
| 確認されやすい項目 | 内容 |
| 電力使用量 | 事業所や工場で使う電力量 |
| 燃料使用量 | ガス、ガソリン、軽油などの使用量 |
| CO2排出量 | 電力や燃料から算定した排出量 |
| 削減施策 | 省エネ、再エネ導入、設備更新の状況 |
| 今後の計画 | 削減目標や実施予定 |
急に求められてから対応すると、データ収集に時間がかかります。
日ごろから電気・ガス・燃料の使用量を整理しておくことが大切です。
まずはScope1・Scope2の算定から始める
脱炭素経営の第一歩は、Scope1・Scope2の算定です。
Scope1は、自社で燃料を燃やすことなどによる直接排出です。
Scope2は、購入した電力や熱の使用に伴う間接排出です。
中小企業がいきなりScope3まで細かく算定するのは大変です。
まずは、比較的把握しやすいScope1・Scope2から始めるとよいでしょう。
Scope1・Scope2の例は、次のとおりです。
| 区分 | 主な内容 |
| Scope1 | ガス、ガソリン、軽油、灯油などの燃料使用 |
| Scope2 | 電力会社から購入した電気、熱、蒸気など |
| 確認資料 | 電気料金明細、ガス料金明細、燃料購入記録 |
算定に必要なデータは、電気料金明細や燃料の購入記録から集められる場合が多いです。
まずは1年分のデータを整理しましょう。
排出量を把握できると、どの拠点や設備から優先的に削減すべきか見えやすくなります。
見える化は、削減施策を選ぶための出発点です。
補助金・PPA・再エネ電力メニューを比較する
脱炭素経営を進める際は、補助金、PPA、再エネ電力メニューなどを比較しましょう。
企業によって、適した方法は異なります。
たとえば、省エネ設備を導入する場合は、補助金を活用できる可能性があります。
太陽光発電を導入したい場合は、自己所有だけでなくPPAも選択肢になります。
再エネ電力メニューを契約すれば、設備投資をせずに再エネ電力を調達できる場合があります。
比較するときは、次の項目を確認しましょう。
| 比較項目 | 確認内容 |
| 初期費用 | 導入時に必要な費用 |
| 契約期間 | 長期契約になるか |
| CO2削減量 | どの程度削減できるか |
| 電気代削減効果 | コスト削減につながるか |
| 補助金 | 対象になる制度があるか |
| 運用負担 | 管理やメンテナンスが必要か |
脱炭素投資は、環境効果だけでなく費用対効果も重要です。
無理に大きな投資から始める必要はありません。
効果が見込める施策から段階的に進めましょう。
削減実績を取引先や採用活動で説明できる状態にする
脱炭素経営では、取り組んだ事実だけでなく、削減実績を説明できる状態にすることが重要です。
取引先への報告、入札、採用広報、サステナビリティページなどで活用できるためです。
たとえば、「LED化を実施した」だけではなく、「年間電力使用量をどれだけ削減したか」「CO2排出量がどれだけ減ったか」まで示せると説得力が高まります。
説明に使いやすいデータは、次のとおりです。
- 電力使用量の推移
- CO2排出量の推移
- 再エネ電力の利用率
- 省エネ設備の導入内容
- 太陽光発電の発電量
- 補助金や認証の取得状況
採用活動でも、脱炭素への取り組みは企業姿勢を伝える材料になります。
環境意識の高い人材に対して、自社の考え方を示しやすくなります。
ただし、発信する内容には根拠が必要です。
削減量や再エネ比率を示す場合は、データや証明書類を整えておきましょう。
まとめ:脱炭素経営とはCO2排出量削減を企業価値につなげる経営

脱炭素経営とは、事業活動で発生するCO2などの温室効果ガス排出量を把握し、削減に取り組む経営の考え方です。
単なる環境活動ではなく、企業価値や持続的成長にも関わる重要な取り組みです。
脱炭素経営が注目される背景には、気候変動対策、取引先や投資家からの要請、法規制や情報開示への対応があります。
大企業だけでなく、中小企業にも排出量の把握や削減計画が求められる場面が増えています。
脱炭素経営に取り組むメリットは、企業価値やブランドイメージの向上、取引機会の維持・拡大、省エネや再エネ導入によるコスト削減です。
一方で、初期費用や運用コスト、社内ノウハウ不足、グリーンウォッシュリスクには注意が必要です。
日本企業では、TCFDに基づく気候関連情報の開示、SBTによる温室効果ガス削減目標の設定、RE100による使用電力の再エネ化などの取り組みが広がっています。
こうした枠組みに加えて、LED化、高効率空調、太陽光発電、PPA、再エネ電力メニューなど、現場での削減施策も重要です。
2026年以降の脱炭素経営では、まず排出量の見える化から始めることが大切です。
Scope1・Scope2を算定し、電力使用量や燃料使用量を整理しましょう。
そのうえで、省エネ、再エネ導入、PPA、補助金の活用を比較すると、現実的な削減計画を立てやすくなります。
脱炭素経営は、CO2排出量の削減を企業価値や取引機会につなげる経営戦略です。
まずは自社の排出量を把握し、根拠のある削減施策を進めることから始めましょう。

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