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ソリューションのチカラ

介護施設のスマホ導入とは?活用場面・メリット・課題と失敗しない選び方を整理

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執筆 中小企業のチカラ編集部 監修 三浦 健一 (ITコーディネータ / 情報処理安全確保支援士)

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介護施設のスマホ導入は、単に「PHSをスマホに置き換える」話ではなく、連絡・記録・呼出対応を現場で完結させて、動線ロスや判断遅れを減らすための取り組みです。

特に、PHSとスマホの2台持ちが常態化していたり、申し送りがリアルタイムに回らず対応が後手に回っていたりする施設ほど、導入効果が見えやすくなります。

一方で、スマホは入れれば勝手に回るわけではありません。

「どの業務をスマホに寄せるか」「何台必要か」「通信はWi-Fiかセルラーか」といった前提整理が甘いと、つながらない・足りない・使われないが起きがちです。

さらに、介護現場では個人情報の取り扱いが避けられないため、運用ルールと端末管理(権限・ログ・紛失対策)を先に決めておくことが失敗回避の鍵になります。

この記事では、介護施設でスマホ導入が注目される背景を押さえたうえで、具体的な活用場面・得られるメリット・導入時の課題と対策を整理します。

あわせて、台数や通信方式の決め方、端末選びの手順まで、現場で「結局どう進める?」が迷子にならないように、判断軸を一本化して解説します。

スマホに関するお悩みはお気軽にご相談ください。

 

介護施設でスマホ導入が注目される理由

介護現場のスマホ導入が注目されるのは、「便利そう」だからではなく、現場のムダと遅れが限界に来ているからです。

PHS中心の運用は通話には強い一方、記録・共有・緊急連携まで含めるとどうしても分断が起きます。結果として、スタッフの負担や判断の遅れが積み上がり、ケア品質にも影響が出やすくなります。

PHSとスマホの2台持ちなど運用負担が限界になりやすい

PHSは「呼出・通話」には向いていますが、記録や共有をスマホやタブレットで補うと、端末が増えて管理が破綻しやすいのが現実です。
たとえば、こんな“地味な負担”が毎日発生します。

  • 充電器・バッテリー管理が増え、電池切れ=連絡断の不安が常にある
  • 端末の持ち替えが増え、ポケットや首掛けが混雑して動きにくい
  • 端末ごとに操作や通知が違い、新人ほど混乱しやすい
  • 「結局どっちで連絡する?」が起き、運用が人によってブレる

 

スマホ導入の本質は、端末を増やすことではなく、連絡と業務を“統一した入口”に寄せることです。

2台持ちのストレスを減らし、現場の判断と動線をシンプルにできます。

タイムリーな情報共有がしづらく判断が遅れる

PHS中心だと、情報共有は「電話→口頭→申し送り→紙/PC入力」のように段階が増え、どうしてもタイムラグが生まれます。

状態変化が起きたときに遅れやすいのは、特に次の場面です。

  • 利用者の体調変化の共有(バイタル・表情・食事量など)
  • 転倒リスクや注意事項の周知
  • 申し送りの更新(誰が、いつ、何を確認したか)

 

スマホで施設内の連絡を一本化できると、「気づいた人→必要な人へ」が速くなります。

加えて、写真・メモ・チェック項目などを添えて共有できるため、判断の精度も上げやすいのが強みです。

記録がステーション前提だと移動ロスが積み上がる

ステーションPCで記録する運用は、記録そのものよりも「行って戻る」がコストになります。
現場では次のようなロスが起きがちです。

  • その場ではメモだけ→後で入力→二重作業になりやすい
  • 記録のために一度戻る→離床・転倒リスクの見守りが薄くなる
  • 入力待ちが発生→ピーク時間に渋滞して手が止まる

 

スマホでその場入力ができれば、移動ロスが減るだけでなく、記録の鮮度が上がります。

結果として、申し送りの質が上がり、ケアの抜け漏れも減らしやすくなります。

介護施設でスマホ導入が注目される理由

スマホ導入が注目される背景は、2台持ちの運用限界・共有の遅れ・記録の移動ロスが積み上がり、現場負担とケア品質に影響が出やすいからです。

スマホは「便利ツール」ではなく、連絡と業務の入口を統一してムダと遅れを減らす手段として捉えるのがポイントです。


介護現場でスマホが活躍する場面

介護施設でスマホが活躍するのは、単なる連絡手段としてではなく、記録・呼出対応・緊急連携を“現場で完結”させられるからです。

特に人手不足の現場では、少しのムダや往復が積み上がって大きな差になります。スマホは、その差を埋める実務ツールとして機能します。

記録・報告の入力と共有をその場で完結させる

記録を「現場で入力→即共有」に寄せるだけで、業務の形が変わります。ポイントは、速さだけでなく情報の整い方にもあります。

  • ベッドサイドで記録できる→メモ→転記の二度手間が減る
  • 写真・チェック・テンプレ入力で統一できる→記録品質が揃う
  • 入力した内容がチームに共有される→申し送りが短縮されやすい

 

「後でまとめて入力」だと、忙しい日ほど記録が遅れ、内容が薄くなりがちです。

スマホで“その場完結”に寄せると、ケアの根拠が残りやすいのもメリットです。

ナースコール対応をスマホで受けて初動を早くする

ナースコールをスマホで受けられると、初動が速くなりやすいのはもちろん、動き方そのものを最適化できます。

  • 通知で誰が対応するかが決めやすい(重複対応・放置を減らす)
  • 場所や内容が分かる形にできると、持っていく物・呼ぶ人が判断しやすい
  • 対応履歴が残ると、「いつ」「誰が」が明確になり、運用改善につながる

 

単に“受けられる”だけでなく、対応の仕組みに落とせるのが強みです。

緊急時の情報共有を一斉連絡で短縮する

急変・転倒・医療連携などの緊急時は、連絡が増えるほど混乱します。

スマホで一斉共有の導線を作れると、連絡のムダ打ちが減りやすくなります。

  • 状況を要点+画像で共有できる→説明の往復が減る
  • 関係者を同時に巻き込める→伝言ゲームを回避しやすい
  • 記録と連絡が繋がる→後からの振り返りがしやすい

 

緊急時ほど「誰に何を言ったか」が曖昧になりがちなので、スマホ導入はスピードと整理を両立させやすい手段になります。

介護現場でスマホが活躍する場面

スマホが活躍するのは、記録・ナースコール・緊急共有を“現場で完結”させ、動線と連絡のムダを削れるからです。

導入効果を出すには、スマホを配ることよりも、どの業務をスマホに寄せるかを決めて運用を揃えることが重要です。

スマホ導入で得られるメリット

介護施設でスマホを導入する最大の価値は、「現場で完結する情報」と「初動の速さ」を同時に手に入れられる点です。

PHS中心の運用だと、呼出はできても記録・共有・引き継ぎが分断されがちで、結果として“移動”と“伝言”が増えます。

スマホはこの分断を埋め、ケア品質と現場効率をセットで底上げしやすくなります。

介護の質を上げやすい(初動・引き継ぎ・見落とし減)

スマホで強いのは、緊急時だけではなく日常の小さな変化を取りこぼしにくくなることです。

  • 初動:ナースコールや内線をスマホ通知で受けられると、呼出の見逃しや取り次ぎが減り、対応の着手が早まりやすい
  • 引き継ぎ:口頭だけに頼らず、メモ・写真・チェック項目を添えて共有できるため、申し送りの抜け漏れが起きにくい
  • 見落とし:その場入力→即共有の流れができると、後で思い出して書くよりも情報の精度が上がる(特に転倒・服薬・食事量など)

 

現場で効くのは「機能」よりも、“誰が見ても同じ形で残る”こと。

テンプレ入力やチェック運用を合わせると、施設としてのケアの再現性が上がります。

スタッフの業務負担を下げやすい(移動・探し物・待ち時間)

負担を削るポイントは、体感的にはこの3つが大きいです。

  • 移動:記録がステーション前提だと「戻る→入力→現場へ」が頻発しますが、スマホ入力を基本にすると往復が減る
  • 探し物:紙・ファイル・メモ・内線番号の“探し直し”が減り、必要情報に最短で辿り着きやすい
  • 待ち時間:入力端末の順番待ち、誰が対応するかの曖昧さが減り、ピーク帯の渋滞が軽くなる

 

ここは特に、運用の揃え方で差が出ます。
「スマホでもPCでもOK」にすると二重化しがちなので、最低限のルール(例:記録は原則スマホ、例外は何か)を先に決めるのがコツです。

家族・関係者との連絡をスムーズにしやすい

家族対応は、スピードだけでなく“伝え方の統一”が効きます。

  • 状態変化の共有を、決まったフォーマットで残しやすい(誰が説明しても内容がブレにくい)
  • 折り返し・確認事項がチーム内で共有され、対応漏れが減る
  • 電話一本化に比べて、連絡の履歴管理がしやすい(言った/言わないのトラブル回避)

 

ただし個人情報が絡むので、連絡手段・権限・記録の残し方は導入前に必ず設計しておくのが安全です(この後の「前提整理」で触れます)。

スマホ導入で得られるメリット

スマホ導入のメリットは、初動の速さ・引き継ぎ精度・現場の移動ロス削減を同時に実現しやすい点です。

効果を出すには、端末を配るだけでなく、記録・共有・連絡の“統一ルール”までセットで整えるのが鍵になります。


 

導入前に整理すべき前提何台必要か・通信方式はどちらか

スマホ導入でつまずきやすいのは、「良さそうだから買う」→「現場で足りない/つながらない/使われない」のパターンです。

成功の分かれ目は、導入前に台数設計と通信設計を現場導線で詰めること。ここを外すと、便利どころかストレスが増えます。

必要台数の考え方(職員数・フロア・業務導線で決める)

台数は「職員数=台数」ではなく、同時に必要になる場面から逆算するのが現実的です。

目安の考え方はシンプルに3点。

  • ピーク帯の同時稼働人数(入浴・食事・排泄介助など)
  • フロア/棟ごとの分散(1台を取りに行く距離が長いと使われない)
  • 共有端末か、個人持ちか(引き継ぎ・衛生・紛失対策の方針も連動)

 

現場で回しやすいように、まずはこんな形で整理すると決めやすいです。

  • 共有運用:「各フロア最低◯台+ピーク帯の追加◯台」
  • 個人運用:「当日の担当者に配布(出退勤で回収)」など

 

“とりあえず少なめ”にすると、結局取り合い→使われないになりがちなので、ピーク帯を基準にするのが安全です。

通信方法は2択で整理するセルラーとWi-Fi

通信は大きくセルラー(SIM)とWi-Fiの2つで整理できます。ざっくり言うと、

  • Wi-Fi:月額コストを抑えやすい/ただし電波設計が甘いと死ぬ(場所ムラが出る)
  • セルラー:館内Wi-Fiに依存しない/持ち出し・災害時の強さが出やすい(ただしランニングコストは上がりやすい)

 

現場は「つながらない瞬間」があるだけで不信感が出るので、安さより安定性を優先したほうが定着しやすいです。

よくある落としどころは、基本Wi-Fi+重要端末だけセルラーのハイブリッドです。

現場で困らないための決め方(圏内・持ち出し・災害時)

ここは“机上の比較”より、導入前に現地で確認するのが一番確実です。最低限のチェックはこの3つ。

  • 圏内:居室・浴室・EV前・バックヤードなど、死角になりやすい場所で実測(Wi-Fiは特に)
  • 持ち出し:送迎・訪問・外出同行があるならセルラー前提に寄せる(外で使えないと結局個人スマホに戻る)
  • 災害時:停電時の充電・回線断の想定(予備バッテリー、充電場所、連絡手段の代替)を運用に落とす

 

「災害時はどうする?」が曖昧なままだと、現場は不安で運用が広がりません。

“使えない時の手順”まで先に決めておくと、導入後の混乱が激減します。

導入前に整理すべき前提何台必要か・通信方式はどちらか

導入前の要点は、台数はピーク帯の同時稼働と導線で決めること、通信は安さより安定性(圏内実測)を優先することです。

Wi-Fi/セルラーは二択で整理し、必要ならハイブリッドにして、持ち出し・災害時まで含めた運用設計に落とすと失敗しにくくなります。

介護施設で使うスマホの選び方

介護施設のスマホ選定は「安い機種を大量導入」より、現場で止まらない・壊れない・迷わず使えることを優先した方が結果的にコストもトラブルも減ります。

特に介護現場は、落下・水濡れ・手袋操作・夜勤帯の充電不足など、一般業務よりも“詰みポイント”が多いので、運用目線で機種を絞るのが近道です。

iOSとAndroidの違いを運用目線で決める

結論から言うと、施設で大事なのは「好み」ではなく統一しやすさと現場トラブルの少なさです。

  • iOS(iPhone)
    強み:動作が安定しやすい/OSアップデートの足並みが揃う/教育しやすい
    注意:端末価格が上がりやすいので、台数が多い施設ほど負担が大きくなりがち
  • Android
    強み:コスト調整がしやすい/機種選択肢が多い/現場向け(耐久・電池重視)モデルが選びやすい
    注意:機種がバラつくと操作・設定差が出やすいので、導入時は型番を揃える運用が前提

 

介護施設では「誰が持っても同じ動き」が重要なので、どちらを選ぶにせよ、OS混在より“機種・設定の統一”を優先すると失敗しにくいです。

業務アプリが快適に動く最低スペックの考え方

介護記録・ナースコール連動・チャット・写真共有などを同時に回すと、スペック不足がそのまま入力遅れ→共有遅れ→判断遅れにつながります。

最低限ここは外さない方が安全です。

  • メモリ(RAM):4GB以上(できれば余裕を見て6GB以上だと安心)
  • OS:サポート切れを避けるため、比較的新しいOS世代を選ぶ(アップデートの継続性が重要)
  • 動作検証:実際に使う記録アプリ/コール連動/チャットを同時に起動して、
    • 画面切り替えで固まらないか
    • 通知が遅れないか
    • カメラ起動が遅くないかをチェック

 

「普段は動くけど忙しい時間帯に重い」が一番ストレスになります。

ピーク帯の実運用で耐えられるかを基準にしてください。

現場に合う一台を選ぶ手順(実機テスト→決定)

カタログ比較だけだと外しやすいので、最短で当たりを引くならこの流れが堅いです。

  1. 要件を先に固定する
    例:耐久(落下・防水)/電池持ち/片手操作/手袋操作/通知の確実性/アプリ同時起動
  2. 候補を3機種に絞る
    高価な1択にしない。現場で“合う/合わない”が必ず出ます。
  3. 1週間の現場テストを回す
    日勤だけでなく、夜勤・入浴介助・移動が多い導線で試すのが重要
  4. 評価軸を点数化して決定する
    「感想」だけだと揉めやすいので、
    通知の遅延/入力速度/落下後の継続使用/電池残量の推移など、見える指標で比較

 

ここまでやると、導入後の「使いにくい」「結局PHSに戻った」が激減します。

介護施設で使うスマホの選び方

機種選定は、OSの好みより“統一運用”と“現場で止まらないこと”が最優先です。

iOS/Androidはどちらでもよいものの、スペック不足と機種バラつきが失敗の原因になりやすいので、候補3機種→1週間実機テスト→点数化で決定の流れで、現場適合を確実にしてから導入しましょう。


スマホ導入の課題と解決策

スマホ導入は「端末を配って終わり」だと、現場負担が増えて逆効果になりがちです。

つまずきやすいのは主にコスト・教育(リテラシー差)・セキュリティの3点。

ここを最初に設計しておけば、導入後のクレームや事故リスクを大きく減らせます。

コスト負担と導入ハードルをどう越えるか

コストは“端末代”だけでなく、回線・保守・交換・設定作業まで含めて考えるのが現実的です。

  • 初期費用を抑える考え方
    • リース/レンタルで月額化し、交換や故障対応も込みに寄せる
    • いきなり全台導入せず、1フロア・1ユニットから段階導入して失敗コストを抑える
  • 補助金や支援策を使う場合の注意
    • 補助金は“使えるか”より、スケジュールと要件(対象経費・証憑・報告)がボトルネックになりやすい
    • 先に「何に使うか(記録/コール連動/連絡)」を固めて、後から申請の形に合わせる方が通ります

 

導入を急ぐほど、現場は「安いから」で選びがちですが、結果的に故障・買い替え・不満対応が増えるので、トータルコストで判断するのが安全です。

ITリテラシー差を前提にした教育・運用設計

介護現場で一番効くのは、分厚いマニュアルではなく、迷わない導線です。

  • 教え方のコツ
    • まずは「やること」を絞る:記録、呼出、連絡など毎日使う3機能だけから開始
    • 30分×少人数で、実機を触って“できた体験”を作る(座学より効果が出ます)
  • 運用ルールで差が出るポイント
    • 「誰が持つか」「どこに置くか」「充電は誰がいつやるか」を先に固定
    • 夜勤帯や入浴介助など、事故が起きやすい時間・場面のルールを厚めにする

 

教育を頑張るより、運用で迷う瞬間を消す方が定着が早いです。

セキュリティと個人情報保護をルールと仕組みで担保する

介護施設のスマホは、利用者情報を扱う以上「善意の運用」だけでは守りきれません。

ここはルール+仕組みで固めるのが前提です。

  • ルールで決めるべき最低ライン
    • 私物との混在をどうするか(原則は業務端末に寄せるのが安全)
    • 写真・記録の扱い(保存先、共有方法、削除ルール)
    • 紛失時の報告フロー(誰に、何分以内に、何をするか)
  • 仕組みで担保する代表例
    • 端末管理(MDM等)で、遠隔ロック・業務アプリ配布・設定統一を自動化
    • 画面ロック、パスコード、権限設定、ログ方針を“現場任せ”にしない

 

「使いやすい」と「安全」は両立できますが、両立させるには、最初から設計図を用意する必要があります。

スマホ導入の課題と解決策

スマホ導入の課題は、コスト・教育・セキュリティの3点に集約されます。

端末代だけで判断せず総コストで設計し、リテラシー差は機能を絞った運用と短時間実機研修で吸収、個人情報はルールと端末管理の仕組みで守る。

この順番で整えると、導入後に現場が回りやすくなります。

スマホ導入の活用事例でイメージを固める

介護施設のスマホ導入は、「便利そう」で始めると現場が混乱しがちです。

逆に、よくある課題(呼出の遅れ/記録の往復/引き継ぎ漏れ)をどこまで減らすかを先に決めてから事例を当てはめると、導入後のギャップが小さくなります。

ここでは、現場で起きやすい成果パターンを“再現できる形”で整理します。

スマホ導入で迅速な対応につながった例

ナースコールや呼出をスマホで受けると、効果が出やすいのは「初動の短縮」です。ポイントは、単に通知を受けるだけでなく、誰が・どこへ・どう動くかまでセットにすること。

  • よく起きる改善
    • コールの通知を受けてから現場に向かうまでの迷いが減る
    • 夜勤帯の少人数でも、状況共有が早くなり判断がぶれにくい
    • 「対応中/対応可能」が見える化され、同じ場所に人が集中しにくい

 

  • 再現のコツ(失敗しない条件)
    • 通知は“全員一斉”ではなく、役割別(当番/近い人/リーダー)に振り分ける
    • 例外対応(転倒疑い・急変など)だけ、エスカレーション先を固定する
    • 受け取った後にやることを、ワンタップで記録できる導線にする

機能を1台に集約して業務効率化した例

「PHS+記録端末+連絡手段」の分断がある施設ほど、スマホ集約の効果が出ます。

狙いは、アプリを増やすことではなく、“移動と探し物”を消すことです。

  • よく効く場面
    • 記録をステーションに戻って入力していた往復が減る
    • 申し送りや確認が“電話の伝言ゲーム”にならず、履歴として残る
    • 物品や利用者情報の確認が、その場で完結する

 

  • 導入で詰まりやすい点
    • 「結局入力が増えた」「現場が止まる」は、入力項目が多すぎるのが原因になりやすい
    • まずは最小セット(記録+連絡+呼出)に絞り、慣れてから拡張すると安定します

自施設に落とし込むときの見立て(人・業務・設備)

事例を自施設に移植するには、「規模」よりも人・業務・設備の3点セットで見立てるのが現実的です。

  • 人:ITに強い人が何人いるか/夜勤の最少人数は何人か/新人比率は高いか
  • 業務:優先は記録か、コールか、連絡か(“一番困っている1つ”を決める)
  • 設備:Wi-Fiの死角があるか/持ち出しがあるか/充電場所と運用が決まっているか

 

この3点を先に揃えると、「便利だけど回らない」を避けやすくなります。

スマホ導入の活用事例でイメージを固める

活用事例の効果は、機種やアプリよりも運用の形(通知の出し方・役割分担・記録導線)で差が出ます。

自施設では「人・業務・設備」で見立てたうえで、まずは最小セット導入から始めると、成果を再現しやすくなります。


失敗しない運用設計端末管理と権限を先に決めて事故を防ぐ

介護施設のスマホ導入で一番怖いのは、「便利になった」より先に事故(紛失・誤送信・権限ミス)が起きることです。

だからこそ、導入前に“やらないといけない運用”は先に決めて、現場の善意に依存しない設計に寄せます。

MDMで紛失時のロックや業務アプリ配布を統一する

端末管理は、現場の負担を増やすためではなく、事故時の初動を最短にするために入れます。

  • MDMで揃えると強いこと
    • 端末の画面ロック/パスコード/自動ロック時間の統一
    • 業務アプリの一括配布と更新の統一
    • 紛失時の遠隔ロック/業務データの削除(必要な範囲だけ)

 

  • 導入の勘所
    • “全部監視”ではなく、介護現場で必要な最低限(紛失対応・アプリ統一・制限)に絞る
    • 設定を現場任せにしない(個別設定が増えるほど事故率が上がります)

個人情報を扱う業務は業務用領域に寄せて私物混在を避ける

情報漏洩の多くは悪意ではなく、混在(写真・チャット・共有先)で起きます。

なので、最初から「混ざらない」状態を作ります。

  • 基本方針
    • 個人情報が触れる業務は、業務用の領域(プロファイル)に固定
    • 個人アプリや個人アカウントへの保存・送信を、ルールだけでなく設定で抑える

 

  • 運用で効くルール例
    • 端末内保存を前提にしない(共有先は“決めた場所”のみ)
    • 画像の扱い(撮影→共有→保管)を一本化して、現場判断を減らす

 

ナースコール連動や記録アプリは権限とログ方針まで決める

便利な機能ほど、権限が曖昧だと事故が起きます。

ここは「使える人を増やす」より、責任の線を引くが先です。

  • 権限設計の基本
    • 例:管理者・リーダー・一般職で、できる操作を分ける
    • 「閲覧できる範囲」「編集できる範囲」「承認が必要な操作」を決める

 

  • ログ方針の基本
    • “全ログ保存”より、事故時に追えるログを優先
    • 監査は毎月やるより、まずは「見られる状態」を作ってから頻度を調整

 

失敗しない運用設計端末管理と権限を先に決めて事故を防ぐ

スマホ導入の失敗は、機種ではなく紛失・混在・権限ミスで起きやすいです。

だからこそ、MDMで設定と配布を統一し、個人情報は業務用領域に寄せて混ざらない仕組みにし、ナースコールや記録は権限とログの線引きまで決めてから運用に入ると、事故リスクを抑えたまま効果を最大化できます。

まとめ|介護施設のスマホ導入とは?活用場面・メリット・課題と失敗しない選び方を整理

介護施設のスマホ導入は、記録・呼出・情報共有を現場で完結させて、PHS中心運用で起きがちな2台持ち負担/共有遅れ/ステーション往復の移動ロスを減らす取り組みです。

活躍場面は

①その場で記録・報告

②ナースコールの初動短縮

③緊急時の一斉連絡が軸で、結果としてケア品質の底上げとスタッフ負担の軽減につながります。

失敗しないポイントは、導入前に必要台数と通信方式(セルラー/Wi-Fi)を現場導線で設計し、機種はiOS/Android方針→最低スペック→実機テストで決めること。

最後に、事故を防ぐためにMDM・権限・ログ方針を先に固め、個人情報は業務領域に寄せる運用にすると安全に効果を出せます。

監修者コメント

製品選定では、カタログ上の性能よりも「導入後に誰が面倒を見るか」で差が出ます。保守の範囲と連絡先を契約時に明文化しておくことを、あわせておすすめします。

三浦 健一
SUPERVISOR

三浦 健一 みうら けんいち

ITコーディネータ / 情報処理安全確保支援士

株式会社中小企業のチカラ DX推進室

SIerでインフラ構築に従事したのち、中小企業のIT導入支援へ。ツールを入れることではなく「入れたあと運用が回るか」を判…

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