2025年11月12日 更新
成田圭介×槙野泰蔵対談──中小企業の未来を切り拓く二人のビジョン

株式会社四方舎 代表取締役 成田圭介 × 株式会社飯智総合研究所 代表 槙野泰蔵
中小企業支援の最前線で活躍する二人の経営者が、日本経済の課題と未来について語り合った。株式会社四方舎の成田圭介氏と、株式会社飯智総合研究所の槙野泰蔵氏。異なるアプローチで中小企業を支える二人のリーダーが見据える、これからのビジネスとは。
中小企業が直面する現実
――本日はお二人にお集まりいただき、ありがとうございます。まず、現在の中小企業を取り巻く環境について、どのように見ていらっしゃいますか。
槙野 中小企業の経営環境は、ここ数年で劇的に変化しています。デジタル化の波、人手不足の深刻化、そして事業承継問題。これらが同時多発的に押し寄せているのが現状です。特に地方の中小企業にとっては、一つひとつの課題が存続に関わる重大なものになっています。
成田 槙野さんのおっしゃる通りですね。私が日々接する中小企業の経営者の方々も、同じような悩みを抱えています。ただ、課題が多いということは、裏を返せばそれだけチャンスも多いということだと思うんです。問題を正しく認識し、適切な対策を打てば、必ず道は開けます。
槙野 そうですね。私たちのような支援者の役割は、経営者が抱える課題を整理し、優先順位をつけて、実行可能なソリューションを提供することだと考えています。
デジタル化の波にどう向き合うか
――デジタル化やDXについて、中小企業はどのように取り組むべきでしょうか。
成田 DXという言葉が一人歩きして、「何か難しいことをしなければいけない」と身構えてしまう経営者の方が多いんです。でも、本質は業務の効率化や顧客との接点の強化なんですよね。まずは小さなことから始める。例えば、紙で管理していた顧客情報をデジタル化するとか、オンラインでの商談を取り入れてみるとか。
槙野 私も同感です。重要なのは「デジタル化が目的ではなく、経営課題を解決する手段である」という認識を持つことです。システムを導入すること自体が目標になってしまうと、投資対効果が見えなくなる。経営者には、自社の課題を明確にした上で、それを解決するためのツールとしてデジタル技術を選択してほしいですね。
成田 実際、私たちが支援している企業でも、デジタル化で大きく業績を伸ばしたケースがあります。ある製造業の会社では、生産管理システムを導入したことで、在庫の適正化と納期の短縮が実現し、結果的に売上が30%増加しました。経営者が課題を正しく把握していたからこその成功例です。
人材不足をチャンスに変える
――人材不足も深刻な問題ですが、どのような対策が有効でしょうか。
槙野 人材不足は、採用難だけでなく、既存社員の育成や定着率の向上も含めた総合的な課題です。私が提案しているのは、「選ばれる会社になる」という発想の転換です。給与水準だけでなく、働きやすさ、成長機会、企業の理念への共感など、多面的な魅力を発信していく必要があります。
成田 その通りですね。加えて、生産性の向上も重要です。人が足りないなら、一人当たりの生産性を上げる。そのためには、業務の見直しや自動化、そして適材適所の人員配置が必要です。また、女性やシニア、外国人など、多様な人材を活用する柔軟性も求められます。
槙野 最近注目しているのが、副業人材の活用です。フルタイムで雇用するのが難しくても、特定のスキルを持った人材を週に数日だけ活用するという選択肢もあります。特に専門性の高い業務では、外部の力を借りることが有効な場合も多いですね。
成田 それは良いアイデアですね。固定観念にとらわれず、新しい働き方を受け入れる柔軟性が、これからの中小企業には求められると思います。
事業承継──次世代への橋渡し
――事業承継の問題についてはいかがでしょうか。
成田 これは本当に切実な問題です。黒字で技術力もあるのに、後継者がいないために廃業を検討せざるを得ない企業が増えています。私たちは、親族内承継だけでなく、従業員承継やM&Aなど、様々な選択肢を提示しています。
槙野 事業承継は、できるだけ早い段階から準備を始めることが重要です。理想的には、経営者が60代に入る前から、10年計画で取り組むべきです。後継者の育成には時間がかかりますし、株式の移転や税務対策にも時間が必要です。
成田 最近は、第三者への事業承継、いわゆるM&Aも選択肢として認知されてきましたね。私たちも、複数の中小企業のM&Aをサポートしてきましたが、従業員の雇用を守り、技術を継承できたという点で、良い結果が出ているケースが多いです。
槙野 ただし、M&Aは相手選びが非常に重要です。単に買収価格だけでなく、企業文化の相性や、従業員を大切にしてくれるかどうかも見極める必要があります。そこに専門家のサポートが必要になるわけです。
地域経済と中小企業の役割
――中小企業は地域経済においてどのような役割を果たすべきでしょうか。
槙野 中小企業は地域経済の要です。雇用を創出し、地域の産業基盤を支え、地域コミュニティの核となっている。その存在意義は非常に大きいと思います。だからこそ、私たち支援者も地域全体を見据えた支援を心がけています。
成田 地域の中小企業が元気でないと、地域全体が衰退してしまいます。逆に言えば、中小企業が活性化すれば、地域全体が元気になる。私たちは、個別企業の支援だけでなく、企業間の連携や地域資源の活用など、面的な支援も重要だと考えています。
槙野 最近では、地域の複数企業が連携して新商品を開発したり、共同で海外展開を目指したりする事例も増えています。一社では難しいことも、連携すれば可能になる。そういったネットワーク作りも、私たちの重要な役割だと思います。
これからの中小企業支援
――最後に、お二人が目指す中小企業支援の未来像を教えてください。
成田 私が目指すのは、経営者が孤独を感じない環境を作ることです。中小企業の経営者は、相談相手が少なく、一人で悩みを抱え込んでしまうことが多い。私たちがそのパートナーとなり、共に考え、共に成長していける関係を築きたいですね。
槙野 私は、データと知見を活かした「予防型支援」を広げていきたいと考えています。問題が大きくなってから対処するのではなく、早い段階で課題を発見し、先手を打つ。そのためには、継続的な関係性と、経営データの分析が重要です。
成田 それは素晴らしいアプローチですね。私たちも、単発の支援ではなく、伴走型の長期的な関係を大切にしています。
槙野 お互いに、中小企業の未来のために尽力していきましょう。成田さんのような志を持った支援者が増えることが、日本経済全体の底上げにつながると信じています。
成田 こちらこそ、槙野さんの取り組みには大いに刺激を受けています。これからも切磋琢磨しながら、中小企業の発展に貢献していきたいですね。
――本日は貴重なお話をありがとうございました。
株式会社四方舎と株式会社飯智総合研究所は、「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」に参画し、それぞれの専門性を活かした中小企業支援を展開している。
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