- 20代から資産運用を始めたいが、どうすればよいかわからない
- 失敗を避けつつ効果的なポートフォリオを組みたい
- 20代が資産運用を始めるときの相談先が知りたい
本記事では、20代の資産運用について、基本的な考え方からリスク許容度別のポートフォリオ構築まで、具体的な手順を解説する。
また、投資初心者が陥りやすい失敗を避けるためのポイントや、信頼できる相談先の選び方まで、実践的な情報を網羅している。
ぜひ最後までお読みいただき、確かな知識を得たうえで資産運用の第一歩を踏み出していただきたい。
20代でも資産運用は必要?投資を始めるべき理由
20代から資産運用を始めるべき理由は多くあるが、もっとも大きな理由は、時間という最大の資産を活用できることだ。
複利効果を最大限活用できる
若いうちから投資を始めることで、複利効果を最大限に享受でき、将来にわたって大きなリターンを得られる可能性が広がる。
複利効果とは、投資で得た利益(利息や配当)を再投資することで、その利益自体がさらに利益を生むというものである。
元本だけでなく、これまでに得た利益にも利息がつくため、資産は時間とともに加速度的に増加する。
この効果を具体的に理解するために、20歳から投資を始めたAさんと、30歳から投資を始めたBさんを比較してみよう。
20歳から投資を始めたAさんの例
まずは、20歳から投資を始めたAさんの資産運用結果を見ていこう。
Aさんは20歳から30歳までの10年間、年利5%で毎月2万円を積立投資した。30歳以降は新たな資金を追加せず、10年間積み立てた311万円をそのまま運用し続けた。
- 投資期間
- 20歳から30歳(10年間)
- 毎月の投資額
- 2万円
- 運用利回り
- 年5%
- 運用元本
- 240万円
- 65歳時点の運用資産額
- 約1,783万円
結果、65歳時点での資産は1,783万円に達した。
30歳から投資を始めたBさんの例
続いて、30歳から投資を始めたBさんについて見ていこう。Bさんは30歳から毎月2万円を積立投資し、35年間コツコツと続けた。
- 投資期間
- 30歳から65歳(35年間)
- 毎月の投資額
- 2万円
- 運用利回り
- 年5%
- 運用元本
- 840万円
- 65歳時点の運用資産額
- 約2,272万円
結果、Bさんの運用資産は、65歳時点で約2,272万円となった。
早く始めることで得られる「コスパの良さ」
65歳時点の資産額は、Bさんの方が約500万円多い。しかし注目して欲しいのは、投資元本の額だ。
Bさんは、Aさんの約3.5倍となる元本を投じたが、最終的な資産額は約1.27倍、差額は約500万円にとどまっている。
Aさんはわずか240万円の元本で1,783万円を築き上げており、投資額に対するリターン(コストパフォーマンス)が非常に高い。
Aさんの例は、投資額がわずかであっても、時間を味方にすることで資産を大きく増やせることを示している。
このように、若くして投資を始めると、短期間の積立でも時間と複利効果を活用して大きな資産を築ける可能性が高まるのだ。
20代から投資を始めることは、将来の経済的な安定を築くうえで、非常に「コスパの良い」選択である。
投資リスクを取りやすい時期である
このほかにも、20代がリスクを取りやすい時期であることも、若いうちから投資を始めた方が良い理由だ。
20代は、ライフステージ的に大きな経済的負担が少なく、リスクのある投資にも挑戦しやすい環境にある。
このため、将来的な資産形成の可能性を大きく広げられる。
- キャリアの初期段階にあり、将来的に昇進や昇給により収入が安定・増加する可能性が高い
- 投資での損失を、長期間で回復できる時間的余裕がある
- 多くの場合、家庭を持つ前であり、大きな経済的責任が少ない
- 退職までの時間が長く、長期的な視点で資産運用に取り組める
また、20代で資産運用を始めることは、早いうちから金融リテラシーを高める機会にもなる。
市場や経済の動向を学びながら資産を形成していくことは、たとえば住宅ローンに関する意思決定など、将来の重要な経済的意思決定にも役立つ。
20代で投資をしている人の割合や資産状況は?
ここでは、当社が2024年6月に実施した調査結果をもとに、20代で投資を行っている人たちの実態について確認していく。
きっかけは「老後資金を貯めるため」
投資を始めたきっかけについて、複数回答可の選択式での回答を求めたところ、もっとも多かったのは「老後資金を貯めるため」で64.3%となった。
次に多かったのは「日々の生活費の足しにするため(41.3%)」「欲しいものを買う資金を貯めるため(27.8%)」で、副業や補助収入的な視点から投資を始める人も一定数いたことがわかる。
一方で、「もともと興味があった(31.0%)」や「新NISAが始まったから(19.0%)」も回答を集めており、資産運用や投資そのものに関心を持つ20代も少なくないことがわかった。
「投資信託で運用」が7割超
20代投資家の保有資産における投資の割合は、「20%〜40%台」が39.7%ともっとも多くを占めた。
投資対象としては、「投資信託」が71.1%ともっとも多かった。これは、投資信託が分散投資に適しており、少額から手軽に始められることが理由と考えられる。
次に多かったのが株式で、43.8%を占めている。
株式への直接投資は、特定企業への興味や応援意識と結びつきやすく、リターンも期待できるため、興味を持って取り組んでいる層がいるのだろう。
3位はFXで、14.3%を占めた。FXは、少額で始められ、レバレッジにより短期間でリターンを狙える点が魅力的に映ったようだ。
しかし、将来の安定的な資産形成を目指すうえでは、注意が必要な選択肢である。
投資商品は「安定性」「収益性」で選ぶ
20代の投資家が投資対象を選ぶ際、もっとも重視している基準は「安定性」(78.5%)、次いで「収益性」(68.6%)であった。
3番目に多い基準は「手数料の低さ」(37.2%)であり、これらの結果から20代の投資スタイルにおける「安全志向の高さ」がうかがえる。
収益を意識しながらもリスクを抑え、さらにコストにも配慮する姿勢から、慎重な傾向が強く感じられる。
とはいえ、長い資産運用のスタートとしては、堅実かつバランスの取れた姿勢と言えるだろう。
20代におすすめの資産運用
ここでは、資産運用について20代に理解していただきたい重要なポイントを解説する。
「資産運用を始める」ってどういうこと?
資産運用を始めるとは、単にお金を「貯める」だけでなく、「増やすために働かせる」ことを意味する。
具体的には、株式や投資信託、REIT(不動産投資信託)などの資産に投資して、長期的にお金を増やしていく活動を指す。
資産運用の目的は、インフレに負けずに資産の価値を保ちつつ、資産を増やすことにある。
このため、資産運用や投資においては、以下のような守るべき基本原則が存在する。
- 分散する
- 資産を複数の投資対象に分けることで、リスクを抑えつつ安定したリターンを狙う
- 長期的視点を持つ
- 短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な成長を見込んで投資を続ける
- 複利の力を活用する
- 得られた利益を再投資することで、複利効果を最大限に活用し、資産を加速度的に増やしていく
- リスク許容度に合った投資をする
- 自分のリスク許容度を理解し、それに合った投資戦略を立てることが重要である
これらの原則を守らないと、資産運用で大きなリスクを負う可能性がある。
とくに、市場で短期的な値動きに賭けるような「投機的行為」を行うと、予測できない変動によって大きな損失を被るリスクが高くなる。
資産運用が「危ない」と思われがちな理由は、このような投機的行為が資産運用と混同されがちだからだ。
正しい原則を守れば、資産運用は決して「危ないもの」ではないということを覚えておこう。
長期的にリスクを管理しつつ堅実に資産を増やすことで、将来の経済的な安定や目標達成をサポートしてくれるものとなる。
何に投資するのがおすすめ?
資産運用においては、長期的に安定的な成長性があり、リスクとリターンのバランスが取れているものが適している。具体的には以下のようなものが挙げられる。
- 株式
- とくに大型株や安定した業績を持つ企業の株式は、長期的な成長が見込まれる。企業の成長とともに資産も増やすことができ、リスクを分散しやすいのも特徴である。
- 投資信託
- 少額から幅広い銘柄に分散投資でき、リスクを抑えつつ市場全体の成長に合わせて資産を増やすことが可能である。とくにインデックスファンドは、手数料が低く、長期投資に向いているため、初心者にもおすすめだ。
- 債券
- 定期的な利息収入が得られ、リスクが比較的低い。とくに国債は安全性が高く、ポートフォリオの安定化に役立つ。株式と組み合わせることで、リスクを分散しながら安定したリターンを目指すことができる。
- REIT(不動産投資信託)
- 不動産を小口で投資する手段として利用でき、インフレに対抗しつつ安定的な配当収入が得られる。高額な不動産投資を手軽に始められるため、若い世代でも資産運用の一部として取り入れやすい。
注意すべき投資対象
ただし、最近では金融商品の種類が非常に多様化しているため、単純に「投資信託なら安心」「債券なら安全」という図式が成り立たなくなっている。
以下に挙げるものはとくに、商品内容を詳細に確認する必要がある。
- 株式
- 特定の投資家や団体が意図的に価格を動かす目的で売買する「仕手株」は、極端に価格変動することがある。個人投資家にとってはリスクが高く、不測の損失を被る可能性があるため、手を出さない方が安全だ
- 新興企業株は、成長性が高い一方で、業績が安定しないものも多い。価格が大きく上下する可能性があるため、リスクを理解したうえで、ポートフォリオの一部として少額で取り入れるのが望ましい
- 投資信託
- 「レバレッジ型投資信託」は、指数の数倍の値動きを目指す商品だ。短期的なリターンを狙う投資家には向いているが、長期運用にはリスクが大きい
- 「アクティブ型投資信託」は、指数を上回るリターンを目指して運用されるが、必ずしも安定したリターンが得られるわけではない。また、手数料が高い点にも気をつけて欲しい
- 債券
- 「高利回り債(ジャンク債)」は、高い利回りが期待できる一方、発行体の信用リスクも高く元本割れのリスクが大きい。リターンを重視しすぎると、安全性が損なわれる可能性もある点には注意が必要だ
また、以下に挙げるような価格変動が極端で予測が難しいものは、長期視点の資産運用には適さない。
- 暗号資産(仮想通貨)
- 価格変動が激しく、短期的に大きな利益を狙う投機性が高いため、資産運用には不向きである
- コレクターアイテム(アート、ワイン、骨董品など)
- 価値が変動しやすく、換金性も低いため、資産運用としては安定性に欠ける
- 高レバレッジの金融商品(FX、CFD取引など)
- 少額で大きなリスクを伴うため、長期的な資産形成には不向きである
ポートフォリオの一部(全体の1〜5%程度)として小額を取り入れることにより、リスクをコントロールしながらリターンの可能性を広げる方法はある。
ただしその場合は、非常にこまやかなモニタリングやリバランスが必要になる。「ほったらかし投資」などには適さない。
税制優遇制度を活用する
個人の資産運用においてぜひ活用したいのが、新NISAやiDeCoといった税制優遇制度である。
これらの制度は、投資で得た利益にかかる税金を減免する形で、効率的な資産形成をサポートしてくれる。
新NISAを活用するメリットとデメリット
新NISA(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託などから得た利益に対する税金が非課税となる制度である。
証券会社にNISA口座を開設し、その口座内で金融商品の購入や売却を行う仕組みだ。
この口座で行った取引については、利益にかかる税金(一般的な課税口座では約20%)が免除されるため、実際に得られるリターンが大きくなる。
新NISAでは、一人につき1,800万円までの投資額について非課税特典が利用できる。年間の投資上限額は360万円と決まっており、その範囲内であれば売買は自由だ。
証券会社によっては、100円や1,000円などの少額から積立投資が可能であり、まとまったお金がなくても始められる点は大きなメリットである。
デメリットは、損失が出た場合の税制優遇(損益通算や繰越控除)がないことだ。ただし、この点は長期保有者は短期的に損失を確定させる運用はしないので、あまり影響はないだろう。
むしろ、若手投資家にとっては、比較的簡単に商品を売却できる自由度がデメリットになるかもしれない。
短期売買を繰り返すことにつながりやすいため、長期投資のメリットを活かしにくくなるからだ。
iDeCo活用のメリットとデメリット
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金の積み立てをサポートする税制優遇制度である。
iDeCoに拠出する掛け金は全額が所得控除の対象であり、その分だけ所得税と住民税を減らすことができる。
また、運用中に得られる利益(配当や売却益)には税金がかからないため、通常の課税口座で運用するよりも資産を効率的に増やせる。
利用のデメリットは、60歳になるまで資金の引き出しができない点だろう。途中で資金が必要になった場合でも、引き出すことは不可能なのだ。
そのため、できるだけ継続的に積み立てられる金額の設定が重要である。
また、iDeCo口座で選べる商品は35商品ほどと限定的であるため、望む結果を得るための適切な商品選定には、一定の知識が求められる。
【リスク許容度別】20代におすすめのポートフォリオ
20代からの資産運用を成功させるには、自分に合った資産配分(ポートフォリオ)を作ることが重要である。
ここでは、適切なポートフォリオを構築するための手順を解説する。
投資に回せるお金を確認する
投資を始める前に、自分の「余裕資金」を確認しておこう。投資はこの余裕資金の中から行うようにすることが原則だ。
まず、手元に残しておくべき、以下の2種類のお金を把握しよう。
- 緊急資金
- 突然の出費に備えるお金であり、急な転職や入院、家電の故障など、予測不可能な出費に対応するために準備しておく。目安は月の生活費の3〜6か月分である。
- 予定資金
- 将来の大きな支出に備えるお金で、結婚資金や資格取得のための学びなおし費用など、近い将来に必要となるとわかっているお金である。
すでに一定額の預金がある場合は、緊急資金と予定資金を差し引いた金額が余裕資金となる。
まだ預金が十分でない場合は、毎月の給与から少しずつ積み立てて、必要額を目指すとよい。この場合の余裕資金は、以下のように計算できる。
たとえば、月の手取り収入が23万円で、毎月の生活費が19万円の人が預金の積立を2万円とする場合は、余裕資金は2万円となる。
自分のリスク許容度を把握する
次に、投資ポートフォリオを作るうえでの重要な要素である「リスク許容度」を把握しよう。
リスク許容度とは、投資する際にどの程度の金銭的リスクを取ることに抵抗がないかを示すものだ。年齢や家族構成、経済状況に加え、性格なども影響する。
Web上で試せる「リスク許容度診断」などを利用しつつ、ざっくりと自分のリスク許容度が、以下のどれに該当するかを確認してみよう。
- リスクは取りたくない「安定型」
- 安全第一で、資産をできるだけ守りたいタイプ。リターンが少なくても安定を優先する傾向がある。
- リスクとリターンの「バランス型」
- リスクをある程度取ってでも、リターンも狙いたいというタイプ。安定性と成長の両方をバランス良く求める。
- 高いリターンを狙いたい「積極型」
- 長期的に大きなリターンを狙いたいタイプ。リスクがあっても成長性を優先し、積極的な資産運用に挑戦したいと考えている。
リスク許容度に応じて資産配分を決める
次は、資産の配分を決める段階だ。
資産配分という場合、「現預金を含めた全体資産の配分を決める方法」もあるが、本稿ではステップ1ですでに余裕資金を分けているため、「余裕資金の中からリスク資産のみで配分を決める方法」として解説する。
以下、リスク許容度に応じた資産配分を紹介しよう。
リスクを抑えたい「安定型」
リスクを抑えたい安定型の人は、株式の割合を抑え、安定性が期待できる債券への比重を高めに設定するのが基本だ。
- 株式25%
- 国内外
- 債券65%
- 国内40%、海外15%
- REIT10%
- 国内外
この配分での期待利回りは、3.5%〜4%程度だ。20代向けとしては控えめな資産配分だが、長期的にリスクを抑えた資産形成が期待できる。
国内債券を多めにして全体の安定性を高めているが、海外債券の比率を増やすことでリターンをやや向上させることも可能になる。
また、REIT(不動産投資信託)を含めることで、資産全体のリスク分散を図り、安定的な収益源を確保する。
ここから始めて、投資に慣れてきたらリスク資産を増やすという選択肢もある。
リスクとリターンを両立したい「バランス型」
長期的な資産形成を目指しながら、大きな値下がりも避けたい人向けのポートフォリオである。
年間6%程度のリターンを目標に、以下のような資産配分を行う。
- 株式50%
- 国内25%、海外25%
- 債券30%
- 国内20%、海外10%
- REIT20%
- 国内10%、海外10%
株式を全体の半分に設定することで、経済成長の恩恵を受けやすくしている。ただし、株式だけだと値動きが大きくなりすぎるため、債券とREITで安定性を確保する。
債券は金利収入が期待でき、株式市場が下落したときの備えとなる。REITは不動産からの家賃収入が見込め、インフレに強い特徴を持つ。
このように、性質の異なる資産に分散投資することで、安定性と収益性のバランスを取っている。
リターンを最大化したい「積極型」
高いリターンを追求したい人向けの配分で、年間9〜10%程度の収益を目指す。ただし、その分値動きも大きくなるため、腰を据えた長期投資が必要である。
- 株式80%
- 国内30%、海外50%
- 債券10%
- 国内10%
- REIT10%
- 国内5%、海外5%
株式、とくに成長性の高い海外株式を中心に据えることで、高いリターンを目指す。ただし、リスクの観点から、より安定的な国内株式も一定量組み入れている。
債券は最小限の10%に抑え、安全資産としての役割に限定した。REITも10%と控えめだが、株式市場とは異なる値動きをすることで、部分的なリスク分散効果を期待できる。
この配分では資産の大きな増減が予想されるため、以下の点に注意が必要になる。
- 最低5年、できれば10年以上の投資期間を確保する
- 暴落時でも慌てて売却しない強い意志を持つ
- 半年に1回程度は資産配分を確認し、必要に応じて調整する
自分に合ったポートフォリオを作る
資産配分を決めたら、次は具体的な投資商品を選び、自分なりのポートフォリオを構築しよう。
すべてを個別銘柄で構成することも可能だが、20代の資金量やリスク分散を考えると、投資信託を活用するのが効率的かつ管理しやすく、おすすめである。
バランス型投資信託を選ぶ
もっとも手軽な方法は、「バランス型投資信託」を活用することだ。バランス型投資信託とは、1つの商品で株式、債券、REITなど複数の資産に投資できる「詰め合わせ」のような商品である。
たとえば株式60%、債券40%で運用される投資信託であれば、その比率が常に保たれるよう専門家が調整を行う。
投資家自身が定期的に資産配分を見直す手間が省けるため、とくに投資初心者や、資産運用に多くの時間を割けない人にとっては良い選択肢となるだろう。
投資信託を複数組み合わせる
バランス型投資信託1本では物足りない場合は、複数の投資信託を組み合わせよう。これにより、より理想的なポートフォリオを作ることができる。
たとえば、バランス型投資信託に「新興国株式ファンド」を加えれば、成長性の高い新興国市場を取り込める。
これに「先進国債券ファンド」を加えれば、リスク分散をしながらリターンを安定化させる効果が期待できる。
また、国内株式、海外株式、国内債券といった資産クラスごとに投資信託を選んで、自分だけの理想のポートフォリオを作ることもできる。
たとえば、日本株式に強みを持つ運用会社の商品と、米国株式に定評のある運用会社の商品を組み合わせるといった工夫が可能だ。
ただし、複数の投資信託を組み合わせる場合は、手間とコストが増えることは覚悟しておこう。
- 管理の手間が増える
- 複数の投資信託を保有するため、それぞれの運用状況や資産配分を管理する手間が増える
- リバランスが必要
- 目標とする資産配分からズレたときは、リバランスを行う必要がある
- コストが増えることがある
- 複数のファンドを組み合わせるとで、全体のコストが上がる場合もある
20代の資産運用で失敗しないために気をつけたいポイント
以下に、20代が失敗を避けるためのポイントを解説する。
投資は余裕資金で行うこと
「投資は余裕資金で行う」という大原則を必ず守ろう。これは単なる格言ではなく、投資を成功させるための重要な基本ルールである。
生活費や緊急時のための資金まで投資に回してしまうと、以下のような問題発生の可能性が高くなる。
- 急な出費ニーズにより、投資を中断せざるを得なくなる
- 値下がり時に、冷静な判断ができなくなる
- 生活が不安定になり、メンタル面でも悪影響が出る
借金をして投資をするのは絶対にNGだ。たとえ投資で利益が出ても、借入金の金利負担が重くのしかかり、結果的に損失を被る可能性が高くなるからだ。
投資を始める前に、まずは生活費と緊急預金をしっかり確保し、「余裕資金」を見極めてから始めることが成功への近道である。
「高リターンは高リスク」と心得る
高い収益が期待できる商品には、必ず大きな損失のリスクが伴う。これは、投資の大原則として心に留めておこう。
高いリターンを実現している(または「高リターンが狙える」とされる)商品については、リスクについて確認しよう。
最悪のケースでどれくらいの損失が出る可能性があるのか、そしてその損失を自分が受け入れられるかどうかを、冷静に判断して欲しい。
コストの確認は怠らない
長期的な資産運用においては、投資商品にかかるコストを低く抑えることが成功の鍵となる。
とくに投資信託を選ぶ場合は、運用手数料(信託報酬)や購入時手数料、信託財産留保額など、さまざまな費用が発生するため、コストの把握は不可欠だ。
注意が必要なのが、保有期間にわたって負担すべき「信託報酬」だ。信託報酬が高い商品では、長期的に見て総コストが増えるため、実際のリターンが減少する。
少しの差でも、10年や20年といった長期では、数十万円の差となることもある。同じような設計の商品の場合、コストが低いものを選ぶことを心がけて欲しい。
短期的な相場変動に惑わされない
資産運用は長期的な視点で行うことが基本であり、短期的な相場の変動に惑わされて計画を変えるべきではない。市場はそもそも、日々のニュースや経済状況によって変動するものだ。
こうした短期的な上下動に振り回されると、無計画な売買を繰り返してしまい、結果的に損失を重ねるリスクが高まる。
市場が一時的に下落したときに慌てて売却すると、その後の回復局面での利益を逃してしまうことがある。長期的な視点を保ち、コツコツと資産を積み立てる姿勢が大切である。
情報の信ぴょう性に注意
SNSなどの情報に振り回されないことも、非常に重要なポイントである。「投資で稼ぐ方法」「確実に儲かる投資術」などを鵜呑みしないよう十分に気をつけて欲しい。
以下のような情報源を中心に活用することをおすすめする。
- 金融庁や証券取引所など公的機関の情報
- 大手金融機関やシンクタンクのレポート
- 投資信託の販売会社が提供する運用報告書
- 信頼できるファイナンシャルアドバイザーからのアドバイス
投資に「必ず儲かる方法」や「特別な秘訣」は存在しない。地道な積立投資と資産分散こそが、長期的な資産形成の王道なのだ。
できるだけ投資を続け、売却しない
資産運用は計画的に行い、基本的に途中でやめないことが望ましい。短期的な相場変動や日々の出来事に流されず、安易に計画を変更しない姿勢が求められる。
急な出費や生活環境の変化で一時的に積立投資が難しくなることもあるが、その場合でも、すでに投資している資産はそのまま運用を続けることが重要である。
複利効果で資産を成長させるためには、時間を味方にすることが必要だからだ。
20代の資産運用では、一時的な中断があっても長期的な視点を保ち、安易に売却せず持ち続ける意識が大切である。
20代が資産運用するなら誰に相談すべき?
資産運用は、専門家と共に始めると成功の確率はグンと高くなる。ただし、相談先によって提供されるサービスが異なるため、自分に合った相談相手を選ぶことが重要だ。
資産運用の主な相談先と特徴
資産運用の相談先としては、以下の3つが一般的である。
- 証券会社
- 証券会社は資産運用のもっとも一般的な相談先である。ただし、証券会社は一定の資産規模や取引がある顧客を優先しがちだ。資産が少ない若手投資家には、簡単な説明や口座開設にとどまり、積極的なアドバイスを受けられない懸念がある。
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- FPは、資産運用全体の相談やライフプランの設計を得意としているため、総合的なアドバイスを受けられる。ただし、法律上、個別の金融商品や銘柄の具体的なアドバイスは行えないため、「どの投資信託を選べばよいか」や「この株式を買うべきか」などの具体的なアドバイスを受けることは難しい。
- 独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)
- 金融商品仲介業者として登録された、資産運用の専門家である。証券会社や金融機関に属さずに独立して活動しているため、偏りのないアドバイスを提供できるのが特徴だ。IFAの中には、20代の投資初心者にも積極的に対応してくれるプロも多い。
以上のように、それぞれに特徴があり、メリット・デメリットも異なる。大切なのは、自分に合った相談先を選ぶことである。
信頼できる専門家を選ぶポイント
適切な相談先を選ぶためには、できるだけ多くの選択肢から自分に合ったアドバイザーを見つけることが重要だ。
以下の点を意識して専門家を選ぶと、より良いアドバイスを得やすくなる。
- 資格や経験をしっかり確認する
- アドバイザーの資格や経験は、信頼性の判断に欠かせないポイントだ。資産運用に関する経験が豊富な専門家を選ぶことで、より的確なアドバイスを受けられる可能性が高まる。
- できるだけ多くの選択肢から選ぶ
- 友人や知人からの紹介も有効だが、選択肢が限られてしまうことも多い。より多くの候補者を比較検討できる方が、希望に合った専門家を見つけやすい。
- 複数の候補者を比較して選ぶ
- 複数の候補者と話してみて、自分に合った相性の良いアドバイザーを確かめることも大切だ。説明がわかりやすいか、質問しやすいかなど、「話しやすい相手かどうか」は重要なポイントである。
これらを満たす方法として、オンラインのマッチングサービスを利用するのも一つの手である。
資産運用は20代から!早く始めて資産を大きく育てていこう
20代からの資産運用は、将来の経済的自由を手に入れるための大切な第一歩である。
早期に始めることで「時間」という大きな味方を得られ、複利の効果で資産を着実に増やしていける。
さらにおすすめなのが、資産運用のプロを味方につけることだ。投資経験が少ない若い時期こそ、専門家のサポートを受けて確実に基礎を固めることが重要になるからだ。
まずは一度相談して、自分にとって心地よいサポートかどうかを確かめてみよう。きっと未来の資産形成に大きな自信が持てるはずである。